cradle
最初の音は日本語の『ク』よりも、少し喉の奥から出すイメージです。母音 /eɪ/ は二重母音で、『エイ』と聞こえますが、日本語の『エ』から『イ』へスムーズに移行する意識を持ちましょう。最後の /l/ は舌先を上の歯茎につけて発音します。曖昧母音化して「ウ」に近い音になることもあります。
揺りかご
赤ちゃんを寝かせる、揺り動かせるベッド。比喩的に「発祥の地」「誕生の場所」の意味でも使われる。
The mother gently placed her baby in the cradle.
母親は優しく赤ちゃんを揺りかごに入れた。
※ この例文は、母親が赤ちゃんをそっと揺りかごに寝かせる、愛情あふれる温かい場面を描いています。cradle(揺りかご)の最も中心的で自然な使い方の一つです。「gently」は「優しく、そっと」という意味で、動作の様子が伝わります。
They bought a beautiful wooden cradle for their new baby.
彼らは新しい赤ちゃんのために美しい木の揺りかごを買った。
※ 赤ちゃんが生まれるのを心待ちにしている夫婦が、新しい揺りかごを選ぶワクワクする場面です。cradleが「赤ちゃんのための家具」として購入される典型的な文脈です。「beautiful wooden」のように形容詞を重ねて使うことで、揺りかごの見た目がより具体的にイメージできます。
My grandmother still keeps the old cradle from her childhood.
私の祖母は、自分の子供の頃の古い揺りかごを今も大切にしまっている。
※ 家族の歴史や思い出が詰まった古い揺りかごを、祖母が大切にしている心温まる場面です。cradleが単なる道具ではなく、「思い出の品」として大切にされていることが伝わります。「still keeps」は「今も持ち続けている/しまっている」という継続を表し、「from her childhood」で「彼女の子供時代からの」という由来を示しています。
育む
愛情を込めて、または初期の段階で何かを育てる、保護する意味。夢や希望、考えなどを育む場合にも使われる。
The mother gently cradled her crying baby in her arms.
母親は泣いている赤ちゃんを優しく腕に抱きしめました。
※ この例文では、お母さんが泣いている赤ちゃんを優しく抱きかかえて、安心させている情景が目に浮かびます。「cradle」が「優しく抱く」という意味で、物理的な対象(赤ちゃん)に使われる最も典型的な例です。まるでゆりかごのように大切に、そっと扱うニュアンスが伝わります。ここでの「in her arms」は「腕の中に」という意味で、状況をより具体的にしています。
Our company strives to cradle young talent for the future.
私たちの会社は、未来のために若い才能を育むよう努めています。
※ この例文では、会社が未来のために、若い才能を大切に育てようと努力している様子が伝わってきます。「cradle」は物理的なものだけでなく、才能やアイデア、文化など抽象的なものを「大切に育む」「保護する」という意味でも使われます。ここでは、未来への投資として才能を大切にする姿勢を表しています。「strives to do」は「〜しようと努力する」という意味で、ビジネスシーンでもよく使われる表現です。
This small town has cradled many great artists over the years.
この小さな町は、長年にわたって多くの偉大な芸術家たちを育んできました。
※ この例文からは、小さな町から多くの素晴らしい芸術家が生まれ、育ってきた歴史が感じられます。「cradle」は、ある場所が特定の文化や才能の「発祥の地」となり、それを育んできた、という歴史的な文脈でもよく使われます。まるでゆりかごのように、多くのものを育ててきたイメージです。「has cradled」は現在完了形(have + 過去分詞)で、「〜してきた」という、過去から現在まで続いている意味を表します。「over the years」は「長年にわたって」という意味です。
そっと抱く
揺りかごのように、優しく、包み込むように抱きしめる動作。安心感を与えるニュアンス。
The mother gently cradled her sleeping baby in her arms.
母親は眠っている赤ちゃんを優しく腕に抱きしめました。
※ 「cradle」が最も典型的に使われる、愛情深く、そっと抱きかかえる様子が伝わります。お母さんが赤ちゃんを優しく抱いている、穏やかな情景が目に浮かびますね。「in her arms」で「腕に抱いて」という状況が明確になります。
She gently cradled the tiny bird that had fallen from its nest.
彼女は巣から落ちた小さな鳥をそっと抱きかかえました。
※ 壊れやすいものや、守りたいものを優しく扱う場面でよく使われます。「tiny bird」のように小さくて繊細なものに使うと、「cradle」の「そっと、大切に」というニュアンスがより強調されます。手のひらに乗せて、壊れないように大事にしている様子が想像できます。
The quiet valley cradles a small, peaceful village.
その静かな谷は、小さく平和な村を優しく包み込んでいます。
※ 物理的に抱く以外にも、何かを「優しく包み込む」「保護する」といった比喩的な意味でも使われます。ここでは、谷が村を暖かく見守るような、安らぎの情景が浮かびます。自然が何かを「そっと支える」ような場面で使われることがあります。
コロケーション
揺りかごを揺らす、子育てをする
※ 文字通りには揺りかごを揺らす行為を指しますが、比喩的には「子育てをする」「幼い子供を世話する」という意味合いで使われます。特に母親の役割を指すことが多いですが、父親や養育者にも使えます。古風な表現で、現代では 'take care of a baby' や 'raise a child' の方が一般的ですが、文学作品や詩などでは今も使われます。また、'rock the cradle of civilization' のように、文明の揺籃期(黎明期)を指す比喩表現にも用いられます。
揺りかごから、幼い頃から、生まれつき
※ 「揺りかごから墓場まで」という表現の一部で、「幼い頃からずっと」という意味を持ちます。才能や特性について語る際に、「彼は揺りかごから音楽の才能があった」のように使われ、生まれつきの性質を強調します。フォーマルな場面でも使用できますが、やや文学的な響きがあります。類似の表現として 'from birth' がありますが、'from the cradle' はより感情的なニュアンスを含むことがあります。
〜の揺りかごの中で、〜の発祥地で
※ 比喩的に、ある場所が何かの始まりや発祥の地であることを示します。例えば、「文明の揺りかご」は、文明が最初に発展した地域(メソポタミアなど)を指します。この表現は、特定の文化、思想、技術などが生まれた場所を強調する際に用いられ、歴史的、文化的な重要性を示唆します。'at the heart of' (〜の中心で) と似た意味合いを持ちますが、'in the cradle of' は起源や初期段階に重点を置いています。
揺りかごから奪う、誘拐する(比喩的に)
※ 文字通りには揺りかごから赤ちゃんを奪うことを意味しますが、比喩的には、非常に若い才能や可能性を早期に奪う、あるいは失わせるという意味で使われます。例えば、「病気が彼を揺りかごから奪った」のように、若くして亡くなった人を悼む際に用いられます。非常に強い感情を伴う表現で、文学作品や悲劇的な出来事を語る際に使われることが多いです。類似の表現として 'steal someone's youth' がありますが、'snatch from the cradle' はより直接的で衝撃的なイメージを与えます。
革新の発祥地
※ ある場所や組織が、新しいアイデアや技術が生まれる中心地であることを指します。シリコンバレーのような、技術革新が盛んな地域を指す際に使われることが多いです。この表現は、単に新しいものが生まれるだけでなく、それが広がり、影響力を持つ場所であることを強調します。 'hub of innovation' (革新の拠点) と似た意味合いですが、'cradle' はより初期段階、つまり「ゆりかご」で育まれるイメージを含んでいます。
揺りかごに戻る、故郷に帰る、原点回帰する
※ 文字通りの意味の他に、比喩的に「故郷に帰る」「原点に立ち返る」という意味で使われます。物理的な場所だけでなく、精神的な故郷や、活動の原点に戻ることも指します。例えば、「彼は引退後、故郷に戻って農業を始めた」のように使われます。また、技術や思想が初期の形に戻ることを指す場合もあります。'go back to one's roots' (自分のルーツに戻る) と似た意味合いですが、'return to the cradle' はより深い精神的な回帰を暗示することがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で、比喩表現として使われることがあります。例えば、ある理論や研究が「新しい分野の萌芽を育む(cradle)」といったように、発展の初期段階や起源を示す際に用いられます。心理学や社会学分野では、特定の環境や状況が個人の発達や行動を「育む(cradle)」といった文脈で使用されることもあります。
ビジネスシーンでは、新規事業やプロジェクトの初期段階を指して使われることがあります。例えば、プレゼンテーション資料で「このプロジェクトは当社の将来を育む(cradle)ものとなるでしょう」のように、将来性や成長の可能性を強調する際に用いられます。また、人材育成の文脈で、研修プログラムが社員の潜在能力を「育む(cradle)」と表現することもあります。
日常会話ではあまり使われませんが、子育てに関する話題や、過去の思い出を語る際に「揺りかご(cradle)」という名詞が用いられることがあります。例えば、「実家にはまだ古い揺りかご(cradle)が残っているんだ」といったように、懐かしい情景を思い起こさせる際に使われます。また、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、比喩表現として「文明の揺りかご(cradle of civilization)」といったフレーズを見かけることがあります。
関連語
類義語
- bassinet
乳幼児用のゆりかごの一種で、特に生後数ヶ月の赤ちゃんを寝かせるために使われる、持ち運び可能な小型のベッド。 【ニュアンスの違い】"cradle"よりも具体的な物を指し、よりフォーマルな響きがある。赤ちゃん用品のカタログや育児関連の文章でよく見られる。 【混同しやすい点】"cradle"はより一般的な言葉で、比喩的に「発祥の地」という意味でも使われるが、"bassinet"は具体的なベビー用品のみを指す。
- crib
乳幼児用の柵で囲まれたベッド。赤ちゃんが成長して動き回るようになっても安全に寝かせられるように設計されている。一般的に "cradle" より大きく、安定している。 【ニュアンスの違い】"cradle" が揺り動かす機能を持つことが多いのに対し、"crib" は安定した睡眠場所を提供する。より実用的で、長期間使用されることを想定している。 【混同しやすい点】"cradle" は新生児期に一時的に使用されることが多いが、"crib" はより長い期間、乳幼児期全体で使用される。
育む、養育するという意味の動詞。子供や若い動物を育てたり、才能やアイデアを育む場合にも使われる。ビジネスや教育の文脈でも使われる。 【ニュアンスの違い】"cradle" が物理的な場所や保護を意味するのに対し、"nurture" は成長を促すための精神的、肉体的なケアや教育を意味する。より抽象的な概念。 【混同しやすい点】"cradle" は名詞だが、"nurture" は動詞である。"cradle" を動詞として使う場合は「優しく抱く」という意味になるが、"nurture" の「育む」とは意味が異なる。
- incubate
卵を孵化させる、または細菌や細胞を培養するという意味。比喩的に、アイデアや計画を熟考し、発展させるという意味でも使われる。学術的な文脈やビジネスで使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"cradle" が保護された場所を意味するのに対し、"incubate" は成長を促すための環境を整えることを意味する。より専門的なニュアンスがある。 【混同しやすい点】"incubate" は通常、生物学的な成長や発展に関連する状況で使用され、"cradle" のように人や感情を優しく包み込むような意味合いはない。
育成する、促進するという意味。子供を里親として育てる場合や、才能や関係性を育む場合に使われる。フォーマルな場面や公的な文章でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"cradle" が初期の保護や育成を意味するのに対し、"foster" はより長期的な育成や支援を意味する。より意識的な努力や責任を伴う。 【混同しやすい点】"foster" は通常、公式な関係性や制度的な支援を伴う場合に用いられ、"cradle" のように個人的な愛情や親密さを伴うニュアンスは薄い。
(感情や考えを)心に抱く、隠し持つという意味。ネガティブな感情や秘密などを抱えている状況を表すことが多い。文学的な表現やニュース記事などで使われる。 【ニュアンスの違い】"cradle" が何かを優しく包み込むイメージであるのに対し、"harbor" は隠された、あるいは抑圧された感情を抱え込むイメージ。感情の強さや秘密性が強調される。 【混同しやすい点】"cradle" はポジティブな意味合いを持つことが多いが、"harbor" はネガティブな感情や考えに関連して使われることが多い。感情の方向性が逆である。
派生語
- encradle
『揺りかごに入れる』という意味の動詞。接頭辞『en-(中に入れる)』が加わり、『揺りかごで包み込む』というイメージ。比喩的に『保護する』『育む』という意味でも使われる。文学作品や詩で用いられることが多い。
- cradling
『揺りかごで揺らすこと』を意味する動名詞または現在分詞。『cradle』に進行形を作る接尾辞『-ing』が付加。スポーツ(特にサーフィンやスノーボード)で、板を抱え込むような姿勢を指す専門用語としても使われる。日常会話では稀だが、特定の文脈では重要。
- cradled
『揺りかごに入れられた』という意味の過去分詞または形容詞。『cradle』に過去分詞を作る接尾辞『-ed』が付加。受け身の文や形容詞として使用され、『愛情深く抱きしめられた』のようなニュアンスで比喩的に使われることもある。文学的な表現に多い。
反意語
『見捨てる』『放棄する』という意味の動詞。『cradle(揺りかご)』が保護や育成を象徴するのに対し、『abandon』は保護を放棄し、危険な状態に放置することを意味する。子供や計画、場所など、幅広い対象に使われる。日常会話からビジネス、学術的な文脈まで頻出。
『拒絶する』『拒否する』という意味の動詞。『cradle』が受け入れ、育むイメージなのに対し、『reject』は受け入れを拒否し、排除する意味合いを持つ。提案、感情、人など、抽象的な対象にも使われる。フォーマルな場面でも使用される。
『怠る』『無視する』という意味の動詞。『cradle』が注意深く世話をするのに対し、『neglect』は義務や注意を怠り、放置することを意味する。子供の世話、仕事、健康など、様々な状況で使われる。日常会話でもよく用いられる。
語源
「cradle」の語源は古英語の「cradol」に遡ります。これはさらに、ゲルマン祖語の「*kradō」に由来すると考えられており、元々は「バスケット」や「容器」といった意味合いを持っていました。この「容器」という概念が、幼い子供を安全に包み込む揺りかごへと意味が発展していったと考えられます。日本語で例えるなら、「ゆりかご」が文字通り「揺らす籠」であるように、「cradle」もまた、物を入れるための容器から、子供を揺り動かすための特別な容器へと意味を特化させていったと言えるでしょう。この語源を知ることで、「cradle」が単なる家具ではなく、愛情と保護の象徴でもあることが理解できます。
暗記法
「cradle(ゆりかご)」は、生命の始まりを包む愛情と希望の象徴。家族の絆や世代を超えた愛情を紡ぎ、未来への希望を託すメタファーとして、芸術や文学に登場します。「文明の揺りかご」は、文化・知識・社会構造の源泉を指し、「揺りかごから墓場まで」は生涯にわたるケアを意味します。しかし、無力さや喪失の象徴となることも。多面的な意味を持つ言葉として、記憶に刻みましょう。
混同しやすい単語
『cradle』と最初の音が似ており、どちらも二音節の単語であるため、発音を聞き間違えやすい。スペルも 'c' で始まり、母音字が連続している点で共通する。意味は『珊瑚』であり、名詞として使われる点が共通するが、意味は全く異なる。日本人学習者は、/k/の後の母音の違い(cradleの/eɪ/とcoralの/ɔːr/)を意識して発音練習することが重要です。
スペルが似ており、特に最初の 'cr' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。また、発音も最初の音が似ているため、聞き間違える可能性もある。『凝固する』という意味の動詞であり、cradle(ゆりかご)とは意味も品詞も異なる。注意点として、curdleは動詞であり、cradleは名詞であることが多い点を意識すると良い。
発音がやや似ており、どちらも二音節の単語であるため、特に早口で話されると聞き間違えやすい。スペルは全く異なるが、音の響きが似ているため注意が必要。『家畜』という意味で、名詞として使われる。cattleは集合名詞であり、常に複数扱いになる点もcradleとの違いです。
スペルの最初の部分 'cru' が共通しているため、視覚的に混同しやすい。また、発音も最初の音が似ているため、聞き間違える可能性もある。『粗末な』、『未精製の』という意味の形容詞であり、cradle(ゆりかご)とは意味も品詞も異なる。単語の成り立ちとして、crudeは「未加工の」という意味合いが強く、cradleとは全く異なる語源を持つことを覚えておくと良いでしょう。
スペルと発音が部分的(cr-の部分)に似ているため、混同しやすい。『信条』や『教義』という意味の名詞であり、cradle(ゆりかご)とは意味が大きく異なる。creedはラテン語の「credere(信じる)」に由来し、cradleとは語源が全く異なる。
スペルの一部(cr-al)が似ており、視覚的に紛らわしい。発音も最初の部分が似ている。『這う』という意味の動詞で、cradle(ゆりかご)とは意味も品詞も異なる。crawlは、赤ちゃんがcradleから出て動き回る様子を連想させると、意味の違いを覚えやすいかもしれません。
誤用例
『cradle』は文字通りには『ゆりかご』を意味し、比喩的に『発祥の地』や『揺籃(ようらん)』と訳せますが、プロジェクトの起源を指す場合はやや不自然です。日本語の『温床』という言葉に引っ張られ、『物事が育つ場所』というイメージで使ってしまう誤りが見られます。より適切なのは『originate』や『stem from』といった表現で、プロジェクトのアイデアやビジョンがどこから来たのかを明確に示すことができます。また、日本語の『〜の夢から生まれた』を直訳すると不自然になりがちです。英語では、より具体的に『vision』を使う方が、ビジネスの文脈では適切です。
『cradle』を動詞として使う場合、『ゆりかごで優しく揺らす』というイメージが強く、保護や育成の意味合いは強いものの、ビジネスや政策の文脈ではやや感情的すぎます。日本語の『〜を育む』という言葉から安易に『cradle』を選んでしまうと、不自然な印象を与えることがあります。より適切なのは『nurture』や『foster』で、長期的な視点での育成や支援を意味します。また、英語ではビジネスシーンにおいて感情的な表現は避けられる傾向にあり、より客観的で具体的な言葉を選ぶことが重要です。
『cradle』は『初期段階』という意味合いで使用できますが、これは比喩的な用法であり、特に抽象的な概念や理論に対して使う場合は、やや詩的な響きがあります。日本語の『揺籃期』という言葉に影響されやすい誤用です。よりフォーマルで客観的な表現としては、『nascent stage』や『early stage』が適切です。特に学術的な文脈やビジネスシーンでは、より直接的で明確な言葉を選ぶことが望ましいとされます。また、英語では抽象的な概念を説明する際に、具体的なイメージを避け、より抽象的な言葉を用いる傾向があります。
文化的背景
「cradle(ゆりかご)」は、誕生、無垢、そして保護といった概念を象徴する、文化的に非常に豊かな言葉です。揺りかごは単なる幼児用ベッドではなく、生命の始まりを優しく包み込む、愛情と希望のメタファーとして、文学、芸術、そして日常生活の中で用いられてきました。
揺りかごは、しばしば家族の絆や、世代を超えた愛情の連鎖を象徴します。古い民話や童謡では、揺りかごは母親の愛情と子守唄とともに描かれ、安心感と安全のイメージを喚起します。また、揺りかごは未来への希望の象徴でもあります。新しい生命が揺りかごの中で育つ様子は、可能性と成長のメタファーとして、多くの芸術作品や文学作品に登場します。例えば、聖母マリアが幼いイエスを抱く姿は、揺りかごのイメージと重なり、神聖な愛と保護を象徴します。
比喩的な意味合いにおいても、「cradle」は重要な役割を果たします。「文明の揺りかご」という表現は、特定の地域が文明の発祥地であることを指し、その場所が文化、知識、そして社会構造の基礎を築いたことを意味します。メソポタミアやエジプトといった古代文明は、「文明の揺りかご」として言及され、人類の歴史における重要な転換点を示唆します。また、「cradle to grave(揺りかごから墓場まで)」という表現は、人生の始まりから終わりまで、生涯にわたるケアやサポートを意味し、福祉国家の理念や社会保障制度を語る上で重要な概念となります。
しかし、「cradle」は必ずしもポジティブなイメージだけを持つわけではありません。揺りかごは、無力さや依存を象徴することもあります。また、揺りかごを失うことは、保護の喪失や不安定な状況を意味し、悲しみや不安の感情を伴います。例えば、戦争や災害によって故郷を失った人々は、「揺りかご」を失った状態として表現されることがあります。このように、「cradle」は、人間の感情や経験の複雑さを反映した、多面的な意味を持つ言葉なのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(特に準1級以上)。稀にリスニング。
- 頻度と級・パート: 準1級以上でやや頻出。1級でも見られる。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いテーマ(環境問題、社会問題など)の長文読解で、比喩表現として使われることも。語彙問題では、動詞「cradle」の他動詞としての意味が問われやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(ゆりかご)の意味だけでなく、動詞(大事に抱く、育む)の意味も重要。比喩表現としての用法も押さえておくこと。文脈から意味を推測する練習を。
- 出題形式: 長文読解(Part 7)、稀に語彙問題(Part 5)。
- 頻度と級・パート: Part 7でまれに出題される程度。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンよりも、社会問題や環境問題に関する記事で使われることが多い。比喩的な意味合いで使用される場合もある。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEICでは頻出単語ではないため、優先順位は低い。ただし、長文読解で出てきた場合は、文脈から意味を推測できるようにしておくと良い。
- 出題形式: リーディング(長文読解)、ライティング(エッセイ)。
- 頻度と級・パート: リーディングで中程度の頻度。アカデミックな文章でよく用いられる。
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会科学など、アカデミックなテーマで、比喩表現として使われることが多い。動詞として「育む」「保護する」といった意味合いで使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈での比喩表現を理解することが重要。名詞だけでなく、動詞としての意味をしっかりと把握しておくこと。同義語(nurture, foster)も覚えておくと役立つ。
- 出題形式: 長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)。
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文読解でまれに出題される程度。
- 文脈・例題の特徴: 環境問題、社会問題、歴史などのテーマで、比喩表現として使われることが多い。動詞としての意味が問われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 難易度の高い単語なので、意味を暗記するだけでなく、文脈の中でどのように使われるかを理解することが重要。比喩表現に慣れておくこと。