unclear
最初の /ʌ/ は、日本語の「ア」よりも口を軽く開け、喉の奥から出すような音です。ストレス(強勢)は /klɪər/ に置かれるため、/ʌn/ の部分は弱く短く発音されます。最後の /ər/ は、アメリカ英語では舌を巻く音(R音化)になりますが、イギリス英語では曖昧母音(ア)に近くなります。/kl/ のように子音が連続する部分は、日本語話者には発音しづらいので、ゆっくりと意識して練習すると良いでしょう。
ぼやけた
物理的に視界が悪い状態、または概念や考え方が曖昧で理解しづらい状態を表す。霧や煙で視界が遮られている状況、または説明が不足していて内容がはっきりしない場合などに使う。
The photo I took with my phone was unclear, making me a little sad.
私が携帯で撮った写真がぼやけていて、少し悲しくなりました。
※ 「スマホで撮った写真がピンぼけでがっかりした」という、誰もが経験しそうな場面ですね。「unclear」は、写真や映像が「はっきりしない」「ぼやけている」という意味で非常によく使われます。be動詞の後にunclearを置いて「〜がぼやけている」と表現します。
When I woke up, the view outside the window was unclear because of the heavy fog.
目が覚めた時、濃い霧のせいで窓の外の景色がぼやけていました。
※ 朝起きて窓の外を見たら、霧で景色が真っ白、という状況が目に浮かびますね。「unclear」は、視界が「かすんで見えにくい」「はっきりしない」という物理的な状態を表すのにぴったりです。「because of 〜」は「〜のせいで」「〜のために」と原因を表す便利なフレーズです。
The small letters in the old book were unclear, so it was hard for me to read.
その古い本の小さな文字はぼやけていて、私には読むのが大変でした。
※ 古い資料や印刷物の文字がかすれていて、目を凝らしても読みにくい、という経験はありませんか?「unclear」は、文字や印刷が「不鮮明で読みにくい」状態を説明する際によく使われます。「so it was hard for me to read」のように、「so + 文」で結果を表す形もよく使われます。「それは私にとって読むのが難しかった」という意味です。
不明瞭な
意図的に情報を隠している、または何らかの理由で情報がはっきり伝わらない状態。真意が隠されている発言や、証拠が不十分な状況などに用いる。
The teacher's explanation was unclear, so I asked him again.
先生の説明が不明瞭だったので、私はもう一度質問しました。
※ 授業中、先生の説明が少し難しくて、頭の中に「?」が浮かんだ生徒が、勇気を出して手を挙げて質問する場面です。「unclear」は、説明や指示、情報などが「はっきりしない」「理解しにくい」という意味で非常によく使われます。何かを理解できなかった時に「It's unclear to me.」(私には不明瞭です)のように使えます。
The old photo was very unclear, so I couldn't see her face well.
その古い写真はとても不鮮明だったので、私は彼女の顔がよく見えませんでした。
※ アルバムをめくっていて、昔の家族写真を見つけたけれど、古すぎて顔がぼやけていて、ちょっと残念な気持ちになる場面です。「unclear」は、写真や文字、視界などが「ぼやけている」「はっきり見えない」という物理的な状況にも使われます。「couldn't see well」は「よく見えなかった」という意味で、この文脈でよく一緒に使われます。
The phone call was very unclear, and I couldn't hear what she said.
電話の通話がとても不明瞭で、彼女が何を言ったのか聞こえませんでした。
※ 電波の悪い場所で友達と電話していて、相手の声が途切れ途切れで、何度も「え?」と聞き返してしまう場面です。「unclear」は、電話やマイクの音、人の話し声などが「聞き取りにくい」「はっきりしない」という聴覚的な状況にも使われます。「The sound is unclear.」(音が不明瞭です)のように、音の状態を表すのにも使えます。
未解決の
問題や疑問が解決されていない状態。調査や議論が不十分で結論が出ていない状況、または今後の展開が予測できない場合などに使う。
At the meeting, the final decision about the new project remained unclear.
会議で、新しいプロジェクトに関する最終決定はまだ未解決のままでした。
※ 会社やチームの会議で、まだ結論が出ていない、または方向性が決まっていない状況を表す典型的な場面です。みんなが次のステップを待っているのに、肝心なことが「はっきりしない、未解決だ」というニュアンスが伝わります。'remain'(~のままである)と一緒に使うことで、「まだ解決していない」という状態を強調できます。
He felt a little worried because his path after graduation was still unclear.
彼は卒業後の進路がまだ未解決だったので、少し心配していました。
※ これは、自分の将来や、これからどうすべきかについて、まだ具体的な計画や方向性が決まっていない個人の気持ちを表す場面です。特に学生が卒業後どうするか悩む際によく使われます。「まだどうなるか分からない」「はっきり決まっていない」という気持ちが'unclear'で表現されています。'feel worried'(心配する)という感情も加わり、状況がより鮮明になります。
The police said the exact reason for the strange noise was still unclear.
警察は、その奇妙な音の正確な原因はまだ未解決だと述べました。
※ 事件や事故、または何か不思議な現象の原因がまだ特定されていない、調査中であるというニュースなどでよく聞かれる表現です。'police'(警察)や'reason'(理由・原因)といった単語と組み合わせることで、解明されていない謎や問題がある状況が伝わります。「何が原因なのか、まだはっきりと分かっていない」という状況を'unclear'が表しています。
コロケーション
~かどうか不明確
※ 「whether/if」を伴い、ある事柄の真偽や可能性が定かでない状況を示します。ビジネスシーンや学術的な文脈で頻繁に使われ、客観的な不確実性を表す際に適しています。例:"It is unclear whether the project will be approved." (プロジェクトが承認されるかどうかは不明確です)。 "unclear that"と異なり、間接疑問文を導く点がポイントです。"unclear about"と混同しないように注意が必要です。
(人)には理解できない、不明瞭である
※ 「to + 人」の形で、特定の人物にとってある事柄が理解できない状態を表します。誰の視点から見て不明確なのかを明確にする場合に有効です。例:"The instructions were unclear to me."(私には指示が不明確でした)。"unclear for someone"とは異なり、情報の伝達や理解の方向性を示すニュアンスがあります。先生が生徒に対して「不明な点はありますか?」と尋ねる際など、教育現場でもよく使われます。
依然として不明確なままである
※ 「remain」と組み合わせることで、ある事柄が過去から現在に至るまで、継続して不明瞭な状態であることを強調します。調査や議論が不十分で、状況が改善されていないことを示唆する際に用いられます。例:"The cause of the accident remains unclear."(事故の原因は依然として不明確なままである)。"stay unclear"も同様の意味で使用できますが、"remain"の方がよりフォーマルな印象を与えます。ニュース記事や報告書などでよく見られる表現です。
不明確な境界線
※ 物理的な境界線だけでなく、抽象的な概念(責任範囲、倫理的判断など)の曖昧さを示す際に用いられます。組織論や国際関係など、様々な分野で使われる汎用的な表現です。例:"There's an unclear boundary between sales and marketing roles."(営業とマーケティングの役割の境界線が不明確である)。"blurred boundary"も同様の意味ですが、"unclear"は単に「不明確」であるのに対し、"blurred"は「意図的に曖昧にされている」というニュアンスを含む場合があります。
不透明な未来
※ 将来の見通しが立たない、不安定な状況を表します。経済、政治、個人のキャリアなど、様々な文脈で使用されます。例:"The company faces an unclear future due to the economic downturn."(会社は景気低迷のため、不透明な未来に直面している)。"uncertain future"とほぼ同義ですが、"unclear"は「何が起こるか分からない」というニュアンスが強く、"uncertain"は「悪いことが起こるかもしれない」という懸念を含む場合があります。
意図的に曖昧にされた
※ "deliberately"(意図的に)を伴うことで、情報が故意に不明瞭にされている状況を示します。政治的なスピーチや企業の広報など、責任を回避したり、誤解を招くことを意図したりする場合に用いられます。例: "The politician's statement was deliberately unclear."(政治家の声明は意図的に曖昧にされていた)。 "intentionally unclear"も同様の意味ですが、"deliberately"の方がややフォーマルな響きがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用される。特に、結果や解釈が完全に確定していない場合や、さらなる調査が必要な状況を説明する際に用いられる。「~のメカニズムは依然としてunclearである」「~との関連性はunclearなままである」のように、客観的な視点から研究の現状や限界を示す文脈で使われる。
ビジネス文書や会議で、状況や指示が明確でない場合に使われる。例えば、「プロジェクトの目標がunclearである」「誰が責任者かunclearである」のように、問題点や改善点を指摘する際に用いられる。口頭での会議よりも、報告書やメールなど、記録に残る文脈でより多く見られる傾向がある。
日常会話ではあまり使われないが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、事件や状況が不明瞭であることを伝える際に用いられる。「事件の動機はunclearなままである」「彼の意図はunclearだった」のように、客観的な報道や説明の中で使われることが多い。個人的な感情や意見を述べる場面では、より平易な表現が好まれる。
関連語
類義語
複数の解釈が可能で、意図が不明瞭な状態を指す。法律、契約書、文学作品などの解釈において問題となる場合によく用いられる。学術的な文脈やフォーマルな場面で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"unclear"よりも意図的な曖昧さや、複数の意味合いが存在しうる状況を示唆する。話し手または書き手が意図的に曖昧にしている場合も含まれる。 【混同しやすい点】"unclear"は単に理解しにくい状態を指すのに対し、"ambiguous"は複数の解釈が存在し、どれが正しいか判断できない状態を指す。文脈によっては意図的な策略や欺瞞を含意する場合もある。
輪郭がぼやけていて、詳細が欠けている状態を指す。漠然としていて、具体的なイメージが湧かない時に使う。日常会話からビジネスまで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】"unclear"よりもさらに漠然としていて、詳細が不足している状態を表す。具体的な情報がほとんどない場合に用いられる。 【混同しやすい点】"unclear"は部分的に理解できない状態を指すこともあるが、"vague"は全体的にぼんやりしていて、焦点が定まっていない状態を表す。具体的な例や詳細を求める場合に、"That's too vague."のように使う。
人目に触れにくい、または理解しにくい状態を指す。歴史的な事実や専門的な知識など、一般の人々には馴染みのない事柄について用いられることが多い。学術的な文脈や文学的な表現で使われる。 【ニュアンスの違い】"unclear"よりも難解で、隠されているようなニュアンスを含む。意図的に隠されている場合も、単に知識不足で理解できない場合も含まれる。 【混同しやすい点】"unclear"は単に理解が難しいことを意味するが、"obscure"は情報が不足しているか、意図的に隠されているために理解が難しいことを意味する。歴史や文化、専門分野に特有の知識がないと理解できない場合に使う。
- indistinct
はっきりと区別できない、ぼやけている状態を指す。視覚、聴覚、記憶など、感覚的な情報が不明瞭な場合に用いられる。日常会話や描写的な文章で使われる。 【ニュアンスの違い】"unclear"よりも感覚的な不明瞭さを強調する。視覚や聴覚を通じて得られる情報がぼやけている状態を表す。 【混同しやすい点】"unclear"は概念的な理解の不明瞭さを指すのに対し、"indistinct"は感覚的な情報の不明瞭さを指す。例えば、遠くの景色が"indistinct"であるのに対し、複雑な理論が"unclear"である。
液体が濁っている、または状況が不透明であることを指す。比喩的に、疑念や不信感が漂う状況を表すこともある。ニュース報道や犯罪小説などで使われる。 【ニュアンスの違い】"unclear"よりもネガティブなニュアンスが強く、隠された陰謀や不正行為を示唆することがある。文字通りに液体が濁っている場合にも、比喩的に状況が不透明な場合にも用いられる。 【混同しやすい点】"unclear"は単に理解が難しいことを意味するが、"murky"は背後に何か隠された事情があるために理解が難しいことを意味する。政治的なスキャンダルや汚職事件など、真相が隠されている状況を描写する際に用いる。
- hazy
霞がかかっている、または記憶や理解が曖昧であることを指す。過去の出来事や将来の展望など、不確かな事柄について用いられることが多い。日常会話や回想的な文章で使われる。 【ニュアンスの違い】"unclear"よりも一時的な不明瞭さを強調する。霞のように一時的に視界が遮られている状態を表す。 【混同しやすい点】"unclear"は恒常的な理解の難しさを指すこともあるが、"hazy"は一時的な、または感情的な要因による理解の曖昧さを指す。例えば、昔の記憶が"hazy"であるのに対し、複雑な問題が"unclear"である。
派生語
『明瞭さ、透明性』という意味の名詞。『clear(明確な)』から派生し、抽象的な概念を表す際に用いられる。ビジネス文書や学術論文で、思考や記述の明晰さを強調する文脈で頻繁に使われる。例:『報告書のclarity(明瞭さ)』。
『明らかにする、明確にする』という意味の動詞。『clear(明確な)』に動詞化の接尾辞『-ify』が付いた形。会議での発言内容の確認や、文書における曖昧な点の修正など、具体的な行動を伴う文脈で使われる。例:『状況をclarify(明確にする)』。
- clearance
『許可、認可』という意味の名詞。『clear(明確にする)』という動詞の用法から派生し、『障害を取り除く』→『通過を許可する』という意味合いに発展した。空港でのセキュリティチェックや、機密情報へのアクセス許可など、特定のプロセスや権限に関連する文脈で使われる。例:『セキュリティclearance(許可)』。
反意語
『明確な、疑いのない』という意味の形容詞。『unclear』の接頭辞『un-』を取り除いた基本的な形。視覚的な明瞭さ、思考の明晰さ、音声の聞き取りやすさなど、幅広い文脈で『unclear』と対照的に用いられる。例:『clearな指示』vs. 『unclearな指示』。
『明白な、明らかな』という意味の形容詞。『unclear』が不明瞭さや曖昧さを表すのに対し、『obvious』は誰の目にも明らかであることを強調する。日常会話から学術的な議論まで幅広く使われ、議論の前提や結論を提示する際に効果的。例:『obviousな事実』vs. 『unclearな事実』。
『明白な、明示的な』という意味の形容詞。『unclear』が暗黙的、暗示的なニュアンスを含むのに対し、『explicit』は言葉や記号を用いて明確に表現されていることを意味する。契約書や法律文書、プログラミングのコードなど、誤解を避けるために正確さが求められる文脈で特に重要。例:『explicitな指示』vs. 『unclearな指示』。
語源
"unclear"は、接頭辞 "un-" と形容詞 "clear" から構成されています。接頭辞 "un-" は、打消しや反対の意味を表し、日本語の「非~」や「不~」に相当します。"clear" は、「明るい」「透明な」「はっきりした」といった意味を持ち、ラテン語の "clarus" (明るい、名高い)に由来します。"clarus" は、さらに遡るとインド・ヨーロッパ祖語の語根 *kel- (呼ぶ、叫ぶ)に繋がると考えられています。つまり、元々は「はっきりと声に出せる」「明瞭に聞こえる」といったニュアンスがあったのでしょう。したがって、"unclear" は、文字通りには「はっきりしていない」「明瞭でない」という意味になり、「ぼやけた」「不明瞭な」「未解決の」といった意味合いで用いられます。例えば、霧で視界が"unclear"(ぼやけている)状態や、説明が"unclear"(不明瞭)な場合に使われます。
暗記法
「unclear」は単なる不明瞭さではなく、意図的な曖昧さや隠蔽された真実を暗示する。政治の舞台では情報操作の道具となり、歴史的事件の真相を覆い隠す。文学においては、ミステリーの核心であり、曖昧な結末は読者に深い考察を促す。現代社会では、フェイクニュースの温床となり、人々の判断を狂わせる。霧がかった真実を見抜くには、批判的思考と情報リテラシーが不可欠だ。
混同しやすい単語
スペルが非常に似ており、'un-' という接頭辞が付いているかどうかの違いしかありません。意味は『明確な』であり、『unclear』の反対の意味を持ちます。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要があります。接頭辞 'un-' が付いていることで意味が反転することを意識すると良いでしょう。
発音が似ており、特に語尾の 'r' の発音が弱い場合、聞き間違えやすいです。意味は『おじ』または『おじさん』であり、家族関係を表す言葉です。文脈が全く異なるため、会話の流れや状況から判断できます。発音練習では、'clear' と 'uncle' の発音の違いを意識すると効果的です。
スペルの一部が共通しており、特に 'clear' の部分が似ています。発音も一部似ていますが、アクセントの位置が異なります。意味は『原子力の』や『核の』であり、科学技術や政治に関連する文脈で使われます。日本人学習者は、単語全体の形を意識し、文脈から意味を推測する練習をすると良いでしょう。
'un-'という接頭辞が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすい可能性があります。意味は『非現実的な』であり、現実とは異なる状況や想像上のものを指します。文脈から判断できますが、'un-'の後に続く単語が異なることを意識することが重要です。
'un-'という接頭辞が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすい可能性があります。意味は『不潔な』であり、清潔でない状態を表します。道徳的な意味合いを含むこともあります。文脈から判断できますが、'un-'の後に続く単語が異なることを意識することが重要です。
二語で構成される表現ですが、発音の区切り方によっては『unclear』と聞こえる可能性があります。意味は『暗号化されていない状態で』や『平文で』であり、通信や情報セキュリティの分野で使われます。文脈が大きく異なるため、通常は誤解を招くことは少ないですが、専門的な話題では注意が必要です。
誤用例
日本語の『簡単に説明する』という表現に引きずられ、『simply』を使ってしまいがちですが、ここでは『clarify』を使うのがより適切です。なぜなら、『clarify』は不明瞭な点を明確にする、つまり『clear』にするという意味合いが強く、教授の説明が不明瞭だったという文脈に合致します。『simply』は、複雑なものを単純化するという意味合いが強く、必ずしも不明瞭さを解消するとは限りません。また、アカデミックな文脈では、より直接的に意図を伝える『clarify』が好まれます。
『unclear』は、漠然としていて理解が難しい状態を指すことが多いですが、未来の状況のように不確実性が高い場合には『uncertain』を使う方が適切です。また、文脈によっては、二重否定を避けるために『unclear』の使用を控える方が自然な英語になります。ここでは『unclear whether they will survive』という表現自体は文法的に間違っていませんが、前半の『unclear』と連続することで、くどい印象を与えてしまいます。日本語では曖昧さを好む文化がありますが、英語ではより直接的で明確な表現が好まれる傾向があります。
『unclear』を『if』節と共に使うことは文法的に誤りではありませんが、フォーマルな文脈や書き言葉では『whether』を使うのがより適切です。また、否定形を伴う場合(『It is not clear...』)の方が、より自然で一般的な表現となります。日本語では『〜かどうか不明確だ』という表現を直訳しがちですが、英語では否定形を用いることで、より婉曲的に、かつ明確に不確実性を表現できます。これは、英語圏の文化において、直接的な断定を避け、丁寧さや謙虚さを表現する傾向があるためです。
文化的背景
「unclear(不明瞭)」という言葉は、単に情報が不足している状態を示すだけでなく、意図的な曖昧さや、権力構造によって隠蔽された真実を暗示することがあります。霧がかった風景のように、真実がぼやけて見えない状況は、疑念や不信感を生み出し、社会的な不安を煽る力を持つためです。
特に政治的な文脈において、「unclear」は巧妙な情報操作の道具として用いられることがあります。例えば、政府や企業が不都合な事実を隠蔽するために、声明を意図的に曖昧にしたり、責任の所在を不明確にしたりするケースです。このような状況下では、「unclear」は単なる情報不足ではなく、権力による抑圧や欺瞞の象徴となります。ウォーターゲート事件やイラン・コントラ事件など、歴史的な事件を振り返ると、関係者の証言や記録が意図的に「unclear」にされていることが、事件の真相解明を困難にしている一因であることがわかります。
文学作品においても、「unclear」は重要な役割を果たします。例えば、ミステリー小説では、事件の真相が「unclear」な状態から徐々に明らかになっていく過程が、読者の興味を引きつけます。また、曖昧な結末を迎える作品では、登場人物の心情や物語のテーマが「unclear」なまま残されることで、読者に深い考察を促します。ヘミングウェイの作品に代表される「アイスバーグ理論」は、あえて多くを語らず、行間に「unclear」な部分を残すことで、読者の想像力を刺激し、物語に深みを与える手法と言えるでしょう。
現代社会においては、フェイクニュースや陰謀論の蔓延も、「unclear」な情報の氾濫と深く関わっています。真偽不明の情報がSNSなどを通じて拡散され、人々の判断を惑わせる状況は、社会全体の信頼を揺るがす可能性があります。「unclear」な情報に惑わされないためには、批判的な思考力と情報リテラシーを身につけることが不可欠です。情報源の信頼性を確認し、多角的な視点から情報を検証することで、「unclear」な霧を晴らし、真実に近づくことができるはずです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題。リスニングでも稀に出題。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。2級でも稀に出題。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術など幅広いテーマで使われる。意見や状況が不明確な場合に用いられる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 同意語の"vague", "ambiguous"との使い分けを意識。"It is unclear whether..."の形でよく使われる。
- 出題形式: Part 5, 6の語彙問題、Part 7の長文読解。
- 頻度と級・パート: Part 5, 6で中頻度。Part 7でも読解のポイントとして重要。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでの報告書、メール、契約書などで使用される。状況や指示が不明確な場合に用いられる。
- 学習者への注意点・アドバイス: "unclear"の後に続く内容を把握することが重要。同義語の"uncertain"も覚えておくと役立つ。
- 出題形式: リーディングセクションの長文読解。
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会学など、学術的なテーマで使われる。研究結果や理論が不明確な場合に用いられる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。類義語の"obscure"とのニュアンスの違いを理解しておくと良い。
- 出題形式: 主に長文読解問題。文脈把握問題や内容説明問題で問われる。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など、幅広いジャンルで使われる。状況や人物の心情が不明確な場合に用いられる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈全体から「何がunclearなのか」を把握することが重要。反意語の"clear"との対比で理解すると覚えやすい。