irresistible
強勢は 'zis' の部分にあります。最初の 'i' は弱く短く発音(イに近い曖昧母音)。'r' は舌を丸める(アメリカ英語の場合)。最後の '-ble' は「ボゥ」のように曖昧母音で弱く発音。日本語の『ル』のような明確な音ではありません。各音節を区切らず、滑らかに繋げるように意識するとより自然に聞こえます。
抗えない
非常に魅力的で、誘惑に打ち勝てないほど強い感情を引き起こす様子。人、物、提案など幅広い対象に使われ、魅力が非常に高いことを示唆します。
The warm, sweet smell of freshly baked cookies was completely irresistible.
焼きたてクッキーの温かくて甘い匂いは、全く抗えなかった。
※ 誰もが経験する「食べ物の誘惑」のシーンです。焼きたてのクッキーの匂いが、思わず手を伸ばしてしまうほど魅力的で、我慢できない様子が目に浮かびます。「我慢できないほど魅力的だ」という気持ちを伝える時によく使われます。
The little puppy's big, innocent eyes were so irresistible that I had to pet him.
小さな子犬の大きくて無邪気な目は、とても抗えず、撫でずにはいられなかった。
※ 「かわいすぎて、思わず触れてしまう」という、人や動物の魅力に対して使われる典型的な例です。子犬のつぶらな瞳に心を奪われ、撫でずにはいられないという、温かい感情が伝わります。'so ~ that ...'(とても〜なので…)の構文も、感情の強さを表すのに役立ちます。
The chance to travel the world for free was an absolutely irresistible offer for me.
無料で世界を旅する機会は、私にとって絶対に抗えない申し出だった。
※ 人生を変えるような「素晴らしい機会や提案」に対して使われる例です。誰もが夢見る「無料の世界旅行」という、あまりにも魅力的な申し出に、断る選択肢がないという状況が描かれています。「断れないほど魅力的だ」というニュアンスが強く出ます。
心を奪う
感情や注意を強く引きつけ、夢中にさせる様子。特にエンターテイメントや芸術作品など、心を揺さぶるような魅力に対して使われます。
The smell of freshly baked cookies was so irresistible that I ate one right away.
焼きたてクッキーの香りはとてもたまらなくて、私はすぐに一つ食べた。
※ クッキーの香りが「たまらない」ほど魅力的で、思わず食べてしまった状況です。食べ物や飲み物に対して「我慢できないほど美味しい」という気持ちを表す際によく使われる、非常に典型的な場面です。「so...that...」は「とても~なので…だ」という結果を表す文型で、日常会話で頻繁に使われます。
Her cheerful smile was so irresistible that everyone wanted to talk to her.
彼女の明るい笑顔はとても魅力的で、誰もが彼女と話したがった。
※ 彼女の笑顔が「抗しがたいほど魅力的」で、それが多くの人を引きつける様子を描写しています。人の魅力や、何かを強く引きつける力に対して使われる典型的な例です。ここでも「so...that...」の構文が使われており、原因と結果が明確に伝わります。
My boss made me an irresistible offer to lead the new project.
上司が私に、新しいプロジェクトを率いるという、とても魅力的な提案をしてくれた。
※ 上司からの提案が「断れないほど魅力的」だったことを示しています。仕事のオファーや機会など、非常に魅力的な「申し出」に対して使われることが多いです。「an irresistible offer」は、ビジネスや日常において「断るのが難しいほど良い条件の提案」を意味する決まり文句のように使われることもあります。
圧倒的な
力や影響力が非常に強く、抵抗することが難しい状態。自然現象や社会的な力など、巨大で強力なものに対して使われます。
The rich smell of freshly baked cookies was irresistible.
焼きたてのクッキーの濃厚な香りは、たまらなく魅力的だった。
※ この例文は、焼きたてのクッキーの香りが漂ってきて、思わず引き寄せられてしまうような情景を描いています。「irresistible」は、食べ物などの「抗しがたい魅力」や「誘惑」を表すときによく使われます。ここでは「The smell was irresistible」(その香りはたまらなかった)という形で使われています。
Her baby's big, curious eyes were completely irresistible.
彼女の赤ちゃんの大きくて好奇心に満ちた瞳は、まったくもって抗しがたかった。
※ この例文では、赤ちゃんの可愛らしさに、誰もが心を奪われてしまうような場面が目に浮かびます。「irresistible」は、人や動物の「魅力」や「愛らしさ」が強すぎて、逆らえないほど引きつけられる、というニュアンスで非常によく使われます。「completely」は「完全に、まったく」という意味で、その魅力を強調しています。
The travel agency's offer for a cheap trip to Hawaii was irresistible.
旅行代理店のハワイへの格安旅行のオファーは、たまらなく魅力的だった。
※ この例文は、お得な旅行の誘いなど、魅力的な「提案」や「機会」が目の前に現れ、思わず飛びついてしまうような状況を示しています。ビジネスの場面や、何かを提案されたりチャンスが訪れたりしたときに、「断れないほど魅力的だ」という意味で「irresistible」が使われる典型的な例です。
コロケーション
抗いがたい魅力、人を惹きつけてやまない魅力
※ 「charm」は、単に外見的な美しさだけでなく、性格や雰囲気などを含めた総合的な魅力を指します。「irresistible charm」は、その魅力が非常に強く、誰もが惹きつけられてしまうような状態を表します。例えば、カリスマ的なリーダーや、天性の才能を持つアーティストなどに使われます。ビジネスシーンでは、人を惹きつける商品やサービスを表現する際にも用いられます。構文は形容詞+名詞で、非常に一般的かつ汎用性の高い組み合わせです。
抗いがたい力、圧倒的な勢い
※ 物理的な力だけでなく、社会的な影響力や経済的な力など、あらゆる種類の強い力を指します。「irresistible force」は、その力が非常に強く、誰も止めることができないような状態を表します。例えば、技術革新の波や、社会的な変革の動きなどに使われます。映画のタイトルやキャッチコピーなどにもよく用いられる表現です。これも形容詞+名詞の組み合わせですが、「unstoppable force」という類似表現も存在します。微妙なニュアンスの違いとして、「irresistible」は内面的な魅力や引力も含むのに対し、「unstoppable」は純粋に物理的な勢いを強調することがあります。
抑えがたい衝動、どうしようもなく湧き上がる欲求
※ 「urge」は、何かをしたいという強い気持ち、衝動を意味します。「irresistible urge」は、その衝動が非常に強く、理性では抑えきれない状態を表します。例えば、甘いものを食べたい衝動や、旅行に行きたい衝動などに使われます。心理学的な文脈で用いられることもあります。形容詞+名詞の組み合わせで、「compulsion」という類似語もありますが、「urge」の方がより自然な欲求や衝動を表すニュアンスがあります。
(人)にとって抗いがたい魅力がある、(人)を魅了する
※ この構文は、「irresistible」が「to someone」という前置詞句を伴い、誰かにとって魅力的であることを具体的に示すものです。例えば、「The offer proved irresistible to her. (その申し出は彼女にとって抗いがたい魅力があった。)」のように使います。特に恋愛や誘惑の文脈でよく用いられ、誰かが特定の魅力に屈してしまう様子を表します。ビジネスシーンでは、魅力的なオファーや条件が相手にとって断れないほどであることを強調する際に使われます。動詞 + 形容詞 + 前置詞句という構造です。
抗いがたい誘惑
※ "temptation"は「誘惑」という意味で、多くの場合、何かを我慢しようとしているときに、それを破りたくなる気持ちを表します。"an irresistible temptation"は、その誘惑が非常に強く、抵抗することが不可能に近い状態を指します。例えば、ダイエット中に目の前に現れた美味しそうなケーキ、禁酒中に勧められたお酒などが該当します。この表現は、人間の弱さや欲望をユーモラスに、あるいはドラマチックに表現する際に用いられます。形容詞 + 名詞の組み合わせで、しばしば物語や詩などの文学作品で見られます。
(何か)を抗いがたいと思う、(何か)に強く惹かれる
※ この構文は「find + object + adjective」という形で、ある対象が非常に魅力的であるという主観的な感想を表します。例えば、「I find his sense of humor irresistible. (彼のユーモアのセンスに抗いがたい魅力を感じる。)」のように使います。恋愛感情や好意を表す際によく用いられ、相手の特定の特徴や行動に強く惹かれていることを示します。口語的な表現で、親しい間柄での会話に適しています。動詞 + 目的語 + 形容詞という構造です。
使用シーン
学術論文や書籍において、議論の対象となる現象や概念の持つ強い影響力や性質を強調する際に用いられます。例えば、心理学の研究で「〜という刺激は被験者にとって抗いがたい魅力を持つ」と表現したり、社会学の研究で「〜という社会的圧力は個人にとって抵抗しがたい」と分析したりする際に使われます。文語的な表現で、客観的な分析や議論を深めるために用いられることが多いです。
ビジネスシーンでは、マーケティングや広告戦略の文脈で、製品やサービスの魅力を強調する際に使われることがあります。例えば、プレゼンテーションで新製品を紹介する際に「この製品の革新的なデザインは、お客様にとって抗いがたい魅力となるでしょう」と表現したり、広告コピーで「〜は、あなたにとって抗いがたい選択肢です」と表現したりします。ただし、日常的なビジネス会話ではあまり使われず、フォーマルな文書やプレゼンテーションでの使用が中心です。
日常会話では、非常に魅力的なものや人を形容する際に使われることがあります。例えば、友人との会話で「このケーキ、すごく美味しそうで抗えない!」と表現したり、映画やドラマの感想を述べる際に「あの俳優の演技は、本当に抗いがたい魅力がある」と表現したりします。ただし、やや大げさなニュアンスを含むため、親しい間柄でのカジュアルな会話で使われることが多いです。ニュース記事やドキュメンタリーなどでは、稀に比喩表現として用いられることがあります。
関連語
類義語
説得力があり、注意を引きつけ、行動を促すような力を持つことを意味します。主に議論、証拠、物語などに対して用いられ、人を行動や信念へと駆り立てる力があることを示します。学術的な文章や、人を説得するような場面でよく使われます。 【ニュアンスの違い】『Irresistible』は感情的な欲求や魅力によって抗えない状態を表すのに対し、『compelling』は論理や道徳的な理由に基づいた、無視できない義務感や必要性を伴うことが多いです。したがって、対象とするものが異なります。 【混同しやすい点】『Compelling』は、しばしば『compelling argument』や『compelling evidence』のように、議論や証拠といった抽象的な概念を修飾するために使われます。一方、『irresistible』は、食べ物や人など、具体的な対象に対して使われることが多いです。
- enticing
魅力的な方法で誘惑したり、興味をそそったりすることを意味します。しばしば、快楽や利益を伴う誘惑を暗示し、何かを手に入れたいという欲求を刺激するような状況で用いられます。広告や旅行の宣伝など、消費者の関心を引く場面でよく使われます。 【ニュアンスの違い】『Irresistible』は、対象が持つ絶対的な魅力によって抵抗できない状態を表すのに対し、『enticing』は、積極的に誘惑し、魅力的に見せることによって関心を引くニュアンスがあります。また、『enticing』は、必ずしも抵抗できないほどの強い力を持つとは限りません。 【混同しやすい点】『Enticing』は、しばしば受動態で使われ、『be enticed to do something』という形で、『〜するように誘惑される』という意味を表します。一方、『irresistible』は、対象そのものが持つ性質を表す形容詞として使われることが多いです。
- alluring
強く魅力的で、人を引きつける性質を持つことを意味します。美しさ、神秘さ、または危険な魅力など、人を惹きつける様々な要素を含み、しばしば文学作品や芸術作品において、人を魅了する対象を描写するために用いられます。 【ニュアンスの違い】『Irresistible』は、対象が持つ圧倒的な力によって抵抗できない状態を表すのに対し、『alluring』は、美しさや魅力によって人を惹きつける様子を表します。また、『alluring』は、必ずしも良い結果をもたらすとは限らず、危険な誘惑を伴うこともあります。 【混同しやすい点】『Alluring』は、しばしば神秘的で危険な魅力を暗示するため、安易な誘惑には使われません。例えば、『alluring darkness(魅惑的な闇)』や『alluring siren(魅惑的なセイレーン)』のように、美しさの中に危険が潜むような状況で用いられます。
欲求をそそる、誘惑的な、という意味を持ちます。何かをしたいという強い欲求を引き起こすような状況を表し、しばしば禁止されていることや、避けるべきことに対して用いられます。日常会話や、自己制御の難しさを語る場面でよく使われます。 【ニュアンスの違い】『Irresistible』は、対象が持つ絶対的な魅力によって抵抗できない状態を表すのに対し、『tempting』は、欲求を刺激し、誘惑する力を持ちながらも、必ずしも抵抗できないとは限りません。つまり、『tempting』な状況でも、理性や意志の力で抵抗できる可能性があります。 【混同しやすい点】『Tempting』は、しばしば『tempting offer(魅力的な申し出)』や『tempting dessert(美味しそうなデザート)』のように、手に入れたいと思わせる対象を修飾するために使われます。一方、『irresistible』は、その対象の魅力が抵抗できないほど強いことを強調します。
- captivating
人の注意や興味を完全に引きつけ、魅了することを意味します。パフォーマンス、芸術作品、人物など、人の心を捉えて離さないような対象に対して用いられます。エンターテイメント業界や、芸術評論などでよく使われます。 【ニュアンスの違い】『Irresistible』は、対象が持つ圧倒的な魅力によって抵抗できない状態を表すのに対し、『captivating』は、人の注意や興味を強く引きつけ、魅了する様子を表します。したがって、『captivating』な対象は、必ずしも抵抗できないほど強い力を持つとは限りません。 【混同しやすい点】『Captivating』は、しばしば受動態で使われ、『be captivated by something』という形で、『〜に魅了される』という意味を表します。一方、『irresistible』は、対象そのものが持つ性質を表す形容詞として使われることが多いです。
- bewitching
魔法をかけたように、人を魅了することを意味します。美しさ、魅力、または神秘的な力によって、人の心を奪うような状況で用いられます。主に文学作品や、ロマンチックな状況を描写する際に使われます。 【ニュアンスの違い】『Irresistible』は、対象が持つ絶対的な魅力によって抵抗できない状態を表すのに対し、『bewitching』は、魔法のような力で人の心を奪い、魅了する様子を表します。また、『bewitching』は、しばしば非現実的で幻想的な雰囲気を伴います。 【混同しやすい点】『Bewitching』は、古風な表現であり、日常会話ではあまり使われません。また、良い意味だけでなく、悪い意味で、人を惑わすような魅力を持つことを表すこともあります。例えば、『bewitching smile(人を惑わす笑顔)』のように、危険な魅力を暗示することがあります。
派生語
『抵抗する』という意味の動詞。『irresistible』の語幹であり、元々は『向かい合って立つ』というイメージ。日常会話からビジネス、学術まで幅広く使われる。名詞形は『resistance(抵抗)』。
『抵抗』という意味の名詞。『resist』から派生し、抽象的な概念を表す際に用いられる。電気抵抗や社会運動など、具体的な場面でも比喩的な場面でも頻繁に登場する。
『抗いがたく』という意味の副詞。『irresistible』に副詞化の接尾辞『-ly』が付いた形。形容詞を修飾し、その性質の強さを強調する。例えば、『irresistibly charming(抗いがたく魅力的な)』のように使われる。
反意語
- resistible
『抵抗できる』という意味の形容詞。『irresistible』から接頭辞『ir-(否定)』を取り除いた形。ただし、『irresistible』ほど一般的ではなく、ややフォーマルな文脈で使用されることが多い。例えば、『a resistible temptation(抵抗できる誘惑)』のように使う。
『魅力的でない』という意味の形容詞。『attractive(魅力的な)』に否定の接頭辞『un-』が付いた形。『irresistible』が非常に強い魅力を表すのに対し、『unattractive』は魅力がない状態を表す。外見や性格など、幅広い対象に対して使用可能。
語源
「irresistible」は、「抵抗できない」「抗いがたい」という意味ですが、その語源はラテン語に遡ります。この単語は、接頭辞「ir-」と語幹「resistible」から構成されています。「ir-」は否定を表す接頭辞で、英語の「in-」や「un-」と同様の意味を持ちます。一方、「resistible」は「抵抗できる」という意味で、さらに分解すると、「re-」(再び、反対に)+「sist」(立つ、留まる)+「-ible」(~できる)となります。つまり、「irresistible」は文字通りには「再び立って抵抗できない」という意味合いを持ちます。想像してみてください。目の前に大好物のケーキがあって、「いやいや、ダイエット中だから…」と一度は抵抗しようとするものの、その魅力に抗えず、結局食べてしまう。この「抗えない」状況が、「irresistible」という単語の持つニュアンスをよく表しています。このように、語源を理解することで、単語の意味がより深く記憶に残りやすくなります。
暗記法
「irresistible」は、単なる魅力ではなく、運命を左右する抗いがたい引力。神話のセイレーンの歌声のように、理性では抗えない根源的な欲望を呼び覚ます。文学では、主人公を破滅へ導く魅力的な存在として描かれ、現代広告では消費者の購買意欲を刺激する。しかし、その背後には倫理的な問題も潜む。政治においては、カリスマ的リーダーシップや大衆扇動の力として現れ、社会を揺るがす。魅力と危険が共存する、深淵な言葉なのだ。
混同しやすい単語
『irresistible』の語幹であり、意味も『抵抗する』と関連するため、混同しやすい。しかし、『irresistible』は形容詞で『抵抗できない』という意味に対し、『resist』は動詞である点が大きく異なる。接頭辞 'ir-' が意味を反転させていることを理解することが重要。
接頭辞 'ir-' を共有し、文字数も多いため、スペルが似ていると感じやすい。意味は『〜に関係なく』であり、『irresistible』の『抵抗できない』とは全く異なる。文脈で判断する必要がある。
語尾の '-sible' が共通しており、文字数も近いため、スペルが似ていると感じやすい。意味は『責任がある』であり、『irresistible』の『抵抗できない』とは異なる。ただし、どちらも人の性質や状況を表す形容詞として使われることがあるため、文脈に注意。
接頭辞 'ir-' を共有し、語尾も '-ible' と '-able' で類似しているため、混同しやすい。意味は『イライラしやすい』であり、『irresistible』の『抵抗できない』とは異なる。発音も似ているため、注意が必要。
語尾の '-sible' が共通しており、文字数も近いため、スペルが似ていると感じやすい。意味は『可逆的な』、『裏返せる』であり、『irresistible』の『抵抗できない』とは全く異なる。ただし、どちらも形容詞であり、何かの性質を表す点で共通する。
スペルは似ていないものの、語源的に関連があるため、意味の面で混同される可能性がある。『arrest』は『逮捕する』という意味であり、これは『抵抗(resist)を止める』という行為を意味する。一方、『irresistible』は『抵抗できない』という意味であり、両者は対照的な概念を表す。
誤用例
日本語の『〜にとって我慢できない』という表現を直訳すると、つい『to』を使ってしまいがちですが、『irresistible』は基本的に目的語を直接取ります。この場合、『irresistible』は誘惑そのものを指し、ダイエットの意思を脅かす存在であることを強調するために、別の表現(temptation)を使う方が自然です。また、日本語の『〜にとって』は英語では文脈に応じて様々な前置詞や表現に置き換わるため、安易な直訳は避けるべきです。
『irresistible』は非常に強い肯定的な意味合いを持ち、文字通り『抵抗できない』魅力や引力を表します。そのため、文脈によっては相手に不快感を与えるニュアンスが伝わりにくく、不自然に聞こえることがあります。ここでは、単に『圧倒的な』魅力という意味で『overwhelming』を使う方が、彼女が不快に感じた理由をより適切に表現できます。日本人は相手の感情を慮る文化を持つため、英語でも同様に、言葉の選択によって相手への配慮を示す必要があります。
『irresistible』は、非常に魅力的で、ほぼ無条件に受け入れるべきオファーに対して使われます。しかし、『reluctantly accepted(渋々受け入れた)』という表現と組み合わせると、意味の矛盾が生じます。本当に抵抗できないほど魅力的なら、渋々受け入れるという感情は通常伴いません。この場合、『too good to refuse(断るにはあまりにも良すぎる)』という表現を使う方が、葛藤がありつつも結局受け入れた状況をより自然に表現できます。日本人は謙譲の美徳を重んじるため、英語でもつい控えめな表現を選びがちですが、状況によっては誤解を招く可能性があります。
文化的背景
「irresistible(抵抗できない)」は、単なる魅力以上の、運命的な引力や不可避な力といったニュアンスを帯び、時に禁断の誘惑や破滅的な結末を予感させる言葉として、西洋文化に深く根付いています。それは、神話におけるセイレーンの歌声のように、理性では抗えない、根源的な欲望や衝動を喚起するイメージと結びついてきました。
文学作品における「irresistible」は、しばしば主人公を破滅へと導く魅力的な存在や出来事を形容するために用いられます。例えば、ゲーテの『ファウスト』に登場するメフィストフェレスは、ファウストにとってまさに「irresistible」な存在であり、彼の魂を賭けた取引は、抗いがたい誘惑の象徴です。また、映画『危険な関係』におけるヴァルモン侯爵の誘惑は、セシル・ドゥ・ヴォランジュにとって「irresistible」であり、彼女の純粋さを奪い、物語を悲劇へと導きます。このように、「irresistible」は、単なる好意や魅力ではなく、人間の運命を左右するほどの強い影響力を持つものとして描かれることが多いのです。
現代社会においても、「irresistible」は広告やマーケティングにおいて頻繁に用いられ、消費者の購買意欲を刺激する言葉として機能しています。新商品のキャッチコピーに「irresistible taste(抵抗できない味)」や「irresistible offer(抵抗できないオファー)」といった表現を用いることで、商品の魅力を最大限にアピールし、消費者の理性的な判断を鈍らせようとします。しかし、その背後には、消費者を誘惑し、過剰な消費を促すという倫理的な問題も潜んでいます。つまり、「irresistible」という言葉は、魅力的であると同時に、時に危険な誘惑の側面も持ち合わせているのです。
さらに、「irresistible」は、政治的な文脈においても、カリスマ的なリーダーシップや大衆を扇動する力といった、ある種の「抗いがたい力」を表現するために用いられることがあります。例えば、歴史的な独裁者や革命家は、民衆にとって「irresistible」な存在となり、社会を大きく変革する原動力となることがあります。しかし、その「抗いがたい力」が誤った方向に進むと、社会全体に大きな災厄をもたらす可能性も孕んでいます。このように、「irresistible」は、人間の感情、欲望、そして社会全体を揺るがすほどの強い影響力を持つ言葉として、多岐にわたる文脈で使用され、その文化的意義は非常に深いと言えるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。稀にリスニング。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場。広告、レビュー、科学記事など。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「抵抗できない」「非常に魅力的な」という意味を理解。名詞形「irresistibility」も覚えておくと有利。否定的な文脈で使用されることもある点に注意。
- 出題形式: 主にPart 5, 6, 7(読解)。
- 頻度と級・パート: 頻度は中程度。Part 7の広告や商品説明文で登場しやすい。
- 文脈・例題の特徴: マーケティング、製品紹介、サービス案内など、ビジネス関連の文脈が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「魅力的な」「抗しがたい」といった意味で、製品やサービスを褒める際に使われることが多い。同義語(appealing, tempting)との区別を意識。
- 出題形式: 主にリーディングセクション。
- 頻度と級・パート: 中〜高頻度。アカデミックな文章でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 心理学、社会学、歴史など、抽象的な概念を扱う文章で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 単に「魅力的な」だけでなく、「議論や考え方などが説得力がある」という意味合いで使われることもある。文脈から正確な意味を判断することが重要。
- 出題形式: 主に長文読解。文脈推測問題や内容一致問題。
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的な大学でも出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 評論、物語、エッセイなど、幅広いジャンルで登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力が重要。「抵抗できない」という基本的な意味に加え、比喩的な意味合いも理解しておくこと。派生語(irresistibly)も覚えておくと役立つ。