disgrace
第2音節に強勢があります。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し横に開き、短く発音します。「グレェィ」の部分は二重母音で、/eɪ/ は「エ」から「イ」へスムーズに移行するイメージです。最後の 's' は無声音で、日本語の「ス」よりも息を強く出すように意識しましょう。
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不名誉
名誉を失った状態。公的な失敗や倫理的な問題によって、世間からの信用や尊敬を失うこと。個人的な恥というより、社会的な非難を浴びるニュアンスが強い。
When he lied to everyone, it brought great disgrace to his family.
彼が皆に嘘をついた時、それは彼の家族に大きな不名誉をもたらしました。
※ この例文は、誰かの悪い行いが、その個人だけでなく、所属する家族やグループ全体に「不名誉」をもたらす状況を描いています。誰もが正直であることを期待される中で、嘘をつく行為が家族の名を汚し、彼らを悲しませる様子が目に浮かびます。「bring disgrace to A」は「Aに不名誉をもたらす」という、とても自然でよく使われる表現です。
The famous athlete's rude behavior was a public disgrace to the entire team.
その有名な選手の失礼な振る舞いは、チーム全体にとって公の不名誉でした。
※ 公の場で期待を裏切る行動は、個人の問題にとどまらず、所属する組織全体の「不名誉」になることがあります。この例文では、人気のある選手が失礼な態度をとることで、チーム全体の評判が落ち、ファンががっかりする様子が伝わってきます。「a disgrace to A」は「Aにとって不名誉なこと」という意味で、ある行為や人物が不名誉の対象であることを表す典型的な形です。
Leaving all the trash on the beautiful beach was a disgrace to our community.
美しいビーチにごみをすべて放置することは、私たちの地域にとって不名誉なことでした。
※ この例文は、環境を汚す行為が、その地域の住民やコミュニティ全体にとって「不名誉」であると感じられる状況を描写しています。美しい場所がごみで台無しになり、地域の人々がその状況を恥ずかしく思う気持ちが伝わってきます。個人の無責任な行動が、より大きなグループや場所の評判を傷つけるときに「disgrace」が使われる良い例です。名詞として「a disgrace」の形で使われることが非常に多いです。
名誉を汚す
人や組織、行為などの評判や価値を傷つけること。行動や出来事が原因で、信用や尊敬を失わせる場合に使う。受動態で「disgraced」となると、「不名誉な立場に置かれた」という意味になる。
His poor grades and behavior will disgrace our family name.
彼の悪い成績と行いは、私たちの家族の名を汚すだろう。
※ この例文は、子供の悪い行動が家族全体の評判に影響を与えるという、ごく身近な状況を描いています。「家族の顔に泥を塗る」という日本語の表現に通じる感覚です。未来形(will disgrace)を使うことで、まだ起きていないが、このままではそうなるだろうという予測や懸念を表しています。
The athlete's cheating scandal disgraced his entire team.
その選手の不正行為スキャンダルは、彼のチーム全体の名誉を汚した。
※ これは、個人の不正行為が所属する組織(ここではスポーツチーム)全体に恥をもたらす典型的な場面です。特に公の場で活動する人物の行動は、その集団のイメージに直結するため、「disgrace」がよく使われます。過去形(disgraced)で、すでに起こってしまった出来事を述べています。
The company's unethical practices disgraced its long history of innovation.
その会社の非倫理的な行いは、長きにわたる革新の歴史に汚点を残した。
※ この例文は、企業の不適切な行動が、これまで築き上げてきた良い評判や歴史に悪影響を与える状況を示しています。ビジネスや組織の文脈で、過去の功績や名声が現在の行動によって傷つけられる際に使われます。過去形(disgraced)で、その非倫理的な行いがすでに歴史を汚してしまったことを表現しています。
コロケーション
失脚する、不名誉な状態に陥る
※ 文字通りには「不名誉の中に落ちる」という意味で、地位や名声を失い、人々の尊敬を失う状態を表します。政治家や著名人がスキャンダルによって失脚するような状況でよく用いられます。受動態の "be fallen into disgrace" も可能です。単に"disgrace"という状態になるだけでなく、その過程や原因に焦点が当てられる点がポイントです。類語としては "be discredited" がありますが、こちらは信用を失うことに重点が置かれます。
~の面汚し、~の恥
※ 「~に対する恥」という意味で、人や組織、理念などに対して、その名誉や評判を汚す存在であることを強く非難する表現です。例えば、「彼は家族の恥だ (He is a disgrace to his family.)」のように使われます。この構文は非常に強い非難の意を含むため、使用場面には注意が必要です。似た表現に "an embarrassment to" がありますが、こちらはもう少し柔らかい表現で、不快感や困惑を表します。
~に不名誉をもたらす、~の評判を落とす
※ "bring disgrace"は、ある行為や出来事が、特定の人や組織に不名誉や恥をもたらすことを意味します。能動的な行為の結果として不名誉が生じる点に重点があります。例えば、「彼の行動は会社に不名誉をもたらした (His actions brought disgrace upon the company.)」のように使用します。"cast a shadow on" (~に影を落とす) も似た意味合いを持ちますが、こちらは不名誉ほど強い意味合いではなく、評判を少し損なう程度を表します。
不名誉な状態で、失脚して
※ 「不名誉の状態で」という意味で、地位や名声を失い、人々の尊敬を失った状態を表します。多くの場合、公的な地位や役割から追放された状態を指します。例えば、「彼はスキャンダルの後、失脚した (He was in disgrace after the scandal.)」のように使われます。"out of favor" (不興を買って) も似た意味ですが、こちらは権力者からの支持を失った状態を指し、必ずしも不名誉な行為が原因とは限りません。
不名誉な辞任をする、引責辞任する
※ スキャンダルや不正行為などが原因で、責任を取って辞任することを意味します。単に辞任するだけでなく、その辞任が不名誉な状況下で行われるというニュアンスが含まれます。例えば、「彼は汚職疑惑を受けて引責辞任した (He resigned in disgrace after allegations of corruption.)」のように使用します。"step down" (辞任する) も同様に辞任を意味しますが、こちらは必ずしも不名誉な理由によるものではありません。
不名誉の中で生きる
※ 過去の過ちやスキャンダルによって、社会的な信用や尊敬を失った状態で生活することを意味します。過去の行いが継続的に影響を与え、その影響から逃れられない状況を表します。例えば、「彼はかつての犯罪のために、不名誉の中で生きている (He lives in disgrace because of his past crimes.)」のように使用します。"haunted by the past" (過去に付きまとわれる) も似た意味合いを持ちますが、こちらは精神的な苦痛に重点が置かれます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、倫理的な問題や不正行為を議論する際に使われます。例えば、「研究不正は学術界全体のdisgrace(不名誉)である」のように、強い非難の意を込めて用いられることがあります。また、歴史学の研究で、過去の人物や事件の不名誉な側面を記述する際に使用されることもあります。
ビジネスの文脈では、企業の不祥事や不正行為が明るみに出た際に、企業の評判がdisgrace(失墜)した、というように使われます。株主向けの報告書や、社内向けのコンプライアンス研修などで見かけることがあります。日常的なビジネス会話では、より穏やかな表現(reputation damageなど)が好まれます。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュースやドキュメンタリー番組などで、政治家の汚職事件や著名人の不祥事を報道する際に、「〜氏のdisgrace(失脚)」のように使われることがあります。また、スポーツの世界で、選手が重大なルール違反を犯した場合にも、同様に使われることがあります。一般的には、非常にネガティブな意味合いを持つため、慎重な使用が求められます。
関連語
類義語
名詞としては「恥」「不名誉」、動詞としては「恥じさせる」「不名誉にする」という意味。個人的な感情や道徳的な規範からの逸脱によって生じる感情や状態を指すことが多い。日常会話からフォーマルな場面まで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】"Disgrace"よりも一般的な語で、より広い範囲の不名誉な行為や状況を指す。"Disgrace"はより深刻で公的な不名誉を意味することが多いのに対し、"shame"は個人的な恥ずかしさや罪悪感を含む。 【混同しやすい点】"Shame"は可算名詞としても不可算名詞としても使われるが、具体的な恥ずかしい出来事を指す場合は可算名詞になる(例:It's a shame)。また、"feel ashamed"のように形容詞として使われることも多い。
- dishonor
名詞としては「不名誉」「恥辱」、動詞としては「不名誉にする」「名誉を傷つける」という意味。名誉、尊敬、品位を失うことを強調し、特に公的な立場や社会的な評価に関わる場合に用いられる。フォーマルな場面や文学的な表現でよく見られる。 【ニュアンスの違い】"Disgrace"と非常に近い意味を持つが、"dishonor"は道徳的な義務や倫理的な基準への違反によって生じる不名誉をより強く示唆する。また、"dishonor"は家族、組織、国など、集団に対する裏切りや不忠を表す場合もある。 【混同しやすい点】"Dishonor"はしばしば抽象的な概念や原則に関連付けられる(例:dishonor the family name)。また、"dishonor"は動詞として使う場合、しばしば受動態で用いられる(例:He was dishonored)。
- infamy
名詞で「悪名」「不名誉」という意味。非常に悪い行いや犯罪によって広く知られている状態を指す。歴史的な人物や事件に関連して使われることが多く、永続的な悪評を意味する。 【ニュアンスの違い】"Disgrace"よりもはるかに強い意味を持ち、極めて悪質な行為によって得られた悪評を指す。一時的な不名誉ではなく、長期間にわたって人々の記憶に残るような悪評を意味する。主に報道や歴史的な記述など、フォーマルな文脈で使用される。 【混同しやすい点】"Infamy"は常に否定的な意味を持ち、良い意味で名声を得る場合には使用されない。また、"infamous"という形容詞形で使われることが多い(例:an infamous criminal)。
- ignominy
名詞で「不名誉」「屈辱」という意味。公衆の面前で恥をかかされることや、深い屈辱感を伴う不名誉な状態を指す。非常にフォーマルな言葉で、文学作品や歴史的な記述でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"Disgrace"よりも強い感情的な要素を含み、特に公的な侮辱や嘲笑を伴う不名誉を意味する。個人的な失敗や過ちが公に晒され、深く恥じ入る状況を表す。日常会話ではほとんど使われない。 【混同しやすい点】"Ignominy"はしばしば受動的な状況を表し、人が自らの行為によって屈辱を受けるのではなく、外部からの力によって屈辱を味わうことを意味する(例:He suffered the ignominy of defeat)。
- opprobrium
名詞で「非難」「不評」「恥辱」という意味。公的な非難や強い批判を意味し、道徳的に許容できない行為に対する社会的な反発を表す。非常にフォーマルな言葉で、政治的な議論や倫理的な問題に関する文脈で用いられる。 【ニュアンスの違い】"Disgrace"よりも強い非難のニュアンスを持ち、行為そのものに対する強い道徳的非難を意味する。単なる不名誉ではなく、社会全体からの強い批判や軽蔑を含む。学術的な文章や報道などで使用される。 【混同しやすい点】"Opprobrium"はしばしば特定の行為や政策に対する公的な非難を指し、個人的な感情よりも社会的な評価に焦点を当てる(例:The policy was met with widespread opprobrium)。
名詞で「屈辱」「恥辱」という意味。自尊心を傷つけられ、恥ずかしい思いをすること。個人的な感情や経験に焦点を当て、特に公衆の面前での失敗や嘲笑によって引き起こされる感情を表す。日常会話でも使われる。 【ニュアンスの違い】"Disgrace"よりも個人的な感情に重点が置かれ、客観的な不名誉というよりは、主観的な恥ずかしさや屈辱感を意味する。状況によっては、一時的な感情を表すこともある。ビジネスシーンでも使用される。 【混同しやすい点】"Humiliation"はしばしば具体的な出来事や状況によって引き起こされる感情を指し、抽象的な概念としての不名誉とは異なる(例:He felt a deep sense of humiliation)。また、"humiliate"という動詞形で使われることが多い(例:He humiliated her in front of everyone)。
派生語
『優雅な』『上品な』という意味の形容詞。『grace(優雅さ、恵み)』に接尾辞『-ful(~に満ちた)』が付加され、その性質を表す。disgrace が『grace を失った状態』であるのに対し、graceful は『grace に満ちた状態』を表す。日常会話から文学作品まで幅広く用いられる。
- ungracious
『無作法な』『不親切な』という意味の形容詞。grace に否定の接頭辞『un-』と形容詞化する『-ious』が付いた形。graceful の反対の意味合いを持ち、人の態度や行動を批判的に評価する際に用いられる。ビジネスシーンやフォーマルな場面で特に重要となる。
- disgraceful
『不名誉な』『恥ずべき』という意味の形容詞。disgrace に形容詞化する接尾辞『-ful』が付加された形。disgrace が状態を表すのに対し、disgraceful はその状態の性質を強調する。ニュース記事や論説など、強い非難や批判を含む文脈で用いられる。
反意語
『名誉』『尊敬』という意味の名詞。disgrace とは対照的に、社会的に高く評価される状態を表す。日常会話だけでなく、公式な文書やスピーチなど、幅広い場面で使用される。動詞としても用いられ、『敬意を払う』という意味になる。
『信用』『称賛』という意味の名詞。disgrace が信用を失うことであるのに対し、credit は信用を得ている状態を表す。ビジネスシーンでは特に重要な概念であり、個人の業績や企業の信頼性を示す指標となる。動詞としても用いられ、『功績を認める』という意味になる。
『尊敬』『尊重』という意味の名詞。honor と同様に、disgrace と対照的な意味を持ち、より個人的な感情や評価を含むニュアンスを持つ。学術論文や文学作品など、よりフォーマルな文脈で用いられることが多い。動詞としても用いられ、『高く評価する』という意味になる。
語源
"Disgrace」は、古フランス語の「desgrace」(不興、不面目)に由来します。これは、「des-」(否定を表す接頭辞。英語の「dis-」に相当)と「grace」(好意、魅力、優美さ)が組み合わさったものです。「Grace」自体はラテン語の「gratia」(感謝、好意、魅力)から来ており、もともとは「喜ばしい状態」や「好意的な感情」を意味していました。つまり、「disgrace」は文字通りには「好意を失うこと」や「喜ばしい状態から外れること」を意味し、そこから「不名誉」や「面目を失うこと」という意味に発展しました。日本語で例えるなら、「恩を仇で返す」という状況に似ています。かつては「恩恵」を受けていた状態から、「dis-」(否定)によって、その状態から転落したイメージです。
暗記法
「不名誉(disgrace)」は中世から、社会的身分の失墜を意味し、一族に及ぶ汚点として恐れられました。18世紀文学では、没落貴族の象徴です。オースティンの小説では、体面を失うことへの恐れが描かれます。現代では、政治家の汚職など公的な不祥事が問題視される一方、価値観の多様化でその意味合いも変化。クッツェーの小説『Disgrace』は、アパルトヘイト後の南アフリカを舞台に、名誉を失った者の苦悩を描き、社会問題を映す鏡として、文学の重要なテーマとなっています。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の 's' の音が聞き取りにくいことがあります。意味は『解雇する』『退ける』などで、『disgrace(不名誉)』とは全く異なります。動詞であり、品詞も異なります。日本人学習者は、dis- で始まる単語に注意し、その後に続く語幹の意味を意識することが重要です。
スペルが似ており、特に 'grace' と 'guise' の部分が混同されやすいです。意味は『変装』であり、『不名誉』とは意味が大きく異なります。名詞または動詞として使われます。発音も異なり、'guise' の 'ui' は二重母音で発音されます。接頭辞 dis- に惑わされず、語幹の違いに注意しましょう。
接頭辞 dis- と、後ろに続く音が似ているため、発音を聞き間違える可能性があります。『(話などが)本筋からそれる』という意味で、disgrace とは意味が全く異なります。動詞であり、品詞も異なります。語源的には、di- は away, gress は step を意味し、『歩みがそれる』イメージです。
'graceful'(優雅な)に否定の接頭辞 'un-' がついた単語で、'disgraceful'(不名誉な)と意味が反対であるため、混同しやすいことがあります。スペルも似ているため、注意が必要です。品詞は形容詞です。接頭辞 un- と dis- の意味の違いを理解することが大切です。
語尾の 'race' の部分が 'grace' と一致するため、スペルと発音が混乱しやすいです。意味は『抱擁する』、『受け入れる』などで、disgrace とは全く異なります。動詞として使われます。接頭辞 em- (または en-)は、『〜にする』という意味を持つことが多く、'embrace' は『抱擁の状態にする』というイメージです。
接頭辞 de- と、語尾の face が disgrace と似た構成を持つため、視覚的に混同しやすいです。意味は『(表面を)汚す』『傷つける』などで、disgrace とは異なります。動詞であり、品詞も異なります。接頭辞 de- は『下へ』『取り除く』といった意味を持ちます。
誤用例
While 'disgrace' does mean something shameful, using it to justify 'exile from the dinner table' sounds overly dramatic and stiff in modern English. 'Disgrace' implies a serious loss of reputation or honor, more than just bad table manners. The Japanese tendency to directly translate '恥' (haji) as 'disgrace' can lead to this overemphasis. A more natural way to express the family's feeling is to say they were 'deeply ashamed' or 'embarrassed'.
Using 'disgrace' to describe poor financial performance, while technically understandable, carries a moral judgment that is often inappropriate. 'Disgrace' suggests the poor performance was due to unethical or scandalous behavior. A more neutral and accurate word to describe low profits would be 'dismal', 'poor', or 'disappointing'. Japanese learners might choose 'disgrace' because of its strong negative connotation, failing to recognize the subtle but important difference between a moral failing and simply underperforming.
In Western cultures, excessive apologies can be seen as a sign of weakness or insecurity, leading to embarrassment rather than 'disgrace.' 'Disgrace' implies a serious moral failing or a significant loss of reputation. While excessive apologies might be socially awkward, they rarely rise to the level of 'disgrace.' This error arises from the differing cultural values placed on apologies. In Japan, frequent apologies are often a sign of politeness and respect, but directly translating this cultural practice into English can lead to misinterpretations. 'Embarrassed' is a more fitting description of the social discomfort caused by over-apologizing.
文化的背景
「Disgrace(不名誉)」は、単なる恥辱を超え、社会的な地位や尊敬、自己価値を失墜させる深刻な状態を指します。中世以降、名誉を重んじる社会において、disgraceは個人とその家族全体に及ぶ汚点として恐れられました。
18世紀のイギリス文学において、disgraceはしばしば没落した貴族や道徳的堕落を象徴する言葉として登場します。例えば、スキャンダルによって社交界から追放された人物、あるいは賭博や放蕩によって家産を失った者がdisgracefulであると描写されます。当時の社会では、名誉は財産や地位と同様に重要な資産であり、それを失うことは文字通り「社会的な死」を意味しました。ジェーン・オースティンの小説には、経済的な困窮だけでなく、社会的な体面を保つことへの強い執着が描かれており、disgraceに陥ることを何よりも恐れる人々の姿が浮き彫りになります。
現代においても、政治家の汚職や企業の不祥事など、公的な立場にある者のdisgraceは大きな社会問題として扱われます。しかし、個人の価値観が多様化するにつれて、disgraceの概念も変化しつつあります。かつては社会的に非難された行為でも、現代では必ずしもdisgraceとは見なされないこともあります。たとえば、伝統的な価値観に反するライフスタイルを選択したり、社会規範から逸脱した行動をとったりすることが、必ずしもdisgraceとは見なされなくなってきています。それでも、disgraceは依然として、倫理的、道徳的な境界線を意識させる言葉であり、社会的な責任や自己認識を問い直すきっかけとなる概念です。
南アフリカ出身の作家J.M.クッツェーの小説『Disgrace』は、そのタイトルが示すように、名誉を失った人物の苦悩と再生を描いた作品です。主人公は大学教授でありながら、スキャンダルによって職を失い、社会から疎外されます。この小説は、アパルトヘイト後の南アフリカ社会における人種差別や暴力の問題を背景に、disgraceという言葉が持つ多層的な意味を深く掘り下げています。このように、disgraceは単なる個人的な恥辱にとどまらず、社会全体の問題を映し出す鏡として、文学作品においても重要なテーマとなっています。
試験傾向
準1級・1級で語彙問題や長文読解で出題される可能性があります。特に、名詞形 (disgrace) と動詞形 (disgrace) の使い分けが問われることが多いです。文脈から意味を判断する練習が必要です。
Part 5 (短文穴埋め) や Part 7 (長文読解) で見られることがあります。ビジネスシーンでの不名誉な行為や状況を表す際に使われることが多いです。類義語との識別が重要になります。
リーディングセクションで、アカデミックな文章の中で出題される可能性があります。政治、歴史、社会問題など、フォーマルな文脈で使われることが多いです。disgrace が持つ否定的なニュアンスを正確に理解する必要があります。
難関大学の長文読解で出題される可能性があります。文脈から「不名誉」「恥辱」といった意味を推測する問題や、disgraceful などの派生語の知識が問われることがあります。