undone
第一音節の /ʌ/ は、日本語の『ア』と『オ』の中間のような音です。口を軽く開け、喉の奥から短く発音します。第二音節の 'dʌn' は、特に 'n' の発音に注意。舌先を上の歯茎につけて発音し、鼻に抜ける音を意識しましょう。強勢は第二音節の 'dʌn' に置かれます。全体として、流れるように発音するのではなく、各音を区切って意識するとより正確になります。
未完了の
計画や作業などが終わっていない状態。まだ手をつけるべき部分が残っているニュアンス。
Even after dinner, my homework was still undone, so I couldn't play games.
夕食後も、宿題はまだ終わっていなかったので、ゲームができませんでした。
※ この例文は、子供が宿題を終えられず、遊びたいのに遊べないという、誰もが経験しそうな状況を描いています。宿題や仕事など、個人的なタスクが「まだ終わっていない」という時に、'undone' は非常によく使われます。'still undone' で「まだ未完了の状態が続いている」というニュアンスが伝わりますね。
Before the party, some decorations were still undone, so we hurried to finish them.
パーティーの前に、いくつかの飾り付けはまだ終わっていなかったので、私たちは急いでそれらを仕上げました。
※ パーティーの準備で、飾り付けがまだ完成していない状況を想像してみてください。みんなで協力して急いでいる様子が目に浮かびますね。イベントやプロジェクトの準備段階で、まだ残っている作業や準備物を指す際に、'undone' は自然に使われます。'decorations'(飾り付け)のように、具体的なものが未完了である場合にぴったりです。
The roof of the new house was still undone, so the workers had to work longer.
新しい家の屋根はまだ完成していなかったので、作業員はもっと長く働かなければなりませんでした。
※ この例文では、建設中の家という物理的なものが「まだ完成していない」状態を表しています。雨が降れば困るから、作業員が頑張っている様子が伝わってきますね。'undone' は、このように何かを「作る」「建設する」という文脈で、その一部が「未完成である」ことを示す際にも使われる、典型的な表現です。
ほどけた
結び目や固定が外れて、ばらばらになった状態。物理的なものだけでなく、計画や関係などが崩れた状況にも使われる。
Be careful! Your shoelace is undone, you might trip.
気をつけて!靴紐がほどけているよ、転んじゃうかもしれない。
※ 公園で元気に走り回る子供に、親が優しく、でもちょっと心配そうな声で「危ないよ!」と呼びかけている場面です。「undone」は、このように「ほどけていて危険な状態」や「直すべき状態」を表す時によく使われます。靴紐は日常で最も「ほどける」ものの一つですね。
After a long run, her ponytail was completely undone.
長い距離を走った後、彼女のポニーテールは完全にほどけていた。
※ 気持ちよく汗を流して走り終えた女性が、鏡を見た時に「あれ?」と自分の髪型が崩れていることに気づく、そんな一コマです。運動後や風が強い日など、髪型が「ほどける」ことはよくあります。「completely undone」で「すっかりほどけている」という状態を強調しています。
He quickly noticed his shirt button was undone during the meeting.
彼は会議中に、自分のシャツのボタンがほどけていることにすぐに気づいた。
※ 大切な会議中に、ふと自分のシャツに目をやると、ボタンが外れていることに気づき、心の中で「しまった!」と焦る男性の姿が目に浮かびます。服のボタンやファスナーが「ほどけている(開いている)」という状況も、人が「undone」を使う典型的な場面です。特に、フォーマルな場で気づくと、ちょっと恥ずかしい気持ちになりますね。
破滅した
感情や精神状態が取り返しのつかないほど傷つき、打ちのめされた状態。悲しみ、後悔、絶望などが入り混じったニュアンス。
After failing the final exam, she felt all her hard work was undone.
期末試験に落ちた後、彼女は自分の全ての努力が無駄になったと感じた。
※ この例文は、一生懸命頑張ったことが報われず、「全てが無駄になった」「水の泡になった」と感じる絶望的な状況を描いています。努力が実らず、それまでの積み重ねが台無しになる、というニュアンスが "undone" の典型的な使い方です。「be undone」で「台無しになる」「破滅する」という意味になります。
The sudden market crash left their ambitious business plan completely undone.
突然の市場暴落が、彼らの野心的な事業計画を完全に破滅させた。
※ ビジネスの世界で、予期せぬ出来事によって大きな計画が「完全に破滅した」「台無しになった」状況を表しています。ここでは "left X undone" の形で、「Xを破滅した状態にした」という意味になります。それまでの努力や投資がゼロになってしまうような、経済的な打撃の場面でよく使われる表現です。
The terrible storm left their new house and all their dreams undone.
そのひどい嵐は、彼らの新しい家と全ての夢を台無しにした。
※ 自然災害など、自分ではどうすることもできない力によって、大切なものや未来の夢が「台無しになった」「失われた」状況を描いています。この文のように、物質的なもの(家)だけでなく、抽象的なもの(夢)が「undone」になることもあります。取り返しがつかないほどの被害を受けたときに使われる、感情のこもった表現です。
コロケーション
(何かを)未完了のままにする、やり残す
※ 「leave something undone」の形でよく使われ、文字通りには「~を未完了のままにする」という意味ですが、ニュアンスとしては単に「終わらせなかった」だけでなく、「意図的に、あるいは怠慢によって放置した」という責任や非難の感情が含まれることが多いです。例えば、ビジネスシーンで「重要なタスクをleave undoneにしてしまった」と言うと、単なるミス以上の意味合いを持ちます。フォーマルな場面で使われる傾向があります。
(物理的に)ほどける、崩れる、(計画などが)失敗に終わる
※ 物理的な意味では、結び目がほどけたり、縫い目がほつれたりする状態を表します。比喩的には、計画や組織などが崩壊する、失敗に終わるという意味合いで使われます。例えば、「The company's carefully laid plans came undone due to the economic crisis.(会社の綿密な計画は経済危機によって崩壊した)」のように使われます。日常会話でもビジネスシーンでも使用頻度は高いです。
打ちのめされたように感じる、精神的に参っている
※ 「精神的に打ちのめされた」「ボロボロになった」という感情を表します。大きなショックや失望、悲しみなどを経験した後に、人が「feel undone」と感じることがあります。例えば、「After losing the election, he felt completely undone.(選挙に負けた後、彼は完全に打ちのめされたように感じた)」のように使われます。感情的なニュアンスが強く、口語的な表現です。
~によって破滅する、~のせいで失敗する
※ 「be undone by something」の形で、「~によって破滅する」「~のせいで失敗する」という意味を表します。これは、ある特定の要因が原因で、計画や人の運命が悪い方向に進んでしまうことを示唆します。例えば、「He was undone by his own ambition.(彼は自身の野心によって破滅した)」のように使われます。文学的な表現で、やや古風な印象を与えます。
髪が乱れている、だらしない髪型
※ 文字通りには「髪がほどけている」という意味ですが、転じて「髪が乱れている」「きちんとセットされていない」状態を表します。必ずしもネガティブな意味だけでなく、リラックスした雰囲気や自然な美しさを表現する際にも使われます。例えば、ファッション雑誌で「effortlessly chic with hair undone(頑張りすぎない、乱れた髪がおしゃれ)」のように使われることがあります。口語的な表現です。
未完了の仕事、やり残された作業
※ 「leave work undone」のように使われ、「未完了の仕事」「やり残された作業」を指します。これは、単に仕事が終わっていないだけでなく、責任者がその仕事を完了させるべきだったにも関わらず、放置したというニュアンスが含まれる場合があります。ビジネスシーンでよく使われ、進捗報告などで見られます。
使用シーン
学術論文や専門書で、「未完了の」「解明されていない」という意味で使われます。例えば、歴史学の研究で「未解決の課題が残されている(The issue remains undone.)」と記述したり、心理学の研究で「過去のトラウマが人の行動を破滅させる(Past trauma can leave a person undone.)」のように、比喩的に「精神的に打ちのめされた」状態を表したりします。文語的な表現です。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、プロジェクトの進捗状況や問題点を説明する際に使われることがあります。「未完了の作業(undone tasks)」や「契約が破棄された(The deal was undone.)」のように、フォーマルな文脈で使用されます。ただし、より直接的な表現が好まれる場合もあります。
日常会話ではあまり使われませんが、文学作品や映画のセリフなどで、「打ちのめされた」「破滅した」という意味で使われることがあります。例えば、「彼女の裏切りで彼は打ちのめされた(He was undone by her betrayal.)」のように、感情的な状況を表す際に用いられます。また、服のボタンが「ほどけた」状態を指す場合もありますが、より一般的な表現としては「unbuttoned」が使われます。
関連語
類義語
- ruined
『台無しにする』という意味で、計画、キャリア、人生などが破滅的な結果になることを指す。フォーマルな場面でも使用される。 【ニュアンスの違い】『undone』が未完了や未解決の状態を指すのに対し、『ruined』は完全に破壊され、修復不可能な状態を表す。感情的なニュアンスが強い。 【混同しやすい点】『ruined』は結果に焦点を当て、不可逆的な状況を示すことが多い。一方、『undone』は原因や過程に焦点を当てることがある。
- canceled
『取り消された』という意味で、予定、イベント、契約などが公式に取り消されることを指す。ビジネスや日常会話で頻繁に使用される。 【ニュアンスの違い】『undone』が完了していない状態を指すのに対し、『canceled』は完了する予定だったものが中断された状態を表す。より具体的な行動を伴う。 【混同しやすい点】『canceled』は具体的な対象(例:会議、フライト)に対して使われるが、『undone』はより抽象的な概念(例:努力、計画)に対しても使われる。
- unfinished
『未完成の』という意味で、プロジェクト、仕事、芸術作品などがまだ完了していない状態を指す。日常会話やビジネスシーンで広く使用される。 【ニュアンスの違い】『undone』が未完了であることに加え、放置されているニュアンスを含むことがあるのに対し、『unfinished』は単に完了していない状態を示す。客観的な記述。 【混同しやすい点】『unfinished』は物理的な対象物や具体的なタスクに対して使われることが多いが、『undone』はより抽象的な概念や感情に対しても使われる。
『無効の』という意味で、契約、法律、約束などが法的または公式に効力を持たない状態を指す。法律やビジネスの文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『undone』が未完了や取り消される可能性を含むのに対し、『void』は完全に効力を失った状態を示す。法的拘束力がないことを強調する。 【混同しやすい点】『void』は法律用語としての意味合いが強く、日常会話ではあまり使われない。『undone』の方がより一般的で幅広い状況で使用できる。
- defeated
『打ち負かされた』という意味で、競争、戦い、議論などで負けた状態を指す。スポーツ、政治、個人的な闘争など、様々な文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】『undone』が未完了の状態を指すのに対し、『defeated』は完全に敗北し、目標達成が不可能になった状態を表す。感情的なニュアンスを含む。 【混同しやすい点】『defeated』は人や組織が主語になることが多いが、『undone』は計画や仕事などが主語になることが多い。また、『defeated』はより感情的な表現である。
- neglected
『放置された』という意味で、注意やケアが払われず、無視された状態を指す。義務、責任、健康、人間関係など、様々な対象に使用される。 【ニュアンスの違い】『undone』が未完了であることに加え、意図的な放置や怠慢のニュアンスを含む。『neglected』は、本来なされるべき行為がなされなかったことを強調する。 【混同しやすい点】『neglected』は、責任や義務を伴う対象に対して使われることが多い。一方、『undone』はより一般的な未完了の状態を指し、必ずしも責任や義務を伴うとは限らない。
派生語
『行う』を意味する基本動詞。undoneは、このdoの過去分詞形。日常的な行為から抽象的なタスクまで幅広く使用される、英語学習の根幹をなす語彙です。
接頭辞『re-(再び)』がつき、『やり直す』という意味になる動詞。失敗した作業や不満な結果に対して、再度試みることを表します。ビジネスシーンや日常会話で頻繁に使われます。
接頭辞『un-(否定)』がつき、『元に戻す』という意味になる動詞。物理的な行為(ほどく、開ける)から、デジタル操作(取り消し)まで、幅広い文脈で使用されます。undoneとの関連性が非常に強く、undoの過去分詞がundoneです。
反意語
- finished
『完了した』を意味する形容詞または過去分詞。未完了の状態である『undone』と対照的に、タスクやプロジェクトが完全に終了した状態を表します。日常会話からビジネス文書まで広く使われます。
- completed
『完成した』を意味する形容詞または過去分詞。『finished』と同様に、未完了の『undone』とは対照的です。よりフォーマルな文脈や、プロジェクトの完了報告などで使用されることが多いです。
『固定された』、『修理された』を意味する形容詞または過去分詞。『undone』が『未解決』や『乱れた』状態を示すのに対し、『fixed』は問題が解決され、正常な状態に戻ったことを示します。物理的なものだけでなく、抽象的な問題にも使用できます。
語源
"Undone"は、接頭辞 "un-" と過去分詞 "done" から構成されています。"Un-" は否定や逆転を表し、「〜でない」「〜を元に戻す」という意味を持ちます。例えば、"unhappy"(不幸な)、"undo"(元に戻す)などがあります。"Done" は "do"(行う、する)の過去分詞形で、「完了した」「終えた」という意味です。したがって、"undone" は文字通りには「完了していない」「元に戻された」という意味になります。これが、「未完了の」「ほどけた」といった意味につながります。比喩的には、「破滅した」という意味合いも持ちますが、これは何かが完了せずに放置され、悪い結果を招いた状態を示唆しています。日本語で例えるなら、「やりかけ」の状態が放置された結果、問題が「手遅れ」になったようなイメージです。
暗記法
「Undone」は単に「未完了」を意味しません。ヴィクトリア朝の文学では、秘密や欲望が暴かれ、個人や社会が破滅に向かう様を描く言葉でした。社会規範からの逸脱は、名誉や地位の失墜を意味し、シェイクスピア悲劇では、心理的崩壊を暗示。ゴシック小説では、過去の罪が人物を蝕みます。現代では道徳的意味合いは薄れましたが、計画の頓挫や失恋による喪失感を表現する言葉として、今も生きています。
混同しやすい単語
『undone』と『under』は、スペルが非常に似ており、特に母音字が 'o' と 'e' で異なる点に注意が必要です。意味も異なり、『under』は『〜の下に』という前置詞または副詞として使われます。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なります ('undone' は二音節目、'under' は一音節目)。日本人学習者は、文脈と発音を意識して区別する必要があります。
『undone』と『unwind』は、どちらも接頭辞 'un-' を持ち、スペルが似ているため混同しやすいです。しかし、『unwind』は『(巻かれたものを)ほどく』や『リラックスする』という意味の動詞であり、品詞も意味も異なります。発音も異なります。日本人学習者は、'unwind' の過去形・過去分詞形が 'unwound' であることも覚えておくと、さらに区別しやすくなります。
『undone』は『undo』の過去分詞形です。つまり、動詞『undo』(元に戻す、取り消す)と密接に関連しています。意味は関連していますが、文法的な役割が異なります。『undo』は動詞の原形、『undone』は過去分詞形であり、完了形や受動態で使用されます。例えば、『I will undo it』と『It is undone』のように使い分けます。日本人学習者は、動詞の活用形を意識して使い分ける必要があります。
『undone』と『den』は、スペルの一部が似ており、特に語尾の 'n' の音が共通しているため、発音を聞き間違える可能性があります。『den』は『(動物の)巣穴』や『隠れ家』という意味の名詞であり、意味は全く異なります。また、音節数も異なり、『undone』は二音節、『den』は一音節です。日本人学習者は、文脈と発音の音節数を意識して区別することが重要です。
『undone』の後半部分と『don』が似ているため、発音を聞き間違える可能性があります。『don』は、スペイン語やイタリア語で『〜氏』を意味する敬称、または大学の教員を指す言葉です。意味も品詞も異なり、『undone』は形容詞または動詞の過去分詞形ですが、『don』は名詞です。日本人学習者は、文脈から判断し、発音の全体像を捉えるように心がける必要があります。
『undone』と『union』は、どちらも 'un' で始まるため、スペルが似ていると感じるかもしれません。『union』は『結合』や『組合』という意味の名詞であり、意味も品詞も異なります。発音も大きく異なります。日本人学習者は、単語全体をしっかりと見て、スペルと発音の違いを意識することが重要です。
誤用例
『undone』は文字通りには『ほどかれた』『未完成の』という意味ですが、感情を表す場合は『打ちのめされた』『途方に暮れた』というネガティブなニュアンスが強く、主に困難や失敗によって精神的に参っている状態を指します。一方、日本語の『恐縮です』のように、相手の褒め言葉に対して、良い意味で圧倒された、感謝の念でいっぱいになったというニュアンスを伝えたい場合は、『overwhelmed』がより適切です。日本人が『恐縮』という言葉を多用するように、英語学習者が良い意味でも悪い意味でも『undone』を使ってしまう背景には、感情の機微を英語で表現する難しさがあります。
『undone』は『未完了』という意味を持ちますが、特に『なされるべきことがなされなかった』というニュアンスを含みます。契約書の場合、単にサインがされていない状態を指すのであれば、『unsigned』がより直接的で正確です。日本人が『未完了』という言葉から『undone』を連想しがちですが、英語では文脈に応じてより具体的な表現を選ぶ必要があります。また、契約のようなフォーマルな場面では、より客観的な表現が好まれます。
『undone』は、髪型や服装が『きちんとしていない』状態を指す場合に使うことができますが、それはあくまで『だらしなさ』や『乱れ』といったネガティブな意味合いにおいてです。パーティーなどの場面で、意図的に髪を下ろしてリラックスした雰囲気を演出する場合は、『wore her hair down』が適切です。日本人が『ほどく』という言葉から『undone』を連想しやすいですが、英語では『ほどく』という行為の結果だけでなく、その意図やニュアンスも考慮する必要があります。例えば、着物を『着崩す』という行為は、単に『undone』では表現しきれない文化的背景を含んでいます。
文化的背景
「Undone」は、文字通りには「ほどかれた」「未完了の」という意味ですが、文化的な背景においては、単に物理的な状態を表すだけでなく、人の感情や道徳的な崩壊、社会的な秩序の乱れを象徴する言葉として用いられてきました。特に、ヴィクトリア朝時代以降の文学作品や演劇においては、抑圧された欲望や秘密が暴かれることによって、個人や社会が「undone(破滅)」に向かう様を描写する際に頻繁に登場します。
この言葉が持つ重みは、当時の社会における厳格な道徳観と密接に結びついています。例えば、女性が社会規範から逸脱する行為(不倫や未婚の妊娠など)は、彼女自身だけでなく、家族全体の社会的地位を「undone(失墜)」させる可能性がありました。同様に、男性が賭博や浪費によって財産を失うことも、名誉と家名を「undone(地に落とす)」と見なされました。このように、「undone」は単なる失敗や過ちではなく、社会的なアイデンティティや秩序を脅かす深刻な事態を意味していたのです。
シェイクスピアの悲劇作品においても、「undone」は登場人物の心理的な崩壊や運命の転落を暗示する言葉として効果的に用いられています。例えば、『リア王』において、リア王が自身の判断の誤りによって王国を失い、精神的に崩壊していく過程は、「undone」という言葉が持つ喪失感や絶望感を強く印象づけます。また、ゴシック小説においては、秘密や過去の罪が明るみに出ることによって、登場人物が精神的に、あるいは肉体的に「undone(蝕まれていく)」様子が描かれ、読者に不安と恐怖を植え付けます。このように、「undone」は文学作品において、人間の弱さや脆さ、そして社会的な圧力によって個人が崩壊していく様を象徴する言葉として、重要な役割を果たしてきたのです。
現代においては、道徳的な意味合いは薄れつつありますが、それでもなお、「undone」は、計画や努力が無駄になったり、感情が制御不能になったりする状況を表す際に用いられます。例えば、長年取り組んできたプロジェクトが頓挫した場合や、失恋によって心が深く傷ついた場合など、「I feel undone」という表現は、単なる悲しみや失望を超えた、深い喪失感や無力感を表現するのに適しています。このように、「undone」は、時代や社会の変化とともに意味合いを変化させながらも、人間の感情や経験の本質を捉える言葉として、今もなお生き続けているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解、稀にリスニング
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で比較的頻出。特に長文読解で登場しやすい
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで出題されるが、ややフォーマルな文脈が多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 「未完了の」「ほどけている」「取り消された」など複数の意味があるので、文脈に応じた意味を把握する必要がある。過去分詞形であることに注意。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 5, 7で中程度の頻度。特にビジネス関連の長文で登場しやすい
- 文脈・例題の特徴: ビジネス文書、契約書、プロジェクトの進捗報告など、ビジネス関連の文脈で使われることが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 「未完了の」「取り消された」という意味で使われることが多い。例えば「undone deal(破談になった取引)」のような表現を覚えておくと役立つ。
- 出題形式: 主にリーディングセクション
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章でまれに出題される
- 文脈・例題の特徴: 学術的な文章で、抽象的な概念や状況を説明する際に使われる
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEFLでは比較的出題頻度は低いが、他の単語との組み合わせで意味を推測できるようにしておくことが重要。
- 出題形式: 主に長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で出題される可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 評論文や物語文など、幅広いジャンルの文章で使われる
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力が重要。「未完了の」「ほどけている」など、複数の意味を把握しておく必要がある。