coarse
母音 /ɔː/ は日本語の「オ」よりも口を大きく開け、喉の奥から出すイメージです。「オー」と伸ばすように発音するとより近くなります。語尾の 'r' は、舌をどこにもつけずに口の中に引っ込めるように発音します(アメリカ英語の場合)。イギリス英語では 'r' を発音しないこともあります。
粗い
手触りや質感がザラザラしている、または粒度が大きいことを指す。物質的なものだけでなく、言葉遣いや態度が洗練されていない、荒っぽいという意味でも使われる。
The homemade bread had a coarse texture, but it tasted great.
その手作りのパンは、食感が少し粗かったけれど、とても美味しかった。
※ 焼きたてのパンを一口食べたとき、少し粗いけれど、しっかりとした噛みごたえのある食感を感じる場面です。「coarse」はパンや布など、物の表面やきめが「粗い」様子を表すのによく使われます。ここでは「texture」(食感、手触り)という単語と一緒に使うことで、より具体的にイメージできますね。
Walking on the beach, I felt the coarse sand under my bare feet.
浜辺を歩いていると、素足の下にザラザラした粗い砂の感触を感じた。
※ 夏の日に裸足で浜辺を歩く、そんな情景が目に浮かびます。きめの細かい砂ではなく、少し粒が大きくてザラザラした砂の感触を「coarse」で表現しています。「bare feet」(素足)という言葉が、その感触をより鮮明に伝えていますね。自然の素材の「粗さ」を表す際によく使われる表現です。
He used a coarse brush to scrub away the stubborn dirt from the old chair.
彼は、古い椅子から頑固な汚れをこすり落とすために、粗いブラシを使った。
※ 一生懸命に古い椅子を掃除している場面です。「coarse brush」で、毛が硬くて太く、汚れをしっかり落とせるような「粗い」ブラシを想像できます。「coarse」は、道具の表面や毛が「粗い」ことを表す際にも使われます。汚れを落とす「scrub away」という動詞と組み合わせることで、ブラシの性質がよく伝わります。
下品な
言動や趣味などが洗練されておらず、粗野で無作法な様子を指す。上品さや繊細さの欠如を意味する。
The man used coarse words in front of the children, making their parents frown.
その男性が子供たちの前で下品な言葉を使ったので、親たちは顔をしかめました。
※ この例文は、公共の場や子供の前で使うべきではない「粗野で品のない言葉遣い」を表しています。「coarse words」で「下品な言葉」「汚い言葉」という意味になります。周囲の人が不快に感じている様子が伝わりますね。
Her coarse manners at the dinner party shocked the other guests.
ディナーパーティーでの彼女の下品な振る舞いは、他の客たちを驚かせました。
※ ここでは「coarse」が人の「振る舞い」や「作法」が「品がない」「無作法である」ことを示しています。特にフォーマルな場でのマナー違反に対して使われることが多いです。「manners」は「作法」「行儀」という意味で、複数形で使われるのが一般的です。
His coarse joke made everyone at the table uncomfortable and silent.
彼の下品な冗談で、テーブルにいた全員が気まずくなり、黙ってしまいました。
※ この例文は、ジョークやユーモアが「品がなく、聞く人を不快にさせる」という意味で「coarse」が使われる典型的な例です。笑えない、不適切な冗談によって、場の雰囲気が凍り付く様子が目に浮かびますね。「make + 人 + 形容詞」で「(人)を〜な状態にする」という意味の表現です。
大まかな
詳細に立ち入らず、おおよその段階や精度であることを指す。例えば、「coarse estimate(概算)」のように使われる。
We only have a coarse plan for the project right now.
今のところ、そのプロジェクトについては大まかな計画しかありません。
※ この例文は、ビジネスの会議で、まだ詳細が決まっていないプロジェクトの計画について話している場面を想像させます。まだ「大まかな骨子や方針しかない」状態を表すのにぴったりです。このように「計画」や「方針」など、具体的な内容がまだ詰められていない「大まかな」状態を表現する際によく使われます。`only` は「〜しかない」というニュアンスを強め、`right now` は「今まさに」という現在の状態を強調します。
He gave me only coarse directions to the station.
彼は駅への大まかな道順しか教えてくれませんでした。
※ 見知らぬ土地で道に迷い、地元の人に駅への道を聞いたところ、大まかな方向だけを教えてもらった場面を思い浮かべてみてください。「道順」や「指示」が詳細ではなく「大まかな」ものであることを伝える際によく使われる表現です。`directions` は「方向」や「道順」を意味し、複数形で使われることが多いです。`to the station` は「駅へ」という方向を示します。
The artist drew a coarse sketch of the landscape first.
その画家はまず、風景の大まかなスケッチを描きました。
※ 画家が風景画を描き始める前に、全体の構図や主要な要素だけを捉えた大まかな下絵(スケッチ)を描いている場面を想像してみましょう。このように「絵」や「下書き」など、まだ完成形ではなく「大まかな」段階であることを表現する際によく使われます。`drew` は `draw`(描く)の過去形です。`sketch` は「スケッチ」「下絵」という意味で、`first` は「まず最初に」という意味で、作業の順序を示します。
コロケーション
粗塩
※ 粒の大きい、精製度の低い塩のこと。料理、特に肉の下ごしらえや、焼き料理の仕上げに使われることが多いです。精製された食卓塩に比べてミネラル分が豊富で、塩味が強く感じられるため、素材の味を引き立てる効果があります。料理好きなら知っておきたい表現ですね。
下品な言葉遣い、乱暴な言葉
※ 洗練されていない、粗野な言葉のこと。フォーマルな場では避けるべき表現で、スラングや汚い言葉を含むことが多いです。会話の内容だけでなく、話し手の品位を疑われる可能性もあるので注意が必要です。ビジネスシーンでは特に厳禁です。
粗い質感
※ 表面が滑らかではなく、ざらざらしている状態を指します。布、紙、木材など、様々な素材に使われます。触覚的な印象を表す言葉で、例えば『coarse sandpaper(粗いサンドペーパー)』のように使われます。比喩的に、人の性格や態度が『粗削り』なことを表すこともあります。
下品な冗談、卑猥なジョーク
※ 性的な内容や、人を不快にさせるようなジョークのこと。場をわきまえず、不適切な場面で言うと、相手を怒らせたり、不快な思いをさせたりする可能性があります。特に初対面の人や、目上の人に対しては絶対に避けるべきです。
ごつごつした顔立ち、野性的な顔つき
※ 顔の造作が繊細でなく、骨格がはっきりしている、あるいは無骨な印象を与える顔立ちを指します。必ずしも悪い意味ではなく、男性的な魅力として捉えられることもあります。ただし、文脈によっては「洗練されていない」というニュアンスを含むこともあります。
目の粗い糸、太い糸
※ 織物や縫製に使われる糸の種類で、目が粗く、太いものを指します。目の細かい糸に比べて耐久性があり、丈夫な製品を作るのに適しています。例えば、デニムや帆布などの厚手の生地を縫う際に使用されます。
粗いやすり
※ 金属や木材などを研磨する工具の一種で、表面の目が粗いものを指します。細かいやすりに比べて、削る力が強く、短時間で材料を削ることができます。DIYや工作をする人にとっては必須の道具ですね。
使用シーン
学術論文や研究発表で、データや分析結果を説明する際に使用されます。例えば、統計分析において「粗い粒度でデータを分類した」という場合や、地質学で「粗い堆積物で構成されている」といった記述に見られます。専門分野によっては頻繁に使われますが、分野外ではあまり目にしません。
ビジネス文書や会議で、婉曲的にネガティブなニュアンスを伝える際に使われることがあります。例えば、製品の品質について「粗い仕上げである」と表現したり、従業員の行動について「粗野な態度が見られる」と指摘したりする場面が考えられます。ただし、直接的な表現を避ける傾向があるため、頻度は高くありません。
日常会話では、直接的な表現を避けて、婉曲的に不快感や批判を伝える際に用いられることがあります。例えば、誰かの行動に対して「あの人の態度は粗野だ」と言う場合や、料理について「舌触りが粗い」と表現する場合などです。しかし、より直接的な言葉が使われることが多いため、頻度は低いです。
関連語
類義語
表面が滑らかでない、ざらざらしている状態を指す。触覚的な意味合いが強く、物理的なもの(粗い布、粗い地面など)に対して使われることが多い。また、洗練されていない、未加工の状態も指す。 【ニュアンスの違い】"coarse"よりも広い意味を持ち、物理的な粗さだけでなく、行動や態度が洗練されていないことにも使える。ただし、道徳的な非難のニュアンスは"coarse"ほど強くない場合がある。 【混同しやすい点】"rough"は、天気(rough weather)、海(rough sea)、計算(rough estimate)など、より多様な状況で使用できる。"coarse"は主に質感や粒度に関する場合に限定される。
未加工で洗練されていない状態を指す。原油(crude oil)や、未熟な技術、粗雑な方法などに対して使われる。しばしば、不完全に処理された状態や、自然のままの状態を強調する。 【ニュアンスの違い】"coarse"が物質的な粗さを指すのに対し、"crude"はより加工前の状態や未熟さを指す。また、行動や言葉遣いが洗練されていないことを指す場合もあるが、その場合は無神経さや不作法さのニュアンスを含むことがある。 【混同しやすい点】"crude"は、しばしば技術や方法論の未熟さを示す。例えば、"crude method"(粗雑な方法)のように使われる。"coarse"は技術的な未熟さよりも、むしろ素材自体の粗さを指す。
下品で洗練されていないことを指す。言葉遣い、行動、趣味など、社会的に容認されない、または不快に感じられるものに対して使われる。しばしば、社会的な地位が低いことや教育水準が低いことと関連付けられる。 【ニュアンスの違い】"coarse"が単に粗野な状態を指すのに対し、"vulgar"は社会的な規範からの逸脱や、意図的な下品さを含むことが多い。道徳的な非難のニュアンスが強い。 【混同しやすい点】"vulgar"は、しばしば社会的な文脈で使用され、特定の行動や表現が社会的に不適切であると非難する際に用いられる。例えば、"vulgar language"(下品な言葉遣い)のように使われる。
- crass
非常に鈍感で、配慮に欠けることを指す。他人の感情や状況に対する理解が欠如している行動や発言に対して使われる。しばしば、無神経さやデリカシーのなさを強調する。 【ニュアンスの違い】"coarse"が直接的な粗野さを指すのに対し、"crass"は間接的な無神経さや配慮の欠如を指す。道徳的な非難のニュアンスを含むが、"vulgar"ほど強くはない。 【混同しやすい点】"crass"は、しばしば特定の状況における不適切な行動や発言を非難する際に用いられる。例えば、"crass insensitivity"(ひどい無神経さ)のように使われる。
無作法で洗練されていないことを指す。行動、マナー、外見など、社会的な礼儀作法に欠けている状態に対して使われる。しばしば、田舎者や教養のない人を連想させる。 【ニュアンスの違い】"coarse"が物質的な粗さや直接的な粗野さを指すのに対し、"uncouth"は行動やマナーにおける洗練されていない状態を指す。社会的な非難のニュアンスを含むが、"vulgar"ほど強くはない。 【混同しやすい点】"uncouth"は、しばしば特定の行動や外見が社会的に不適切であると非難する際に用いられる。例えば、"uncouth behavior"(無作法な行動)のように使われる。時代劇などで田舎侍を表現するときにも使える。
- boorish
無作法で粗野な態度や行動を指す。他人に対する配慮や礼儀を欠き、不快感を与えるような行動に対して使われる。しばしば、教養のなさや自己中心的な性格を暗示する。 【ニュアンスの違い】"coarse"が一般的な粗野さを指すのに対し、"boorish"は特に他人に対する配慮の欠如を強調する。社会的な非難のニュアンスを含む。 【混同しやすい点】"boorish"は、しばしば特定の状況における他人に対する不適切な行動を非難する際に用いられる。例えば、"boorish manners"(無作法な態度)のように使われる。
派生語
- coarsely
「粗く」「下品に」という意味の副詞。「coarse」に副詞化の接尾辞「-ly」が付いた形。物理的な粗さだけでなく、態度や言動の粗野さを表す際にも使われる。日常会話よりも、ややフォーマルな場面で、動作や性質を修飾する際に用いられる。
- coarseness
「粗さ」「下品さ」という意味の名詞。「coarse」に名詞化の接尾辞「-ness」が付いた形。物質の質感だけでなく、人の性格や言動の粗野さを指す抽象名詞として用いられる。学術論文や分析的な文章で、性質や特徴を客観的に記述する際に使われる。
- coarsen
「粗くする」「下品にする」という意味の動詞。「coarse」に動詞化(または変化の状態を表す)接尾辞「-en」が付いた形。物理的な質感や、人の性格・言動が粗くなる変化を表す。比喩的な意味合いで用いられることも多い。例えば、「生活苦が彼らの心をcoarsenさせた」のように使用する。
反意語
「細かい」「上質な」「洗練された」という意味。「coarse」の物理的な粗さ、品質の低さ、洗練されていない様子と対照的な意味を持つ。日常会話からビジネス、学術分野まで幅広く使われる。文脈によって「罰金」の意味にもなる。
「滑らかな」「円滑な」という意味。「coarse」の表面の粗さや、物事の進行のぎこちなさと対比される。物理的な質感だけでなく、人間関係やプロセスの円滑さを示す際にも用いられる。比喩的な意味合いでも頻繁に使われる。
「洗練された」「上品な」という意味。「coarse」の粗野さ、下品さと対照的な意味を持つ。特に人の性格、趣味、芸術作品などの洗練度合いを表現する際に用いられる。フォーマルな場面や、美的感覚に関する文脈でよく使われる。
語源
"coarse」は、中英語の「cours」(普通、ありふれた)に由来します。これはさらに古フランス語の「cors」(走り、流れ、道筋)から来ており、最終的にはラテン語の「cursus」(走ること、進路)にたどり着きます。「cursus」は「currere」(走る)の過去分詞形です。もともと「coarse」は、通常の、つまり「ありふれた」という意味合いを持っていました。そこから、「洗練されていない」「粗野な」という意味へと変化しました。例えば、川の流れが「粗い」とは、障害物が多く、滑らかでない状態を指します。同様に、人柄が「粗い」とは、洗練されておらず、未熟な状態を意味します。日本語で例えるなら、「粗末な」という言葉が、元々は「ありふれた」という意味から派生し、「質が低い」という意味を持つようになったのと似ています。
暗記法
「coarse」は元々、農民が身につける粗末な織物を指し、上流階級の洗練とは対照的な存在でした。この物質的な粗野さは、言葉遣いや態度にも広がり、社会階層を表す言葉として定着。文学では、庶民の率直さや社会の不平等を描写する際に用いられ、現代では反抗や新たな美の表現にも。単なる粗さだけでなく、社会や文化の深層を映す言葉なのです。
混同しやすい単語
発音が全く同じ(同音異義語)。スペルも一文字違いなので非常に混同しやすい。意味は『講座』『進路』『一連の』など。『coarse』が『粗い』という意味なのに対し、『course』は多義的で文脈によって意味が大きく異なるため、注意が必要。日本語の『コース』というカタカナ語の影響で意味を誤解しやすい点も要注意。
発音が非常に似ている。スペルも 'coa' と 'hoa' の違いのみ。意味は『(声が)しわがれた』。文章を読んでいる際に、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要がある。例えば、『hoarse voice』のように声の状態を表す場合はほぼ確実に『hoarse』である。
発音は似ているが、一般的ではない単語。スペルも 'corse' と 'coarse' で似ているため、見慣れない単語だと誤認する可能性がある。意味は『死体』の古語。現代英語ではほとんど使われないが、文学作品などで見かけることがある。混同を避けるためには、語彙力を高めることが重要。
発音は母音部分が異なるが、全体的な音の響きが似ているため、聞き間違いやすい。スペルも 'co' と 'ca' の違いのみ。意味は『原因』『引き起こす』。文脈から判断することが重要。また、動詞として使われることが多い点も『coarse』との違い。
発音が似ており、特に日本語話者には母音の区別が難しい。スペルも 'co' と 'cu' の違いのみ。意味は『呪い』『ののしる』。『coarse』が形容詞であるのに対し、『curse』は名詞・動詞として使われる。悪い意味を持つ単語なので、使用する際には注意が必要。
語尾の 'rse' の部分が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすい。発音も若干似ている。意味は『源』『情報源』。発音記号を確認し、母音の違いを意識することで区別できる。『resource』(資源)など、関連語も一緒に覚えると理解が深まる。
誤用例
「coarse」は「粗い」「きめが粗い」という意味の他に、「下品な」「洗練されていない」という意味合いを持ちます。したがって、アドバイスに対して使うと、相手の助言を「粗野な」「無神経な」と捉えているように聞こえ、失礼にあたります。日本語の「粗い」という言葉が、必ずしもネガティブな意味合いを持たない(例えば「粗削りだが力強い」など)ため、誤用しやすいです。ここでは、率直な意見に感謝する意味で「frank」や「candid」を用いるのが適切です。日本人が相手の意見を尊重する文化を持つため、「coarse」の持つ強い否定的なニュアンスに気づきにくいことがあります。
ここでの「coarse」は、性格を表す際に不適切です。「coarse」は、性格に対して使うと「下品で無神経」という強い非難の意味合いを持ちます。より穏やかな表現として、「rough」を使うのが適切です。「rough」は「荒っぽい」「無骨な」という意味で、必ずしも否定的な意味合いだけではありません。日本人が性格を表す際に、直接的な批判を避け、婉曲的な表現を好む傾向があるため、「coarse」の持つ強い否定的なニュアンスを見落としがちです。日本語の「大雑把」を安易に「coarse」に置き換えてしまうと、意図しない誤解を招く可能性があります。
「coarse」は生地の質感を表す際に、非常に目が粗く、不快な肌触りを指します。スーツに使う生地の質感としては、不適切であることを強調しすぎている可能性があります。より一般的な「粗い」という意味合いで、単に滑らかでないことを伝えたい場合は「rough」を使うのが適切です。「coarse」は、例えば麻袋のような、非常に粗悪な生地を連想させます。日本人が素材の質感に対して繊細な感覚を持っているため、「coarse」の持つ極端なニュアンスに注意が必要です。スーツ生地のようなデリケートな素材に対しては、より穏やかな表現である「rough」が適切です。
文化的背景
「coarse」は、洗練されていない、未熟であるという本質的な意味合いを持ち、しばしば社会階層や文化水準と結びつけて用いられてきました。その粗野さは、物質的なものだけでなく、言葉遣いや態度といった無形のものに対しても向けられ、教養や品格の欠如を示す象徴として機能します。
中世の社会構造において、「coarse」は文字通り、目の粗い織物や加工されていない素材を指し、それらは一般的に農民や労働者階級が身につけるものでした。上流階級が繊細な絹や洗練された装飾品を好んだのに対し、「coarse」なものは質素で実用的な生活を象徴し、同時に洗練された文化や教養から隔絶された存在であることを示唆しました。この物質的な区別は、やがて言葉遣いや振る舞いにも適用され、「coarse manners(粗野な態度)」や「coarse language(下品な言葉)」といった表現が生まれ、社会的な階層意識を反映する言葉として定着していきました。
文学作品においても、「coarse」はしばしば登場人物の性格や背景を描写するために用いられます。例えば、シェイクスピアの作品では、粗野な言葉遣いや行動は、しばしば庶民や道化役の人物に与えられ、彼らの率直さやユーモアを引き立てる一方で、上流階級の人物との対比を際立たせます。また、19世紀の小説では、産業革命期の労働者階級の生活を描写する際に、「coarse」な環境や生活様式が、彼らの苦境や社会的な疎外感を表現するために用いられました。このように、「coarse」は、単なる物質的な粗さだけでなく、社会的な不平等や文化的な断絶を象徴する言葉として、文学作品に深みを与えてきました。
現代においても、「coarse」は、洗練されていない、無作法であるといった意味合いで使用されますが、そのニュアンスは時代とともに変化しています。例えば、一部の若者文化においては、「coarse」な言葉遣いや態度が、既存の価値観への反抗や自己表現の手段として用いられることがあります。また、アートやデザインの分野では、「coarse」な素材や技法が、意図的に使用されることで、新たな美を生み出す試みも行われています。このように、「coarse」は、社会的な文脈や個人の価値観によって、その意味合いが変化し続ける、多面的な言葉であると言えるでしょう。
試験傾向
1. **出題形式:** 主に語彙問題、長文読解。
2. **頻度と級・パート:** 準1級、1級で出題される可能性あり。特に準1級で頻出。
3. **文脈・例題の特徴:** 環境問題、社会問題などアカデミックなテーマの長文で、「粗い」「粗雑な」という意味で使われることが多い。稀に、人の言動に対して使われる。
4. **学習者への注意点・アドバイス:** 「粗い」という意味の他に、「下品な」という意味もあることを覚えておく。文脈によって意味を判断する必要がある。似た意味のroughとの使い分けも重要。
1. **出題形式:** Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)。
2. **頻度と級・パート:** あまり高頻度ではないが、Part 7で稀に出題されることがある。
3. **文脈・例題の特徴:** ビジネスシーンにおける品質管理、素材の説明などで使われることがある。「粗い」「目の粗い」といった意味合いで使われることが多い。
4. **学習者への注意点・アドバイス:** TOEICでは、直接的な語彙知識よりも、文脈から意味を推測する能力が重要。「粗い」という意味合いで使われることが多いことを覚えておくと良い。
1. **出題形式:** リーディングセクション。
2. **頻度と級・パート:** アカデミックな文章で稀に出題される。
3. **文脈・例題の特徴:** 地質学、環境科学、工学など、自然科学系の文章で、「粗い」「粒子の粗い」という意味で使われることが多い。比喩的な意味で使われることもある。
4. **学習者への注意点・アドバイス:** アカデミックな文脈で使われることが多いので、専門用語との関連性を意識して学習すると良い。文脈から正確な意味を把握することが重要。
1. **出題形式:** 長文読解、語彙問題(空所補充、同意語選択など)。
2. **頻度と級・パート:** 難関大学の入試問題で出題される可能性がある。特に記述問題で問われる場合がある。
3. **文脈・例題の特徴:** 社会問題、環境問題、科学技術など、幅広いテーマの文章で出題される。「粗い」「粗雑な」という意味の他に、「下品な」という意味で使われることもある。
4. **学習者への注意点・アドバイス:** 文脈によって意味が異なるため、前後の文脈から判断する練習が必要。類義語(rough, crude)との違いを理解しておくことも重要。