rob
母音 /ɑ/ は日本語の「ア」よりも口を大きく開け、喉の奥から出すイメージです。「ア」と「オ」の中間のような音を意識しましょう。語尾の /b/ は、唇を閉じて息を止める破裂音です。日本語の「ブ」のように母音を伴わないように注意してください。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
奪い取る
暴力や脅迫を用いて、人や場所から金品や貴重品を不正に奪う行為。対象が人か場所かで、前置詞from/ofを使い分ける。rob a person of money / rob a bank
Thieves robbed the bank last night, taking all the money.
昨夜、泥棒たちがその銀行を襲い、すべてのお金を奪いました。
※ 「夜中に泥棒たちが銀行に押し入り、金庫のお金を根こそぎ持っていく」という、ニュースなどでよく聞くような場面です。「rob」は、このように「場所(銀行など)を襲って金品を奪う」という文脈で非常によく使われます。この文のように「rob + 場所」の形で、「その場所から金品を奪う」という意味になります。
A man tried to rob me of my wallet on the street.
路上で男が私の財布を奪おうとしました。
※ 「帰り道、暗い路地で突然男に襲われ、財布を奪われそうになる」という、身の危険を感じる場面です。幸い未遂で済みましたが、ひやっとした気持ちが伝わります。「rob」は「人から物を奪う」ときにも使われます。「rob + 人 + of + 物」の形で、「人から物を奪う」という意味になります。ここでは「tried to rob」で「奪おうとした」という未遂の状況を表しています。
Burglars robbed our house and stole our precious jewelry.
空き巣犯が私たちの家に入り、大切な宝石を盗んでいきました。
※ 「旅行から帰ってきたら、家が荒らされていて、大切にしていた宝石がなくなっていた」という、悲しい被害の場面です。「rob」は「家や店など建物に侵入して金品を奪う」という意味でも使われます。この文では「robbed our house」(私たちの家を襲った)と「stole our precious jewelry」(私たちの大切な宝石を盗んだ)という2つの動詞を使って、被害の状況を具体的に描写しています。
出し抜く
本来享受できるはずのものを、不正な手段やずる賢いやり方で奪うこと。機会や楽しみなどを奪うニュアンス。
The opposing team used a clever strategy to rob us of the win in the final seconds.
相手チームは巧妙な戦略を使い、最後の数秒で私たちから勝利を出し抜いた。
※ スポーツの試合の終盤、味方チームが勝利を確信していたのに、相手チームの予想外の作戦によって、ずる賢く勝利を奪われてしまう場面です。選手や応援する人たちの「まさか!」という悔しい気持ちが伝わってきます。このように、`rob A of B` の形で「AからBを奪う」という意味になり、特に相手が巧妙な手を使って、不意打ちのように何かを奪い取る(出し抜く)状況で使われます。
The manager's decision to promote him seemed to rob me of my fair chance.
部長が彼を昇進させた決定は、私から公平なチャンスを出し抜いたように思えた。
※ これは、職場で昇進のチャンスを狙っていた人が、不当な形でその機会を失ったと感じている場面です。自分には公平な機会が与えられるべきだったのに、それが横取りされた、つまり「出し抜かれた」と感じる、不満や落胆の気持ちが込められています。`rob A of B` は、このように期待していた権利や機会が奪われる状況でも使われます。
He quickly bought the shares, effectively robbing his competitor of the opportunity.
彼は素早く株を買い、実質的に競争相手からその機会を出し抜いた。
※ ビジネスの駆け引きの場面です。ある人が、別の競争相手が狙っていた株を、素早い行動で先に手に入れ、相手がその機会を得られないようにした様子を描いています。まさに「出し抜く」という言葉がぴったりで、相手の裏をかいて先手を打ち、利益やチャンスを奪い取る典型的な状況で使われます。`effectively robbing` は「実質的に出し抜くことによって」というニュアンスです。
コロケーション
人から何かを奪う、剥奪する
※ この構文は非常に一般的で、物理的な物を奪うだけでなく、抽象的なもの(希望、機会、自由など)を奪う場合にも使われます。文法的には 'rob [人] of [物]' という形を取り、'of' は分離や喪失を表します。例えば、'The accident robbed him of his ability to walk.'(その事故は彼の歩く能力を奪った)のように使われます。この表現は、単に盗むだけでなく、その結果として生じる喪失感や影響を強調するニュアンスがあります。
銀行強盗をする
※ これは非常に直接的な表現で、銀行をターゲットにした強盗行為を指します。'rob' の後に場所(この場合は 'a bank')が続くことで、強盗の対象が明確になります。映画やニュースなどで頻繁に使われるため、日本人学習者にも馴染み深い表現ですが、実際に使う場面は限られます。'He robbed a bank to pay off his gambling debts.'(彼はギャンブルの借金を返すために銀行強盗をした)のように使われます。
一時しのぎのために、あるところから借りて別のところへ返す
※ これはイディオムで、ある問題を解決するために別の問題を作り出す、または一時的な解決策のために将来的にさらに大きな問題を引き起こすことを意味します。'Peter' と 'Paul' はそれぞれ人名であり、一般的にはある集団から奪って別の集団に与えるといったニュアンスで使用されます。例えば、予算配分の問題などで、ある部門の資金を削って別の部門に回すような状況を指します。この表現は、根本的な解決策ではなく、一時的な対処に過ぎないことを批判的に示唆します。由来は諸説ありますが、聖書に登場する人物に関連付けられることが多いです。
人を徹底的に騙して搾り取る
※ これは比喩的な表現で、文字通りに視力を奪うのではなく、人を徹底的に騙して財産や貴重なものを奪うことを意味します。'blind' はここでは「無知な」「気づかない」といった意味合いを持ち、騙される側が何も気づかずに搾取される様子を表します。例えば、悪徳業者が高齢者を騙して財産を奪うような状況を指します。'That company is robbing its customers blind with hidden fees.'(あの会社は隠れた手数料で顧客を徹底的に搾り取っている)のように使われます。この表現は、不正行為や搾取の程度を強調する際に用いられます。
法外な値段、ぼったくり
※ 文字通りには「ハイウェイ(幹線道路)での強盗」を意味しますが、比喩的には「法外な値段」や「ぼったくり」を指すイディオムです。交通量の多い場所で旅行者を狙った強盗が多かったことに由来すると言われています。例えば、観光地で売られているお土産が高すぎる場合や、修理サービス料金が異常に高い場合に 'That's highway robbery!'(ぼったくりだ!)のように使われます。この表現は、不当な価格設定に対する強い不満や怒りを表す際に用いられます。口語的な表現です。
墓荒らしをする
※ これは文字通りの意味で、墓を荒らして埋葬品を盗む行為を指します。多くの場合、犯罪小説やホラー映画などで使われる表現で、現実世界での使用頻度は高くありません。文化的な背景として、墓荒らしは古代からタブー視されており、宗教的な意味合いも含まれます。'The legend tells of grave robbers who sought ancient treasures.'(その伝説は、古代の宝物を求めた墓荒らしについて語っている)のように使われます。この表現は、倫理的に非常に問題のある行為を指すため、慎重な使用が求められます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、比喩的な意味で使われることがあります。例えば、「この政策は将来世代から機会をrob(奪う)ことになる」のように、資源や機会の不均衡な分配を批判する文脈で用いられます。フォーマルな文体で、社会科学や経済学の分野で比較的よく見られます。
ビジネスシーンでは、直接的な意味よりも、比喩的な表現で使われることがあります。例えば、競合他社が市場シェアを「rob(奪う)」といった表現や、詐欺的な行為によって会社が「rob(奪われる)」といった状況を説明する際に用いられます。契約書などのフォーマルな文書よりも、プレゼンテーションや会議での口頭説明で使われる傾向があります。
日常会話では、ニュースや犯罪に関する話題で使われることがあります。例えば、「銀行がrob(襲われた)」や「誰かが財布をrob(盗んだ)」といった事件を伝える際に用いられます。また、比喩的に「睡眠時間をrob(奪う)」のように、何かによって時間やエネルギーを奪われる状況を表現することもあります。口語的な表現ですが、やや深刻なニュアンスを含むため、軽い会話ではあまり使いません。
関連語
類義語
『盗む』という意味で、一般的に何かをこっそり、または人目を避けて盗む行為を指します。日常会話で最も頻繁に使われる語の一つです。 【ニュアンスの違い】『rob』は人や場所から何かを奪う行為を強調し、しばしば暴力や脅迫を伴います。『steal』は対象物そのものに焦点が当たり、必ずしも暴力的な状況を伴いません。 【混同しやすい点】『steal』は対象物(例:steal a car)を直接目的語にとりますが、『rob』は場所や人(例:rob a bank, rob a person)を目的語にとり、奪うものは前置詞を使って表現することが多いです(rob a bank of money)。
- burglarize
『強盗に入る』という意味で、建物(家、オフィスなど)に侵入して盗みを働く行為を指します。フォーマルな場面や、法律関連の文脈で使われることが多いです。 【ニュアンスの違い】『rob』よりも対象が建物に限定され、不法侵入の要素が強く含まれます。日常会話ではあまり使われません。 【混同しやすい点】『burglarize』は建物に侵入して盗むという行為全体を指し、『rob』のように特定の所有者から奪うというニュアンスは薄いです。また、口語的な表現としては不自然です。
『略奪する』という意味で、戦争や災害などの混乱に乗じて、組織的に物を奪う行為を指します。歴史的な文脈や、大規模な略奪行為を指す場合に用いられます。 【ニュアンスの違い】『rob』よりも大規模で、暴力的な状況で行われることが多いです。また、個人的な動機よりも、組織的な動機が背景にあることが多いです。 【混同しやすい点】『plunder』は、単に物を盗むだけでなく、文化的な価値のあるものや資源を奪うニュアンスが含まれます。また、略奪行為によって社会全体に混乱をもたらす点が強調されます。
『奪う』または『剥奪する』という意味で、人から権利、機会、または必要なものを奪う行為を指します。抽象的な概念や権利などを奪う場合に使われることが多いです。 【ニュアンスの違い】『rob』が物理的なものを奪うのに対し、『deprive』は非物質的なもの(自由、権利、睡眠など)を奪うことを意味します。よりフォーマルな文脈で使用されます。 【混同しやすい点】『deprive』は通常、deprive someone of something の形で使用され、前置詞『of』が必須です。また、感情的なニュアンスが含まれる場合もあります(例:deprive someone of happiness)。
- defraud
『騙し取る』という意味で、詐欺や不正な手段を用いて、人からお金や財産を奪う行為を指します。ビジネスや法律関連の文脈でよく使われます。 【ニュアンスの違い】『rob』が暴力や脅迫を伴う可能性があるのに対し、『defraud』は欺瞞的な手段を用いる点が異なります。騙された側は、盗まれたことに気づいていない場合もあります。 【混同しやすい点】『defraud』は、人を騙して財産を奪うというプロセス全体を指し、単に物を盗む行為とは異なります。また、計画性や意図性が強く含まれます。
- swindle
『詐欺を働く』という意味で、信用を悪用して人を騙し、お金や財産を奪う行為を指します。日常会話でも使われますが、ややインフォーマルな響きがあります。 【ニュアンスの違い】『defraud』と似ていますが、『swindle』はより個人的な詐欺行為を指すことが多いです。また、大規模な詐欺事件よりも、小規模な詐欺行為に使われる傾向があります。 【混同しやすい点】『swindle』は、人を騙して財産を奪う行為そのものを指し、具体的な方法や手段は問われません。また、口語的な表現として使われることが多いです。
派生語
- robber
『rob(奪う)』を行う人、つまり『強盗』を意味する名詞。動詞に『-er』が付くことで行為者を表す一般的なパターン。日常会話やニュース記事で頻繁に使われ、犯罪関連の文脈でよく見られる。単に盗むだけでなく、暴力や脅迫を伴うニュアンスを含む点が重要。
『rob(奪う)』という行為そのもの、つまり『強盗(罪)』を意味する名詞。動詞に『-ery』が付くことで、行為や場所、職業などを表す名詞を形成する。法律用語としても用いられ、ニュースや警察の報告書など、公式な文書でも頻出。単に盗む行為だけでなく、その犯罪行為自体を指す点がポイント。
- disrobe
接頭辞『dis-(分離・否定)』が付き、『rob(奪う)』とは反対に『衣服を脱ぐ』という意味になる動詞。比喩的に『(地位や権威などを)剥奪する』という意味合いでも使われることがある。日常会話よりは、ややフォーマルな文脈や文学作品などで見られる。
反意語
『与える』という意味の基本的な動詞。『rob』が力ずくで奪う行為であるのに対し、『give』は自発的に何かを相手に渡す行為を指す。日常会話で最も頻繁に使われ、様々な文脈で『rob』の反対の意味を表す。例えば、『rob someone of their money』に対して『give money to someone』のように対比できる。
『寄付する』という意味の動詞。『rob』が一方的に奪う行為であるのに対し、『donate』は自発的に、しばしば慈善目的で何かを与える行為を指す。フォーマルな文脈やニュース記事でよく使われ、特に金銭や物品の寄付について用いられる。『rob from a charity』に対して『donate to a charity』のように対比できる。
『授ける』『与える』という意味の動詞。特に名誉、称号、賞などを『授ける』場合に使われる。日常会話よりは、やや格式ばった文脈や文学作品などで見られる。『rob someone of their honor』に対して『bestow honor upon someone』のように対比できる。
語源
"rob" の語源は古フランス語の "rober"(奪う、盗む)に由来し、さらに遡るとゲルマン祖語の "rauba"(戦利品、略奪品)にたどり着きます。この "rauba" は、英語の "reave"(奪う)や "bereave"(奪う、失わせる)とも関連があります。つまり、"rob" は元々、戦利品や略奪品といった力ずくで奪い取る行為を意味していました。日本語で例えるなら、「強奪」という言葉が近いかもしれません。現代英語では、物理的な物を奪うだけでなく、機会や権利などを「奪う」「出し抜く」といった抽象的な意味にも広がっています。例えば、「rob someone of their chance」は「誰かの機会を奪う」という意味になります。このように、語源を知ることで、単語の持つニュアンスや意味の広がりをより深く理解することができます。
暗記法
「rob」は単に物を盗むだけでなく、もっと深い何かを奪う行為を指します。中世の搾取や植民地時代の略奪のように、権力者が弱者から機会や尊厳を奪うイメージです。ロビン・フッドが悪徳貴族から「rob」んだのは、不正を正す行為でした。現代では、企業や政治家の不正、スポーツの不当な判定など、人々の希望や夢を奪う行為も「rob」と表現されます。単なる窃盗以上の、精神的な傷跡を伴う行為なのです。
混同しやすい単語
『rob』にerが付いた形なので、スペルは似ています。意味は『強盗(する人)』であり、robが『強盗する』という動詞であるのに対し、robberは『人』を表す名詞である点が異なります。日本語でも動詞と名詞で意味が異なるのと同様ですが、robとrobberの関係をしっかり理解することが重要です。
発音記号が似ており(rob: /rɑb/, robe: /roʊb/)、特にカタカナ英語に慣れていると区別が難しい場合があります。スペルも 'b' と 'be' の違いだけなので、視覚的にも混同しやすいです。意味は『(儀式用の)衣服、ローブ』であり、全く異なります。robeは、フォーマルな場や特別な状況で着用する衣服を指すことを覚えておきましょう。
発音が非常に似ており、特に早口で話されたり、音声があまり良くない場合に聞き間違えやすいです。スペルも一文字違いです。意味は『腐る』であり、robとは全く関係ありません。robは通常、人から何かを奪う行為を指しますが、rotは物が劣化する状態を指します。
発音が似ており、特に語尾の 'b' の音が弱くなると区別がつきにくくなります。スペルも 'o' と 'u' の違いだけなので、注意が必要です。意味は『こする、磨く』であり、物理的な接触を伴う動作を表します。robとは意味が全く異なるため、文脈で判断することが重要です。
スペルは似ていませんが、どちらも短く強い音で終わるため、発音の印象が似ていると感じる学習者がいるかもしれません。意味は『引き裂く』であり、robとは全く異なります。ripは物理的に何かを壊す行為を指しますが、robは所有物を奪う行為を指します。
スペルも発音も異なりますが、どちらも短い単語で、何かを得る(robは不正に、reapは努力の結果)という意味合いがわずかに共通するため、意味の連想から混同する可能性があります。reapは『(努力の結果)収穫する、刈り取る』という意味で、robとは文脈が大きく異なります。
誤用例
日本語の『〜を奪う』という表現に引きずられ、『rob』を『(抽象的なものを)奪う』という意味で使ってしまう誤用です。 'Rob' は基本的に物理的な対象物(人や場所)から金品を奪う場合にのみ使用します。抽象的な概念、例えば名声、機会、権利などが損なわれたり失われたりした場合は、'tarnish', 'damage', 'undermine' などの動詞を使うのが適切です。日本人は、比喩的な表現を直接的に英語に置き換えようとする傾向があり、その結果、不自然な英語表現になることがあります。
ここでも『rob』を『(感情を)奪う』という意味で使おうとしていますが、これは不自然です。英語では、感情の有無を直接的に表現する方が自然です。日本語では、感情を間接的に表現することが好まれる文化があり、それが英語表現に影響していると考えられます。また、日本語の『〜を奪う』という表現が、英語の 'rob' の意味範囲よりも広いことも誤用の原因です。文化的な背景の違いを理解し、英語ではより直接的な表現を心がけることが重要です。
『rob』は他動詞であり、前置詞は不要です。日本語の『〜に』という助詞に引きずられて、'to' などの前置詞を付けてしまう誤りです。英語の動詞には、自動詞と他動詞の区別があり、他動詞は目的語を直接取る必要があります。日本人は、英語の文法構造を理解していても、無意識のうちに日本語の文法構造を適用してしまうことがあります。特に、前置詞の有無は、英語の表現において非常に重要であり、注意が必要です。
文化的背景
「rob」は、単に物を奪う行為を超え、権力や信頼を侵害し、相手から本質的な何かを奪い去るというニュアンスを強く含みます。この語は、物理的な強盗だけでなく、機会、希望、尊厳など、目に見えない価値を奪う行為を指す場合にも用いられ、被害者の精神的な傷跡を強調する言葉です。
歴史的に見ると、「rob」は、中世の封建制度下における貴族による農民からの搾取や、植民地時代における資源の略奪といった、権力構造に根ざした不正行為と深く結びついてきました。ロビン・フッドのような伝説的な義賊は、悪徳貴族から「rob」することで民衆を救済する存在として描かれ、「rob」という行為が必ずしも悪とは限らないという複雑な倫理観を反映しています。ただし、ロビン・フッドの物語は、あくまで不正な権力者からの奪還という大義名分があって初めて正当化されるものであり、「rob」の本来的な意味合いは、依然として否定的なものです。
現代においては、「rob」は企業による消費者への不当な搾取や、政治家による国民の信頼の裏切りなど、より広範な不正行為を指す言葉として用いられます。例えば、「rob someone of their innocence(誰かの純粋さを奪う)」という表現は、性的虐待や精神的なトラウマによって、被害者の人格が深く傷つけられる様子を表します。また、「rob someone of their peace of mind(誰かの心の平安を奪う)」という表現は、ストーカー行為やハラスメントによって、被害者が常に不安や恐怖に苛まれる状況を表します。「rob」は、単に財産を失うだけでなく、人間としての尊厳や幸福を奪われるという、より深刻な被害を伴う行為を強調する言葉なのです。
さらに、「rob」は、スポーツの世界においても、不正な判定によって勝利を奪われる状況を指すことがあります。この場合、「robbed of victory」という表現は、選手やチームが長年の努力の末に掴みかけた栄光を、不当な手段によって奪われたという、深い失望と怒りを表します。このように、「rob」は、単なる窃盗行為を超え、人々の希望、夢、尊厳を奪う、あらゆる不正行為を告発する言葉として、広く使われています。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。2級でも稀に出題。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、犯罪、ニュース記事など。やや硬めの文脈。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「人から物を奪う」という意味を基本として、rob A of B (AからBを奪う) の形をしっかり覚える。同義語のstealとの違い(stealは物を主語にする)に注意。
- 出題形式: Part 5, 6, 7の読解問題。
- 頻度と級・パート: Part 7でやや頻出。ビジネスシーン関連の記事やメール。
- 文脈・例題の特徴: 企業の不正行為、顧客情報の漏洩、時間や機会を奪うなどの抽象的な意味合いで使われることもある。
- 学習者への注意点・アドバイス: rob A of Bの形を理解し、文脈から意味を判断する練習が必要。関連語句のtheft、burglaryなども一緒に覚えておくと役立つ。
- 出題形式: リーディングセクション。
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。
- 文脈・例題の特徴: 歴史、社会学、経済学などの学術的な文脈で、資源や権利を奪うといった意味で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な意味合いで使われることが多いので、文脈全体から正確な意味を把握することが重要。比喩的な表現にも注意。
- 出題形式: 長文読解、和訳問題、空欄補充問題。
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、国際関係、歴史など、幅広いテーマで登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な意味に加え、比喩的な用法も理解しておく必要がある。rob A of Bの構文を確実にマスターし、文脈に合った訳語を選べるように練習する。