pick up ~
拾い上げる
落ちているものや散らばっているものを手で取る動作。物理的なものだけでなく、情報や知識などを得る場合にも使う。
My daughter dropped her favorite doll, so I quickly picked it up for her.
娘がお気に入りの人形を落としたので、私はすぐに拾い上げてあげた。
※ この例文は、親が子どものために優しく物を拾い上げる、心温まる場面を描いています。「pick up for her」のように「誰かのために」というニュアンスを付け加えることで、より具体的な状況が伝わりますね。
I accidentally dropped my pen, then bent down to pick it up from the floor.
うっかりペンを落としてしまい、かがんで床からそれを拾い上げた。
※ 日常生活でよくある「うっかり物を落としてしまう」という、誰もが経験するシーンです。自分で落としたものを拾う、最も基本的な「pick up」の使い方ですね。「bent down」(かがんだ)という動作も加わることで、情景がより鮮明になります。
At the cafe, I saw a woman drop her scarf, so I picked it up and handed it to her.
カフェで、女性がスカーフを落とすのを見かけたので、私はそれを拾って彼女に手渡した。
※ これは、見知らぬ人が物を落としたときに、親切心から拾い上げてあげる場面です。公共の場所でのちょっとした気遣いが伝わる、自然な状況ですね。「pick up and hand it to her」のように、拾い上げて渡すまでの一連の行動を表すことも多いです。
車で迎えに行く
人や物を車に乗せて目的地まで運ぶこと。空港や駅などで人をピックアップする状況を想定。
My mom will pick me up from school at three o'clock.
母が3時に学校まで車で迎えに来てくれます。
※ 放課後、学校の門で、優しいお母さんが車で迎えに来てくれる、安心する場面を想像してみましょう。子供を学校や習い事から迎えに行くのは、日常的で誰もが経験する(または見る)シチュエーションなので、この使い方はとても自然です。「pick up from ~」で「~から(車で)迎えに行く」と場所を示すのが一般的です。
I'm going to pick up my best friend at the airport tomorrow.
明日、一番の親友を空港まで車で迎えに行く予定です。
※ 翌日、空港の到着ロビーで、久しぶりに会う親友を心待ちにしているワクワクする場面です。旅行から帰ってくる友人や家族を空港や駅に迎えに行くのは、よくある親しい人との約束の場面なので、非常によく使われます。「be going to」は「~する予定です」という未来の計画を表す表現で、親しい相手を迎えに行くときに自然に使えます。
Our manager asked me to pick up the new client at the station.
部長が、駅まで新しいお客様を車で迎えに行くよう私に頼みました。
※ ビジネスの場面で、会社の代表として、駅に到着する新しい取引先のお客様を丁寧に迎えに行く、責任感のある場面です。来客を駅やホテルなどに迎えに行く際によく使われる表現で、ビジネスシーンでも自然です。「ask (人) to (動詞)」は「(人)に~するよう頼む」という丁寧な依頼の形です。
(偶然)見つける
探していたわけではないものを見つけ出すこと。掘り出し物を見つけたり、エラーやバグを発見したりする文脈で使われる。
She picked up a new English phrase from a fun online video.
彼女は楽しいオンライン動画を見て、新しい英語のフレーズを覚えました。
※ インターネットで偶然見つけた動画から、自然と新しい英語表現を学んだ場面です。知識やスキルを「偶然見つける」「身につける」ときに使われる典型的な例です。
On the beach, I picked up a beautiful, smooth stone.
ビーチで、私はきれいな、つるつるした石を見つけました。
※ 散歩中に偶然、素敵な石を見つけて拾い上げた情景が目に浮かびます。道端や自然の中で、思いがけず何かを見つけて手に入れるときにぴったりの表現です。
He picked up a great travel tip from a friend at the party.
彼はパーティーで友達から、素晴らしい旅行のヒントを得ました。
※ パーティーでの雑談中に、偶然役立つ旅行の情報を手に入れた場面です。人との会話や、ふとしたきっかけで有益な情報やヒントを得るときによく使われます。
コロケーション
勘定を払う、支払いをする
※ レストランやバーなどで、グループ全体の勘定を誰かが代表して支払うことを意味します。特に、誰かを招待した場合や、自分がホストである場合に用いられます。比喩的に、問題や責任を引き受けるという意味合いで使われることもあります。例えば、「彼はプロジェクトの失敗の責任をすべて引き受けた (He picked up the tab for the project's failure)」のように使われます。口語的な表現です。
速度を上げる、加速する
※ 乗り物や活動などが徐々に速くなる様子を表します。物理的な速度だけでなく、仕事やプロジェクトの進捗が加速する状況にも使えます。「景気が回復の兆しを見せ始めた (The economy is picking up speed)」のように比喩的に用いられることもあります。ビジネスシーンでも通用する表現です。
~に気づく、~を理解する
※ 人が何か(情報、感情、ニュアンスなど)に気づいたり、理解したりすることを意味します。特に、他の人が見過ごしているような微妙な点や暗示的な要素に気づく場合に使われます。「彼女は彼の声のわずかな変化に気づいた (She picked up on the slight change in his voice)」のように使われます。ビジネスシーンや日常会話で頻繁に使われる表現です。
遅れを取り戻す、不足を補う
※ 誰かが休んだり、能力が不足したりしたために生じた遅れや不足を、他の人が補うことを意味します。チームワークが重要な状況でよく使われます。「彼が病気で休んだので、私が彼の仕事を肩代わりした (He was sick, so I had to pick up the slack)」のように使われます。ビジネスシーンでよく使われる表現です。
(人が)中断したところから再開する
※ 誰かが中断した作業やプロジェクトを、別の人が引き継いで再開することを意味します。会議やプロジェクトの引き継ぎなどでよく使われます。「彼女が退職したので、私が彼女の仕事を中断したところから引き継いだ (She retired, so I picked up where she left off)」のように使われます。ビジネスシーンで頻繁に使われる表現です。
風邪をひく、軽い病気になる
※ 風邪やインフルエンザのような、軽い病気にかかることを意味する口語的な表現です。「旅行中に風邪をひいてしまった (I picked up a bug while traveling)」のように使われます。イギリス英語でよく使われる表現です。
良い習慣を身につける
※ 新しい良い習慣を身につける、または自然と良い習慣が身につくことを意味します。学習、運動、仕事など、さまざまな分野で使われます。「留学中に良い学習習慣を身につけた (I picked up good study habits while studying abroad)」のように使われます。ポジティブな意味合いで使われることが多いです。
使用シーン
学術論文や講義で、データや先行研究から特定の情報や傾向を「拾い上げる」という意味で使われます。例えば、「先行研究から、この現象に関する重要な手がかりをpick upできる」のように、研究の文脈で用いられます。また、統計データから特定のパターンを「見つけ出す」場合にも使用されます。
ビジネスシーンでは、会議での発言や報告書などで、情報や課題を「拾い上げる」という意味で使われます。例として、「顧客からのフィードバックをpick upし、製品改善に繋げる」や「市場調査から新たなトレンドをpick upする」のように、具体的なアクションに繋げる文脈で用いられます。また、空港への送迎を指す場合もあります(例:I'll pick you up at the airport.)。
日常会話では、「拾う」「迎えに行く」「(偶然)手に入れる」といった様々な意味で頻繁に使われます。例えば、「ゴミをpick upする」、「駅まで車でpick upする」、「セールで掘り出し物をpick upした」のように、幅広い場面で活用されます。また、誰かの言ったことを「聞き取る」という意味でも使われます(例:I didn't pick up what he said.)。
関連語
類義語
『集める』という意味で、物を収集したり、人や物を一箇所に集めたりする際に使われる。ビジネス、日常会話、学術的な文脈でも使用される。 【ニュアンスの違い】`pick up` が偶然性や手軽さを伴うのに対し、`collect` はより計画的、組織的な収集を意味する。また、`collect` は抽象的なもの(データ、情報など)の収集にも使える。 【混同しやすい点】`pick up` は特定の場所から何かを拾い上げるイメージが強いが、`collect` は必ずしも場所を特定しない。例えば、切手を集める場合は `collect stamps` であり、`pick up stamps` とは言わない。
『集まる』または『集める』という意味で、人々や動物、物を一箇所に集める際に使われる。フォーマルな文脈や、文学的な表現にも用いられる。 【ニュアンスの違い】`gather` は自然発生的に集まるニュアンスや、ゆっくりと時間をかけて集めるイメージがある。`pick up` が一時的な行為であるのに対し、`gather` はより持続的な状態を表すことがある。 【混同しやすい点】`gather` は自動詞としても他動詞としても使えるが、`pick up` は基本的に他動詞。また、`gather` は感情や意見などを集約するという意味合いも持つ(例:gather evidence)。
『取り戻す』または『回収する』という意味で、失われたものや隠されたものを取り出す際に使われる。ビジネスや学術的な文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】`pick up` が単に拾い上げる行為であるのに対し、`retrieve` は苦労して取り戻す、あるいは重要なものを取り返すというニュアンスを含む。また、データや情報を復旧する際にも使われる。 【混同しやすい点】`retrieve` は技術的な文脈で頻繁に使われる(例:retrieve data from a server)。`pick up` はこのような文脈では不自然。また、`retrieve` は元々あった場所に戻す意味合いも含む。
『手に入れる』または『獲得する』という意味で、努力や手続きを通じて何かを得る際に使われる。ビジネスや学術的な文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】`pick up` が偶然性や手軽さを伴うのに対し、`obtain` はより意図的で、時間や労力を要する行為を意味する。また、抽象的なもの(許可、資格など)を得る際にも使われる。 【混同しやすい点】`obtain` は許可証や学位など、公式な手続きを経て手に入れるものに対して使われることが多い。`pick up` はこのようなフォーマルな状況には不向き。
『学ぶ』という意味で、知識やスキルを習得する際に使われる。教育、ビジネス、日常会話など、幅広い文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】`pick up` が自然に、あるいは無意識的に知識やスキルを習得するニュアンスを含むのに対し、`learn` はより意識的、意図的な学習を意味する。例えば、言語を学ぶ場合は `learn a language` であり、`pick up a language` は、特に意識せずに自然に言語を習得するニュアンスとなる。 【混同しやすい点】`pick up` は他動詞で目的語が必要だが、`learn` は自動詞としても他動詞としても使える。また、`learn` は体系的な学習を意味することが多い。
『獲得する』という意味で、知識、スキル、財産などを手に入れる際に使われる。ビジネス、学術的な文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】`acquire` は `obtain` と似ているが、より長期的な努力や経験を通じて獲得するニュアンスを含む。`pick up` が一時的な行為であるのに対し、`acquire` は持続的な状態を表すことが多い。 【混同しやすい点】`acquire` は企業買収など、大規模な獲得行為を指す場合がある。また、言語や習慣などを習得する際にも使われる(例:acquire a taste for something)。`pick up` はこのようなフォーマルな状況には不向き。
派生語
名詞。動詞『pick up』から派生し、『拾うこと』『(人や物を)車で迎えに行くこと』『(成績などの)向上』などの意味を持つ。日常会話で頻繁に使われるほか、ビジネスシーンでも用いられる。
- pickpocket
名詞。『pick(つまむ)』と『pocket(ポケット)』が組み合わさった語で、『スリ』を意味する。文字通り、ポケットから物を『つまみ取る』イメージ。日常会話やニュース記事などで見られる。
- pickaxe
名詞。『pick(つるはしで掘る)』と『axe(斧)』が組み合わさった語で、『つるはし』を意味する。採掘や建設現場で使われる道具を指す。専門的な語彙だが、関連する話題では登場する。
反意語
- drop off
『pick up』の対義語として、『(人や物を)降ろす』『届ける』という意味を持つ。特に人を車で送る際に、場所を指定して『drop off』する状況が考えられる。日常会話で頻繁に使われる。
- put down
『(物を)置く』という意味で、『pick up』の直接的な反対の動作を表す。比喩的には『(人を)けなす』という意味にもなり、文脈によって『pick up(元気づける)』と対比される。
『(申し出などを)断る』という意味で、『pick up(申し出を受け入れる)』という文脈における対義語となる。ビジネスシーンやフォーマルな場面で使われることが多い。
語源
"Pick up" は、比較的単純な構成の句動詞ですが、それぞれの要素に注目することで理解を深めることができます。まず、"pick" は、古英語の "piccan"(つつく、つまむ)に由来し、鳥がくちばしで何かをつつく様子を表していました。これが転じて、「選び取る」「拾う」といった意味合いを持つようになりました。次に、"up" は、古英語の "upp" に由来し、「上へ」という意味を表します。"pick up" 全体としては、「下にあるものをつまんで上へ持ち上げる」という物理的な動作が原義です。この基本的な意味から、「拾い上げる」、そして「車で迎えに行く」(人を「拾い上げて」目的地へ運ぶイメージ)、さらには「偶然見つける」(注意を払っていなかったものが、ふと「目に留まる」様子)といった意味へと発展していきました。日常的な動作や状況と結びつけて考えると、記憶に残りやすいでしょう。
暗記法
「pick up」は、偶然の出会いから生まれた言葉。道端のチャンスを拾うように、誰かを車で迎えに行くように、主体的な行動を意味します。19世紀アメリカでは、見知らぬ異性をナンパする隠語に。都市の匿名性が生んだ、刹那的な出会いを「拾い上げる」行為に重ねました。現代ではナンパの意味は薄れ、責任や好意の象徴に。空港での送迎や、勘定を「拾う」行為は、相手への配慮やリーダーシップを示すのです。
混同しやすい単語
句動詞 'pick up' と似た構成ですが、意味が大きく異なります。 'pitch up' は '(テントなどを)張る'、'(計画などを)始める' の意味で使われます。発音も 'pick' と 'pitch' で異なりますが、会話のスピードによっては聞き間違える可能性があります。特に、'pick up' が '拾う' 以外の意味(例えば '迎えに行く')で使われる場合に、意味の混同が起こりやすいです。'pitch' は元々「投げる」という意味があり、そこから「(テントを)立てる」という意味に派生したことを覚えておくと、'pick up' との区別がつきやすくなります。
'pick up' をハイフンで繋げた名詞 'pickup' は、『ピックアップトラック』や『レコードプレーヤーのピックアップ』など、特定のものを指す名詞として使われます。スペースで区切られた句動詞 'pick up' と、ハイフンで繋がれた名詞 'pickup' は、文脈によって意味が異なるため注意が必要です。発音はほぼ同じですが、名詞の 'pickup' は、より強調して発音される傾向があります。
'peak' は『頂点』や『絶頂』を意味する単語で、'peak up' という句動詞は一般的ではありません。しかし、'speak up'(はっきり話す)と音が似ているため、聞き間違いやすい可能性があります。また、'peak' には『元気になる』という意味もあるため、文脈によっては 'pick up' と意味が通じるように感じられるかもしれません。'speak up' は、発言を促す際によく使われる表現なので、覚えておくと良いでしょう。
'perk up' は '元気になる'、'活気づく' という意味の句動詞で、'pick up' と意味が似ているため混同しやすいです。特に、'pick up' が '(気分を)持ち上げる' という意味で使われる場合に、意味の区別が難しくなります。発音は 'perk' と 'pick' で異なりますが、曖昧な発音になりがちなため注意が必要です。'perk' は元々『顔を上げる』という意味があり、そこから『元気になる』という意味に派生したことを覚えておくと、'pick up' とのニュアンスの違いを理解しやすくなります。
'pack up' は '荷物を詰める'、'片付ける' という意味の句動詞で、'pick up' とは意味が異なりますが、語感が似ているため混同しやすいです。特に、旅行や引っ越しなどの場面では、どちらの表現も使われる可能性があるため、文脈をよく理解する必要があります。発音は 'pack' と 'pick' で異なりますが、早口で話されると聞き間違える可能性があります。'pack' は元々『包む』という意味があり、そこから『荷物を詰める』という意味に派生したことを覚えておくと、'pick up' との区別がつきやすくなります。
'kick up' は '(騒ぎなどを)起こす'、'(埃などを)巻き上げる' という意味の句動詞で、'pick up' とは意味が異なりますが、語感が似ているため混同しやすいです。特に、ネガティブな状況を表す際に使われることが多いため、'pick up' のポジティブな意味合いとの違いを意識する必要があります。発音は 'kick' と 'pick' で異なりますが、特に母音の発音に注意が必要です。'kick' は元々『蹴る』という意味があり、そこから『(騒ぎなどを)起こす』という意味に派生したことを覚えておくと、'pick up' との区別がつきやすくなります。
誤用例
日本語の『体重が増えた』を直訳的に捉え、『拾う』という意味の強い "pick up" を使ってしまう誤用です。英語の "pick up" は、文字通り何かを拾い上げる、または(知識などを)習得するという意味合いが強く、体重増加のような自然な変化には不適切です。正しい表現は "put on weight" で、これは『身につける』というニュアンスから来ており、体重が自然に増える様子を表します。また、"gain weight" も同様の意味で使えます。日本人がつい『〜を』という目的語を意識しすぎる結果、不自然な表現を選んでしまう典型例です。英語では、状態の変化を表す動詞を適切に選ぶことが重要です。
"Pick someone up" は、確かに「車で人を迎えに行く」という意味でよく使われますが、口語では「ナンパする」という意味も持ちます。しかし、この表現はやや直接的で、下品に聞こえる可能性もあります。より自然で上品な表現としては "chat someone up" が適切です。これは、カジュアルに話しかける、気を引こうとする、というニュアンスを含みます。日本人は、英語の多義語を字面だけで理解し、文脈を考慮しないために、意図しない誤解を生むことがあります。特に、性的な意味合いを含む可能性のある表現は、慎重に選ぶ必要があります。文化的な背景として、英語圏では遠回しな表現やユーモアを交えた言い方が好まれる場合が多く、直接的な表現は時に不快感を与えることがあります。
英語の句動詞(phrasal verb)"pick up" は、"pick" と "up" が一体となって特定の意味を成すため、代名詞を目的語として使う場合、"pick up me" ではなく "pick me up" のように、"pick" と "up" の間に代名詞を挟む必要があります。これは、句動詞の構造上のルールであり、日本語の語順とは異なるため、日本人学習者が間違いやすいポイントです。日本語では「私を拾い上げる」のように目的語を動詞の後に置くのが自然ですが、英語の句動詞では、代名詞が間に入るのが一般的です。このルールを理解することで、より自然な英語表現が可能になります。
文化的背景
「pick up」は、物理的なものを拾い上げる行為から派生し、偶然性や選択、そして責任を伴う行為を象徴する言葉へと発展しました。それは、道端に落ちているチャンスを拾い上げるように、あるいは誰かを車で迎えに行くように、主体的な行動と結びついています。
19世紀後半のアメリカ英語において、「pick up」は特に、見知らぬ異性をナンパする、あるいは(やや軽蔑的なニュアンスで)売春婦を拾うという意味合いで使われるようになりました。これは、急成長する都市部において、匿名性が高まり、出会いの形が多様化した時代背景を反映しています。従来、結婚や家族制度を通して行われていた男女の出会いが、より偶然的で、一時的な関係へと変化していく様子を、「拾い上げる」という行為に重ね合わせたのです。この用法は、性的な対象として「商品」を扱うような、やや非人間的な視点を含んでいるとも言えるでしょう。
現代英語では、ナンパの意味合いは薄れつつありますが、「pick up」には依然として、何かを選択し、自分のものにするというニュアンスが残っています。例えば、空港で誰かを「pick up」する場合、それは単なる送迎以上の意味を持ちます。相手の到着を待ち、安全に目的地まで送り届けるという責任を伴う行為なのです。また、「pick up the tab(勘定を払う)」という表現は、経済的な責任を引き受けることを意味し、リーダーシップや寛大さを示す行為と見なされることもあります。
このように、「pick up」は、単なる物理的な行為を超え、偶然性、選択、責任、そして社会的な関係性を象徴する言葉として、英語圏の文化に深く根付いています。それは、変化し続ける社会の中で、私たちがどのように出会い、関係を築き、責任を果たすのかを反映する鏡のような言葉と言えるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解、リスニング
- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。2級でも長文読解で登場
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場。会話文、説明文、物語文など
- 学習者への注意点・アドバイス: 「拾う」「迎えに行く」「覚える」「(病気を)もらう」など、複数の意味を文脈で判断する必要がある。句動詞として扱われるため、目的語の位置に注意。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め), Part 7 (長文読解), Part 2 (応答問題)
- 頻度と級・パート: Part 5, 7で頻出。Part 2でも時々登場
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の文脈で、「(電話を)取る」「(書類を)受け取る」「(人を)迎えに行く」などの意味で使用されることが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンでよく使われる意味を優先的に覚える。「pick up on ~(~に気づく)」のような派生的な意味も押さえておくと有利。
- 出題形式: リーディング、リスニング
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな文脈で、「(情報を)得る」「(傾向を)見出す」などの意味で使用される。比喩的な意味合いで使われることも多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。アカデミックな文章における用法に慣れておく必要がある。
- 出題形式: 長文読解、語彙問題
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など幅広いジャンルで登場。比喩的な意味合いで使われることも多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から適切な意味を判断する力が求められる。複数の意味を暗記するだけでなく、実際に文章の中でどのように使われているかを確認することが重要。