justice
強勢は最初の音節 "dʒʌs" にあります。/ʌ/ は日本語の「ア」と「オ」の中間のような音で、口をリラックスさせて短く発音します。最後の "-tɪs" は、日本語の「ティス」よりも、/ɪ/ の部分をより短く、軽く発音すると自然です。また、"dʒ" は、日本語の「ジ」よりも少し摩擦が強く、唇を少し丸めて発音するとより正確になります。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
正義
道徳的・法的観点から見た「正しい」状態や行為。社会全体の公平さ、権利の保護、不正の是正などを指す。漠然とした概念ではなく、具体的な行動や制度によって実現されるべきものとして捉えられることが多い。
The hero fought for justice to protect the weak.
そのヒーローは弱い人々を守るために正義のために戦った。
※ この例文は、漫画や映画のワンシーンのように、ヒーローが悪に立ち向かい、弱い人々を救うために「正義」を貫く姿を描いています。justiceが「守るべき公平な状態」や「正しいこと」という意味で使われている典型的な例です。動詞 fight for ~ で「〜のために戦う」という表現も一緒に覚えましょう。
People hope that the court will bring justice to the victim.
人々は、裁判所が被害者に正義をもたらすことを願っている。
※ この例文は、裁判所という厳粛な場所で、被害者が公平な裁きを受けることを願う人々の気持ちを描いています。ここではjusticeが「公平な判決」や「公正な扱い」といった意味で使われています。社会や法律の文脈でよく使われる表現で、bring justice to ~ で「〜に正義をもたらす」という形で使われます。
We must work together for peace and justice in our community.
私たちは地域社会の平和と正義のために、共に協力しなければならない。
※ この例文は、地域や社会全体でより良い未来を築くために、みんなで協力し合う前向きな姿勢を表しています。peace (平和) と justice (正義) はよく一緒に使われる言葉で、理想的な社会のあり方を指します。for ~ で「〜のために」という目的を表す基本的な使い方です。
裁判
法廷における訴訟手続き全体を指す。単に判決を下すだけでなく、証拠の提出、弁論、陪審員の選出など、一連のプロセスを含む。公正な裁判(fair trial)という形で使われることが多い。
The police worked hard to bring the criminal to justice.
警察はその犯罪者を裁判にかけるため、懸命に働いた。
※ この文では、警察が犯罪者を捕まえて法的な裁きを受けさせる、つまり「裁判にかける」という状況を表しています。「bring someone to justice」は、悪い行いをした人を裁判で裁くときに非常によく使われる表現です。警察官の真剣な努力が感じられる場面です。
He had to face justice for what he did wrong.
彼は自分がした悪いことについて裁判を受けなければならなかった。
※ この文では、誰かが自分の行動の結果として「裁判を受ける」という状況を描いています。「face justice」は、過ちを犯した人が法の裁きに直面する、つまり裁判を受けることを意味する典型的なフレーズです。自分のしたことと向き合う、少し緊張感のある場面です。
The victim waited patiently for justice in the courtroom.
被害者は法廷で辛抱強く裁き(裁判)を待った。
※ この文では、被害者が法的な判断や解決、つまり「裁き」が下されるのを待つ様子が描かれています。この「裁き」は通常、裁判を通じて行われるため、「裁判」と訳すこともできます。静かで重苦しい法廷の雰囲気が伝わる場面です。
正当性
行為や主張が、倫理的、道徳的、あるいは法的に認められる妥当性を持つこと。単に「正しい」だけでなく、その理由や根拠が明確であり、納得できる場合に用いられる。
Everyone agreed on the justice of her strong decision.
誰もが彼女の強い決断の正当性に同意しました。
※ この例文は、ある人が難しい状況で下した決断が、周りの人たちから「正しい」「道理にかなっている」と認められた場面を描いています。特に、リーダーや責任ある立場の人が取る行動の『正しさ』を表現する際に典型的に使われます。『the justice of A』で『Aの正当性』というまとまりでよく使われます。
The newspaper article questioned the justice of the new law.
その新聞記事は新しい法律の正当性を疑問視しました。
※ この例文は、新聞やニュースが、政府や組織が作った新しいルールや法律に対して、『本当に正しいのか?』『妥当なのか?』と疑問を投げかけている社会的な場面を示しています。社会的な議論や批判の文脈でよく耳にする表現です。『question the justice of A』で『Aの正当性を疑問視する』という形で使われることが多いです。
He finally understood the justice of his father's strict words.
彼はついに父親の厳しい言葉の正当性を理解しました。
※ この例文は、最初は理解できなかったり、厳しく感じたりしたこと(ここでは父親の言葉)が、時を経て『実は正しかったんだ』と気づく、個人的な成長や内省の場面を描いています。大人になってから親の教えの本当の意味を理解する、といった状況で共感しやすいでしょう。『understand the justice of A』で『Aの正当性を理解する』という意味になります。
コロケーション
冤罪、誤審
※ 「justice(正義)」が「miscarry(失敗する、流産する)」するという意味で、無実の人が有罪になったり、不当な判決が下されたりする状況を指します。形式ばった響きがあり、報道や法律関係の文書でよく用いられます。単に"wrongful conviction"(不当な有罪判決)と言うよりも、制度的な欠陥や人為的なミスによって正義が実現されなかったというニュアンスが強調されます。
手荒な正義、略式的な処罰
※ 「rough(粗い、大雑把な)」justiceは、法的手続きを無視したり、感情的な報復に走ったりするような、必ずしも公正とは言えない処罰を意味します。自力救済や私刑に近いニュアンスを含み、しばしば批判的な意味合いで用いられます。西部劇や犯罪ドラマなど、秩序が確立されていない状況を描写する際に登場しやすい表現です。
因果応報、天罰
※ 文学作品や物語において、悪人が最終的に自分の悪行によって罰せられる、または善人が報われるという展開を指します。必ずしも現実世界で起こるわけではなく、物語の道徳的な結末として期待されるものです。「勧善懲悪」という言葉が近いでしょう。演劇評論や文学分析でよく使われます。
~を正当に評価する、~にふさわしい扱いをする
※ 「~に正義を行う」という直訳から、「そのものの価値や美点を十分に表現する、または適切に扱う」という意味になります。例えば、料理の味を正しく伝える、人の才能を最大限に引き出す、といった文脈で使用されます。「This photo doesn't do you justice.(この写真はあなたの良さを引き出せていない)」のように使われます。
~を裁判にかける、~を法の裁きにかける
※ 犯罪者を逮捕し、裁判を受けさせ、罪を償わせる一連の手続きを指します。「犯人を裁判にかける」という行為そのものに焦点を当てた表現で、正義が実現される過程を強調します。報道記事や警察発表などでよく用いられます。
正義を果たす
※ 裁判官や検察官などの法律関係者が、法に基づいて公正な判決を下したり、犯罪者を処罰したりすることを指します。単に「正義を行う」だけでなく、「正義を遂行する」というニュアンスを含み、より公式な場面で用いられます。例えば、"The judge served justice by sentencing the defendant to life imprisonment."(裁判官は被告に終身刑を宣告することで正義を果たした)のように使われます。
正義を求める
※ 不正や不当な扱いを受けた人が、法的手段や社会的な運動を通じて、自分にとっての正当な権利や救済を求める行為を指します。被害者やその家族が、裁判や訴訟を起こしたり、世論に訴えたりする場面でよく使われます。人権団体やNGOなどの活動を説明する際にも用いられます。
使用シーン
法律、政治学、哲学などの分野で頻繁に使用されます。論文や教科書で「正義の概念」「社会正義」「分配的正義」といった抽象的な議論をする際に登場します。また、歴史学の研究で過去の不正を論じる文脈でも見られます。
企業の倫理綱領やCSR(企業の社会的責任)に関する報告書で、「公正な取引」「従業員の権利擁護」などの文脈で使われることがあります。また、訴訟や紛争解決の場面で、「法的正義」を求める際に用いられることもあります。日常的なビジネス会話ではあまり使われません。
ニュース報道やドキュメンタリー番組で、裁判の結果や社会問題に対する抗議活動など、「正義」がテーマとなる場合に登場します。日常会話では、「それは正当じゃない」「正義感」といった形で、感情や意見を表現する際に使われる程度です。例えば、「あんなひどいこと、絶対に許せない!正義のためにも戦う!」のような、ややドラマチックな状況で使われることがあります。
関連語
類義語
公平さ、公正さ。人や状況に対して、偏りなく、平等に扱うことを指します。日常会話、ビジネス、倫理的な議論など、幅広い場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】"Justice"よりも個人的な感情や主観的な判断が含まれることがあります。また、より一般的な概念であり、特定の法制度や法律に限定されません。"Fairness"は、状況や関係性において、誰もが納得できるような結果を目指すニュアンスがあります。 【混同しやすい点】"Justice"は法的な正義や権利の擁護を強調する一方、"fairness"は道徳的な公平さを強調します。例えば、"seeking justice for the victims"(被害者のために正義を求める)と"ensuring fairness in the workplace"(職場での公平性を確保する)のように、使われる文脈が異なります。
公平性、衡平性。単に平等に扱うだけでなく、個々の状況やニーズに合わせて調整し、実質的な公平を実現することを指します。社会政策、経済、教育などの分野でよく用いられます。 【ニュアンスの違い】"Justice"や"fairness"よりも、より積極的な是正措置を伴うニュアンスがあります。単に平等に扱うだけでなく、過去の不正や不利益を考慮し、必要な人に必要な支援を提供することを目指します。"Equity"は、社会的な格差を是正し、誰もが平等な機会を得られるようにすることを目的とします。 【混同しやすい点】"Equity"は、単なる平等(equality)とは異なります。"Equality"はすべての人を同じように扱うことを意味しますが、"equity"は個々のニーズに合わせて資源や機会を分配することを意味します。例えば、"equal access to healthcare"(医療への平等なアクセス)と"equitable distribution of resources"(資源の衡平な分配)のように、意味合いが異なります。
権利、正当性。道徳的、法的、または社会的に認められた、個人や集団が持つべき資格や要求を指します。法律、政治、倫理的な議論など、幅広い場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】"Justice"は権利の侵害に対する是正や、権利の擁護を意味するのに対し、"right"は権利そのものを指します。"Right"は、個人が主張できる具体的な権利を指すことが多く、"justice"は、その権利が守られるべき状態を指します。 【混同しやすい点】"Justice"は、権利が侵害された場合に、それを回復したり、侵害者を罰したりすることを意味しますが、"right"は、侵害される前の権利そのものを指します。例えば、"the right to free speech"(言論の自由)は権利であり、"seeking justice for the violation of free speech"(言論の自由の侵害に対する正義を求める)は、その権利が侵害された場合の対応を指します。
- legality
合法性、適法性。法律や規則に適合している状態を指します。法律、ビジネス、政府などの分野で用いられます。 【ニュアンスの違い】"Justice"は道徳的、倫理的な正しさを含む概念ですが、"legality"は法律に合致しているかどうかのみを問題にします。法律が必ずしも正義にかなうとは限らないため、"legality"と"justice"は必ずしも一致しません。 【混同しやすい点】ある行為が"legal"(合法的)であっても、必ずしも"just"(正当)であるとは限りません。例えば、不当な法律に基づいて行われた行為は、"legal"ではあるものの、"just"とは言えません。"Legality"は法律の専門家が扱う概念であり、"justice"はより広い社会的な議論の対象となります。
- rectitude
公正、高潔、正しさ。道徳的に正しい行いや性格を指し、フォーマルな文脈や文学的な表現で用いられます。 【ニュアンスの違い】"Justice" が社会的な正義や法的な正義を指すのに対し、"rectitude" は個人の道徳的な正しさを強調します。 "Rectitude" は、個人の内面の倫理観や道徳的な原則に基づいた行動を指し、しばしば堅苦しい、または古風な響きを持ちます。 【混同しやすい点】"Justice" は、社会的な不正や不公平に対する是正を求める際に用いられますが、"rectitude" は、個人の行動や性格が道徳的に正しいかどうかを評価する際に用いられます。 "Rectitude" は、日常会話ではあまり使われず、文学作品や歴史的な文書でよく見られます。例えば、「彼の rectitude は疑いの余地がなかった」のように使われます。
- impartiality
公平無私、偏見のなさ。個人的な感情や利害関係に左右されず、客観的に判断することを指します。裁判、ジャーナリズム、倫理的な議論など、客観性が求められる場面で用いられます。 【ニュアンスの違い】"Justice"は、公平な判断の結果として実現されるべき状態を指すのに対し、"impartiality"は、その判断を行う際の姿勢や態度を指します。 "Impartiality" は、判断者が個人的な偏見や利害関係から自由であることを意味し、"justice"を実現するための前提条件となります。 【混同しやすい点】"Justice" は、具体的な結果や判決を指すことが多いですが、"impartiality" は、判断者の精神的な状態や態度を指します。 例えば、「裁判官は impartiality を保つべきだ」という文は、裁判官が個人的な感情や偏見に左右されずに判断すべきであることを意味します。 "Impartiality" は、客観的な判断を必要とするあらゆる場面で重要な要素となります。
派生語
『正当化する』という意味の動詞。『justice(正義)』の語幹 'just-' に、動詞化する接尾辞 '-ify' が付いた形。元々は『正義にかなうようにする』という意味合い。日常会話からビジネス、法律関係まで幅広く使われる。頻出語。
『正当化』という意味の名詞。『justify』に、名詞化する接尾辞 '-ation' が付いた形。動詞『justify』の行為や状態を表す。学術論文やビジネス文書で、判断や行動の根拠を示す際に用いられる。
- unjust
『不当な』という意味の形容詞。『justice』の語幹 'just-' に、否定を表す接頭辞 'un-' が付いた形。『正義に反する』状態を示す。日常会話やニュース記事などで、不正な行為や状況を批判する際に用いられる。
反意語
『不正』という意味。『justice』に否定の接頭辞 'in-' が付いた形。単に『正義でない』だけでなく、『不正な行為・状態』を指すことが多い。日常会話でも使われるが、社会問題や政治に関する議論で頻繁に登場する。
- unfairness
『不公平』という意味。『fairness(公平)』に否定の接頭辞 'un-' が付いた形。『justice』が社会全体の正義や法的な正当性を指すのに対し、『unfairness』は個人的な感情や個別の状況における不公平感を指すことが多い。日常的な文脈でよく使われる。
- wrongdoing
『不正行為』という意味。『wrong(間違った)』と『doing(行為)』の組み合わせで、道徳的、倫理的に間違った行為全般を指す。『justice』が法的な側面を含むのに対し、『wrongdoing』はより広範な不正を意味する。ニュースやノンフィクション作品でよく見られる。
語源
"justice」は、ラテン語の「iustitia」(正義、公正、正当性)に由来します。この「iustitia」は、「iustus」(正しい、正当な)という形容詞から派生しており、さらに遡ると「ius」(権利、法)という名詞にたどり着きます。「ius」は、社会におけるルールや規範、人々の間で守られるべき正当な権利といった概念を表していました。日本語で考えると、「法(ほう)」という言葉が近いかもしれません。つまり、justiceは、法(ius)に基づいて「正しい」状態(iustus)を保つこと(iustitia)を意味し、それが英語に取り入れられて現代の「正義」や「裁判」といった意味合いを持つようになりました。法律用語や社会的な文脈で頻繁に使われる背景には、このような語源的な意味合いが深く根付いていると言えるでしょう。
暗記法
「正義」は時代と共に姿を変える万華鏡。古代ギリシャでは社会の調和、ローマでは個人の権利として尊重されました。中世は神の秩序、ルネサンス以降は自由と平等を希求。フランス革命の理想も、権力の前にもろく崩れ去ることもありました。現代では、法の下の平等や人権を意味しますが、貧困や差別が足かせに。グローバル化で国際的な正義も重要になり、ICCはその象徴。正義は常に変容し、人類の永遠の課題なのです。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の '-fy' の部分が曖昧になりやすい。スペルも 'justice' と 'justify' で共通部分が多く、視覚的にも混同しやすい。'justice' は名詞(正義)ですが、'justify' は動詞(正当化する)です。文脈で判断することが重要です。語源的には、どちらもラテン語の 'justus'(正しい)に由来しますが、品詞と用法が異なります。
発音が非常に似ており、特に会話では区別が難しい場合があります。スペルも 'justice' の一部であるため、視覚的にも関連付けてしまいがちです。'just' は形容詞(公正な)または副詞(ちょうど、たった今)として使われます。意味も品詞も異なるため、文脈をよく理解する必要があります。例えば、『just a moment』と『a sense of justice』では意味が全く違います。
意味が関連しているため(判断力がある、賢明な)、文脈によっては混同しやすい。スペルも 'justice' と共通する部分が多く、視覚的に関連付けやすい。'justice' は名詞ですが、'judicious' は形容詞です。'judicious' は、判断や行動が賢明であることを指します。語源的には、どちらも 'judge'(判断する)に関連しますが、'justice' は正義そのものを、'judicious' は判断の質を表します。
語尾の '-ious' が共通しており、発音の響きが似ているため、特に聞き取りの際に混同しやすい。スペルも文字数が近く、視覚的に似ていると感じやすい。 'justice' は名詞ですが、'injurious' は形容詞(有害な)です。意味が全く異なるため、文脈で判断する必要があります。発音記号を確認し、/dʒʌs.tɪs/ と /ɪnˈdʒʊə.ri.əs/ の違いを意識しましょう。
先頭の 'a-' と 'jus-' の部分が似ており、発音も一部共通するため、混同しやすい。スペルも 'just' を含んでいるため、視覚的にも関連付けてしまいがちです。'adjust' は動詞(調整する)であり、'justice'(正義)とは意味が全く異なります。'adjust' は、状況に合わせて何かを変更することを意味します。文脈で判断することが重要です。
'justice' と同じ語源を持ち(ラテン語の 'jus' = 法律)、意味的にも関連があるため(裁判権、管轄)、混同しやすい。スペルも類似しており、視覚的な誤認も起こりやすい。'justice' は名詞(正義)ですが、'jurisdiction' も名詞(裁判権)です。ただし、'jurisdiction' は特定の地域や問題に対する権限を指します。両者の違いを理解するためには、法律や政治に関する文脈での使用例を確認することが有効です。
誤用例
日本語の『ちょっとしたミスに対して正義を求める』という発想は、英語では大げさに聞こえます。英語の 'justice' は、より深刻な不正や権利侵害に対して用いられることが多いです。些細な事柄に対しては、'leniency'(寛大な措置)や 'understanding'(理解)を求める方が自然です。日本人がつい『〜のために正義を!』と直訳しがちですが、英語では問題の規模に見合った表現を選ぶ必要があります。
名詞 'justice' は、抽象的な概念(正義)や司法制度全体を指すことが多く、具体的な裁判官を指す場合は 'judge' を使うのが適切です。日本語では『正義の人』のように人格を指す用法がありますが、英語では一般的ではありません。 'justice' を人に対して使う場合は、例えば 'He is a champion of justice.'(彼は正義の擁護者だ)のように、より比喩的な表現になります。日本語の『〜は正義だ!』という表現を安易に英語に直訳すると、不自然になることがあります。
'Justice' は、不正に対する公平さや権利を強く意識する意味合いが強い単語です。上司との意見の相違といった日常的な場面では、個人の『正義感』よりも、『強い信念 (principle)』や『道徳観 (morality)』といった言葉を使う方が適切です。日本語の『正義感が強い』は、英語では文脈によって様々な表現に翻訳できますが、安易に 'justice' を使うと、相手に過剰な印象を与えてしまう可能性があります。また、日本的な『空気を読む』文化では、上司に反論すること自体が、必ずしも『正義』と結びつかない場合もあります。
文化的背景
「justice(正義)」は、単なる法的な概念を超え、社会秩序の根幹をなす倫理的、道徳的な理想を象徴します。古代から現代に至るまで、正義は権力、平等、そして人々の権利と深く結びつき、その解釈と実践は時代や文化によって大きく変化してきました。
古代ギリシャにおいて、正義は調和とバランスを意味し、個人の役割が社会全体の幸福に貢献する状態を指しました。プラトンは『国家』の中で、哲人王による統治こそが正義を実現すると説き、正義を個人の魂の調和と社会全体の秩序維持の鍵と捉えました。ローマ法においては、正義は各人に「その人に属するもの」を与えることと定義され、法的権利の概念が発展しました。中世ヨーロッパでは、キリスト教的な正義観が影響力を持ち、神の法に従うこと、弱者を保護することが重視されました。しかし、この時代の正義はしばしば貴族や教会といった特権階級の利益を擁護するものでもありました。
ルネサンス以降、啓蒙思想の影響を受け、正義の概念は個人の権利と自由を重視する方向へと変化しました。ジョン・ロックは、自然権としての生命、自由、財産を主張し、政府はこれらの権利を保護するために存在すると説きました。フランス革命は「自由、平等、博愛」を掲げ、正義を社会全体の平等な権利として打ち出しました。しかし、これらの理想は現実の政治において常に実現されたわけではなく、革命後の恐怖政治やナポレオンの台頭は、正義の名の下に行われる権力濫用の危険性を示唆しました。
現代社会において、正義は法の下の平等、公正な裁判、人権の尊重といった概念と結びついています。しかし、正義の実現は依然として困難な課題であり、貧困、差別、格差といった社会問題は、正義の実現を阻む要因となっています。また、グローバル化の進展に伴い、国際的な正義の概念も重要性を増しており、国際刑事裁判所(ICC)の設立は、戦争犯罪や人道に対する罪を裁くための国際的な努力の象徴と言えるでしょう。正義は、時代や社会の価値観を反映し、常に変化し続ける概念であり、その追求は人類の永遠の課題と言えるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。特に長文読解
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、倫理、政治などアカデミックな文脈
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての意味(正義、公正)だけでなく、形容詞(just:公正な)や副詞(just:ちょうど)との関連も理解する。派生語のinjustice(不正)も重要。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め)、Part 7 (長文読解)
- 頻度と級・パート: 比較的まれ。ビジネスシーンでの使用例は少ない
- 文脈・例題の特徴: 契約、訴訟、倫理規定など、法的な文脈で稀に出題
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEICでは優先度の高い単語ではないが、ビジネス倫理に関する長文を読む際に役立つ可能性がある。関連語の'justify'(正当化する)との区別を明確にする。
- 出題形式: リーディング、ライティング
- 頻度と級・パート: 頻出。アカデミックな文章全般
- 文脈・例題の特徴: 社会科学、政治学、哲学など、抽象的な議論
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念として理解することが重要。類義語のfairness, equityとのニュアンスの違いを理解する。ライティングでは、自分の意見を論理的に説明する際に役立つ。
- 出題形式: 長文読解、和訳、英作文
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。社会科学系のテーマ
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、歴史、政治、倫理など
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈の中で意味を正確に捉えることが重要。特に、抽象的な議論や比喩表現が含まれる場合に注意する。関連語句(social justice, criminal justiceなど)も覚えておく。