approve
第一音節の /ə/ は曖昧母音で、力を入れず軽く「ア」と発音します。第二音節に強勢があり、/uː/ は日本語の「ウ」よりも唇を丸めて長く伸ばします。最後の /v/ は有声の唇歯摩擦音で、上の前歯を下唇に軽く当てて「ヴ」と発音します。日本語の「ブ」のように唇を閉じて破裂させないように注意しましょう。
承認する
公式に認め、許可を与えること。計画、提案、行動などが適切であると判断し、支持するニュアンス。
My boss smiled and decided to approve our new project plan.
私の上司は笑顔で、私たちの新しい企画案を承認することに決めました。
※ 【情景】あなたが一生懸命準備した新しい企画を上司にプレゼンしたところ、上司が満足げな笑顔で「よし、これでいこう!」と承認してくれた、そんな嬉しい瞬間です。 【なぜ典型的か】「approve」は、会社や組織において、上司や決定権を持つ人が部下やチームの提案、計画を「正式に承認する」際によく使われます。ビジネスシーンでは非常に頻繁に耳にする使い方です。 【文法/ヒント】ここでは「approve (目的語)」の形で使われています。承認されるものが何かが明確に示されています。
After much thought, my parents finally approved my decision to study art.
よく考えた末、両親はついに私が美術を学ぶという決断を承認してくれました。
※ 【情景】あなたが将来の進路について、美術の道に進みたいとご両親に話したとします。最初は心配されたかもしれませんが、最終的に「あなたの選んだ道なら応援するよ」と賛成してくれた、そんな温かい情景です。 【なぜ典型的か】「approve」は、身近な人が誰かの選択や行動に対して「賛成する」「認める」という意味でも使われます。特に、親が子供の重要な決断を「承認する」という文脈は、感情がこもっていて自然です。 【文法/ヒント】ここでも「approve (目的語)」の形です。何かを決める際に、相手が賛成してくれるかどうかを尋ねる時にも「Do you approve of...?」のように使えます。
The city office will approve your building permit next week.
市役所は来週、あなたの建築許可を承認するでしょう。
※ 【情景】あなたが新しい家を建てるために、市役所に建築許可の申請を出しました。そして、審査が通り「来週、許可が下りますよ」と担当者から連絡があった、そんなホッと一安心する場面です。 【なぜ典型的か】「approve」は、政府機関や役所が「公式な書類や申請を承認する」際にも頻繁に使われます。ビザ、ローン、各種許可証など、公的な手続きにおいて、申請が「承認される」という状況は非常に多いです。 【文法/ヒント】ここでは未来の行動を表す「will approve」となっています。また、申請が「承認された」という結果を伝える際は、受動態(be approved)で使われることも多い単語です。
賛成する
ある意見や考え方に同意し、好意的に受け入れること。個人的な感情や判断が込められる場合が多い。
My parents finally approved my plan to study abroad next year.
両親はついに、来年留学するという私の計画を承認してくれました。
※ この例文は、あなたが親に何か大きな計画を提案し、最終的に「いいよ」と認めてもらえた時の、ホッとした気持ちや喜びが伝わる場面です。「approve」は、権限を持つ人が、誰かの提案や行動を「公式に、あるいは真剣に検討した上で許可する」というニュアンスで使われます。ここでは、親があなたの留学計画を真剣に検討し、最終的に許可を出した、という状況が描かれています。
The manager approved our new project proposal after a long discussion.
長い議論の後、部長が私たちの新しい企画提案を承認しました。
※ 会社でチームが時間をかけて作った新しい企画書が、上司(manager)によって「承認された」状況です。ビジネスの場面で、上司や委員会が提案書や計画を「承認する」際によく使われます。単に「いいね」と言うだけでなく、正式な許可が出て、その計画を進めることができるようになった、という重要な意味合いが込められています。「after a long discussion」から、簡単に承認されたわけではない、という背景も伝わりますね。
Many local residents approved the city's new plan for park renovation.
多くの地域住民が、市の新しい公園改修計画に賛成しました。
※ この例文は、地域の人々が、市が提案した公園の改修計画に対して「賛成した」状況を描いています。ある提案や方針に対して、多くの人々が「賛成の意を示す」場合にも「approve」が使われます。住民がその計画を良いものと認め、受け入れた様子がわかります。このように、集団や組織が何かを「承認する」場合にも自然に用いられる単語です。
是認する
必ずしも積極的に賛成するわけではないが、容認し、問題視しないこと。消極的な許可や黙認の意味合いを含む。
My mom finally approved my decision to get a puppy.
母はついに私が子犬を飼うという決断を是認してくれました。
※ この例文では、家族の中で個人的な願いや計画が、最終的に親に認められ、許可される場面を描いています。「finally(ついに)」という言葉から、承認されるまでの少しの期待や待ち遠しさが伝わりますね。家庭内での個人的な事柄に対する「承認」の場面でよく使われます。
Our boss quickly approved the new marketing plan.
私たちの上司は、新しいマーケティング計画をすぐに是認しました。
※ ビジネスの場面で、提案や計画が上司や会社から「承認される」典型的なシーンです。「quickly(すぐに)」という言葉が、計画がスムーズに、あるいは期待通りに受け入れられた様子を表しています。仕事で何かを提案して、それが通る時に使うイメージです。
The school principal approved the students' idea for the festival.
校長先生は、生徒たちの文化祭のアイデアを是認しました。
※ 学校や組織の中で、権限を持つ人が、提出されたアイデアや企画を「正式に許可する」場面です。生徒たちが一生懸命考えたアイデアが、校長先生によって認められ、実現に向けて一歩進んだ状況が目に浮かびますね。公式な場での許可や賛同を表す際によく使われます。
コロケーション
~を良いと認める、~に賛成する
※ 最も基本的なコロケーションの一つですが、ニュアンスを理解することが重要です。単純な賛成だけでなく、『ある基準や期待を満たしている』という評価が含まれます。例えば、親が子供の結婚相手をapprove ofする場合、単に嫌いではないだけでなく、社会的な立場や性格などを考慮して『ふさわしい』と判断する意味合いがあります。文法的には、approve ofの後には名詞、代名詞、動名詞が続きます。"I approve of your decision."(あなたの決断を良いと思います。)のように使います。口語でもビジネスシーンでも頻繁に使われます。
予算・計画・提案を承認する
※ ビジネスシーンで非常に頻繁に使われるコロケーションです。公式な承認プロセスを経て、正式に実行に移せる状態にすることを意味します。"The board approved the marketing budget."(取締役会はマーケティング予算を承認した。)のように使われます。approveの対象は、具体的な計画や書類であることが多いです。類語の"accept"よりも、権限を持つ者が公式に認めるニュアンスが強いです。文書やメールでの使用が一般的です。
正式に承認された
※ "duly"は「正式に」「適切に」という意味の副詞で、approveを修飾することで、承認が正式な手続きを経て行われたことを強調します。契約書や公式文書などでよく見られる表現で、承認の正当性を担保する役割があります。"This document is duly approved by the CEO."(この文書はCEOによって正式に承認されています。)のように使われます。口語ではあまり使われません。
承認を得る
※ 承認を得るためのプロセスや努力に焦点を当てた表現です。単に承認されるだけでなく、積極的に働きかけて承認を得たというニュアンスが含まれます。"The company worked hard to gain approval from the regulatory agency."(その会社は規制当局からの承認を得るために懸命に努力した。)のように使われます。"get approval"よりも、努力や困難を経て承認を得たというニュアンスが強くなります。
承認を求める
※ 承認を得るための行動を開始することを意味します。"We need to seek approval from the manager before proceeding."(先に進む前に、マネージャーから承認を求める必要があります。)のように使われます。プロジェクトの開始や重要な決定を行う前に、上司や関係部署に承認を求める際に用いられます。"ask for approval"よりも、よりフォーマルな印象を与えます。
~の承認を得て、~の許可を得て
※ ある行動や決定が、特定の人物の承認または許可を得て行われたことを示すフレーズです。"With the director's approval, we launched the new campaign."(部長の承認を得て、新しいキャンペーンを開始しました。)のように使われます。誰の承認を得て行動したかを明確にする場合に役立ちます。特にビジネスや公式な場面でよく使われます。
心から賛成する
※ "heartily"は「心から」「熱心に」という意味の副詞で、approveを強調することで、非常に強い賛成の意を表します。"I heartily approve of your plan!"(私はあなたの計画に心から賛成します!)のように使われます。日常会話よりも、ややフォーマルな場面や、文学的な表現として使われることがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で、データや結果を「裏付ける」「支持する」という意味合いで使われます。例:『この研究結果は、先行研究で**approve**された仮説を支持する(This result **approves** the hypothesis approved in previous research)』。研究者が自身の主張の根拠を示す際に用いられる、ややフォーマルな表現です。
ビジネスシーンでは、提案や計画を「承認する」という意味で頻繁に使われます。例:『上司がプロジェクトの予算を**approve**した(The boss **approved** the project's budget)』。稟議書や会議の議事録など、公式な文書でよく見られる表現です。承認プロセスの可視化に貢献します。
日常会話では、フォーマルな響きがあるため、あまり使われません。「賛成する」という意味であれば、'agree' の方が一般的です。ニュース報道などで、政府や機関が何かを「承認した」という文脈で耳にする程度でしょう。例:『政府が新しい法律を**approve**した(The government **approved** the new law)』。
関連語
類義語
公に支持・是認することを意味し、政治的な声明、製品の推薦、計画の承認など、フォーマルな場面で使われることが多い。特に、著名人や組織が特定の対象を支持する際に用いられる。ビジネスや政治の世界で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】"approve"よりも強い支持や推奨のニュアンスを持ち、しばしば公的な表明を伴う。また、単なる承認だけでなく、積極的に支持するという意味合いが含まれる。 【混同しやすい点】"approve"は一般的な承認を意味するのに対し、"endorse"はより公式で、公的な支持表明を伴うという点。例えば、新製品を「承認(approve)」することはできるが、有名人がその製品を「推奨(endorse)」するといった使い分けがある。
条約、契約、または法律などを正式に承認し、法的拘束力を持たせることを意味する。政治、法律、ビジネスの文脈で使用される、非常にフォーマルな語彙。 【ニュアンスの違い】"approve"よりもさらに正式な手続きを経て承認することを指し、通常は署名や投票など、特定の行為を伴う。国際条約や憲法改正など、重要な決定事項に対して用いられる。 【混同しやすい点】"approve"は比較的広い範囲の承認を意味するが、"ratify"は特定の文書や合意を正式に承認し、法的効力を持たせる場合に限定される。日常会話ではほとんど使われない。
公式な許可または承認を与えることを意味するが、同時に、違反行為に対する制裁措置という意味も持つ。文脈によって意味が大きく異なる。 【ニュアンスの違い】肯定的な意味では、公式な許可や承認を意味し、"approve"と近い意味合いで使用される。しかし、否定的な意味では、制裁措置を意味し、"approve"とは全く異なる意味になる。 【混同しやすい点】肯定的な意味(許可)と否定的な意味(制裁)の両方を持つため、文脈を正確に理解する必要がある。ビジネスや政治のニュースで頻繁に見られるが、日常会話ではあまり使われない。
日常会話で「良い」「承知した」という意味で使われる非常にカジュアルな表現。動詞としても使われ、「承認する」という意味を持つ。 【ニュアンスの違い】"approve"よりもずっとくだけた表現で、親しい間柄での会話や、インフォーマルな場面で使用される。フォーマルな文書やビジネスシーンでは不適切。 【混同しやすい点】"approve"はフォーマルな承認を意味するのに対し、"okay"はカジュアルな同意や許可を意味する。例えば、上司に休暇を「承認(approve)」してもらう必要がある場合、"okay"を使うのは不適切。
- countenance
(動詞)許容する、支持する、容認する。やや古風で、文学的な響きを持つ。日常会話ではあまり使われない。 【ニュアンスの違い】"approve"よりも受動的な承認のニュアンスが強く、積極的に支持するというよりも、黙認するという意味合いに近い。悪い行いを「大目に見る」といった状況で使用される。 【混同しやすい点】現代英語ではあまり一般的ではなく、フォーマルな文脈や文学作品で目にすることが多い。日常会話で"approve"の代わりに使うと、不自然に聞こえる可能性がある。
正当性や妥当性を証明することを意味し、データ、理論、主張などを裏付ける際に使われる。学術的な文脈や技術的な文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"approve"が単なる承認であるのに対し、"validate"は証拠や論理に基づいて正当性を確認するというニュアンスが強い。例えば、実験結果を「検証(validate)」したり、理論を「立証(validate)」したりする。 【混同しやすい点】"approve"は人や組織が何かを承認するのに対し、"validate"はデータや証拠が何かを裏付けるという違いがある。日常会話ではあまり使われない。
派生語
『承認』『賛成』を意味する名詞。『approve』に名詞化の接尾辞『-al』が付いた形。動詞の『approve』よりも、承認手続きや公式な許可といった意味合いで、ビジネスや行政の文脈で頻繁に使われる。例:『申請のapprovalを得る』。
- approving
『賛成している』『好意的な』という意味の形容詞。動詞『approve』に現在分詞の語尾『-ing』が付加され、形容詞化したもの。人の表情や態度、または状況などを描写する際に用いられ、『approving look(賛成の眼差し)』のように使われる。
- approvable
『承認できる』『承認に値する』という意味の形容詞。『approve』に形容詞化の接尾辞『-able』が付いた形。品質や条件などが承認基準を満たしていることを示す際に用いられ、技術文書や品質管理の分野で使われることが多い。例:『approvable quality(承認可能な品質)』。
反意語
接頭辞『dis-(否定)』が付き、『不賛成』『否認』を意味する動詞。『approve』の直接的な反意語であり、意見や行動に対して反対の意を示す際に用いられる。フォーマルな場面でも使用可能。例:『I disapprove of your behavior.(私はあなたの行動を認めません)』。
『拒否する』『却下する』という意味の動詞。『approve』が積極的に受け入れるのに対し、『reject』は明確に拒絶するニュアンスを持つ。申請、提案、製品など、様々な対象に対して用いられ、ビジネスや学術分野で頻繁に使用される。例:『The proposal was rejected.(その提案は却下された)』。
『(丁寧に)断る』『辞退する』という意味の動詞。『approve』が積極的に受け入れるのに対し、『decline』は礼儀正しく拒否するニュアンスを含む。招待や申し出などを断る際に用いられ、フォーマルな場面でよく使用される。例:『I must decline your invitation.(ご招待は辞退させていただきます)』。
語源
approveは、古フランス語の「aprover」(証明する、承認する)を経由して、ラテン語の「approbare」(是認する、良いと認める)に由来します。さらに遡ると、「ad-」(〜へ)と「probare」(試す、証明する、良いと判断する)という二つの要素から成り立っています。「probare」は「probus」(正直な、善良な)という形容詞に関連し、元々は「試して良いと分かった」という意味合いを持ちます。つまり、approveは「試して、その価値を認める」という行為を表しており、現代英語における「承認する」という意味につながります。日本語の「吟味する」という言葉が、試して良いか判断するという点で、approveの語源的な意味と近いニュアンスを持っていると言えるでしょう。
暗記法
「approve」は単なる許可に非ず。中世の領主が家臣を「approve」することは、忠誠と地位の保証。ギルドが徒弟を「approve」することは、技術水準の承認。現代では、政府が事業計画を「approve」することは、法的適合と社会的容認を意味します。シェイクスピア劇では登場人物への「approval」が運命を左右することも。社会の合意形成と価値観を象徴する、重みある言葉なのです。
混同しやすい単語
『approve』と『improve』は、接頭辞 'ap-' と 'im-' の違いしかなく、スペルが非常に似ています。また、意味も『承認する』と『改善する』で関連性があるため、文脈によっては混同しやすいです。発音も母音部分が同じ 'ə' の曖昧母音であるため、注意が必要です。特に、動詞としての用法を意識し、目的語を伴う際の意味の違いを理解することが重要です。語源的には、'approve' は 'pro-' (良い) + 'prove' (証明する) から来ており、『良いと証明する』という意味合いが、改善とは異なるニュアンスを生み出しています。
『approve』の反対語である『disapprove』は、接頭辞 'dis-' が付いているため、意味を間違えることは少ないかもしれませんが、スペルミスをしやすい単語です。特に、'dis' と 'approve' を分けることなく続けて書いてしまうミスが多いです。発音も 'approve' と同様に曖昧母音を含むため、注意が必要です。反対の意味を持つ単語として、セットで覚えることが効果的です。
『approve』の語源の一部である『proof』は、『証拠』という意味の名詞です。『approve』が動詞であるのに対し、『proof』は名詞である点が大きく異なります。スペルも似ていますが、品詞が異なるため、文法的な構造を意識することで区別できます。例えば、『proof of purchase (購入証明)』のように使われます。日本語の『プルーフ』というカタカナ語は、この『proof』が語源です。
『approve』の語源に関連する動詞『prove』は、『証明する』という意味です。『approve』は『prove』に 'ap-' (〜に向かって) が付いたもので、『良いと証明する』というニュアンスがあります。発音も似ていますが、'prove' は /uː/ の長母音であるのに対し、'approve' は /uː/ の前に曖昧母音 /ə/ が入る点が異なります。例えば、『prove a point (主張を証明する)』のように使われます。
『approve』と『approach』は、最初の 'ap-' の部分が共通しているため、スペルが似ていると感じることがあります。しかし、意味は大きく異なり、『approach』は『近づく』『取り組み』という意味です。発音も異なり、『approach』は /əˈproʊtʃ/ と、アクセントの位置が異なります。文脈によって意味が大きく変わるため、注意が必要です。例えば、『take a different approach (異なるアプローチを取る)』のように使われます。
直接的な意味の関連性はありませんが、『uproar』は『騒動』『騒ぎ』という意味で、スペルの一部が似ており、特に 'pro' の部分が共通しているため、視覚的に混同する可能性があります。発音も異なり、『uproar』は /ˈʌproːr/ と、異なる母音とアクセントを持ちます。ニュース記事などで見かける機会が多い単語なので、スペルと意味を正確に覚えておくことが重要です。
誤用例
多くの日本人は『approve』を他動詞として扱いがちで、目的語を直接続けます。しかし、『approve』は自動詞として使われる場合、『approve of』という形を取る必要があります。これは、日本語の『承認する』という他動詞のイメージが強く影響していると考えられます。英語では、対象に対する感情や評価を伴う場合、『of』のような前置詞を介して間接的に表現することで、より丁寧さや客観性を示すことがあります。直接的な表現を避ける文化的な背景も影響しているかもしれません。
『approve』は、人が何かをすることを承認する場合には、通常、『approve of + doing』という形を取ります。この誤用は、日本語の『〜することを承認する』という表現を直訳しようとする際に起こりがちです。また、『approve』の後に人を直接目的語として置く形は、英語では不自然に聞こえます。英語では、人の行動や提案などを承認するのであり、人を直接承認するという考え方は一般的ではありません。この背景には、個人の自律性を尊重する文化があり、人を直接的にコントロールするような表現は避けられる傾向があります。
『approve』は、一般的に良い行いや計画に対して肯定的な評価を与える意味合いが強い単語です。不正行為や問題のある行動に対して使うと、文脈によっては皮肉や批判の意味合いが薄れてしまいます。ここでは、政府が企業の行動を『制裁』するという意味合いで『sanction』を使う方が適切です。日本人は『approve』を『許可する』という意味で広く捉えがちですが、英語では肯定的なニュアンスが強いことを意識する必要があります。文化的な背景として、英語圏では婉曲的な表現や皮肉が多用されるため、単語の選択には注意が必要です。
文化的背景
「approve」は単に「承認する」だけでなく、社会的な合意形成や権威による是認、そしてその背後にある価値観や規範を象徴する言葉です。何かを「approve」するという行為は、単なる許可を超え、その対象が社会的に受け入れられる基準を満たしていることを宣言する意味合いを持ちます。
中世ヨーロッパの封建社会において、領主が家臣の行動を「approve」することは、単なる許可ではなく、忠誠心や義務の履行を認め、社会的な地位を保証する行為でした。この承認は、領主の権威を強化し、社会秩序を維持する上で不可欠でした。同様に、ギルド制度においても、親方が徒弟の技術を「approve」することは、一人前の職人として認め、ギルドの一員として活動することを許可するだけでなく、その技術水準がギルドの基準を満たしていることを保証する意味合いを持っていました。現代においても、政府が企業の事業計画を「approve」することは、その計画が法律や規制に適合し、社会的に許容されるものであることを意味します。
「approve」の語源を辿ると、ラテン語の「probo」(試す、評価する、是認する)に由来し、そこから派生した古フランス語の「aprover」を経て英語に入ってきました。この語源からも、「approve」が単なる許可ではなく、評価や判断を伴う行為であることがわかります。文学作品においても、「approve」はしばしば道徳的な判断や倫理的な選択と関連して登場します。例えば、ある人物が他者の行動を「approve」することは、その行動が道徳的に正しいと認めることを意味し、逆に「disapprove」(非難する)することは、その行動が道徳的に間違っていると判断することを示唆します。シェイクスピアの戯曲などでは、登場人物の行動に対する周囲の「approval」または「disapproval」が、物語の展開や人物の運命を大きく左右することがあります。
現代社会においては、「approve」は政治、経済、科学、教育など、あらゆる分野で使用されます。例えば、議会が法案を「approve」することは、その法案が国民の代表によって検討され、支持されたことを意味します。科学者が新しい治療法を「approve」することは、その治療法が厳格な臨床試験を経て、安全かつ効果的であることが確認されたことを意味します。このように、「approve」は、専門家や権威ある機関による評価と承認を通じて、社会的な信頼を構築し、維持する上で重要な役割を果たしています。それは、単なる許可ではなく、社会的な合意形成と価値観の共有を象徴する言葉なのです。
試験傾向
1. 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。まれにリスニング。
2. 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題される可能性あり。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、ビジネスなど幅広いテーマで登場。フォーマルな文脈が多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 動詞としての「承認する」の意味だけでなく、他動詞・自動詞の区別、関連語(approval, disapprove)との区別を意識する。類義語(agree, accept, endorse)とのニュアンスの違いも重要。
1. 出題形式: Part 5 (短文穴埋め)、Part 6 (長文穴埋め)、Part 7 (読解問題) で登場。
2. 頻度と級・パート: 頻出単語。特にビジネス関連の文書でよく見られる。
3. 文脈・例題の特徴: 契約、予算、提案、プロジェクトなどビジネスシーンでの使用が中心。承認プロセスに関する記述が多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 「承認する」という意味を基本として、文脈に応じた適切な訳語を選ぶ。例えば、「決裁する」「認可する」など。名詞形 (approval) とセットで覚える。approve of (~を良いと思う、賛成する) の形も重要。
1. 出題形式: リーディングセクションで頻出。
2. 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻繁に出現。
3. 文脈・例題の特徴: 研究、政策、理論など、学術的な内容で使われることが多い。論文やレポートからの抜粋文など。
4. 学習者への注意点・アドバイス: フォーマルな文脈での使用に慣れる。同意・支持を示す意味合いで使われることが多い。類義語(ratify, validate)との使い分けを意識する。長文の中で意味を推測する練習が重要。
1. 出題形式: 長文読解問題で頻出。文法問題や語彙問題で問われることもある。
2. 頻度と級・パート: 難関大学ほど出題頻度が高い傾向。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、歴史など、幅広いテーマで登場。評論文や説明文など、論理的な文章でよく使われる。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力を養う。approve of ~ (~に賛成する) の形を覚えておく。類義語(agree with, consent to)との違いを理解する。