simple
最初の音 /s/ は日本語の「サシスセソ」よりも、舌先を上前歯の裏に近づけて発音します。母音 /ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少しだけ横に開いて短く発音します。最後の /əl/ は、舌先を上前歯の裏につけたまま、弱く「ル」と発音します。日本語の「シン」のように鼻にかかった音にならないように注意しましょう。
単純な
複雑さや難しさがなく、理解しやすい状態。構造やデザインが飾り気なく、本質的な機能に特化しているニュアンスを含む。例:a simple plan(単純な計画)
This recipe is very simple, so anyone can cook it easily.
このレシピはとてもシンプルなので、誰でも簡単に作れます。
※ 料理が苦手な人が「これなら私にもできる!」と安心する場面です。ここでは 'simple' が「複雑でない」「簡単だ」という意味で使われています。レシピだけでなく、ゲームのルールや説明書など、手順が簡単なものについてよく使われます。
The teacher's explanation was so simple that all students understood it.
先生の説明はとてもシンプルだったので、生徒全員が理解できました。
※ 難しい内容も、先生の分かりやすい説明で「なるほど!」とすっきり分かった場面です。'simple' は「分かりやすい」「明瞭だ」という意味で使われ、複雑な情報を簡潔に伝える際にぴったりの表現です。'so ~ that ...' は「とても~なので…だ」という結果を表す文型です。
I really like the simple design of this new smartphone.
私はこの新しいスマートフォンのシンプルなデザインがとても気に入っています。
※ 余計な装飾がなく、機能的で美しい「シンプルイズベスト」なデザインを褒める場面です。ここでは 'simple' が「飾り気がない」「洗練されている」といった意味で使われています。家具や服、インテリアなど、見た目や構造がすっきりしているものによく使われる表現です。
飾り気のない
見た目や態度が自然で、気取っていない様子。本質的な美しさや誠実さを表す場合に使われる。例:a simple life(質素な生活)
She wore a simple dress and shined at the party.
彼女は飾り気のないシンプルなドレスを着て、パーティーで輝いていました。
※ この例文では、派手な装飾のない「simple dress(シンプルなドレス)」が、かえって着ている人の魅力を引き出し、パーティーでひときわ目立っていた様子を描いています。 「simple」は、余計なものがなく洗練されている、というポジティブな意味合いでよく使われます。 「shine at the party」は「パーティーで輝く=目立つ、素敵に見える」という意味です。
She chose to live a simple life with few possessions.
彼女は、物をあまり持たない飾り気のないシンプルな生活を送ることを選びました。
※ この例文は、物質的な豊かさよりも、心穏やかな生活を求めて、持ち物を減らし、質素に暮らすことを選んだ女性の姿を描いています。 「simple life」は「質素な生活」「余計なものがない生活」という意味で、ここでは「飾り気のない」というニュアンスが強く出ています。 「with few possessions」は「ほとんど物を持たない」という意味で、この「simple」のイメージを補強しています。
He explained it in simple words so everyone could understand.
彼は、みんなが理解できるように、飾り気のないシンプルな言葉で説明しました。
※ この例文では、難しい内容でも、専門用語を使わず、誰にでもわかる平易な言葉で説明してくれる親切な人の姿が目に浮かびます。 「simple words」は「平易な言葉」「分かりやすい言葉」という意味で、「飾り気のない」つまり「複雑でない」「余計な修飾がない」というニュアンスで使われます。 「so everyone could understand」は「誰もが理解できるように」という目的を表す、日常会話でもよく使う表現です。
無邪気な
知識や経験が少なく、世間ずれしていない様子。純粋で疑うことを知らないニュアンスを含む。例:a simple soul(純粋な魂)
The little girl's simple joy at the butterfly made everyone smile.
その幼い少女がチョウを見て見せた無邪気な喜びに、みんなが笑顔になりました。
※ この例文では、子供が何かに夢中になり、純粋に喜んでいる「無邪気さ」が表現されています。飾らない、心からの感情が伝わる場面ですね。「simple joy」で「無邪気な喜び」という感情を具体的に表しています。周りの人もその純粋さに心を動かされる、温かい情景が目に浮かびます。
Even as an adult, her simple trust in people was beautiful.
大人になっても、彼女の他人を信じる無邪気な心は美しかった。
※ ここでは、大人が持つ「無邪気さ」が描かれています。世の中の複雑さを知ってもなお、人を疑うことを知らない純粋な心、といったニュアンスです。「simple trust」は「純粋な信頼」や「無邪気な信頼」と訳せます。この「simple」は、世間ずれしていない、素直な人柄を肯定的に表現する際に使われます。
The old gardener had a simple joy working with his plants every day.
その老いた庭師は、毎日植物と向き合うことに無邪気な喜びを感じていました。
※ この例文は、何か特定の活動や趣味に対して、純粋で飾り気のない喜びを感じている様子を示しています。庭師が植物を世話することに没頭し、その行為自体から得られる、計算のない喜びが「simple joy」で表されています。このように「simple」は、人の純粋な心や、飾らない感情を伝えるのに役立ちます。
コロケーション
簡単な事柄、容易な問題
※ 日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われる表現です。問題やタスクの難易度を評価する際に用いられ、「造作もない」「容易である」といったニュアンスを伝えます。ただし、過度に使うと相手を軽んじていると受け取られる可能性もあるため、状況に応じて謙虚な表現と使い分けることが重要です。構文としては "adjective + noun" で、類似表現には "an easy task", "a straightforward issue" などがあります。
ささやかな喜び、質素な楽しみ
※ 日常生活の中にある、お金をかけずに得られる喜びを指します。例えば、美しい夕焼けを見ること、美味しいコーヒーを飲むこと、愛する人と過ごす時間などが該当します。物質的な豊かさよりも心の豊かさを重視する価値観を表す際に用いられることが多いです。"adjective + noun" の構文で、類似表現には "small joys", "modest delights" などがあります。文学作品や詩などで頻繁に見られる表現です。
単純に保つ、複雑にしない
※ 物事を複雑にせず、わかりやすく単純に保つことを推奨する表現です。プロジェクト管理や問題解決において、無駄を省き、効率性を重視する際に用いられます。「KISSの原則」(Keep It Simple, Stupid)という標語としても知られています。ビジネスシーンで特に好まれ、"verb + object + adjective" の構造を持ちます。類似表現には "simplify things", "make it easy" などがあります。
単純な答え、明快な回答
※ 複雑な問題に対して、曖昧さを排除した、誰にでも理解できる明快な答えを指します。政治、科学、哲学など、議論が紛糾しやすい分野で、核心を突く答えを求める際に用いられます。ただし、単純すぎる答えは、問題を矮小化していると批判される可能性もあるため注意が必要です。構文は "adjective + noun" で、類似表現には "clear response", "direct solution" などがあります。議論やプレゼンテーションなどでよく使われます。
質素な生活、簡素な暮らし
※ 物質的な豊かさよりも、精神的な充足や自然との調和を重視するライフスタイルを指します。消費主義や競争社会から距離を置き、必要最小限のもので暮らす生き方を表す際に用いられます。近年、ミニマリズムやサステナビリティへの関心の高まりとともに、注目を集めています。構文は "adjective + noun" で、類似表現には "minimalist living", "uncomplicated lifestyle" などがあります。
単純過半数
※ 投票や議決において、総数の半分を超える賛成票を得ることを指します。政治や法律、組織運営など、意思決定の場面で用いられる専門用語です。より厳しい条件である「絶対過半数」(総数の半分ではなく、有権者全員の半分を超える票)と区別する必要があります。構文は "adjective + noun" で、類似表現には "relative majority" があります。ニュースや報道で頻繁に登場する表現です。
単純な方程式、簡単な計算
※ 複雑な要素を排除し、基本的な関係性のみを捉えた方程式や計算を指します。数学や物理学などの分野で、複雑な現象を理解するための第一歩として用いられます。比喩的に、物事の因果関係や相互作用が明瞭であることを表す際にも用いられます。構文は "adjective + noun" で、類似表現には "basic calculation", "elementary formula" などがあります。
使用シーン
学術論文や教科書で頻繁に使用されます。例えば、統計モデルの説明で「単純な線形回帰モデルを用いる (a simple linear regression model)」のように、複雑な概念の基礎となる単純なモデルや考え方を説明する際に用いられます。また、研究方法のセクションで「単純なランダムサンプリング (simple random sampling)」といった形で、基本的な手法を指す場合にもよく見られます。学生向けの講義では、複雑な理論を理解するための足掛かりとして、'Let's start with a simple example'(簡単な例から始めましょう)のように導入として使われます。
ビジネスシーンでは、プレゼンテーションや報告書で、物事を分かりやすく説明するために使用されます。「単純な解決策 (a simple solution)」や「単純なプロセス (a simple process)」のように、複雑さを避け、効率性を重視する文脈で用いられます。プロジェクトマネージャーがチームメンバーに「手順を単純化する (simplify the procedure)」ように指示したり、顧客向けの提案で「シンプルな料金体系 (simple pricing structure)」を提示したりする場面が考えられます。社内メールでは、'For simple questions, please contact...'(簡単な質問は〜へご連絡ください)のように、担当を明確にするために使われることもあります。
日常会話で非常に頻繁に使われます。「簡単な料理 (a simple recipe)」や「単純なルール (simple rules)」のように、手軽さや分かりやすさを強調する際に用いられます。友人との会話で「簡単なことだよ (It's simple!)」と励ましたり、子供に「単純なゲーム (a simple game)」を教えたりする場面が考えられます。レシピサイトで「シンプルな材料 (simple ingredients)」を使った料理が紹介されたり、ニュース記事で「単純な事実 (simple facts)」が報道されたりすることも多いです。また、'Keep it simple'(シンプルに保つ)というフレーズは、生活や仕事で複雑さを避けるための標語としてよく使われます。
関連語
類義語
『簡単である』という意味で、努力や困難をほとんど必要としない状態を表す。課題、問題、仕事など、達成や理解が容易なものに対して広く使われる。日常会話、ビジネス、学術など様々な場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『simple』が本質的な単純さや明快さを指すのに対し、『easy』は達成の容易さに重点を置く。『simple』は問題の本質が捉えやすい、構造が単純であるというニュアンスを含むのに対し、『easy』は取り組みやすさ、手軽さを強調する。 【混同しやすい点】『easy』は主語が人である場合、『気が楽である』『心配がない』という意味合いになることがある。例えば、『I'm easy』は『私は気楽な性格です』という意味になるが、『I'm simple』とは言わない。また、『simple』はしばしば否定的な意味合い(単純すぎる、考えが浅い)を含むことがあるが、『easy』は通常そうではない。
『飾り気がない』『明白である』という意味を持つ。外見、スタイル、味、言葉遣いなど、余計な装飾や複雑さがない状態を表す。日常会話からビジネスまで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】『simple』が本質的な単純さを表すのに対し、『plain』は装飾のなさ、質素さを強調する。『plain』はしばしば、美しさや洗練さを欠いているというニュアンスを含むことがある。例えば、『plain clothes』は地味な服装、または私服を意味する。 【混同しやすい点】『plain』は『明白な』という意味でも使われるが、この場合は『simple』よりもフォーマルな印象を与える。『It's plain to see』は『一目瞭然である』という意味だが、『It's simple to see』とはあまり言わない。また、『plain』はしばしば否定的な意味合い(平凡、退屈)を含むことがある。
『基礎的な』『基本的な』という意味で、物事の根幹をなす、必要不可欠な要素を表す。教育、スキル、知識など、より複雑なものを理解するための基盤となるものに対して使われる。ビジネス、学術、技術分野で頻繁に使用される。 【ニュアンスの違い】『simple』が複雑さの欠如を指すのに対し、『basic』は必要最低限の要素、出発点を意味する。『basic』はしばしば、より高度なレベルに進むための前提条件というニュアンスを含む。例えば、『basic English』は日常会話に必要な基礎的な英語力を指す。 【混同しやすい点】『basic』はしばしば『単純な』という意味で誤用されることがあるが、『basic』はあくまでも『基礎的な』という意味合いが強い。例えば、『basic computer skills』は『基本的なコンピュータスキル』という意味であり、『単純なコンピュータスキル』という意味ではない。また、『basic』はしばしば肯定的な意味合い(必須、重要)を持つ。
- uncomplicated
『複雑でない』という意味で、構造や手順が複雑でなく、理解しやすい状態を表す。契約、計画、機械など、複雑さを避けたい場合に用いられる。ビジネス、技術分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『simple』が本質的な単純さを表すのに対し、『uncomplicated』は複雑さの欠如をより明確に表現する。『uncomplicated』はしばしば、意図的に複雑さを排除したというニュアンスを含む。例えば、『an uncomplicated solution』は複雑さを避けた単純な解決策を指す。 【混同しやすい点】『uncomplicated』はややフォーマルな表現であり、日常会話ではあまり使われない。『simple』の方がより一般的で、幅広い場面で使用できる。また、『uncomplicated』はしばしば肯定的な意味合い(効率的、実用的)を持つ。
『明確な』『分かりやすい』という意味で、曖昧さや混乱がなく、理解しやすい状態を表す。説明、指示、思考など、伝達内容が明確であることを強調する際に用いられる。ビジネス、学術、日常会話など、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『simple』が構造の単純さを指すのに対し、『clear』は理解の容易さに重点を置く。『clear』はしばしば、誤解の余地がない、疑いのないというニュアンスを含む。例えば、『a clear explanation』は誰にでも理解できる明確な説明を指す。 【混同しやすい点】『clear』は状況や視界が『晴れている』という意味でも使われるが、『simple』にはそのような意味はない。例えば、『The sky is clear』は『空が晴れている』という意味であり、『The sky is simple』とは言わない。また、『clear』はしばしば肯定的な意味合い(正確、信頼できる)を持つ。
『初歩的な』『基本的な』という意味で、学習や理解の最初の段階にあることを示す。教育、知識、スキルなど、より高度なレベルに進むための基礎となるものに対して使われる。学術、教育分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『simple』が複雑さの欠如を指すのに対し、『elementary』は学習の初期段階であることを強調する。『elementary』はしばしば、より高度な知識やスキルを習得するための準備段階というニュアンスを含む。例えば、『elementary school』は小学校を意味する。 【混同しやすい点】『elementary』はしばしば『単純な』という意味で誤用されることがあるが、『elementary』はあくまでも『初歩的な』という意味合いが強い。例えば、『elementary math』は『初歩的な数学』という意味であり、『単純な数学』という意味ではない。また、『elementary』はしばしば肯定的な意味合い(基礎、重要)を持つ。
派生語
『単純化する』という意味の動詞。『simple』に動詞化の接尾辞『-ify』が付加。複雑なものをわかりやすくしたり、手順を簡略化したりする際に用いられ、ビジネス文書や技術文書で頻出。例:Simplify the process.
『単純さ』『簡潔さ』を意味する名詞。『simple』に名詞化の接尾辞『-icity』が付加。抽象的な概念を表し、デザイン、哲学、科学など幅広い分野で使用される。例:The beauty of its simplicity.
『単に』『ただ』という意味の副詞。『simple』に副詞化の接尾辞『-ly』が付加。文や句を修飾し、限定的な意味合いを付け加える。日常会話からビジネスまで幅広く使用される。例:Simply put, it's not working.
反意語
『複雑な』という意味の形容詞。『simple』とは対照的に、多くの要素が組み合わさり、理解や処理が難しい状態を表す。日常会話、ビジネス、学術論文など幅広い場面で使用される。例:A complex problem.
『込み入った』『複雑化した』という意味の形容詞。『simple』の対義語として、元々は単純だったものが複雑になった状態を表す。問題や状況が複雑で理解しにくい場合に用いられる。例:The situation is getting complicated.
『入り組んだ』『複雑な』という意味の形容詞。特に細部まで凝った複雑さを表し、『simple』とは対照的に、デザインや構造が複雑で美しいものを指すことが多い。芸術、建築、工芸などで使用される。例:Intricate patterns.
語源
"simple"の語源はラテン語の "simplus" に遡ります。これは「単一の、混ざりけのない」という意味で、さらに遡ると "sem-"(一つの)と "-plex"(折り重なった)という要素から構成されています。つまり、元々は「一重の、折り重なっていない」状態を表していました。これが転じて、「複雑でない、単純な」という意味合いを持つようになり、さらに「飾り気がない、無邪気な」といった意味へと発展しました。日本語で例えるなら、複雑な模様が何重にも重なっている状態ではなく、一枚の布のように「単純」で「混じりけがない」状態をイメージすると理解しやすいでしょう。
暗記法
「simple」は純粋さと無垢を示す一方で、無知や未熟さも表します。中世では農民の質素な生活を指し、自然との調和や共同体への貢献と結びついていました。しかし産業革命後、社会の複雑化とともに、単純さは時代遅れとみなされるように。現代ではミニマリズムの隆盛で再び肯定的な意味を取り戻しつつも、安易な解決策を求める姿勢への批判も孕んでいます。時代と共に意味を変える、奥深い言葉なのです。
混同しやすい単語
スペルが非常に似ており、特に手書きの場合やタイプミスで混同しやすい。発音も最初の音が /sɪm/ と /sæm/ で異なるものの、早口だと区別がつきにくいことがある。『sample』は『見本』や『試供品』という意味で名詞として使われ、『〜を試す』という意味で動詞としても使われる。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要がある。
『simple』に '-ly' が付いた副詞であり、スペルが非常に似ているため、特に書き言葉で混同しやすい。『simply』は『単に』、『簡単に』という意味で、文全体や動詞を修飾する。例えば、『Simply put, it's wrong.(簡単に言えば、それは間違っている)』のように使う。日本人学習者は、文法的な役割の違いを意識する必要がある。
発音が似ており、特に語尾の '-ple' の部分が共通しているため、聞き間違いやすい。『temple』は『寺院』という意味で、宗教的な場所を指す名詞である。意味が全く異なるため、文脈から容易に区別できるはずだが、リスニングの際には注意が必要。語源的には、『temple』はラテン語の『templum(神域)』に由来する。
『simple』と『single』は、どちらも『単純な』、『一つの』といった意味合いを持つ場合があり、意味が曖昧な文脈では混同しやすい。また、スペルも一部共通しているため、視覚的にも混同しやすい。『single』は『単一の』、『独身の』といった意味で使われることが多く、『simple』よりも限定的な状況で使用される。例えば、『single room(シングルルーム)』のように使う。
最初の音が /sɪm/ と /sɪ/ で似ており、スペルも最初の3文字が共通しているため、混同しやすい。『symbol』は『記号』や『象徴』という意味で、抽象的な概念を表す名詞である。例えば、『peace symbol(平和の象徴)』のように使う。語源的には、ギリシャ語の『symbolon(しるし)』に由来し、もともとは二つに割ったものを組み合わせることで身分証明としたもの。この背景を知っておくと、意味の理解が深まる。
発音が似ており、特に語尾の '-ple' の部分が共通しているため、聞き間違いやすい。『supple』は『しなやかな』、『柔軟な』という意味で、主に身体や物体の性質を表す形容詞である。例えば、『supple leather(しなやかな革)』のように使う。意味が大きく異なるため、文脈から容易に区別できるはずだが、リスニングの際には注意が必要。また、スペルも 'simple' と 'supple' は視覚的に似ているため、注意が必要。
誤用例
日本語の『簡単』を直訳して『simple』を使ってしまう例です。ビジネスや学術的な文脈では、問題や課題が『簡単』というよりも『明確で理解しやすい』ことを伝えたい場合が多いです。『Simple』は、複雑でないこと、飾り気がないことを指し、必ずしも解決が容易であることを意味しません。より適切なのは『straightforward』で、これは『率直でわかりやすい』という意味合いを持ち、問題解決の容易さを示唆します。日本人は『簡単』という言葉を多用しがちですが、英語では文脈に応じてより適切な語を選ぶ必要があります。
ここでの『simple』は、性格が『単純』という意味で使おうとした可能性があります。しかし、人の性格を『simple』と表現すると、知性や深みに欠けるというニュアンスを含んでしまい、失礼にあたる場合があります。より適切なのは『unassuming』で、これは『控えめで気取らない』という意味を持ち、性格の良さを表現できます。日本人は、相手を褒める際に直接的な表現を避けがちですが、英語では誤解を招かないよう、より適切な語を選ぶことが重要です。また、英語では性格を表す形容詞の種類が豊富であり、ニュアンスの違いを理解しておくことが大切です。
道徳や倫理に関する問題を『単純な善悪の問題』として表現したい場合に、『simple』を使うのは不適切です。この文脈では、問題が複雑でなく、明確に善悪が分かれるという意味を伝えたいと考えられます。より自然な英語表現は『black and white issue』で、これは『白黒はっきりしている問題』という意味のイディオムです。日本人は、物事を曖昧に表現することを好む傾向がありますが、英語では明確な表現が好まれる場合があります。特に、倫理的な問題においては、曖昧さを避けるために、適切なイディオムを使うことが効果的です。
文化的背景
「simple」という言葉は、しばしば純粋さ、率直さ、そして飾り気のなさを象徴しますが、同時に、無知や未熟さ、あるいは洗練されていない状態を指し示すこともあります。この二面性こそが、「simple」という言葉が持つ文化的背景の複雑さを物語っています。
中世の時代、「simple」はしばしば農民や労働者の生活様式を表現するために用いられました。彼らの生活は都市に住む貴族や商人たちと比べて質素であり、日々の糧を得るために単純な労働に従事していました。しかし、当時の社会構造において、単純さは必ずしも否定的な意味合いを持つものではありませんでした。むしろ、自然との調和や共同体への貢献といった価値観と結びつき、ある種の美徳として捉えられることもありました。宗教的な文脈においては、清貧の精神や世俗的な欲望からの解放を意味し、理想的な生き方の一つとして称賛されることもありました。
しかし、時代が進むにつれて、「simple」の持つ意味合いは徐々に変化していきます。産業革命以降、社会が複雑化し、都市生活が中心となるにつれて、単純さは洗練されていない、あるいは時代遅れであるというニュアンスを帯びるようになります。知識や技術の習得が重視される社会においては、単純さは無知や未熟さを意味し、競争において不利な立場に置かれることを示唆するようになりました。文学作品においても、「simple」な人物はしばしば世間知らずで騙されやすい存在として描かれ、物語の中で困難に直面することが多くなります。
現代社会においては、「simple」は再び肯定的な意味合いを取り戻しつつあります。過剰な情報やストレスに満ちた生活から解放され、ミニマリズムやサステナビリティといった価値観が注目される中で、シンプルライフを志向する人々が増えています。しかし、その一方で、「simple」は安易さや思考停止を意味する言葉としても用いられ、複雑な問題に対して単純な解決策を求める姿勢を批判的に表現する際にも使われます。このように、「simple」という言葉は、時代や社会の変化とともにその意味合いを変えながら、私たちの文化的な価値観を反映し続けているのです。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解、ライティング(意見論述)、リスニング(会話・説明文)
- 頻度と級・パート: 準1級・2級で頻出。1級でもまれに出題。リーディング、ライティング、リスニングの各パートで登場。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピック(社会、環境、科学、文化など)で使われる。ライティングでは意見を述べるときに根拠をsimpleに説明するなどの用法。
- 学習者への注意点・アドバイス: 形容詞としての基本的な意味に加え、動詞(simplify)や名詞(simplicity)の形も覚えておく。類似語(easy, plain)とのニュアンスの違いを理解する。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: 頻出。特にPart 5, 6, 7で登場。
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の文書(メール、レポート、広告など)で使われる。「簡単な手続き」「シンプルなデザイン」などの表現で登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から適切な意味を判断することが重要。類似語(easy, straightforward)との違いを理解する。名詞形(simplicity)も覚えておくと役立つ。
- 出題形式: リーディング、ライティング(Independent/Integrated)、スピーキング(Integrated)
- 頻度と級・パート: 頻出。アカデミックな文脈で頻繁に登場。
- 文脈・例題の特徴: 学術的な文章(科学、歴史、社会学など)で使われる。複雑な概念をsimpleに説明する、あるいはある理論のsimplicityを評価するなどの文脈で登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な意味合いで使われることが多いので、文脈を正確に理解することが重要。名詞(simplicity)や動詞(simplify)の形も覚えておく。
- 出題形式: 長文読解、英作文
- 頻度と級・パート: 頻出。難関大学ほど出題頻度が高い傾向がある。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など幅広いジャンルの文章で使われる。複雑な事柄をsimpleに表現する、あるいは登場人物のsimpleな性格を描写するなどの文脈で登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から適切な意味を判断する能力が重要。派生語(simplify, simplicity)も覚えておく。easyなどの類義語との使い分けも意識する。