doctrine
第一音節に強勢があります。/ɑː/ は日本語の『ア』よりも口を大きく開け、喉の奥から出すイメージです。『ク』は喉を意識して発音し、次の『トリ』は弱く短く発音します。最後の /ɪn/ は、口を横に引いて「イン」と言うよりも、曖昧母音に近い音で軽く添えるように発音すると自然です。
専門的な内容に関するご注意
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主義
特定の分野における一連の信念や原則。政治、宗教、法律などの分野で、指導原則や教義として用いられる。単なる意見ではなく、体系化された理論や思想を指すことが多い。
The new leader's doctrine focused on helping poor families.
新しい指導者の主義は、貧しい家庭を助けることに焦点を当てていました。
※ この例文では、新しいリーダーが掲げる「社会を良くするための基本的な考え方」が「doctrine」として描かれています。リーダーが熱い思いで自分の主義を語り、人々がそれに希望を見出すような情景が目に浮かびます。「doctrine」は、政治や社会運動など、ある集団が信じる大切な「主義」や「原則」を指す際によく使われます。「focus on 〜ing」は「〜することに焦点を当てる」という意味で、よく使う表現です。
My grandfather's main doctrine was to always be honest with people.
私の祖父の主な主義は、常に人々に正直であることでした。
※ この例文では、祖父が孫に、人生で最も大切にしてきた「人に対して正直であること」という揺るぎない信念を語り聞かせている様子が伝わってきます。「doctrine」は、このように個人の生き方や、長年大切にしてきた「行動原理」「信念」を指すこともあります。温かい家族の情景と共に、世代を超えて受け継がれる価値観を感じられるでしょう。「to be honest」は「正直であること」という不定詞の名詞的用法で、文の補語として使われています。
This school's core doctrine is to encourage students to think freely.
この学校の核となる主義は、生徒たちが自由に考えることを促すことです。
※ ここでは、学校という組織が持つ「中心となる基本的な方針」が「doctrine」として表現されています。学校の掲示板に掲げられた教育理念を、生徒たちが活発に議論する姿や、先生がその理念に基づいて指導する様子が想像できます。「core doctrine」は「核となる主義」という意味で、その方針が非常に重要であることを強調します。「encourage 人 to 動詞」は「(人)が〜するよう促す」という、覚えておくと便利な表現です。
教義
宗教や宗派における公式な教え。信者が守るべき信条や解釈の体系を指す。しばしば、議論や解釈の対象となる。
Many people find comfort in the **doctrine** of their church.
多くの人々が、教会の教義に心の安らぎを見つけます。
※ この例文では、人々が心の拠り所としている「教会の教義」という具体的な場面を描写しています。多くの宗教には、信者が従うべき基本的な考え方や教えがあり、それをdoctrineと呼びます。教会に通い、その教えに耳を傾けることで、心が落ち着く様子が伝わりますね。
The political leader explained his party's core **doctrine** to the public.
その政治家は、国民に自らの政党の核心となる教義(主義)を説明しました。
※ ここでは、政治の世界での「doctrine」の使い方です。ある政党や政府が持つ基本的な考え方、政策の原則などを指します。リーダーが壇上から、大勢の聴衆に向けて、その政党が目指す方向性や信念を熱く語る場面を想像できますね。'core doctrine' で「核心となる教義・主義」という意味になります。
A new book challenged the old **doctrine** about how children learn.
新しい本が、子どもたちがどのように学ぶかについての古い教義(定説)に異議を唱えました。
※ この例文では、学術や教育の分野で長年信じられてきた「定説」や「原理」といった意味合いで'doctrine'が使われています。図書館で新しい研究書を手に取った人が、これまで当たり前だと思っていた古い考え方に疑問を投げかけ、新しい発見に目を輝かせている場面が目に浮かびますね。'challenged'(異議を唱えた)という動詞が、新しい視点を示しています。
政策
政府や組織が採用する具体的な行動方針。特に外交や軍事の分野で、長期的な戦略や原則を示す際に用いられる。
The government proposed a new economic doctrine for a better future.
政府は、より良い未来のために、新しい経済政策を提案しました。
※ この例文では、「doctrine」が国全体の方向性を示す「経済政策」として使われています。政府が国民の生活を良くしようと、新しい方針を打ち出すような、希望や期待が感じられる場面を想像してください。このように「doctrine」は、単なる一時的な決定ではなく、ある程度の理念や原則に基づいた、重要な「政策」を指すことが多いです。
Our company's new doctrine emphasizes putting customers first.
私たちの会社の新しい政策(原則)は、顧客を第一に考えることを強調しています。
※ ここでは「doctrine」が、会社などの組織が持つ「基本的な方針」や「原則」を指しています。例えば、会社の会議で、経営陣が社員に新しい経営理念や事業の進め方を説明している場面を想像してみましょう。「顧客を第一に」という会社の重要な「政策」が、皆で共有すべき指針として示されています。
The soldiers carefully studied their nation's military doctrine.
兵士たちは自国の軍事政策を注意深く学びました。
※ 「doctrine」は、特に軍事や外交の分野で、国が守るべき「基本的な政策」や「戦略原則」を指す際によく使われます。この例文では、兵士たちが国の安全を守るために、重要な方針を真剣に学ぶ様子が描かれています。彼らが真剣な表情で教科書や資料を読んでいる姿を思い浮かべると、単語の重みが伝わるでしょう。
コロケーション
教義を確立する、原則を確立する
※ 「doctrine」は、単なる意見ではなく、組織や集団によって公式に受け入れられた信念体系や原則を指します。したがって、「establish a doctrine」は、新しい教義や原則を打ち立て、それを公式なものとして確立する行為を表します。学術的な文脈や、宗教、政治、法律などの分野でよく用いられます。例えば、新しい経営戦略を「establish a doctrine」として社内に浸透させるといった使い方も可能です。単に「make a rule」と言うよりも、より重みがあり、長期的な影響力を持つ原則を確立するニュアンスが含まれます。
教義を固守する、原則に従う
※ 確立された教義や原則を忠実に守り、それに従うことを意味します。「adhere」は「くっつく」「固執する」という意味合いを持ち、既存の枠組みから逸脱しない姿勢を示します。例えば、倫理綱領や行動規範など、組織や個人が守るべき原則に対して使われます。「follow a doctrine」よりも、より積極的に、そして忠実に守るというニュアンスが強くなります。ビジネスシーンでは、コンプライアンス遵守の文脈でよく用いられます。
教義に異議を唱える、原則に挑戦する
※ 既存の教義や原則に対して疑問を投げかけ、その正当性や妥当性を検証しようとすることを意味します。「challenge」は、単に反対するだけでなく、議論や論争を通じてその教義を覆そうとする積極的な行為を含みます。学術的な議論や、社会的な変革の文脈でよく用いられます。例えば、長年信じられてきた科学的な理論や、社会的な規範に対して「challenge a doctrine」という形で用いられます。これは単に「disagree with」よりも、より積極的な反論や批判のニュアンスを含みます。
モンロー主義
※ 1823年にアメリカ合衆国が発表した外交政策で、ヨーロッパ諸国によるアメリカ大陸への干渉を排除しようとするものでした。歴史的・政治的な文脈で頻繁に登場します。この場合、「doctrine」は特定の国の外交政策の基本原則を指します。単なる「policy」ではなく、国家の根幹をなす長期的な戦略を意味します。この用語は、アメリカの外交史を理解する上で不可欠であり、現代の国際関係にも影響を与えています。
融通の利かない教義、硬直的な原則
※ 「rigid」は「硬い」「曲がらない」という意味で、「a rigid doctrine」は、柔軟性がなく、厳格に適用される教義や原則を指します。変化や例外を許容しないため、批判の対象となることもあります。組織のルールや宗教的な教義に対して使われることが多いです。例えば、時代に合わなくなった規則や、個人の自由を制限するような教義に対して用いられます。単に「strict doctrine」と言うよりも、変化を拒む、時代遅れな印象を与えるニュアンスが含まれます。
教義を策定する、原則を打ち出す
※ 特定の目的や目標を達成するために、体系的な教義や原則を考案し、明確に表現することを意味します。「formulate」は、計画や戦略を練り上げるニュアンスがあり、単に「create」よりも、より知的で意図的なプロセスを伴います。政策立案や戦略策定の場面でよく用いられます。例えば、新しいビジネスモデルや、政府の政策を「formulate a doctrine」として表現することがあります。これは、単なる思いつきではなく、綿密な検討と計画に基づいたものであることを示します。
使用シーン
学術論文、特に政治学、法学、宗教学などの分野で頻繁に使用されます。「〜主義」や「〜学説」といった意味合いで、特定の理論や学派の根本的な原則を説明する際に用いられます。例:『The doctrine of separation of powers(権力分立の原則)』といった形で、重要な概念を定義する文脈で登場します。
企業の倫理綱領や経営戦略の説明、あるいは業界の慣習を指す際に使われます。フォーマルな文書やプレゼンテーションで、企業の行動指針やポリシーを明確にするために用いられます。例:『Our company adheres to the doctrine of sustainable development(当社は持続可能な開発という主義を遵守します)』のように、企業理念を表明する際に使われます。
日常会話で直接使われることは稀ですが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、政治的な主張や宗教的な信念について言及する際に目にすることがあります。一般的には、特定の主義主張を批判的に論評する文脈で用いられることが多いです。例:『The politician's adherence to outdated doctrines is hindering progress(その政治家の時代遅れの主義への固執が、進歩を妨げている)』のように、否定的なニュアンスを含むことがあります。
関連語
類義語
原則、原理。行動や思考の基盤となる基本的な考え方。ビジネス、倫理、科学など幅広い分野で使用される。可算名詞。 【ニュアンスの違い】"Doctrine"よりも一般的で、個人的な信念や行動規範にも適用できる。より柔軟で応用範囲が広いニュアンスを持つ。感情的な強さは低い。 【混同しやすい点】"Doctrine"は公式な教義や政策を指すことが多いが、"principle"はより個人的な、あるいは普遍的な原則を指す。"Doctrine"ほど権威的ではない。
教義、信条、主義。特定の宗教、哲学、または組織が保持する基本的な信念や原則。学術的な文脈や議論で使用されることが多い。可算名詞。 【ニュアンスの違い】"Doctrine"と非常に近い意味を持つが、より具体的な個々の信念や原則を指すことが多い。"Doctrine"が体系的な教義全体を指すのに対し、"tenet"はその構成要素の一つ。フォーマルな響き。 【混同しやすい点】"Tenet"は常に特定の体系の一部であるというニュアンスを持つ。単独で存在する信念には通常使われない。また、日常会話での使用頻度は低い。
独断、教条。疑う余地のないものとして受け入れられる公式の教義や原則。宗教、政治、またはイデオロギーに関連して使用されることが多い。しばしば批判的な意味合いを含む。可算名詞。 【ニュアンスの違い】"Doctrine"よりも強固で、変更や批判を許さないというニュアンスが強い。しばしば否定的な意味合いで使用され、柔軟性の欠如や思考停止を示唆することがある。感情的な強さは高い。 【混同しやすい点】"Dogma"は客観的な証拠や合理的な議論よりも、権威によって確立された信念体系を指すことが多い。"Doctrine"よりも頑なで、議論の余地がないとみなされる傾向がある。
信条、主義。宗教的な信念体系、または特定のグループや個人の行動を導く一連の原則。宗教的な文脈でよく使用される。可算名詞。 【ニュアンスの違い】"Doctrine"と似ているが、より個人的な信念や価値観に焦点を当てていることが多い。また、口頭または書面で表明されることが多い。感情的な結びつきが強い。 【混同しやすい点】"Creed"はしばしば、特定の宗教やグループに所属していることを示す声明として機能する。"Doctrine"よりも包括的ではない。
イデオロギー、思想体系。社会、政治、または経済に関する一連の信念や原則。政治学、社会学などの学術分野でよく使用される。可算/不可算名詞。 【ニュアンスの違い】"Doctrine"よりも広範で、社会全体の構造や運営に関する包括的な見解を含む。特定の政治的または経済的な目標を達成するための行動計画を含むことが多い。中立的または批判的な文脈で使用される。 【混同しやすい点】"Ideology"はしばしば、特定の社会集団や階級の利益を代表するものであるというニュアンスを持つ。"Doctrine"よりも政治的、社会的影響力が強い。
- orthodoxy
正統、正教。広く受け入れられている、または確立された信念や実践。宗教、科学、または政治に関連して使用されることが多い。しばしば保守的な意味合いを含む。不可算名詞。 【ニュアンスの違い】"Doctrine"と似ているが、既存の信念や実践を維持しようとする傾向が強い。変化や革新に抵抗する姿勢を示すことがある。フォーマルな響き。 【混同しやすい点】"Orthodoxy"はしばしば、異端または非伝統的な見解に対する反意語として使用される。"Doctrine"よりも保守的で、伝統を重視する。
派生語
- doctrinal
『教義的な』という意味の形容詞。『doctrine』に形容詞語尾『-al』が付加。教義や学説に関する事柄を修飾する際に用いられ、学術論文や宗教関連の文書でよく見られる。純粋に教義の内容に関する場合に使われ、日常会話での使用頻度は低い。
『教え込む』『洗脳する』という意味の動詞。接頭辞『in-(中に)』と『doctrine』が組み合わさり、『特定の教義や思想を深く植え付ける』という意味合いを持つ。政治、宗教、教育などの文脈で使われ、しばしば批判的なニュアンスを含む。日常会話での頻度は高くないが、ニュースや議論で耳にする機会がある。
- indoctrination
『教え込み』『洗脳』という意味の名詞。『indoctrinate』に名詞語尾『-tion』が付加。特定の思想や信条を強制的に植え付ける行為を指し、政治、宗教、教育などの分野で使われる。学術的な文脈やニュース記事などで見られ、しばしば否定的な意味合いで使用される。
反意語
『懐疑主義』という意味。doctrineが特定の教義や信条体系を指すのに対し、skepticismは既存の知識や信念に対して疑問を持ち、批判的に検討する態度を意味する。学術的な議論や哲学的な考察でよく用いられ、特定の教義を受け入れることの反対の立場を表す。
- agnosticism
『不可知論』という意味。特定の教義(特に宗教的なもの)の真偽について、知ることが不可能であるという立場。doctrineが特定の教義を肯定する立場であるのに対し、agnosticismはその教義の真偽を判断できないとする点で対立する。哲学や宗教の文脈で使われる。
- heresy
『異端』という意味。確立された教義や正統な見解から逸脱した思想や信仰を指す。doctrineがある体系の中で正しいとされる教義であるのに対し、heresyはその正統な教義に反する考え方であるため、明確な対立関係にある。宗教史や思想史の文脈でよく用いられる。
語源
"Doctrine」は、ラテン語の「doctrina(教え、学問)」に由来します。この「doctrina」は、「docere(教える)」という動詞から派生しており、その語源はさらに遡ると、印欧祖語の「*dek-(受け入れる、適切である)」にたどり着きます。つまり、「doctrine」は、もともと「教えること」や「教えられたこと」全般を意味していました。それが時を経て、特定の分野における一連の信念や原則、つまり「主義」や「教義」といった意味合いを持つようになったのです。例えば、学校で教わる教科の内容、あるいは政治的な理念などが「doctrine」として扱われます。日本語で例えるなら、「学説」や「教訓」といった言葉が近いでしょう。何かを「教え、導く」という根本的な意味合いが、この単語の核となっています。
暗記法
Doctrine(教義)は社会の羅針盤。中世では生活規範から政治、芸術までを律し秩序を維持。宗教改革では政治的旗印となり、冷戦時代には世界を二分するイデオロギー対立の根源に。現代では経済や科学にも存在し、政策や行動を左右する。文学では全体主義国家による統制や、ピューリタン社会の抑圧を描き、教義の持つ光と影を浮き彫りにする。
混同しやすい単語
『doctrine』と『doctor』は、最初の2音節が非常に似ています。特に、アクセントのない音節の母音は曖昧になりやすく、日本人には区別が難しい場合があります。意味は『医者』または『博士』であり、品詞も名詞である点は共通していますが、概念は全く異なります。doctor は「教える人」を意味するラテン語 docere に由来し、doctrine と語源的な関連はありますが、現代英語では別の単語として認識されています。
『doctrine』と『document』は、どちらも最初の音節が 'doc-' で始まるため、視覚的に混同しやすいです。また、発音も最初の音節は似ています。意味は『文書』であり、名詞である点は共通していますが、意味は異なります。document は「教える、示す」という意味のラテン語 docere に由来し、doctrine と共通の語源を持ちますが、document は具体的な記録を指します。
『doctrine』と『discipline』は、どちらも学問や教えに関連する言葉であるため、意味の面で混同される可能性があります。discipline は『訓練』『規律』『学問分野』などの意味を持ちます。発音も最初の音節にアクセントがある点が似ていますが、母音の音が異なります。discipline はラテン語の discipulus(弟子)に由来し、doctrine が教えの内容を指すのに対し、discipline は教えを受ける側の訓練や規律を指します。
『doctrine』と『detriment』は、語頭の音が似ているため、発音を聞き間違える可能性があります。detriment は『損害』『不利益』という意味で、名詞です。意味は全く異なります。detriment はラテン語の detere(すり減らす)に由来し、doctrine と語源的な関連はありません。
『doctrine』と『undone』は、音の響きが似ている箇所があり、特に発音に自信がない場合、聞き間違える可能性があります。undone は『ほどかれた』『未完成の』という意味で、形容詞です。意味は全く異なります。undone は do(する)の過去分詞であり、doctrine と語源的な関連はありません。
『doctrine』と『dentin』は、語頭の音が似ています。dentinは『象牙質』という意味で、生物学の分野で使われます。発音も最初の音節にアクセントがある点は似ていますが、母音の音が異なります。意味は全く異なります。dentinは歯の構造を指す用語であり、doctrineと語源的な関連はありません。
誤用例
『doctrine』は、宗教、政治、法律などの分野における『教義』や『主義』といった、根本的な信念体系を指すことが多いです。企業の行動指針のような、より具体的な方針を指す場合は『policy』が適切です。日本人が『doctrine』を使いがちなのは、組織の『理念』や『方針』を指す日本語に引っ張られ、それをそのまま英語に直訳しようとするためです。英語の『doctrine』は、より体系的で、歴史的背景を持つ概念に使われることが一般的です。
この文脈で『doctrine』を使うと、まるで父親の育児方法が確立された教義であるかのように聞こえ、不自然です。『doctrine』は、体系化され、文書化されているような場合に適しています。単に『父親のやり方を見習う』というニュアンスであれば、『example』や『lead』を使う方が自然です。日本人は『〜の教え』という言葉を安易に『doctrine』に置き換えてしまいがちですが、英語ではより厳格な意味合いを持つことに注意が必要です。また、親の教えを「doctrine」として捉えるのは、西洋的な個人主義の観点からは、やや時代錯誤な印象を与える可能性があります。
『doctrine』は、根本的な信念体系を指すため、一時的なマーケティング戦略に対して使うのは大げさです。『strategy』や『approach』を使う方が適切です。日本人は、新しい『戦略』や『手法』を表現する際に、インパクトのある言葉として『doctrine』を選んでしまう傾向がありますが、英語では過剰な表現と受け取られる可能性があります。ビジネスシーンでは、より具体的で実行可能な計画を意味する単語を選ぶ方が、コミュニケーションが円滑に進みます。
文化的背景
「doctrine(教義、主義)」は、単なる知識体系ではなく、集団の結束を固め、行動を方向づける力を持つ、社会の羅針盤のような役割を果たしてきました。中世ヨーロッパにおけるキリスト教教義は、人々の生活規範から政治、芸術まで、あらゆる側面に深く浸透し、社会秩序の維持に不可欠な要素でした。
教義は時に、権力闘争の道具ともなりました。宗教改革期には、カトリック教会とプロテスタント諸派がそれぞれの教義を掲げ、激しい対立を繰り広げました。この時代、教義は単なる信仰の表明ではなく、政治的な立場を明確にする旗印となり、多くの人々が教義の違いによって命を落としました。また、冷戦時代には、共産主義と資本主義という二つの異なる教義が世界を二分し、イデオロギー対立の最前線に立っていました。このように、doctrineは、社会を分断し、対立を激化させる側面も持っています。
現代社会においては、教義は宗教や政治だけでなく、経済や科学といった分野にも存在します。例えば、自由市場経済の教義や、気候変動に関する科学的教義などが挙げられます。これらの教義は、政策決定や個人の行動に大きな影響を与えますが、同時に、その妥当性や解釈をめぐる議論も絶えません。教義は、社会を理解し、行動するための指針となる一方で、時に盲信や排他性を生み出す可能性も秘めているのです。重要なのは、教義を絶対的な真理として受け入れるのではなく、批判的に考察し、常に検証し続ける姿勢を持つことでしょう。
文学作品においても、教義は重要なテーマとして扱われてきました。ジョージ・オーウェルの『1984年』では、全体主義国家が国民を統制するために、独自の教義を強制する様子が描かれています。また、ナサニエル・ホーソーンの『緋文字』では、ピューリタン社会の厳格な教義が、登場人物たちの人生を大きく左右する様子が描かれています。これらの作品は、教義が個人の自由や幸福を奪う可能性を警告するとともに、教義に対する批判的な視点の重要性を訴えています。doctrineという言葉の背後には、社会を形作り、人々の運命を左右する、複雑で多面的な物語が隠されているのです。
試験傾向
準1級以上の長文読解で出題される可能性あり。政治・宗教・思想に関する文章で、専門用語と関連して登場することがある。語彙問題で直接問われることは比較的少ないが、文章全体の理解を深める上で重要。文脈から意味を推測する練習が有効。
TOEICでは、doctrineが直接問われることは稀。ただし、契約書や企業倫理に関する文書で、関連語句とともに登場する可能性は低いながらも存在する。ビジネスシーンにおける一般的な語彙ではないため、優先順位は低い。
アカデミックな文章、特に社会科学や歴史学の分野で頻出。長文読解において、特定の理論や学説を説明する際に用いられることが多い。同意語や関連語句(theory, principle, dogmaなど)との区別が重要。文脈から正確な意味を把握する練習が必要。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。政治経済、倫理、歴史などの分野で、特定の思想や主義を説明する文脈で登場することが多い。文脈把握能力とともに、背景知識も問われる場合がある。過去問で実際に使われている文脈を確認することが効果的。