imbue
最初の /ɪ/ は日本語の『イ』よりも口を少し開いて発音する短い母音です。/m/ は唇をしっかりと閉じて鼻から息を抜く音。強勢は /bjuː/ にあります。『ビュー』は、唇を丸めて前に突き出すように発音する長母音 /uː/ で終わります。全体として、リズムを意識して発音するとより自然に聞こえます。
染み込ませる
液体や思想、感情などを、ゆっくりと内部まで浸透させるイメージ。物理的なものだけでなく、精神的な影響を表す際にも使われる。
Our new leader tried to imbue the team with confidence.
私たちの新しいリーダーは、チームに自信を染み込ませようとしました。
※ この例文は、新しいリーダーがチームメンバーに「自信」という感情を深く植え付けようと努力している様子を描いています。「imbue」は、このように「人やグループに特定の感情や精神を深く染み込ませる」という場面でよく使われます。典型的な形は「imbue A with B(AにBを染み込ませる)」です。
Parents often try to imbue their children with good values.
親はしばしば、子供たちに良い価値観を染み込ませようとします。
※ この例文は、親が子供たちに「正直さ」や「優しさ」といった「良い価値観」を教え、心に深く根付かせようとしている温かい情景を示します。「imbue」は、教育や育成を通じて「思想や価値観を深く浸透させる」という場合にも非常によく使われる単語です。ここでも「imbue A with B」の形が使われています。
The artist wanted to imbue her painting with deep emotion.
その芸術家は、自分の絵に深い感情を染み込ませたかった。
※ この例文は、画家が単なる技術だけでなく、自分の心の中にある「深い感情」を作品に込めようと集中している姿を描いています。「imbue」は、芸術作品や創造物に「作者の魂や感情を吹き込む、染み込ませる」という文脈でも自然に使われます。物理的に染み込ませるというより、精神的な影響を与えるニュアンスが強いのが特徴です。
吹き込む
ある性質や感情を、意識的に、または自然に相手に与えるニュアンス。希望や勇気などを与える場合にも使える。
The old cafe's warm lights imbue the room with a cozy feeling.
その古いカフェの温かい光が、部屋に居心地のよい雰囲気を吹き込んでいる。
※ この例文では、カフェの「温かい光」が部屋全体に「居心地の良さ」という感覚を深く与えている様子を描写しています。imbueは、場所や物に特定の雰囲気や感情が自然と染み渡る、または意図的に与えられる場合によく使われます。
Our history teacher always tries to imbue us with a love for learning.
私たちの歴史の先生は、いつも私たちに学ぶことへの愛情を吹き込もうとしています。
※ ここでは、先生が生徒たちに「学ぶことへの愛情」というポジティブな価値観や感情を、熱意をもって「深く教え込もうとしている」様子がわかります。imbueは、人々の心に特定の思想、感情、または美徳などを「注入する」際にも使われます。
The artist tried to imbue her painting with a sense of peace.
その画家は、自分の絵に平和の感覚を吹き込もうとしました。
※ この例文は、画家が自分の作品に「平和の感覚」という抽象的な性質や感情を「込めようとしている」場面を描いています。imbueは、芸術作品や創造物などに、作り手の意図や特定の感情、抽象的な性質を「深く染み込ませる」場合にも適しています。
深く影響する
長期にわたり、人格や性質、考え方に強い影響を与えること。良い影響にも悪い影響にも使われる。
Her grandmother's stories imbued the children with a deep sense of wonder.
おばあちゃんの物語は、子供たちの心に深い「わくわくする気持ち」を植え付けました。
※ この例文では、おばあちゃんが語る物語が、子供たちの心に「不思議に思う気持ち」や「感動」といった感情を深く染み込ませる様子を描いています。子供たちが物語に聞き入ることで、心が豊かになる情景が目に浮かびますね。'imbue A with B' の形で「AにBを深く染み込ませる」という意味になります。
The old, quiet library was imbued with a peaceful and calm atmosphere.
その古くて静かな図書館は、平和で落ち着いた雰囲気に満たされていました。
※ ここでは、場所である「古い図書館」が「平和で落ち着いた雰囲気」を深く帯びている様子を表しています。図書館に入った瞬間に、その場の空気全体から安らぎが伝わってくるような感覚です。'be imbued with' の形は「~で満たされている」「~の雰囲気を帯びている」といった受動的な意味でよく使われます。
The coach's inspiring words imbued the team with confidence before the big game.
コーチの感動的な言葉は、大一番の試合前にチームに自信を深く植え付けました。
※ この例文は、コーチの熱い言葉が、選手たちの心に「自信」という感情を強く吹き込む場面を描写しています。選手たちがコーチの言葉に励まされ、不安を乗り越えて自信を持つようになる様子が伝わりますね。このように、言葉や行動が相手の感情や精神状態に大きな影響を与える場合によく使われます。
コロケーション
~の感覚を染み込ませる、~の気持ちを深く抱かせる
※ この構文は、ある感情や性質を人や物に深く浸透させることを意味します。例えば、「The music imbued the audience with a sense of hope.(その音楽は聴衆に希望の念を染み込ませた)」のように使われます。 'imbue with' は、単に何かを与えるだけでなく、それが深く根付くようなニュアンスを含んでいます。特に、芸術作品や自然などが、人々に特定の感情や考えを抱かせる状況でよく用いられます。フォーマルな場面や文学的な表現に適しています。
伝統を染み込ませる、伝統に深く根ざさせる
※ この表現は、ある場所、物、または活動が、長い歴史の中で培われた伝統や習慣を強く反映していることを意味します。「The festival is imbued with tradition. (その祭りは伝統に深く根ざしている)」のように使われます。単に伝統を守るだけでなく、それが本質的な要素として組み込まれているニュアンスがあります。歴史的建造物、儀式、または特定の文化活動を説明する際によく用いられます。
自信を植え付ける、自信を持たせる
※ この表現は、人や組織に自信を与えることを意味します。「The coach imbued the team with confidence. (コーチはチームに自信を植え付けた)」のように使います。'instill confidence' と似ていますが、'imbue' はより深く、内面から湧き上がるような自信をイメージさせます。ビジネスシーンや教育現場で、リーダーシップやモチベーション向上に関連して使われることがあります。
価値観を教え込む、価値観を染み込ませる
※ このフレーズは、特定の価値観や倫理観を人々に深く浸透させることを意味します。例えば、「Parents try to imbue their children with strong moral values.(親は子供たちに強い道徳的価値観を教え込もうとする)」のように使われます。'instill values' と似ていますが、'imbue' はより長期的な影響や、人格形成における深い関与を示唆します。教育や宗教、社会倫理に関連する文脈でよく用いられます。
雰囲気を染み込ませる、雰囲気を醸し出す
※ この表現は、特定の感情や雰囲気が場所や状況全体に広がり、満たしている状態を表します。「The music imbued the atmosphere with romance.(その音楽は雰囲気をロマンスで染め上げた)」のように使われます。'fill the atmosphere' と似ていますが、'imbue' はより微妙で、目に見えない影響力を示唆します。芸術、イベント、または自然環境の描写において、感情的な影響を強調する際に適しています。
~を帯びている、~に満ちている
※ 受動態で使われるこの形は、人や物が特定の性質や感情を強く持っている状態を表します。「The painting is imbued with sadness.(その絵は悲しみを帯びている)」のように使われます。'filled with' と似ていますが、'imbued with' はより深い、内面的な性質を示唆します。文学的な文脈や芸術評論において、作品の感情的な深さを表現する際に適しています。
色を染み込ませる、色鮮やかにする
※ この表現は、文字通り色を染み込ませる意味でも使われますが、比喩的には、活気や個性を与えるという意味合いでも用いられます。「The artist imbued the canvas with vibrant colors.(芸術家はカンバスを鮮やかな色彩で染め上げた)」のように使われます。単に色を加えるだけでなく、それが作品全体に深い影響を与えるニュアンスがあります。美術、デザイン、または文学的な表現において、視覚的な印象を強調する際に適しています。
使用シーン
学術論文や研究発表で、ある概念や理論が深く浸透している状況を表現する際に用いられます。例えば、「この研究は、既存の理論に新たな視点を吹き込むものである」のように、研究の意義や影響力を強調する文脈で使われます。文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、企業文化や価値観が従業員に深く根付いていることを示す際に使われることがあります。例えば、「当社の研修プログラムは、社員一人ひとりに顧客第一主義の精神を染み込ませることを目的としています」のように、ややフォーマルな場面で用いられます。報告書やプレゼンテーション資料などで見かけることがあります。
日常会話ではほとんど使われませんが、ニュース記事や書籍などで、ある思想や感情が社会全体に広まっている様子を表現する際に用いられることがあります。例えば、「その映画は、観客に希望と勇気を吹き込んだ」のように、間接的な表現として用いられることが多いです。少し硬い印象を与えるため、日常会話ではより平易な言葉が好まれます。
関連語
類義語
『浸透する』『染み込む』という意味。液体、気体、思想、影響などが広範囲に、あるいは完全に浸透する様子を表す。学術的な文脈や、ややフォーマルな場面で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『imbue』が感情や性質などを付与するニュアンスを含むのに対し、『permeate』は単に広がり浸透する事実に焦点を当てる。主語は抽象的な概念や物理的な物質であり、人であることは少ない。 【混同しやすい点】『permeate』は他動詞としても自動詞としても使えるが、日本人は他動詞として使う場合に目的語を省略しがち。例えば、「香りが部屋に染み渡る」は「The scent permeated the room.」のように目的語が必要。
『飽和させる』『浸す』という意味。液体で完全に満たす、あるいは情報や感情で満たすことを指す。科学的な文脈や、過剰な状態を表す際に用いられる。 【ニュアンスの違い】『imbue』が徐々に染み込ませるイメージであるのに対し、『saturate』は完全に満たすという点で強度が強い。また、『saturate』はしばしば否定的な意味合いを伴う(例:市場の飽和)。 【混同しやすい点】『saturate』は物理的な対象だけでなく、抽象的な対象(市場、情報など)にも使える。しかし、感情や道徳観を『saturate』することは稀で、通常は『imbue』が用いられる。
- infuse
『注入する』『吹き込む』という意味。液体に成分を抽出したり、感情や性質を徐々に与えたりする際に使う。料理、医療、文学など幅広い分野で用いられる。 【ニュアンスの違い】『imbue』が対象全体に染み込ませるイメージなのに対し、『infuse』は特定の要素を注入するイメージ。また、『infuse』は『tea』のように液体に成分を抽出する意味合いも持つ。 【混同しやすい点】『infuse』は他動詞であり、必ず目的語を必要とする。また、比喩的な意味で使う場合、『infuse A with B』(AにBを注入する)という形を誤って『infuse B into A』としてしまうことがある。
『徐々に教え込む』『植え付ける』という意味。価値観、信念、知識などを時間をかけて教え込む際に使う。教育や訓練の文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『imbue』が感情や雰囲気を染み込ませるのに対し、『instill』は意図的に教え込むというニュアンスが強い。主語は通常、教育者や指導者などの人物である。 【混同しやすい点】『instill』は抽象的な概念(価値観、信念など)に対してのみ用いられ、物理的な対象には使われない。また、『instill A in/into B』(BにAを植え付ける)という形を誤って使うことがある。
- ingrain
『染み込ませる』『深く根付かせる』という意味。習慣、信念、考え方などが深く根付いている状態を表す。心理学や社会学の文脈で用いられる。 【ニュアンスの違い】『imbue』が比較的短期間での影響を表すのに対し、『ingrain』は長期間にわたって形成された、容易には変わらない状態を表す。無意識的なレベルでの影響も含む。 【混同しやすい点】『ingrain』は通常、受動態で用いられることが多い(例:The belief is ingrained in their minds.)。能動態で使う場合は、再帰代名詞を伴うことが多い(例:He ingrained the habit in himself.)。
『色をつける』『影響を与える』という意味。文字通り色を塗る場合と、意見や判断に影響を与える比喩的な意味がある。日常会話からビジネスまで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】『imbue』が感情や性質を深く染み込ませるイメージなのに対し、『color』は表面的な影響や偏りを加えるイメージ。しばしば主観的な意見や感情が影響することを意味する。 【混同しやすい点】『color』は比喩的な意味で使う場合、しばしば否定的なニュアンスを帯びる(例:His judgment was colored by prejudice.)。また、感情や道徳観を『color』することは一般的ではなく、通常は『imbue』が用いられる。
派生語
『具現化する』という意味の動詞。『em- (中に)』+『body (肉体)』で、『精神や性質を肉体に宿らせる』というイメージ。抽象的な概念を具体的に表現する際に用いられ、ビジネスや文学の分野で頻出。例えば、『会社の理念を体現する』のように使う。
- immanent
『内在する』という意味の形容詞。『im- (中に)』+『manere (留まる)』が語源。『神が世界に内在する』のように、哲学や神学の文脈で、ある性質や存在が内部に深く根ざしている状態を表す。日常会話での使用頻度は低いが、学術論文では見られる。
『浸透する』という意味の動詞。『per- (通って)』+『meare (行く)』が語源。『液体や思想が広範囲に浸透する』という意味合いで、物理的な浸透だけでなく、影響力や思想の浸透も表す。科学論文やビジネス文書でよく使用される。
反意語
『排出する』という意味の動詞。『imbue』が『染み込ませる』という意味なのに対し、『drain』は液体や感情などを『抜き取る』意味を持つ。例えば、『感情を染み込ませる』(imbue)と『感情を抜き取る』(drain)のように、感情やエネルギーの方向性が対照的。
『抽出する』という意味の動詞。『imbue』が『含ませる』という意味なのに対し、『extract』は本質的な要素を『取り出す』意味を持つ。コーヒー豆から成分を抽出する、論文から重要な情報を抽出する、などの文脈で使用され、学術的な場面でも頻出する。
- divest
『脱ぎ捨てる』『取り除く』という意味の動詞。『de- (分離)』+『vest (衣服)』が語源。『(感情、性質)を取り除く』という意味で、例えば『偏見を取り除く』のように使用される。ビジネスシーンでは『投資を撤退する』という意味でも使われ、抽象的な意味合いで『imbue』と対比される。
語源
「imbue」は、ラテン語の「imbuere」(染み込ませる、浸す)に由来します。これは、「in-」(中に)と「buere」(飲む)という二つの要素から構成されています。「buere」は古代インド・ヨーロッパ祖語の語根「*peu-」(飲む)に遡り、英語の「beverage」(飲み物)や「imbibe」(吸収する)とも関連があります。つまり、「imbue」は元々「中に飲み込ませる」というイメージから、「液体を染み込ませる」という意味合いを持ち、そこから比喩的に「思想や感情を深く染み込ませる、吹き込む」という意味へと発展しました。たとえば、職人が素材に色を染み込ませるように、教育や経験を通して人の心に価値観を深く根付かせる様子を表現するのに適しています。
暗記法
「imbue」は、錬金術師が魂の変容を願ったように、内面に深く染み込む影響力を意味します。それはワインが時間をかけて熟成するように、人格や文化をじっくりと変質させる力。指導者の演説が聴衆を駆り立て、芸術作品が観る者の心を捉えるように、感情や思想を深く刻み込みます。企業がブランドに価値観を込めるように、社会や個人の本質を形作る、深遠な概念なのです。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の 'bue' と 'pute' の区別が難しい。スペルも 'mb' と 'p' の違いのみ。意味は『(責任などを)帰する』であり、imbue が『染み込ませる』という意味であるのとは異なる。混同すると責任の所在を曖昧にする可能性があるので注意。
発音が似ており、特に語頭の母音と語尾の 'm' の音が共通しているため、混同しやすい。スペルも 'im' で始まる点が共通している。意味は『免疫のある』で、文脈も異なる。医療や健康に関する話題では特に注意が必要。
意味が一部重なる可能性がある。『具現化する』という意味で、imbue が『思想などを染み込ませる』という意味合いを持つ場合、embody と似た意味になることがある。しかし、embody はより具体的な形を与えるニュアンスが強い。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。
スペルが似ており、特に 'mb' の部分が共通している。発音も一部似ているため、混同しやすい。意味は『(遺体を)防腐処理する』であり、全く異なる。医療や葬儀に関する文脈では特に注意が必要。
"imbue"とは異なりイディオムですが、スペルや発音の類似性から混同される可能性があります。 "in view of"は「〜を考慮して」という意味で使われ、文章の構造も大きく異なります。例えば、 "In view of the weather, we canceled the trip." (天候を考慮して、旅行を中止しました。)のように使われます。文章全体を読んで意味を把握することが重要です。
語頭の 'am' と 'im' が視覚的に類似しており、スペルミスしやすい。また、どちらも抽象的な概念を表す単語であるため、意味的にも混同する可能性がある。『曖昧な』という意味で、imbue が『染み込ませる』という意味であるのとは異なる。ambiguous は、複数の解釈が可能であることを指す。
誤用例
『Imbue』は、感情や性質を『染み込ませる』『吹き込む』という意味合いが強く、良い意味で使われることが多いです。一方、『instill』は、必ずしも良い意味ではなく、感情や考えを徐々に植え付けるニュアンスがあります。この文脈では、怒りというネガティブな感情なので、『instill』を使う方が適切です。日本人が『〜を吹き込む』という日本語から直訳しようとすると、良い意味でも悪い意味でも『imbue』を選んでしまいがちですが、英語では感情の方向性によって動詞を使い分ける必要があります。
『Imbue』は、良い性質や感情、あるいは抽象的な概念を『染み込ませる』という意味で使われます。『Ego(エゴ)』は通常、ネガティブな意味合いで使われるため、作品に『エゴを染み込ませる』という表現は不自然です。代わりに、『passion(情熱)』のようなポジティブな言葉を使うことで、作品に込められた強い感情を適切に表現できます。日本人は『自我』や『個性』を強調する際に『エゴ』という言葉を使いがちですが、英語では注意が必要です。
『Imbue』は、実際に何かが染み込む、吹き込まれるという客観的な事実を述べる際に適しています。しかし、この文脈では、超自然的な力が本当に与えられたかどうかは不明であり、あくまで『そう主張している』というニュアンスが含まれています。したがって、『was believed to imbue(〜すると信じられていた)』という受動態の形を使うことで、客観的な事実ではなく、人々の信念や伝承を表現する方が適切です。日本人は、主観的な意見や伝承を客観的な事実のように述べてしまう傾向があるため、英語では注意が必要です。
文化的背景
「imbue」は、単に色や香りを染み込ませるだけでなく、思想や感情を深く浸透させ、人格や文化、社会全体を形作る力強い影響力を表します。まるで、長い時間をかけて醸造されるワインのように、徐々に、しかし確実に、対象の本質を変えていくイメージです。
この単語が持つ文化的背景を理解する上で重要なのは、中世ヨーロッパにおける錬金術の存在です。錬金術師たちは、卑金属を金に変えるだけでなく、人間の魂を浄化し、高めることを目指しました。「imbue」は、まさにこの魂の変容という概念と深く結びついています。賢者の石を溶かした液体が、物質に新たな価値を吹き込むように、「imbue」は人々に特定の価値観や信念を注入し、その行動や思考様式を根本から変えていくのです。たとえば、ある指導者のカリスマ的な演説は、聴衆の心に愛国心を「imbue」し、彼らを大胆な行動へと駆り立てます。また、厳しい修行を積んだ武道家は、武士道精神を「imbue」され、自己犠牲を厭わない高潔な人格を形成します。
さらに、「imbue」は、芸術作品が観る者に与える深い感動や影響力とも関連付けられます。ある画家が、自身の作品に強烈な感情やメッセージを「imbue」することで、観る者の心に永続的な印象を残すことがあります。音楽、文学、演劇など、あらゆる芸術形式において、「imbue」は作品の背後にある思想や感情を、鑑賞者の心に深く刻み込む役割を果たします。たとえば、シェイクスピアの悲劇は、人間の弱さや葛藤を観客に「imbue」し、彼らに深い共感と内省を促します。
現代社会においては、「imbue」は、企業文化やブランドイメージを構築する上でも重要な概念となっています。企業は、自社の製品やサービスに特定の価値観やメッセージを「imbue」することで、顧客の心に強い印象を与え、ブランドロイヤリティを高めようとします。たとえば、環境保護を重視する企業は、その姿勢を製品開発やマーケティング活動に「imbue」し、環境意識の高い顧客層からの支持を得ようとします。このように、「imbue」は、単なる言葉以上の意味を持ち、文化、芸術、社会、そして個人の内面に深く根ざした、影響力のある概念として存在しているのです。
試験傾向
1. 出題形式: 主に語彙問題(短文空所補充)。長文読解でも文脈理解を問う形で出題の可能性あり。2. 頻度と級・パート: 準1級以上で出題される可能性が高い。1級でもまれに出題。3. 文脈・例題の特徴: アカデミックな内容、社会問題、環境問題など、やや硬めのテーマで登場しやすい。4. 学習者への注意点・アドバイス: 動詞としての「染み込ませる」「吹き込む」という意味を理解する。類義語(infuse, permeate)とのニュアンスの違いを把握しておくと有利。
1. 出題形式: Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解問題)で出題される可能性あり。2. 頻度と級・パート: TOEIC全体では出題頻度はそれほど高くないが、ビジネス関連の文章でまれに見られる。3. 文脈・例題の特徴: 企業の理念、ブランドイメージ、組織文化など、抽象的な概念を説明する文脈で使われることが多い。4. 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンにおける「影響を与える」「浸透させる」といった意味合いを理解する。類義語(instill, inspire)との使い分けを意識する。
1. 出題形式: リーディングセクションで頻出。2. 頻度と級・パート: TOEFL iBTで頻繁に出題される語彙の一つ。3. 文脈・例題の特徴: 歴史、社会科学、自然科学など、アカデミックなテーマの文章で登場する。抽象的な概念や思想が「染み込んでいる」状態を表すことが多い。4. 学習者への注意点・アドバイス: 動詞としての意味(染み込ませる、吹き込む)だけでなく、派生語(imbued with)の形でも覚えておく。文脈から意味を推測する練習を重ねる。
1. 出題形式: 主に長文読解問題。文脈における意味を問う問題や、同意語・反意語を選択する問題として出題される可能性あり。2. 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題で出題される傾向がある。3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、文化、歴史、哲学など、抽象的でアカデミックなテーマの文章で登場しやすい。4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習を徹底する。難易度の高い単語帳や長文問題集で、様々な文脈における「imbue」の用法を確認する。