well-being
第2音節の 'being' に強勢があります。'well' の /e/ は日本語の「エ」よりも少し口を横に開くイメージです。'being' の 'ee' は長音で、日本語の「イー」よりも口角を上げて発音するとよりネイティブに近い響きになります。全体的に、各音節をはっきりと発音することを意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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幸福
身体的、精神的、社会的に良好な状態を指す。単なる幸福感だけでなく、充実した生活や満足感を含むニュアンス。
Daily walks in fresh air are good for your mental well-being.
毎日新鮮な空気の中を歩くことは、心の幸福(精神的な健康)に良いです。
※ この例文は、健康習慣が個人の幸福にどう繋がるかを示しています。すがすがしい空気の中で散歩をしている自分を想像してみてください。心が満たされていく感覚が、まさに「well-being」です。特に「mental well-being(精神的な幸福/健康)」のように、特定の側面と組み合わせて使われることが多いですよ。
Our family always cares deeply about each other's well-being.
私たちの家族は、いつもお互いの幸福を深く気にかけています。
※ この例文は、大切な人の幸せを願う、温かい家族の情景を描いています。家族がお互いの体調や心の状態を心配し、支え合っている様子が伝わりますよね。「well-being」は、単なる「楽しい」という一時的な感情ではなく、心身の安定や充実といった、より深い「幸福な状態」を指すときに使われます。
The company is focusing on ways to improve employee well-being.
その会社は、従業員の幸福(福利厚生)を改善する方法に注力しています。
※ この例文は、企業が従業員の働きやすさや満足度を高めようと努力している場面を表しています。最近では、会社が単に給料を払うだけでなく、社員が心身ともに健康で、活き活きと働ける環境を整えることが重視されています。このように、組織全体で個人の「well-being」を考える文脈でよく使われます。
健康
病気がないだけでなく、心身ともに良好な状態。肉体的な健康だけでなく、精神的な安定や社会的なつながりも含む。
She does yoga every morning for her well-being.
彼女は心身の健康のために、毎朝ヨガをします。
※ この例文では、毎朝ヨガをする女性が、自分の心と体の両方を大切にしている様子が目に浮かびますね。このように「自分の健康や幸福のため」という目的で `for one's well-being` の形は非常によく使われます。`well-being` は単に体の健康だけでなく、心の健康や幸福感といった広い意味での「良好な状態」を表します。
His friends were worried about his well-being after he worked too much.
彼が働きすぎた後、友人たちは彼の健康状態を心配していました。
※ 友人が働きすぎて疲れている彼を見て、心配している場面です。ここでは `well-being` が、その人の心身の状態、特に「大丈夫かな?」と気にかける対象として使われています。このように、誰かの状態を気遣うときにも `well-being` は自然に使われます。`be worried about ~` は「〜について心配する」という定番の表現です。
Our company cares deeply about the well-being of its employees.
私たちの会社は、従業員の健康と幸福を深く大切にしています。
※ 会社が社員の健康や働きやすさを真剣に考えている様子が伝わる例文です。企業や組織が従業員や市民の「心身の健康と幸福」を重視する文脈で、`well-being` は非常によく使われます。`care about ~` は「〜を大切にする、気にかける」という意味で、`deeply` がその気持ちの強さを表しています。
コロケーション
幸福や健康を促進する
※ 「promote」は「促進する、推進する」という意味で、well-beingと組み合わせることで、個人の幸福や社会全体の福祉を向上させる活動や政策を指します。ビジネスシーンや公的機関で、従業員の健康増進プログラムや地域福祉の向上策などを説明する際によく用いられます。単に「improve well-being」と言うよりも、積極的な働きかけや戦略的なアプローチが含まれるニュアンスがあります。
幸福や健康を達成する
※ 「achieve」は「達成する、成し遂げる」という意味で、well-beingと組み合わせることで、目標としていた幸福や健康状態を実現することを指します。個人の努力や具体的な行動を通じて得られる結果を強調する場合に使われます。例えば、健康的なライフスタイルを送ることでwell-beingをachieveするといったように、プロセスと結果が明確な場合に適しています。
幸福感、健康感
※ 「sense of」は「感覚、意識」という意味で、well-beingと組み合わせることで、主観的な幸福感や健康状態に対する認識を指します。これは、客観的な状況だけでなく、個人の内面的な感情や満足度を重視する表現です。心理学やカウンセリングの分野で、患者の主観的なwell-beingを評価する際によく用いられます。数値化できない感情を表現するのに適しています。
全体的な幸福、包括的な健康
※ 「holistic」は「全体的な、包括的な」という意味で、well-beingと組み合わせることで、身体、精神、社会的な側面を含む、人間全体の幸福を指します。西洋医学だけでなく、東洋医学や代替医療の分野でも重視される概念で、個々の要素だけでなく、それらが相互に影響し合う全体像を捉えることが重要だと考えられています。健康食品やウェルネス関連のビジネスでよく使われる表現です。
幸福や健康への影響
※ 「impact on」は「〜への影響」という意味で、well-beingと組み合わせることで、特定の出来事や状況が個人の幸福や健康に与える影響を指します。環境問題、社会問題、経済状況などがwell-beingに与える影響を議論する際によく用いられます。例えば、「貧困が子どものwell-beingに与える深刻なimpact」といったように、原因と結果の関係を明確に示す場合に適しています。
幸福や健康への脅威
※ 「threat to」は「〜への脅威」という意味で、well-beingと組み合わせることで、個人の幸福や健康を損なう可能性のある要因を指します。病気、災害、犯罪などがwell-beingへのthreatとなり得ます。公衆衛生や安全保障の分野で、リスク管理や予防策を講じる必要性を訴える際に用いられます。例えば、「気候変動は人類のwell-beingへの深刻なthreatである」といったように、緊急性や深刻さを強調する場合に適しています。
精神的な幸福、精神的な健康
※ 「mental well-being」は、精神的な健康状態や幸福感を指す表現です。ストレス、不安、うつ病などの精神的な問題を抱えていない状態、またはそれらを克服し、前向きな気持ちで生活を送れている状態を表します。近年、メンタルヘルスへの関心が高まるにつれて、職場や学校など、さまざまな場面でこの表現が使われるようになりました。身体的な健康と同様に、精神的な健康も重要視されるべきであるという考え方が背景にあります。
使用シーン
学術論文、研究発表、講義などで頻繁に使用されます。心理学、社会学、医学、教育学など、幅広い分野で「個人の幸福感」「精神的な健康」「福祉」といった概念を扱う際に用いられます。例えば、「〜がwell-beingに及ぼす影響について調査した」「〜はwell-beingを高める効果があると考えられる」のように、研究結果や考察を述べる文脈でよく見られます。
企業の報告書、従業員向けの研修資料、人事関連文書などで使用されます。従業員の「幸福度」「満足度」「健康状態」を指す際に用いられ、「従業員のwell-being向上施策」「well-beingを重視した職場環境づくり」といった文脈で登場します。近年、企業の社会的責任(CSR)や人的資本経営の観点から注目されており、使用頻度は増加傾向にあります。
日常会話では、フォーマルな話題や健康に関する議論で稀に使用されることがあります。ニュース記事や雑誌記事、健康関連のウェブサイトなどで目にする機会が多いでしょう。例えば、「well-beingを意識した生活を送る」「well-beingを高めるためのヒント」のように、健康的なライフスタイルや幸福感を追求する文脈で使用されます。
関連語
類義語
幸福、満足感。一時的な感情や出来事から得られる喜びを指すことが多い。日常会話で広く使われ、個人的な感情を表現する際に適している。 【ニュアンスの違い】"Well-being"は、感情的な幸福だけでなく、身体的、精神的、社会的な健康を含むより包括的な概念。持続的な状態を指すことが多いのに対し、"happiness"は瞬間的な感情を表すことが多い。 【混同しやすい点】"Happiness"は可算名詞としても使われるが、"well-being"は通常不可算名詞として使われる。また、"happiness"は主観的な感情に重点が置かれるが、"well-being"は客観的な要素(健康状態、経済状況など)も含まれる。
福祉、幸福。社会的な支援や保障制度、または個人の生活の安寧を指す。政府や福祉団体が提供する支援に関連して使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"Well-being"は個人の状態を指すことが多いのに対し、"welfare"は社会全体の支援システムや制度を指すことが多い。また、"welfare"は経済的な援助や物質的な豊かさを強調する傾向がある。 【混同しやすい点】"Welfare"はしばしば政府の社会福祉政策と関連付けられるため、個人の感情や精神的な健康を指す"well-being"とは異なる文脈で使用されることが多い。"Welfare state"(福祉国家)という言葉を考えると理解しやすい。
繁栄、成功。経済的な豊かさや成功、または社会全体の発展を指す。ビジネスや経済に関する文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"Well-being"は個人の全体的な幸福を指すのに対し、"prosperity"は主に経済的な成功や物質的な豊かさを指す。"Prosperity"はしばしば富の蓄積や経済成長と関連付けられる。 【混同しやすい点】"Prosperity"は経済的な側面に重点が置かれるため、精神的な健康や人間関係など、"well-being"の他の側面を必ずしも含まない。例えば、「spiritual well-being(精神的な幸福)」という表現は一般的だが、「spiritual prosperity(精神的な繁栄)」とは言わない。
満足、充足感。現状に満足し、不満がない状態を指す。個人的な感情や精神的な状態を表す際に使われる。 【ニュアンスの違い】"Well-being"はより広い概念であり、身体的、精神的、社会的な健康を含むのに対し、"contentment"は主に精神的な満足感に焦点を当てる。"Contentment"はしばしば控えめな幸福感や静かな喜びを意味する。 【混同しやすい点】"Contentment"はしばしば受動的な状態、つまり「現状に甘んじる」というニュアンスを含むことがある。一方、"well-being"はより積極的な意味合いを持ち、幸福を追求する姿勢を含むことがある。
繁栄、開花。人が潜在能力を最大限に発揮し、成長している状態を指す。ポジティブ心理学の分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"Well-being"と"flourishing"は非常によく似た概念だが、"flourishing"はより積極的で、成長と発展に重点を置く。"Flourishing"は、単に幸福であるだけでなく、積極的に人生を充実させている状態を指す。 【混同しやすい点】"Flourishing"は、学術的な文脈やポジティブ心理学の分野でよく使われる、やや専門的な用語である。日常会話では"well-being"の方が一般的。また、"flourishing"はしばしば動詞として(例:The business is flourishing)使われる。
健康。身体的、精神的な状態が良好であることを指す。医学や健康に関する文脈で広く使われる。 【ニュアンスの違い】"Well-being"は、健康状態だけでなく、感情的な安定や社会的なつながりなど、より広い範囲を含む。"Health"は主に身体的な健康状態を指すことが多い。 【混同しやすい点】"Health"はしばしば病気の有無という観点から語られるが、"well-being"はより積極的な概念であり、幸福を追求する姿勢を含む。例えば、「mental health(精神的な健康)」という表現は一般的だが、「mental well-being(精神的な幸福)」の方がより包括的な意味合いを持つ。
派生語
『別れ』や『さようなら』を意味する名詞または間投詞。『fare(うまくいく)』と『well(良く)』が組み合わさり、『うまくいくように』という願いが込められている。日常会話で別れの挨拶として使われるほか、手紙やメールの結びの言葉としても用いられる。古くは旅立つ人の無事を祈る意味合いが強かった。
- well-advised
『賢明な』や『分別のある』という意味の形容詞。『well(良く)』と『advised(助言された)』が組み合わさり、『良い助言を受けている』状態を表す。ビジネスシーンやフォーマルな場面で、人の判断や行動を評価する際に用いられる。単に知識があるだけでなく、状況を的確に判断し、適切な行動をとる能力を意味する。
- well-beingness
「well-being」をさらに名詞化したもので、学術的な文脈で用いられることがある(頻度は高くない)。抽象度が高まり、状態そのものを強調するニュアンスを持つ。例えば、心理学や社会学の研究論文などで、特定の集団や社会全体の幸福度を定量的に評価する際に用いられることがある。
反意語
- ill-being
『不幸』や『不健康』を意味する。接頭辞『ill-』は『悪い』や『不運な』という意味を持ち、『well-being』とは正反対の状態を表す。医学、心理学、社会学などの分野で、身体的、精神的、社会的な苦痛や苦悩を指す言葉として用いられる。日常会話ではあまり使われず、学術的な文脈で使われることが多い。
『苦痛』、『苦悩』、『困窮』などを意味する名詞または動詞。『well-being』が良好な状態を指すのに対し、『distress』は苦しい、困難な状態を指す。日常会話でも使われるが、ニュースや報道で災害や紛争の状況を伝える際にも頻繁に用いられる。精神的な苦痛だけでなく、経済的な困窮や身体的な苦痛も含む幅広い意味を持つ。
『逆境』や『不運』を意味する名詞。人生における困難な状況や試練を指し、『well-being』とは対照的な状態を表す。ビジネス、文学、哲学など幅広い分野で使用される。個人の成長や変化の機会として捉えられることもある。日常会話では、困難な状況を乗り越えることの重要性を語る際などに用いられる。
語源
"Well-being"は、「幸福」や「健康」を意味する言葉ですが、その成り立ちを分解すると、より深く理解できます。まず"well"は「良い」状態を指し、これは古英語の"wela"(富、繁栄、幸福)に由来します。一方、"being"は「存在」を意味し、これは古英語の"bēon"(存在する)に由来します。つまり、"well-being"は文字通りには「良い存在状態」を意味し、心身ともに満たされた、良好な状態を表す言葉として使われるようになりました。日本語で例えるなら、「安寧」という言葉が近いかもしれません。安らかで穏やかな状態を願う気持ちは、古今東西共通なのですね。
暗記法
「well-being」は、キリスト教倫理に根ざす幸福観から、古代ギリシャの「魂の幸福」という哲学的な探求へと遡ります。啓蒙思想が個人の幸福追求を謳い、福祉国家がそれを社会政策に組み込む一方、産業革命以降の社会問題も映し出します。現代では、経済的豊かさだけでなく、心の健康や人間関係をも含む多面的な概念へ。企業の社会的責任やESG投資にも影響を与え、個人の充足を超え、社会全体の持続可能性を測る指標として、その重要性を増しています。
混同しやすい単語
『well-being』とスペルが似ており、意味も関連するため混同しやすい。ただし、『welfare』は主に『福祉』や『生活保護』といった、社会的な支援や制度を指すことが多い。発音も異なり、『welfare』は二つの音節で発音される。日本人学習者は、文脈によってどちらの単語が適切か判断する必要がある。語源的には、どちらも『well(良い)』という要素を含むが、『fare(暮らし向き)』と『being(状態)』という異なる要素が組み合わさっている。
『well-being』の一部である『well』だけを取り出すと、意味が大きく異なる。『well』は『井戸』、『うまく』、『健康な』など、多様な意味を持つ。発音は同じだが、文脈が全く異なるため、通常は混同しない。ただし、『well-being』という複合語の中での『well』の意味を理解していないと、誤解を招く可能性がある。たとえば、『I am well』と『I have well-being』は全く異なる意味になる。
『well-being』の後半部分である『being』は、それ自体が抽象的な意味を持つ単語であり、存在、状態、本質などを意味する。単独で使用される場合と複合語で使用される場合で意味合いが異なるため、混同しやすい。発音はほぼ同じだが、文脈が大きく異なる。哲学的な議論でよく使われる単語でもあるため、英語学習者は注意が必要。例えば、『human being』は『人間』を意味する。
『well-being』とはスペルが少し似ており、語尾の '-ing' が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音も一部似ている。意味は『~することをいとわない』、『乗り気である』といった、意欲や意思を表す形容詞。文脈が全く異なるため、注意が必要。例えば、『I am willing to help』は『私は喜んで手伝います』という意味になる。
『well』と発音が似ており、特に早口で話されると聞き間違えやすい。『whale』は『クジラ』という意味の名詞であり、文脈が全く異なるため、通常は混同しない。ただし、リスニングの練習においては、注意が必要。また、スペルも似ているため、書き間違いにも注意。『well-being』と『whale being』では意味が全く異なる。
『well-being』と語尾の '-ing' が共通しており、スペルがやや似ているため、視覚的に混同しやすい。『belonging』は『所属』や『帰属意識』という意味の名詞であり、心理学や社会学の分野でよく使われる。発音も一部似ているが、意味は大きく異なる。例えば、『sense of belonging』は『帰属意識』を意味する。
誤用例
「well-being」は、主に人々の幸福、健康、快適さといった状態を指す言葉であり、企業の利益に対して使うのは不適切です。日本語で『会社の福利厚生』を意味するつもりで、安易に『well-being』を使ってしまうのは誤りです。利益を重視するという意味であれば、「importance」や「significance」を使うのが適切です。背景として、well-beingはより人間中心的な価値観を表す言葉であり、ビジネス文脈では従業員のwell-beingを指すことが多いです。利益はあくまで結果であり、直接的にwell-beingの対象とはなりません。日本人が『福利厚生』という言葉を包括的に捉えがちなことが、この誤用の一因と考えられます。
これは、相手から体調を尋ねられた際に「私は元気です、ありがとう」と答えたい場合に起こりやすい誤りです。「well-being」は名詞であり、状態を表すため、「doing」の目的語として使うことはできません。正しくは「I'm doing well」のように副詞の「well」を使います。日本語の「元気です」という表現を直訳しようとするあまり、名詞の「well-being」を使ってしまうのは典型的な誤用パターンです。英語では、状態を尋ねられた場合は、形容詞や副詞を使って答えるのが自然です。また、well-beingは日常会話で自分の状態を述べるにはやや大げさな表現であり、フォーマルな印象を与えます。
この誤用は、「〜のために」という日本語の意図を英語で表現しようとする際に起こりがちです。「well-being」の推進が経済成長の「目的」であるかのように解釈されてしまいます。「to」は方向や目的を表す前置詞ですが、ここでは「経済成長と並行して」という意味合いで「alongside」を使うのが適切です。Well-beingと経済成長は、どちらか一方を優先するものではなく、両立を目指すべきものというニュアンスが伝わります。また、経済成長「に」well-beingを「加える」という発想から、安易にtoを使ってしまうことも考えられます。英語では、前置詞の選択によって文全体の意味が大きく変わるため、注意が必要です。
文化的背景
「well-being」は、単なる幸福を超え、身体的、精神的、社会的に満たされた状態を指し、個人の尊厳と社会全体の調和を象徴する言葉として、近年ますます重要視されています。元来、キリスト教的な倫理観と深く結びつき、神から与えられた賜物としての健康と幸福を意味していましたが、現代社会においては、より包括的な概念へと進化を遂げています。
歴史を遡ると、「well-being」という概念は、古代ギリシャの哲学者たちの間で議論された「エウダイモニア(eudaimonia)」、つまり「魂の幸福」や「人間としての繁栄」という考え方にルーツを見出すことができます。アリストテレスは、エウダイモニアを単なる快楽や富ではなく、理性的な活動を通じて徳を実践することで得られると説きました。中世ヨーロッパにおいては、キリスト教的な価値観が支配的となり、現世での幸福よりも来世での救済が重視されましたが、ルネサンス期以降、人間性の復興とともに、再び現世での幸福追求が肯定されるようになります。
18世紀の啓蒙思想の時代には、個人の自由と権利、そして幸福追求の権利が声高に叫ばれるようになり、「well-being」の概念は、社会全体の進歩と密接に結びつくようになりました。産業革命以降、物質的な豊かさが向上する一方で、労働環境の悪化や貧富の格差が拡大し、人々の「well-being」が脅かされるという問題も生じました。20世紀に入ると、社会福祉の充実や労働環境の改善を通じて、人々の「well-being」を向上させることが、国家の重要な政策目標として認識されるようになります。特に、第二次世界大戦後には、ユニバーサル・ヘルスケア制度の導入や社会保障制度の拡充などを通じて、国民の「well-being」を保障する「福祉国家」の理念が広く普及しました。
現代社会においては、「well-being」は、経済的な豊かさだけでなく、心の健康、良好な人間関係、社会的なつながり、自己実現など、多岐にわたる要素を含む複合的な概念として捉えられています。企業においては、従業員の「well-being」を向上させるための様々な取り組み(ワークライフバランスの推進、メンタルヘルスケアの充実、多様な働き方の支援など)が積極的に行われるようになり、投資の世界でも、企業の社会的責任(CSR)や環境、社会、ガバナンス(ESG)といった要素を考慮した「インパクト投資」が注目を集めています。「well-being」は、もはや個人の問題にとどまらず、社会全体の持続可能性を左右する重要な要素として、ますますその重要性を増していくでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(主に準1級以上)。ライティングのトピックとしても可能性あり。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で比較的頻出。特に2級以上では長文読解で登場する可能性が高い。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、健康、教育など、幅広いテーマで登場。アカデミックな文脈が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての意味(幸福、健康、福祉)を理解するだけでなく、関連語(well-being programs, promote well-beingなど)も覚えておく。類義語(welfare, happiness)とのニュアンスの違いも意識すると良い。
- 出題形式: 主に長文読解(Part 7)。稀に語彙問題(Part 5, 6)。
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的頻出。ビジネス関連の文書(レポート、記事)などで見られる。
- 文脈・例題の特徴: 従業員の健康管理、福利厚生、企業戦略など、ビジネスに関連する文脈で登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンにおける「well-being」の意味(従業員の幸福、生産性向上など)を理解しておく。関連語句(employee well-being, workplace well-being)も覚えておく。
- 出題形式: 主に長文読解。ライティングのトピックとしても可能性あり。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出。アカデミックなテーマでよく用いられる。
- 文脈・例題の特徴: 心理学、社会学、環境学など、学術的な文脈で登場。抽象的な概念を説明する際に用いられることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 学術的な文脈における「well-being」の意味(精神的、身体的、社会的な幸福)を理解しておく。類義語(prosperity, flourishing)とのニュアンスの違いも意識すると、より正確な理解につながる。
- 出題形式: 主に長文読解。一部の大学では自由英作文のテーマとして出題される可能性もある。
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文読解で比較的頻出。社会問題や環境問題に関する文章で登場しやすい。
- 文脈・例題の特徴: 教育、福祉、環境など、幅広いテーマで登場。評論やエッセイ形式の文章が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。類義語や関連語句を覚えておくことで、読解力と記述力を高めることができる。特に、形容詞(healthy, prosperous)との関連を意識すると良い。