intricate
第一音節にアクセントがあります。/ɪ/ は日本語の『イ』よりも口を少し開いて発音する短母音です。/r/ は舌を巻く音で、日本語の『ラ』行とは異なります。舌先をどこにもつけずに、口の中で浮かせるように意識しましょう。最後の /ət/ は弱く、曖昧母音の『ア』に近い音です。強く発音しないように注意してください。
込み入った
複雑に入り組んでいて理解や解決が難しい様子。機械の構造、法律、陰謀など、抽象的・具体的なもの両方に使われる。単にcomplexと言うよりも、細部まで作り込まれているニュアンスを含む。
She admired the intricate pattern on the handmade lace.
彼女は手作りのレースの、込み入った模様に見とれていました。
※ この例文は、細かく美しいデザインや模様に対して「intricate」を使う典型的な場面を描いています。手作りのレースの模様が非常に細かく、作りの精巧さに感動している情景が目に浮かびますね。「admire」は「感嘆する、見とれる」という意味で、その美しさや複雑さに心を奪われている様子が伝わります。
The rules of this game are so intricate that I can't understand them.
このゲームのルールはとても込み入っているので、私には理解できません。
※ ここでは、ゲームのルールが「細かすぎて複雑で、理解しにくい」という状況で「intricate」が使われています。新しいゲームを始めたものの、ルールが多すぎて頭が混乱している、という大人の学習者にも共感しやすい場面でしょう。「so ... that ~」は「とても…なので~だ」という、原因と結果を表す便利な表現です。
My son tried to fix the broken toy car, but its inside parts were too intricate.
息子は壊れたおもちゃの車を直そうとしましたが、中の部品がとても込み入っていました。
※ この例文は、機械や装置の内部構造が「複雑で細かく入り組んでいる」様子を表すのに適しています。子供がおもちゃを分解して直そうとするけれど、あまりに部品が細かくて諦めてしまう、という日常的な一場面を想像できますね。「too ...」は「~すぎる」という意味で、ここでは「込み入りすぎて(修理ができない)」というニュアンスが加わっています。
精巧な
非常に細かく、技巧を凝らして作られている様子。芸術作品や装飾品など、美しさや技術が際立つものに対して使われる。
She admired the intricate design on the old clock.
彼女はその古い時計の精巧なデザインに見とれていました。
※ 【情景】アンティークショップで古い時計の文字盤や装飾に、細かくて美しい模様が施されている様子を想像してください。「admired」は「感心して見とれる」という気持ちを表します。 【なぜ典型的か】時計や宝石、伝統工芸品など、細部にまでこだわって作られた美しいものによく使われます。 【ポイント】「design」は「デザイン」だけでなく「「模様」や「設計」という意味でも使われます。「on the old clock」で「古い時計の表面に」と場所を示しています。
I saw an intricate spider web in the garden this morning.
今朝、庭で精巧な蜘蛛の巣を見ました。
※ 【情景】朝日にきらめく庭で、露をまとった蜘蛛の巣が、まるで芸術品のように細かく複雑に編み込まれている光景を思い浮かべてみてください。 【なぜ典型的か】蜘蛛の巣は自然界の「精巧な」ものの代表例です。自然が作り出す複雑な構造や模様によく使われます。 【ポイント】「spider web」で「蜘蛛の巣」。「in the garden this morning」で「今朝、庭で」と、いつどこで見たかが具体的にわかります。
My son made an intricate castle using many small LEGO blocks.
私の息子は、たくさんの小さなレゴブロックを使って精巧な城を作りました。
※ 【情景】床に散らばった無数のレゴブロックの中から、息子さんが集中して、塔や壁、門など、細部まで作り込んだ複雑なお城を完成させている様子を想像してください。 【なぜ典型的か】複雑な構造物や、多数の部品を組み合わせて作られたものに対してよく使われます。技術や手間がかかっていることを示します。 【ポイント】「using ... blocks」で「…を使って」と、道具や材料を示すことができます。「small LEGO blocks」が「intricate」の理由を補強しています。
コロケーション
非常に複雑で精巧なデザイン
※ 「intricate」が最も頻繁に使われるコロケーションの一つです。建築、美術、工芸品など、細部まで凝ったデザインを指します。単に「複雑」なだけでなく、「美しさ」や「技巧」が伴うニュアンスが含まれます。例えば、ゴシック建築の装飾や、複雑な模様の絨毯などに用いられます。形容詞+名詞の典型的な組み合わせです。口語よりも、デザインや芸術に関する議論でよく使われます。
複雑に入り組んだネットワーク
※ 物理的なネットワーク(道路、鉄道など)だけでなく、人間関係や情報網など、抽象的なネットワークにも使えます。組織図やサプライチェーンなど、複雑な構造を持つものを説明する際に便利です。「complex network」も同様の意味ですが、「intricate」はさらに細部まで入り組んでいるニュアンスがあります。ビジネスシーンや技術的な文脈でよく見られます。
細部にわたる複雑な詳細
※ 報告書、契約書、計画書など、細部まで注意深く検討する必要がある場合に用いられます。単に「details」と言うよりも、その詳細が複雑で理解が難しいというニュアンスが含まれます。法律、会計、科学技術など、専門的な分野でよく使用されます。たとえば、「The contract contained intricate details regarding liability.(契約書には責任に関する複雑な詳細が含まれていた)」のように使います。
複雑に入り組んだプロット(物語の筋)
※ 小説、映画、ドラマなどの物語の筋が複雑で、予測が難しい展開であることを指します。登場人物の関係性や伏線が複雑に絡み合っているような場合に用います。「complex plot」も同様の意味ですが、「intricate」はより知的で洗練された印象を与えます。文学評論や映画評論などでよく見られます。
複雑な機構
※ 時計、機械、装置などの内部構造が複雑であることを指します。物理的な構造だけでなく、比喩的に、社会システムや政治システムなどの複雑な仕組みを指すこともあります。例えば、「The intricate mechanism of the economy.(経済の複雑なメカニズム)」のように使います。技術系の分野や、社会科学系の分野でよく用いられます。
複雑な網
※ 蜘蛛の巣のように複雑に入り組んだ状態を指します。比喩的に、人間関係、陰謀、策略などが複雑に絡み合っている状況を表すこともあります。例えば、「He was caught in an intricate web of lies.(彼は複雑な嘘の網に捕らえられた)」のように使います。文学作品やニュース記事などでよく見られます。
精巧な刺繍
※ 非常に細かく、複雑な模様が施された刺繍を指します。手仕事の技術の高さを強調する際に用いられます。「delicate embroidery」も似た意味ですが、「intricate」は模様の複雑さに焦点を当てます。美術、ファッション、工芸などの分野でよく使われます。
使用シーン
学術論文や専門書で、複雑な構造や理論を説明する際に用いられます。例えば、経済学の研究で「市場の相互作用が複雑に絡み合っている」と表現したり、生物学の研究で「細胞内の代謝経路が精巧に制御されている」と記述したりする際に使われます。文語的な表現です。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、プロジェクトの複雑さや製品の高度な機能を説明する際に使われることがあります。例として、プロジェクトマネージャーが「今回のプロジェクトは関係部署が多く、非常に複雑な調整が必要となる」と報告したり、マーケティング担当者が「新製品は非常に複雑な技術を駆使して作られている」と説明したりする場面が考えられます。フォーマルな文脈で使用されます。
日常会話ではあまり使われませんが、趣味や芸術に関する話題で、デザインや構造の複雑さを表現する際に使われることがあります。例えば、美術愛好家が「この彫刻は非常に精巧な作りだ」と評価したり、手芸好きが「この編み物の模様は複雑で美しい」と語ったりする場面が考えられます。どちらかというと、少し知的な印象を与える言葉です。
関連語
類義語
『複雑な』という意味で、構造、システム、問題など、多くの相互に関連する部分から構成され、理解や解決が難しい状況を表す。ビジネス、科学、技術、日常会話など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『intricate』よりも一般的で、複雑さの度合いや詳細さよりも、全体的な複雑さを強調する傾向がある。また、感情的なニュアンスは少ない。 【混同しやすい点】『complex』は名詞としても形容詞としても使われるが、『intricate』は基本的に形容詞としてのみ使われる。名詞として『複合体』を表す場合は『complex』を用いる。
『複雑な』『込み入った』という意味で、理解したり扱ったりするのが難しい状況を表す。問題、状況、手順などに対して用いられ、しばしば解決や実行の困難さを示唆する。日常会話、ビジネス、技術分野などで広く使用される。 【ニュアンスの違い】『intricate』が細部まで入り組んだ複雑さを表すのに対し、『complicated』は問題や状況が様々な要因で複雑化し、混乱を招いているニュアンスを持つ。よりネガティブな意味合いを含むことが多い。 【混同しやすい点】『complicated』は、しばしば感情的な反応(不満、混乱)を伴う複雑さを表すのに対し、『intricate』は単に構造的な複雑さを指すことが多い。例えば、人間関係の複雑さを表す場合は『complicated』が適している。
『手の込んだ』『精巧な』という意味で、細部にまで注意が払われ、技巧が凝らされている様子を表す。装飾、デザイン、計画、説明などに対して用いられる。芸術、建築、文学などの分野でよく使用される。 【ニュアンスの違い】『intricate』と同様に細部へのこだわりを示すが、『elaborate』は美しさや技巧の高さに重点が置かれる。肯定的な意味合いが強く、創造的な努力の結果として複雑さが生じていることを示唆する。 【混同しやすい点】『elaborate』は動詞としても使われ、『詳しく説明する』という意味になる。形容詞として使う場合でも、単に複雑なだけでなく、美的価値や技巧が伴っているニュアンスを含むことを意識する必要がある。
『詳細な』という意味で、細部に至るまで情報が豊富であることを表す。報告書、説明、計画など、情報伝達の場面でよく用いられる。ビジネス、学術、技術分野などで広く使用される。 【ニュアンスの違い】『intricate』が構造的な複雑さを表すのに対し、『detailed』は情報の豊富さ、細かさを強調する。必ずしも複雑である必要はなく、単に情報が多いだけでも『detailed』と表現できる。 【混同しやすい点】『detailed』は、全体像を把握するための情報が揃っていることを意味するが、『intricate』は全体像を把握するのが難しいほど入り組んでいることを意味する。報告書が『detailed』であることは良いことだが、『intricate』であることは必ずしも良いことではない。
『複雑な』『込み入った』という意味で、多くの要素や関係が関与している状態を表す。状況、問題、プロジェクトなどに対して用いられる。日常会話、ビジネス、法律などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『intricate』が構造的な複雑さを指すのに対し、『involved』は関係者の多さや利害関係の複雑さを強調する。問題解決や意思決定が困難であることを示唆する場合が多い。 【混同しやすい点】『involved』はしばしばネガティブな意味合いを持ち、問題や紛争に巻き込まれている状態を表すことがある。例えば、『He is involved in a scandal.(彼はスキャンダルに巻き込まれている)』のように使う。
『洗練された』『高度な』という意味で、複雑さと同時に高度な技術や知識、文化的な洗練さを伴うことを表す。技術、製品、文化、人などに対して用いられる。ビジネス、技術、ファッション、芸術などの分野でよく使用される。 【ニュアンスの違い】『intricate』が単なる複雑さを表すのに対し、『sophisticated』は高度な技術や洗練されたデザインによって生み出された複雑さを表す。肯定的な意味合いが強く、優れた品質や知性を感じさせる。 【混同しやすい点】『sophisticated』は、しばしば高級感や洗練されたイメージを伴う。例えば、『sophisticated technology(高度な技術)』のように使う場合、単に複雑なだけでなく、優れた性能や革新性も意味する。
派生語
- intricacy
名詞で「複雑さ」「込み入ったこと」を意味します。形容詞の『intricate』から派生し、抽象的な概念を表す際に用いられます。学術論文や技術文書で、構造やプロセスの複雑さを議論する際によく見られます。例:『the intricacy of the human brain(人間の脳の複雑さ)』
動詞で「(困難から)抜け出す」「解放する」を意味します。『ex-(外へ)』と『intricate』の語幹が組み合わさり、「複雑な状態から脱する」というイメージです。日常会話よりも、ビジネスや政治の文脈で、問題解決や危機からの脱却を表す際に使われます。例:『extricate oneself from debt(借金から抜け出す)』
- inextricable
形容詞で「解決不能な」「切り離せない」を意味します。『in-(否定)』と『extricate』が組み合わさり、「抜け出すことができない」状態を表します。抽象的な概念や関係性について言及する際に用いられ、学術論文や文学作品でよく見られます。例:『inextricable link between poverty and crime(貧困と犯罪の切り離せない関係)』
反意語
形容詞で「単純な」「簡単な」を意味します。『intricate』が細部まで入り組んだ複雑さを指すのに対し、『simple』は要素が少なく、理解しやすい状態を表します。日常会話から学術的な議論まで幅広く用いられ、特に複雑な問題に対する簡潔な解決策を提示する際に対比的に使われます。例:『a simple solution to a complex problem(複雑な問題に対する単純な解決策)』
形容詞で「明白な」「平易な」を意味します。装飾がなく、飾り気のない様子を表す場合にも使われます。『intricate』が技巧を凝らした複雑さを示すのに対し、『plain』は率直で分かりやすい状態を指します。説明や指示などにおいて、誤解を避けるために意図的に『plain』な表現を選ぶことがあります。例:『plain language(平易な言葉)』
形容詞で「率直な」「単純明快な」を意味します。遠回しな言い方をせず、直接的に意図を伝える様子を表します。『intricate』が複雑で理解しにくい状態を示すのに対し、『straightforward』は迷うことなく理解できる状態を指します。ビジネスコミュニケーションにおいて、効率性と透明性を重視する際に好まれる表現です。例:『a straightforward approach(率直なアプローチ)』
語源
「intricate」は、「込み入った」「複雑な」という意味ですが、その語源はラテン語の「intricare」(当惑させる、混乱させる)に由来します。これはさらに、「in-」(中に)と「tricae」(難題、ごたごた)という要素から構成されています。「tricae」自体の起源は定かではありませんが、「困難な状況」や「複雑さ」を示唆する言葉であったと考えられます。つまり、「intricate」は、文字通りには「ごたごたの中に閉じ込められた」状態を表し、そこから「複雑で理解しにくい」という意味へと発展しました。日本語で例えるなら、「迷路」や「複雑に絡み合った糸」のようなイメージです。何かを解きほぐすのが難しい状況を思い浮かべると、この単語の意味をより深く理解できるでしょう。
暗記法
「intricate」は、単なる複雑さを超え、知性と創造性が織りなす精緻な美を意味します。ルネサンス期の機械式時計やゴシック建築の装飾に宿る、秩序と美が共存する複雑さ。シェイクスピアの戯曲における複雑な人間関係、バロック音楽の技巧、社会構造の緻密さもまた「intricate」です。それは、解き明かす価値のある、深遠な複雑さを指し示す言葉なのです。
混同しやすい単語
『intricate』と『intrinsic』は、どちらも『in-』で始まり、接尾辞が『-ic』で終わるため、スペルと発音が似ていて混同しやすい。しかし、『intricate』は『複雑な』という意味であるのに対し、『intrinsic』は『本質的な』という意味であり、意味が大きく異なる。日本人学習者は、文脈をよく読み、それぞれの単語が持つ固有の意味を意識する必要がある。語源的には、『intricate』はラテン語の『絡み合う』という意味の言葉から来ており、『intrinsic』はラテン語の『内側に向かう』という意味の言葉から来ている。
『intricate』と『introduce』は、どちらも『intro-』で始まるため、特に発音の最初の部分で混同しやすい。また、どちらも動詞として使われることがあるため、文法的な役割も誤解を生む可能性がある。『intricate』は形容詞であり、『複雑にする』という動詞の意味はない。『introduce』は『紹介する』という意味であり、意味も品詞も異なる。日本人学習者は、単語の品詞と意味を正確に把握し、文脈に応じて適切な単語を選ぶ必要がある。
『intricate』と『interpret』は、どちらも接頭辞に『inter-』を含むため、スペルと発音で類似性がある。また、どちらも知的な活動に関連する単語であるため、意味の面でも混同される可能性がある。『intricate』は『複雑な』という意味であり、『interpret』は『解釈する』という意味である。日本人学習者は、単語の核となる意味を理解し、文脈に応じて適切な単語を選ぶ必要がある。語源的には、『interpret』はラテン語の『仲介する』という意味の言葉から来ている。
『intricate』と『implicate』は、どちらも接頭辞に『in-』を含み、語尾が『-ate』で終わるため、スペルと発音で類似性がある。また、どちらも何かが複雑に関係していることを示唆する単語であるため、意味の面でも混同される可能性がある。『intricate』は『複雑な』という意味であり、『implicate』は『巻き込む』という意味である。日本人学習者は、単語が持つ具体的な意味の違いを理解し、文脈に応じて適切な単語を選ぶ必要がある。
『intricate』と『implicit』は、どちらも接頭辞に『im-』または『in-』を含み、語尾が似ているため、スペルと発音で類似性がある。『implicit』は『暗黙の』という意味で、意味も異なるため、文脈で判断する必要がある。また、発音も『intricate』が3音節なのに対し、『implicit』は2音節である点に注意する必要がある。日本人学習者は、発音記号を確認し、音節数にも注意して発音練習をすることが重要である。
『intricate』と『extricate』は、語尾が同じ『-icate』で終わるため、スペルが似ており、発音も一部共通している。しかし、『intricate』は『複雑な』という意味であるのに対し、『extricate』は『脱出させる』という意味であり、意味が正反対である。日本人学習者は、接頭辞『ex-』が『外へ』という意味を持つことを理解すると、『extricate』の意味を覚えやすくなる。語源的には、『extricate』はラテン語の『もつれから解放する』という意味の言葉から来ている。
誤用例
日本語の『入り組んだ』という言葉から『intricate』を選んだのかもしれませんが、この単語は美しさや技巧が伴う複雑さに対して使われることが多いです。契約書の詳細など、単に複雑であることを伝えたい場合は『complex』がより適切です。日本人が『複雑』という言葉をネガティブな意味合いで捉えがちなのに対し、英語では中立的な意味合いで広く使われる点も考慮しましょう。
『intricate』は、手の込んだ工芸品やデザインなど、視覚的に美しいものに対して使われることが多い単語です。サプライズの計画のように、規模が大きく複雑な計画を指す場合は『elaborate』がより適切です。日本人は『計画』を『緻密に練る』というイメージで捉えがちですが、英語では計画の規模や複雑さを表現する単語を選ぶことが重要です。日本語の『緻密』という言葉にとらわれず、英語の語感に合わせた単語選びを心がけましょう。
政治情勢の複雑さを表現する際に『intricate』を使うと、どこか客観的で冷静な印象を与えます。より深刻な状況を表したい場合は、『delicate』を用いるのが適切です。日本語の『複雑』は、良い意味でも悪い意味でも使えますが、英語では単語によってニュアンスが大きく異なります。政治や外交など、繊細な状況を扱う場合は、慎重に単語を選ぶ必要があります。また、日本人は政治的な話題を直接的に表現することを避けがちですが、英語では率直な表現が好まれる傾向があります。
文化的背景
「intricate」は、単に複雑であるだけでなく、人間の知性と創造性が凝縮された、精緻で美しい複雑さを表す言葉です。それは、時計の内部機構や、ゴシック建築の装飾に見られる、秩序と美が共存する複雑さを指し示します。
「intricate」という言葉は、ルネサンス期以降のヨーロッパで、科学技術の発展と芸術の隆盛が交わる中で、その重要性を増しました。複雑な機械仕掛けの時計や、精緻な装飾が施された調度品は、当時の富と権力の象徴であり、同時に、人間の知的好奇心と技術力の高さを誇示するものでした。例えば、16世紀に作られた自動人形は、その複雑な機構と美しい装飾によって、人々を魅了し、「intricate」という言葉が持つ、驚きと賞賛のニュアンスを広めました。また、バロック時代の音楽における複雑な装飾音や、ルネサンス美術における緻密な描写も、「intricate」という言葉が芸術の世界でどのように価値を見出されてきたかを示しています。
文学の世界でも、「intricate」は、物語の複雑な構成や、登場人物の心理描写の深さを表現するために用いられてきました。例えば、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲は、複雑に絡み合った人間関係や、運命の綾を描き出すことで、「intricate」な物語世界を構築しています。また、ジェーン・オースティンの小説は、当時の社会構造や人間関係を緻密に描き出すことで、「intricate」な社会の縮図を提示しています。これらの作品を通して、「intricate」は、単なる複雑さではなく、深みと奥行きのある複雑さを意味する言葉として、文学の世界に定着しました。
現代においても、「intricate」は、高度な技術や複雑なシステムを表現するために用いられています。例えば、ソフトウェアのコードや、金融市場の仕組みは、「intricate」な構造を持つものとして捉えられています。また、人間の脳の神経回路や、生態系の複雑な相互作用も、「intricate」という言葉で表現されることがあります。このように、「intricate」は、時代を超えて、人間の知的好奇心を刺激し、複雑な世界の理解を深めるための重要な概念として、その役割を果たし続けています。この言葉は、単に難しいだけでなく、理解し、解き明かす価値のある複雑さを示唆しているのです。
試験傾向
準1級・1級の語彙問題で出題される可能性があります。長文読解でも、複雑な構造を説明する際に使われることがあります。
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解
2. 頻度と級・パート: 準1級〜1級
3. 文脈・例題の特徴: 説明文、論説文などで複雑な構造や関係性を示す際に使用
4. 学習者への注意点・アドバイス: 'complex'や'complicated'との類義語として覚えておくと良いでしょう。語源(絡み合っている)を意識すると理解しやすいです。
TOEICでは、技術的な説明や契約書などで使われる可能性がありますが、英検ほど頻度は高くありません。
1. 出題形式: 長文読解(Part 7)
2. 頻度と級・パート: あまり高くない
3. 文脈・例題の特徴: 契約書、技術文書、製品仕様書など
4. 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンでは、'detailed'や'sophisticated'といった類義語の方が一般的かもしれません。
TOEFL iBTのリーディングセクションで頻出。複雑な概念や理論を説明するアカデミックな文脈でよく見られます。
1. 出題形式: リーディング(長文読解)
2. 頻度と級・パート: 高頻度
3. 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会科学などのアカデミックな文章
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要です。同義語や言い換え表現を意識しましょう。
難関大学の長文読解で出題される可能性があります。文脈理解を問う問題で、内容を深く理解する必要があるでしょう。
1. 出題形式: 長文読解
2. 頻度と級・パート: 難関大学でやや高め
3. 文脈・例題の特徴: 論説文、評論文などで抽象的な概念を説明する際に使用
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習に加え、パラグラフ全体の主旨を把握する能力が求められます。