narcissistic
第一強勢は「ナー」にあります。二番目の「スィ」にも弱いストレスがあります。/ɑː/は日本語の「ア」よりも口を大きく開けて発音し、長音を意識しましょう。/ɪ/は日本語の「イ」よりも曖昧な音で、口をあまり開けずに発音します。最後の/k/は息を強く出すように意識するとよりクリアに聞こえます。
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自己陶酔的な
自分自身を過剰に愛し、他人からの賞賛を求める様子。ギリシャ神話のナルキッソスが語源。自己中心的で傲慢な態度を指すことが多い。
He spent hours looking at himself in the mirror, which seemed a bit narcissistic.
彼は鏡の前で何時間も自分を見つめていて、少し自己陶酔的に見えました。
※ この例文では、ある人が鏡の前で長時間自分に見とれている様子を描写しています。「narcissistic」は、自分の外見や自分自身に過度に夢中になっている人を表すときによく使われる典型的なシチュエーションです。`seemed a bit narcissistic`で「少し自己陶酔的に見えた」というニュアンスを伝えています。
Her social media is full of only her selfies, which some people find narcissistic.
彼女のSNSは自分の自撮り写真ばかりで、一部の人には自己陶酔的だと感じられています。
※ 現代において、「narcissistic」はSNS上での振る舞いを表す際によく使われます。特に、自分の写真ばかりを投稿し、過度に自己アピールをする様子は典型的な「自己陶酔的」な行動と見なされがちです。`is full of only ~` で「~ばかりでいっぱいだ」という状態を表します。
During the meeting, his narcissistic comments showed he only cared about himself.
会議中、彼の自己陶酔的な発言は、彼が自分のことしか考えていないことを示していました。
※ この例文は、会議のようなフォーマルな場での「自己陶酔的」な態度を描いています。他人の意見や感情を顧みず、自分のことや自分の成果ばかりを話すような発言は、まさに「narcissistic」な特徴です。`narcissistic comments` のように、名詞を修飾する形で使われることも多いです。
うぬぼれの強い
実際以上の能力や魅力を自分にあると思い込んでいる状態。自信過剰で、他者の意見を聞き入れない傾向がある。
He was so narcissistic, always talking about how great he was.
彼はとてもうぬぼれが強く、いつも自分がどれほど素晴らしいかを話していました。
※ 【情景】会議の休憩中やランチ中、彼は周りの人が少しうんざりしているのに気づかず、自分の功績や能力ばかりをひたすら自慢しています。まるで自分だけが世界で一番すごいと思っているかのようです。 【解説】この例文は、自分のことばかり話したり、自分を過度に評価したりする「うぬぼれの強い人」の典型的な行動を表しています。「so A, always B」の形は、「AなのでいつもBする」という因果関係や特徴を説明するのに便利です。
The young singer spent hours staring at her reflection, truly narcissistic.
その若い歌手は何時間も自分の姿をじっと見つめていました。本当にうぬぼれが強かったのです。
※ 【情景】コンサートのリハーサル室で、若い歌手が大きな鏡の前で、自分の歌声や動きではなく、ひたすら自分の顔やスタイルをチェックしています。何時間もそうしているので、周りのスタッフは少し呆れています。 【解説】「stare at」は「じっと見つめる」という意味です。この例文は、自分の見た目に過度に執着し、自分自身にうっとりする「うぬぼれの強い人」の行動を描写しています。文末の「truly narcissistic」は、前の文の状況を要約し、その人がまさに「うぬぼれが強い」ことを強調しています。
Her narcissistic attitude made it difficult for the team to work together.
彼女のうぬぼれた態度が、チームが協力することを難しくしました。
※ 【情景】チームプロジェクトで、彼女は自分の意見が常に一番だと信じて疑わず、他のメンバーのアイデアをほとんど聞き入れません。その結果、チーム全体の雰囲気が悪くなり、協力して作業を進めるのが難しくなっています。 【解説】この例文は、自己中心的で他者を軽視する「うぬぼれた態度」が、人間関係や協力体制に悪影響を及ぼす状況をよく表しています。「make it difficult for 人 to 動詞」は、「(人)が~するのを難しくする」という、日常会話やビジネスシーンでもよく使われる便利な表現です。
自己愛者
病的または極端な自己愛を持つ人。自己中心的で共感性に欠け、他人を利用する傾向がある。
My boss is so narcissistic; he only cares about his own achievements.
私の上司はとても自己中心的で、自分の手柄しか気にしません。
※ 職場での上司や同僚が、自分のことばかり考え、他人の努力を認めない様子を表現しています。`narcissistic`は形容詞で「自己愛的な」「うぬぼれの強い」という意味です。「so narcissistic」で「とても自己中心的だ」という気持ちを強調しています。
She spends hours looking in the mirror, which seems very narcissistic.
彼女は何時間も鏡を見ているので、とても自己中心的に見えます。
※ 鏡の前で長時間過ごすなど、自分の外見や自分自身にばかり気を取られている人に対して使われる典型的な場面です。`narcissistic`は形容詞なので、このように「とても自己愛的に見える」と状態を表す時に使えます。「very narcissistic」で「非常に自己中心的だ」という評価を表しています。
A truly narcissistic person often thinks they are always right.
本当に自己愛的な人は、自分が常に正しいと思いがちです。
※ 自己愛的な人の典型的な特徴を説明する文です。自分の意見が常に正しいと信じ、他人の意見を聞き入れない態度を表すのに使われます。`a narcissistic person`で「自己愛的な人」という塊でよく使われます。この単語は形容詞です。
コロケーション
自己愛性パーソナリティ障害
※ 精神医学の用語で、過大評価、共感性の欠如、賞賛への過剰な欲求などを特徴とするパーソナリティ障害を指します。DSM-5などの診断基準で使用され、医学・心理学の専門的な文脈で用いられます。単に『narcissistic』と言うよりも、深刻な状態を示す場合に用いられます。
自己愛的な糧(かて)
※ 心理学の用語で、ナルシシストが自身の自尊心を維持・強化するために他人から得る賞賛、注目、または支配などの源を指します。これは、ナルシシストが依存するものであり、枯渇すると不安定になることがあります。専門的な文脈や、自己愛的な行動パターンを分析する際に使われます。例えば『He needs constant narcissistic supply from his followers.(彼は信奉者からの絶え間ない自己愛的な糧を必要としている)』のように使います。
自己愛的な激怒
※ ナルシシストが、批判や拒絶、または自分の理想像が脅かされたと感じた際に経験する激しい怒りや攻撃性を指します。これは、通常の怒りよりも極端で、自己防衛的な反応として現れることが多いです。心理学的な議論や、ナルシシストの行動を説明する際に用いられます。例えば、『His narcissistic rage was triggered by a minor disagreement.(彼の自己愛的な激怒は、ささいな意見の不一致によって引き起こされた)』のように使います。
自己愛的な傾向
※ 誰かが自己中心的、自己陶酔的、または他者への共感に欠ける行動を示す度合いを指します。これは必ずしも病的な状態を意味するものではなく、性格の一部として現れることがあります。日常会話や、軽い心理分析などで用いられます。例えば、『He shows narcissistic tendencies in his constant need for attention.(彼は常に注目を浴びたがる様子に、自己愛的な傾向が見られる)』のように使います。
傷つきやすいナルシシスト
※ 自己愛的な特性を持ちながらも、内面的には不安や劣等感を抱えているタイプを指します。彼らは賞賛を求める一方で、批判に非常に敏感であり、傷つきやすいです。心理学の分野で用いられることが多く、より複雑な自己愛の側面を理解する上で重要です。例えば、『Unlike grandiose narcissists, vulnerable narcissists are often insecure and sensitive.(誇大型ナルシシストとは異なり、傷つきやすいナルシシストはしばしば不安で敏感である)』のように使います。
悪性ナルシシスト
※ 自己愛的な特性に加え、反社会的な行動、攻撃性、サディズムなどを示す、より深刻な状態を指します。彼らは他人を操り、傷つけることを厭わず、非常に危険な存在となる可能性があります。心理学、犯罪心理学、社会学などで用いられ、深刻な問題を抱えた人物像を描写する際に用いられます。
自己愛的な虐待
※ ナルシシストがパートナー、家族、または他の関係者に対して行う精神的、感情的な虐待を指します。これには、操作、ガスライティング、侮辱、孤立などが含まれます。心理学、社会学、法学などの分野で用いられ、虐待の形態を特定し、被害者を支援する際に用いられます。
使用シーン
心理学、社会学、文学などの分野で、研究論文や学術書において、自己愛的なパーソナリティ特性や行動を分析・議論する際に用いられます。例えば、「〜の事例研究において、narcissistic な傾向が認められた」のように、客観的な分析を示す文脈で使用されます。
人事評価や組織論に関する議論で、特定の人物の性格特性を指摘する際に用いられることがあります。ただし、直接的な批判を避けるため、婉曲的な表現や、より客観的な言葉を選ぶ傾向があります。例:「チームの士気を下げる要因として、一部メンバーのnarcissisticな振る舞いが考えられる」のように、問題提起や原因分析の文脈で用いられます。
日常会話では、他人を批判したり、皮肉を言ったりする際に用いられることがあります。しかし、相手を侮辱する意図が含まれる場合があるため、注意が必要です。例:「彼はいつも自分の話ばかりで、まるでnarcissisticな人みたいだね」のように、ややネガティブな意味合いで使用されます。ニュースやドキュメンタリー番組などでは、著名人や事件の加害者の心理分析などで用いられることがあります。
関連語
類義語
- egotistical
自己中心的で、自分のことばかり考えている状態を指します。ビジネスシーンや日常会話で使われますが、ややフォーマルな響きがあります。 【ニュアンスの違い】narcissisticよりも広い意味で使われ、必ずしも自己陶酔的な要素を含みません。単に自己中心的、利己的な人を指すことが多いです。narcissisticは自己愛性パーソナリティ障害のような病的な状態を示唆することがあります。 【混同しやすい点】egotisticalは形容詞で、名詞はegotistです。narcissisticは形容詞で、名詞はnarcissist。どちらも人を表す名詞として使えますが、egotistの方がより一般的な表現です。
自分の外見や能力を過大評価し、他人からの賞賛を求める状態を指します。日常会話や文学作品でよく使われます。特に外見に関する自惚れを指すことが多いです。 【ニュアンスの違い】narcissisticよりも表面的な自惚れを指し、自己愛的な深層心理までは含みません。vainは外見や才能に対する過信に重点が置かれます。 【混同しやすい点】vainは「無駄な」という意味も持ちます(例:in vain)。文脈によって意味が異なるため注意が必要です。narcissisticは「無駄な」という意味では使われません。
自分のことばかり考えて、他人のことを気にかけない状態を指します。日常会話でよく使われ、比較的カジュアルな表現です。 【ニュアンスの違い】narcissisticよりも強い自己愛や自己陶酔のニュアンスは薄く、単に他者への配慮が欠けていることを指します。narcissisticは病的な自己愛を含む場合がありますが、self-centeredは性格的な傾向を指すことが多いです。 【混同しやすい点】self-centeredは複合語であり、ハイフンで繋ぐのが一般的です。また、self-centerednessという名詞形も存在します。narcissisticは名詞形がnarcissismと大きく異なる点に注意が必要です。
自分の能力や容姿を過大評価し、他人を見下すような態度を取る状態を指します。日常会話や文学作品で使われ、やや否定的なニュアンスがあります。 【ニュアンスの違い】narcissisticよりも他人に対する優越感や見下し感が強く、自己愛的な要素は薄い場合があります。conceitedは他人との比較において優位に立とうとする態度を示します。 【混同しやすい点】conceitedは形容詞で、名詞はconceitです。narcissisticは名詞形がnarcissismと大きく異なります。また、conceitは「自惚れ」という意味の他に、「奇抜な考え」という意味も持ちます。
他人を見下し、自分の能力や権力を誇示する態度を指します。ビジネスシーンや日常会話で使われ、非常に強い否定的なニュアンスがあります。 【ニュアンスの違い】narcissisticよりも他人に対する敵意や攻撃性が強く、自己愛的な要素は薄い場合があります。arrogantは他人を軽蔑する態度が強調されます。 【混同しやすい点】arrogantは形容詞で、名詞はarroganceです。arroganceは「傲慢さ」という意味で、narcissism(自己愛)とは異なる概念です。arrogantな人は、必ずしも自分を愛しているとは限りません。
尊大で、偉ぶった態度を指します。フォーマルな場面や文学作品で使われ、やや古風な印象を与えることがあります。 【ニュアンスの違い】narcissisticよりも自己顕示欲が強く、他人を圧倒しようとする態度を示します。pompousは言葉遣いや態度が大げさで、滑稽に見えることもあります。 【混同しやすい点】pompousは形容詞で、名詞はpompousnessです。pompousnessは「尊大さ」という意味で、narcissism(自己愛)とは異なります。pompousな人は、自分を良く見せようとするあまり、他人を不快にさせることがあります。
派生語
- narcissism
『自己陶酔』『ナルシシズム』を意味する名詞。形容詞の『narcissistic』から抽象的な概念を表す『-ism』が付加され、心理学や社会学の分野で、個人または集団の特性を指す用語として使用されます。日常会話よりも学術的な文脈や心理学関連の記事で頻繁に見られます。
- narcissistically
『自己陶酔的に』を意味する副詞。形容詞『narcissistic』に副詞化の接尾辞『-ally』が付いた形。行動や態度が自己中心的であることを強調する際に用いられ、文学作品や心理学的な分析において、登場人物の行動や状態を説明する際に使われることがあります。使用頻度は他の派生語に比べて低いですが、特定の文脈では重要な役割を果たします。
反意語
『利他的な』という意味の形容詞。『narcissistic』が自己中心的な性質を表すのに対し、『altruistic』は他者の幸福を願う性質を表します。文脈によって対比が明確になり、倫理学や社会学、心理学の議論で頻繁に用いられます。日常会話でも相手の行動を評価する際に使用されます。
- self-effacing
『控えめな』『謙虚な』という意味の形容詞。自己を前面に出さず、目立たないように振る舞う様子を表します。『narcissistic』が自己顕示欲が強いのとは対照的に、自分の業績や能力を過度に主張しない態度を指します。ビジネスシーンや人間関係において、相手に与える印象を調整する際に重要な概念となります。
語源
"narcissistic(自己陶酔的な)」は、ギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソス(Narcissus)に由来します。ナルキッソスは、水面に映った自分の姿に恋をしてしまい、そのまま衰弱して水仙(narcissus)になったとされています。この物語から、「自己愛」や「自己陶酔」を意味する「narcissism(ナルシシズム)」という言葉が生まれました。そして、「-istic」という接尾辞が付加され、「〜的な」という意味合いが加わり、「narcissistic」という形容詞が形成されました。つまり、自分の外見や能力に過剰に執着し、自己中心的で他者への共感に欠ける状態を指す言葉として使われるようになったのです。例えば、SNSで自分の容姿ばかりをアピールする人を「narcissistic」と表現することができます。
暗記法
「narcissistic」の語源は、水面に映る己の姿に恋焦がれ、命を落とした美少年ナルキッソス。ルネサンス以降、自己愛の虚しさを描く芸術のモチーフとなり、オスカー・ワイルドもナルシシズムがもたらす破滅を描きました。現代ではSNSが自己顕示欲を加速させ、政治指導者の自己中心的な行動も批判の対象に。ナルシシズムは個人に留まらず、社会構造にまで影響を及ぼす、現代を映す鏡なのです。
混同しやすい単語
『narcissistic』の語源となった名詞で、水仙(スイセン)のこと。また、自己愛の強い人を指す場合もあります。発音もスペルも非常に似ており、文脈によっては混同しやすいでしょう。『narcissistic』は形容詞であるのに対し、『narcissus』は名詞である点に注意が必要です。ギリシャ神話の美少年ナルキッソスが語源で、水面に映る自分自身に恋をして水仙になったという話を知っておくと、両者のつながりを覚えやすいでしょう。
発音が似ており、特に語尾の '-tic' の部分が共通しているため、聞き間違いやすい単語です。『神経症的な』という意味で、心理学的な文脈で使われることが多いですが、『narcissistic』が自己中心的であるのに対し、『neurotic』は不安や強迫観念などを抱えている状態を指します。どちらも心理状態を表す形容詞ですが、意味合いは異なります。
スペルが長く、語尾が '-istic' で共通しているため、視覚的に混同しやすい単語です。『虚無主義的な』という意味で、価値観や意味を否定する思想を表します。『narcissistic』が自己陶酔的であるのに対し、『nihilistic』はすべてを否定する点で対照的です。どちらも哲学的な文脈で使われることがありますが、意味は大きく異なります。
発音が一部似ており、特に最初の 'nau-' の部分が共通しているため、聞き間違いやすい可能性があります。『吐き気を催す』という意味で、体調不良を表す形容詞です。『narcissistic』が性格を表すのに対し、『nauseous』は身体的な感覚を表す点が異なります。また、スペルも似ているため、注意が必要です。
スペルの一部('nas-')が共通しており、視覚的に少し似ているため、特に初心者学習者は混同する可能性があります。『不快な』、『意地の悪い』という意味で、ネガティブな感情や状況を表す形容詞です。『narcissistic』が自己中心的で傲慢な態度を指すのに対し、『nasty』はより一般的な不快感や嫌悪感を指します。文脈によって使い分けましょう。
『narc-』という接頭辞が共通しているため、関連性を感じてしまうかもしれませんが、意味は全く異なります。『narcology』は薬物依存症の研究を意味する医学用語です。一般的にはあまり使われませんが、専門的な文脈で出会う可能性があります。『narcissistic』が心理的な特性を表すのに対し、『narcology』は医学的な分野を指します。
誤用例
「narcissistic」は単に自撮りをする人を指すのではなく、自己陶酔的で、他者への共感に欠ける状態を指します。日本語の『ナルシスト』も同様ですが、英語の方がより病的なニュアンスが強いです。自己顕示欲が強いという程度であれば、「self-absorbed」や「vain」を使う方が適切です。日本人は、自己肯定感の低い人が自撮りをすることで自信を得ようとする場合もあるため、安易に「narcissistic」を使うと相手に強い侮辱を与える可能性があります。
「narcissistic」は美醜とは直接関係ありません。自己愛が強いからといって、必ずしも美しいとは限りません。むしろ、外見への過剰なこだわりが自己愛の表れである場合もあります。この誤用は、日本語の『ナルシスト』という言葉が、美意識の高い人に使われることがあるため、英語でも同様だと誤解した可能性があります。英語では、外見への執着を表す場合は「vain」や「conceited」といった言葉を使う方が適切です。また、文化的背景として、日本では外見を褒めることが社交辞令として一般的ですが、英語圏では外見よりも内面を褒める方が好まれる傾向があるため、注意が必要です。
「narcissistic」は基本的に人に対して使い、物事に対しては使いません。この誤用は、「〜に夢中」という日本語を直訳しようとした結果、「narcissistic to 〜」という不自然な表現が生まれたと考えられます。仕事への熱意を表現したい場合は、「dedicated」、「devoted」、「passionate」などの言葉を使う方が適切です。また、「to the point of neglecting other aspects of his life(他の生活面を犠牲にするほど)」というフレーズを加えることで、仕事への没頭ぶりを強調できます。英語では、対象が人の場合は形容詞として使われ、対象が行動や考え方の場合は、別の表現で言い換える必要があります。
文化的背景
「narcissistic(ナルシシスティック)」という言葉は、自己愛という感情が極端な形で現れ、自己陶酔的で排他的な態度を指す場合に用いられます。この言葉の文化的背景には、ギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスの物語があり、彼は水面に映る自分の姿に恋をして死んでしまうという悲劇的な運命を辿ります。この神話が、自己中心的な愛情の危うさ、そして他者への共感の欠如という文化的テーマを象徴しているのです。
ナルキッソスの物語は、ルネサンス期以降の芸術作品において頻繁に描かれ、自己愛の虚無性や、自己に囚われることの危険性を示す寓意として解釈されてきました。特に、バロック美術においては、鏡や水面といったモチーフを通して、自己像との対峙、そして自己欺瞞というテーマが強調されています。また、文学作品においても、オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』のように、自己陶酔的な主人公が破滅へと向かう姿が描かれることで、ナルシシズムの負の側面が強調されてきました。現代においては、SNSの普及によって、自己顕示欲や承認欲求が可視化されやすくなり、ナルシシズムはより身近な問題として認識されるようになっています。自己のイメージを過剰に演出したり、他者からの評価に過度に依存したりする傾向は、現代社会におけるナルシシズムの一つの表れと言えるでしょう。
さらに、ナルシシズムは、社会構造や政治的背景とも結びついて解釈されることがあります。例えば、権力者や指導者が自己中心的で排他的な行動をとる場合、その行動は「ナルシシスティックなリーダーシップ」として批判されることがあります。また、消費社会においては、自己実現や自己肯定感を刺激する商品やサービスが溢れており、それが過剰な自己愛を助長する側面も指摘されています。このように、ナルシシズムは、個人の心理的な問題だけでなく、社会全体の価値観や文化的な傾向とも深く関わっているのです。
現代社会において「narcissistic」という言葉は、単なる自己愛の強さを表すだけでなく、共感性の欠如、他者への搾取、自己中心的な行動といった、より深刻な問題を指し示す言葉として使われることが多くなっています。ナルキッソスの神話は、現代においても、自己愛のバランス、そして他者との健全な関係の重要性を私たちに問い続けているのです。
試験傾向
準1級、1級で長文読解、語彙問題で出題される可能性あり。心理学や社会学に関するテーマで登場することがある。形容詞として人物描写で使われることが多いが、動詞(narcissize)は稀。派生語(narcissism)も合わせて覚えること。この試験では、文脈から意味を推測する能力が重要。
この試験では出題頻度は低め。ただし、ビジネス心理学やリーダーシップに関する記事で稀に使われることがある。Part 5, 6で語彙問題として、Part 7で長文読解のキーワードとして登場する可能性がある。ビジネスシーンにおける自己中心的な行動を指す場合が多い。
アカデミックな文章で比較的頻繁に出題される。心理学、社会学、文学などの分野で、自己愛的な人物や行動を分析する際に用いられる。読解問題で文脈から意味を推測させる問題や、同意語・反意語を選ぶ問題として出題される可能性がある。名詞(narcissism)の形で使われることが多い。
難関大学の長文読解で出題される可能性がある。心理学、社会学、文学などのテーマで登場し、文脈理解を問われる。形容詞として人物の性格を表す場合や、名詞として社会現象を説明する場合がある。同意語(egotistical, vain)や反意語(altruistic, selfless)も合わせて覚えておくと役立つ。