upon
最初の 'ə' は弱母音で、日本語の『ア』よりも曖昧で弱く発音します。ストレスは2音節目の 'ˈpɒn' に置かれ、'ɒ' は日本語の『オ』よりも口を丸く開けて短く発音します。語尾の 'n' は、しっかりと鼻に抜ける音を意識しましょう。全体的に、力を入れずにリラックスして発音するのがコツです。
〜の上に
物理的な接触を伴う「上に」だけでなく、抽象的な意味での「基づいて」「に関して」も含む。onよりもややフォーマルな響きを持つ。
A gentle snow fell upon the quiet town, covering everything in white.
静かな町に優しい雪が降り、すべてを白く覆いました。
※ しんしんと雪が降り積もり、町が徐々に白いベールに包まれていく情景が目に浮かびますね。「fall upon」で「〜の上に降りかかる」という、少し詩的で静かな動きを表しています。単に「on」を使うよりも、文学的な響きや、何かが上から静かに到達するニュアンスが強調されます。
She placed her hand gently upon his shoulder to comfort him.
彼女は彼を慰めるため、優しく彼の方に手を置きました。
※ 悲しんでいる友人や家族に、そっと手を差し伸べる優しい瞬間を描いています。「place upon」は「〜の上に置く」という意味で、ここでは相手への配慮や感情が込められた動作を表現しています。「on」でも間違いではありませんが、「upon」を使うことで、より丁寧で、相手に触れるという行為の繊細さや重要性が伝わります。
Great responsibility now rests upon your young shoulders.
今、その若い肩に大きな責任がのしかかっています。
※ 新しい役割や重要な任務を託される瞬間の、期待と少しの重圧を感じさせる場面です。「rest upon」は「〜の上にのしかかる」「〜にかかっている」という比喩的な意味でよく使われます。物理的な「上」ではなく、責任や期待といった「重み」が心や体にのしかかる様子を表す、フォーマルで力強い表現です。
〜の直後
時間的な連続性を示す。onよりも改まった表現で、公式な文書やスピーチで用いられることが多い。(例:upon arrival 到着後すぐに)
Upon hearing the good news, she smiled brightly with tears in her eyes.
良い知らせを聞くとすぐに、彼女は目に涙を浮かべて明るく微笑みました。
※ この文は、嬉しい知らせを受け取った瞬間に、感情がこみ上げて自然と笑顔になる様子を描いています。「upon hearing...」で、「〜を聞くとすぐに」という、感情が直後に反応する場面を鮮やかに伝えます。誰かの電話やメッセージで、思わず頬が緩む情景が目に浮かびますね。
Upon arrival at the station, he quickly checked his train schedule.
駅に到着するとすぐに、彼は急いで電車の時刻表を確認しました。
※ 駅に着いた途端、次の行動(時刻表の確認)に移るテキパキとした様子が伝わります。「upon arrival...」は「〜に到着するとすぐに」という意味で、特に移動や出張など、ある場所に着いた直後の行動を表す際によく使われます。時間がない時の焦りや、計画的な行動が感じられますね。
Upon opening the old photo album, a wave of warm memories washed over her.
古い写真アルバムを開けるとすぐに、温かい思い出が彼女の心にあふれました。
※ この文は、古いアルバムを開いた瞬間に、過去の温かい記憶がよみがえる感動的な場面を描いています。「upon opening...」は「〜を開けるとすぐに」という意味で、何かを始めたり、触れたりした直後に、別の感覚や感情が強く湧き上がる様子を表現するのにぴったりです。昔を懐かしむ気持ちが伝わります。
〜に依存して
何かが別のものに頼っている状態を示す。責任や義務が課せられているニュアンスを含む。(例:dependent upon)
Her dreams of becoming a doctor depend upon years of hard study.
医者になるという彼女の夢は、何年もの懸命な勉強にかかっています。
※ この文は、若い学生が大きな夢を抱き、その実現には日々の地道な努力が不可欠だと真剣に考えている情景を描いています。「depend upon 〜」で「〜に依存する」「〜にかかっている」という意味を表します。ここでは、彼女の夢の実現が長年の努力に「大きく左右される」ことを強調しています。`upon`は`on`よりも少しフォーマルで、重要性や影響の大きさを強調したいときに使われます。
The team's victory tonight will depend upon everyone working together.
今夜のチームの勝利は、全員が協力することにかかっています。
※ これは、スポーツチームが試合前のロッカールームで、コーチが勝利のために全員が協力することの重要性を強調している場面です。選手たちが互いに顔を見合わせ、決意を固めている様子が目に浮かびます。ここでも「depend upon 〜」の形で、「チームの勝利が皆の協力という条件に左右される」という状況を表現しています。個人だけでなく、チーム全体の連携が鍵であることを示しています。
The farmer's good harvest depends upon enough rain falling this month.
その農夫の豊かな収穫は、今月十分な雨が降るかどうかにかかっています。
※ 老いた農夫が畑を見つめながら、今月の雨が豊作になるかどうかの鍵だと心配そうに空を見上げている情景を想像してください。この文では、農作物の「豊かな収穫」という結果が、「十分な雨が降る」という自然の条件に「依存している」ことを伝えています。自然や環境の要因が結果に大きく影響する状況で、`upon`がその関係性を効果的に示しています。
コロケーション
熟考の末に、改めて考えてみると
※ 「reflection」は内省、熟考という意味で、「upon reflection」は、ある事柄について時間をかけて考えた結果、以前とは異なる結論や見解に至ったことを示す際に用いられます。ビジネスシーンやフォーマルな文脈で、自分の意見や判断を修正する際に、丁寧な言い回しとして使われます。例えば、「Upon reflection, I realized I was mistaken.(熟考の末、私が間違っていたことに気づきました)」のように使います。単に「after thinking」と言うよりも、より深い思慮があったことを示唆します。
詳細な検査の結果、よく調べてみると
※ 「closer inspection」は、より詳細な調査や観察を意味します。「upon closer inspection」は、表面的な観察では分からなかった事柄が、詳しく調べることで明らかになったことを示します。科学的な調査報告や品質管理の報告書など、客観的な事実を述べる際に適しています。「Upon closer inspection, a small crack was found.(詳細な検査の結果、小さなひびが見つかりました)」のように使います。注意深く調べたというニュアンスが重要です。
要請に応じて、ご希望があれば
※ 「request」は要求、要請という意味で、「upon request」は、相手からの要求や依頼があった場合に、それに応じることを意味します。ビジネスシーンで、サービスや情報を提供する際に、相手のニーズに合わせて対応する姿勢を示すために使われます。「Further details are available upon request.(詳細については、ご希望に応じて提供いたします)」のように使います。フォーマルな場面でよく用いられます。
完了次第、終了後すぐに
※ 「completion」は完了、終了という意味で、「upon completion」は、ある作業やプロジェクトが完了した直後に、次の行動や手続きを行うことを意味します。契約書や業務指示書など、正式な文書でよく用いられます。「Upon completion of the project, a final report will be submitted.(プロジェクト完了後、最終報告書を提出いたします)」のように使います。時間的な近接性を強調する表現です。
入る際に、入るとすぐに
※ 文字通り「入る」という動作と同時に何かが起こることを示します。建物や部屋に入る際に注意すべきことなどを伝える際に使われます。「Upon entering the building, please show your ID.(建物に入る際には、IDをご提示ください)」のように使います。この表現は、特定の場所への入場条件や規則を伝える際に役立ちます。
(助言/情報)に基づいて行動する
※ 「act upon」は、受け取った助言や情報に基づいて具体的な行動を起こすことを意味します。ビジネスシーンや意思決定の場面で、情報源の信頼性や根拠に基づいた行動であることを強調する際に使われます。「We acted upon the advice of our legal counsel.(私たちは法律顧問の助言に基づいて行動しました)」のように使います。慎重な判断の結果として行動したというニュアンスが含まれます。
~に決定する、~を選ぶ
※ 「decide upon」は、複数の選択肢の中から特定のものを選び、決定することを意味します。「decide on」とほぼ同義ですが、「upon」を使うことで、より慎重に検討した結果であるというニュアンスが加わります。ビジネスシーンやフォーマルな場面で、重要な決定事項を伝える際に使われます。「We decided upon a new strategy for the upcoming year.(来年に向けて、新たな戦略を決定しました)」のように使います。
使用シーン
学術論文や研究発表で、先行研究や理論に言及する際に用いられます。例えば、「この研究は、先行研究に基づいている(This study is based upon previous research)」のように、根拠や依存関係を示す文脈で使われます。また、統計的な分析結果を述べる際に、「〜という条件の下で(upon condition of)」という形で用いられることもあります。文語的な表現であり、客観性と厳密さが求められる場面で好まれます。
ビジネス文書やプレゼンテーションにおいて、契約条件や義務を明確にする際に用いられることがあります。例えば、「契約条件に従って(upon the terms of the agreement)」のように、法的拘束力のある文脈で登場することがあります。日常的なビジネス会話ではあまり使われず、フォーマルな場面や書面でのやり取りで使われる傾向があります。
日常会話ではほとんど使われません。ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、やや古風な言い回しとして使われることがあります。例えば、「その知らせを聞いてすぐに(upon hearing the news)」のように、出来事の直後を表す場合などに使われることがありますが、現代的な口語表現では「as soon as」や「when」などが好まれます。
関連語
類義語
『~の上に』という意味で、物理的な接触や場所、時間的な近接を表す。日常会話で最も一般的な表現。 【ニュアンスの違い】『upon』よりも口語的で、より一般的かつ頻繁に使われる。フォーマルな場面や文学的な文脈では『upon』が好まれることがある。 【混同しやすい点】『on』は多義語であり、文脈によって意味が大きく変わるため、誤解を招きやすい。『upon』は意味が限定的で、より厳密な表現を必要とする場合に適している。
- on top of
『~の上に』という意味に加え、『~に加えて』『~を完全に把握して』といった意味も持つ。日常会話で使われる。 【ニュアンスの違い】物理的な位置関係だけでなく、比喩的な意味合いも含む。『upon』が単に位置関係を示すのに対し、『on top of』は優位性や追加的な要素を示唆する。 【混同しやすい点】『on top of』は句動詞であり、文構造が複雑になることがある。また、比喩的な意味合いを理解していないと、文脈を誤解する可能性がある。
『~の上に』という意味だが、物理的な接触を伴わない場合や、抽象的な位置関係を示す際に使われる。ビジネスや学術的な文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『upon』が直接的な接触や近接を示すのに対し、『above』は空間的な隔たりや階層的な上位を示す。例えば、『above the law(法の支配を超越して)』のように使われる。 【混同しやすい点】『above』は『~より高い』という比較の意味合いを含むため、『upon』のように単に位置を示す場合には不適切である。また、抽象的な概念に対して使われることが多い点も異なる。
『~の上に』『~へ』という意味で、動きや方向性を含む。日常会話でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『upon』が静的な位置関係を示すのに対し、『onto』は移動や変化を伴う。例えば、『jump onto the table(テーブルに飛び乗る)』のように使われる。 【混同しやすい点】『onto』は前置詞と副詞が合わさったものであり、文脈によっては分離して使われることがある(例:hold onto)。『upon』のように単独で使われる前置詞とは異なる。
『~の上に』『~を越えて』という意味で、覆いかぶさるようなイメージや、範囲を超えることを示す。日常会話からビジネスまで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】『upon』が比較的限定的な位置関係を示すのに対し、『over』はより広範な範囲や影響力を持つ。例えば、『think over something(何かをじっくり考える)』のように使われる。 【混同しやすい点】『over』は多義語であり、文脈によって意味が大きく変わるため、誤解を招きやすい。『upon』のように単に位置を示す場合には不適切である。また、時間的な意味合いも持つ点も異なる。
『~の中に』という意味で、囲まれた空間や範囲を示す。物理的な場所だけでなく、抽象的な概念にも使われる。日常会話で非常に頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】『upon』が『~の上に』という表面的な位置関係を示すのに対し、『in』は内部や包含関係を示す。例えば、『in a meeting(会議中)』のように使われる。 【混同しやすい点】『in』は『~の中に』という限定的な意味合いを持つため、『upon』のように表面的な接触を示す場合には不適切である。場所だけでなく、時間や状況など、幅広い意味で使われる点も異なる。
派生語
『支える』『維持する』という意味の動詞。『up(上に)』と『hold(保つ)』が組み合わさり、物理的、抽象的な意味で何かを支え続けることを表す。法律、原則、伝統などを支持し守る文脈でよく使用され、ビジネス文書やニュース記事にも頻出。
『直立した』『正直な』という意味の形容詞。『up(上に)』と『right(正しい)』が組み合わさり、姿勢がまっすぐであること、または道徳的に正しいことを示す。日常会話だけでなく、文学作品や法的な文脈でも使用される。
『改良する』『向上させる』という意味の動詞または名詞。『up(上に)』と『grade(段階)』が組み合わさり、あるものの質や機能をより高い段階に引き上げることを意味する。技術、サービス、スキルなど、さまざまな分野で使われ、ビジネスシーンや日常会話で頻繁に登場する。
反意語
『下に』『〜の下で』という意味の前置詞または副詞。『upon』が上にある状態を示すのに対し、『under』は下にある状態を示す。物理的な位置関係だけでなく、権力や影響力の及ぶ範囲など、抽象的な文脈でも対比的に使用される。例えば、『under pressure(プレッシャーの下で)』と『upon success(成功の上に)』のように使われる。
『下に』『〜の真下に』という意味の前置詞または副詞。『upon』が表面的な接触を示すのに対し、『beneath』はより深い、隠された位置関係を示す。比喩的には、『beneath contempt(軽蔑に値しない)』のように、感情や価値観が表面に現れない状態を表す。
『下に』『〜より低い』という意味の前置詞または副詞。『upon』がある基準点より上にあることを示すのに対し、『below』は下にあることを示す。物理的な位置関係だけでなく、地位、温度、数値など、さまざまな尺度で対比的に使用される。例えば、『below average(平均以下)』と『upon completion(完了時に)』のように使われる。
語源
"Upon"は、古英語の"upp"(上に)と"on"(〜の上に)が組み合わさってできた単語です。"Upp"はさらに遡ると、印欧祖語の*upo-(下から上へ)に由来し、これは「上」や「〜の上に」という概念を表す根源的な語です。一方、"on"も同様に古い語源を持ち、ゲルマン祖語の*anaに遡り、「〜の上に」という意味合いを強調します。つまり、"upon"は文字通り「上に、またその上に」という意味合いを強めた表現として生まれました。日本語の「〜の上に」をさらに強調する際に、「真上に」や「〜の上に重ねて」と言う感覚に近いでしょう。この語源を理解することで、"upon"が単なる場所を表すだけでなく、依存や直後といった抽象的な意味合いを持つようになった背景も捉えやすくなります。
暗記法
「upon」は古英語の誓いや契約に由来し、重みを帯びた言葉です。騎士道物語では名誉を「upon」に誓い、結婚式では未来を重ねる特別な瞬間に使われます。「Once upon a time」は物語への誘いであり、シェイクスピア劇では運命と結びつきます。現代では古風ながらも、ビジネスや法律で真摯さや厳格さを示す言葉として、文化的背景と歴史的重みを持つ単語です。
混同しやすい単語
この単語自体が前置詞として「~の上に」という意味で使われることが少なくなっており、代わりに 'on' が使われることが多いため、その頻度の低さから記憶が曖昧になりやすい。'on' との意味の違い('upon' はやや形式ばった表現)を理解することが重要。
最初の二文字が同じ 'op' であるため、スペルを間違えやすい。発音も、'upon' の 'u' の音が曖昧母音であるのに対し、'open' の 'o' は二重母音に近い発音であるため、注意が必要。意味は「開ける」「開いている」で、品詞も動詞・形容詞と異なる。
'upon' の一部である 'up' は、単独でも副詞・前置詞として頻繁に使われるため、混同しやすい。意味は「上へ」「~の上に」など共通点もあるが、'upon' はより限定的な状況で使われる。'upon' を 'on' の強調形と捉えると理解しやすい。
スペルが似ており、特に 'on' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音も 'ʌ' の音が共通しているため、聞き間違える可能性もある。意味は「玉ねぎ」であり、全く異なる。
'upon' の 'pon' の部分と 'pawn' の発音が似ているため、特にリスニングで混同しやすい。意味は「質に入れる」「質草」で、文脈が全く異なるため、注意が必要。語源的には、'pawn' は古フランス語の 'pan'(布、衣類)に由来し、担保として衣類が使われたことに由来する。
最初の 'op' の綴りが共通しており、発音も似ているため、混同しやすい。意味は「反対する」であり、動詞として使われる。'upon' が前置詞であるのに対し、'oppose' は動詞であるため、文法的な役割が異なる。
誤用例
While 'upon' and 'on' can both function as prepositions indicating time, 'upon' is generally considered more formal and somewhat archaic in modern English. Using 'upon' in everyday situations like arriving at a conference can sound overly stiff or affected. Japanese learners, accustomed to a more formal register in written Japanese, might mistakenly perceive 'upon' as simply a 'more polite' version of 'on,' without realizing the subtle shift in tone it creates for native English speakers. This is an example of direct translation from a Japanese mindset where formality is highly valued. The correct usage 'on' is much more natural and neutral in this context.
While grammatically correct, 'lies upon' sounds unnatural and overly dramatic. The phrase 'rests on' is a more common and idiomatic way to express that someone bears a responsibility. Japanese learners may choose 'upon' because they directly translate the idea of something 'being on' something else. The nuance is that 'rests on' carries a stronger sense of weight and burden, reflecting the gravity of the responsibility. 'Lies upon' feels slightly literary and less impactful in conveying the actual pressure. Furthermore, native English speakers might interpret 'lies upon' as meaning that the responsibility is falsely attributed to him, given the association of 'lie' with untruth.
While 'call upon' can mean 'to ask someone to do something,' it often implies a formal request or expectation, sometimes even a sense of duty or obligation. In a casual situation involving rude behavior, 'asked' is more appropriate. 'Call upon' is more suitable for situations like 'calling upon one's expertise' or 'calling upon citizens to help in an emergency.' Japanese learners may be drawn to 'call upon' because they associate it with a sense of formality and respect, believing it to be a more polite way to make a request. However, the direct translation of a polite Japanese expression doesn't always align with the nuances of English. 'Asked' is a more direct and natural choice in this context, avoiding any unintended implications of formality or obligation.
文化的背景
「upon」は、単なる場所を示す前置詞「on」よりも、儀式的な響きや、運命、責任といった重みを帯びたニュアンスを含みます。それは、古英語の時代から、神への誓いや、重要な契約、そして物語の始まりを告げる言葉として使われてきた歴史に由来します。
中世の騎士道物語では、「upon my honor(名誉にかけて)」という表現が頻繁に登場します。騎士たちは、自らの名誉を「upon」に託し、誓いを立て、約束を守ることを誓いました。この「upon」は、単に「〜の上に」という意味ではなく、騎士の魂、そして彼らが重んじる価値観そのものを象徴していました。現代でも、結婚式の誓いの言葉で「upon this day(この日に)」という表現が使われることがありますが、これは、二人の未来を「この日」という特別な瞬間に重ね合わせ、永遠の愛を誓うという、厳粛な意味合いを持っています。
文学作品においても、「upon」は物語の幕開けを告げる言葉として、読者を特別な世界へと誘います。例えば、「Once upon a time(むかしむかし)」というおとぎ話の冒頭句は、読者を日常から切り離し、魔法や冒険が繰り広げられる異世界へと誘います。この「upon」は、物語の語り手が読者との間に結ぶ約束の言葉であり、これから語られる物語が、現実とは異なる、特別な世界で起こる出来事であることを示唆しています。また、シェイクスピアの劇では、「upon」が運命や宿命といった、登場人物の人生を左右する重要な要素と結びつけて使われることがあります。登場人物たちは、自らの運命を「upon」に感じ、その重圧に苦しみながらも、自らの道を切り開こうとします。
現代英語においては、「upon」はやや古風な表現と見なされることもありますが、その持つ儀式的な響きや、重みを帯びたニュアンスは、今もなお健在です。ビジネスシーンでは、「upon request(要請に応じて)」という表現が使われ、相手の要望に真摯に応えようとする姿勢を示します。また、法律文書では、「upon completion(完了次第)」という表現が使われ、契約の履行を厳格に定める役割を果たします。このように、「upon」は、単なる場所を示す前置詞としてだけでなく、文化的な背景や歴史的な重みを帯びた言葉として、私たちの言語生活に深く根ざしているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、稀に語彙問題。リスニングでも口語表現として使われる可能性あり。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。特に1級の長文読解でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: フォーマルな文章、歴史、文学、ニュース記事など幅広い文脈で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: "on"の改まった言い方と捉え、文脈に合った意味を選ぶ。熟語(e.g., upon request, upon doing)も重要。
- 出題形式: 主に長文読解 (Part 7)。稀に穴埋め問題 (Part 5)。
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的よく見られる。Part 5では熟語の一部として出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスレター、契約書、通知など、フォーマルなビジネス文書で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: "on"のフォーマルな言い換えとして捉え、ビジネス文書における丁寧な表現として理解する。熟語表現(e.g., upon receipt of)に注意。
- 出題形式: 主にリーディングセクションのアカデミックな文章。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出。特に学術的な内容の文章でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 歴史、科学、社会学など、アカデミックな分野の文章で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文章におけるフォーマルな表現として理解する。抽象的な概念や理論の説明で使われることが多い。
- 出題形式: 主に長文読解。文法問題や語彙問題で問われる可能性もある。
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文読解で頻出。標準的なレベルの大学でも見られることがある。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語、科学記事など、幅広い分野の文章で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: "on"のフォーマルな言い換えとして捉え、文脈に合った意味を理解する。熟語表現(e.g., once upon a time)も覚えておく。