in the face of 〜
'in' の /ɪ/ は日本語の「イ」よりもやや曖昧で、口を軽く開いて発音します。 'the' の /ð/ は有声歯摩擦音で、舌先を上下の前歯で軽く挟んで息を出す音です。'of' の /ʌv/ は、/ʌ/ が日本語の「ア」と「オ」の中間のような音で、短く発音します。文脈によっては、'of' が弱形 /əv/ (アヴ)になることもあります。
〜にもかかわらず
困難や反対、脅威に直面しても、何かを成し遂げようとする状況で使われる。勇敢さや決意を示すニュアンスを含む。
The soccer team kept playing hard in the face of the sudden heavy rain.
サッカーチームは、突然の激しい雨にもかかわらず、一生懸命プレーし続けました。
※ 土砂降りの雨が降り注ぐ中、泥だらけになりながらもボールを追いかける選手の姿を想像してみてください。「in the face of」は、このように「目の前にある困難な状況(ここでは激しい雨)に直面しているにもかかわらず」何かを続ける、というニュアンスでよく使われます。
She bravely gave her presentation in the face of her stage fright.
彼女は、人前で話すことへの恐怖にもかかわらず、勇敢にプレゼンテーションをしました。
※ 心臓がドキドキし、手が震える中で、マイクを握り、懸命に話す彼女の姿が目に浮かびますね。この表現は、「恐れ」や「不安」といった感情的な困難に直面しながらも行動を起こす、という場面でとても自然です。「stage fright」は「あがり症」や「舞台恐怖症」のことです。
The small shop owner worked hard in the face of tough economic times.
その小さな店の店主は、厳しい経済状況にもかかわらず、一生懸命働きました。
※ 客足が遠のき、家賃の支払いも厳しい中、店の明かりを灯し続け、笑顔で客を迎える店主の姿を想像してみましょう。経済的な「逆境」や「厳しい状況」など、具体的な問題に直面している状況を表す際にも「in the face of」はよく使われます。諦めずに努力する様子が伝わりますね。
〜をものともせず
障害や困難を乗り越えて、目的を達成する様子を表す。困難を軽視するニュアンスを含む。
She never gave up her dream in the face of many failures.
彼女は多くの失敗をものともせず、夢を諦めなかった。
※ 夢を追いかける人が、何度も失敗しても決して諦めない、という強い意志が伝わる場面です。目の前にある『失敗』という困難を乗り越えて、目標に向かって進む様子を表しています。
The rescue team went to help people in the face of the strong storm.
救助隊は強い嵐をものともせず、人々を助けに向かった。
※ 激しい嵐という『危険な状況』が目の前にあるにもかかわらず、人々を救うために勇敢に行動する救助隊の姿を描いています。自然の脅威に立ち向かう、感動的なシーンです。
He kept his honest opinion in the face of strong criticism.
彼は強い批判をものともせず、正直な意見を貫いた。
※ 周りからの激しい『批判』という逆風にさらされながらも、自分の正直な考えや信念を曲げずに持ち続けた、という状況です。自分の意見をしっかり持つ強さが伝わります。
〜に直面して
問題や困難な状況に直面している状態を表す。困難な状況を強調するニュアンスを持つ。
The captain bravely steered the ship in the face of a strong storm.
船長は強い嵐に直面しながらも、勇敢に船を操縦した。
※ 嵐という非常に厳しい状況でも、船長が勇気を持って船を操る様子が目に浮かびます。「in the face of」は、このように「困難な状況に立ち向かう」場面でよく使われる典型的な表現です。
She kept her smile in the face of rude comments.
彼女は失礼なコメントに直面しても、笑顔を保ち続けた。
※ 誰かにひどいことを言われても、動じずに笑顔でいる女性の姿が想像できます。ここでは「rude comments(失礼なコメント)」という、精神的な困難や批判に直面している状況を表しています。
We must make a plan in the face of these difficult facts.
私たちはこれらの困難な事実に直面して、計画を立てなければならない。
※ 厳しい現実や受け入れがたい事実を前にして、真剣にどう行動すべきか考える場面です。この表現は、ビジネスや議論など、客観的な状況で「〜という事実を前に」と使われることも多いです。
コロケーション
逆境に直面して、困難な状況にも関わらず
※ 「adversity」は、困難、逆境、不運といった意味を持つ名詞です。このコロケーションは、困難な状況にも屈せず、勇敢に立ち向かう様子を表します。ビジネスシーンや文学作品でよく見られ、人を鼓舞するような文脈で使用されることが多いです。例えば、「In the face of adversity, he never lost hope.(逆境に直面しても、彼は決して希望を失わなかった)」のように使います。類語としては、'in the teeth of' がありますが、より困難な状況を強調するニュアンスがあります。
圧倒的な証拠に直面して、明白な証拠があるにも関わらず
※ 「overwhelming evidence」は、反論の余地がないほど明白な証拠を指します。法廷や調査報道などでよく使われる表現で、証拠が非常に強力であることを強調します。例えば、「In the face of overwhelming evidence, the defendant confessed.(圧倒的な証拠に直面して、被告は自白した)」のように使われます。この表現は、証拠の強さを強調する際に効果的です。
世論の反対に直面して、大衆の反対があるにも関わらず
※ 「public opposition」は、世論の反対、大衆の反対といった意味です。政治的な決定や社会的な問題に対して、多くの人々が反対意見を持っている状況を表します。例えば、「In the face of public opposition, the government withdrew the plan.(世論の反対に直面して、政府はその計画を撤回した)」のように使われます。この表現は、社会的な影響力を示す際に重要です。
危険に直面して、危険な状況にも関わらず
※ 「danger」は危険を意味する一般的な名詞ですが、「in the face of danger」とすることで、差し迫った危険に勇敢に立ち向かうニュアンスが加わります。災害現場や戦場など、命の危険がある状況でよく用いられます。「In the face of danger, the firefighters rushed into the burning building. (危険に直面して、消防士たちは燃える建物に突入した)」のように使われます。英雄的な行動を語る際に適した表現です。
死に直面して、死が迫る状況にあっても
※ 「death」は死を意味する名詞で、「in the face of death」は、文字通り死が目前に迫った状況を表します。この表現は、極限状態における人間の精神力や勇気を強調する際に用いられます。文学作品や歴史的な出来事を語る際に多く見られ、「In the face of death, he showed no fear. (死に直面しても、彼は全く恐怖を示さなかった)」のように使われます。より日常的な表現としては、'facing death' がありますが、'in the face of death' はよりドラマチックな響きを持ちます。
現実に直面して、現実を直視して
※ 「reality」は現実を意味する名詞で、「in the face of reality」は、理想や願望ではなく、厳しい現実を直視することを意味します。この表現は、夢や希望を抱いていた人が、現実の厳しさに気づき、受け入れざるを得ない状況を表す際に用いられます。「In the face of reality, she had to abandon her dreams of becoming an actress. (現実に直面して、彼女は女優になるという夢を諦めざるを得なかった)」のように使われます。自己啓発やビジネスの文脈でも使われ、現実的な視点を持つことの重要性を強調する際に用いられます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、困難や反論に直面しながらも主張や研究結果を示す際に用いられます。例えば、「先行研究の矛盾に直面しながらも、新たな仮説を提唱した」というように、研究の文脈における困難を強調する際に使われます。文語的な表現であり、客観性と論理性が求められる場面でよく見られます。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、困難な状況にもかかわらず目標を達成した事例を紹介する際に使用されることがあります。例えば、「市場の厳しい状況にもかかわらず、売上目標を達成した」というように、成果を強調する場面で使われます。フォーマルな文脈で用いられ、企業の報告書や経営戦略の説明などで見かけることがあります。
日常会話ではあまり使用されませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、困難な状況に立ち向かう人々の物語を伝える際に使われることがあります。例えば、「経済的な困難に直面しながらも、夢を追い続ける若者」というように、逆境に立ち向かう姿を描写する際に用いられます。やや硬い表現であり、感動的なストーリーを語る際に適しています。
関連語
類義語
〜にもかかわらず、という意味で、障害や困難な状況が存在するにもかかわらず、ある事柄が起こることを示す。フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使用可能。 【ニュアンスの違い】"in the face of 〜" と同様に、困難な状況を認めた上で、それに屈しない姿勢を示すが、より直接的で簡潔な表現。感情的な強さは "in the face of 〜" よりも低い。 【混同しやすい点】"despite" は前置詞であり、後に名詞句または動名詞が続く。"despite the rain" や "despite feeling tired" のように使用される。"in spite of" とほぼ同義だが、"in spite of" の方がやや口語的。
〜にもかかわらず、という意味で、法律、契約書、またはその他のフォーマルな文書でよく使用される。非常にフォーマルな表現。 【ニュアンスの違い】"in the face of 〜" と同様に、困難な状況を認めた上で、それに影響されないことを示すが、より形式的で法律的な文脈で使用されることが多い。日常会話ではほとんど使用されない。 【混同しやすい点】"notwithstanding" は前置詞、副詞、または接続詞として使用できる。前置詞として使用する場合は、後に名詞句が続く。"Notwithstanding the foregoing, the agreement remains in effect." のように使用される。
- regardless of
〜に関わらず、〜を問わず、という意味で、何かが起こるかどうかがある条件に左右されないことを示す。中立的なトーンで、フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使用可能。 【ニュアンスの違い】"in the face of 〜" と異なり、困難な状況に立ち向かうというニュアンスは薄い。単に条件や状況が問題にならないことを示す。 【混同しやすい点】"regardless of" は常に前置詞句として使用され、後に名詞句が続く。"regardless of the weather" や "regardless of the cost" のように使用される。 "irrespective of" とほぼ同義だが、"irrespective of" の方がよりフォーマル。
〜にもかかわらず、という意味で、障害や困難な状況が存在するにもかかわらず、ある事柄が起こることを示す。フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使用可能。 【ニュアンスの違い】"in the face of 〜" と同様に、困難な状況を認めた上で、それに屈しない姿勢を示すが、より直接的で簡潔な表現。感情的な強さは "in the face of 〜" よりも低い。 【混同しやすい点】"in spite of" は前置詞句であり、後に名詞句または動名詞が続く。"in spite of the rain" や "in spite of feeling tired" のように使用される。"despite" とほぼ同義だが、"in spite of" の方がやや口語的。
〜に反対して、〜を背景に、〜に逆らって、という意味を持つ前置詞。物理的な反対、意見の対立、法律違反など、幅広い状況で使用される。 【ニュアンスの違い】"in the face of 〜" が困難や障害に直面するというニュアンスであるのに対し、"against" は対立や抵抗のニュアンスが強い。また、"in the face of 〜" は困難を乗り越えようとする意志を示すことが多いが、"against" は必ずしもそうではない。 【混同しやすい点】"against" は非常に一般的な前置詞であり、様々な意味で使用されるため、文脈によって意味を判断する必要がある。"in the face of 〜" と比較すると、より直接的で具体的な対立や抵抗を表すことが多い。
- despite the fact that
〜という事実にもかかわらず、という意味で、ある事実が真実であるにもかかわらず、それとは異なる結果や状況が生じることを示す。フォーマルな場面でよく使用される。 【ニュアンスの違い】"in the face of 〜" と同様に、困難な状況を認めた上で、それに屈しない姿勢を示すが、より具体的な事実を強調する。感情的な強さは "in the face of 〜" よりも低い。 【混同しやすい点】"despite the fact that" は接続詞句であり、後に完全な文が続く。"Despite the fact that it was raining, we went for a walk." のように使用される。 "in spite of the fact that" とほぼ同義。
派生語
- efface
『(表面から)消す、抹消する』という意味の動詞。接頭辞『ef-(外へ)』と『face(表面)』が組み合わさり、『表面から取り除く』という語源的な意味合いを持つ。主に記録や記憶から消去する際に用いられ、ややフォーマルな文脈で使用される。
名詞としては『表面』、動詞としては『表面化する』という意味。『face』が対象の表面を指すのに対し、『surface』はより一般的な意味での表面を指す。日常会話から学術論文まで幅広く使われる。
『顔の、顔面の』という意味の形容詞。『face』から派生し、顔に関する特徴や外観を表す。美容や医療の分野でよく用いられる。
反意語
『〜の背後で、〜に隠れて』という意味の前置詞・副詞。『in the face of』が困難や障害に立ち向かう様子を表すのに対し、『behind』は文字通り背後に隠れる、または比喩的に困難から逃避する状況を示す。例えば、『in the face of criticism(批判に直面して)』に対して『behind the scenes(舞台裏で、隠れて)』のように対比される。
『避ける、回避する』という意味の動詞。『in the face of』が困難に直面するのに対し、『avoid』は積極的に困難を避ける行為を表す。日常会話やビジネスシーンで頻繁に使われる。例えば、『avoid conflict(対立を避ける)』のように使われる。
語源
"In the face of"は、直訳すると「〜の顔の中で」となりますが、これは比喩的な表現です。ここで重要なのは、"face"が「表面」「外観」だけでなく、「(困難や問題の)出現」という意味も持つことです。つまり、「困難な状況が目の前に現れたとき」というニュアンスが含まれます。このフレーズは、困難や障害が文字通り目の前に立ちはだかっている状況をイメージさせ、それにも屈せず、勇敢に立ち向かう様子を表します。日本語で例えるなら、「逆風の中」「難局をものともせず」といった表現が近いでしょう。困難を「顔」として捉え、それに立ち向かうイメージを持つことで、このフレーズの意味をより深く理解できるはずです。
暗記法
「in the face of 〜」は、困難が目前に迫る状況で、臆せず立ち向かう精神や、避けがたい現実を受け入れる覚悟を表します。困難を擬人化し、その厳しい表情に勇敢に対峙するイメージです。戦時下、兵士が敵の猛攻に屈しない姿を描き士気を高め、災害後、人々が希望を捨てずに立ち上がる姿で連帯感を強めました。文学では、主人公が運命に抗い信念を貫く姿を象徴します。現代では、地球温暖化などのグローバルな課題に直面する人々の姿を表現します。
混同しやすい単語
『in the face of』と『in spite of』は、どちらも逆説的な状況を表すため、意味が混同されやすいです。『in the face of』は困難や障害に直面しても、という意味合いが強い一方、『in spite of』は〜にもかかわらず、という意味で、困難の度合いは必ずしも高くありません。また、文法的な違いとして、『in the face of』の後は具体的な困難や問題が来ることが多いですが、『in spite of』の後は名詞または動名詞が来ます。注意点として、文脈からどちらのニュアンスが適切かを判断することが重要です。
『face』という単語が含まれているため、表面的・外見的な意味合いで混同されることがあります。『in the face of』は困難に立ち向かう状況を指しますが、『surface』は文字通り表面や外観を意味します。品詞も異なり、『face』は名詞ですが、『surface』は名詞としても動詞としても使われます。注意点として、文脈における意味の違いを意識し、安易に『表面』という意味で捉えないようにしましょう。
『face』と『phrase』は、どちらもスペルの一部が似ており、特に母音字の並びが混乱を招きやすいです。また、どちらも文法用語として使われることがあり、学習初期には混同しやすい可能性があります。『in the face of』は前置詞句ですが、『phrase』は名詞で『句』という意味です。注意点として、発音の違い(face: /feɪs/, phrase: /freɪz/)を意識し、スペルだけでなく音でも区別できるようにしましょう。
『office』は、語尾の 'ice' と 'face' の 'ace' の部分が似ているため、スペルミスを起こしやすいです。また、『office』は仕事をする場所を指し、『in the face of』とは意味的な関連性もありません。注意点として、単語全体を視覚的に捉え、部分的な類似性に惑わされないようにしましょう。語源的には、『office』はラテン語の『officium』(義務、職務)に由来し、『face』とは全く異なるルーツを持ちます。
『evidence』は『face』と直接的な類似性はありませんが、『in the face of evidence』のように、特定の単語と組み合わさって使われる場合に、意味の取り違えが起こる可能性があります。『in the face of』は困難な状況下でも、という意味合いですが、『in the face of evidence』は証拠に直面しても、という意味になります。注意点として、前後の文脈を考慮し、句全体の意味を正確に理解することが重要です。
'defiance'は、名詞であり、意味は「反抗、挑戦」です。 'in the face of' は困難な状況に直面していることを意味しますが、'defiance'はその困難に反抗する態度を指します。したがって、 'in the face of adversity, he showed defiance' (逆境に直面しても、彼は反抗の態度を示した)のように組み合わせて使われることがあります。スペルの一部が似ており、意味も関連性があるため、文脈によっては混同しやすい場合があります。注意点として、品詞の違いを意識し、文の構造を正しく理解することが重要です。
誤用例
日本語の『〜にも関わらず』というニュアンスから直訳的に『in the face of 〜』を使うと、状況との対比が弱く、不自然になることがあります。このフレーズは、困難な状況に『直面して』、それを『ものともせずに』という強い抵抗や対峙のニュアンスを含みます。単に状況を説明するのではなく、強い意志や行動を伴う文脈で使うのが適切です。たとえば、経済危機に『屈せず』楽観的であった、というような意味合いを強調したい場合に適しています。日本人が好む、困難な状況でも慎ましく耐える、というイメージとは少し異なる点に注意が必要です。
『in the face of 〜』は、拒絶のような個人的な出来事に対して使うと、大げさで不自然に聞こえる場合があります。この表現は、より大規模な問題や公的な問題、例えば『国民の反対を押し切って』などの状況に適しています。個人的な感情や出来事に対しては、『despite』や『in spite of』を使う方が適切です。日本人は、感情的な出来事を控えめに表現する傾向がありますが、『in the face of』は、より強い抵抗や対立を意味するため、感情的な文脈では過剰な表現になる可能性があります。日本語の『〜にも関わらず』という表現を安易に当てはめると、英語のニュアンスを誤解する典型的な例です。
『In the face of』は文語的でやや硬い表現であり、ビジネスシーンでは適切ですが、日常会話やよりカジュアルな場面では避けるべきです。また、この例文では、文頭に『in the face of』を置くことで、文全体が少し重く、回りくどい印象を与えます。より自然な英語では、分詞構文を用いて『Faced with』のように簡潔に表現する方が一般的です。日本人は、丁寧な表現を好むあまり、不必要に硬い表現を選んでしまう傾向がありますが、英語では簡潔さが重視されることを意識する必要があります。また、日本語の『〜に直面して』という表現に引っ張られ、不自然な英語表現を選んでしまう典型的なパターンです。
文化的背景
「in the face of 〜」は、困難や逆境が目の前に立ちはだかる状況で、それでも勇敢に立ち向かう精神、あるいは避けられない現実を受け入れる覚悟を表す言葉です。文字通り「〜の顔の前で」という意味から派生し、困難を擬人化して、その厳しい表情に臆することなく対峙するイメージが込められています。この表現は、個人の勇気や決意だけでなく、社会全体が危機に直面した際の団結や不屈の精神を称える文脈でも用いられます。
歴史的に見ると、「in the face of 〜」は、戦争や災害など、人々が共通の脅威に直面した時代に頻繁に用いられてきました。例えば、戦時中のスピーチやプロパガンダにおいて、兵士や国民が「敵の猛攻に屈することなく(in the face of enemy fire)」勇敢に戦う姿を描写することで、士気を高め、団結を促す効果がありました。また、自然災害後の復興活動においても、「困難な状況にも関わらず(in the face of adversity)」希望を捨てずに立ち上がる人々の姿を強調することで、コミュニティ全体の連帯感を強める役割を果たしました。このように、「in the face of 〜」は、困難に立ち向かう個人の勇気と、社会全体の結束力を象徴する言葉として、歴史の中でその意味を深めてきたのです。
文学作品においても、「in the face of 〜」は、主人公の葛藤や成長を描写する上で重要な役割を果たします。例えば、主人公が運命や社会の不条理に直面し、絶望的な状況に追い込まれながらも、自身の信念を貫き通す姿を描写する際に、この表現が用いられます。また、愛や友情といった普遍的なテーマを扱う作品においても、「困難な状況にも関わらず(in the face of hardship)」互いを支え合い、絆を深めていく登場人物たちの姿を描写することで、読者に感動と希望を与える効果があります。シェイクスピアの悲劇や、ディストピア小説など、様々なジャンルの作品において、「in the face of 〜」は、人間の強さや弱さを浮き彫りにする表現として、広く用いられています。
現代社会においては、「in the face of 〜」は、より多様な文脈で使用されるようになっています。例えば、地球温暖化や貧困問題など、グローバルな課題に直面する現代社会において、「危機に直面しながらも(in the face of crisis)」解決策を模索し、行動を起こす人々の姿を描写する際に、この表現が用いられます。また、個人的な困難、例えば病気や失業などに直面した際に、希望を捨てずに前向きに生きる人々の姿を描写する際にも、この表現が用いられます。このように、「in the face of 〜」は、現代社会における様々な課題や困難に立ち向かう人々の姿を象徴する言葉として、その意味を広げ続けています。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、稀に語彙問題や英作文のトピックとしても出題される可能性があります。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題されることがあります。長文読解パートでの登場が多いです。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術など、やや硬めの話題で登場することが多いです。困難な状況や反対意見に直面する文脈で使われます。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「困難にもかかわらず」「〜に直面して」という意味を理解し、文脈に合わせて適切に解釈できるようにしましょう。似た表現である"despite"や"regardless of"との使い分けも意識しましょう。
- 出題形式: 主に長文読解(Part 7)で登場します。稀に短文穴埋め問題(Part 5)でも出題される可能性があります。
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的頻繁に見られます。ビジネス関連の文書で使われることが多いです。
- 文脈・例題の特徴: 業績不振、市場の変化、競争の激化など、ビジネスにおける困難な状況を表す文脈で使われます。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンにおける類似表現(e.g., "in spite of", "notwithstanding")とのニュアンスの違いを理解しておきましょう。文脈から意味を推測する練習も重要です。
- 出題形式: 主にリーディングセクションで出題されます。アカデミックな内容の長文で登場することが多いです。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出。特に学術的な文章でよく見られます。
- 文脈・例題の特徴: 研究の限界、理論の矛盾、証拠の不足など、学術的な議論における困難な状況を表す文脈で使われます。
- 学習者への注意点・アドバイス: 学術的な文脈での使用例を多く学習し、抽象的な概念や論理的な構造の中でどのように使われるかを理解しましょう。パラフレーズの練習も効果的です。
- 出題形式: 主に長文読解で出題されます。和訳問題や内容説明問題の対象となることもあります。
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題で頻出。標準的なレベルの大学でも出題される可能性があります。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、歴史、科学など、幅広い分野のテーマで登場します。困難な状況や逆境を乗り越える文脈で使われることが多いです。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈の中で正確に意味を把握し、和訳問題や内容説明問題で適切に表現できるように練習しましょう。過去問を解いて、実際の出題形式に慣れておくことが重要です。