heave
二重母音 /iː/ は日本語の『イー』よりも長く伸ばし、口角を左右に引くイメージです。語尾の /v/ は有声の唇歯摩擦音で、上の前歯を下唇に軽く当てて息を摩擦させながら『ヴ』と発音します。日本語の『ブ』とは異なり、喉を震わせるのがポイントです。
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持ち上げる
重いものや大きなものを、力を込めて持ち上げる動作。物理的な力だけでなく、組織やプロジェクトを推進するような比喩的な意味合いも含む。
He had to heave the heavy suitcase onto the luggage rack.
彼は重いスーツケースを荷物棚によっこいしょと持ち上げなければならなかった。
※ 空港や駅で、旅行者が大きなスーツケースを高い棚に持ち上げようと苦労している情景が目に浮かびます。「heave」は、単に「持ち上げる」だけでなく、かなりの力を込めて「ぐいっと」動かす、というニュアンスを強調します。重いものに対してよく使われます。
The rescue team worked to heave the fallen tree off the road.
救助隊は、倒れた木を道からどかすために力を合わせて持ち上げた。
※ 大雨や嵐の後、道に倒れた大きな木を複数の人が協力して動かしている場面です。この例文では、「heave」が、単独では動かせないような非常に重いものを、労力をかけて動かす様子を表しています。チームでの作業や、困難な状況で使われることが多いです。
My dad helped me heave the big bag of soil into the garden.
父は私が大きな土の袋を庭によっこいしょと運び込むのを手伝ってくれた。
※ 家庭菜園や庭仕事で、重い土の袋を運んでいる親子が協力している情景です。一人では持ち上げるのが大変なものを、誰かの助けを借りて「ぐいっと」動かす時に「heave」が使われます。日常的な手伝いの場面でも自然に使えます。
吐く
胃の内容物を口から出すこと。強い不快感や緊急性を伴うことが多い。
As the boat rocked wildly, she felt her stomach heave.
船が激しく揺れて、彼女は胃がせり上がるような感じがしました。
※ 荒れる海で船が揺れ、気分が悪くなる情景です。「heave」は、このように乗り物酔いなどで「胃がむかつく」「吐き気を催す」という状況でよく使われます。特に「feel one's stomach heave」は「胃がむかつく」という決まった言い方です。
After eating the spoiled food, he started to heave.
腐った食べ物を食べた後、彼は吐き気を催し始めました。
※ 食あたりや体調不良で、急に吐き気がこみ上げてくる場面です。「start to heave」で「吐き気がし始める」という変化を表します。実際に吐く前段階の「えづく」「むかつく」という動作を自然に表現しています。
The terrible smell of garbage made him heave.
ひどいゴミの匂いに彼は吐き気を催しました。
※ 非常に不快な匂いや光景に遭遇し、思わず「えづいてしまう」「吐きそうになる」という状況です。「make someone heave」は「〜に吐き気を催させる」という意味で、強い嫌悪感や不快な刺激が原因で吐き気を催す場合に典型的に使われます。
持ち上げること
重いものを持ち上げる動作そのもの。または、努力や支援によって状況が改善されること。
A big heave was needed to lift the heavy box.
その重い箱を持ち上げるには、大きな持ち上げ動作が必要でした。
※ 目の前にとても重そうな箱があります。持ち上げようとしてもビクともしません。そこで「うーん!」と力を込めて、一気に持ち上げる。この「ぐっと持ち上げる動作」を「a big heave」と表現しています。名詞のheaveは、このように力を込めて何かを持ち上げたり、動かしたりする時の「ひと動作」を指すことが多いです。
With a mighty heave, he pulled his friend onto the boat.
力強い持ち上げ動作で、彼は友達をボートに引き上げました。
※ 水に落ちてしまった友達がいます。彼が手を差し伸べ、友達をボートに引き上げようとします。「うりゃー!」と渾身の力を込めて、一気に引き上げる。この「力強い引き上げ動作」が「a mighty heave」です。「with a heave」は「ぐっと持ち上げる(引く)動作と共に」という意味で、非常によく使われる表現です。
She gave the old sofa a final heave to move it.
彼女は古いソファを動かすために、最後にもう一度ぐっと持ち上げました。
※ 部屋の模様替えで、重くてなかなか動かない古いソファを一人で押したり引いたりしています。もう疲れてきたけれど、あと少しで動かせそう!と、最後に「えいっ!」と力を込めて持ち上げる動作が「a final heave」です。「give something a heave」は「~をぐっと持ち上げる/動かす」という形で、日常会話でもよく使われます。
コロケーション
ため息をつく
※ 「heave」はここでは「重いものを持ち上げる」という原義から転じて、「感情が胸からわき上がる」ニュアンスを表します。ため息は、抑えきれない感情(安堵、失望、悲しみなど)が自然と口から漏れ出る行為です。単に'sigh'と言うよりも、感情の強さや深さを強調したい場合に用いられます。例えば、長年の苦労が報われた瞬間に「heave a sigh of relief(安堵のため息をつく)」のように使います。日常会話でも使われますが、やや文学的な響きがあります。
視界に現れる、姿を現す
※ 大きなものや、動きの遅いものが、ゆっくりと視界に入ってくる様子を表します。「heave」の「重いものを苦労して動かす」というニュアンスが、視界に現れる対象の大きさや、動きの緩慢さを強調します。例えば、霧の中から巨大な船がゆっくりと姿を現すような状況を「The ship heaved into view through the fog.」と表現できます。主に文章で使われ、口語ではあまり使いません。
ロープを投げる
※ 船乗り言葉で、船を岸壁に繋いだり、他の船にロープを渡したりする際に使われます。「heave」は「力を込めて投げる」という意味合いを持ち、ロープを遠くまで、または正確な場所に投げる必要性を示唆します。単に'throw a rope'と言うよりも、専門的な、あるいは緊急性のある状況で使われることが多いです。海事関係の文脈以外ではあまり使われません。
肩をすくめる
※ 「heave」はここでは、通常よりも大きく、あるいは不自然なほど肩を動かす様子を表します。無関心、無知、または諦めを表すジェスチャーとして、通常の肩をすくめる動作よりも、感情的なニュアンスが強くなります。例えば、うんざりした表情で「He heaved his shoulders and walked away.(彼は肩をすくめて歩き去った)」のように使います。日常会話でも使われますが、やや演劇的な表現です。
感情で胸がいっぱいになる、胸が締め付けられる
※ 「heave」は、感情が激しく高ぶり、呼吸が乱れるほどの状態を表します。喜び、悲しみ、怒りなど、強い感情によって胸が締め付けられるような感覚を伴います。例えば、感動的なスピーチを聞いて「Her chest heaved with emotion.(彼女は感動で胸がいっぱいになった)」のように使います。文学的な表現で、日常会話ではあまり使いません。
(物を)船外に投げ捨てる
※ 文字通りには「船外に放り投げる」という意味ですが、比喩的に「不要なものを捨てる、排除する」という意味合いでも使われます。「heave」の「力を込めて投げる」というニュアンスが、捨てる行為の決意や緊急性を示唆します。例えば、古い習慣や考え方を捨てることを「heave overboard the old habits」と表現できます。海事関係の文脈だけでなく、ビジネスや政治など、幅広い分野で使われます。
使用シーン
学術論文では、統計データや実験結果を説明する際に、「大量のデータを処理する (heave data)」といった意味で使用されることがあります。物理学の分野では、重い物体を持ち上げる際の力学的な計算を説明する際に使われることもあります。文体はフォーマルで、客観的な記述が求められます。
ビジネスシーンでは、主に重量物を扱う業界(物流、建設など)で、物理的に「持ち上げる」という意味で使用されます。例えば、報告書で「資材をheaveする作業」などと記述されることがあります。また、プロジェクトの推進において、「負担を軽減する (heave a sigh of relief)」という比喩的な意味で、比較的フォーマルな文脈で使用されることがあります。
日常会話では、船乗りや漁師など、特定の職業の人が使うことがあります。例えば、「ロープをheaveする」など。また、体調が悪い時に「吐く」という意味で使われることがありますが、直接的な表現を避けるために婉曲的に使われることが多いです。ニュースやドキュメンタリー番組で、荒れた海で船が大きく揺れる様子を「heave」と表現することがあります。
関連語
類義語
『持ち上げる』という意味で、物理的に何かを持ち上げる動作を表す最も一般的な語。日常会話、ビジネス、学術など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『heave』よりも一般的で中立的な表現。力を込めて持ち上げるニュアンスは薄い。また、『lift』は精神的な意味合い(気分を高揚させるなど)でも使われる。 【混同しやすい点】『heave』は重いものを苦労して持ち上げるイメージが強いのに対し、『lift』は重さに関わらず、比較的容易に持ち上げるニュアンスを含む。自動詞としての用法はない。
『(何かを)上げる』という意味で、物理的なものだけでなく、抽象的なもの(賃金、税金など)を上げる場合にも使われる。ビジネスシーンで頻繁に使用される。 【ニュアンスの違い】『heave』が力を込めて持ち上げる動作に限定されるのに対し、『raise』はより広範な状況で使われ、必ずしも力は必要としない。また、他動詞であり、目的語が必要。 【混同しやすい点】『raise』は他動詞、『rise』は自動詞という区別が重要。『heave』は自動詞としても他動詞としても使えるが、『raise』は他動詞のみ。また、riseは「昇る」という意味合いが強い。
『(旗や荷物などを)巻き上げて上げる』という意味で、ロープや滑車などを使って何かを高く引き上げる動作を表す。船や建設現場など、特定の専門分野でよく使用される。 【ニュアンスの違い】『heave』よりも、道具や機械を使って持ち上げるニュアンスが強い。また、『heave』が必ずしも高く上げることを意味しないのに対し、『hoist』は高く引き上げることを前提とする。 【混同しやすい点】『hoist』は、対象物をロープや滑車で吊り上げるイメージが強く、人力で持ち上げる『heave』とは異なる。また、日常会話での使用頻度は低い。
『投げる』という意味で、何かを勢いよく遠くに投げ出す動作を表す。スポーツ、遊び、ケンカなど、様々な場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『heave』が持ち上げてから投げるという一連の動作を含むことがあるのに対し、『throw』は純粋に投げる動作のみを指す。『heave』は重いものを投げる場合に適している。 【混同しやすい点】『heave』は重いものを持ち上げるニュアンスが強いが、『throw』は重さに関わらず使用できる。また、感情的な意味合い(嘔吐するなど)で『heave』が使われる場合、『throw』では意味が異なる。
- hurl
『(力任せに)投げつける』という意味で、怒りや強い感情を込めて何かを投げつける動作を表す。文学作品やニュース記事などで使用される。 【ニュアンスの違い】『heave』よりもさらに強い感情や勢いを伴う投げ方を表す。『throw』よりも攻撃的なニュアンスが強い。日常会話での使用頻度は低い。 【混同しやすい点】『hurl』は、強い感情を伴って乱暴に投げるイメージが強く、『heave』の持つ苦労して持ち上げるニュアンスとは異なる。また、文語的な表現であり、日常会話では不自然に聞こえることがある。
『(感情などが)込み上げる』『(群衆などが)押し寄せる』という意味で、物理的な動きだけでなく、感情や人々の動きを表す。ニュース、学術論文、文学作品など、幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『heave』が物理的な動作を表すのに対し、『surge』は感情や群衆の動きなど、抽象的な意味合いでも使われる。『heave』の持つ努力や苦痛のニュアンスは含まれない。 【混同しやすい点】『surge』は自動詞として使われることが多く、他動詞としての『heave』とは文法的な構造が異なる。また、物理的な動きよりも、感情や群衆の勢いを表すことが多い。
派生語
『天国』という意味の名詞。古英語の『heofon』に由来し、『heave』の語源であるゲルマン祖語の『habjanan(持ち上げる)』と関連がある。天空を持ち上げるイメージから、神聖な場所、天国を意味するようになった。日常会話から宗教的な文脈まで幅広く使われる。
『重い』という意味の形容詞。『heave』と同じくゲルマン祖語の『habjanan(持ち上げる)』を語源とする。持ち上げるのが大変な状態、つまり重いという意味に発展した。物理的な重さだけでなく、比喩的に『深刻な』状況を表す際にも用いられる。日常会話で頻繁に使われる。
『巻き上げる』という意味の動詞。古フランス語を経由して、『heave』の語源であるゲルマン祖語の『habjanan(持ち上げる)』にたどり着く。重いものをロープや機械で持ち上げる動作を指す。建設現場や船上など、特定の専門的な文脈でよく使われる。
反意語
『落とす』という意味の動詞。『heave』が何かを持ち上げて動かすのに対し、『drop』は重力に従って自然に落下させる。物理的な落下だけでなく、比喩的に『(計画などを)中止する』という意味でも使われる。日常会話で頻繁に使われる。
『下げる』という意味の動詞。『heave』が上方向への力を伴うのに対し、『lower』は位置を低くする、あるいは価値や程度を下げることを意味する。物理的な意味だけでなく、『(期待などを)下げる』のように抽象的な意味でも用いられる。日常会話やビジネスシーンで使われる。
『降りる』という意味の動詞。『heave』が何かを持ち上げて上へ移動させるのに対し、『descend』は高い場所から低い場所へ移動する。山を降りる、階段を降りるなど具体的な場面だけでなく、『(家系などが)〜の子孫である』のように抽象的な意味でも用いられる。日常会話から学術的な文脈まで幅広く使われる。
語源
「heave」は古英語の「hebban」(持ち上げる、上げる)に由来します。これはさらにゲルマン祖語の「hafjanan」(持ち上げる)に遡ります。この語根は、物理的に何かを持ち上げる行為を意味する基本的な概念を表しており、現代英語の「have」(持つ)や「heaven」(天、持ち上げられた場所)とも関連があります。「heave」が「吐く」という意味を持つようになったのは、おそらく嘔吐の際に体が上下する動きから連想されたためでしょう。日本語で例えるなら、「よいしょ」と掛け声をかけながら重いものを持ち上げるイメージが近いかもしれません。このように、もともと「持ち上げる」という具体的な動作を表していた言葉が、比喩的な意味合いを持つようになったのです。
暗記法
「heave」は、重いものを持ち上げる、感情を吐き出す、自然の猛威など、人間の根源的な営みを表す言葉。特に船乗りたちの世界では、帆を上げ、錨を巻き上げる労働は「heave」の連続であり、彼らの生活そのものを象徴する。彼らの「heave ho」の掛け声は、力強さ、団結力、冒険心の象徴。感情の爆発や嘔吐など、内面の葛藤や解放も表す。重量挙げ選手や建設作業員など、現代でも人間の努力、感情、自然の力を表現する普遍的な言葉として生きている。
混同しやすい単語
『heave』と『leave』は、母音と一部子音が共通しているため、特にリスニング時に混同しやすいです。『leave』は「去る」「残す」といった意味の動詞ですが、『heave』は「持ち上げる」「投げる」といった意味合いが強く、意味も大きく異なります。スペルも似ているため、文脈で判断することが重要です。leaveは古英語のlæfan(残す)に由来し、heaveは古英語のhebban(持ち上げる)に由来します。発音記号を意識して区別しましょう。
『heave』と『have』は、発音が似ているだけでなく、どちらも日常会話で頻繁に使われる単語であるため、混同しやすいです。『have』は「持つ」「食べる」「経験する」など、多岐にわたる意味を持つ動詞ですが、『heave』とは意味が全く異なります。haveはゲルマン祖語のhabejananに由来し、heaveは前述の通り古英語のhebbanに由来します。haveの短縮形('ve)とheaveを混同しないよう注意が必要です。
『heave』と『hive』は、母音と末尾の子音が共通しているため、発音が似ています。『hive』は「ミツバチの巣」「人が集まる場所」という意味の名詞で、『heave』とは全く異なる意味を持ちます。スペルも似ているため、文脈で判断することが重要です。hiveは古英語のhyfに由来します。発音記号を意識して区別しましょう。
『heave』と『heavy』は、語源的に関連があり、どちらも「重い」という概念を含みます。しかし、『heavy』は形容詞で「重い」という意味ですが、『heave』は動詞で「持ち上げる」という意味合いが強いです。スペルも似ているため、品詞と意味の違いを意識する必要があります。heavyは古英語のhefigに由来し、heaveの語源であるhebbanも「持ち上げる」と同時に「重さ」の概念を含んでいました。
『heave』と『heal』は、母音の音が似ているため、特にリスニング時に混同しやすいです。『heal』は「癒す」「治す」という意味の動詞で、『heave』とは意味が全く異なります。スペルも似ているため、文脈で判断することが重要です。healは古英語のhælanに由来します。発音記号を意識して区別しましょう。
『heave』と『sieve』は、語尾の「-ve」という綴りが共通しているため、視覚的に混同しやすいです。『sieve』は「ふるい」という意味の名詞で、『heave』とは意味も品詞も異なります。発音も異なりますが、曖昧な発音で聞き取ると混同する可能性があります。sieveは古英語のsifeに由来します。
誤用例
『heave a sigh』は誤りではありませんが、通常は大きな苦痛や努力の後の解放感を伴うため、税金申告の完了のような状況にはやや大げさです。『heave』は、文字通り重いものを持ち上げる、または感情が激しく動く状況に使われます。税金申告のような日常的なタスクの完了には、単に『breathe a sigh of relief』と言う方が自然です。日本人が『ため息をつく』という日本語を安易に英語に直訳しようとすると、語感のずれが生じやすい典型例です。日本語の『ため息』は必ずしもネガティブな感情だけを表すわけではありませんが、英語の『heave』には、より強い感情が込められています。
『heave』は船が波によって上下に大きく揺れる様子を表しますが、港の中など比較的穏やかな水面では不自然です。港内であれば、船が左右に穏やかに揺れる様子を表す『roll』が適切です。日本人は『揺れる』という言葉を幅広く使うため、英語の具体的な揺れ方を表す語彙の使い分けで誤りがちです。また、日本語の『揺れる』は比喩的にも使われますが、英語では物理的な動きを表す単語をそのまま比喩に使うと不自然になることがあります。
『heave』は物理的に何かを力強く持ち上げたり、投げたりするイメージが強く、意見を述べるという文脈には合いません。意見を積極的に、あるいは強引に主張するという意味合いであれば、『thrust』が適切です。日本語の『意見を押し込む』のような表現を直訳しようとすると、不適切な単語を選んでしまうことがあります。英語では、意見や考えを述べる際には、その伝え方や態度を表す動詞を慎重に選ぶ必要があります。文化的な背景として、英語では直接的で積極的な意見表明が好まれる傾向がありますが、それでも相手に配慮した表現を選ぶことが重要です。
文化的背景
「heave」は、古くから人間の根源的な労働や感情、そして自然の力強い動きを表現する言葉として用いられてきました。重いものを持ち上げる肉体的な努力だけでなく、心の重荷を吐き出すような感情的な解放、あるいは嵐や大波といった自然の猛威をも表す、多層的な意味合いを持つ言葉です。
この言葉が特に色濃く表現されるのは、船乗りたちの世界です。帆を上げ、錨を巻き上げ、荒波を乗り越える。船乗りたちの労働はまさに「heave」の連続であり、彼らの生活そのものを象徴しています。彼らは力を合わせてロープをheaveし、船を動かし、海という巨大な力に立ち向かいます。この共同作業は、単なる労働以上の意味を持ち、仲間との絆、そして自然への畏敬の念を育むものでした。文学作品においても、「heave ho」という掛け声とともに描かれる船乗りたちの姿は、力強さ、団結力、そして冒険心を象徴するイメージとして定着しています。
また、「heave」は感情の爆発や吐き出す行為にも使われます。例えば、激しい感情に襲われて「heave a sigh(ため息をつく)」、あるいは重い罪悪感に苛まれて「heave with guilt(罪悪感にさいなまれる)」といった表現があります。これは、心の奥底に押し込められていた感情が、まるで重いものを持ち上げるかのように、苦しみとともに表面化する様子を表しています。さらに、嘔吐する行為を「heave」と表現することも、体内の不要物を力強く吐き出すというイメージと結びついています。これらの用法は、「heave」が単なる物理的な力だけでなく、内面の葛藤や解放をも表現する言葉であることを示しています。
現代においても、「heave」は様々な場面でその多様な意味合いを保ち続けています。重量挙げ選手がバーベルをheaveし、建設作業員が資材をheaveし、そして私たちは日々の生活の中で、様々な困難や感情をheaveします。この言葉は、時代を超えて、人間の努力、感情、そして自然の力を表現する普遍的な言葉として、私たちの語彙の中に生き続けているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。稀にリスニング。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で出題される可能性あり。1級で頻出。
- 文脈・例題の特徴: やや硬めの文章、例えば環境問題、社会問題など。比喩的な意味で使われることも。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「持ち上げる」「吐く」など複数の意味を覚え、文脈に応じて使い分ける必要あり。派生語(heavy)との関連性も意識。
- 出題形式: 主に長文読解(Part 7)。稀に語彙問題(Part 5)。
- 頻度と級・パート: TOEIC L&R では比較的頻度は低い。TOEIC S&W であれば、状況説明などで使う可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンよりは、一般的な状況描写で使われることが多い。例えば、重いものを持ち上げる、などの文脈。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEIC L&R対策としては、優先順位は低め。TOEIC S&W対策としては、意味を理解しておくと役立つ。
- 出題形式: 主に長文読解。
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。科学、歴史、社会科学など幅広い分野で登場。
- 文脈・例題の特徴: 比喩的な意味合いで使われることが多い。例えば、「圧力が高まる」のような状況。
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈での意味を重点的に学習する。動詞としての用法だけでなく、名詞としての用法も押さえておく。
- 出題形式: 主に長文読解、和訳問題。
- 頻度と級・パート: 難関大学で出題される可能性あり。標準的なレベルの大学では、頻度は低い。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語など幅広いジャンルで登場。比喩的な意味で使われることも。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習をする。複数の意味を理解し、文脈に応じて適切な意味を選択できるようにする。