that which
'that' の /ð/ は、舌先を上下の前歯で軽く挟んで発音する有声音です。日本語の『ザ』とは異なり、摩擦音を意識しましょう。'which' の /ɪ/ は、日本語の『イ』よりも口を少し開いて短く発音します。語尾の /tʃ/ は、息を強く吐き出すように発音するとよりネイティブに近い響きになります。
もの
先行詞を漠然と指し示す場合に用いられる。より具体的に言及を避けたい、または不明な対象を指す時に便利。例: 'That which does not kill us makes us stronger.'(我々を殺さないものは、我々を強くする)
She carefully kept that which her grandmother gave her, feeling warm memories.
彼女は祖母がくれたものを大切に保管し、温かい思い出に浸っていました。
※ この例文は、大切な思い出の品を慈しむ情景を描いています。「that which」は「~なもの」「~のこと」という意味で、ここでは「おばあちゃんがくれた物」という具体的なものを指しています。感情がこもった、個人的に大切なものに対してよく使われる表現です。
I tried hard to remember that which my teacher explained in class.
私は先生が授業で説明してくれたことを一生懸命覚えようとしました。
※ 授業中に先生が大事なことを話している。聞き逃すまいと、生徒が必死にメモを取ったり、頭に刻み込もうとしている情景です。「that which」は、何かを「学ぶ」「理解する」「伝える」といった文脈でよく使われます。ここでは「先生が説明した内容」という、形のない「事柄」を指しています。学習において非常に役立つ表現です。
Always choose that which is good for your body and mind.
常に、あなたの体と心に良いものを選びなさい。
※ この例文は、スーパーで商品を選ぶときや、生活習慣について考えるときなど、自分の健康や幸福を考えて選択する場面をイメージさせます。「that which」は、一般的な真理やアドバイスを述べる際にも使われます。「~すべきこと」「~なもの」という普遍的なアドントを伝えるのに適しています。
こと
ある特定の行為や事柄を指し示す。やや古風な言い回しで、フォーマルな文脈や格言などで見られることが多い。例: 'That which is worth doing is worth doing well.'(やる価値のあることは、うまくやる価値がある)
That which she practiced daily made her a great musician.
彼女が毎日練習したことが、彼女を素晴らしい音楽家にした。
※ この文は、目標に向かってコツコツ努力し続ける姿と、それが実を結ぶ感動的な場面を描いています。「that which」は「~なこと」という意味で、ここでは「彼女が毎日練習したこと」という具体的な行動を指します。努力が報われる、という共感しやすい典型的な状況です。
That which she believes helps her overcome difficulties.
彼女が信じていることが、困難を乗り越える助けになっている。
※ この文は、困難に直面しながらも、自分の内なる信念によって支えられている人の強さを表現しています。「that which」は、このように目に見えない「信念」や「考え」といった抽象的な「こと」を指す際にもよく使われます。自分を信じる心が大切だ、という気持ちが伝わりますね。
He shared that which he knew with everyone.
彼は、自分が知っていたことをみんなに分かち合った。
※ この文は、自分の知識や情報を惜しみなく他者に共有する、温かい場面を描いています。「that which」は、ある人が持っている「情報」や「知っていること」を指すのに適しています。誰かの助けになるよう、自分の知識を共有する、という自然な状況です。
コロケーション
当然支払うべきもの、帰属すべきもの
※ 新約聖書の「カイザルのものはカイザルに」という一節に由来する表現です。税金や義務など、正当な権利を持つ者に与えるべきものを指します。比喩的に、当然の報いや評価、権利などを意味し、やや古風で格調高い印象を与えます。ビジネスシーンや法律関連の文書で使われることがあります。
起こること、発生すること
※ 「transpire」は「(秘密などが)漏れる」「起こる」という意味を持つ動詞で、ここでは後者の意味です。「that which transpires」は、形式ばった書き言葉で、ニュース記事や公式文書などでよく見られます。口語では「what happens」の方が一般的です。出来事の客観的な記述に重点を置く場合に適しています。
~に関すること、~に関連すること
※ 「pertain to」は「~に関連する、~に属する」という意味の動詞句です。「that which pertains to [名詞]」は、特定の主題や問題に関連する事柄を指す際に用いられます。法律、学術論文、技術文書など、フォーマルな文脈でよく使用されます。口語では「related to」の方がより一般的です。厳密さや正確さが求められる場合に適しています。
必要と判断されるもの
※ 「deem」は「(~と)見なす、判断する」という意味の動詞で、やや形式的な響きがあります。「that which is deemed necessary」は、公式な決定や評価に基づいて必要とされるものを指します。契約書、規則、手順書など、正式な文書でよく使用されます。客観的な判断基準に基づいていることを強調したい場合に適しています。
残されたもの、残余
※ 物理的な残り物だけでなく、抽象的な概念(記憶、感情、影響など)の残存も指します。文学作品や歴史的な記述において、過ぎ去った時間や出来事の痕跡を表現する際に用いられることが多いです。例えば、「that which remains of a once-great empire」(かつての大帝国の残骸)のように使われます。詩的な表現や、失われたものへの哀愁を込めたニュアンスが含まれることがあります。
自明のこと、議論の余地がないこと
※ 「self-evident」は「自明の、明白な」という意味の形容詞です。「that which is self-evident」は、特に議論や証明を必要としない、誰にとっても明らかな真理や事実を指します。哲学、論理学、法律などの分野でよく用いられ、議論の出発点となる前提を提示する際に使用されます。例えば、「that which is self-evident to all rational beings」(すべての理性的な存在にとって自明のこと)のように使われます。
使用シーン
学術論文や専門書で、定義や概念を厳密に表現する際に用いられる。「that which is considered X」のように、ある特性を持つものを指し示す場合に使われる。例えば、「正義とは、社会において是とみなされるものである(Justice is that which is considered right in society.)」のように、抽象的な概念を説明する際に適している。文語的で、客観性を重視する文体で使われる。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、やや硬い表現として使われることがある。例えば、「顧客が求めるものは、品質と価格のバランスである(That which the customer seeks is a balance between quality and price.)」のように、顧客のニーズを明確に表現する際に用いられる。日常的なビジネス会話ではあまり使われず、書面でのコミュニケーションやフォーマルな場面で使われる傾向がある。
日常会話ではほとんど使われない。ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、やや改まった言い方として使われることがある。「成功とは、努力によって得られるものである(Success is that which is earned through effort.)」のように、格言めいた表現や、普遍的な真理を述べる際に用いられることがある。普段の会話ではより自然な表現が好まれるため、学習者は無理に使う必要はない。
関連語
類義語
『~こと』『~もの』という意味で、関係代名詞として名詞節を導く。日常会話からフォーマルな文章まで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】"that which"よりも口語的で、より一般的。"that which"がやや古風で形式ばった印象を与えるのに対し、"what"はより直接的で自然な響きを持つ。 【混同しやすい点】"what"は先行詞を含んでいるため、"the thing which"のように先行詞と関係代名詞を重ねて使用しない。例えば、"I want what you have."(私はあなたが持っているものが欲しい。)のように使う。
- the thing that
『~するもの』という意味で、関係代名詞"that"を使って特定のものや事を指し示す。形式ばらない場面で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"that which"よりも具体的で直接的な表現。"that which"が抽象的な概念を指すのに対し、"the thing that"は具体的なものを指すことが多い。 【混同しやすい点】"thing"を他の名詞に置き換えることで、より具体的な意味を表すことができる。例えば、"the reason that"(~という理由)のように使う。
- the one that
『~する人/もの』という意味で、特定の人物や物を指す際に使用される。日常会話でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"that which"よりも人間や物を特定するニュアンスが強い。"that which"がどちらかというと抽象的な概念を指すのに対し、"the one that"は具体的な対象を指す。 【混同しやすい点】"one"は可算名詞の代わりに使用されるため、複数形にすることも可能。例えば、"the ones that"(~するものたち)のように使う。
『それによって』『その結果として』という意味で、形式的な文章や法律文書で原因と結果の関係を示す際に使用される。 【ニュアンスの違い】"that which"が指し示すものが原因や手段となる場合に、その結果を導くことを強調する。よりフォーマルで、因果関係を明確に示したい場合に適している。 【混同しやすい点】"whereby"は関係副詞であり、文と文をつなぐ役割を果たす。例えば、"They introduced a new system whereby all transactions are recorded."(彼らはすべての取引が記録される新しいシステムを導入した。)のように使う。
- whatsoever
『どんな~も』『全く~ない』という意味で、否定的な意味を強調する際に使用される。非常にフォーマルな表現。 【ニュアンスの違い】"that which"が示すものが存在しないことを強調する。"whatsoever"は単独で使用されることは少なく、否定語や疑問詞と共に使用される。 【混同しやすい点】"whatsoever"は名詞の後に置かれることが多い。例えば、"There is no doubt whatsoever."(疑いは全くない。)のように使う。
指示代名詞として『あれ』『それ』を意味し、既知の事柄や文脈から明らかなものを指す。日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】"that which"が具体的な内容を伴うのに対し、"that"は文脈に依存して意味が変化する。"that which"よりも直接的で簡潔な表現。 【混同しやすい点】"that"は指示代名詞、関係代名詞、接続詞など多様な用法があるため、文脈によって意味を正しく判断する必要がある。例えば、"That is what I want."(それが私の欲しいものだ。)のように使う。
派生語
『何』という意味の疑問詞・関係代名詞。『that which』を1語で表す。日常会話からフォーマルな文章まで幅広く使用される。元々は『thing that』を意味し、より直接的な表現。
『どこ』という意味の疑問副詞・関係副詞。『that place which』を短縮した形。場所を特定する際に用いられ、手紙や記事など様々な場面で登場する。
『いつ』という意味の疑問副詞・関係副詞。『that time which』を短縮した形。時間を特定する際に用いられ、日常会話からビジネスシーンまで広範に使われる。
語源
"That which"は、一見すると単純な組み合わせですが、英語の表現力を示す興味深い例です。 "That"は指示代名詞で、特定の「もの」や「こと」を指し示します。一方、"which"は関係代名詞として機能し、「それ」が何であるかを説明する節を導きます。つまり、"that which"は文字通りには「それ、すなわち〜するもの/こと」という意味になります。この構造は、特定のものを直接名指すのではなく、その特性や機能によって間接的に示すことで、より抽象的または包括的な概念を表現するのに役立ちます。例えば、"that which is important"(重要なこと)のように用いられます。日本語の「〜というもの」や「〜ということ」に近いニュアンスを持ち、具体的な対象を特定せずに、ある性質や状態を持つものを指し示す際に便利です。
暗記法
「that which」は、運命や必然のような、言葉にできない何かを指し示す。ゴシック小説では、得体の知れない恐怖を、哲学では定義困難な概念を暗示する。シェイクスピア悲劇では、登場人物の運命を暗示する影として現れる。社会的なタブーや不正を婉曲的に表現し、秘密やトラウマを語る際の感情的な距離を保つ役割も。現代ではファンタジー作品で未知の力を示唆し、詩的な表現に深みを与える。
混同しやすい単語
『that which』の『which』自体が、疑問詞・関係代名詞として頻繁に使われるため、このフレーズ全体が『どの~』という意味合いを持つと誤解されやすい。『that which』は『~するもの』という名詞句を作るため、意味が大きく異なる。文脈に応じて使い分けが必要。
『which』と発音が非常に似ており、特に語尾の子音の発音が弱いと区別が難しい。スペルも一文字違い。『witch』は『魔女』という意味の名詞であり、品詞も意味も異なる。発音を意識して区別することが重要。
『that which』は『~するもの』という意味だが、『what』も同様に『~もの』という意味を表すことがあるため、混同しやすい。しかし、『what』は単独で疑問詞・関係代名詞として使われることが多く、『that which』のように名詞句全体を指す使い方は一般的ではない。文法的な構造の違いを理解する必要がある。
『which』の語尾の発音と『catch』の子音の発音が似ているため、聞き取りにくい場合がある。また、『catch』は『捕まえる』という意味の動詞であり、『that which』とは品詞も意味も異なる。文脈によって判断する必要がある。
『which』と『teach』は、母音の音価が異なるものの、語尾の子音の発音が似ているため、発音によっては混同される可能性がある。『teach』は『教える』という意味の動詞であり、『that which』とは意味が大きく異なる。特に、早口で話される場合には注意が必要。
『which』と『batch』は、母音と子音の組み合わせが似ている部分があり、特に音声変化が起こると混同しやすくなる可能性がある。『batch』は『一団』や『一括』という意味の名詞であり、『that which』とは意味が全く異なる。文脈から判断することが重要。
誤用例
「that which」は文法的には正しいものの、非常に古風で硬い印象を与えます。現代英語では、同様の意味を表すには「what」を使うのが自然です。日本語の「彼が言ったこと」を直訳しようとすると「that which」が思い浮かびやすいですが、これは過度な形式主義に陥った結果です。「what」はより簡潔で、日常会話からフォーマルな場面まで幅広く使えます。現代英語では、特に会話においては、よりシンプルで直接的な表現が好まれます。
ニーチェの有名な言葉を引用する際にも、「that which」は不自然です。この格言は広く知られており、現代英語では通常「What doesn't kill me makes me stronger」と表現されます。「that which」を使うと、かえって衒学的な印象を与え、引用の持つ力強さが損なわれる可能性があります。日本語の格言を英訳する際、逐語訳にこだわりすぎると、英語のネイティブスピーカーには不自然に聞こえることがあります。有名なフレーズは、英語圏で一般的に使われている表現を優先すべきです。
この文脈では、「that which」は「which」に置き換える方が適切です。「which」は選択肢の中から特定のものを選ぶ際に使われ、「that which」よりも自然で一般的です。日本語の「どの〜」を「that which」で表現しようとするのは、英語の語彙に対する過剰な一般化が原因です。「which」は限定的な選択肢がある場合に適しており、より直接的で明確な表現です。会議や委員会などのフォーマルな場面でも、「which」の方が適切です。
文化的背景
「that which」は、直接的な指示を避け、抽象的な概念や漠然とした存在を指し示す際に用いられ、しばしば運命、必然、あるいは形而上的な何かを暗示します。この表現は、言葉にできないもの、あるいは言葉にすることをためらう対象を婉曲的に表現することで、神秘性や畏怖の念を喚起する効果があります。
「that which」が持つ曖昧さは、文学作品において作者が意図的に読者の想像力を刺激するために利用されます。例えば、ゴシック小説においては、登場人物を苦しめる得体の知れない力、あるいは過去の秘密を「that which」と表現することで、恐怖と不安を効果的に高めます。また、哲学的な議論においては、定義が困難な概念、例えば「真理」や「善」などを指し示すために用いられ、議論の余地を残しつつ、深遠な思索へと誘います。シェイクスピアの悲劇においても、「that which」は登場人物の運命を暗示する影のような存在として現れ、劇全体の雰囲気を重厚なものにしています。
さらに、「that which」は、社会的なタブーや倫理的に問題のある事柄を婉曲的に表現する際にも用いられます。例えば、政治的な陰謀や不正行為を直接的に言及することを避け、「that which happened behind closed doors(密室で起こったこと)」のように表現することで、事件の深刻さを伝えつつ、具体的な詳細をぼかすことができます。また、個人的な秘密やトラウマを語る際にも、「that which I cannot speak of(私が語ることのできないこと)」のように表現することで、感情的な距離を保ちつつ、相手に共感を求めることができます。
現代英語においては、「that which」はやや古風な響きを持つ表現ですが、その曖昧さと神秘性は依然として魅力的です。特に、ファンタジー小説やゲームにおいては、未知の力や古代の遺物を指し示す言葉として頻繁に用いられ、物語に深みと奥行きを与えています。また、詩的な表現やスピーチにおいては、聴衆の心に響くような印象的なフレーズとして活用され、言葉の力を最大限に引き出すことができます。このように、「that which」は、単なる代名詞以上の文化的含みを持つ言葉として、私たちの言語表現を豊かにしています。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、稀に語彙問題。ライティング(英作文)での使用も考えられる。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で比較的頻出。1級でも見られる。
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな内容、社会問題、科学技術など硬めのテーマが多い。抽象的な議論の中で用いられる。
- 学習者への注意点・アドバイス: "~するもの/こと"という訳語を当てはめ、関係代名詞節として文構造を把握することが重要。thatの先行詞がない場合に注意。
- 出題形式: Part 7(長文読解)で稀に出題。Part 5(短文穴埋め)で文法問題として問われる可能性もわずかにある。
- 頻度と級・パート: TOEIC全体としては出題頻度は低め。しかし、高度な語彙力を測る問題として稀に出題されることがある。
- 文脈・例題の特徴: ビジネス文書、レポート、提案書などで、抽象的な概念を指す際に用いられる。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEICではあまり意識する必要はないが、英文契約書や専門的な文書を読む際には知識として持っておくと役立つ。"~するもの/こと"と訳せることを覚えておく。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。ライティングセクションで使用すると高評価につながる。
- 頻度と級・パート: TOEFL iBTリーディングで頻繁に見られる。
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな論文や教科書からの抜粋。哲学、歴史、科学など、抽象度の高いテーマで登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 複雑な構文の一部として使われることが多い。文脈から意味を推測する練習が重要。that節の構造を正確に把握すること。
- 出題形式: 長文読解問題で頻出。和訳問題や内容説明問題で問われることが多い。
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題でよく見られる。標準的なレベルの大学でも出題される可能性はある。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、小説、エッセイなど、幅広いジャンルで登場する。抽象的な概念や比喩表現を含むことが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈に即した自然な日本語訳を心がけること。指示語の内容を明確にする必要がある場合もある。関係代名詞の用法を理解しておくこと。