addict
第一音節にアクセントがあります。母音 /æ/ は日本語の「ア」よりも口を大きく開けて発音し、「エ」に近い音を意識しましょう。/d/ は有声歯茎破裂音で、日本語の「ダ」行の子音と似ていますが、より強く息を出すように意識するとクリアに聞こえます。最後の /t/ は、息を止めるように発音すると、より自然な英語らしい発音になります。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
中毒者
特定の物質や行為に依存し、やめたくてもやめられない人。薬物、アルコール、ギャンブル、ゲームなど対象は様々。
My brother became a complete game addict, always playing on his console.
私の弟はすっかりゲーム中毒者になってしまい、いつもゲーム機で遊んでいます。
※ この文は、リビングで弟が一日中ゲームに夢中になっている様子を伝えます。少し心配しているような気持ちが込められています。「addict」は、薬物だけでなく、ゲームやスマホなど特定の行動に夢中になりすぎてやめられない人にもよく使われます。「complete」は「すっかり」「完全に」という意味で、その状態がかなり深刻であることを強調します。
My friend is a chocolate addict; she always carries some in her bag.
私の友達はチョコレート中毒者で、いつもカバンにいくつか入れています。
※ この文は、友達が常にチョコレートを持ち歩き、隙あらば食べているような、少しユーモラスで親しみやすい場面を描写しています。「addict」は、このように特定の食べ物や飲み物(例: coffee addict)に目がなく、やめられない人にも使われます。この場合、深刻な病気というよりは、その習慣や嗜好が非常に強い状態を表します。セミコロン(;)は、前の文を補足するような情報を続けるときによく使われます。
He was a drug addict for years, but now he is getting better.
彼は何年も薬物中毒者でしたが、今は回復しつつあります。
※ この文は、過去の辛い経験を乗り越え、現在回復に向けて努力している人の姿を描いています。希望が感じられる場面です。「addict」は、もともと「薬物中毒者」を指すことが多く、最も中心的な使い方の一つです。「drug addict」は非常に一般的な表現です。過去形「was」と現在進行形「is getting better」を使うことで、時間の流れと変化を表現しています。
病みつきの
習慣性が高く、一度始めるとやめられないような性質を持つことを指す。ゲームや食べ物などに対して使われる。
My daughter is addicted to that sweet chocolate cake.
娘はあの甘いチョコレートケーキに病みつきです。
※ 目を輝かせながら、何度もあのケーキをねだる娘さんの姿が目に浮かびますね。特定のお菓子や食べ物に「ハマっている」状況は非常によくあるので、この例文はとても自然です。「be addicted to 〜」の形で「〜に病みつきだ」という状態を表します。ここでは、やめられないほど好き、というポジティブな意味合いで使われています。
My brother is addicted to that new video game.
兄はあの新しいビデオゲームに病みつきです。
※ 部屋にこもって、食事も忘れてゲームに熱中しているお兄さんの様子が想像できます。新しい趣味やゲームに夢中になる状況は多くの人が経験することでしょう。「addicted」は「中毒」という強い意味合いもありますが、このように「夢中になっている」「ハマっている」という、比較的軽い意味でも日常会話でよく使われます。
I became addicted to watching that K-drama last week.
先週、私はあの韓国ドラマを見るのに病みつきになりました。
※ 続きが気になって、つい夜更かししてでも見てしまう、そんなドラマにハマった経験はありますか?この例文は、まさにその「一気見」の情景を描写しています。「became addicted to 〜」で「〜に病みつきになる」という変化を表せます。過去形「became」を使うことで、ある時点からハマり始めた様子が伝わりますね。
コロケーション
薬物中毒者
※ 最も直接的で一般的なコロケーションです。文字通り、薬物に依存している人を指します。医学、法律、ニュース報道など、幅広い場面で使用されます。依存の対象が特定されている場合に用いられ、例えば 'heroin addict', 'cocaine addict' のように具体的に表現することも可能です。単に'addict'という場合よりも、対象を明示することで深刻さや状況を具体的に伝えられます。
ゲーム中毒者
※ 近年、社会問題となっているゲーム依存症を表す表現です。オンラインゲームやビデオゲームに過度に没頭し、日常生活に支障をきたしている状態を指します。精神医学や心理学の分野でも用いられるようになってきました。他の依存症と同様に、専門家のサポートが必要となる場合もあります。特に若年層における使用頻度が高いです。
インターネット中毒者
※ インターネットへの過剰な依存を指す言葉で、特にSNS、動画視聴、オンラインショッピングなどに時間を費やし、現実世界での活動を疎かにする状態を指します。情報技術の発展とともに、この表現も一般的になりました。'social media addict'(ソーシャルメディア中毒者)という表現もよく使われます。
~に依存している
※ addictを名詞ではなく形容詞的に使う構文です。'He is addicted to gambling.'(彼はギャンブルに依存している)のように、特定の対象に対する依存状態を表します。この構文は、依存の対象を具体的に示したい場合に便利です。フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使用できますが、依存の深刻さを伝えるニュアンスがあります。
回復中の依存症患者
※ 依存症からの回復を目指している人を指す表現です。過去に依存症であったものの、治療や自助グループへの参加などを通じて、依存状態から脱却しようと努力している状態を表します。この表現は、スティグマを軽減し、回復への希望を示すために意図的に使用されます。医療や福祉の現場でよく用いられます。
チョコレート中毒者
※ チョコレートが大好きで、日常的に大量に摂取する人を指す、ややユーモラスな表現です。深刻な依存症というよりは、嗜好の強さを強調する際に用いられます。同様に、'coffee addict'(コーヒー中毒者)なども使われます。友人との会話など、カジュアルな場面での使用に適しています。ただし、本当に健康を害するほどチョコレートを摂取している場合は、注意が必要です。
アドレナリン中毒者
※ 危険なスポーツやスリルを求める行動を繰り返す人を指す比喩的な表現です。スカイダイビング、モータースポーツ、ギャンブルなど、アドレナリンの分泌を促す活動に熱中する人を指します。必ずしも医学的な意味での依存症ではありませんが、行動のパターンが依存症に似ていることから、このように呼ばれます。主に口語で使用されます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、特定の物質や行動への依存に関する研究を議論する際に使用されます。心理学、医学、社会学などの分野で、依存症のメカニズムや影響を分析する文脈で登場します。例えば、「ニコチンaddictの脳活動をfMRIで測定した結果、特定の脳領域の活性化が確認された」のように使われます。
ビジネスシーンでは、直接的な「中毒者」という意味で使用されることは稀ですが、比喩的に「熱狂的なファン」や「熱心な利用者」を指すことがあります。例えば、マーケティング戦略会議で「この製品は、アーリーアダプターにとってaddictになりうる要素を持っている」のように、肯定的な意味合いで使われることがあります。ただし、ネガティブな意味合いを避けるため、慎重な使用が求められます。
日常会話では、特定の行動や物事に対する強い執着や依存を表現する際に使用されます。例えば、「私はコーヒーaddictだ」のように、冗談交じりに自分の習慣を表現したり、「彼はゲームaddictだ」のように、他人の行動を評したりすることがあります。ただし、相手を傷つけないように、文脈や相手との関係性に注意して使用する必要があります。
関連語
類義語
(形容詞)あるものに頼っている状態、依存している状態を指す。医学的な文脈や、心理学的な文脈でよく用いられる。物質だけでなく、人や状況にも使える。 【ニュアンスの違い】"addict"よりもフォーマルで、医学的・客観的な響きを持つ。依存の対象に対する道徳的な非難のニュアンスは薄い。 【混同しやすい点】"addict"は名詞としても使われるが、"dependent"は形容詞である。また、"dependent"は"on"という前置詞を伴うことが多い(例:dependent on alcohol)。
- hooked
(形容詞)あるものに夢中になっている、または依存している状態を表す。非常にカジュアルな表現で、日常会話でよく用いられる。良い意味でも悪い意味でも使うことができる。 【ニュアンスの違い】"addict"よりも口語的で、深刻さの度合いが低いことが多い。一時的な熱中や、軽い依存を表すことが多い。 【混同しやすい点】"hooked"は、be動詞とともに使われることが多い(例:I'm hooked on this game)。"addict"のように名詞としては使われない。また、良い意味で使われることもある点が"addict"と異なる。
(形容詞)あることに対して異常なほど心を奪われている状態を指す。強迫観念に近い状態を表すことが多い。対象は人、物、考えなど多岐にわたる。 【ニュアンスの違い】"addict"よりも精神的な状態に焦点を当てている。依存というよりは、妄執や執着に近いニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】"obsessed"は、必ずしも物質的な依存を意味しない。また、"with"という前置詞を伴うことが多い(例:obsessed with fame)。"addict"のように、身体的な依存を伴うとは限らない。
- enthralled
(形容詞)魅了された、心を奪われた状態を表す。文学的な表現で、日常会話ではあまり使われない。美しいものや素晴らしい才能に対して使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"addict"のようなネガティブな意味合いはほとんどなく、ポジティブな感情を表す。対象に対する強い肯定的な感情が含まれる。 【混同しやすい点】"enthralled"は、受動的な状態を表し、自発的な行為ではない。また、依存症のような深刻な状態を表すことはない。文学作品や詩などで見られることが多い。
- compulsive
(形容詞)衝動的な、抑えきれないという意味。行動や思考パターンに対して使われることが多い。医学的な文脈や、心理学的な文脈で用いられる。 【ニュアンスの違い】"addict"が依存の対象に焦点を当てるのに対し、"compulsive"は行動の性質に焦点を当てる。依存症に伴う行動の特徴を説明する際に用いられることが多い。 【混同しやすい点】"compulsive"は、名詞としてはあまり使われない。また、依存症以外の文脈でも、衝動的な行動を表す際に用いられる(例:compulsive liar)。
- habituated
(形容詞)習慣になった、慣れ親しんだという意味。薬物や環境など、繰り返し経験することで慣れてしまった状態を表す。心理学や医学の分野で使われる。 【ニュアンスの違い】"addict"よりも依存の度合いが低いニュアンスを持つ。単に習慣になっているだけで、必ずしも強い渇望や離脱症状を伴うとは限らない。 【混同しやすい点】"habituated"は、受動的な状態を表し、自発的な行為ではない。また、依存症の初期段階や、依存症に至る前の状態を表すことが多い。
派生語
『中毒』や『依存症』を意味する名詞。動詞『addict』から派生し、状態や習慣を表す接尾辞『-ion』が付加された。医学、心理学、社会学などの分野で頻繁に使われ、学術的な文脈でも日常的な会話でも用いられる。単なる習慣ではなく、強い欲求や制御不能な状態を指すニュアンスが強い。
『中毒性の』『依存性の』という意味の形容詞。動詞『addict』に性質や傾向を表す接尾辞『-ive』が付加された。物質や行動が持つ、人を依存させる性質を指す。日常会話では、ゲームや食べ物など、人を強く引きつけるものに対して使われる。学術的な文脈では、物質依存や行動依存に関する研究で用いられる。
『中毒になっている』『依存している』という意味の形容詞(または過去分詞)。動詞『addict』の過去分詞形であり、状態を表す。日常会話では、『~にハマっている』というニュアンスで使われることもあるが、より深刻な依存状態を指す場合が多い。医学的な文脈では、特定の物質や行動に対する依存症の状態を指す。
反意語
- abstainer
『禁酒者』や『節制者』を意味する名詞。『addict』が何かに溺れている状態を表すのに対し、『abstainer』は特定の物質や行動を意図的に避けている人を指す。特にアルコールや薬物、タバコなどの中毒性のあるものに対して使われることが多い。日常会話や健康に関する文脈で用いられる。
- detoxified
『解毒された』という意味の形容詞(または過去分詞)。『addict』が毒に侵されている状態を表すのに対し、『detoxified』は解毒治療を経て、その影響から解放された状態を指す。医学的な文脈で、薬物やアルコール依存症からの回復過程を表す際によく用いられる。比喩的には、有害な情報や人間関係から解放された状態を指すこともある。
- recovered
『回復した』という意味の形容詞(または過去分詞)。『addict』が病的な状態であるのに対し、『recovered』は病気や依存症から回復し、健康な状態に戻ったことを意味する。医学、心理学、社会学など幅広い分野で使用される。単に過去の状態から脱しただけでなく、再発のリスクを乗り越えて安定した状態を維持しているニュアンスを含む。
語源
「addict」はラテン語の「addictus」に由来します。これは「引き渡された」「依存した」という意味の言葉で、「addicere」(引き渡す、宣告する)の過去分詞形です。さらに遡ると、「ad-」(~へ)と「dicere」(言う、宣告する)という要素から成り立っています。古代ローマでは、債務者が返済できない場合、債権者に「addictus」として引き渡され、隷属状態になることがありました。つまり、もともとは法的な意味合いで「拘束された」状態を表していたのです。この「引き渡された」という概念が転じて、現代では特定の物質や行為に「囚われた」「依存した」状態、つまり「中毒者」「病みつき」という意味で使われるようになりました。まるで、あるものに自らを「引き渡してしまった」かのような状態を表しているのです。
暗記法
元々「捧げる」意味だったaddict。修道士の献身から一転、19世紀にはアヘン窟の退廃を象徴する言葉へ。ボードレールやドストエフスキーが描いた、自己破壊的な快楽への耽溺。現代では対象は広がり、SNS、情報、教祖…あらゆるものへの過剰な依存を指す。広告で「中毒性」を謳う裏で、孤独や不安、満たされぬ欲望が潜む。Addictは、現代社会の病理を映す鏡なのだ。
混同しやすい単語
『addict』と発音が似ており、特に語尾の子音の区別が難しい場合があります。スペルも'a'と'ad'の違いしかなく、視覚的にも混同しやすいです。意味は『適応する』であり、自動詞・他動詞として使われます。『addict』が名詞であるのに対し、品詞も異なります。日本人学習者は、文脈から判断し、動詞として使われている場合は『adapt』である可能性を考慮すべきです。語源的には、'ad-'(~へ)+ 'aptus'(適した)であり、『~に適するようにする』という意味合いがあります。
『addict』とは発音が異なりますが、名詞形の『effect』と混同されることが多い単語です。スペルも似ており、意味も『影響を与える』と抽象的なため、文脈によっては誤解が生じやすいです。Affectは主に動詞として使われ、effectは名詞として使われます。ただし、effectも動詞として使われる場合(~をもたらす、~を成し遂げる)があるので注意が必要です。日本人学習者は、品詞と意味の両方から区別する必要があります。語源的には、'af-'(~へ)+ 'facere'(作る)であり、『~に働きかける』という意味合いがあります。
語尾の '-ict' の部分が『addict』と共通しており、発音の響きが似ているため、特に初見の単語の場合、混同しやすい可能性があります。意味は『立ち退かせる』であり、法的・不動産関係の文脈でよく使われます。addictのような強い依存性や習慣性とは無関係です。日本人学習者は、文脈から判断し、法的な意味合いを含む場合は『evict』である可能性を考慮すべきです。
『addict』と同様に語尾が '-ict' で終わるため、スペルと発音が似ています。意味は『勅令、布告』であり、歴史的な文脈や政治的な文脈で使われることが多いです。addictとは意味が全く異なります。日本人学習者は、歴史や政治に関する文章で出てきた場合はedictである可能性を考慮する必要があります。ラテン語の'edicere'(宣言する)が語源です。
『addict』とは発音が大きく異なりますが、末尾の '-ict' の綴りが共通しているため、視覚的に混同される可能性があります。意味は『(苦痛、損害などを)与える、負わせる』であり、addictのような依存症とは全く関係ありません。日本人学習者は、文脈から判断し、苦痛や損害に関する文章で出てきた場合はinflictである可能性を考慮する必要があります。
『addict』とは発音が大きく異なりますが、末尾の '-dict' の綴りが共通しているため、視覚的に混同される可能性があります。意味は『予測する』であり、未来に関する事柄を述べる際に使用されます。addictのような依存症とは全く関係ありません。日本人学習者は、文脈から判断し、未来や可能性に関する文章で出てきた場合はpredictである可能性を考慮する必要があります。'pre-'(前に)+ 'dicere'(言う)が語源です。
誤用例
『addicted to』は、元来、薬物やアルコールなどへの依存症を意味する言葉であり、自己啓発本を読む行為のような肯定的な活動に対して使うと、やや大げさ、あるいは皮肉に聞こえる可能性があります。日本語の『〜にハマっている』という軽いニュアンスで使うと、英語のネイティブスピーカーには依存症のような深刻な状態を連想させてしまい、不自然に感じられます。代わりに『keen on』や『fond of』を使う方が適切です。自己啓発本を読むことを肯定的に述べたい場合は、addictedは不向きです。日本人は謙遜の文化があり、良いことでも少し控えめに表現する傾向がありますが、英語では良いことはストレートに表現する方が自然です。addictedは、どちらかというとネガティブなニュアンスが強い単語です。
『addict』は名詞として使う場合、『〜中毒者』という意味合いが強く、通常は具体的な対象(drug addictなど)を伴います。『成功中毒者』という表現は、英語圏の文化ではやや病的でネガティブな響きがあります。成功への強い意欲を表現したいのであれば、『driven by a desire for success』や『highly motivated』といった表現を使う方が適切です。また、日本語の『〜中毒』という表現は、必ずしもネガティブな意味合いを持たないこともありますが、英語のaddictはより深刻な状態を指すことが多いです。日本人が『中毒』という言葉を比較的軽く使うのに対し、英語ではより重く受け止めるという文化的背景の違いが影響しています。
『addict』は形容詞として使う場合、『be addicted to』という形が正しい構文です。『addicted of』は文法的に誤りです。日本人は前置詞の選択を間違えやすい傾向がありますが、これは母語である日本語に前置詞に相当するものが少ないため、英語の前置詞の持つニュアンスを理解しにくいことが原因と考えられます。addicted toのtoは方向を表す前置詞であり、依存の対象に向かっている状態を表します。be addicted to ~ はセットで覚える必要があります。
文化的背景
「addict(中毒者)」という言葉は、単なる依存症という医学的な意味合いを超え、現代社会における欲望、快楽、そして自己喪失の象徴として深く根付いています。元来、「addict」は肯定的な意味合いも持ち合わせていましたが、時を経て、そのニュアンスは大きく変化しました。
歴史的には、addictという言葉は、中世英語の「addicten」に由来し、「正式に引き渡す」や「捧げる」といった意味を持っていました。例えば、修道士が神に身を捧げる、あるいは領主が臣下を王に捧げる、といった文脈で使用され、そこには義務や献身という概念が含まれていました。しかし、19世紀に入ると、アヘンやアルコールなどに対する依存症が社会問題化するにつれ、「addict」は徐々に否定的な意味合いを強めていきます。文学作品においても、退廃的な貴族や破滅型の芸術家がアヘン窟に耽溺する姿が描かれ、「addict」は道徳的な堕落や社会からの逸脱を象徴する言葉として定着していきました。特にボードレールの詩やドストエフスキーの小説には、自己破壊的な快楽を求める人間の心理が克明に描かれており、「addict」という言葉に深みを与えています。
現代社会においては、「addict」は物質的な依存症だけでなく、ギャンブル、インターネット、ゲーム、さらには仕事や人間関係など、あらゆる対象への過剰な依存を指す言葉として用いられます。SNSへの「いいね!」の渇望や、常に最新情報を追い求める現代人の姿は、ある意味で情報中毒(information addict)と言えるかもしれません。また、自己啓発セミナーやスピリチュアルなコミュニティに過度に依存する人々は、「guru addict(教祖中毒)」と揶揄されることもあります。これらの例は、「addict」が単なる病理的な状態を示すだけでなく、現代社会の構造的な問題や人間の心理的な脆弱性を反映していることを示唆しています。つまり、「addict」という言葉は、現代人が抱える孤独、不安、そして満たされない欲望のメタファーとして機能しているのです。
「addict」という言葉は、広告やメディアにおいても巧みに利用されています。新商品の宣伝文句に「addictive(中毒性のある)」という言葉を用いることで、消費者の購買意欲を刺激しようとする戦略は、日常的に目にすることができます。しかし、このような安易な使用は、「addict」という言葉が本来持つ深刻な意味合いを薄め、依存症に対する社会的な認識を歪める可能性も孕んでいます。したがって、「addict」という言葉を使用する際には、その背後にある歴史的、文化的、社会的な文脈を理解し、慎重に扱う必要があるでしょう。なぜなら、「addict」は単なる医学用語ではなく、人間の欲望、快楽、そして自己喪失という複雑なテーマを内包した、重みのある言葉だからです。
試験傾向
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解
2. 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題可能性あり
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、文化など幅広いテーマで、依存症に関する記事でよく見られる
4. 学習者への注意点・アドバイス: 名詞 (addict) と動詞 (addict to) の区別を明確にし、addiction(依存症)との関連も理解する。類義語としてdependent onも押さえる。
1. 出題形式: 主にPart 5 (短文穴埋め) 、Part 7 (長文読解)
2. 頻度と級・パート: 比較的まれだが、ビジネス関連のニュース記事や報告書などで見られる可能性あり
3. 文脈・例題の特徴: 組織論、人材育成、マーケティングなど、ビジネスシーンにおける何らかの中毒性や過度な依存状態を表す文脈
4. 学習者への注意点・アドバイス: フォーマルな文脈で使われることが多いことを意識し、文脈から意味を推測する練習をする。同義語のdependency, relianceなども覚えておくと役立つ。
1. 出題形式: リーディングセクション
2. 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
3. 文脈・例題の特徴: 社会学、心理学、医学などの分野で、物質依存、行動依存に関する学術的な議論の中で登場する
4. 学習者への注意点・アドバイス: 名詞・動詞の両方の用法を理解し、関連語彙(addiction, addictive)も合わせて習得する。文脈から正確な意味を把握する練習が重要。
1. 出題形式: 長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)
2. 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的なレベルの大学でも出題される可能性あり
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、心理学など、幅広いテーマで出題される。依存症に関する社会的な議論や科学的な研究に関する文章が多い
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習を重ねる。名詞・動詞の区別を理解し、関連語彙(addiction, addictive)も合わせて習得する。類義語(dependent, hooked)も覚えておくと役立つ。