ethnic
第1音節にアクセント(')があります。/θ/ は無声音で、舌先を上下の歯で軽く挟んで息を出す音です。日本語のサ行の発音で舌が歯に触れないのとは対照的です。/ɪ/ は日本語の『イ』よりも口を少し開き、短く発音します。
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民族的な
ある特定の民族集団に特有の文化、言語、伝統、または起源に関連することを示す。中立的な意味合いで使用されることが多いが、文脈によっては注意が必要。
We tried some delicious ethnic food at the festival yesterday.
昨日、お祭りでおいしい民族料理をいくつか試しました。
※ この例文は、お祭りの活気ある雰囲気の中で、初めての民族料理に挑戦するワクワクする場面を描いています。「ethnic food」は「その民族特有の料理」という意味で、海外の珍しい料理や、様々な国の屋台料理などを指すときによく使われる、とても自然な組み合わせです。新しい味に出会う喜びが伝わってきますね。
She bought a beautiful ethnic dress as a souvenir from her trip.
彼女は旅行のお土産に美しい民族衣装を買いました。
※ この例文は、異国の地で色鮮やかな民族衣装を見つけ、旅の思い出に購入する場面を想像させます。「ethnic dress」や「ethnic clothes」は、その民族や地域の伝統的な服飾品を指す際に使われます。文化的な特徴を持つものを表すときによく「ethnic」が使われる典型的な例です。
The city is home to many different ethnic groups living together peacefully.
その都市には、多くの異なる民族グループが平和に共に暮らしています。
※ この例文は、多様な文化が共存する国際的な都市の情景を描いています。「ethnic groups」は「民族集団」という意味で、異なる文化や歴史を持つ人々の集まりを指します。ニュース記事や社会に関する話題でよく使われる表現で、人々の多様性を語る上で非常に重要な単語です。
民族の
ある民族集団に共通する特性やアイデンティティを指す。人種や国籍とは異なる概念であり、文化的な側面を強調する。
She loves to try new ethnic food at the local market.
彼女は地元の市場で新しい民族料理を試すのが大好きです。
※ この例文では「ethnic food(民族料理)」として使われています。市場で色々な国の料理を試す、好奇心旺盛な様子が目に浮かびますね。特定の人々が伝統的に食べる料理を指す際によく使われる表現です。
People wore colorful ethnic clothes at the big festival.
人々はその大きなお祭りで色鮮やかな民族衣装を着ていました。
※ ここでは「ethnic clothes(民族衣装)」という形で使われています。お祭りや特別なイベントで、その民族ならではの伝統的な服を着ている情景が目に浮かびます。文化的なイベントの描写で非常によく使われる表現です。
Our city has many different ethnic groups living together peacefully.
私たちの街には、多くの異なる民族集団が平和に共に暮らしています。
※ この例文の「ethnic groups(民族集団)」は、共通の文化や歴史を持つ人々の集まりを指します。多様な人々が共存する街の様子が伝わってきますね。社会やコミュニティの多様性を語る際によく用いられます。
コロケーション
少数民族
※ ある国や地域において、人口の多数を占める民族集団とは異なる文化、言語、ルーツを持つ民族集団を指します。単に数が少ないだけでなく、社会的な少数派としての立場や、歴史的・社会的な差別を受けてきた背景を含むことが多いです。この表現を使う際は、相手の文化的背景を尊重し、慎重な配慮が必要です。例えば、'a member of an ethnic minority' のように使います。
民族浄化
※ 特定の地域から、特定の民族集団を武力や脅迫によって排除する行為を指します。これは人道に対する重大な犯罪であり、ジェノサイド(集団虐殺)に発展する可能性もあります。非常にデリケートな問題であり、ニュースや歴史的な文脈で使われることがほとんどです。使用する際には、その重大性を十分に理解し、感情的な表現は避けるべきです。例:'The region has been plagued by ethnic cleansing.'。
民族の多様性
※ ある地域や社会における様々な民族集団の存在を指します。文化的な豊かさや創造性の源泉と見なされる一方で、異文化間の摩擦や社会的な課題を生む可能性もあります。企業の人事戦略や都市計画、教育政策など、幅広い分野で重要な概念です。'Promoting ethnic diversity in the workplace' のように使われます。
民族的飛び地、民族居住区
※ 特定の民族集団が集中して居住する地域を指します。移民によって形成されることが多く、自民族の文化や言語を保持する役割を果たす一方、社会的な孤立や経済的な格差を生む可能性もあります。例えば、'Chinatown'や'Little Italy'などが該当します。学術的な文脈や都市計画の議論でよく用いられます。例:'an ethnic enclave in the city center'.
民族的アイデンティティ
※ ある個人が、特定の民族集団の一員であるという自覚や帰属意識を指します。文化、言語、宗教、歴史などの要素によって形成され、個人の自己認識や社会的な行動に大きな影響を与えます。アイデンティティ・ポリティクス(identity politics)の文脈でよく議論されます。例:'He has a strong sense of ethnic identity.'
民族間の緊張
※ 異なる民族集団間における対立や摩擦を指します。歴史的な要因、経済的な格差、政治的な操作など、様々な要因によって引き起こされます。紛争や暴力に発展する可能性もあり、国際社会の関心事となることが多いです。報道記事や政治学の議論で頻繁に使われます。例:'ethnic tensions in the region are rising.'
民族的遺産
※ 特定の民族集団が持つ文化、伝統、歴史などの遺産を指します。世代を超えて受け継がれ、民族的アイデンティティの重要な要素となります。博物館や文化イベント、教育プログラムなどを通じて保存・継承されることが多いです。例:'preserving ethnic heritage for future generations'.
使用シーン
社会学、人類学、政治学などの分野の研究論文や講義で頻繁に使用されます。例えば、「エスニック・マイノリティの社会統合に関する研究」や「エスニック・コンフリクトの発生要因分析」といった文脈で用いられます。学術的な議論においては、民族集団のアイデンティティ、文化、歴史、社会構造などを客観的に分析・考察するために重要な語彙です。
多文化共生を推進する企業や、海外市場を対象とするビジネスにおいて、多様性を尊重する文脈で用いられます。例えば、「エスニック・マーケティング戦略」や「エスニック・バックグラウンドを持つ従業員のキャリア開発支援」といった場面で使用されます。企業の社会的責任(CSR)やダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みに関連して、報告書や社内研修などで登場することがあります。
ニュース記事、ドキュメンタリー番組、旅行記などで、異文化体験や多文化共生に関する話題に触れる際に使用されます。例えば、「エスニック料理レストランの紹介」や「エスニックな雰囲気の雑貨店」といった文脈で見かけることがあります。また、移民問題や人種差別といった社会問題に関する議論においても用いられることがあります。
関連語
類義語
人種的な特徴に基づいた分類や区別を指す言葉。科学的、生物学的な意味合いが強く、人種間の身体的特徴や遺伝的差異に焦点を当てる際に用いられる。学術的な文脈や、統計データ、科学研究などでよく見られる。 【ニュアンスの違い】"ethnic"が文化、言語、宗教などの要素を含む広範な集団を指すのに対し、"racial"はより生物学的、遺伝的な特徴に限定される。"racial"は、人種差別や人種間の不平等といったネガティブな文脈で使用される場合もある。 【混同しやすい点】"ethnic"は文化的なアイデンティティを強調する際に用いられるが、"racial"は外見上の特徴に基づいた分類を強調する。たとえば、"ethnic food"は特定の文化圏の料理を指すが、"racial profiling"は人種に基づいた不当な取り扱いを指す。
特定の社会や集団に共有される価値観、習慣、信仰、芸術などを指す言葉。広範な意味を持ち、社会生活のあらゆる側面に関連する。日常会話から学術的な議論まで、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"ethnic"が特定の民族集団の文化的特徴を指すのに対し、"cultural"はより広い範囲の文化現象を指す。"ethnic"は民族的なアイデンティティに焦点を当てるが、"cultural"は特定の民族に限定されない。 【混同しやすい点】"ethnic"は民族集団に固有の文化を指すことが多いが、"cultural"は国、地域、世代など、さまざまな集団の文化を指すことができる。たとえば、"ethnic music"は特定の民族の音楽を指すが、"cultural exchange"は異なる文化間の交流を指す。
部族に関連する、または部族特有の文化、習慣、組織を指す言葉。伝統的な社会構造を持つ集団や、特定の地域に根ざした共同体を指す場合に使われる。人類学や社会学の研究でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"ethnic"がより広い民族集団を指すのに対し、"tribal"はより小規模で、伝統的な社会構造を持つ部族を指す。"tribal"は、部族間の紛争や部族の伝統文化といった文脈で使用されることが多い。 【混同しやすい点】"ethnic"は現代社会における民族集団を指すことが多いが、"tribal"は伝統的な部族社会を指す。たとえば、"ethnic diversity"は多様な民族集団の存在を指すが、"tribal warfare"は部族間の戦争を指す。
国家に関連する、または国民全体に共通する特徴を指す言葉。国家のアイデンティティ、政治、経済、文化など、広範な領域で使用される。ニュース報道や政府の声明などでよく見られる。 【ニュアンスの違い】"ethnic"が特定の民族集団の文化やアイデンティティを指すのに対し、"national"は国家全体のアイデンティティを指す。"national"は、国家の統一や愛国心といった概念と結び付けられることが多い。 【混同しやすい点】"ethnic"は国家内に存在する多様な民族集団を指すことが多いが、"national"は国家全体の統一性を強調する。たとえば、"ethnic conflict"は民族間の対立を指すが、"national anthem"は国家の象徴となる歌を指す。
特定の地域に元々住んでいた人々や、その文化、伝統を指す言葉。先住民、原住民といった意味合いを持ち、植民地化やグローバル化の影響を受けている集団を指す場合に使われる。政治的な文脈や社会運動でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"ethnic"が特定の民族集団を指すのに対し、"indigenous"は特定の地域に根ざした先住民を指す。"indigenous"は、土地の権利や文化の保護といった問題と深く関連している。 【混同しやすい点】"ethnic"は移住してきた民族集団も含むが、"indigenous"はその地域に元々住んでいた人々のみを指す。たとえば、"ethnic minority"は少数民族を指すが、"indigenous rights"は先住民の権利を指す。
- cultural heritage
文化遺産とは、ある集団や社会が過去から受け継いできた有形・無形の遺産のことを指します。これには、記念建造物、美術品、工芸品などの有形遺産だけでなく、伝統芸能、祭り、言語、知識体系などの無形遺産も含まれます。文化遺産は、その集団や社会のアイデンティティを形成し、歴史や文化を未来に伝える重要な役割を果たします。ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)などの国際機関が保護活動を行っています。 【ニュアンスの違い】"ethnic"は、ある特定の民族集団に固有の文化的特徴を指すのに対し、"cultural heritage"は、より広範な文化的な遺産を指します。"ethnic"は民族集団のアイデンティティに焦点を当てるのに対し、"cultural heritage"は、過去から受け継がれてきた価値や伝統に焦点を当てます。 【混同しやすい点】"ethnic"は、民族集団そのものを指すことがありますが、"cultural heritage"は、民族集団が持つ文化的な遺産を指します。例えば、"ethnic group"は民族集団を指しますが、"cultural heritage site"は文化遺産に指定された場所を指します。
派生語
『民族性』という意味の名詞。抽象的な概念を表し、『ethnic』が持つ民族的な特性や文化的背景を、より明確な概念として捉える際に用いられます。学術論文や社会学的な議論で頻繁に使用され、個人のアイデンティティや社会集団の特性を分析する上で重要な概念です。語尾の『-ity』は名詞化の接尾辞で、性質や状態を表します。ethnicグループに属する状態、というイメージです。
- ethnocentrism
『自民族中心主義』という意味の名詞。『ethno-(民族)』と『centrism(中心主義)』が組み合わさった語です。自民族の文化や価値観を基準として他民族を評価する傾向を指し、社会学や人類学で用いられます。ネガティブな意味合いで使われることが多く、異文化理解を妨げる要因として認識されます。単にethnicから派生しただけでなく、社会における民族の位置づけに関する重要な概念を表しています。
- ethno-linguistics
『民族言語学』という意味の名詞。『ethno-(民族)』と『linguistics(言語学)』の組み合わせで、特定の民族の言語と文化の関係を研究する学問分野を指します。学術的な文脈で使用され、言語が文化や社会構造にどのように影響を与えるかを分析します。ethnicという語が学問分野の名称に組み込まれることで、研究対象の民族的な背景を強調する役割を果たしています。
反意語
『普遍的な』という意味の形容詞。『ethnic』が特定の民族や文化に限定されるのに対し、『universal』は全ての人々や文化に共通する性質を表します。例えば、『ethnic food(民族料理)』と『universal values(普遍的な価値観)』のように、対比的な文脈で使用されます。学術的な議論や倫理的な考察において、普遍性と特殊性を区別する上で重要な語です。
『国際的な』、『コスモポリタンの』という意味の形容詞。ethnicが特定の地域や民族に根ざした文化を指すのに対し、cosmopolitanは様々な文化が混ざり合い、特定の地域や民族に限定されない開放的な文化を意味します。都市や人々を形容する際に用いられ、グローバル化が進む現代社会において重要な概念です。ethnic料理店が集まる地域をcosmopolitanな雰囲気と表現したりします。
『一般的な』という意味の形容詞。『ethnic』が特定の民族集団に特有であることを指すのに対して、『general』は広範な、あるいは全体に共通する事柄を指します。例えば、ethnic costumes(民族衣装)とgeneral fashion trends(一般的なファッショントレンド)のように対比されます。この対比は、特定の文化に根ざした要素と、より広範な文化現象との違いを強調する際に有効です。
語源
"ethnic"は、ギリシャ語の"ethnos(ἔθνος)"に由来します。この"ethnos"は、もともと「国民」「種族」「人々」といった、共通の文化や出自を持つ集団を指す言葉でした。さらに遡ると、"ethos(ἦθος)"という言葉に関連があり、これは「習慣」「性格」「道徳」といった意味を持ちます。つまり、民族性(ethnicity)とは、単に血統だけでなく、共有された習慣や価値観によって形成されるものと捉えられます。日本語で例えるなら、「風土」や「人となり」に近い概念でしょう。民族衣装や民族音楽といった言葉が、単なる外見だけでなく、その民族の歴史や文化を反映していることを考えると、"ethnic"の語源が持つ意味の広がりを理解しやすいでしょう。
暗記法
「ethnic」は元来中立でしたが、国民国家形成と植民地支配の歴史の中で、他者との差異を際立たせる言葉として使われ、優劣の意識を帯びました。現代では異文化交流を指す肯定的な意味も持ちますが、「民族浄化」のような悲劇も想起させます。「少数民族」という言葉が示すように、社会構造と深く結びつき、常に政治的、社会的な含みを持つ、人間のアイデンティティを象徴する言葉なのです。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の '-ic' と '-al' は日本人には区別がつきにくい場合があります。'ethical' は『倫理的な』という意味で、道徳や倫理に関連する文脈で使用されます。スペルも似ているため、注意が必要です。語源的には、'ethnic' が民族に根ざしたものであるのに対し、'ethical' は確立された道徳規範に基づいています。
スペルが似ており、特に 'ent-' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすいです。'entity' は『実体』や『存在』という意味で、抽象的な概念や独立した存在を表します。品詞は名詞であり、'ethnic'(形容詞または名詞)とは異なります。語源的には、'entity' は『存在する』という意味のラテン語に由来します。
スペルの中に 'ent' が含まれており、また、音の響きも一部似ているため、混同されることがあります。'antique' は『骨董品』や『古風な』という意味で、古いものや歴史的な価値を持つものを指します。 'ethnic' が民族的な背景を持つことと、'antique' が古いものであることは、意味的なつながりはありません。
スペルの一部(特に 'x' の前の 'i')が似ており、発音も若干似ているため、混同される可能性があります。'helix' は『螺旋』という意味で、DNAの二重螺旋構造などで使われます。生物学や科学の文脈でよく使われるため、'ethnic' とは使用される分野が大きく異なります。語源はギリシャ語で『螺旋』を意味します。
接頭辞 'eu-' が共通しており、音の響きも一部似ているため、混同されることがあります。'euthanasia' は『安楽死』という意味で、医学や倫理学の文脈で使用されます。スペルも長く複雑であるため、'ethnic' との区別を意識する必要があります。語源はギリシャ語で『良い死』を意味します。
スペルの一部が似ており、特に語尾の '-tic' が共通しているため、視覚的に混同しやすいです。'attic' は『屋根裏部屋』という意味で、家の最上階にある部屋を指します。'ethnic' が民族的な背景を持つことと、'attic' が家の構造の一部であることは、意味的なつながりはありません。
誤用例
「ethnic」は、特定の人種や民族グループに属する、またはそれらに関連することを意味しますが、ビジネス文脈で「ethnic approach」と言うと、やや直接的すぎて、ターゲット層をステレオタイプ化しているかのような印象を与えかねません。より婉曲的で、相手への配慮を示す「culturally sensitive」を使う方が適切です。日本人が「民族」という言葉を比較的ニュートラルに使うのに対し、英語ではセンシティブな話題として扱う必要があるため、注意が必要です。特に、ビジネスの場面では婉曲な表現が好まれます。
「ethnic food」という表現は文法的に間違ってはいませんが、ネイティブスピーカーにはやや不自然に聞こえます。「food」は不可算名詞であり、漠然と「民族的な食べ物」を指す場合には問題ありません。しかし、レストランのメニューを説明する文脈では、より洗練された印象を与える「ethnic cuisine」を使うのが適切です。「cuisine」は特定の調理スタイルや料理の種類を指し、レストランの料理の質や独自性を強調できます。日本人が「民族料理」とストレートに表現する感覚で「ethnic food」を使ってしまうことがありますが、英語ではより上品な表現を選ぶことが大切です。
「ethnic」を「民族的」という意味で捉え、それが「差別的」または「対立的」なニュアンスを含んでいると誤解して使用する例です。この文脈では、政治家のスピーチが特定の民族グループを優遇または差別するような内容であった場合、「divisive」(分裂を招く、対立的な)という形容詞を使うのが適切です。日本人が「民族」という言葉に持つイメージ(例えば、文化的な違いやアイデンティティ)が、英語の「ethnic」の持つニュアンスと完全に一致しないため、誤用が生じやすいです。英語では、民族間の対立や緊張を想起させる可能性があるため、慎重な言葉選びが求められます。
文化的背景
「ethnic(エスニック)」という言葉は、単に「民族的な」という意味を超え、しばしば少数派集団の文化やアイデンティティを指し示す際に用いられ、多数派との関係性の中でその意味合いが複雑化してきました。元々は中立的な意味合いを持つ言葉でしたが、歴史的背景や社会構造の変化に伴い、文化的、政治的なニュアンスを帯びるようになったのです。
19世紀以降のヨーロッパにおいて、「民族」という概念が国民国家の形成と深く結びついたことで、「ethnic」は自国とは異なる文化を持つ人々を指す言葉として、特に植民地支配の文脈で頻繁に使われるようになりました。この時代、ヨーロッパ人は自らを文明の中心とみなし、植民地の人々の文化を「primitive(原始的)」あるいは「exotic(異国的)」なものとして捉え、「ethnic」という言葉には、そのような優劣の意識が暗に含まれていたのです。文学作品においても、例えばジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』などには、植民地におけるヨーロッパ人の視点から見た「ethnic」な文化が描かれており、その描写には当時の社会的な偏見が反映されています。
現代においては、「ethnic」はより多様な意味合いを持つ言葉として使われています。グローバル化の進展とともに、異文化間の交流が活発になり、「ethnic food(エスニック料理)」や「ethnic music(エスニック音楽)」のように、異文化の要素を取り入れたものを指す言葉として、肯定的な意味合いで使用されることもあります。しかし、一方で、社会における差別や偏見の問題と結びついて、「ethnic cleansing(民族浄化)」のような悲劇的な言葉としても使われることがあります。また、「ethnic minority(少数民族)」という言葉は、社会の中で不利な立場に置かれている人々を指す場合が多く、政治的な議論の対象となることも少なくありません。
このように、「ethnic」という言葉は、その時代や社会の状況によって意味合いが変化し、常に多様な解釈を許容する言葉です。単に「民族的な」という意味だけでなく、歴史的な背景や社会構造、そして人間の感情や価値観といった、言葉の背後にある文脈を理解することで、より深く「ethnic」という言葉を理解することができるでしょう。この言葉を使う際には、それがどのような文脈で使用されているのか、どのような意味合いを含んでいるのかを常に意識することが重要です。なぜなら、「ethnic」は、人間のアイデンティティや文化、そして社会における多様性を象徴する、非常にデリケートな言葉だからです。
試験傾向
準1級・1級の長文読解で頻出。語彙問題でも出題の可能性あり。「ethnic group」「ethnic minority」などの複合語で登場することが多い。文化的背景に関する文章でよく見られる。注意点として、ポジティブ・ネガティブ両方の文脈で使用されるため、文脈判断が重要。
Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解)で稀に出題される。「ethnic food」「ethnic background」といった表現で登場することがある。ビジネスシーンというよりは、文化や社会に関する話題で使われることが多い。紛らわしい単語として「ethical」があるため、スペルミスに注意。
リーディングセクションで頻出。アカデミックな文章、特に社会学、人類学、歴史学などの分野でよく登場する。文脈から意味を推測する問題や、パラフレーズ(言い換え)問題として出題されることが多い。「ethnic diversity」「ethnic conflict」などの複合名詞で使われることが多い。学術的な文脈での使用に慣れておくことが重要。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。社会問題や異文化理解に関するテーマで登場することが多い。文脈から意味を推測させる問題や、内容説明問題で問われることが多い。単語の意味だけでなく、背景知識も問われることがあるため、日頃からニュースや新聞記事に触れておくことが望ましい。