go by
'go' の /oʊ/ は二重母音で、日本語の『オ』から『ウ』へスムーズに変化する音です。意識して口を大きく開け、最後に少しすぼめるように発音するとよりネイティブらしくなります。'by' の /aɪ/ も同様に二重母音で、『ア』から『イ』へ変化しますが、こちらは日本語の『アイ』よりも口を大きく開けて発音します。 'b' は有声破裂音なので、しっかりと息を破裂させるように意識しましょう。
(時間が)過ぎる
時間が経過していく様子を表す。単に時間が進むだけでなく、何かが過ぎ去っていく、あるいは変化していくニュアンスを含む。例文: 'As time goes by, things change.'(時が経つにつれて、物事は変わる)
When I play games with my friends, time just goes by so quickly.
友達とゲームをしていると、時間がただあっという間に過ぎていきます。
※ 友達と夢中でゲームをしている楽しい時間。あっという間に時間が過ぎて、気づいたらもう夜になっていた、という経験は誰にでもありますよね。「楽しい時間は早く過ぎる」という状況は、「go by」が使われる最も典型的な場面の一つです。主語はtimeやhoursなど時間の単位が来ます。「so quickly」や「so fast」と一緒によく使われます。
The long train ride was so boring, and the hours just wouldn't go by.
長い電車の旅はとても退屈で、時間がなかなか過ぎませんでした。
※ 窓の外を眺めても景色は変わらず、やることがなくて暇を持て余している電車の旅。時計を見ても時間が全然進んでいないように感じる、あのうんざりする気持ちを表現しています。退屈な時や何かを待っている時に「時間がなかなか過ぎない」という状況も、「go by」の非常によくある使い方です。「wouldn't go by」は「どうしても過ぎようとしない」という、話し手のイライラや焦りの気持ちを表しています。
I felt a little sad when the long summer vacation finally went by.
長い夏休みがついに過ぎ去ったとき、私は少し寂しく感じました。
※ 待ちに待った夏休みが終わり、明日から学校や仕事が始まる。楽しかった日々を思い出しながら、少し物悲しい気持ちでカレンダーを見ている場面です。特定の期間やイベントが「終わる」「過ぎ去る」という文脈でも「go by」は自然に使われます。楽しい時間が終わる寂しさを表すのにぴったりです。「finally」は「ついに」「とうとう」という意味で、ある出来事が終了したことを強調します。
(機会を)見送る
何かをあえて利用しない、または無視する意味合い。判断や選択の結果として、何かをスルーするニュアンスを含む。例文: 'I'll let that comment go by.'(そのコメントは見過ごすことにする)
He decided to go by the new job offer, feeling it wasn't the right time for a big change.
彼は新しい仕事のオファーを見送ることにしました。今は大きな変化の時ではないと感じたからです。
※ 転職のチャンスが目の前にあったけれど、迷った末に「今はやめておこう」と決断した場面です。夢やキャリアの選択において、チャンスを『見送る』という決断はよくあることですよね。ここでは、自分の気持ちを優先して見送った様子が伝わります。
I had to go by the invitation to the concert because I had a bad cold that day.
その日ひどい風邪をひいていたので、私はコンサートへの誘いを見送るしかありませんでした。
※ 楽しみにしていたイベントや友達からの誘いがあったけれど、体調不良などやむを得ない理由で「行けない」「参加できない」と諦める状況です。『had to go by』とすることで、「本当は行きたかったのに、仕方なく見送った」という残念な気持ちが伝わります。
She chose to go by the opportunity to study abroad, prioritizing her family's needs.
彼女は家族の必要性を優先し、海外留学の機会を見送ることを選びました。
※ これは、個人的な夢や大きなチャンスがあったにもかかわらず、別の理由(この場合は家族のため)を優先して、自らの意思でその機会を『見送る』選択をした場面です。『chose to go by』とすることで、彼女の決断とその背景にある強い思いが感じられます。
頼る
人や情報源を信用して判断や行動の基準とする。信頼できる情報に基づいて行動するというニュアンスを含む。例文: 'I had nothing to go by.'(頼れるものが何もなかった)
When I got lost, I went by the local man's directions.
道に迷ったとき、私は地元の人(男性)の指示に頼りました。
※ 知らない土地で道に迷い、不安な中で信頼できる情報源(地元の人)の言葉に「従って行動した」という状況です。「go by」は、何かを判断の基準にしたり、それに従って行動する際に使われます。この例文は、困った時に具体的な情報に「頼る」様子を描写しています。
She always goes by the recipe to make her favorite cookies.
彼女はいつも、大好きなクッキーを作るためにレシピに頼ります。
※ 料理をする人が、失敗しないように、あるいは美味しく作るために「レシピという指示書に従う」様子を表しています。この場合も、レシピを判断基準にして行動していることがわかります。特に、お気に入りのものを作るために、信頼できるものに頼る安心感が伝わります。
Don't just go by what he says; check the facts yourself.
彼が言うことだけに頼らないで、自分で事実を確認しなさい。
※ 誰かの言葉や意見を「鵜呑みにする」「そのまま信じる」という状況で使われます。この例文では、他人の言葉を安易に信じず、自分で確認する大切さを伝えています。日常会話で、注意を促す際によく使われる表現です。
コロケーション
規則や手順に厳格に従う
※ 「本に書いてある通りにする」という意味から、マニュアルや規則を忠実に守って行動することを指します。ビジネスシーンや公的な手続きなど、正確性や公平性が求められる場面でよく使われます。少し形式ばった印象を与えることもあります。類似表現に "play it by ear"(臨機応変に対応する)があり、対照的な意味合いを持ちます。
伝聞や噂に基づいて判断する
※ hearsay は「噂、伝聞」という意味で、go by と組み合わさることで、確かな証拠や裏付けのない情報をもとに判断や行動することを指します。法的な文脈では、証拠能力がない伝聞証拠を指すこともあります。ビジネスや日常生活において、不確かな情報源に頼ることの危険性を示唆する際に用いられます。 "rely on firsthand information"(直接得た情報に頼る)と対比して使用されることがあります。
何かを見過ごす、見逃す、大目に見る
※ このフレーズは、本来注意すべきことや指摘すべきことを、あえて無視したり、問題視しないことを意味します。人間関係においては、小さな過ちや欠点を許容するニュアンスが含まれます。ビジネスシーンでは、戦略的に見て見ぬふりをすることで、より大きな利益を得る判断を指すこともあります。 "turn a blind eye"(見て見ぬふりをする)と類似していますが、 "let something go by" はより広い意味合いで使用できます。
(計画などが)だめになる、放棄される
※ "board" はここでは「委員会」「会議」といった意味合いではなく、船の側面にある板(舷側)を指します。嵐などで積み荷が海に投げ込まれる様子から、計画やアイデアが放棄されることを比喩的に表します。ビジネスや政治の文脈で、特に努力が無駄になったり、状況が急変して計画が頓挫した場合に使われます。 "fall through"(計画が頓挫する)と似た意味ですが、 "go by the board" はより劇的なニュアンスを含みます。
時が経つにつれて
※ これは非常に一般的な表現で、時間の経過とともに状況や感情が変化していく様子を表します。映画『カサブランカ』の有名な曲のタイトルとしても知られています。日常会話から文学作品まで、幅広い場面で使用されます。"with the passage of time"(時の経過とともに)とほぼ同義ですが、より口語的で親しみやすい響きがあります。
初期設定のままにする、デフォルトに任せる
※ 「default」は「初期設定」や「規定値」を意味し、go by と組み合わさることで、特に何も変更せずに初期設定の状態で使用することを指します。IT関連の文脈でよく使用されますが、比喩的に、特に意識的な選択をせずに、最も一般的な方法や既存のルールに従うことを意味することもあります。"stick to the default settings"(初期設定を維持する)とほぼ同義です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、データや現象の傾向を説明する際に使われます。例えば、「過去のデータから、株価は特定のパターンにgo by(従う)傾向がある」のように、法則性や規則性を示す文脈で用いられます。また、歴史学においては、「年代記が示すように(go by the chronicles)」といった形で、情報源に依拠する意味合いで使われることもあります。
ビジネスシーンでは、提案書や報告書において、過去の事例や実績に「go by(基づく)」形で意思決定の根拠を示す際に使われることがあります。例:「過去の売上実績にgo by(基づいて)、来期の販売目標を設定する」のように、客観的なデータや事実を重視する文脈で用いられます。ただし、口語的な会話ではあまり使われません。
日常会話では、時間が「go by(過ぎる)」という意味で使われることがあります。例えば、「時間が経つのは早いね (Time goes by so fast!) 」のような表現です。また、人から聞いた話や噂を伝える際に、「〜という話だよ (goes by)」のように使われることもありますが、やや古風な印象を与える場合があります。
関連語
類義語
- elapse
時間や機会が『経過する』という意味で、フォーマルな場面や文章でよく使われます。自然な時間の流れや、ある期間が過ぎ去ることを強調します。 【ニュアンスの違い】"go by"よりも形式ばった表現で、日常会話ではあまり使いません。客観的な時間の経過を述べる際に適しており、感情的なニュアンスはほとんどありません。 【混同しやすい点】日常会話では"go by"の方が自然ですが、論文や報告書などフォーマルな文脈では"elapse"が好まれます。また、"elapse"は自動詞としてのみ使用されます。
時間、機会、法律などが『過ぎる』『通過する』という意味で、幅広い文脈で使用されます。日常会話からビジネス、法律まで、非常に汎用性の高い語です。 【ニュアンスの違い】"go by"と意味が近いですが、"pass"はより一般的な表現で、具体的な出来事や状況が過ぎ去ることを指すことが多いです。また、"pass"は他動詞としても使用できます。 【混同しやすい点】"pass"は自動詞としても他動詞としても使用できるため、文脈によって意味が異なります。例えば、"Time passes."(時間が過ぎる)と"Pass me the salt."(塩を渡して)のように使い分けが必要です。
計画、会議、プロセスなどが『進行する』という意味で、順序立てて進むことを強調します。フォーマルな場面や、段階的な進行を伴う状況でよく使われます。 【ニュアンスの違い】"go by"が単に時間が過ぎることを意味するのに対し、"proceed"は計画や手順に沿って物事が進むことを示唆します。ビジネスや学術的な文脈で頻繁に使用されます。 【混同しやすい点】"proceed"は、具体的な行動や計画の進行を指すため、単に時間が経過する意味合いの"go by"とは異なります。また、"proceed with"のように前置詞を伴うことが多い点も注意が必要です。
契約、期限、許可などが『満了する』『期限切れになる』という意味で、有効期間が終わることを指します。法律、ビジネス、契約関連の文脈でよく使われます。 【ニュアンスの違い】"go by"が一般的な時間の経過を意味するのに対し、"expire"は特定の期間や有効性が終了することを強調します。契約書や証明書など、具体的な期限のあるものに対して使用されます。 【混同しやすい点】"expire"は、主に契約や期限など、法的な有効性を持つものに対して使われます。単に時間が過ぎるという意味の"go by"とは異なり、法的な効力の喪失を示唆する点が重要です。
- slip away
時間、機会、チャンスなどが『いつの間にか過ぎ去る』という意味で、気づかないうちに失われるニュアンスを含みます。日常会話や文学的な表現でよく使われます。 【ニュアンスの違い】"go by"よりも、失われたものへの後悔や喪失感が伴うことが多いです。時間が無駄に過ぎてしまったという感情や、取り戻せない機会に対する残念な気持ちを表します。 【混同しやすい点】"slip away"は、時間の経過だけでなく、機会やチャンスが失われることにも重点が置かれます。意識しないうちに過ぎ去ってしまったというニュアンスが、"go by"との大きな違いです。
- roll on
時間や出来事が『続いていく』『進んでいく』という意味で、特に困難な状況や退屈な時間の中で、単調な時間の流れを表現する際に使われます。やや口語的な表現です。 【ニュアンスの違い】"go by"が中立的な時間の経過を意味するのに対し、"roll on"は、特に望ましくない状況が続く中で、時間がゆっくりと進む感覚を表します。苦痛や退屈さを伴う状況でよく使われます。 【混同しやすい点】"roll on"は、単に時間が過ぎるだけでなく、苦痛や退屈といった感情的なニュアンスを含みます。また、未来への期待や願望を込めて、「早く時間が過ぎてほしい」という気持ちを表すこともあります。
派生語
- going
『進行』『行くこと』を表す名詞。動名詞として、また『be going to〜』の形で未来を表す助動詞的用法として、日常会話で極めて頻繁に使われる。goの持つ根源的な『動き』の意味を具現化した語。
- overgo
『〜に打ち勝つ』『〜を超える』という意味の他動詞。goに『超える』という意味の接頭辞over-が付加され、物理的な意味だけでなく、能力や感情など抽象的な対象に対しても使われる。使用頻度は高くないが、文学作品や議論などで見られる。
『(試練・検査などを)経験する』という意味の動詞。goに『下』を表す接頭辞under-が付加され、何かの影響を受ける、通過するというニュアンスを含む。ビジネスや学術的な文脈で、特に変化やプロセスを伴う事柄に対して使用される。
反意語
『とどまる』という意味の動詞。go byが『通過する』『そばを通る』という動きを表すのに対し、stayは場所や状態を維持し、移動しないことを意味する。日常会話からビジネスまで幅広く使われる。
『止まる』という意味の動詞。go byが継続的な動きを含むのに対し、stopは動きの中断、停止を意味する。物理的な停止だけでなく、活動や進行の中止も表す。go byが『時が経つ』という意味で使われる文脈では、stopは『時間が止まる』という比喩的な表現として対比される。
『到着する』という意味の動詞。go byが『過ぎ去る』というニュアンスを含むのに対し、arriveは目的地に到達するという完了した状態を示す。旅行や輸送など、移動に関連する文脈で対照的に使用される。
語源
"Go by"は、一見すると単純な組み合わせですが、その意味合いは時間の経過や機会の喪失など、抽象的な概念を表します。"Go"は古英語の"gān"(行く)に由来し、基本的な移動を表します。一方、"by"は「そばに」「通過して」といった意味合いを持ちます。この二つが組み合わさることで、「何かが自分のそばを通り過ぎる」というイメージが生まれます。例えば、時間が"go by"と言う場合、それは時間が自分の制御を超えて流れ去っていく感覚を表します。機会が"go by"と言う場合は、チャンスが目の前を過ぎ去ってしまう様子を表します。また、「頼る」という意味では、過去の経験や確立された手順が「そばを通って」現在に影響を与える、というニュアンスと解釈できます。つまり、"go by"は物理的な移動だけでなく、時間や機会、信頼といった抽象的な概念が、ある地点を通過していく様子を表す、奥行きのある表現と言えるでしょう。
暗記法
「go by」は、ただ過ぎ去るだけでなく、時間や機会、人の評価が移ろいゆく様を表します。フロストの詩のように、過ぎ去った若さや機会への郷愁、あるいは外見で人を判断する社会への批判も。人生という道程で、何が過ぎ去り、何が残るのか。「go by」は、そんな人生の機微と社会の価値観を映し出す、奥行きのある言葉なのです。
混同しやすい単語
「go by」と「go buy」は、発音が非常に似ており、特に早口で話されると区別が難しいことがあります。意味は全く異なり、「go by」は「(時間が)過ぎる」「(規則などに)従う」などの意味がありますが、「go buy」は「買いに行く」という意味になります。日本人学習者は、文脈からどちらの意味で使われているかを判断する必要があります。また、音声変化(例えば、リエゾン)によって音が変化することにも注意が必要です。
「go by」の「by」だけを取り出して考えると、前置詞「by」自体も様々な意味を持つため、混乱の原因となります。「〜のそばに」「〜によって」「〜までに」など、文脈によって意味が大きく変わります。日本人学習者は、「go by」全体で一つの句動詞として意味を捉えるように意識し、「by」単独の意味に囚われすぎないようにすることが重要です。
「by」と「bye」は発音が同じ(/baɪ/)であるため、会話では特に混同しやすいです。「bye」は「さようなら」という意味の挨拶であり、スペルと文脈から判断する必要があります。メールやチャットなどのテキストコミュニケーションでは、スペルミスに注意が必要です。また、「by」と「bye」の区別は、英語の基礎的な部分であるため、しっかりと区別できるように練習することが大切です。
「by」と「buy」も発音が同じ(/baɪ/)であり、文脈によっては意味も近いため、混同しやすいことがあります。「buy」は「買う」という意味の動詞であり、名詞は「purchase」となります。日本人学習者は、品詞と文脈から判断する必要があります。例えば、「go by the store」は「店のそばを通る」という意味ですが、「go buy something at the store」は「店に何かを買いに行く」という意味になります。
「by」と「bay」は、発音が似ている(/baɪ/ vs /beɪ/)ため、特にリスニングで聞き間違えやすいです。「bay」は「湾」という意味の名詞であり、スペルと文脈から判断する必要があります。また、「bay」は、馬の毛色の種類を表すこともあります。日本人学習者は、母音の発音の違い(/aɪ/ と /eɪ/)を意識して聞き分ける練習をすることが重要です。
接頭辞の「bi-」は「2つの」という意味を持ち、「bicycle(二輪車)」や「bilingual(二言語を話せる)」などの単語に使われます。「by」と発音が似ているため、特に複合語の中で使われる場合に混同しやすいことがあります。日本人学習者は、単語全体の意味を理解し、「bi-」が使われている単語のリストを作成して、接頭辞の意味を覚えることが効果的です。
誤用例
日本語の『〜に立ち寄る』という表現を直訳しようとして、『go by』を使ってしまう誤用です。『go by』は『(時間が)過ぎる』という意味が一般的で、場所を通過する意味合いは薄いです。場所への立ち寄りは『stop by』や『drop by』を使うのが自然です。また、funという単語に対して、文脈に沿った動詞を選ぶ必要があり、ここでは『fly』が適切です。日本語の『〜する時は早い』という表現に引きずられず、英語のイディオムを意識することが大切です。
『go by』だけでも『過ぎ去る』という意味はありますが、機会やチャンスなどの具体的な対象が『過ぎ去る』場合は、『pass me by』のように再帰代名詞を伴う形がより一般的です。これは、『機会が自分を素通りする』というニュアンスを明確にするためです。日本語の『機会を逃した』という表現から、単純に『go by』を選んでしまうと、少し不自然に聞こえます。英語では、動作の主体と影響を受ける対象を明確にすることが重要であり、この点が日本語との違いを生む一因となっています。
『go by』は『(時間や機会が)過ぎる』という意味で使われることが多いですが、流行やトレンドが衰退する様子を表すには、より適切な表現があります。『fade』は『(色や記憶、人気などが)薄れる、衰える』という意味で、トレンドの移り変わりを表すのに適しています。日本語の『流行が過ぎ去った』という表現を直訳すると『go by』を選んでしまいがちですが、英語では、その現象の本質に合った動詞を選ぶことが重要です。文化的な背景として、英語では物事の変化をより具体的に表現する傾向があります。
文化的背景
「go by」は、単に「通り過ぎる」だけでなく、時間、機会、あるいは人の評価などが「過ぎ去る」「判断される」という、人生の移ろいや社会的な評価の側面を内包する言葉です。この語句は、時の流れの不可逆性や、人が社会の中でどのように認識され、評価されるかという、ある種の諦観や受容のニュアンスを伴って使われることがあります。
「go by」が時間や機会の経過を表す場合、しばしば「逃してしまったチャンス」や「過ぎ去った若さ」といった、失われたものへの郷愁や後悔の念と結びつきます。例えば、ロバート・フロストの詩には、「The woods are lovely, dark and deep, But I have promises to keep, And miles to go before I sleep, And miles to go before I sleep.」という一節がありますが、これは「眠りにつく前にまだ行くべき道がある」という文字通りの意味だけでなく、「人生の目的を達成するまで立ち止まることはできない」という比喩的な意味合いを含んでいます。ここでは「go」が、人生という道程を進むことの象徴として機能しており、「go by」も同様に、人生の時間が着実に過ぎていくことを意識させる表現として用いられます。
さらに、「go by」は人の評判や外見に対する評価が「〜で判断される」という意味合いでも使われます。これは、社会的な基準や先入観に基づいて人が評価されるという現実を示唆しており、外見至上主義や差別といった問題とも深く関わっています。例えば、「Don't judge a book by its cover.(外見で判断するな)」という諺は、まさに「go by」の持つこの側面を批判的に捉えたものです。人はしばしば、服装、話し方、出身地など、表面的な特徴によって判断されがちですが、「go by」は、そのような社会的な評価のメカニズムを意識させ、より深く、多角的な視点を持つことの重要性を訴えかけます。
このように、「go by」は、単なる移動や経過を表すだけでなく、時間、機会、評価といった、人生における重要な要素が過ぎ去っていく様子を捉え、それに対する人々の感情や社会的な価値観を反映した、奥行きのある表現と言えるでしょう。この言葉の背景にある文化的ニュアンスを理解することで、英語の学習者はより豊かな表現力を身につけ、英語圏の文化に対する理解を深めることができるはずです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)、リスニング(会話)
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも稀に出題。長文読解、リスニングのPart 2, 3, 4
- 文脈・例題の特徴: 幅広い話題(社会問題、科学、文化など)。会話では日常的な状況。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「時間が経つ」「(機会などが)過ぎる」「(規則などに)従う」など複数の意味があるので、文脈から判断する必要がある。類義語の"pass by"とのニュアンスの違いも意識する。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め)、Part 7 (長文読解)
- 頻度と級・パート: 頻出。特にPart 7のビジネスレターや記事形式の長文。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(スケジュール、プロジェクト、契約など)での使用が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: "go by the name of" (~という名前で通っている) のような特定のフレーズで問われることがある。時間や期限に関する文脈でよく使われる。
- 出題形式: リーディング(長文読解)、リスニング(講義、会話)
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出。リスニングセクションでも講義形式で登場。
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな内容(歴史、科学、社会学など)。抽象的な概念や理論の説明。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な意味合いで使われることが多い。例えば、「時間が経つにつれて」のような意味合い。文脈における意味の推測が重要。
- 出題形式: 長文読解、英作文(記述式、自由英作文)
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文読解で頻出。英作文でも使用できると高評価。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など幅広いジャンル。社会問題、科学技術、異文化理解など。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を判断する能力が重要。英作文では、多様な意味を使いこなせると表現の幅が広がる。過去問で実際の使われ方を確認することが有効。