moribund
強勢は最初の音節にあります。/ɔː/ は口を大きく開けて発音する『オー』の音で、日本語の『オ』よりも奥で響かせます。/ʌ/ は曖昧母音で、口を軽く開けて『ア』と『オ』の中間のような音を短く発音します。最後の 'd' は、舌先を上前歯の裏につけて息を止める破裂音で、弱く発音しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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瀕死の
死にかけている状態、または衰退の一途をたどる状態を指す。文字通りには死にかけの状態だが、比喩的に組織、制度、文化などが活力を失い、終焉に向かっている状況を表す。
The sick cat looked moribund, barely moving on the mat.
その病気の猫は瀕死のように見え、マットの上でほとんど動かなかった。
※ この例文は、病気や怪我で今にも息絶えそうな動物の様子を描いています。「moribund」は、文字通り「死にかけている」「今にも終わりそうな」状態を表す時に使われます。猫が「barely moving(ほとんど動かない)」様子から、その深刻さが伝わりますね。
The small business was moribund, and everyone feared it would close.
その小さな事業は瀕死の状態で、誰もが閉鎖を恐れていた。
※ ここでは「moribund」が、会社や事業が「衰退して終わりかけている」比喩的な意味で使われています。経営不振で閉鎖寸前の状況を鮮明に表しており、ビジネスのニュースや会話でよく耳にする使い方です。「fear it would close」で、周りの人々の不安な気持ちも伝わります。
The ancient language is moribund, spoken by only a few elders.
その古代の言語は瀕死の状態で、ほんの数人の年配者しか話さない。
※ この例文では、「moribund」が言語や文化、伝統などが「消滅寸前である」ことを示しています。話す人がごくわずかになった言語が、まるで命が尽きかけているかのように表現されています。未来に受け継がれにくい状況を伝える時に使えます。
衰退期の
勢いを失い、弱まっている状態。組織や産業、芸術などが最盛期を過ぎて、衰えていく様子を表す。単に古いだけでなく、近い将来に消滅する可能性が高いことを示唆する。
The old factory, once busy, seemed moribund, making its workers worried about their jobs.
かつて賑やかだった古い工場は衰退期にあるように見え、従業員たちは仕事について心配していました。
※ この例文は、ビジネスや産業が活気を失い、終わりに向かっている様子を「moribund」を使って表現しています。工場が「衰退期」にあることで、そこで働く人たちの不安な気持ちが伝わってきます。建物や組織の状態を表す際によく使われます。
The ancient local custom was moribund, with only a few elders remembering its true meaning.
その古代の地元の慣習は衰退期にあり、その真の意味を覚えているのは少数の年配者だけでした。
※ この例文では、文化や伝統が時代とともに人々の記憶から薄れ、消えかかっている様子を描写しています。昔ながらの慣習が「衰退期」にあることで、その文化が失われつつある寂しい情景が浮かびます。歴史的、文化的な事柄の衰退を表す際によく使われます。
Many people felt the old system of education was moribund and needed a fresh start.
多くの人々は、古い教育システムが衰退期にあると感じており、新たな始まりが必要だと考えていました。
※ この例文は、古い考え方やシステムがもはや機能せず、変革が求められている状況を表しています。教育システムが「衰退期」にあると感じることで、現状への不満や新しいものへの期待が伝わります。社会の仕組みやアイデア、概念の終わりを表現するのに適した使い方です。
コロケーション
衰退産業、死にかけている産業
※ この表現は、斜陽産業、つまり、もはや成長の見込みがなく、徐々に衰退していく運命にある産業を指します。例えば、かつて隆盛を誇ったものの、技術革新や社会の変化によって需要が減り、閉鎖や倒産が相次ぐような状況にある産業に使われます。'moribund'が持つ『死にかけている』というニュアンスが、その産業の活気のなさ、将来への悲観的な見通しを強調します。形容詞+名詞の典型的な組み合わせで、ビジネスや経済に関する議論でよく用いられます。
瀕死の状態、末期的な状態
※ 物理的な状態だけでなく、組織やシステム、概念などが、機能不全に陥り、回復の見込みがない状態を指します。政府の機能不全、政治的な停滞、あるいは組織文化の崩壊など、広範な状況に使えます。比喩的な意味合いが強く、状況の深刻さを強調する際に効果的です。例えば、政治学や社会学の議論で、国家の衰退や社会システムの崩壊を論じる際に用いられます。'state'は『状態』という意味で、具体的な名詞と組み合わせることで、その対象が極めて悪い状態にあることを示します。
死にかけている経済、停滞した経済
※ 経済活動が停滞し、成長が見込めない状態を指します。失業率の上昇、企業の倒産、投資の減少など、経済指標が悪化している状況を表します。景気後退よりもさらに深刻で、回復が困難な状況を示唆します。経済学や金融に関するニュース記事やレポートで頻繁に用いられます。'economy'は『経済』という意味で、これが'moribund'であるということは、経済全体が非常に危険な状態にあることを意味します。
死にかけている文化、衰退した文化
※ 伝統や価値観が失われ、活力を失った文化の状態を指します。新しい世代への継承が途絶え、過去の栄光が薄れていくような状況を表します。社会学、人類学、歴史学などの分野で、文化の変遷や衰退を分析する際に用いられます。比喩的な意味合いが強く、文化的な遺産や価値観の喪失に対する懸念を表明する際に使われます。例えば、特定の民族の言語や習慣が消滅の危機に瀕している場合などに用いられます。
瀕死の状態で、末期的な状態で
※ これはよりフォーマルな表現で、人や組織、システムなどが、死にかけている状態、または非常に悪い状態にあることを強調するために使われます。医学的な文脈で患者の状態を説明する際や、ビジネスの世界で企業の経営状況を分析する際など、幅広い場面で使用されます。前置詞句の形を取ることで、状態の深刻さをより客観的に、そして冷静に伝える効果があります。例えば、病気や事故で重体になった患者の状態や、経営不振に陥った企業の状況を説明する際に用いられます。
何かを瀕死の状態にする、衰退させる
※ この表現は、ある行動や状況が、何か(組織、産業、関係など)を衰退させ、死にかけている状態に追い込むことを意味します。間接的な影響を強調する際に用いられ、誰かや何かの責任を暗に示すことがあります。例えば、不適切な政策が産業を衰退させた、あるいは、不誠実な行動が人間関係を悪化させた、というような状況を表す際に使われます。'leave'という動詞を使うことで、意図的または無意識的な行為が、結果として何かを悪い状態にしたことを示唆します。
使用シーン
学術論文や専門書で、比喩的な意味合いで「衰退しつつある理論」や「死にかけている言語」などを表現する際に用いられます。心理学の研究論文で、特定の行動様式が「moribund influence(衰退しつつある影響力)」を持つと分析されることがあります。また、歴史学の分野では、ある王朝や文化が衰退期にある状態を指して使われることがあります。
ビジネス文書や会議で、企業の戦略や市場動向について議論する際に、比喩的に用いられることがあります。例えば、ある製品ラインが「moribund market share(衰退しつつある市場占有率)」に苦しんでいる状況を報告する際に使われます。ただし、より直接的な表現を好む傾向があるため、使用頻度は高くありません。
日常会話ではほとんど使われません。ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、社会問題や環境問題について議論する際に、比喩的に用いられることがあります。例えば、「moribund coral reefs(死にかけているサンゴ礁)」という表現で、環境破壊の深刻さを伝えることがあります。ただし、一般的には理解されにくい単語であるため、より平易な言葉で言い換えられることが多いです。
関連語
類義語
- dying
「死にかけている」という意味で、生物や組織、文化などが死に向かっている状態を表す。日常会話からフォーマルな場面まで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】「moribund」よりも一般的で、感情的な響きが強い場合がある。「dying」は進行形であり、死に向かうプロセスを強調する。「moribund」は状態を静的に描写する傾向がある。 【混同しやすい点】「dying」は文字通り死にかけている状態だけでなく、「~が欲しくてたまらない」といった比喩的な意味でも使われることがあるため、文脈に注意が必要。
- declining
「衰退している」という意味で、勢いや質が徐々に悪化している状態を示す。ビジネス、経済、政治など、幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「moribund」よりも緩やかな衰退を意味し、必ずしも死や終焉を意味しない。「declining」は可逆的な場合もあるが、「moribund」は不可逆的な状態に近い。 【混同しやすい点】「declining」は、数値や割合が減少していることを表す場合にも使われる(例:declining sales)。抽象的な概念だけでなく、具体的な数値の減少も表せる点が「moribund」との違い。
- failing
「失敗している」「機能不全に陥っている」という意味で、期待された結果を出せない状態や、システムが正常に作動しない状態を表す。ビジネスや学術分野でよく使用される。 【ニュアンスの違い】「moribund」よりも具体的な失敗や機能停止を強調する。「failing」は一時的な問題を示唆する場合もあるが、「moribund」はより深刻で、回復の見込みが薄い状態を示す。 【混同しやすい点】「failing」は、個人の能力不足や成績不振を指す場合にも使われる(例:failing grades)。一方、「moribund」は、個人ではなく、組織やシステム全体の状態を表すことが多い。
「停滞している」という意味で、成長や発展が止まっている状態を表す。経済、社会、文化など、様々な分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「moribund」よりも動きがない状態を強調する。「stagnant」は必ずしも悪い状態とは限らず、一時的な停滞を意味する場合もある。「moribund」は、死に向かうネガティブな状態を意味する。 【混同しやすい点】「stagnant」は、水や空気などが淀んでいる状態を表す場合にも使われる(例:stagnant water)。比喩的な意味だけでなく、文字通りの停滞も表せる点が「moribund」との違い。
「時代遅れの」「廃れた」という意味で、もはや使われなくなった技術や製品、考え方などを指す。技術、ビジネス、文化などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「moribund」よりも過去の遺物としての意味合いが強い。「obsolete」は、新しいものに取って代わられた状態を意味するが、「moribund」は、必ずしも代替物があるとは限らない。 【混同しやすい点】「obsolete」は、具体的な製品や技術に対して使われることが多い(例:obsolete technology)。一方、「moribund」は、組織や制度など、より抽象的な概念に対して使われることが多い。
- atrophying
「萎縮している」という意味で、組織や能力が徐々に衰えていく状態を表す。医学、生物学、社会学などで使用される。 【ニュアンスの違い】「moribund」よりも、徐々に弱体化していくプロセスを強調する。「atrophying」は、本来あった機能や能力が失われていくことを意味するが、「moribund」は、必ずしも元々機能があったとは限らない。 【混同しやすい点】「atrophying」は、筋肉や臓器が萎縮する状態を表す場合にも使われる(例:muscle atrophy)。医学的な文脈で使用されることが多い点が、「moribund」との違い。
派生語
『死すべき運命』または『死亡率』を意味する名詞。ラテン語の『mors(死)』に由来し、『moribund』と同じ語源を持つ。抽象的な概念を表し、学術論文や公衆衛生の分野で頻繁に使用される。『moribund』が個体の瀕死の状態を指すのに対し、『mortality』はより普遍的な死の概念や統計的な指標を扱う。
『死ぬ運命にある』という意味の形容詞。また、『致命的な』という意味も持つ。日常会話でも使われるが、文学作品や哲学的な議論で、人間の有限性や脆弱性を強調する際にも用いられる。『moribund』が差し迫った死を意味するのに対し、『mortal』はより一般的な死の可能性を指す。
『屈辱を与える』または『苦行によって欲望を抑える』という意味の動詞。『mors(死)』に由来し、元々は『死んだようにする』という意味合いがあった。自己の欲望や虚栄心を『殺す』という比喩的な意味合いで使用される。宗教的な文脈や、自己抑制の重要性を説く際に用いられることがある。
反意語
『繁栄している』『活気に満ちている』という意味の形容詞。または、その状態を表す現在分詞。単に生きているだけでなく、成長し、発展している状態を指し、『moribund』が衰退しつつある状態と明確に対比される。ビジネスや経済、生態学など、さまざまな分野で使用される。
- thriving
『繁栄している』『成功している』という意味の形容詞。または、その状態を表す現在分詞。『flourishing』と同様に、単なる生存を超えた成長と発展を示す。『moribund』が停滞や死を意味するのに対し、『thriving』は活気にあふれた状態を表す。特にビジネスや個人の成長について語る際に用いられる。
『精力的な』『活発な』という意味の形容詞。『moribund』が弱々しく、生気を失っている状態を表すのに対し、『vigorous』は体力や精神力が充実している状態を示す。肉体的、精神的な健康状態を表す場合や、活動や運動が盛んに行われている状況を説明する際に用いられる。
語源
「moribund」は「瀕死の」「衰退期の」という意味ですが、その語源はラテン語の「moribundus」に由来します。これは「死にかけている」という意味の言葉で、「mori」(死ぬ)という動詞の未来分詞形です。つまり、「これから死ぬであろう」という状態を表しています。日本語で例えるなら、「今まさに息絶え絶えの状態」といったニュアンスに近いでしょう。接頭辞や接尾辞による分解は難しい単語ですが、「mori」という「死」を意味する核となる部分が、この単語の持つ意味合いを強く決定づけています。このように、ラテン語の「mori」という根源的な概念が、「moribund」を通じて現代英語に受け継がれているのです。
暗記法
「moribund」は単に「瀕死」を意味しません。かつて栄華を誇った帝国が朽ち果てるように、社会、文化、制度が活力を失い崩壊寸前にある状態を指します。社会や政治の評論では、時代遅れの法律や国民の支持を失った政権が終末に向かう様を鮮やかに表現。失恋や夢を諦めた心の深い絶望、無力感も表します。変化を拒み革新を怠った業界や危機に瀕した生態系もまた「moribund」なのです。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に語尾の 'bund' と 'bid' の区別が難しい。スペルも 'morbi-' の部分が共通しているため、視覚的にも混同しやすい。『moribund』が『瀕死の』という意味であるのに対し、『morbid』は『病的な、陰鬱な』という意味であり、意味合いも大きく異なる。日本語学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要がある。語源的には、どちらもラテン語の『mori(死ぬ)』に由来するが、接尾辞が異なるため意味が変化している。
最初の2音節が同じで、発音とスペルが類似しているため、混同される可能性がある。『mordant』は『痛烈な、辛辣な』という意味で、比喩的に使われることが多い。『moribund』とは意味が大きく異なるため、文脈で判断する必要がある。発音記号を確認し、アクセントの位置に注意すると区別しやすい。
語尾の '-ant' の響きが、曖昧母音化すると '-und' と似ているため、発音上の混同が起こりやすい。また、どちらも状態を表す形容詞であるため、意味的にも誤解を招く可能性がある。『dormant』は『休眠中の、活動を休止している』という意味であり、『moribund』とは状態の方向性が異なる。単語のイメージを関連付けて覚えることで、区別しやすくなる。
語尾の '-bound' が '-bund' と類似しており、発音を聞き間違えやすい。また、『re-』の接頭辞が付くことで、意味が変化することも混乱の元となる。『rebound』は『跳ね返る、回復する』という意味であり、物理的な跳ね返りや、状況の回復を指す。文脈を注意深く読み、どちらの単語が意味的に適切かを判断することが重要。
語中の 'rb' の音と、語尾の 'id' の響きが『moribund』と一部類似しているため、発音上の混同が生じやすい。『turbid』は『濁った、混乱した』という意味で、液体や状況の状態を表す。『moribund』とは意味が大きく異なるため、文脈を理解することが区別の鍵となる。発音記号を確認し、それぞれの音を正確に発音する練習をすることが有効。
音節数と母音の配置が似ており、特に早口で発音された場合に聞き間違えやすい。『marooned』は『孤立させられた、置き去りにされた』という意味で、人や物が特定の場所から動けなくなった状態を表す。『moribund』とは意味が大きく異なるため、文脈から判断する必要がある。単語のイメージを視覚的に捉え、関連付けて覚えることで、記憶に定着しやすくなる。
誤用例
『moribund』は『瀕死の』という意味合いが強く、回復の兆しが見られる状態とは相容れません。日本語の『危篤』という言葉から連想して、一見深刻な状態からの回復を表現しようとする際に誤用されやすいです。英語では、回復の兆しは 'showing signs of recovery' のように具体的に表現します。また、日本語の『危篤』には、家族が驚き喜ぶような劇的な回復というニュアンスが含まれることがありますが、英語では、回復は段階的で緩やかなものとして捉えられることが多いです。
『moribund』は、比喩的に組織や制度が『死にかけている』状態を指すこともありますが、文字通り『死』に直面しているニュアンスが非常に強い単語です。そのため、まだ活動の余地がある企業に対して使うと、過度に悲観的な印象を与えます。より穏やかな表現としては、'ailing'(病んでいる)が適切です。日本人は、英語の比喩表現を直訳的に捉え、その語源の持つ強いイメージを十分に考慮せずに使ってしまうことがあります。特に、生死に関わる言葉は、そのニュアンスが強いため注意が必要です。
『moribund』は、完全に活動が停止している状態、あるいは近い将来そうなることがほぼ確実な状態を指します。新しいビジネスを始めるという行為は、少なくとも活動の兆しがあることを示唆するため、『moribund』とは矛盾します。ここでは、より緩やかな状態を表す 'in decline'(衰退している)が適切です。日本人は、英語の単語を覚える際に、その単語が持つ『状態の程度』を意識せずに、似た意味の単語と混同してしまうことがあります。特に、状態を表す単語は、その程度を意識して使い分ける必要があります。
文化的背景
「moribund」は、単に「瀕死の」という意味を超え、社会や文化、制度などが活力を失い、衰退・崩壊寸前にある状態を指す言葉として、深い文化的含みを持つ単語です。それはまるで、かつて栄華を誇った帝国が、ゆっくりと、しかし確実に朽ち果てていく様を想起させます。この言葉は、単なる生物的な死だけでなく、組織や思想、さらには文明全体の終焉を暗示する、重く、そして悲しい響きを持っています。
「moribund」が特にその力を発揮するのは、社会や政治の評論においてです。例えば、時代遅れになった法律や、国民の支持を失った政権を評する際に、「moribund」は、その対象がもはや自己を再生する力を持たず、終末に向かっていることを鮮やかに表現します。19世紀末から20世紀初頭にかけてのヨーロッパ社会を描いた文学作品では、貴族社会の没落や、伝統的な価値観の崩壊を象徴する言葉として頻繁に登場しました。それは、過去の栄光にしがみつきながら、変化の波に乗り切れず、緩やかに死を迎える社会の姿を描き出しています。この言葉は、単なる現状の批判にとどまらず、未来への警鐘としての役割も担っているのです。
また、「moribund」は、人間の感情や精神状態を表す際にも用いられます。例えば、失恋によって心が「moribund」になった、あるいは、長年の夢を諦めざるを得なくなり、希望が「moribund」になった、というように、深い絶望や無力感を表す際に、この言葉は非常に効果的です。それは、単なる悲しみや落ち込みではなく、自己の一部が死んでしまったかのような、より深刻な感情を表しています。このような用法は、個人の内面世界における崩壊や終焉を描写する際に、文学作品や詩においてしばしば見られます。
現代社会においても、「moribund」は、特定の業界やビジネスモデルが時代遅れになったり、環境問題によって生態系が危機に瀕している状況を表現する際に用いられます。それは、変化を拒み、革新を怠った結果、緩やかに死に向かっている状態を指し示す、強力なメタファーとして機能します。この言葉を聞くとき、私たちは、目の前の状況が単なる一時的な危機ではなく、より深刻な、不可逆的な終焉の前兆である可能性を意識する必要があるのです。そして、その終焉を避けるためには、何が必要なのかを真剣に考えるべきでしょう。
試験傾向
準1級以上で出題される可能性あり。
1. **出題形式**: 主に長文読解問題で、文脈から意味を推測する形式。
2. **頻度と級・パート**: 準1級以上。1級でより頻出。
3. **文脈・例題の特徴**: 環境問題、社会問題、歴史など、やや硬めのテーマの長文。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 「瀕死の」「衰退期の」という意味を覚え、関連語句(mortal, deathなど)と合わせて学習すると効果的。比喩表現で使われることも多い。
この試験での出題頻度は低め。
1. **出題形式**: 主にPart 7の長文読解。
2. **頻度と級・パート**: TOEIC全体で見ると頻度は低い。
3. **文脈・例題の特徴**: 企業の業績や市場動向に関する文章で、比喩的に使われる可能性あり。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: TOEIC対策としては優先度は低いが、語彙力増強の一環として覚えておくと良い。
アカデミックな文脈で出題される可能性あり。
1. **出題形式**: 主にReadingセクションの長文読解。
2. **頻度と級・パート**: TOEFL iBTで出題される可能性あり。
3. **文脈・例題の特徴**: 歴史、社会学、生物学など、アカデミックなテーマの文章。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 文脈から正確な意味を把握することが重要。類義語(declining, decayingなど)とのニュアンスの違いも理解しておくと役立つ。
難関大学の二次試験で出題される可能性あり。
1. **出題形式**: 主に長文読解問題で、文脈から意味を推測する形式や、内容説明問題。
2. **頻度と級・パート**: 難関大学の入試問題で出題される可能性あり。
3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、環境問題、哲学など、硬めのテーマの文章。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 比喩的な意味で使われることが多いので、文脈を正確に把握することが重要。語源(mori- = death)を知っておくと、意味を推測しやすくなる。