compromise
第一音節に強勢があります。/ɑː/ は日本語の「ア」よりも口を大きく開け、喉の奥から出すイメージです。/pr/ の発音は、唇を閉じた状態から勢いよく「プ」と発音し、すぐに「ラ」に繋げることがポイントです。/z/ は有声音なので、喉を震わせることを意識しましょう。語尾の「イズ」は弱く短く発音します。
専門的な内容に関するご注意
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歩み寄る
対立する意見を持つ者同士が、互いに譲歩して合意点を探る様子。完全な同意ではないが、関係を維持・改善するために互いの立場を尊重するニュアンス。
My sister and I wanted different movies, but we decided to compromise and watch a documentary.
姉と私は違う映画が見たかったけれど、歩み寄ってドキュメンタリーを見ることにした。
※ 「compromise」は、意見が分かれた時に「お互い少しずつ譲り合って、間をとる」という状況でよく使われます。この例文では、姉妹がそれぞれ見たい映画が違ったけれど、どちらか一方に決めず、第三の選択肢(ドキュメンタリー)で合意した場面を描いています。日常生活で「どうする?」と意見が分かれた時に使える、とても自然な表現です。
After a long discussion, the two companies had to compromise on the final price.
長い話し合いの後、2つの会社は最終価格で歩み寄らなければならなかった。
※ この文は、ビジネスや交渉の場面で「compromise」が使われる典型的な例です。お互いの希望が完全に一致しない場合でも、双方が少しずつ譲歩し、合意点を見つける必要がある状況を表しています。「had to compromise」は「歩み寄る必要があった」というニュアンスで、交渉の厳しさも伝わります。
To maintain a good relationship, couples often need to compromise.
良い関係を保つためには、カップルはしばしば歩み寄る必要があります。
※ この例文は、人間関係全般、特に長期的な関係において「compromise」がどれほど重要かを示しています。一方的な主張だけでは関係がうまくいかない時に、お互いを理解し、譲り合うことの必要性を表現しています。単に意見を合わせるだけでなく、「関係性を維持するために努力する」という深い意味合いも含まれます。
妥協点
交渉や議論において、双方が合意できる範囲。理想的な解決策ではないかもしれないが、現実的な落とし所として受け入れられる点。
My friend wanted action and I wanted comedy, so we found a good compromise and watched an animated film.
友達はアクション映画が見たかったし、私はコメディが見たかったので、私たちは良い妥協点を見つけて、アニメ映画を一緒に見ました。
※ これは、異なる好みを持つ二人が、お互いに少しずつ譲り合って「これならいいね!」という点を見つける、日常でよくあるシーンです。映画のジャンル選びなど、身近な状況で「compromise」が使われる典型的な例です。「find a compromise」は「妥協点を見つける」という意味で非常によく使われます。
The two teams had different ideas, but after a long meeting, they found a good compromise.
2つのチームは異なる意見を持っていましたが、長い会議の後、彼らは良い妥協点を見つけました。
※ ビジネスやグループでのプロジェクトなど、複数の人が関わる場面で意見が対立した際に、最終的に合意に至る「妥協点」を表すのに使われます。特に「long meeting(長い会議)」という言葉から、簡単ではなかったけれど、努力して解決策を見つけ出した様子が伝わります。「find a compromise」はここでも自然に使われています。
My parents had different plans for the holiday, but they found a compromise that made everyone happy.
両親は休日の過ごし方について異なる計画を持っていましたが、全員が幸せになるような妥協点を見つけました。
※ 家族や友人など、親しい間柄で意見が分かれた時に、みんなが満足できるような解決策としての「妥協点」を表しています。「made everyone happy」という言葉から、ただ譲歩するだけでなく、ポジティブな結果につながる「妥協」のニュアンスが感じられます。これも「find a compromise」の自然な使い方の一つです。
(原則を)曲げる
本来守るべきルールや基準を、状況に応じて一部変更・緩和すること。必ずしも悪い意味ではなく、柔軟な対応として肯定的に捉えられる場合もある。
He didn't want to compromise his dream, but he had to for his family.
彼は夢を曲げたくなかったが、家族のためにそうせざるを得なかった。
※ この例文は、自分の「夢」という大切な原則や目標を、やむを得ず変更したり、譲歩したりする状況を表しています。主人公が夢と家族の間で葛藤し、苦渋の決断をしている情景が目に浮かびますね。個人的な信念や目標を、別の理由(この場合は家族)のために「曲げる」という、『compromise』の核心的な意味がよく表れています。
Our team decided not to compromise on quality, even if it cost more.
私たちのチームは、たとえ費用がかさんでも、品質で妥協しないと決めた。
※ ビジネスやプロジェクトの現場でよくある状況です。チームが「品質」という譲れない基準や原則を持っており、それを下げたり、譲歩したりしないという強い決意が伝わります。『compromise on X』で「Xについて妥協する」「Xの基準を曲げる」という形で非常によく使われる表現です。コストがかかっても品質を優先するという、プロフェッショナルな姿勢が描かれています。
She refused to compromise her values for money.
彼女はお金のために自分の価値観を曲げることを拒否した。
※ この例文は、個人的な「価値観」や「倫理観」といった大切な原則を、外部からの誘惑(この場合はお金)によって曲げないという強い意志を示しています。『refuse to do...』は「~することを拒否する」という強い否定の意思を表します。自分の信念を貫き通す、毅然とした女性の姿が目に浮かびますね。道徳的な原則や信条を「曲げる」という意味合いで、非常に典型的な使い方です。
コロケーション
妥協点に達する、合意に至る
※ 最も基本的なコロケーションの一つで、交渉や議論の末に双方が譲歩し、受け入れ可能な解決策を見出すことを指します。'arrive at a compromise'も同様の意味ですが、'reach'の方がより一般的です。ビジネスシーンや政治的な文脈で頻繁に使用されます。単に'compromise'と言うよりも、具体的な行動や結果を伴うニュアンスが加わります。
自分の主義や信念を曲げる、妥協する
※ 道徳的な意味合いが強い表現です。金銭的な損得ではなく、個人の倫理観や価値観に関わる事柄において、信念を貫くことが難しい状況を指します。例えば、「良心に反する取引に応じる」といった場合に使われます。'betray one's principles'よりも、やむを得ない事情で譲歩したというニュアンスが含まれます。
妥協案、折衷案
※ 問題解決のために、関係者全員が完全に満足するわけではないものの、受け入れ可能な解決策を意味します。'a middle ground'や'a settlement'と似た意味合いを持ちますが、特に交渉や議論の過程で生まれた案であることを強調します。ビジネス会議や紛争解決の場面でよく用いられます。
受け入れ可能な妥協、容認できる妥協
※ 必ずしも理想的ではないものの、現実的な状況を考慮して受け入れることができる妥協点を指します。'tolerable compromise'もほぼ同義です。交渉において、双方が譲歩の限界点を探り合う中で、最終的に合意できるレベルの妥協案であることを示します。ビジネスや外交の場で頻繁に使われます。
危険な妥協、安易な妥協
※ 一見すると合意に至ったように見えるものの、長期的に見て不利益をもたらす可能性のある妥協を指します。例えば、安全基準を緩めることによる事故のリスク増加などが該当します。'a short-sighted compromise'(近視眼的な妥協)も同様の意味合いを持ちます。慎重な判断が求められる場面で用いられます。
妥協して、譲歩して
※ 「be in compromise with someone」の形で使われ、「~と妥協している」「~と合意している」という意味になります。単に「compromise」と言うよりも、当事者間の関係性や合意のプロセスを強調するニュアンスがあります。法律文書やビジネス契約などで見られる、やや形式ばった表現です。
妥協する意思がある、譲歩する用意がある
※ 交渉や議論において、相手の意見を聞き入れ、自身の要求を一部譲歩する姿勢を示す表現です。'open to compromise'も同様の意味を持ちます。円滑な人間関係を築く上で重要な要素であり、ビジネスシーンや日常生活で広く用いられます。相手に協力的な印象を与えることができます。
使用シーン
学術論文やディスカッションにおいて、研究結果や理論の限界、あるいは異なる視点間の調整について議論する際に頻繁に使用されます。例:『この研究結果は、倫理的な妥協点を含んでいる可能性がある』、あるいは『異なる理論間の妥協案を提示する』といった文脈で用いられます。研究者が自身の研究の限界を認めたり、他の研究者との意見の相違を調整したりする際に不可欠な語彙です。
ビジネス交渉、プロジェクト管理、チーム内での意思決定など、様々な場面で使用されます。例:『納期を守るために、品質面で妥協せざるを得ない』、あるいは『関係各部署との妥協点を見つける』といった文脈で使用されます。会議での議論、報告書、メールなど、フォーマルなコミュニケーションにおいて、利害関係の調整や合意形成を図る際に重要な語彙です。
日常会話やニュース記事において、意見の相違や人間関係における調整について話す際に使用されます。例:『お互いに少しずつ妥協して、平和に暮らしている』、あるいは『政治家たちは、重要な法案について妥協点を見つけようとしている』といった文脈で使用されます。家族、友人、同僚など、身近な人々との関係を円滑にするために、あるいは社会問題について議論する際に役立つ語彙です。
関連語
類義語
紛争や議論の後に合意に達することを指し、しばしば法的な文脈やビジネス交渉で用いられます。最終的な決着というニュアンスが強いです。 【ニュアンスの違い】「compromise」が双方の譲歩を含むのに対し、「settlement」は必ずしもそうではありません。片方が全面的に譲歩する場合や、第三者の介入によって解決する場合も含まれます。より公式で、最終的な合意を意味します。 【混同しやすい点】「compromise」は動詞としても名詞としても使えますが、「settlement」は名詞として使われることが多いです。動詞として使う場合は「settle」を用います。また、和解金という意味合いも持ちます。
相手の要求や状況に合わせて調整することを意味し、しばしば物理的な状況やニーズへの対応に使われます。また、意見の相違を一時的に受け入れるという意味合いもあります。 【ニュアンスの違い】「compromise」が双方の譲歩を前提とするのに対し、「accommodation」は一方的な調整や便宜供与を意味することがあります。また、長期的な解決策ではなく、一時的な対応である場合が多いです。 【混同しやすい点】「accommodation」は「宿泊施設」という意味でも使われるため、文脈によって意味を判断する必要があります。また、意見の相違に対する「accommodation」は、必ずしも合意を意味せず、単に受け入れるだけの場合もあります。
相手の要求に対して譲歩することを意味し、交渉や議論の文脈でよく用いられます。特に、相手に有利な条件を認める場合に用いられます。 【ニュアンスの違い】「compromise」が双方の譲歩を含むのに対し、「concession」は一方的な譲歩を意味します。また、「compromise」よりも、より具体的な要求に対する譲歩を指すことが多いです。 【混同しやすい点】「concession」は「権利譲歩」や「利権」という意味でも使われるため、文脈によって意味を判断する必要があります。また、「compromise」が解決策を探る姿勢を示すのに対し、「concession」は単に譲歩するだけの場合もあります。
相互の理解や合意を指し、しばしば暗黙の了解や非公式な合意を意味します。また、状況や問題を理解することも意味します。 【ニュアンスの違い】「compromise」が明示的な合意を意味するのに対し、「understanding」は暗黙の了解や相互の理解を意味します。また、「compromise」が対立する意見の調整を伴うのに対し、「understanding」は必ずしもそうではありません。 【混同しやすい点】「understanding」は「理解力」という意味でも使われるため、文脈によって意味を判断する必要があります。また、「compromise」が具体的な解決策を伴うのに対し、「understanding」は必ずしもそうではありません。
- middle ground
対立する意見や立場の間にある中間地点を指し、しばしば妥協点を探す際に用いられます。比喩的な表現です。 【ニュアンスの違い】「compromise」が具体的な合意を意味するのに対し、「middle ground」は抽象的な中間地点を指します。また、「compromise」が双方の譲歩を伴うのに対し、「middle ground」は必ずしもそうではありません。 【混同しやすい点】「middle ground」は具体的な解決策ではなく、あくまで概念的な中間地点であるため、具体的な行動や合意を伴わない場合があります。また、政治的な文脈でよく用いられます。
- give-and-take
相互に譲歩し合うことを意味し、特に友好的な関係や協力的な状況で用いられます。日常会話でよく使われる表現です。 【ニュアンスの違い】「compromise」がより公式な文脈で用いられるのに対し、「give-and-take」はよりカジュアルな文脈で用いられます。また、「compromise」が具体的な合意を意味するのに対し、「give-and-take」は相互の譲歩のプロセスを指します。 【混同しやすい点】「give-and-take」は名詞句であり、動詞として使う場合は「compromise」を用います。また、「give-and-take」は友好的な関係を前提とするため、敵対的な状況では不適切です。
派生語
- compromising
現在分詞/動名詞。『妥協する』という行為・性質を表す。形容詞としても用いられ、『妥協的な』という意味になる。ビジネスシーンで「compromising attitude(妥協的な態度)」のように使われることが多い。
過去分詞/形容詞。『妥協された』『危険にさらされた』という意味を持つ。セキュリティ分野で「compromised system(侵害されたシステム)」のように、ネガティブな意味合いで使われることもある。元の意味から派生して、機密情報などが漏洩した状態を指す。
- compromise (noun)
名詞形。『妥協』または『妥協案』という意味。動詞の意味合いをそのまま名詞にしたもの。政治・ビジネス・日常生活など、幅広い場面で用いられる。複数形の"compromises"は、複数の妥協案や、複数の事柄に対する妥協を指す。
反意語
- inflexibility
名詞。『柔軟性のなさ』『頑固さ』を意味する。妥協が柔軟性・譲歩を伴う行為であるのに対し、inflexibilityはそれらを拒否する態度を表す。ビジネスや交渉の文脈で、相手の態度を批判的に表現する際に用いられる。
- intransigence
名詞。『非妥協性』『強硬姿勢』を意味する。妥協を一切拒否する、より強固な態度を示す。政治的な文脈や、対立が激しい状況でよく用いられる。相手の態度を非難するニュアンスを含むことが多い。
名詞。『主張』『断言』を意味する。自分の意見や要求を強く主張し、譲歩しない態度を表す。妥協が互いの意見を調整するのに対し、insistenceは一方的な主張を押し通すことを意味する。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われる。
語源
「compromise」は、ラテン語の「compromittere(共に約束する)」に由来します。これは、「com-(共に)」と「promittere(約束する、保証する)」から構成されています。「promittere」自体は、「pro-(前に)」と「mittere(送る)」が組み合わさった言葉です。つまり、「compromise」の根底には、互いに何かを「送り合う」、つまり譲歩し合うというイメージがあります。日本語で例えるなら、双方が「手土産」を持ち寄り、落としどころを探すような感覚に近いかもしれません。当初は、紛争解決のために双方の代表者が合意することを意味していましたが、時が経つにつれて、より一般的な「妥協する」「歩み寄る」という意味合いを持つようになりました。
暗記法
「妥協」は譲歩以上の意味を持つ。中世では紛争解決の現実的な手段であり、交渉者の手腕が重要だった。文学では登場人物の葛藤を描き、自己実現と社会の期待の間で揺れる姿を映す。現代社会では政治、経済、日常で不可欠だが、信念の放棄と混同されがち。真の妥協は双方の利益を考慮し、より大きな目的のための手段となる。多様性を尊重し、平和な共存を可能にする、社会を支える精神なのだ。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の 'se' の発音が曖昧になりやすい。スペルも 'compromise' と 'compose' で共通部分が多いため、視覚的にも混同しやすい。『compose』は『構成する』『作曲する』といった意味の動詞で、品詞も意味も異なるため注意が必要です。語源的には、'com-'(共に)と 'pose'(置く)で、要素を共に置く=構成するというイメージです。
『compromise』とスペルが非常に似ており、意味も『構成する』という関連性があるため、混同しやすい。しかし、『comprise』は全体が部分を含む場合に使い、主語は全体、目的語は部分になります。一方、『compromise』は『妥協する』という意味が主です。例えば、「Japan comprises many islands.(日本は多くの島々から構成される)」のように使います。
スペルの一部が共通しており、特に語頭の 'pro-' の部分が似ているため、視覚的に混同しやすい。『promise』は『約束』という意味の名詞、または『約束する』という意味の動詞です。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なるため、注意して発音を聞き分ける必要があります。'promise'は「前もって(pro-)送る(-mise)」というイメージで、未来の行動を保証する意味合いがあります。
語尾の発音が似ており、特に日本人には 'ize' と 'wise' の区別が難しい場合があります。スペルも 'wise' が含まれているため、視覚的にも紛らわしい。『unwise』は『賢明でない』という意味の形容詞で、'compromise' とは全く異なる意味を持ちます。接頭辞 'un-' が付くことで、意味が反転している点に注意が必要です。
語尾の 'ize' の発音が共通しており、カタカナ英語の影響で『〜イズ』と発音しがちなため、特に注意が必要です。『computerize』は『コンピュータ化する』という意味の動詞で、'compromise' とは意味が全く異なります。'computer'に「〜化する」という意味の接尾辞'-ize'がついた単語です。
語尾の母音と子音の並びが似ており、音の印象が近いことから混同されやすい。『enterprise』は『企業』『事業』といった意味の名詞で、'compromise'とは意味が異なります。ビジネス英語では頻出の単語なので、しっかりと区別できるようにしましょう。
誤用例
日本語の『妥協』は、必ずしもネガティブな意味合いを持たない場合がありますが、英語の『compromise』は、倫理的な問題や原則を曲げて合意に至るニュアンスを含みます。賄賂(bribe)を求める文脈で使うと、相手に不快感を与え、自身の倫理観を疑われる可能性があります。より中立的な表現としては、『find a middle ground』や『reach a reasonable agreement』が適切です。また、手数料を意味する『commission』は、ビジネスの文脈で使われる一般的な言葉です。日本人が『妥協』という言葉を安易に『compromise』に置き換えてしまうのは、言葉の持つニュアンスの違いを意識していないことが原因です。
日本語の『和を以て貴しと為す』という考え方は、集団の調和を重んじる文化に根ざしていますが、英語圏では、個人の意見や原則を尊重する傾向があります。『compromise our principles』は、自身の信念を曲げるという意味合いが強く、必ずしもポジティブな行動とは見なされません。集団の調和を保ちたいのであれば、『be flexible』や『collaborative』といった、より建設的な表現を使う方が適切です。日本人が『和』を重視するあまり、安易に『compromise』を使ってしまうのは、文化的背景の違いを考慮していないことが原因です。英語では、状況に応じて柔軟に対応し、協力的な姿勢を示すことが、より建設的な解決策につながります。
『compromise with』は、通常、互いに譲歩して合意に至る状況を指しますが、『conscience(良心)』と組み合わせて使うと、『良心に逆らって』という意味合いになります。しかし、この文脈では『妥協』というよりは『屈した』というニュアンスがより適切です。そのため、『went against his conscience』という表現を使うことで、葛藤の末に倫理に反する行動を取ったという状況をより正確に伝えることができます。日本人が『〜と妥協する』という表現を直訳的に『compromise with』と捉えてしまうのは、英語における語彙の選択肢の幅広さを理解していないことが原因です。
文化的背景
「妥協(compromise)」は、単に譲歩すること以上の意味を持ち、異なる価値観や利害が衝突する社会において、秩序を維持し、関係性を継続させるための不可欠なプロセスを象徴します。それは、理想を追求する情熱と現実的な解決策の間で揺れ動きながら、社会が成熟していく過程そのものを体現していると言えるでしょう。
中世ヨーロッパにおいて、「compromise」は紛争解決の手段として重要な役割を果たしました。領主間の争いや教会内の対立など、絶対的な正義が存在しない状況下で、双方の主張をある程度取り入れ、合意点を見出すことは、流血を避け、社会の安定を保つための現実的な選択肢でした。この過程では、交渉者(仲介者)の役割が重要であり、彼らは双方の顔を立てながら、妥協点を探る高度なコミュニケーション能力を求められました。妥協は、必ずしも理想的な解決策ではないものの、現実的な落とし所として受け入れられ、社会秩序を維持するための潤滑油として機能したのです。
文学作品においても、「compromise」は登場人物の葛藤や成長を描く上で重要な要素となります。例えば、シェイクスピアの作品では、登場人物が自身の信念と現実の間で妥協を迫られる場面がしばしば描かれます。彼らは、理想を貫くことの難しさ、そして、他者との関係性を維持するために妥協することの必要性を痛感しながら、人間としての深みを増していきます。また、現代小説においては、「compromise」は自己実現と社会的な期待との間で揺れ動く人々の姿を描く上で、重要なテーマとなっています。登場人物たちは、自身の価値観をどこまで守り、どこまで社会に迎合すべきかという問いに直面し、苦悩しながらも成長していくのです。
現代社会において、「compromise」は政治、経済、そして日常生活のあらゆる場面で必要とされます。しかし、妥協は時に、信念の放棄や自己欺瞞と混同されることがあります。重要なのは、妥協が単なる迎合ではなく、より大きな目的を達成するための手段であるという認識を持つことです。真の妥協は、双方の利益を考慮し、長期的な視点に立って合意点を見出す努力によって生まれます。それは、社会の多様性を尊重し、異なる意見を持つ人々が共存するための不可欠なスキルと言えるでしょう。妥協の精神は、民主主義社会を支える基盤であり、平和な共存を可能にする力なのです。
試験傾向
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解。2. 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。特に1級で問われる可能性が高い。3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、歴史など、幅広いテーマで登場。意見論述問題のキーワードとなることも。4. 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(妥協、歩み寄り)と動詞(妥協する)の両方の意味を理解。動詞の自動詞・他動詞の用法にも注意。
1. 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)。2. 頻度と級・パート: 頻出。Part 5では語彙問題として、Part 7では文脈理解問題として登場。3. 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(交渉、契約、プロジェクト)で頻出。4. 学習者への注意点・アドバイス: 「妥協する」という意味だけでなく、「(能力などを)危うくする」という意味もあることを知っておく。類義語(agreement, settlement)との違いを理解する。
1. 出題形式: リーディングセクション。2. 頻度と級・パート: 頻出。アカデミックな文章でよく使われる。3. 文脈・例題の特徴: 社会科学、歴史、政治などのテーマで、異なる意見や立場を調整する際に使われる。4. 学習者への注意点・アドバイス: 名詞・動詞の両方の用法を理解。類義語(accommodation, concession)とのニュアンスの違いを理解する。語源(com- + promise)を理解すると覚えやすい。
1. 出題形式: 長文読解。2. 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的なレベルの大学でも出題される可能性あり。3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、国際関係、環境問題など、論理的な文章で使われる。4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が必要。類義語(negotiation, adjustment)との違いを理解する。和訳問題で「妥協」という言葉を適切に使えるように練習する。