self-sufficiency
第一強勢は "fi" の部分にあります。"self" の "e" は曖昧母音で、日本語の「エ」よりも弱く、口を少し開けた「エ」と「ア」の中間のような音です。"sufficiency" の "ci" は/ʃ/(「シュ」に近い音)になる点に注意。最後の "-cy" は「スィ」のように発音しますが、弱く短く発音します。全体的に、各音節の長さと強弱を意識するとより自然に聞こえます。
専門的な内容に関するご注意
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自立
他者に頼らず、自分自身の力で生きていくこと。経済的な自立、精神的な自立など、様々な側面があります。個人の場合だけでなく、国家や組織についても使われます。
After college, she focused on achieving self-sufficiency to live on her own.
大学卒業後、彼女は自分の力で生活できるよう、自立を達成することに集中した。
※ この例文は、**経済的な自立**を目指す若い人の姿を描いています。「self-sufficiency」は、特に「自分で稼ぎ、自分の力で生活すること」という意味でよく使われます。大学を卒業して社会に出る時など、親元を離れて一人で生きていく決意を表す場面で自然です。
The villagers worked together for food self-sufficiency, growing all their own vegetables.
村人たちは食料の自給自足のために協力し、自分たちで全ての野菜を育てた。
※ ここでの「self-sufficiency」は、**食料や資源の自給自足**を意味します。外部に頼らず、自分たちの力で必要なものをまかなう状況で使われます。特に「food self-sufficiency(食料自給)」は、ニュースや環境問題の文脈でよく耳にする典型的なフレーズです。
He showed great self-sufficiency when he fixed the broken machine by himself.
彼は壊れた機械を自分で直した時、素晴らしい自立心を示した。
※ この例文では、「self-sufficiency」が**精神的な自立心や問題解決能力**を表しています。誰かに頼らず、自分の頭で考え、自分の手で問題を解決しようとする姿勢を指します。子供の教育や、困難に立ち向かう人の姿を描写する際にぴったりの使い方です。
自給自足
必要なものを外部から調達せず、自分自身で生産・供給すること。食料、エネルギーなど、生活に必要な資源について用いられることが多い。
The family moved to the countryside, hoping for complete self-sufficiency in food.
その家族は、食料の完全な自給自足を望んで田舎へ引っ越しました。
※ この例文は、田舎での生活と食料の自給自足という、この単語が最も典型的に使われる場面の一つです。家族が自分たちの手で食べ物を作る喜びや安心感が伝わりますね。「in food」のように「何においての自給自足か」を具体的に示すことができます。
The country's new policy aims to achieve greater self-sufficiency in energy.
その国の新しい政策は、エネルギーのより大きな自給自足を達成することを目指しています。
※ この例文は、国や地域が、例えばエネルギー源などを外国に頼らず、自分たちでまかなえるようになるという文脈で使われます。ニュースなどでよく耳にする表現です。国が「より大きな(greater)」自給自足を目指すという、目標に向けた努力が感じられます。
After graduation, she found joy in her new life of self-sufficiency.
卒業後、彼女は自立した新しい生活に喜びを見出しました。
※ この例文では、個人が経済的・精神的に自立し、自分の力で生活を立てていく様子を表しています。特に若い人が親元を離れて一人暮らしを始めるときなど、成長や達成感を感じる場面で使えます。「joy in her new life」から、新しい生活への期待と満足感が伝わってきます。
独立独歩
誰の助けも借りず、自分の力だけで物事を進めること。困難な状況でも、自分の信念を貫き通すニュアンスを含む。
After college, he moved out to achieve self-sufficiency, proudly managing all his bills by himself.
大学卒業後、彼は独立独歩を達成するため家を出て、誇らしげに自分の全ての支払いを自分で管理しました。
※ この例文は、若者が親元を離れて初めて自分の力で生活を立てる、という典型的な場面を描いています。動詞の "achieve" は「達成する」という意味で、努力して自立の状態になることを表します。「by himself」は「自分で」を強調し、自立の気持ちを強く伝えます。
When the storm cut off electricity, the family showed great self-sufficiency, cooking with a gas stove and using candles.
嵐で電気が止まった時、家族はガスコンロで料理し、ろうそくを使うことで、素晴らしい独立独歩の精神を示しました。
※ この例文は、予期せぬ困難(停電など)に直面した際に、外部に頼らず自分たちの知恵と工夫で問題を解決する能力を示す場面です。「showed great self-sufficiency」は、「素晴らしい独立独歩の精神を見せた」という、この単語がよく使われる典型的な表現です。
The old couple loved their quiet life, aiming for self-sufficiency by growing fresh vegetables in their garden.
その老夫婦は静かな生活を愛し、庭で新鮮な野菜を育てることで独立独歩(自給自足)を目指していました。
※ この例文は、田舎で自分たちで食料を育てて生活する「自給自足」の場面を表しています。特に食料や資源に関して他者に頼らない生活を表すときに使われます。「aiming for self-sufficiency」は「自給自足を目指す」という、目標やライフスタイルを表す典型的な表現です。
コロケーション
自給自足/自立を達成する
※ 「achieve」は目標や目的を達成するという意味で、self-sufficiencyと組み合わせることで、経済的、食料的、エネルギー的な自立を達成する状況を指します。ビジネスや政治の文脈でよく使われ、国や地域、個人が外部に依存しない状態を目指す際に用いられます。ニュアンスとしては、単に「自給自足する」よりも、戦略的な目標達成の意味合いが強くなります。
自給自足/自立を促進する
※ 「promote」は何かを奨励し、発展させるという意味で、self-sufficiencyと組み合わせることで、ある集団や個人が自立できるように支援する活動を指します。政府の政策、NGOの活動、企業の社会貢献活動など、幅広い場面で使用されます。例えば、発展途上国での農業支援を通じて食料自給率の向上を促進する、といった文脈で使われます。単に「自給自足をさせる」のではなく、持続可能な自立を支援するニュアンスがあります。
経済的自立
※ 「economic self-sufficiency」は、個人、企業、または国家が外部からの経済的援助や依存なしに、自身の資源や能力によって経済的に自立している状態を指します。この表現は、政府の政策目標や個人のキャリア目標として頻繁に用いられ、財政的な安定と自由を強調する際に役立ちます。例えば、「経済的自立を達成するために、スキルアップを目指す」のように使われます。
エネルギー自給
※ 「energy self-sufficiency」は、ある地域や国家が、外部からのエネルギー資源の輸入に頼らず、自国内の資源や再生可能エネルギーによってエネルギー需要を賄える状態を指します。近年、環境問題やエネルギー安全保障の観点から重要視されており、政策目標や企業の戦略として頻繁に用いられます。例えば、「太陽光発電の導入により、エネルギー自給率を高める」のように使われます。
食料自給率
※ 「food self-sufficiency」は、ある国や地域が、自国内で消費する食料をどの程度自給できるかを示す指標です。国家安全保障や食の安全の観点から重要視され、政策議論や報道で頻繁に用いられます。「food self-sufficiency rate(食料自給率)」という形で使われることが多いです。例えば、「日本の食料自給率は低い」のように使われます。
自立への道
※ 「a path to self-sufficiency」は、自立を達成するための過程や手段を指します。困難を乗り越えながら目標に向かって進むイメージがあり、個人的な成長、経済的な自立、あるいは社会的な変革といった文脈で使われます。例えば、貧困から脱却し、自立した生活を送るための支援プログラムなどを指す際に用いられます。比喩的な表現であり、目標達成までの道のりを強調する際に効果的です。
自給自足/自立を脅かす
※ 「threaten」は脅かすという意味で、self-sufficiencyと組み合わせることで、経済的、食料的、エネルギー的な自立が損なわれる可能性を指します。例えば、自然災害や地政学的なリスクが食料自給率を脅かす、といった文脈で使われます。この表現は、危機管理やリスク評価の文脈でよく用いられ、具体的な脅威を指摘する際に効果的です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、ある社会システムや個人の特性を分析する際に使われます。例えば、経済学の研究で「途上国の自給自足経済からの脱却」を議論したり、社会学で「高齢者の自立支援」について論じたりする場面が考えられます。文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、企業の経営戦略や個人のキャリアプランに関連して使用されることがあります。例えば、企業の報告書で「サプライチェーンの多様化による自給自足体制の構築」を目標として掲げたり、人事評価で「社員の自立性を促す」といった文脈で用いられます。フォーマルな文書やプレゼンテーションで使われる傾向があります。
日常生活では、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで見かけることがあります。例えば、「地方創生における地域の自給自足の試み」や「災害時の自立した生活の重要性」といったテーマで取り上げられることがあります。日常会話で頻繁に使われる単語ではありませんが、教養ある話題として登場する可能性があります。
関連語
類義語
『独立』を意味し、国家や組織、個人の自由な状態を表す。政治、経済、社会など幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】"self-sufficiency"は自力で必要なものを供給できる状態を指すのに対し、"independence"は他からの支配や影響を受けない自由な状態を指す。前者は能力、後者は状態に焦点が当てられる。 【混同しやすい点】"independence"は政治的な独立や個人の自由など、より広範な概念を含む。"self-sufficiency"はしばしば"independence"を達成するための手段として捉えられる。
『自治』や『自主性』を意味し、組織や個人が外部からの干渉を受けずに自律的に行動できる状態を表す。政治、教育、心理学などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】"self-sufficiency"は必要なものを自給自足できる能力を指すのに対し、"autonomy"は自己決定権や行動の自由を意味する。前者は資源、後者は権利に焦点が当てられる。 【混同しやすい点】"autonomy"はしばしば組織や個人の権利として主張される。一方、"self-sufficiency"は必ずしも権利ではなく、むしろ目標や能力として捉えられることが多い。
- self-reliance
『自立心』や『自己依存』を意味し、他人に頼らず自分の力で問題を解決したり生活したりする態度を表す。日常会話や自己啓発の分野で使用される。 【ニュアンスの違い】"self-sufficiency"は必要なものを実際に自給自足できる状態を指すのに対し、"self-reliance"は他人に頼らないという精神的な態度を指す。前者は客観的な状態、後者は主観的な態度に焦点が当てられる。 【混同しやすい点】"self-reliance"はしばしば道徳的な価値として強調される。一方、"self-sufficiency"は必ずしも道徳的な意味合いを持たず、単に経済的な合理性や生存戦略として捉えられることもある。
- self-determination
『自己決定』を意味し、個人や集団が自分自身の運命や進路を自由に決定できる権利や能力を表す。政治、倫理、心理学などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】"self-sufficiency"は資源や能力の自給自足に焦点を当てるのに対し、"self-determination"は意思決定の自由と権利に焦点を当てる。前者は手段、後者は目的としての自由に関連する。 【混同しやすい点】"self-determination"は国際法における民族自決権など、集団的な権利として議論されることが多い。一方、"self-sufficiency"は主に個人や組織の能力として捉えられる。
- resourcefulness
『機転が利くこと』や『工夫に富むこと』を意味し、困難な状況でも創造的な方法で問題を解決できる能力を表す。ビジネスや日常会話で使用される。 【ニュアンスの違い】"self-sufficiency"は必要なものを自力で供給できる能力を指すのに対し、"resourcefulness"は既存の資源を最大限に活用して問題を解決する能力を指す。前者は結果、後者はプロセスに焦点が当てられる。 【混同しやすい点】"resourcefulness"は必ずしも自給自足を目指すわけではなく、むしろ既存の資源を有効活用することに重点を置く。一方、"self-sufficiency"は外部からの資源に頼らないことを目指す。
- self-sustainability
『持続可能性』を意味し、環境や社会への負荷を抑えながら、長期的に活動を維持できる状態を表す。環境学、経済学、社会学などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】"self-sufficiency"は特定のニーズを満たすための自給能力に焦点を当てるのに対し、"self-sustainability"はより長期的な視点から、資源の枯渇や環境破壊を防ぎながら活動を維持できる能力を指す。前者は短期的な目標、後者は長期的な目標に関連する。 【混同しやすい点】"self-sustainability"は環境保護や社会的な公正など、倫理的な側面を含むことが多い。一方、"self-sufficiency"は必ずしも倫理的な意味合いを持たず、単に経済的な合理性や生存戦略として捉えられることもある。
派生語
『十分な』という意味の形容詞。『self-sufficiency(自給自足)』の『sufficiency(十分であること)』から派生し、より一般的な文脈で使用される。日常会話からビジネス、学術分野まで幅広く使われ、必要量を満たしている状態を表す。
『不十分な』という意味の形容詞。『sufficient(十分な)』に否定の接頭辞『in-』が付いた形。必要量を満たしていない状態を表し、公式文書や報告書など、よりフォーマルな文脈で使われることが多い。
『十分に』という意味の副詞。『sufficient(十分な)』に副詞化の接尾辞『-ly』が付いた形。動詞や形容詞を修飾し、程度が十分であることを示す。ビジネスシーンや学術論文で、客観的な評価や判断を述べる際に用いられる。
反意語
『依存』という意味の名詞。『self-sufficiency(自給自足)』が自力で生きていく状態を指すのに対し、『dependence(依存)』は他者に頼って生きていく状態を意味する。経済的な文脈や、人間関係など、幅広い分野で使用される。
『依存』または『信頼』という意味の名詞。『self-sufficiency』が自己完結している状態を指すのに対し、『reliance』は他者や外部の資源に頼る状態を示す。ただし、『reliance』は必ずしもネガティブな意味合いではなく、状況によっては肯定的な意味合いで使用されることもある。
『無力』または『どうすることもできない状態』を意味する名詞。『self-sufficiency』が自力で問題を解決できる状態を表すのに対し、『helplessness』は自力ではどうすることもできない状態を指す。心理学や社会学の分野で、個人の無力感や社会的な支援の必要性を議論する際に用いられる。
語源
"self-sufficiency"は、「自立」「自給自足」を意味する言葉です。この単語は、3つの要素から構成されています。まず、"self-"は「自己」を意味する接頭辞で、自分自身を表します。次に、"sufficient"は「十分な」という意味で、ラテン語の"sufficiens"(十分な、適任の)に由来し、"sub-"(下へ)と"facere"(作る、行う)が組み合わさったものです。つまり、元々は「(必要量を)満たすために作る」というニュアンスを含んでいます。最後に、"-ency"は名詞を作る接尾辞で、「状態」や「性質」を表します。したがって、"self-sufficiency"は、文字通りには「自分自身で十分に満たす状態」を意味し、他者に頼らずに自力で生きていく能力や状態を指すようになったのです。例えば、江戸時代の農村における自給自足の生活などは、まさに"self-sufficiency"の典型例と言えるでしょう。
暗記法
「自給自足」は、開拓時代のアメリカで、荒野を切り開いた人々の独立精神の象徴でした。ソローの『ウォールデン』は、その精神を体現する文学として読み継がれています。しかし、現代では孤立や社会からの隔絶を意味する可能性も。都市型農業やDIY文化として再評価される一方で、社会とのバランスを保ちながら、持続可能な生き方を目指す姿勢が重要になっています。
混同しやすい単語
『self-sufficiency』と『self-sufficient』は、接尾辞が異なるだけで、意味も品詞も異なります。『self-sufficiency』は名詞で『自給自足、自立』という意味です。一方、『self-sufficient』は形容詞で『自給自足の、自立した』という意味です。文中でどのように使われているか注意する必要があります。
『self-sufficiency』と『efficiency』は、どちらも名詞で、語尾が似ているため混同しやすいです。『efficiency』は『効率』という意味で、物事を無駄なく行う能力を指します。スペルも似ているため、注意が必要です。
『self-sufficiency』と『sufficiency』は、どちらも名詞ですが、『self-』が付いているかどうかが異なります。『sufficiency』は『十分であること、充足』という意味で、単に量や程度が十分であることを指します。一方、『self-sufficiency』は、自分自身で必要なものを満たす能力を指します。
『deficiency』は『不足、欠乏』という意味の名詞で、語尾の『-ciency』が『self-sufficiency』と似ているため、スペルミスや意味の混同が起こりやすいです。反対の意味を持つ単語であるため、特に注意が必要です。語源的には、『deficiency』は『de-(下へ)』+『facere(作る、行う)』から来ており、『不足している状態を作り出す』という意味合いがあります。
『proficiently』は『熟達して、 능숙하게』という意味の副詞で、『-fici-』の部分が『self-sufficiency』とスペルが似ています。意味も『熟達している』と『自立している』という点で、関連性がないわけではありませんが、品詞が異なるため、文法的な役割も異なります。発音も異なるため、注意が必要です。
『self-aware』は『自己認識のある』という意味の形容詞で、『self-』という接頭辞が共通しているため、『self-sufficiency』と関連付けて考えてしまうことがあります。しかし、意味は全く異なり、『self-aware』は自分の感情や思考を理解している状態を指します。文脈によって意味を正確に判断する必要があります。
誤用例
日本語の『自給自足』という言葉から、極端な孤立と全ての生活必需品を自作するというイメージが先行しがちです。しかし、self-sufficiency の本質は、外部への過度な依存を避け、多様なスキルを身につけ、コミュニティ内で相互扶助の関係を築くことで、変化に強い社会を形成することにあります。完全な孤立を意味するわけではありません。日本語の『自給自足』が持つ語感と、英語の self-sufficiency が指す概念の間には、ニュアンスの違いがあります。
self-sufficiency は、経済的、精神的に自立している状態を指すことが多いですが、他者との健全な関係性を築き、必要な時に助けを求めることも重要です。日本語の『自立』という言葉には、時に『人に頼らない』という意味合いが含まれることがありますが、英語の self-sufficiency は、必ずしもそうではありません。ここでは、人に頼らないことを強調したいのであれば、independence の方が適切です。self-sufficiency は、より広い意味で、システムや組織が外部からの支援なしに機能する能力を指すことが多いです。
プロジェクトの継続可能性を議論する文脈では、self-sufficiency よりも sustainability (持続可能性) が適切です。self-sufficiency は、プロジェクトが外部からの資金援助や資源に頼らずに自己完結できるかを評価する際に使えますが、ボランティア活動への依存は、長期的な視点で見ると持続可能性に疑問符がつくため、sustainability を用いる方が適切です。日本語で『自立性』と表現したい場合でも、文脈によっては self-reliance, autonomy など、より適切な語を選ぶ必要があります。日本語の『〜性』という抽象的な名詞を、安易に self-sufficiency に置き換えないように注意が必要です。
文化的背景
「自給自足(self-sufficiency)」は、単に生活必需品を自分でまかなうという技術的な意味合いを超え、個人の独立性、自由、そして社会からの自律を象徴する言葉として、西洋文化において特別な位置を占めてきました。それはしばしば、フロンティア精神、個人の責任、そして国家や共同体への依存を最小限に抑えるという理想と結びついて語られます。
アメリカの歴史において、「自給自足」は特に重要な意味を持ちます。開拓時代、人々は荒野を切り開き、自らの手で家を建て、食料を調達し、生活に必要なすべてを自分たちで作る必要がありました。この経験は、アメリカ人の精神に深く刻まれ、独立独歩の精神、困難に立ち向かう力、そして自己責任の重要性を強調する文化を育みました。ヘンリー・デイヴィッド・ソローの『ウォールデン 森の生活』は、この自給自足の精神を体現した文学作品として広く読まれています。ソローは、文明社会から離れ、ウォールデン池のほとりで自給自足の生活を送り、物質的な豊かさよりも精神的な充足を追求しました。彼の著作は、現代においても、消費社会への批判、持続可能な生活への関心、そしてシンプルな生き方を求める人々に影響を与え続けています。
しかし、「自給自足」の概念は、常に肯定的に捉えられてきたわけではありません。社会との繋がりを断ち、孤立を招く可能性、あるいは、社会的な弱者への支援を軽視するイデオロギーとして批判されることもあります。また、現代社会においては、高度な専門化と相互依存が進んでおり、完全に自給自足の生活を送ることは現実的ではありません。そのため、「自給自足」は、必ずしも絶対的な目標ではなく、よりバランスの取れた生き方、持続可能な社会の実現、そして個人のエンパワーメントのための手段として捉えられることが多くなっています。
現代において、「自給自足」は、都市型農業、DIY文化、オフグリッド生活といった形で再び注目を集めています。これは、環境問題への意識の高まり、経済的な不安定さ、そしてテクノロジーの進化によって可能になった新しいライフスタイルへの関心を反映しています。自給自足は、単なる生活技術ではなく、個人の価値観、社会との関わり方、そして未来への希望を表現する手段として、多様な解釈と実践を生み出しているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(特に準1級以上)。ライティングのテーマとして出題される可能性もわずかにあり。
- 頻度と級・パート: 準1級以上でやや頻出。1級では頻繁に見られる。長文読解、語彙問題。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、経済問題など、アカデミックなテーマの長文でよく見られる。エッセイ形式のライティングのテーマにもなり得る。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞である「self-sufficiency」だけでなく、形容詞「self-sufficient」も合わせて覚えること。関連語句(例えば「sustainable」、「independent」)との関連性も意識すると、より理解が深まる。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め) や Part 7 (長文読解) で出題される可能性がある。
- 頻度と級・パート: 頻度はそれほど高くないが、Part 7で稀に見られる。ビジネス関連の記事やレポートなどで使われる。
- 文脈・例題の特徴: サプライチェーン、エネルギー、農業など、ビジネスや経済に関連する文脈で登場することが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンで「自給自足」という意味だけでなく、「独立性」、「自己充足」といったニュアンスで使われる場合もある。文脈によって意味を判断することが重要。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。ライティングセクションで使うこともできる。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションでは頻繁に見られる。アカデミックな文章でよく使われる。
- 文脈・例題の特徴: 環境問題、経済学、歴史学など、幅広い分野のアカデミックな文章で登場する。抽象的な概念を説明する際に使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文章では、具体的な例を挙げて「self-sufficiency」を説明することが多い。定義や具体例を理解することが重要。類義語(例えば「autonomy」、「independence」)との違いも意識すること。
- 出題形式: 主に長文読解問題で出題される。
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文で比較的頻繁に見られる。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、国際関係など、幅広いテーマの文章で登場する。評論や論説文で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈の中で「self-sufficiency」がどのような意味で使われているかを正確に把握することが重要。前後の文脈から意味を推測する練習をすること。また、関連する社会問題や背景知識があると、より理解が深まる。