edifice
第1音節にアクセントがあります。最初の 'e' は日本語の『エ』に近いですが、もう少し口を横に開くイメージです。'fɪs' の部分は、語尾の 's' を忘れずに発音しましょう。'f' の音は、上の前歯を下唇に軽く当てて息を出す有声音です。全体的に、はっきり発音することを心がけると伝わりやすくなります。
建造物
特に印象的な、大規模で堂々とした建物を指す。物理的な建物だけでなく、組織や制度など、複雑に構築されたものを比喩的に表すこともある。
The old church was a grand edifice, visible from far away.
その古い教会は壮大な建造物で、遠くからでも見えました。
※ 【情景】「grand(壮大な)」という言葉が、歴史ある教会の威厳や大きさを感じさせます。遠くからでも見えることで、その存在感が際立つ様子が伝わりますね。 【なぜ典型的か】「edifice」は、このように歴史的価値があったり、規模が大きくて目立つ「建造物」を指す際によく使われます。単なる「building」よりも、堂々とした、印象的な建物を指すニュアンスがあります。 【文法・ヒント】「visible from far away」は「遠くから見える」という意味で、建物の特徴を説明する際によく使われる表現です。
Everyone was amazed by the huge new edifice in the city center.
街の中心にできた巨大な新しい建造物に、みんなが驚きました。
※ 【情景】新しく、そして「huge(巨大な)」建物が突然現れ、それを見た人々の驚きが伝わってきます。都会的な風景の中で、目を引く存在であることがわかります。 【なぜ典型的か】「edifice」は、新しく建設された大規模なビルや施設など、現代的な「建造物」にも使われます。特にその大きさや目新しさを強調したいときに適しています。 【文法・ヒント】「be amazed by 〜」は「〜に驚く」という感情を表すフレーズで、日常会話でもよく使われます。「city center」は「街の中心地」という意味です。
The new library was a beautiful edifice, shining in the morning sun.
その新しい図書館は美しい建造物で、朝日に輝いていました。
※ 【情景】朝日に照らされて輝く、美しい図書館の建物が目に浮かびます。その美しさに目を奪われるような、穏やかで希望に満ちた場面が想像できます。 【なぜ典型的か】「edifice」は、その美しさやデザイン、芸術性などが評価される「建造物」を表現する際にも用いられます。単に機能的な建物ではなく、それ自体が作品のようなニュアンスを持つ場合です。 【文法・ヒント】「shining in the morning sun」は「朝日に輝いている」という、五感に訴える描写です。このように、動詞のing形(現在分詞)を使って、主語の状態や付帯状況を説明する表現は、英文を豊かにします。
構築物
物理的な建物に限らず、社会的なシステムや組織、理論などの抽象的な構造物も指す。長期にわたって築き上げられた印象。
As we walked into the old city, a grand stone edifice rose before us, making us feel small.
古い街に足を踏み入れると、壮大な石造りの構築物が私たちの目の前にそびえ立ち、私たちを小さく感じさせました。
※ 旅行で古い街を訪れた時、目の前に現れた巨大な歴史的建造物を見て、その大きさに圧倒されている様子を描写しています。「edifice」は特に「堂々とした、規模の大きな建物」を指すことが多いので、歴史的建造物によく使われる典型的な例です。「grand(壮大な)」や「stone(石造りの)」のような形容詞を一緒に使うことで、どのようなedificeなのかがより鮮明になります。
Every day, the construction workers added more steel to the rising edifice, changing the city skyline.
毎日、建設作業員たちはそびえ立つ構築物に鉄骨を加え、街のスカイラインを変えていきました。
※ 都市開発が進む中で、日々高くなっていく新しいビルを見上げ、その変化に気づいている場面です。「edifice」は単に「建物」ではなく、規模の大きい、または複雑な構造を持つ「構築物」を指すため、建設中の巨大なビルにも適しています。「rising edifice」のように「~ing」形を前につけることで、「そびえ立っている途中の」という進行中の状態を表すことができます。
The new library, a modern edifice of glass and steel, opened last week, attracting many visitors.
ガラスと鉄でできた現代的な構築物である新しい図書館が先週オープンし、多くの来館者を集めました。
※ 新しくできた図書館が、その斬新なデザインで人々の注目を集めている様子を描写しています。「edifice」は、特徴的なデザインや構造を持つ、比較的新しい大規模な公共施設や象徴的な建物にも使われます。「A, a B of C and D, ...」のように、名詞の後にコンマで区切ってその名詞をさらに詳しく説明する表現は、ニュース記事などでよく使われます。
コロケーション
そびえ立つ建造物、巨大な組織
※ 文字通りには「非常に高い建物」を指しますが、比喩的には「巨大で複雑な組織やシステム」を表します。物理的な建物だけでなく、企業、政府機関、あるいは抽象的な概念(例えば、法律体系)など、規模の大きさや重要性を強調したい場合に用いられます。'Towering' はそのedificeの印象的な高さや力強さを強調します。ビジネスや政治、歴史に関する議論でよく見られます。
崩れゆく〜の構造、衰退しつつある〜の体制
※ 'Crumbling'は物理的な崩壊だけでなく、組織やシステムが弱体化し、崩壊に向かっている状態を指します。例えば、「the crumbling edifice of the Soviet Union(崩壊しつつあったソ連の体制)」のように使われます。歴史、政治、社会問題の文脈で、過去の栄光が失われつつある現状を嘆く際に用いられることが多いです。比喩的な意味合いが強く、文字通りの建物が崩れる場合よりも抽象的な構造物の崩壊に使われます。
構造全体が崩壊する
※ これは、比喩的に、あるシステム、理論、または信念体系全体が完全に失敗または崩壊することを意味します。 'Whole' は全体性を強調し、部分的ではなく完全な崩壊を示唆します。しばしば、長年にわたって築き上げられたものが、一つの出来事や発見によって根底から覆される状況を描写する際に用いられます。例えば、科学理論の崩壊や、社会構造の崩壊などを表現する際に使われます。
嘘で塗り固められた構造を築き上げる
※ これは、意図的に欺瞞的な物語や構造を作り上げることを指します。 'Lies' は欺瞞の意図を強調し、そのedificeが真実に基づいていないことを示します。政治的な陰謀や詐欺事件、あるいは人間関係における裏切りなどを表現する際に用いられます。比喩的に、複雑で巧妙な嘘の体系を構築する様子を表します。
法体系
※ 法律の構造、システム全体を指す、やや形式ばった表現です。法律、判例、規制などが複雑に組み合わさってできている様子を、建物に例えています。法律関係の文書や議論でよく用いられ、口語ではあまり使いません。例えば「The legal edifice surrounding environmental protection is constantly evolving.(環境保護を取り巻く法体系は常に進化している)」のように使われます。
堂々とした建造物、威圧感のある組織
※ 'Imposing'は、そのedificeが大きく、印象的で、時に威圧感を与えるほどであることを意味します。物理的な建物だけでなく、組織やシステムに対しても使われ、その権威や影響力を強調します。例えば、政府機関の建物や、巨大企業のオフィスビルなどを描写する際に用いられます。ビジネスや政治、歴史に関する議論でよく見られます。
〜の構造の中で、〜の体制下で
※ これは、何らかの組織、システム、または理論の内部、またはその一部であることを示します。 'Within' は包含関係を示し、そのedificeがより大きな構造の一部であることを意味します。例えば、「within the edifice of the European Union(欧州連合の構造の中で)」のように使われます。政治、経済、社会問題の文脈で、特定の組織やシステムにおける役割や位置を説明する際に用いられます。
使用シーン
学術論文や専門書で、抽象的な概念や理論を「構築物」として表現する際に用いられる。例:社会学の研究で、「社会構造という巨大な構築物(edifice)が個人の行動に影響を与える」と論じる場合。文語的な表現。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、組織や戦略などの「構築物」を指す際に使用されることがある。例:経営戦略の説明で、「新たな事業戦略という強固な構築物(edifice)を築き上げる」と表現する場合。フォーマルな場面での使用が想定される。
日常会話ではほとんど使われないが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、歴史的建造物や象徴的な構造物を指す際に使われることがある。例:テレビの歴史番組で、「古代ローマ帝国の巨大な建造物(edifice)は、その権力を象徴していた」と解説する場合。やや硬い印象を与える。
関連語
類義語
建物全般を指す最も一般的な言葉。住宅、商業施設、公共施設など、あらゆる種類の建物に使われます。日常会話で頻繁に使用される。 【ニュアンスの違い】"Edifice"よりも中立的で、特に印象的な構造や規模を意味するわけではありません。単に物理的な構造物を指すことが多いです。文脈によっては「building」が「edifice」の直接的な代替として機能しますが、フォーマルな場面や特定の強調を必要とする場合には適しません。 【混同しやすい点】"Building"は可算名詞であり、具体的な建物を指す場合に複数形(buildings)が使われます。一方、"edifice"は抽象的な意味合いを含むことがあり、その場合は不可算名詞のように扱われることがあります。
構造物、組織されたものを指す言葉。建物だけでなく、橋、ダム、組織の構造など、物理的または抽象的な構造全般に使われます。学術的な文脈や技術的な議論でよく用いられます。 【ニュアンスの違い】"Edifice"が通常、大きく印象的な建物を指すのに対し、"structure"は規模や美しさに関係なく、単に何らかの形で組み立てられたものを指します。また、"structure"は比喩的に組織やシステムを指すこともあります。 【混同しやすい点】"Structure"は物理的な構造物だけでなく、社会構造や組織構造など抽象的な概念も表せる点が、具体的な建物を指すことが多い"edifice"との大きな違いです。コロケーションも異なり、"social structure"(社会構造)のような表現は一般的ですが、"social edifice"とは通常言いません。
設立、創設、または施設、機関を意味します。ビジネス、政府、教育など、組織や制度に関連して使われることが多いです。フォーマルな場面でよく用いられます。 【ニュアンスの違い】"Edifice"が物理的な建物を指すのに対し、"establishment"は組織や制度、またはそれらが置かれた場所を指します。比喩的に、権力構造や支配体制を指すこともあります。 【混同しやすい点】"Establishment"は不可算名詞として、制度や体制全体を指す場合と、可算名詞として個々の施設を指す場合があります。"Edifice"は通常、物理的な建物を指すため、これらの意味で置き換えることはできません。例えば、"the establishment of a new company"(新会社の設立)を"the edifice of a new company"と言うことはできません。
記念碑、記念建造物を意味します。歴史的な出来事や人物を記念するために建てられたものを指します。観光、歴史、文化に関連する文脈で使われます。 【ニュアンスの違い】"Edifice"が単に大きな建物を指すのに対し、"monument"は特定の目的(記念)を持って建てられた建物を指します。また、"monument"は歴史的な価値や象徴的な意味合いを持つことが多いです。 【混同しやすい点】"Monument"は常に何らかの出来事や人物を記念する目的を持ちますが、"edifice"は必ずしもそうではありません。例えば、高層ビルは"edifice"と言えますが、特に記念的な意味合いがなければ"monument"とは言えません。また、"monument"はしばしば観光名所となりますが、"edifice"が必ずしもそうとは限りません。
制度、施設、機関を意味します。大学、病院、銀行など、社会的に重要な役割を果たす組織を指します。フォーマルな文脈でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】"Edifice"が物理的な建物を指すのに対し、"institution"は組織そのもの、または組織が活動する場所を指します。また、"institution"は抽象的な概念(例えば、結婚制度)を指すこともあります。 【混同しやすい点】"Institution"は組織の活動内容や目的を強調するのに対し、"edifice"は建物の物理的な存在を強調します。例えば、"a prestigious educational institution"(名門教育機関)を"a prestigious educational edifice"と言うことは不自然です。後者は建物の外観や規模を強調する文脈でのみ適切です。
派生語
『啓発する』『教化する』という意味の動詞。edifice(建物)が精神的な意味に転じ、『人の心を築き上げる』というイメージ。やや硬い表現で、教育論や宗教論などで用いられる。日常会話では稀。
『啓発』『教化』という意味の名詞。edify の名詞形で、学術論文や宗教関連の文書でよく見られる。個人や集団の精神的な成長を指す場合が多い。
『編集者』という意味。edifice の語源であるラテン語の『edere(外に出す、発行する)』に由来。建物から情報の発信へと意味が変化している。新聞、雑誌、書籍など、様々なメディアに関わる。
反意語
『廃墟』『崩壊』という意味。edifice(建造物)が象徴する秩序や安定とは対照的に、破壊された状態を表す。物理的な構造物だけでなく、組織や計画の崩壊を比喩的に表すこともある。日常会話でも使用頻度は高い。
『解体』『破壊』という意味。edifice(建造物)を意図的に破壊する行為を指す。都市開発や再開発の文脈でよく用いられる。また、比喩的に、理論や政策の解体を意味することもある。
『破片』『断片』という意味。edifice(全体性を持つ建造物)とは対照的に、ばらばらになった状態を示す。物理的な破片だけでなく、情報や知識の断片を指すこともある。学術的な文脈でも用いられる。
語源
"edifice」は、「建造物」や「構築物」を意味する英単語です。その語源はラテン語の「aedificium」(建物)に遡ります。さらに深く掘り下げると、「aedificium」は「aedificare」(建てる)という動詞から派生しており、これは「aedes」(家、神殿)と「facere」(作る、行う)という二つの要素に分解できます。「aedes」は、住居や神聖な場所を指し、「facere」は創造や実行を表します。つまり、「edifice」は文字通りには「家を作ること」を意味し、そこから転じて、物理的な建造物だけでなく、組織や体系といった抽象的な構築物も指すようになりました。日本の文脈で例えるなら、「お寺を建立する」という行為が、この単語の根源的な意味合いに近いと言えるでしょう。
暗記法
「edifice」は、単なる建物にあらず。権威、安定、そしてイデオロギーを体現する存在だ。古代ローマのコロッセオは皇帝の権威を誇示し、中世の大聖堂は信仰と都市の力を象徴した。ルネサンスの宮殿は富と教養の証。現代の高層ビルは経済力と技術革新の象徴となる。しかし、巨大な建造物は権力濫用や社会的不平等の象徴にもなり得る。組織や制度といった抽象的な概念も指し、社会構造を理解する鍵となるのだ。
混同しやすい単語
『edifice』とスペルが非常に似ており、発音も/ˈedɪfaɪ/と/ˈedɪfɪs/で近いため、混同しやすい。しかし、意味は大きく異なり、『edify』は『(人)を啓発する、教化する』という動詞である。特に、動詞と名詞の違いに注意が必要。語源的には、どちらもラテン語の『aedificare』(建てる)に由来するが、edifyは比喩的な意味合いで使用されることが多い。
『edifice』と語尾の音が似ているため、発音を聞き間違える可能性がある。また、どちらも名詞であり、建造物に関連するイメージがあるため、意味も混同しやすい。『office』は『事務所、役所』といった意味で、具体的な建物の一部を指すことが多い点が異なる。カタカナ英語の『オフィス』として日常的に使うため、意味の範囲を狭く捉えがちだが、英語ではより広い意味を持つことに注意。
『edifice』とスペルが似ており、特に語尾の『-fice』が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音も/ˈɔːrɪfɪs/と似ている。意味は『(体の)開口部、穴』であり、建物とは全く関係がない。医学用語や工学用語として使われることが多く、日常会話ではあまり使われない。
『edifice』と語尾の『-fice』が共通しており、スペルと発音が似ているため、混同しやすい。意味は『策略、ごまかし』であり、名詞。建物とは全く関係がない。語源的には、ラテン語の『ars』(技術)と『facere』(作る)に由来し、『技術を使って作り上げられたもの』という意味合いから、『策略』という意味になった。edificeの語源と合わせて覚えると区別しやすい。
『edifice』と語尾の『-fice』が共通しているため、スペルと発音が似ているため、混同しやすい。意味は『犠牲』であり、名詞または動詞。建物とは直接的な関係はないが、『何かを捧げる』という抽象的な意味合いで関連付けられる可能性もある。語源的には、ラテン語の『sacrum』(神聖なもの)と『facere』(作る)に由来し、『神聖なものを作る』という意味合いから、『犠牲』という意味になった。
『edifice』と語尾の音が似ているため、発音を聞き間違える可能性がある。また、どちらもフォーマルな響きを持つため、文脈によっては混同しやすい。『suffice』は『十分である』という意味の動詞であり、建物とは関係がない。例えば、『This edifice will suffice for our needs.(この建物は私たちのニーズに十分である)』のように、文法構造が似ている文を作ることができるため、注意が必要。
誤用例
『edifice』は確かに『構築物』を意味しますが、物理的な建造物、特に印象的な建物を指すことが多いです。抽象的な概念や政策を『edifice』と表現すると、大げさで不自然に聞こえます。より自然な表現は、不安定さや崩壊の危険性を示唆する『house of cards』のような比喩を用いることです。日本人が『edifice』を抽象的な意味で使いがちなのは、日本語の『体系』という言葉に引きずられ、それを直訳しようとするためです。
『edifice』を『体系』の訳語として捉え、論理的な構造を指すために使うのは不適切ではありませんが、やはり不自然です。より自然な英語では、『framework』や『structure』といった語を用い、それが『carefully constructed(注意深く構築された)』ものであることを強調します。『edifice』は、その壮大さや物理的な存在感に重点が置かれるため、抽象的な議論にはそぐわないのです。日本人が『edifice』を使いがちな背景には、英語学習において単語の意味を丸暗記し、文脈を考慮せずに使用してしまう傾向があります。
『edifice』は立派な建物を指すため、壊れるというイメージと組み合わせると、大げさでやや皮肉な印象を与えます。人間関係が崩壊したことを表現するなら、『foundations(基盤)』を用いる方が自然です。これは、人間関係が『建物』ではなく、より根源的な『基盤』の上に成り立っているというメタファーが英語圏で一般的であるためです。日本人が『edifice』を使うと、まるで関係性が最初から虚飾に満ちていたかのようなニュアンスを与えてしまう可能性があります。日本語の『(関係という)大建造物』のようなイメージで安易に翻訳すると、このような誤用につながります。
文化的背景
「edifice」は、単なる建物ではなく、権力、安定、そしてしばしばイデオロギーの物理的な象徴として、文化史の中で重要な役割を果たしてきました。それは、時の権力者たちが己の存在を誇示し、後世に記憶されるために築き上げた、壮大で不朽の建造物なのです。
古代ローマのコロッセオや、中世ヨーロッパの大聖堂を思い浮かべてみましょう。これらは単なる娯楽施設や宗教施設ではありません。コロッセオは、皇帝の権威を民衆に示す舞台であり、ローマ帝国の繁栄と秩序を象徴する巨大なモニュメントでした。一方、ゴシック様式の大聖堂は、神への信仰心の深さを表現すると同時に、都市の経済力と技術力の結晶でもありました。その尖塔は天に向かって伸び、人々の心を神へと導く役割を果たし、社会全体の精神的な支柱としての役割を担っていました。
「edifice」が持つ意味合いは、時代とともに変化してきました。ルネサンス期には、古代ギリシャ・ローマの建築様式が復興され、美と調和を追求した壮麗な宮殿や美術館が建設されました。これらは、単なる住居や芸術鑑賞の場ではなく、富と教養を誇示する場であり、社会的なステータスを示す象徴でもありました。現代においては、高層ビルや巨大な複合施設が「edifice」の代表的な例と言えるでしょう。これらの建造物は、経済力と技術革新の象徴であり、グローバル化された社会における競争力を示す指標となっています。
しかし、「edifice」は必ずしも肯定的な意味合いを持つとは限りません。巨大な建造物は、しばしば権力の濫用や社会的な不平等を象徴することもあります。例えば、独裁政権が建設した巨大な記念碑や、富裕層が所有する豪華な邸宅などは、一般市民との格差を浮き彫りにし、社会的な反感を買うこともあります。また、「edifice」は、組織や制度といった抽象的な概念を指すこともあります。例えば、「政治的edifice」や「法的edifice」といった表現は、複雑で強固な構造を持つシステムを意味し、変革の難しさや抵抗勢力の存在を示唆することがあります。このように、「edifice」は、物理的な建造物だけでなく、社会的な構造や概念を理解するための重要なキーワードとなるのです。
試験傾向
この単語は英検では出題頻度は低めです。準1級以上で稀に長文読解で登場する可能性があります。建築や組織といった抽象的な意味で使われることが多いでしょう。語彙問題で直接問われる可能性は低いですが、長文の内容理解を深めるために覚えておくと役立ちます。
TOEICでは、この単語は比較的まれです。Part 7(長文読解)で、不動産、都市開発、組織構造に関する文章で登場する可能性はありますが、頻度は高くありません。ビジネス関連の文脈で使われることを意識しておくと良いでしょう。
TOEFL iBTのリーディングセクションで、アカデミックな文章(歴史、社会学、建築学など)で登場する可能性があります。意味は「建造物」「組織」などで、抽象的な概念を指すことが多いです。同義語(structure, building)との置き換え問題に注意が必要です。
大学受験(特に難関大学)の長文読解問題で、稀に出題されることがあります。文脈から意味を推測する問題や、内容説明問題で間接的に問われることが多いでしょう。直接的な語彙問題での出題は少ないと考えられます。