inquisition
徹底的な調査
権威を持った組織や人物による、詳細かつ公式な調査を指します。しばしば、不正や異端の疑いがある事柄に対して行われ、尋問や追求を伴うニュアンスを含みます。語源的には「探求」の意味合いが強く、単なる調査よりも厳格で強制的なイメージがあります。
The company started an inquisition to find out what went wrong.
何が悪かったのか突き止めるため、会社は徹底的な調査を開始した。
※ 会社で何か問題が起きた時に、原因を徹底的に調べる場面です。「inquisition」は、このように組織や公の場で行われる、厳しく詳細な調査によく使われます。ここでは「〜を始める」という意味の "started an inquisition" が自然な表現です。
My parents' inquisition about my messy room felt endless.
私の散らかった部屋についての両親の徹底的な尋問は、永遠に続くように感じられた。
※ 家庭内で、特に親が子供に対して「なぜ部屋を片付けないの?」「あれはどこ?」と、しつこく問い詰めるような状況を表しています。少し大げさな表現ですが、そのくらい「徹底的でうんざりする質問攻め」という気持ちが伝わります。「inquisition」は、このように個人的な厳しい質問に対しても使えます。
The president faced a tough inquisition from the committee members.
大統領は、委員会メンバーから厳しい徹底調査(尋問)を受けた。
※ 大統領が議会の委員会メンバーから、厳しい質問攻めにあっている場面です。公的な場で、責任を問うために行われる「徹底的な調査や尋問」の典型例です。「face an inquisition」で「徹底的な調査を受ける」という状況を表現できます。
異端審問
特に歴史的な文脈で、中世ヨーロッパにおける教会による異端者の摘発・裁判を指します。拷問や処刑を伴うこともあり、権力による抑圧的な調査・弾圧の象徴として使われることがあります。
People whispered in fear when the inquisition began in the town.
町で異端審問が始まると、人々は恐怖でささやき合った。
※ この例文は、歴史的な文脈で「inquisition(異端審問)」が使われる典型的な場面を描いています。人々が秘密めいた恐怖を感じている様子が伝わり、当時の緊張感が想像できます。ここでは「inquisition」が、権力による厳しい取り調べや裁判を指す名詞として使われています。
My mother launched a full inquisition about my late-night arrival.
私が夜遅く帰ってくると、母は徹底的な尋問を始めた。
※ ここでは「inquisition」が、歴史的な異端審問のような「徹底的で厳しい尋問」という比喩的な意味で使われています。お母さんが、まるで裁判官のように問い詰めている光景が目に浮かびますね。「launch an inquisition about...」で「~について徹底的に尋問を始める」という自然な言い回しです。
The historical inquisition left a long shadow over European history.
その歴史的な異端審問は、ヨーロッパ史に長い影を落とした。
※ この例文は、「inquisition」が歴史的な出来事として、その後の時代に大きな影響を与えたことを示しています。「left a long shadow over...」は「~に長い影を落とした」「~に負の遺産を残した」という意味の慣用表現で、異端審問がもたらした暗い影響を簡潔に伝えています。過去の出来事が現在にどう影響するかを語る際によく使われる表現です。
詮索
他人のプライベートな事柄や秘密を、しつこく探り出そうとする行為。ネガティブなニュアンスが強く、好奇心や悪意に基づく詮索を意味します。
The inquisition about my new job felt a bit too personal.
新しい仕事についての詮索が、少し個人的すぎると感じた。
※ この例文は、誰かから自分の個人的なこと(ここでは新しい仕事のこと)を根掘り葉掘り聞かれ、不快に感じている状況を描写しています。「inquisition」は、このように「しつこい詮索」や「尋問のような質問」を指す際に使われます。「felt a bit too personal」は「少し個人的すぎると感じた」という気持ちを伝える自然な表現です。
During the meeting, the boss's inquisition made everyone tense.
会議中、上司の詮索(質問攻め)で皆が緊張した。
※ この例文は、会議のような公式な場で、上司が非常に厳しく質問攻めにして、その場の全員が緊張している様子を示しています。「inquisition」は、単なる質問ではなく、「徹底的な尋問」や「厳しい追及」というニュアンスを持つため、このような状況でよく使われます。「made everyone tense」は「みんなを緊張させた」という意味で、その場の雰囲気を伝えています。
She tried to avoid the inquisition about her future plans at the family gathering.
彼女は家族の集まりで、将来の計画についての詮索を避けようとした。
※ この例文は、家族の集まりで親戚などから自分の将来についてしつこく質問され、それを避けたいと思っている場面を描いています。「inquisition」は、このように「詮索されたくない」という気持ちを伴う状況で使われることがよくあります。「tried to avoid」は「〜を避けようとした」という意味で、彼女の行動と心情が伝わります。
コロケーション
厳格な取り調べ、徹底的な調査
※ この表現は、単に情報を集めるだけでなく、非常に詳細かつ厳密な方法で事実を明らかにしようとする調査を指します。ビジネスシーンでは、不正行為やコンプライアンス違反の疑いがある場合に、法律事務所や監査法人による内部調査で用いられることがあります。また、学術的な文脈では、研究の信頼性を確保するために、データや方法論が厳しく吟味される状況を指すこともあります。単なる 'strict investigation' よりも、より公式で、権威のあるニュアンスを含みます。
取り調べを受ける、尋問される
※ このフレーズは、個人が公式な調査や尋問の対象となる状況を表します。警察の捜査、議会での証言、企業の内部調査など、さまざまな場面で使用されます。重要なのは、単に質問されるだけでなく、権威を持つ機関や人物からの公式な尋問であるという点です。例えば、'He was subjected to inquisition by the ethics committee' (彼は倫理委員会から尋問を受けた) のように使われます。 'interviewed' よりも、より強制的なニュアンスがあります。
尋問を受ける、厳しい調査を受ける
※ 'subject to inquisition' とほぼ同義ですが、こちらはより受動的な立場を強調します。自らが進んで調査に協力するというよりは、否応なく調査を受けざるを得ない状況を表すことが多いです。例えば、'The whistleblower had to undergo an inquisition to verify the claims.' (内部告発者は、主張を検証するために尋問を受けなければならなかった。) 'face an investigation' と似ていますが、より個人的な圧力がかかるニュアンスを含みます。
政治的な迫害、政敵への弾圧
※ 歴史的な異端審問(Inquisition)を比喩的に用い、政治的な目的で個人やグループを攻撃または迫害する行為を指します。多くの場合、反対意見を封じ込めたり、権力を維持したりするために行われます。この表現は、批判的な視点を含んでおり、公正さや正当性が欠けている状況を示唆します。例えば、'Critics described the investigation as a political inquisition designed to silence dissent.' (批評家たちは、その調査を反対意見を封じ込めるための政治的な迫害だと評した。) 'witch hunt' (魔女狩り) と似た意味合いを持ちますが、より組織的で公式な手続きを伴うニュアンスがあります。
メディアによる過剰な詮索、メディアスクラム
※ メディアが特定の個人や事件に対して、過度な報道や詮索を行う状況を指します。プライバシーの侵害や名誉毀損につながる可能性があり、批判的な意味合いで使用されます。例えば、'The celebrity faced a media inquisition following the scandal.' (その有名人はスキャンダルの後、メディアによる過剰な詮索に直面した。) 'media frenzy' (メディアの狂騒) と似ていますが、より攻撃的で執拗なニュアンスを含みます。
スペイン異端審問
※ 歴史的な出来事を指す固有名詞ですが、比喩的に「予想外の質問や事態」を指すことがあります。これは、イギリスのコメディグループ「モンティ・パイソン」のスケッチで、スペイン異端審問官が突然現れて人々を尋問するというシーンが有名になったことに由来します。日常会話で冗談めかして使われることが多く、'Nobody expects the Spanish Inquisition!' (誰もスペイン異端審問を予期しない!) というフレーズは決まり文句となっています。
異端審問を開始する、徹底的な調査を開始する
※ 公式な調査や尋問を開始することを意味します。特に、権力を持った機関や人物が、不正行為や違反行為の疑いがある場合に、徹底的な調査を行う際に使用されます。たとえば、企業が内部不正の疑いに対して調査を開始する場合などに用いられます。'initiate an investigation' と似ていますが、より公式で、厳格なニュアンスが含まれます。
使用シーン
歴史学、宗教学、法学などの分野で、異端審問や歴史的な調査について議論する際に使われます。例えば、「中世における異端審問の歴史的影響」といった研究論文や、関連する講義で用いられることがあります。また、心理学や社会学の研究において、徹底的な調査や分析を指す比喩表現として使われることもあります。
企業の内部調査やコンプライアンス関連の文書で、徹底的な調査や追求を意味する文脈で使われることがあります。ただし、強い批判的なニュアンスを含む可能性があるため、使用には注意が必要です。例えば、「不正行為に関する徹底的な調査」といった報告書などで見られることがあります。日常的なビジネスシーンでの会話では、より穏やかな表現が好まれます。
日常会話で「inquisition」という単語が使われることは稀ですが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、政府や組織による徹底的な調査や詮索を指す場合に用いられることがあります。例えば、「メディアによる徹底的な詮索」といった文脈で使われることがあります。ただし、一般的には、より平易な表現(例えば、investigationやquestioning)が使われることが多いです。
関連語
類義語
事実を明らかにするための体系的な調査。警察、政府機関、企業などが公式に行うことが多い。ビジネス、法律、ジャーナリズムなど幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】"inquisition"よりも中立的で客観的なニュアンスが強い。感情的な要素や先入観を排除し、証拠や情報に基づいて真実を追求する姿勢を示す。調査対象は人だけでなく、事件、事故、不正行為なども含まれる。 【混同しやすい点】"inquisition"が尋問や厳しい追及を含むのに対し、"investigation"はより広範な調査活動を指す。また、"investigation"は通常、公式な権限を持つ機関によって行われる。
情報を得るための尋問。警察が容疑者に行う取り調べや、面接などが該当する。フォーマルな場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"inquisition"と同様に、尋問や質問を通じて情報を引き出す意味合いを持つが、より直接的で具体的な状況を指すことが多い。尋問者は特定の情報を求めており、相手に質問を投げかける。 【混同しやすい点】"inquisition"が広範な調査や審問を指すのに対し、"interrogation"は特定の人物に対する尋問に限定される。また、"interrogation"はしばしば、容疑者や証人など、特定の立場の人に対して行われる。
徹底的に調べる、探るという意味。問題点や隠された事実を明らかにするために、詳細な調査や質問を行う。科学、医学、ジャーナリズムなどで使われる。 【ニュアンスの違い】"inquisition"よりも探求的な意味合いが強く、表面的な情報だけでなく、深層にある原因や背景を探ることを重視する。また、"probe"は物理的な探査(宇宙探査など)の意味も持つ。 【混同しやすい点】"inquisition"が権威的な調査を指す場合があるのに対し、"probe"は必ずしも権威を伴わない。個人や組織が自主的に行う調査にも使用される。また、"probe"は他動詞として使われることが多い。
詳細な検査や調査。医療、科学、教育など幅広い分野で使用される。医学的な診察、学術的な研究、試験などが該当する。 【ニュアンスの違い】"inquisition"よりも客観的で中立的なニュアンスが強い。感情的な要素や先入観を排除し、事実に基づいて評価や判断を行う。対象は人だけでなく、物、現象、概念なども含まれる。 【混同しやすい点】"inquisition"が尋問や追及を含むのに対し、"examination"はより客観的な評価や分析を目的とする。また、"examination"は試験という意味も持つため、文脈によって意味を判断する必要がある。
公聴会や審問会など、関係者を集めて意見を聞く場。法律、政治、行政などで使用される。証拠を提示したり、証言を聞いたりする機会。 【ニュアンスの違い】"inquisition"よりも公式な手続きであり、公正な判断を下すために証拠や証言を慎重に検討する。関係者の意見を聞き、議論を行うことで、客観的な結論を目指す。 【混同しやすい点】"inquisition"が秘密裏に行われる場合があるのに対し、"hearing"は公開されることが多い。また、"hearing"は聴覚という意味も持つため、文脈によって意味を判断する必要がある。
裁判。法廷で証拠を提示し、証人を尋問し、被告の有罪・無罪を判断する手続き。法律分野で用いられる。 【ニュアンスの違い】"inquisition"よりも法的な手続きに特化しており、被告の権利を保障しながら公正な裁判を行う。証拠、証言、法律に基づいて判断を下す。 【混同しやすい点】"inquisition"が必ずしも法的な手続きを伴わないのに対し、"trial"は法廷で行われる正式な裁判を指す。また、"trial"は試みという意味も持つため、文脈によって意味を判断する必要がある。
派生語
『探求好きな』『詮索好きな』という意味の形容詞。『inquire(質問する、調査する)』の語幹に、性質を表す接尾辞『-itive』が付いた形。好奇心が強い性格や、詳細を追求する態度を表す。日常会話から学術的な文脈まで幅広く使われる。
『調査』『質問』を意味する名詞。『inquire』から派生し、抽象的な概念を表す。ビジネスや学術論文で、公式な調査や問い合わせを指すことが多い。例えば、『顧客からの問い合わせ』や『市場調査』といった文脈で使用される。
『質問する』『調査する』という意味の動詞。『in-(中に)』+『quaerere(探す、求める)』が語源。丁寧な質問や、公式な調査を行うニュアンスを含む。日常会話だけでなく、ビジネスシーンや報道など、幅広い場面で使用される。
反意語
- acquiescence
『黙認』『同意』を意味する名詞。『inquisition(探求、尋問)』が積極的に真実を追求するのに対し、『acquiescence』は反対に、抵抗せずに受け入れる態度を指す。ビジネスや政治の文脈で、反対意見を表明せずに受け入れる状況を表す際に用いられる。
『無知』『知らないこと』を意味する名詞。『inquisition』が知識を積極的に求めるのに対し、『ignorance』は知識の欠如を表す。日常会話から学術的な議論まで、幅広い文脈で使用され、知識や情報に対する積極的な探求の欠如を示す。
語源
"Inquisition"は、ラテン語の"inquisitio"(調査、探求)に由来します。これは"inquirere"(徹底的に調べる、尋ねる)という動詞から派生しており、"in-"(中に、~へ)と"quaerere"(尋ねる、探す)が組み合わさったものです。つまり、文字通りには「中に向かって探す」という意味合いを持ちます。この単語が中世の異端審問を指すようになったのは、教会が異端者を徹底的に調査し、尋問したことに起因します。現代では、異端審問のような宗教的な意味合いに加えて、単に「徹底的な調査」や「詮索」といった意味でも用いられます。日本語で例えるなら、「内偵」や「吟味」といった言葉が近いニュアンスを持つでしょう。
暗記法
「Inquisition(異端審問)」は、中世ヨーロッパの宗教裁判を指す言葉ですが、単なる裁判ではありません。権力による思想統制、個人の自由の抑圧という暗い歴史を背負っています。ガリレオ裁判のように、科学と宗教の対立も象徴します。現代では、言論統制や人権侵害を批判する言葉として使われ、集団心理における同調圧力にも警鐘を鳴らします。文学や映画にも影響を与え、権力の危険性を私たちに問いかけるのです。
混同しやすい単語
『inquisition』とスペルが似ており、特に 'in-' で始まる点や 'q' が含まれる点から混同しやすい。意味は『問い合わせ』や『調査』であり、『inquisition』のような宗教的、政治的な意味合いは薄い。イギリス英語では 'enquiry'、アメリカ英語では 'inquiry' と綴られることが多い点も注意。
『inquisition』と語尾の '-sition' の部分が共通しており、スペルミスをしやすい。意味は『獲得』や『買収』であり、企業の合併や知的財産の取得など、ビジネスの文脈でよく使われる。接頭辞 'ac-' (ad- が変化) が『〜へ』という意味を持つことを知っておくと、意味の区別がつきやすい。
『inquisition』と語尾の '-ition' の部分が似ており、発音も一部共通するため混同しやすい。意味は『点火』や『発火』であり、自動車のエンジンやロケットの打ち上げなど、物理的な現象を指すことが多い。ラテン語の 'ignis' (火) に由来することを知っておくと、意味とスペルを結びつけやすい。
語尾の '-ition' が共通しているため、スペルが似ていると感じやすい。意味は『定義』であり、言葉や概念の意味を明確に説明すること。フォーマルな文脈でよく使われる。接頭辞 'de-' は『〜から離れて』という意味合いがあり、定義が対象を明確に区別することを示すと理解すると覚えやすい。
『inquisition』と語尾の '-ition' が共通しており、スペルミスをしやすい。意味は『状態』や『条件』であり、物理的な状態、健康状態、契約条件など、幅広い文脈で使われる。ラテン語の 'condicio' (合意、条件) に由来することを理解すると、意味の広がりを把握しやすい。
語尾の '-ition' が共通しているため、スペルが似ていると感じやすい。意味は『直感』であり、論理的な推論なしに直接的に理解すること。心理学や哲学の文脈でよく使われる。ラテン語の 'intueri' (見つめる、観察する) に由来し、内面を見つめることで得られる感覚と考えると、意味をイメージしやすい。
誤用例
『Inquisition』は、歴史的には宗教的な異端審問を指し、現代では過度に厳しく、時に不当な尋問や調査を意味します。単なる事実確認のための調査には不適切であり、尋問のニュアンスが強すぎます。多くの日本人学習者は、単に『徹底的な調査』という意味で捉えがちですが、英語ネイティブは中世の宗教裁判を連想し、強い不快感や権威主義的な印象を受けます。日本語の『徹底的な調査』という言葉に引きずられ、安易に『inquisition』を使ってしまうのは誤りです。より中立的な『investigation』を使うべきです。
ここでの『inquisition』は『詮索』という意味で使おうとしていますが、やはりニュアンスが強すぎます。『inquisition』は、相手を追い詰めるような、あるいは断罪するような強いニュアンスを含みます。単に過去について詳しく知りたいという場合や、詮索好きな態度を表現したい場合は、『probing questions』や『inquisitive questioning』といった表現が適切です。日本人が『詮索』という言葉から受ける印象よりも、『inquisition』が持つ意味合いは遥かに深刻です。日本語の『詮索』を安易に英訳しようとすると、語感のずれが生じやすい典型的な例です。
『inquisition』を『質問』という意味で使うのは不適切です。たとえ『friendly』という形容詞を添えても、この単語が持つ尋問的なニュアンスは払拭できません。初対面の人に対して使うと、相手は尋問されているような不快感を覚えるでしょう。親睦を深めるための質問であれば、『asking a few questions』や『getting to know you questions』といった表現が適切です。日本語の『質問攻め』のようなニュアンスで使いたい場合でも、『barrage of questions』など、別の表現を検討すべきです。また、文化的な背景として、欧米では相手のプライバシーに深く立ち入るような質問は避ける傾向があり、『inquisition』という言葉が持つ強引なイメージは、そうした価値観に反します。
文化的背景
「Inquisition(異端審問)」という言葉は、中世から近世にかけてのヨーロッパにおいて、宗教的権威が異端と見なした思想や行動を弾圧した歴史を象徴します。単なる宗教裁判という事実を超え、権力による思想統制、恐怖政治、そして個人の自由の抑圧を想起させる、重く暗い影を落とす言葉です。
異端審問は、12世紀に始まり、特にスペイン異端審問(1478年 - 1834年)がその残虐性で知られています。告発、拷問、そして火刑といった手段を通じて、異端とされた人々は容赦なく処罰されました。この時代、科学者ガリレオ・ガリレイが地動説を唱えたことで異端審問にかけられたことは、科学と宗教の対立を象徴する出来事として広く知られています。異端審問は単に宗教的な問題を裁く場ではなく、政治的な権力闘争の道具としても利用され、王侯貴族の権力基盤を強化する役割も果たしました。
「Inquisition」という言葉は、現代においても、権力による思想統制や人権侵害を批判する際に用いられます。例えば、政治的な弾圧や言論統制が行われている状況を「現代の異端審問」と表現することで、その行為の不正さや危険性を強調することができます。また、集団における同調圧力や、異質な意見を排除しようとする動きを批判する際にも、この言葉が用いられることがあります。
文学や映画の世界でも、「inquisition」は権力による抑圧や、人間の精神に対する残酷な試練を象徴するモチーフとしてしばしば登場します。ジョージ・オーウェルの小説『1984年』における思想警察の活動や、アーサー・ミラーの戯曲『るつぼ』における魔女狩りの描写などは、異端審問のイメージを想起させ、読者や観客に権力の危険性や個人の尊厳について深く考えさせる力を持っています。このように、「inquisition」は、歴史的な出来事にとどまらず、現代社会における様々な問題に対する警鐘として、その意味を深く刻み込んでいるのです。
試験傾向
この単語は英検では出題頻度は低めです。ただし、準1級以上の長文読解で、歴史や社会問題に関連するテーマで稀に出題される可能性があります。出題形式としては、文脈から意味を推測させる問題や、同意語・類義語を選ぶ形式が考えられます。注意点としては、単語の持つネガティブなニュアンスを理解しておくことが重要です。
TOEICでは、この単語が直接問われる可能性は低いですが、ビジネス関連の倫理問題や歴史的な背景を扱った長文読解で、間接的に登場する可能性があります。出題形式としては、文脈理解を問う問題や、パラフレーズされた表現を選ぶ問題が考えられます。注意点としては、ビジネスシーンでの使用頻度は低いものの、関連知識として覚えておくと役立つ場合があります。
TOEFLのアカデミックな読解文では、歴史、政治、社会学などの分野で出題される可能性があります。特に、過去の歴史的な出来事や、社会的な不正を告発するような文脈で使われることが多いです。出題形式としては、文脈から意味を推測させる問題や、文章全体の趣旨を把握する問題が考えられます。注意点としては、単語の持つ強い批判的な意味合いを理解し、文脈に合わせて適切に解釈することが重要です。
大学受験では、難関大学の長文読解で、歴史や社会問題を扱った文章で出題される可能性があります。出題形式としては、文脈から意味を推測させる問題や、文章全体のテーマを把握する問題が考えられます。また、記述問題で、この単語の意味を説明させる問題が出題される可能性もあります。注意点としては、単語の持つ歴史的背景と、現代社会における意味合いの両方を理解しておくことが重要です。