see
母音 /iː/ は日本語の『イ』よりも、口を左右に少し引き伸ばして発音する長母音です。日本語の『イ』の音よりも、口角を意識して横に広げるようにすると、より英語らしい発音になります。また、日本語の『シー』のように母音を短く切らず、少し長めに伸ばすことを意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
目で捉える
視覚を通して何かを認識する、最も基本的な意味。意識的な行為だけでなく、自然と目に入る場合も含む。例文:I see a bird.(鳥が見える)
I saw a big, colorful rainbow after the rain stopped.
雨が止んだ後、大きくてカラフルな虹が見えました。
※ 雨上がりの空に、ふと目をやると美しい虹が目に飛び込んでくる、感動的な瞬間を描写しています。「see」は、意図せず自然に「目に入る」感覚を表すときに使います。この文では、空を見上げたら虹が「見えた」という、自然な視覚体験を表しています。
She excitedly saw her favorite singer on the stage from afar.
彼女は遠くから、ステージ上の大好きな歌手を興奮しながら見ました。
※ コンサート会場で、人混みの中から、遠くにいる憧れの歌手がステージで見えた瞬間の、興奮と喜びが伝わる場面です。「see」は、何かを「認識する」「視認する」という意味でも使われます。ここでは、遠く離れた場所からでも、お気に入りの歌手がはっきりと見えた、という状況を表しています。
My little brother was surprised when he saw a tiny frog jumping in the garden.
私の弟は、庭で小さなカエルが跳ねているのを見て驚きました。
※ 庭で遊んでいる幼い弟が、地面に目をやると、突然小さなカエルがぴょんぴょん跳ねているのが目に入り、驚く無邪気な様子が目に浮かびます。この文では、何かを「発見する」ように「見る」というニュアンスがあります。思いがけず目に入ってきたものに対して「see」を使います。過去形「saw」は、その出来事が一度きりのことだったことを示します。
理解する
目に見えるものだけでなく、抽象的な概念や状況を把握する意味。例文:I see what you mean.(あなたの言いたいことが分かります)"I see."だけで相槌としても使える。
My friend explained her problem, and I finally saw her point.
友達が自分の問題を説明してくれて、ようやく彼女の言いたいことが分かった。
※ 友達が困っている状況を詳しく話してくれた後、「ああ、そういうことだったのか!」と相手の言いたいこと(point)が理解できた場面です。「I see.」は「なるほど、分かりました」という日常会話で最もよく使われる相槌です。これは、この例文のように「相手の意見や考えを理解する」という「see」の基本的な使い方から来ています。
He always helped everyone quietly, and then I saw his true kindness.
彼はいつも静かにみんなを助けていて、それで彼の本当の優しさが分かった。
※ ある人の行動をしばらく見ていて、その裏にある本当の気持ちや性格(true kindness)に気づいた場面です。単に「見た」だけでなく、その行動から「なるほど、この人は本当に優しい人なんだな」と心で理解するニュアンスです。人の性格や本質を理解する時によく使われます。
The puzzle was hard, but after a while, I started to see how it worked.
そのパズルは難しかったけれど、しばらくして、どういう仕組みなのか分かり始めた。
※ 最初は手詰まりだった難しいパズルを前に頭を悩ませていた人が、試行錯誤の末に「ああ、こういう仕組みになっているのか!」と閃き、理解し始める場面です。「how it worked」で「それがどう機能するのか、どういう仕組みなのか」を理解する、という意味になります。「start to see」で「徐々に理解し始める」という過程を表しています。
会う
人に面会する、または定期的に顔を合わせる意味。例文:I'll see you tomorrow.(また明日ね)ビジネスシーンでもプライベートでも使える。
We had a great time today! Let's see each other again soon.
今日は楽しかったね!また近いうちに会おうね。
※ 週末に友達と楽しく過ごした後、別れ際に「またすぐに会おうね!」と笑顔で約束する場面です。友達や家族など、親しい人との再会を約束する際によく使われる、とても自然な表現です。未来の予定について話すときにも「I'll see you tomorrow.(明日会おうね)」のように使われます。
The manager wants to see you about the new project.
部長が新しいプロジェクトについてあなたに会いたがっています。
※ 会社で、少し緊張した面持ちの社員が、上司の秘書から「部長がお呼びです」と伝えられるような場面です。ビジネスシーンやフォーマルな場で、特定の目的のために誰かに「面会する」「面談する」という意味で使われます。
You look pale. You should see a doctor soon.
顔色が悪いよ。すぐに医者に行った方がいいよ。
※ 友人が咳き込んでいるのを見て、心配そうに「医者に行った方がいいよ」とアドバイスする場面です。医者や弁護士、美容師など、専門的なサービスを受けるために「会う(診てもらう、相談する)」場合によく使われます。体調が悪い時や困った時に役立つ表現です。
コロケーション
意見が一致する、同意する
※ 文字通りには『目と目を合わせる』ですが、比喩的に『同じ視点を持つ』、つまり『意見や考え方が一致する』という意味になります。相手と友好的な関係を築きたい時や、合意形成を強調したい時に使われます。ビジネスシーンでも、カジュアルな会話でも使用可能です。類似表現として 'be on the same page' がありますが、こちらはより状況や情報に対する理解が一致していることを指します。
人を見送る
※ 空港や駅などで、出発する人を見送る行為を指します。単に『見送る』だけでなく、『旅の安全を祈る』、『別れを惜しむ』といった感情が含まれることが多いです。'Send someone off' も同様の意味ですが、'see someone off' の方が一般的です。また、'wave someone off' は、特に手を振って見送る場合に用いられます。
道理を理解する、分別がつく
※ 『理性を見る』という直訳から、比喩的に『論理や理屈を理解し、受け入れる』という意味になります。相手を説得する際に、『お願いだから、少しは道理をわかってくれ』というニュアンスで使われます。'Come to reason' も同様の意味ですが、こちらは『最終的に道理を受け入れる』という結果に焦点が当たっています。
真実を悟る、理解する
※ 暗闇から光を見るイメージで、『今まで気づかなかった真実や重要なことに気づく』という意味です。宗教的な文脈や、長年の誤解が解けた時に使われることが多いです。類似表現として 'have an epiphany' がありますが、こちらはより突然の、劇的な悟りを指します。また、'see the error of one's ways' は、自分の過ちに気づいて改心することを意味します。
〜するのが適切だと考える、〜するのが良いと思う
※ 『適切だと判断する』という意味で、しばしば 'see fit to do something' の形で使われます。ややフォーマルな表現で、個人的な判断や決定を述べる際に用いられます。たとえば、上司が部下に対して 'I didn't see fit to tell you everything' (全てをあなたに伝えるのが適切だとは思わなかった)のように使います。類似表現として 'deem appropriate' がありますが、こちらはより客観的な判断を指します。
激怒する、カッとなる
※ 怒りで顔が赤くなる様子を表す比喩表現です。非常に強い怒りや憤りを感じ、冷静さを失っている状態を指します。'Fly into a rage' も同様の意味ですが、こちらはより行動を伴う怒りを表します。'Hit the roof' や 'go ballistic' も怒りを表す口語表現ですが、こちらはさらに激しい怒りを表します。
人や物事の本質を見抜く
※ 表面的なものに惑わされず、裏にある真実や意図を見抜くことを意味します。特に、人の嘘やごまかしを見破る際に使われます。'See through someone's lies' (嘘を見抜く)のように使われます。関連表現として、'read between the lines' がありますが、こちらは言葉の裏に隠された意味を読み取ることを指します。
使用シーン
学術論文や教科書で頻繁に使用されます。「目で捉える」という意味よりも、「理解する」という意味で使われることが多いです。例えば、研究結果を説明する際に「このデータから〜ということが見て取れる(わかる)」のように表現したり、先行研究を引用する際に「Smith (2023) は〜という見解を示している(述べている)」のように使われます。文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、会議、報告書、メールなど様々な場面で使用されます。「会う」という意味で、顧客や同僚との面会を予定する際に「来週お会いできますでしょうか」のように使ったり、プロジェクトの進捗を報告する際に「進捗状況を確認しました」のように使ったりします。フォーマルな場面では「拝見しました」のような丁寧な表現が好まれます。
日常会話で非常に頻繁に使用されます。「目で捉える」という意味で「何か見える?」のように使ったり、「理解する」という意味で「なるほどね、わかった」のように使ったり、「会う」という意味で「また明日ね」のように使ったりします。非常にカジュアルな表現であり、様々な場面で活用できます。
関連語
類義語
『注意深く見る』という意味合いが強く、動いているものや変化するものを見る際に用いられる。スポーツ観戦、映画鑑賞、子供を見守るなど、対象に意識を集中させる場面で使われる。日常会話で頻繁に使用される。 【ニュアンスの違い】『see』が単に視覚で捉えることを意味するのに対し、『watch』はより能動的に、注意を払って見ることを意味する。対象の動きや変化に注目するニュアンスが含まれる。 【混同しやすい点】『see』は自動詞としても他動詞としても使えるが、『watch』は基本的に他動詞として使われる。また、『watch TV』のように特定の対象と結びつきやすいコロケーションがある。
- look (at)
特定の方向や対象に視線を向ける行為を指す。意識的に視線を向けるという意味合いが強い。短い時間、特定の場所や物を注視する際に使われる。日常会話で頻繁に使用される。 【ニュアンスの違い】『see』が結果として視界に入ることを意味するのに対し、『look (at)』は意図的に視線を向ける行為を強調する。『look at』の後に目的語が必要。 【混同しやすい点】『look』は自動詞として使われることが多いが、『look at』の形で他動詞として使われる。『see』は結果として見えることを表すのに対し、『look at』は意識的な行為を表すため、使い分けが必要。
注意深く観察し、詳細を把握しようとする意味合いが強い。科学的な観察、行動観察、状況観察など、客観的かつ詳細な観察が必要な場面で使われる。学術的な文脈やフォーマルな場面でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『see』が一般的な視覚による認識を意味するのに対し、『observe』はより意識的で詳細な観察を意味する。客観性や分析的な視点が含まれる。 【混同しやすい点】『observe』は他動詞であり、観察対象が必要。また、日常会話よりもフォーマルな場面や学術的な文脈で使われることが多い。観察対象の細部や変化に注意を払うニュアンスが含まれる。
何かを眺める、景色や美術品などを鑑賞する意味合いが強い。特定の場所から景色を眺めたり、美術品を鑑賞したりする際に使われる。観光や芸術に関連する文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『see』が単に視覚で捉えることを意味するのに対し、『view』は美しい景色や価値のあるものを鑑賞するニュアンスを含む。美的感覚や評価の視点が含まれる。 【混同しやすい点】『view』は名詞としても動詞としても使われる。動詞として使う場合は他動詞であり、眺める対象が必要。また、景色や美術品など、特定の対象を鑑賞する際に使われることが多い。
何か(通常は予期しないもの)に気づく、認識するという意味合いが強い。注意を払っていなかったものにふと気づく際に使われる。日常会話で頻繁に使用される。 【ニュアンスの違い】『see』が単に視覚で捉えることを意味するのに対し、『notice』は意識していなかったものに気づくというニュアンスを含む。発見や認識の視点が含まれる。 【混同しやすい点】『notice』は他動詞であり、気づく対象が必要。また、『see』と異なり、意識的な行為ではなく、無意識のうちに気づくというニュアンスが強い。例えば、「I noticed a strange man.」のように使う。
事件や事故などを目撃する、証人となるという意味合いが強い。犯罪、事故、重要な出来事を目撃した際に使われる。法的な文脈や報道などでよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『see』が単に視覚で捉えることを意味するのに対し、『witness』は重要な出来事や事件を目撃し、証言する立場にあることを意味する。責任や証拠提供のニュアンスが含まれる。 【混同しやすい点】『witness』は他動詞であり、目撃する対象が必要。また、日常会話よりもフォーマルな場面や法的な文脈で使われることが多い。目撃した内容を証言する義務が生じる場合もある。
派生語
『見ること』『視力』『光景』といった意味を持つ名詞。動詞『see』から派生し、見る行為そのもの、または見た結果としての光景を指す。日常会話から、例えば『sightseeing(観光)』のように複合語としても頻繁に使われる。また、『a sight for sore eyes(目の保養)』のような慣用句も存在する。
『〜のように見える』『〜のように思われる』という意味の動詞。『see』が内面的、主観的な印象を表すように変化した語。客観的な視覚情報だけでなく、状況証拠や推測に基づいた判断を示す際に用いられる。日常会話で頻繁に使われ、ビジネスシーンでも『It seems that...(〜のようです)』のように婉曲的な表現として活用される。
接頭辞『fore-(前に)』と『see』が組み合わさった動詞で、『予見する』『予測する』という意味を持つ。未来を『前もって見る』というイメージ。ビジネス文書やニュース記事で、将来の動向やリスクについて言及する際に用いられる。日常会話よりはややフォーマルな場面で使われる。
反意語
『無視する』という意味の動詞。『see』が見ることで対象を認識するのに対し、『ignore』は意図的に注意を払わないことを意味する。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われ、例えば『ignore a warning(警告を無視する)』のように、具体的な行動を伴うことが多い。
『見落とす』『見過ごす』という意味の動詞。接頭辞『over-(〜の上に)』が加わることで、『見る』という行為が不完全になることを示す。『see』が注意深く観察するのに対し、『overlook』は注意不足や不注意によって見逃してしまう状況を表す。ミスや欠点を見過ごす文脈で使われることが多い。
『盲目』という意味の名詞。『see』が視覚を持つ状態を指すのに対し、『blindness』は視覚を失った状態を表す。物理的な盲目だけでなく、比喩的に『偏見』や『無知』を表すこともある。医学論文や社会問題に関する議論で用いられる他、『blind faith(盲信)』のように抽象的な概念を示す際にも使われる。
語源
"see」の語源は、インド・ヨーロッパ祖語の根 *sekʷ-(目で見る、知覚する)に遡ります。この語根は、「目」そのものを意味する単語や、「言う」「話す」といった意味の単語にも派生しており、「見る」ことが「知る」「理解する」ことと密接に結びついていたことを示唆しています。古英語では「seon」という形で存在し、現代英語の「see」へと変化しました。日本語で例えるなら、「目にする」という行為が、単に視覚的な情報を得るだけでなく、「事態を把握する」「理解する」といった意味合いを含むのと似ています。「I see.」が「なるほど」という意味になるのも、この語源的な背景から自然な流れと言えるでしょう。このように、「see」は、単なる視覚行為を超え、認識や理解といった知的活動を表す言葉として、その意味を広げてきたのです。
暗記法
「see」は単なる視覚を超え、深い意味を持つ。古代ギリシャ悲劇では、真実を「見る」ことの欠如が悲劇を生み、盲目の預言者が真実を「見て」いた。中世キリスト教美術では「見る」ことが信仰を深める一方、誘惑の入り口でもあった。現代では「全体像を見る」「理解する」のように、洞察力や共感を表す言葉として使われる。「see」は文化に深く根付き、単なる知覚を超えた多層的な意味を持つ。
混同しやすい単語
発音が全く同じ(同音異義語)であり、スペルも非常に似ているため、文脈を注意深く読まないと意味を取り違える可能性があります。『sea』は『海』という意味の名詞です。英文を読む際は、文脈から判断することが重要です。発音は同じでも、意味が異なる単語があることを意識しましょう。
発音が似ており、スペルも 'ee' と 'ee' の違いだけなので混同しやすいです。『seem』は『〜のように見える』という意味の動詞です。文法的な役割が異なるため、文中で動詞として使われているか、名詞として使われているかを見分けることが大切です。
発音が似ており、スペルも構成要素が共通しているため、特にリスニングで混同しやすいです。『scene』は『場面』や『光景』という意味の名詞です。視覚的な状況を表す名詞であることを覚えておくと、文脈から判断しやすくなります。
'see'と'seed'は母音の長さが異なりますが、日本人には区別が難しい場合があります。'seed'は『種』という意味の名詞で、植物の成長を連想させる語です。発音記号を確認し、母音の長さを意識して発音練習をすると効果的です。
発音が似ており、特に発音練習が不足していると混同しやすいです。『she』は『彼女』という意味の人称代名詞です。文法的な役割が大きく異なるため、主語として使われているか、目的語として使われているかを見分けることが重要です。また、文章の主語が誰であるかを明確に理解することで、混乱を避けることができます。
発音が少し似ていますが、母音の音が異なります。日本人は/i:/と/ɪ/の区別が苦手なため、混同しやすい可能性があります。『sick』は『病気の』という意味の形容詞です。体調を表す文脈で使われることが多いので、文脈から判断しましょう。
誤用例
日本語の『映画を見た』を直訳的に『see a movie』としてしまう誤用です。英語では映画館で鑑賞する場合は『watch』が適切です。『see』は、例えば街中で偶然有名人を見かけた場合など、意図せず視界に入ったものを見る際に使われます。映画鑑賞のように、意識的に時間と場所を定めて見る場合には『watch』を使うのが自然です。これは、日本語の『見る』という言葉が持つ広い意味を、英語の『see』と『watch』がより細かく区別しているために起こる誤りです。日本語の『見る』は、能動的な行為も受動的な行為も含むのに対し、英語は行為の性質によって語彙を使い分ける傾向があります。
『see』は『理解する』という意味も持ちますが、フォーマルな場面やビジネスシーンでは『understand』を使う方が適切です。『see』は、相手の言っていることを『(頭の中で)映像として捉えた』というニュアンスがあり、カジュアルな会話でよく使われます。一方、『understand』は、より深く、論理的に理解していることを示唆します。日本人がビジネスシーンで丁寧さを意識するあまり、つい『see』を使ってしまうことがありますが、これは語感の不一致による誤用です。教養ある大人の会話では、相手への敬意を示すためにも、状況に応じた適切な語彙を選ぶことが重要です。
『see』を『会う』という意味で使う場合、恋愛関係にある相手に会うニュアンスが強く、医者に会うという文脈では不自然です。この場合、『visit』を使うのが適切です。日本人が『会う』という言葉を幅広く使うため、『see』を安易に用いてしまうことがありますが、英語では人間関係の種類によって動詞を使い分ける必要があります。特に、ビジネスやフォーマルな場面では、誤解を避けるためにも、より正確な表現を選ぶように心がけましょう。文化的な背景として、英語圏では人間関係をより明確に区別する傾向があり、それが語彙の選択にも反映されています。
文化的背景
「see」という言葉は、単に視覚的な知覚を表すだけでなく、理解、洞察、そして時には運命や神の意志を「見抜く」という意味合いを帯びてきました。古代から現代に至るまで、「見る」ことは知識を得るための最も基本的な行為であり、同時に、目に見えないものを感じ取る、深い精神的な経験と結びついてきたのです。
古代ギリシャの悲劇では、「見る」能力の欠如が悲劇の核心となることがありました。例えば、オイディプス王は真実を「見る」ことができず、自らの運命に翻弄されます。盲目の予言者テイレシアスは、肉眼では見えない真実を「見て」おり、皮肉にも、視力を持つ者よりも深い洞察力を持つ存在として描かれます。このように、「見ること」は単なる物理的な行為を超え、真実を理解し、運命を認識する能力を象徴するようになったのです。
中世のキリスト教美術では、「seeing is believing(百聞は一見に如かず)」という考え方が強調されました。聖書の場面を描いた絵画は、文字を読めない人々にも教義を伝える重要な手段であり、視覚的なイメージを通して信仰を深める役割を果たしました。しかし、同時に、「見ること」は誘惑の入り口でもありました。アダムとイブが禁断の果実を「見て」しまったことが、原罪の始まりとされたように、視覚的な欲望は人間の堕落と結びつけられることもありました。
現代社会においては、「see」はより広範な意味を持つようになりました。ビジネスの世界では、「see the big picture(全体像を見る)」という表現がよく使われます。これは、単に目の前の状況を把握するだけでなく、長期的な視点や戦略的な思考を持つことを意味します。また、「I see your point(あなたの言いたいことは分かります)」というフレーズは、相手の意見を理解し、共感を示す際に用いられます。このように、「see」は、単なる視覚的な知覚を超え、理解、共感、そして洞察力を表す、多層的な意味を持つ言葉として、私たちの文化に深く根付いているのです。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解、リスニング
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で比較的頻出。3級以上で読解・リスニングにも登場
- 文脈・例題の特徴: 日常会話、物語、説明文など幅広い文脈で出現。派生語(seeing, seen)の形での出題も多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な単語だが、多義語であるため文脈に応じた意味を把握する必要がある。「理解する」「会う」など、複数の意味を区別できるように。look, watchとの違いも理解しておくと良い。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 5,7で頻出。特にビジネスシーンを想定した文脈で登場する。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスレター、Eメール、広告などで使われる。「確認する」「目撃する」などの意味で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンでの使われ方を意識する。類義語(notice, observe)との使い分けを理解する。文脈から意味を推測する練習が重要。
- 出題形式: リーディング、リスニング
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。特に科学、歴史、社会科学などの分野で登場する。
- 文脈・例題の特徴: 学術論文、講義、ディスカッションなどで使われる。「理解する」「見なす」などの意味で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈での使われ方を意識する。抽象的な概念を理解する際に使われることが多い。類義語(perceive, comprehend)との違いを理解する。
- 出題形式: 長文読解、英作文
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。標準的な単語として扱われるが、文脈理解が重要。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語、エッセイなど幅広い文脈で出現。比喩的な意味合いで使われることも多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な単語だが、文脈によって意味が大きく変わるため、文脈全体を理解することが重要。比喩表現やイディオム表現での使われ方にも注意。