worn
母音 /ɔː/ は日本語の「オ」よりも口を大きく開け、喉の奥から出すイメージで発音します。「r」の音は、舌を口の中で丸めるようにして発音し、直前の母音に影響を与えます。アメリカ英語では/r/の音をはっきり発音しますが、イギリス英語ではほとんど発音しないことがあります。()内の「ル」は、アメリカ英語での発音を意識した場合の目安です。最後の「n」は、しっかりと鼻に抜ける音を意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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使い古された
長期間使用され、劣化や摩耗が見られる状態。単に古いだけでなく、使用によって価値が下がっているニュアンスを含む。愛情を持って使われた結果としての劣化にも使われる。
My favorite T-shirt is so worn, but I still love it.
私のお気に入りのTシャツはとても使い古されているけれど、まだ大好きです。
※ お気に入りの服が、何度も着たせいで生地が薄くなったり、色が褪せたりしている様子が目に浮かびますね。「worn」は、このように愛着のあるものが使い古された状態を表すのによく使われます。たとえ古くなっても手放したくない、という気持ちが伝わる例文です。
Grandpa's old armchair was soft and worn from many years.
おじいちゃんの古い肘掛け椅子は、長年の使用で柔らかく使い古されていました。
※ この例文からは、家族が長い間大切に使ってきた肘掛け椅子の温かい情景が伝わってきますね。クッションがへたったり、生地が擦り切れたりしていても、それは「使い込んだ証」として愛されている様子が分かります。「from many years」は「長年の使用で」という意味で、wornになった理由を説明しています。
He noticed the tires on his old car were very worn.
彼は自分の古い車のタイヤがひどくすり減っていることに気づきました。
※ この例文は、車や靴のタイヤ、靴底などが、たくさん使われてすり減った状態を表す典型的な使い方です。安全に関わる部分なので、「worn」であることに気づく、という行動が加わることで、より具体的な状況がイメージできますね。「very worn」で「ひどくすり減っている」と強調しています。
疲れ切った
精神的、肉体的に極度に疲労している状態。比喩的に、worn outという形で人に対して使われることが多い。単なる疲労ではなく、限界に近い状態を指す。
After working all day, my mother looked so worn when she came home.
一日中働いた後、母が家に帰ってきたとき、とても疲れ切った様子でした。
※ お母さんが仕事を終えて家に帰ってきた時の、ぐったりとした様子が目に浮かびます。「so worn」で「とても疲れ切っている」と強調しています。家族や親しい人の疲労を心配するような場面でよく使われます。be動詞 (is/was) や look (~に見える) と一緒に使うことが多いです。
Her voice sounded worn after comforting her crying friend all night.
一晩中泣いている友人を慰めた後、彼女の声は疲れ切っているように聞こえました。
※ 友人のために一晩中尽くし、心身ともに疲弊した様子が、声を通して伝わってきます。これは肉体的な疲労だけでなく、精神的な疲労も表す典型的な使い方です。「sounded worn」のように、人の表情や声、態度など「疲労が表れているもの」にも使えます。
After the challenging exam, the student felt completely worn out.
難しい試験の後、その学生は完全に疲れ切っていました。
※ 大変な試験を乗り越えた後の、心身ともに限界に達した学生の様子が想像できます。「completely worn out」で「完全に燃え尽きたように疲れている」という強い状態を表しています。大変な課題や試練を終えた後に感じる、一種の達成感と同時に訪れる極度の疲労を表すのにぴったりです。「worn out」という形で「疲れ果てる」という意味でよく使われます。「out」がつくと、より「完全に、すっかり」というニュアンスが強まります。
すり減らす
wearの過去分詞形として、物理的に何かを摩耗させる、または精神的に消耗させるという意味。wear downという句動詞で使われることが多い。
My favorite running shoes are completely worn out from all the long runs.
私のお気に入りのランニングシューズは、たくさんの長距離ランニングで完全にすり減ってしまった。
※ この例文は、お気に入りの靴が「すり減って使えなくなる」という、誰もが経験しうる残念な状況を描写しています。スポーツ用品や日常使いの靴が、たくさん使われた結果として「worn out」(すり減って使い物にならない)になるのは、非常によくある場面です。特に「worn out」は、物理的にすり減ってダメになる状態を指す決まった表現として覚えておくと便利です。
She noticed her old jeans were getting thin and worn in the knees.
彼女は、自分の古いジーンズのひざの部分が薄く、すり減ってきているのに気づいた。
※ 長く愛用している服が「すり減る」様子を表す例文です。特にジーンズのひざのように、特定の場所が摩擦によって「薄く、すり減る」ことはよくあります。このように「worn in the knees/elbows」(ひざ/ひじのところがすり減っている)のように、どの部分がすり減っているかを具体的に示すと、より鮮明なイメージが伝わります。
The old stone steps of the temple were smooth and worn by countless visitors.
そのお寺の古い石段は、数えきれないほどの参拝者によってなめらかにすり減っていた。
※ この例文は、歴史ある場所や公共の建物で、多くの人々が通ることで床や階段が「すり減る」様子を描いています。石段が年月を経てなめらかにすり減っている情景は、時の流れや多くの人々の足跡を感じさせます。「by countless visitors」のように「誰によって」すり減ったのかを示すことで、より具体的な原因と情景が伝わります。
コロケーション
使い古された、疲れ果てた
※ 物理的に物が古くなって使えなくなった状態と、人が精神的・肉体的に疲労困憊した状態の両方を表します。物に対しては 'a worn-out coat'(擦り切れたコート)、人に対しては 'I'm worn out after the marathon'(マラソンの後で疲れ果てた)のように使います。類語に 'exhausted' がありますが、'worn out' はより長期間の疲労が蓄積したニュアンスを含みます。口語で非常によく使われます。
すり減らされた、精神的に疲弊した
※ 物理的に何かが摩擦などによって徐々に小さくなる、あるいは人の精神力が徐々に削られていく様子を表します。例えば、'The steps were worn down by centuries of use'(階段は何世紀もの使用ですり減っていた)。精神的な疲弊を表す場合は、'He was worn down by the constant criticism'(彼は絶え間ない批判に精神的に疲弊していた)のように使います。 'worn out' と似ていますが、'worn down' はより徐々に、継続的に疲弊していくニュアンスが強いです。
すり減って滑らかになった
※ 長い時間、何かとの摩擦によって表面が滑らかになった状態を指します。例えば、小石が川の流れで角が取れて丸くなるようなイメージです。'The stone was worn smooth by the waves'(その石は波によって滑らかになった)。比喩的に、経験によって性格が円熟味を増した人物を指すこともあります。物理的な状態を表す場合が多いですが、比喩的な表現も可能です。
(布などが)薄くなった、擦り切れた
※ 物理的に布や紙などが繰り返し使われることで薄くなり、破れやすくなった状態を表します。比喩的に、我慢や忍耐などが限界に近づいている状態を示すこともあります。例えば、'My patience is wearing thin'(私の我慢も限界に近づいている)。物理的な状態だけでなく、抽象的な概念にも適用できるのが特徴です。
ひどく使い古された
※ 'badly' を伴うことで、worn の状態が非常に深刻であることを強調します。例えば、'a badly worn tire'(ひどく摩耗したタイヤ)のように使われます。安全上の問題や交換の必要性を示唆することが多いです。程度を強調する際に役立つ表現です。
使い慣れた、よく使われた
※ 物が頻繁に使われていて、良い意味で使い込まれている状態を表します。例えば、'a well-worn path'(よく通る道)や 'a well-worn phrase'(使い古された言い回し)のように使われます。必ずしもネガティブな意味ではなく、親しみやすさや信頼感を与えることがあります。特に道や慣用句に対して使われることが多いです。
疲れた表情、やつれた様子
※ 人の顔つきや外見が、疲労や苦労によってやつれている状態を表します。例えば、'He had a worn look on his face'(彼は疲れた顔をしていた)。一時的な疲労だけでなく、長期的な苦労やストレスが原因である場合もあります。外見から内面の状態を推測する際に用いられます。
使用シーン
学術論文や教科書で、抽象的な概念や状態を説明する際に使われます。例えば、材料科学で「長期間の使用でworn(摩耗)した部品の分析」や、心理学で「ストレスによってworn(疲弊)した精神状態」といった文脈で見られます。研究対象の状態や変化を客観的に記述する際に用いられるため、やや文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、物理的な摩耗や疲弊を表す際に限って使われることが多いです。例えば、「worn-out equipment(老朽化した設備)」や「worn tires(摩耗したタイヤ)」のように、具体的な物品の状態を報告書などで説明する際に用いられます。人の状態を表す場合は、より直接的な表現(tired, exhausted)が好まれる傾向があります。
日常会話では、「使い古された」という意味で、衣服や靴などの状態を指す際に使われます。「These shoes are getting worn.(この靴は擦り切れてきた)」のように、身の回りの物の状態を表現する際に使われます。また、「疲れ切った」という意味で、人の状態を表すこともありますが、フォーマルな印象を与えるため、より口語的なtiredなどを代わりに使うことも多いです。
関連語
類義語
- threadbare
(衣服などが)擦り切れた、使い古されたという意味。特に生地が薄くなり、糸が見えている状態を指すことが多い。文学的な表現にも使われる。 【ニュアンスの違い】"worn"よりもさらに状態が悪く、古びた感じが強い。衣服だけでなく、比喩的に建物や場所の状態を表すこともある。 【混同しやすい点】"worn"が一般的な「着古された」状態を指すのに対し、"threadbare"は生地の劣化が進んだ状態に特化している点。また、抽象的な概念(例えば「threadbare excuse」=「ありふれた言い訳」)にも使われる。
- frayed
(布、ロープなどが)擦り切れた、ほつれたという意味。端がバラバラになっている状態を指す。日常会話や手芸、工芸関連で使われる。 【ニュアンスの違い】"worn"が全体的な摩耗を表すのに対し、"frayed"は特に端の部分の劣化に焦点を当てる。精神的な「いらいらした」という意味合いも持つ。 【混同しやすい点】"worn"が衣服全体の状態を表すのに対し、"frayed"は一部のほつれを指すことが多い点。また、比喩的に精神状態を表す場合に、"worn"は疲労感、"frayed"はイライラ感を表す。
- tattered
(衣服、旗などが)ぼろぼろになった、ずたずたになったという意味。特に破れて、だらしなく垂れ下がっている状態を指す。文学的な表現や、荒廃した様子を表す際に使われる。 【ニュアンスの違い】"worn"よりもさらに状態が悪く、破れや損傷が激しい状態を表す。貧困や荒廃といったイメージを伴うことが多い。 【混同しやすい点】"worn"が比較的広い範囲の摩耗を指すのに対し、"tattered"は破れや裂け目が目立つ状態を指す点。また、"tattered"は比喩的に名声や評判が傷ついた状態を表すこともある。
(衣服、家具などが)古くてみすぼらしい、使い古されたという意味。しかし、完全に壊れているわけではなく、どこか魅力的な古さを含んでいる場合もある。日常会話で使われる。 【ニュアンスの違い】"worn"が単に使用感がある状態を表すのに対し、"shabby"は古さの中に独特の雰囲気や趣があることを示唆する。肯定的な意味合いを含む場合もある。 【混同しやすい点】"worn"が単に古くなっている状態を指すのに対し、"shabby"は古さに加え、みすぼらしさや粗末さといったニュアンスを含む点。また、"shabby chic"のように、あえて古さを生かしたスタイルを指す場合もある。
(建物などが)荒廃した、老朽化したという意味。特に手入れが行き届かず、崩れかけている状態を指す。フォーマルな場面や、不動産、都市計画関連で使われる。 【ニュアンスの違い】"worn"が衣服など個人所有物に使われることが多いのに対し、"dilapidated"は主に建物や構造物に使われる。放置され、荒廃が進んでいる状態を表す。 【混同しやすい点】"worn"が一般的な摩耗を表すのに対し、"dilapidated"は構造的な問題や安全上の懸念を含むほどの老朽化を指す点。また、"dilapidated"は比喩的に組織やシステムが機能不全に陥っている状態を表すこともある。
(人、建物などが)老いぼれた、老朽化したという意味。特に高齢や長年の使用により、弱々しくなっている状態を指す。文学的な表現や、ネガティブな意味合いで使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"worn"が単に使用感がある状態を表すのに対し、"decrepit"は老いによる衰えや機能低下を強調する。人に対しても使われ、侮蔑的なニュアンスを含む場合もある。 【混同しやすい点】"worn"が物にも人にも使えるが、"decrepit"は主に高齢者や老朽化した建物に使われ、よりネガティブな意味合いを持つ点。また、"decrepit"は比喩的にアイデアやシステムが時代遅れになっている状態を表すこともある。
派生語
「wear」は「worn」の原形であり、動詞として「着る」「身につける」「すり減らす」などの意味を持つ。日常会話で衣服を身につける行為を指す場合や、機械部品などが摩耗する状況を説明する際に頻繁に使用される。wear-wore-wornと活用する不規則動詞の基本形。
形容詞で「疲れた」「うんざりした」という意味。「worn」の「すり減る」という原義から派生し、心身が消耗した状態を表すようになった。日常会話や文学作品で、疲労感や倦怠感を表現する際に用いられる。比喩的に「使い古された」という意味合いを含むこともある。
- wearable
「身につけられる」という意味の形容詞。「wear」に「~できる」という意味の接尾辞「-able」が付加された。近年では、スマートウォッチやフィットネストラッカーなど、身につけて使用する電子機器を指す「ウェアラブル端末」という言葉でよく使われる。
反意語
「worn(使い古された)」の最も直接的な反意語として「新しい」。「worn clothes」に対して「new clothes」のように、物理的な状態を表す文脈で明確な対比をなす。日常会話で頻繁に使用される基本的な語彙。
接頭辞「un-(~でない)」が付いた「used(使われた)」の反意語。「worn」が長期間の使用による摩耗を示唆するのに対し、「unused」は一度も使用されていない状態を指す。例えば、「worn tires」に対して「unused tires」のように、未使用品であることを強調する際に使われる。
「新鮮な」「新しい」という意味。「worn」が時間経過による劣化を表すのに対し、「fresh」は開始時点の良好な状態を示す。比喩的に、「worn ideas(使い古されたアイデア)」に対して「fresh ideas(斬新なアイデア)」のように、抽象的な概念に対しても用いられる。
語源
"worn」は「wear」(身につける、すり減らす)の過去分詞形です。「wear」の語源は古英語の「werian」(衣服を着る、覆う)に遡ります。さらに遡ると、インド・ヨーロッパ祖語の根「*wes-」(衣服を着る)にたどり着きます。この語根は、サンスクリット語の「vaste」(着る)、ギリシャ語の「hesthenai」(着る)など、様々な言語に影響を与えています。つまり、「worn」は、もともと「着る」という意味から派生し、「着古された」「使い古された」という意味を持つようになったのです。日本語で例えるなら、着物を長年着て「着慣れた」状態から、さらに年月を経て「擦り切れた」状態を想像すると、意味の変化が理解しやすいでしょう。「wear」という行為が時間経過とともに物質の劣化や疲労につながる、というイメージです。
暗記法
「worn」は単なる摩耗にあらず。使い込まれた革製品や古着のデニムのように、時間と経験をまとう美。それは所有者の物語を語る沈黙の証人。文学では登場人物の境遇を象徴し、読者の共感を呼ぶ。「worn out」は疲弊した心身を表し、現代社会の病理を映す鏡。しかし「worn」は「loved」と共鳴もする。使い込まれたぬいぐるみや本のように、愛情と愛着が深まるほど、その価値は増す。単なる状態を超え、感情や社会と深く結びついた言葉、それが「worn」。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に語尾の 'n' の有無が曖昧になりやすい。"warn" は『警告する』という意味の動詞で、"worn" は "wear" の過去分詞形であるため、品詞も意味も異なる。文脈で判断する必要がある。
"worn"に "out"が付くと、イディオムとして『疲れ果てた』『使い古された』という意味になる。"worn"単体でも『使い古された』という意味があるが、"worn out" はより強調されたニュアンスを持つ。混同しやすいのは、"burn out"(燃え尽きる)など、他の "out" を伴うイディオムとの関連性。
発音が似ており、特に早口で話されると区別が難しい。"worm" は『虫』という意味の名詞で、"worn" とは全く異なる。綴りも似ているため、注意が必要。語源的には、"worm" は古英語の "wyrm" に由来し、"worn" は "wear" の過去分詞形であるため、関連性はない。
発音が似ており、特に会話の中では区別が難しい場合がある。"were" は "be" 動詞の過去形であり、"worn" は "wear" の過去分詞形であるため、文法的な役割が全く異なる。また、"where" (どこ) との発音の混同も起こりやすい。"were" は条件節や仮定法で頻繁に使われるため、文法的な知識が重要。
"worn"と直接的な発音の類似性はないが、"wind" には /wɪnd/ (風) と /waɪnd/ (巻く) の二つの発音があり、/wɔːrnd/ (worn) と /waɪnd/ (巻く) の発音が混同される可能性がある。特に、"wound" (巻かれた) という過去形・過去分詞形は、"worn" とスペルも発音も異なるが、文脈によっては意味的な誤解を招く可能性がある。
語尾の "orn" の部分が共通しており、母音の違い("o" の発音)に注意が必要。"horn" は『角』や『警笛』という意味の名詞であり、"worn" とは意味が全く異なる。楽器のホルンをイメージすると、発音と意味を結びつけやすい。
誤用例
日本語では『 worn 』だけで『着古された』という意味になるため、つい『worn』だけで使ってしまいがちです。しかし英語では、服の状態を表す場合、『worn out』とするのがより自然です。『worn』だけだと、例えば『That style is worn a lot this season(そのスタイルは今シーズンよく着られている)』のように、着ている状態や流行を表す意味合いが強くなります。日本人が『worn』を使う場合、不要になったニュアンスを出したいケースが多いので『worn out』を使うとより意図が伝わります。
『worn』は、物が長年の使用によってすり減ったり、古くなったりする状態を表すことが多い単語です。人が疲れている状態を表す場合は、『exhausted』や『tired』を使う方が適切です。日本人が『worn』を使ってしまう背景には、『疲れ果ててボロボロになった』というイメージから『wear(すり減る)』の過去分詞である『worn』を連想してしまうことが考えられます。しかし、英語では感情や人の状態には『exhausted』のような表現を使うのが一般的です。
『He wore his heart on his sleeve(彼は感情をあらわにする)』というイディオム自体は正しいですが、その感情が『worn』された、つまり『皆に身につけられた』と解釈するのは不自然です。ここでは、彼の感情が利用されたという意味で『exploited』を使うのが適切です。日本人が『worn』を使ってしまうのは、感情が他人によって『消費』されたというイメージから『wear』を連想するためと考えられますが、英語では感情の搾取には『exploit』が使われます。文化的背景として、感情を隠すことが美徳とされる日本とは異なり、欧米では感情をオープンにすることが必ずしもネガティブに捉えられないため、感情が『worn』されるという表現は、感情をさらけ出すことへの批判的なニュアンスが薄い表現となってしまいます。
文化的背景
「worn」という言葉は、単に物が摩耗した状態を表すだけでなく、時間、経験、そして苦難の痕跡を帯びた存在の美しさを象徴することがあります。使い込まれた革製品やアンティーク家具が持つ独特の魅力は、「worn」が持つ単なる劣化以上の意味合いを示しています。
特に衣服において「worn」は、所有者の歴史や個性を物語る沈黙の証人となります。例えば、古着屋で見つけた「worn」のデニムジャケットは、かつてそれを着ていた人物の冒険や日常を想像させます。それは単なる中古品ではなく、過去の物語を身にまとうような感覚です。文学作品においても、「worn」の衣服は登場人物の性格や境遇を象徴的に表現するために用いられます。貧困にあえぐ人物が身につける「worn」のコートは、その人物の苦難の道のりを雄弁に物語り、読者の共感を呼び起こします。
さらに、「worn」は精神的な疲弊や消耗を表す比喩としても用いられます。「worn out」という表現は、肉体的疲労だけでなく、長期間にわたるストレスや精神的な負担によって心身が疲弊した状態を指します。現代社会においては、過労や競争社会のプレッシャーによって「worn out」を感じる人が少なくありません。このような状況において、「worn」は単なる状態を表す言葉を超え、現代社会の病理を象徴する言葉としても機能しています。
興味深いことに、「worn」はしばしば「loved」という感情と結びつけられます。使い込まれたぬいぐるみや、何度も読み返された本が持つ特別な価値は、まさに「worn」と「loved」が共鳴し合った結果と言えるでしょう。それは、時間と共に深まる愛情や、使い込むほどに愛着が湧くという、人間ならではの感情を表現しています。このように、「worn」は単なる物質的な状態を表すだけでなく、人間の感情や価値観、そして社会的な文脈と深く結びついた、豊かな意味を持つ言葉なのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)。リスニングでも間接的に問われる可能性あり。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。特に1級、準1級の長文読解パート。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いテーマで登場。環境問題、社会問題、科学技術など、硬めの話題が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 過去分詞形であり、動詞「wear」との関連を理解することが重要。「wear out」などの句動詞も頻出。比喩的な意味(worn expressionなど)も押さえておく。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め問題)、Part 7 (長文読解)。Part 6(テキスト穴埋め)でも稀に出題。
- 頻度と級・パート: 比較的頻出。特に長文読解パート。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでの利用が中心。worn equipment(使い古された機器), worn tires(すり減ったタイヤ)など、具体的なモノの状態を表すことが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 状態を表す形容詞としての用法を理解する。wear, worn, wearingの使い分けを意識する。類義語(damaged, deterioratedなど)との区別も重要。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。ライティングセクションでの使用も考えられる。
- 頻度と級・パート: 頻出単語。
- 文脈・例題の特徴: 学術的な文章で、抽象的な意味合いで使われることが多い。例えば、worn argument(使い古された議論)など。
- 学習者への注意点・アドバイス: 比喩的な意味での用法を理解する。wornの過去分詞形としての用法だけでなく、worn outの形で使われる場合もある。類義語(stale, triteなど)との区別も重要。
- 出題形式: 主に長文読解。文法問題(空所補充、語句整序)で問われる可能性もある。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。標準的なレベルの大学でも、長文読解で遭遇する可能性は高い。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など、幅広いテーマで登場。比喩的な意味合いで使われることも多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な意味(すり減った、使い古された)だけでなく、比喩的な意味(worn out, worn expressionなど)も理解しておく。文脈から意味を推測する練習が重要。