truthfulness
最初の音節 /ˈtruːθ/ は、日本語の「トゥ」に近いですが、舌先を上の歯の裏につけて発音し、その後に続く「ルース」は、日本語の「ルー」よりも唇を丸めて前に突き出すイメージです。/fʊl/ の 'f' は上の前歯を下唇に軽く当てて息を摩擦させる音で、日本語の「フ」よりも意識的に息を出すようにしましょう。最後の /nəs/ は、曖昧母音の /ə/ を含むため、「ネス」と強く発音せず、弱く短く発音します。強勢は最初の音節 /ˈtruːθ/ にあります。
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誠実さ
事実を曲げず、正直であろうとする性質。人や組織の信頼性を高める重要な要素。
The mother praised her son for his truthfulness about breaking the vase.
お母さんは、花瓶を割ってしまったことについて正直に話した息子を褒めました。
※ この例文は、子供が何か失敗をしたとき、それを隠さずに正直に話す「誠実さ」の大切さを描いています。お母さんが息子を「褒めた (praised)」ことから、正直な行動が良い結果につながるというメッセージが伝わります。日常生活で「正直さ」が評価される典型的な場面です。
Everyone appreciated the journalist's truthfulness in reporting the difficult news.
難しいニュースを報じる際の、そのジャーナリストの誠実さを誰もが評価しました。
※ ここでは、ジャーナリストが「難しいニュース」を扱う際に見せる「誠実さ」に焦点を当てています。事実をありのままに、偏りなく伝えるプロの姿勢が「truthfulness」として高く評価される場面です。ニュースや情報源の信頼性に関わる、より公式な文脈での使い方です。
Her friends always trusted her because of her great truthfulness.
彼女の友達は、彼女の大きな誠実さのゆえにいつも彼女を信頼していました。
※ この例文は、人間関係、特に友情において「誠実さ」がどれほど重要かを示しています。「信頼 (trusted)」は「truthfulness」と非常に密接な関係にあります。友達が「いつも」彼女を信頼していたという表現から、日々の行動を通して築かれる誠実さが、長期的な信頼関係の土台となることがわかります。
真実を語る
嘘や偽りがないこと。発言や行動が一貫して真実に基づいている状態。
The little boy's truthfulness about breaking the vase made his mother proud.
少年が花瓶を割ったことについて正直に話したことで、母親は彼を誇りに思いました。
※ この例文は、子供が正直に過ちを告白する温かい場面を描いています。「truthfulness」は、このように個人の「正直さ」や「誠実さ」という美徳を表す際によく使われます。お母さんが「誇りに思う」という感情も伝わってきますね。
Journalists must always aim for truthfulness in their reports to gain trust.
ジャーナリストは信頼を得るために、常に報道の真実性を目指さなければなりません。
※ この例文は、ジャーナリズムという専門分野で「真実を語る」ことがいかに重要かを示しています。「truthfulness」は、ニュースや公式な報告など、事実の正確性が求められる公的な文脈でよく用いられます。信頼(trust)を得るために真実性が不可欠、という典型的な状況です。
Her reputation for truthfulness made everyone believe her story immediately.
彼女の正直さという評判が、誰もがすぐに彼女の話を信じるようにさせました。
※ この例文では、「truthfulness」が人の「評判(reputation)」や「性格」の一部として使われています。普段から正直な人だからこそ、何かを話したときに周りの人がすぐに信じる、という日常的で自然な状況を表しています。このように、人の誠実な人柄を表す際にも使われます。
実直さ
飾り気がなく、真面目で正直な様子。特に、人の性格や態度を表す際に用いられる。
Her truthfulness was a quality everyone respected in the office.
彼女の実直さは、オフィスで誰もが尊敬する資質でした。
※ この例文は、ある人の性格や態度としての「実直さ」を描写しています。彼女がいつも正直で信頼できる人であることが伝わり、職場での人間関係において、その正直さが周囲から高く評価されている様子が目に浮かびます。
The judge carefully checked the truthfulness of the witness's story.
裁判官は証人の話の真実性を慎重に確認しました。
※ この例文では、情報や証言の「実直さ(真実であること)」が問われる場面を描いています。法廷という緊張感のある状況で、裁判官が証言の信頼性を確かめようとする様子が伝わります。特に、'check the truthfulness of X'(Xの真実性を確認する)はよく使われる表現です。
His mother appreciated his truthfulness when he confessed his mistake.
彼が自分の間違いを告白した時、母親はその実直さに感謝しました。
※ この例文は、困難な状況で正直に行動する「実直さ」を表しています。少年が何か間違いを犯し、それを正直に打ち明けた時に、母親が彼の誠実な態度を高く評価している情景が目に浮かびます。間違いを認める勇気と、それに対する親の温かい気持ちが伝わります。
コロケーション
疑いの余地のない誠実さ
※ このコロケーションは、人の性格や証言、文書などが絶対に信頼できることを強調する際に用いられます。 'unquestionable' は、文字通り『疑問の余地がない』という意味で、truthfulness の度合いを最大限に高めます。ビジネスの契約書や、法廷での証言など、客観的な証拠が求められる場面でよく使われます。フォーマルな響きがあります。
誠実さへの誓約、誠実さを守る決意
※ 'commitment' は『献身』や『誓約』を意味し、truthfulness と組み合わせることで、単に真実を語るだけでなく、一貫して誠実であろうとする強い意志を表します。政治家の演説や企業の倫理綱領など、公的な場で倫理観をアピールする際に用いられることが多いです。抽象的な概念を強調する表現です。
誠実さを示す、誠実さを実証する
※ 行動や態度を通して誠実さを具体的に示すことを意味します。単に言葉で『私は誠実です』と言うだけでなく、具体的な行動でそれを証明するニュアンスがあります。例えば、ミスを正直に認めたり、約束を守ったりする行為がこれに該当します。ビジネスシーンや人間関係において、信頼を築く上で非常に重要な表現です。動詞 + 名詞の組み合わせとして自然です。
誠実さを重んじる、誠実さを重視する
※ 個人や組織が、誠実さを重要な価値観として捉え、優先順位の高いものとして扱うことを表します。企業のミッションステートメントや個人の信条など、価値観を表明する際に用いられます。'value' は『価値を置く』という意味合いが強く、truthfulness が単なる事実の伝達以上の意味を持つことを示唆します。抽象的な概念を具体的に表現する際に役立ちます。
不誠実さ、誠実さの欠如
※ これは文字通り、誠実さがない状態を指します。婉曲表現として、直接的に嘘をついているとは言わずに、遠回しに不誠実さを指摘する際に用いられることがあります。例えば、政治家の発言や企業の広報活動など、批判的な文脈で使われることが多いです。フォーマルな場面や、相手に配慮が必要な場合に適しています。
歴史的な正確さ、史実に基づいていること
※ 歴史的な出来事や記録が、事実に忠実であることを意味します。歴史書やドキュメンタリー、伝記などが、その内容の信頼性を保証するために用いられます。単に事実を羅列するだけでなく、解釈や分析の正確さも含まれます。学術的な文脈でよく使用される表現です。形容詞 + 名詞の組み合わせとして自然です。
使用シーン
学術論文、特に社会科学や倫理学の分野で、研究の信頼性やデータの正確性を議論する際に使われます。例:「この研究のtruthfulnessは、厳格なデータ収集プロセスによって保証されている。」のように、研究方法の妥当性を強調する文脈で見られます。
企業の倫理綱領やコンプライアンスに関する文書、または、従業員の行動規範を定める際に使用されることがあります。例:「当社の企業文化はtruthfulnessと透明性を重視する。」のように、企業としての誠実さをアピールする際に用いられます。日常的なビジネス会話では、より口語的な表現(honesty, integrity)が好まれます。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やノンフィクション作品で、誰かの証言や行動の信憑性を評価する際に使われることがあります。例:「彼の証言のtruthfulnessは、複数の証拠によって裏付けられている。」のように、報道やドキュメンタリーで客観的な事実を伝える文脈で見られます。普段の会話では、'honesty' や 'being truthful' がより一般的です。
関連語
類義語
真実であること、正確さ、真実性。フォーマルな文脈や学術的な議論でよく用いられる。客観的な事実の正確さを強調する。 【ニュアンスの違い】「truthfulness」が主観的な正直さや誠実さを指すのに対し、「veracity」は客観的な真実や事実に基づいていることを強調する。よりフォーマルな響きを持つ。 【混同しやすい点】日常会話では「truthfulness」の方が一般的。「veracity」は、証拠やデータに基づいて真実を検証するような状況で使われることが多い。例えば、「the veracity of the statement(その声明の真実性)」のように使われる。
正直さ、誠実さ。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使用される。嘘をつかないこと、欺かないことを意味する。 【ニュアンスの違い】「truthfulness」が真実を語ることに重点を置くのに対し、「honesty」は行動や態度における正直さを強調する。感情や意図を含む、より広い概念。 【混同しやすい点】「honesty」は性格や人柄を表す言葉としても使われる(例:He is known for his honesty)。一方、「truthfulness」は、特定の状況や発言における真実性を指すことが多い。
誠実さ、心からの気持ち。感情や意図が偽りないことを意味する。人間関係や個人的なコミュニケーションでよく用いられる。 【ニュアンスの違い】「truthfulness」が事実に基づいた真実を伝えることであるのに対し、「sincerity」は心からの気持ちや信念を伝えることを意味する。感情的な誠実さを強調する。 【混同しやすい点】「sincerity」は、必ずしも客観的な真実を伴うとは限らない。例えば、誤った情報でも心から信じていれば「sincere belief(心からの信念)」と言える。一方、「truthfulness」は事実に基づいていることが前提となる。
- candor
率直さ、遠慮のなさ。特に、不快なことや隠したいことを正直に話すことを指す。フォーマルな場面や、信頼関係のある間柄で用いられる。 【ニュアンスの違い】「truthfulness」が単に真実を語ることを意味するのに対し、「candor」は、相手が不快に思うかもしれないことでも、率直に伝えることを強調する。勇気や誠意が求められる。 【混同しやすい点】「candor」は、状況によっては無神経と受け取られる可能性がある。相手の感情を考慮せずに率直に話すことは、失礼にあたる場合がある。一方、「truthfulness」は、必ずしも率直さを伴うとは限らない。
高潔さ、誠実さ。道徳的な原則に従って行動することを意味する。ビジネスや政治の世界でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】「truthfulness」が特定の言動における真実性を指すのに対し、「integrity」は、一貫した道徳的原則に基づいた行動全体を指す。より広い概念。 【混同しやすい点】「integrity」は、単に嘘をつかないだけでなく、不正行為や倫理に反する行為をしないことも含む。企業の倫理綱領などでよく用いられる。一方、「truthfulness」は、特定の状況における発言の真偽に焦点を当てる。
忠実さ、誠実さ。約束や義務を果たすことを意味する。契約、結婚、宗教などの文脈で用いられる。 【ニュアンスの違い】「truthfulness」が真実を語ることに重点を置くのに対し、「fidelity」は、約束や義務を守ることを強調する。信頼関係を維持するために不可欠な要素。 【混同しやすい点】「fidelity」は、必ずしも真実を語ることだけを意味するわけではない。例えば、配偶者への「fidelity(貞節)」は、他の人と性的関係を持たないことを意味する。一方、「truthfulness」は、発言の真偽に焦点を当てる。
派生語
『真実の』『本物の』を意味する形容詞。『truthfulness』の根幹となる語。日常会話からビジネス、学術まで幅広く使われ、基本的な概念を表す。古英語の『trēowe』(忠実な)に由来し、信頼できる性質を表す語源を持つ。
『真実』『事実』を意味する名詞。『true』から派生し、抽象的な概念を表す。日常会話はもとより、哲学、科学、法律など、様々な分野で重要なキーワードとなる。例えば、『the truth about the matter』(事の真相)のように用いられる。
『本当に』『誠実に』を意味する副詞。『true』に副詞語尾『-ly』が付いた形。手紙の結びの言葉(『Truly yours』)や、相手への同意を示す相槌(『Truly!』)など、フォーマルな場面からカジュアルな場面まで使用される。
- untrue
接頭辞『un-』が付加され、『真実でない』『偽りの』という意味の形容詞。直接的に『truth』を否定する言葉で、誤解や嘘を指摘する際に使われる。『untrue statement』(虚偽の陳述)のように用いられる。
反意語
『不正直』『不誠実』を意味する名詞。『truthfulness』が持つ誠実さや正直さとは対照的な概念を表す。ビジネスシーンや人間関係において、信頼を損なう行為を指す際に用いられる。例えば、『dishonesty in business dealings』(商取引における不正行為)のように用いられる。
- falsehood
『虚偽』『嘘』を意味する名詞。『truthfulness』が事実に基づいていることに対して、意図的に真実を隠したり歪めたりする行為を指す。報道や証言など、真実性が求められる場面で特に重要な対概念となる。類義語のlieよりもややフォーマルな響きを持つ。
『欺瞞』『詐欺』を意味する名詞。『truthfulness』の欠如を示すだけでなく、人を欺く意図的な行為を強調する。特に、策略や陰謀など、複雑な状況下での欺きを指すことが多い。例えば、『a web of deceit』(欺瞞の網)のように比喩的に用いられる。
語源
"truthfulness"は、古英語の"trīewþ"(真実、誠実さ、忠誠心)に由来します。この"trīewþ"は、ゲルマン祖語の"*treuwaz"(信頼できる、忠実な)に遡り、さらに遡ると、インド・ヨーロッパ祖語の語根"*dreu-"(しっかりと立つ、固定する)に行き着きます。この語根は、木(tree)や丈夫な(true)といった言葉とも関連があります。つまり、"truthfulness"は、文字通りには「しっかりと立っている状態」や「固定された信頼」といった意味合いを持ちます。接尾辞の"-ful"は、「〜に満ちた」という意味で、名詞に付加することで形容詞を形成し、さらに接尾辞"-ness"が付加されることで名詞化され、「〜の状態、性質」を表します。したがって、"truthfulness"は「真実で満ちた状態」、つまり「誠実さ」や「真実を語る性質」を意味するようになったのです。日本語で例えるなら、「真実」という木がしっかりと根を張り、そこから「誠実」という花が咲き誇るイメージです。
暗記法
「truthfulness(誠実さ)」は西洋で人格をなす美徳。古代ギリシャでは中庸の徳とされ、騎士道では名誉と結びつきました。民主主義では、政治の透明性、報道の信頼性の基盤です。現代ではSNSの普及で、情報の真偽を見抜くメディアリテラシーが重要に。企業や個人の信頼を支え、社会全体の安定と繁栄に不可欠な要素として、その重要性を増しています。
混同しやすい単語
『truthfulness』と『truthful』は、どちらも『真実』に関連する形容詞ですが、品詞が異なります。『truthfulness』は名詞で『誠実さ』という意味です。一方、『truthful』は形容詞で『誠実な』という意味です。日本人学習者は、文中でどちらの品詞が必要かを見極める必要があります。例えば、「His truthfulness is admirable.(彼の誠実さは素晴らしい)」と「He is a truthful person.(彼は誠実な人だ)」のように使い分けます。
『truthfulness』と『ruthless』は、スペルが少し似ており、特に母音の配置が似ているため、視覚的に混同しやすいです。『ruthless』は『無慈悲な』という意味で、全く反対のニュアンスを持ちます。単語を注意深く読み、文脈から判断することが重要です。語源的には、『ruth』は『同情』を意味し、それに否定の接頭辞『-less』が付いたものです。
『truthfulness』と『usefulness』は、どちらも『-fulness』という接尾辞を持ち、名詞を形成します。この共通の語尾が、スペルを見たときに混同を生じさせる可能性があります。『usefulness』は『有用性』という意味であり、意味は全く異なります。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要があります。
『truthfulness』と『faithfulness』は、どちらも抽象名詞で、良い性質を表す点と、語尾が『-fulness』である点で共通しています。そのため、意味とスペルの両方で混同される可能性があります。『faithfulness』は『忠実さ』という意味で、対象が異なります。例えば、『truthfulness』は一般的に『真実を語る性質』を指しますが、『faithfulness』は『約束や義務を守る性質』を指します。
『truthfulness』と『thoughtfulness』は、どちらも『-fulness』という接尾辞を持つ名詞であり、抽象的な性質を表します。スペルも似ているため、視覚的に混同しやすいです。『thoughtfulness』は『思いやり』という意味であり、意味は大きく異なります。文脈において、どちらが相手への配慮や考慮を表しているかに注意する必要があります。
『truthfulness』と『true』は、どちらも『真実』に関連する語彙ですが、品詞が異なります。『true』は形容詞で、『真実の』という意味を持ちます。名詞である『truthfulness』と混同しないように注意が必要です。例えば、『true story(真実の物語)』のように使われます。また、動詞の『be true』は『本当である』という意味になります。
誤用例
『truthfulness』は『真実を語る性質』を指し、客観的な事実を述べているかどうかに焦点が当たります。一方、『sincerity』は『誠実さ』や『本心からそう思っているか』という内面的な感情や動機を表します。相手に迎合する発言をする人物に対しては、その人の『誠実さ(sincerity)』を疑う方が自然です。日本人は『truthfulness』を『正直さ』と捉えがちですが、英語では単なる情報の正確さだけでなく、話し手の意図や感情が重要になる文脈では『sincerity』がより適切です。日本語の『正直』という言葉が持つニュアンスの幅広さが、この誤用の一因と考えられます。
『truthfulness』は人の性質や行動を評価する際に使われることが多いですが、文書や情報の正確さを評価する場合には、よりフォーマルな語である『veracity』が適切です。『truthfulness』は日常会話でも使われる口語的なニュアンスがありますが、『veracity』は学術論文や法的な文書など、より厳密な文脈で使用されます。日本人は、フォーマルな場面でも平易な単語を選びがちですが、英語では文脈に応じて適切なレジスター(言葉遣いの丁寧さや硬さ)を選ぶことが重要です。また、ポリグラフ検査は文書の正確性を検証する手段であるため、文書そのものが持つ『真実性』を問う『veracity』がより適しています。
この文脈では『truthfulness』よりも『honesty』が適切です。『truthfulness』は、事実を正確に伝えること自体を指しますが、『honesty』は、それに加えて、意図的に嘘をつかない、欺かないという倫理的な意味合いを含みます。相手の感情を害する可能性がある場合でも、嘘をつかずに真実を伝えることを重視する姿勢を表すには、『honesty』がより適切です。日本人は、相手の気持ちを慮る文化があるため、ストレートな表現を避けがちですが、英語では、倫理的な観点から『正直さ』を強調する場合には、はっきりと『honesty』を用いることが一般的です。また、日本語の「正直」は、時に「無神経」や「デリカシーがない」といったネガティブな意味合いを含むこともありますが、英語の『honesty』は、基本的にはポジティブな意味合いで使用されます。
文化的背景
「truthfulness(誠実さ)」は、西洋文化において単なる事実の正確さ以上に、人格の根幹をなす美徳として重んじられてきました。特に、正直さ、公正さ、信頼といった倫理的価値観が社会秩序を維持する上で不可欠であると考える文化においては、truthfulnessは個人としての信用を築き、社会的な信頼関係を育むための基盤となります。
古代ギリシャの哲学、特にアリストテレスの倫理学では、truthfulnessは「中庸」の概念と関連付けられ、過剰な誇張や虚偽と、自己卑下や過小評価の中間にある、理想的な人格特性として位置づけられました。この考え方は、西洋思想における「真実を語ること」の重要性を強調し、後のキリスト教倫理にも大きな影響を与えました。中世ヨーロッパにおいては、騎士道精神における「名誉」とtruthfulnessが結びつき、騎士は常に真実を語り、約束を守ることが求められました。この理想は、社会の安定と秩序を維持するための道徳的な規範として機能し、truthfulnessは単なる個人の美徳を超えて、社会全体の信頼を支える要素となりました。
近現代に入ると、truthfulnessは政治的な文脈においても重要な意味を持つようになります。民主主義国家においては、政府や政治家が国民に対してtruthfulnessを保つことが、国民の信頼を得るための不可欠な条件となります。政治的な透明性の欠如や虚偽の情報の流布は、社会の分断や混乱を引き起こす可能性があるため、truthfulnessは民主主義の健全性を維持するための重要な要素とみなされます。また、ジャーナリズムの世界においても、truthfulnessは報道の信頼性を担保するための最も重要な原則の一つです。ジャーナリストは事実に基づいた正確な情報を報道し、偏った意見や虚偽の情報を排除することで、社会の健全な発展に貢献することが求められます。
現代社会においては、ソーシャルメディアの普及により、情報の拡散速度が飛躍的に向上しました。その結果、truthfulnessの重要性はますます高まっています。虚偽の情報や誤解を招く情報が瞬く間に拡散され、社会に大きな影響を与える可能性があるため、個人が情報の真偽を見極める能力、すなわち「メディアリテラシー」が重要視されています。truthfulnessは、個人の道徳的な責任だけでなく、社会全体の安定と繁栄を支えるための不可欠な要素として、現代社会においてもその重要性を増していると言えるでしょう。例えば、企業が広告においてtruthfulnessを欠いた場合、消費者の信頼を失い、ブランドイメージを損なう可能性があります。同様に、個人がSNSで虚偽の情報を拡散した場合、社会的な信用を失い、人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。このように、truthfulnessは現代社会において、個人、企業、政府など、あらゆるレベルで求められる重要な資質となっています。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(同意語・類義語選択)
- 頻度と級・パート: 準1級以上で出題される可能性あり。特に1級で頻度が高い。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、倫理、ジャーナリズムなど、硬めの話題で登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞形であることを意識し、関連語(truth, true, truthful)との使い分けを理解する。類義語(honesty, integrity)とのニュアンスの違いも把握しておくと良い。
- 出題形式: 長文読解(Part 7)、語彙問題(Part 5, 6)
- 頻度と級・パート: TOEIC L&Rでは、やや頻度は低め。TOEIC S&Wでは、議論のテーマとして扱われる可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 企業倫理、顧客対応、情報開示など、ビジネスシーンに関連した文脈で登場する可能性がある。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスにおける「誠実さ」というニュアンスで使われることが多い。関連語(transparency, accountability)とセットで覚えておくと役立つ。
- 出題形式: 長文読解、エッセイ(Writing)
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻繁に使用される。
- 文脈・例題の特徴: 哲学、社会学、心理学など、抽象的な概念を扱う学術的な文脈で登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念を表す名詞として理解する。エッセイでは、自分の意見をサポートする根拠として使用できる。類義語(veracity, authenticity)との違いも確認。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学の2次試験や私立大学で出題される可能性あり。標準的な単語帳には載っていない場合もある。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、歴史など、幅広いテーマで登場する可能性がある。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習をする。語源(truth + -fulness)から意味を推測するのも有効。類義語(sincerity, candor)との違いも理解しておくと、より深い理解につながる。