sterile
第一音節にアクセントがあります。/e/の音は、日本語の「エ」よりも少し曖昧で、口をあまり開けずに発音します。最後の/əl/は、舌先を上の歯茎に近づけて「ル」に近い音を出しますが、母音の「ウ」は意識しないようにしましょう。また、日本語の「ステ」のように母音を長く発音しないように注意してください。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
無菌の
微生物が全くいない状態。医療現場や食品加工など、衛生管理が重要な場面で使われる。比喩的に、感情や創造性が欠如している状態を指すこともある。
The nurse carefully placed the sterile instruments on the tray for the surgery.
看護師は手術のために、滅菌された器具を慎重にトレイに置きました。
※ この例文は、医療現場での「無菌の」状態を鮮やかに描写しています。手術では、感染を防ぐために使用する器具が完全に清潔である(無菌である)ことが最も重要です。看護師が一つ一つ丁寧に器具を並べる様子から、その大切さが伝わりますね。「sterile instruments」は医療現場で非常によく使われる組み合わせです。
All the milk bottles must be sterile before they are filled with fresh milk.
すべての牛乳瓶は、新鮮な牛乳が詰められる前に無菌でなければなりません。
※ 食品や飲料の製造過程における「無菌」の重要性を示す例文です。工場で牛乳が瓶に詰められる前、消費者が安心して飲めるように、瓶が完全にきれいな状態(無菌)であることが不可欠です。この文は、私たちの身近な製品が安全に作られるための衛生管理の厳しさを示しています。
Scientists always work in a sterile environment to prevent contamination during experiments.
科学者たちは実験中に汚染を防ぐため、常に無菌環境で作業します。
※ 研究室での科学者の作業風景を描写しています。科学実験、特に生物学や化学の分野では、外部からの微生物や不純物が混入すると実験結果に大きな影響を与えてしまいます。そのため、研究室の空気や作業台、器具が「無菌」であることが極めて重要です。この例文は、専門的な分野での「sterile」の使い方を理解するのに役立ちます。
不妊の
生殖能力がない状態。医学的な文脈で、人や動物が子供を産めないことを指す。土壌が作物を育てられない状態も指す。
The vet gently told us our beloved cat is now sterile after the surgery.
獣医さんは優しく、私たちのかわいい猫は手術後、もう不妊になったと伝えました。
※ 【情景】獣医さんが、手術を終えたばかりの愛猫の飼い主に対し、避妊手術によって「もう子供ができない状態になった」と説明している場面です。飼い主は少し心配しながらも、愛猫の健康を気遣っています。 【なぜ典型的か】ペットの避妊・去勢手術は一般的で、「不妊」という言葉が日常的に使われる典型的な状況です。動物に対して"sterile"を使うのは自然です。 【文法/ヒント】"after the surgery" (手術の後) は、時間の経過を示すよく使うフレーズです。
Sadly, the couple found out that one of them was sterile and couldn't have children.
悲しいことに、その夫婦はどちらか一方が不妊で、子供を持つことができないと知りました。
※ 【情景】子供を強く望んでいた夫婦が、検査の結果、どちらか一方が「不妊である」という事実を告げられ、ショックを受けている場面です。希望と現実のギャップに直面しています。 【なぜ典型的か】人間が「不妊である」という状況を伝える際の、非常に直接的かつ感情的な文脈です。この語義の核心を突いています。 【文法/ヒント】"found out" は "discover" と同じ意味で「(~だと)知る、わかる」という時に使われる、とても一般的な表現です。
Scientists discovered some male pandas are sterile, making breeding difficult.
科学者たちは、一部のオスのパンダが不妊であり、繁殖を困難にしていることを発見しました。
※ 【情景】動物園や研究施設で、パンダの保護や繁殖に取り組む科学者たちが、一部のパンダが「不妊である」という問題に直面し、その原因を探っている場面です。種の保存という大きな課題が見えます。 【なぜ典型的か】絶滅危惧種の保護や動物の繁殖研究といった、より学術的・科学的な文脈で「不妊」が使われる典型例です。人間以外の動物に対しても広く使われます。 【文法/ヒント】"making breeding difficult" は「(そのことが)繁殖を困難にしている」という意味で、前の文の内容が結果としてどうなるかを説明する時に使われる形です。
実りのない
努力や活動が成果に結びつかない状態。アイデアや議論が建設的な結果を生み出さない場合にも使われる。
The farmer sadly looked at the sterile land where nothing could grow.
農夫は、何も育たない不毛な土地を悲しげに見つめました。
※ この例文は、農夫が作物を育てようとしているのに、土地が「実りがない(sterile)」ため、何も育たないという情景を描写しています。物理的に「不毛な」「作物のできない」土地に対してsterileを使う、非常に典型的な場面です。農夫の悲しい気持ちも伝わってきますね。
After hours of talking, the discussion felt completely sterile and pointless.
何時間も話した後、その議論は全く実りがなく、無意味だと感じられました。
※ ここでは、「sterile」が物理的なものだけでなく、抽象的な「議論」に対して使われています。何時間も話したのに何の成果も得られず、「実りがない=無駄だった、生産性がない」と感じている様子が伝わります。「pointless(無意味な)」という言葉と合わせて、より感情が表現されています。
Her new job felt sterile because there was no room for new ideas.
彼女の新しい仕事は、新しいアイデアの余地がなかったので、面白みに欠けました。
※ この例文では、「sterile」が仕事や環境に対して使われ、「創造性がない」「発展性がない」「面白みがない」といった意味合いを表しています。新しいアイデアを出せる場がなく、退屈で「実りがない」と感じている主人公の気持ちが分かりますね。「there was no room for...」は「~の余地がない」という便利な表現です。
コロケーション
無菌環境、極めて清潔な環境
※ 医療現場や研究室など、微生物の存在を極力排除する必要がある環境を指します。単に『清潔』なだけでなく、『特定の微生物が存在しない』というニュアンスが重要です。比喩的に、自由な発想や創造性が阻害されるような、厳格すぎる、あるいは変化のない状況を指すこともあります。例えば、官僚的な組織文化を『sterile environment』と表現することがあります。形容詞+名詞の典型的なコロケーションです。
滅菌された器具、無菌状態の装置
※ 医療器具や実験器具などが、使用前に完全に滅菌されている状態を指します。感染症のリスクを最小限に抑えるために不可欠です。『sterile supplies』も同様の意味で使われます。医学・科学分野で頻繁に使用される組み合わせです。
滅菌野、手術野
※ 手術などを行う際に、患者の体の一部分や周囲の領域を無菌状態に保つこと、またはその領域自体を指します。手術中の感染を防ぐために非常に重要です。医療現場特有の専門用語ですが、安全な医療行為を象徴する言葉として、一般にも知られています。名詞+名詞の組み合わせです。
無菌操作法
※ 医療従事者が感染症のリスクを最小限に抑えるために行う一連の手順や方法を指します。手洗い、滅菌された手袋の着用、器具の滅菌などが含まれます。医療現場において、患者の安全を守るための基本的な技術です。教育現場でも重視されます。
実りのない関係、発展性のない関係
※ 人間関係において、愛情や信頼、成長などのポジティブな要素が欠けている状態を指します。比喩的な用法であり、感情的なつながりや生産性が不足している関係を表します。ビジネスシーンでも、成果が出ないプロジェクトや協力関係を指して使われることがあります。例:"Their partnership proved to be sterile, yielding no significant results."(彼らのパートナーシップは実りのないものとなり、目立った成果は得られなかった。)
不毛な議論、結論の出ない討論
※ 建設的な意見交換が行われず、新しいアイデアや解決策が生まれない議論を指します。政治的な議論や会議など、意見が対立し膠着状態に陥っている状況で使われます。例:"The debate over the new policy became sterile, with both sides unwilling to compromise."(新政策に関する議論は不毛なものとなり、双方が妥協を拒んだ。)
不毛な土壌、痩せた土地
※ 植物が育たない、栄養分の乏しい土地を指します。農業的な文脈で使われることが多いですが、比喩的に、新しいアイデアや創造性が育たない環境を指すこともあります。例:"The company's rigid structure created a sterile soil for innovation."(その会社の硬直的な構造は、革新のための不毛な土壌を作り出した。)
使用シーン
生物学、医学、化学などの分野の研究論文や教科書で頻繁に使用されます。「無菌状態を保つ」「不妊治療の研究」「土壌が実りのない状態」などを説明する際に、専門用語として不可欠です。研究室での実験手順や、医療現場での感染症対策に関する議論でよく見られます。
医療機器メーカーや製薬会社など、特定の業界の報告書やプレゼンテーションで使われることがあります。「無菌環境での製造」「不妊治療薬の市場分析」といった文脈で登場します。また、比喩的に「実りのない議論」や「創造性のない会議」などを表す場合もありますが、やや皮肉なニュアンスを含むことがあります。
日常会話で「sterile」という単語を直接使うことは稀です。ただし、医療関連のニュース記事やドキュメンタリー番組などで、「無菌」「不妊」といった意味で使用されることがあります。例えば、新型ウイルスの感染予防対策や、不妊治療に関する情報番組などで見かけることがあります。
関連語
類義語
- aseptic
無菌的な、腐敗・感染を防ぐための処置が施された状態を指す。主に医療や食品業界で使用される、専門的な用語。 【ニュアンスの違い】"sterile"とほぼ同義だが、より専門的でフォーマルな印象を与える。無菌状態を作り出すプロセスや環境に焦点を当てている。 【混同しやすい点】"sterile"は完全に微生物が存在しない状態を指すが、"aseptic"は微生物の侵入を防ぐための処置が施されている状態を指す場合がある。日常会話ではほとんど使われない。
不毛な、実を結ばない、子供を産めないという意味。土地や女性に対して使われることが多い。比喩的に、アイデアや創造性が欠如している状態を表すこともある。 【ニュアンスの違い】"sterile"が物理的な無菌状態を指すのに対し、"barren"は生産性や生殖能力の欠如を表す。感情的な響きが強く、ネガティブな意味合いが強い。 【混同しやすい点】"sterile"は中立的な意味合いで使われることが多いが、"barren"はしばしば否定的な意味合いを持つ。医学的な文脈での「不妊」を表す場合、"infertile"がより適切。
- infertile
不妊の、繁殖力がないという意味。主に生物学的な文脈で使用され、人間や動物の生殖能力がない状態を指す。 【ニュアンスの違い】"sterile"が広範な無菌状態を指すのに対し、"infertile"は生殖能力に特化した状態を表す。医学的なニュアンスが強い。 【混同しやすい点】"sterile"は器具や場所が微生物に汚染されていない状態を指すのに対し、"infertile"は生物が生殖能力を持っていない状態を指す。文脈によって使い分ける必要がある。
消毒剤、殺菌剤。皮膚や粘膜などの生きた組織に使用され、微生物の成長を抑制または殺滅する。 【ニュアンスの違い】"sterile"は完全に微生物が存在しない状態を指すのに対し、"antiseptic"は微生物の数を減らすことを目的とする。手術前後の皮膚の消毒などに使用される。 【混同しやすい点】"antiseptic"は名詞(消毒剤)としても形容詞(消毒の)としても使用されるが、"sterile"は主に形容詞として使用される。また、"antiseptic"は生きた組織に使用されるのに対し、"sterile"は器具や環境に対して使用される。
- disinfected
消毒された、殺菌されたという意味。物体や表面に付着した病原性微生物を殺滅または不活化する処置が施された状態。 【ニュアンスの違い】"sterile"が完全に微生物が存在しない状態を指すのに対し、"disinfected"は病原性微生物の数を減らすことを目的とする。必ずしもすべての微生物を殺滅するわけではない。 【混同しやすい点】"sterile"は医療現場などで厳密な無菌状態が求められる場合に使用されるが、"disinfected"は日常的な衛生管理で使用されることが多い。例えば、台所用品やトイレの消毒など。
非生産的な、成果を生まないという意味。仕事、活動、土地など、何かが期待される結果を生み出さない状態を指す。ビジネスや経済の文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"sterile"が物理的な無菌状態や生殖能力の欠如を指すのに対し、"unproductive"は成果や結果が得られない状態を表す。比喩的な意味合いが強い。 【混同しやすい点】"sterile"は客観的な状態を表すことが多いが、"unproductive"は主観的な評価を含む場合がある。例えば、「会議が非生産的だった」という場合、会議の成果が期待を下回ったという評価が含まれている。
派生語
- sterilize
『殺菌する』という意味の動詞。元々は『不妊にする』という意味合いが強く、手術や医療器具の殺菌処理に使われる。現在ではより広義に、食品や化粧品など、様々な分野で『無菌化する』という意味で使用される。名詞形はsterilization(殺菌)で、学術論文や医療現場で頻繁に見られる。
『不妊(症)』または『無菌状態』を意味する名詞。医学的な文脈では不妊症を指し、科学的な文脈では無菌状態を指す。抽象名詞化により、具体的な対象物だけでなく、状態や性質を表すようになった。例えば、土壌のsterilityは『不毛』を意味する。
- sterilely
『無菌的に』という意味の副詞。主に実験室や手術室など、厳密な無菌状態が求められる環境で使用される。行動やプロセスが完全に無菌状態で行われることを強調する際に用いられる。例えば、『器具をsterilely扱う』といった使い方がある。
反意語
『肥沃な』『繁殖力のある』という意味の形容詞。『sterile(不妊の)』と直接的な対義語をなし、土地や生物の繁殖能力を指す。比喩的に、アイデアや創造性が豊かな状態を表すこともある。日常会話から学術的な文脈まで幅広く使用される。
『汚染された』という意味の形容詞。sterileが『無菌の』状態を表すのに対し、contaminatedは細菌や有害物質によって汚染された状態を表す。食品、水、医療器具など、様々なものが汚染される可能性があり、公衆衛生や環境問題に関連する文脈で頻繁に使用される。
『生産的な』という意味の形容詞。sterileが『不毛な』状態を比喩的に表すのに対し、productiveは『成果を生み出す』状態を表す。ビジネスや経済の文脈で、効率よく成果を上げている状態を指すことが多い。例えば、『生産的な会議』や『生産的な労働力』といった表現がある。
語源
"sterile」は、ラテン語の「sterilis」(不妊の、実を結ばない)に由来します。この語はさらに、「*ster-」(硬い、動かない、乾燥した)というインド・ヨーロッパ祖語の語根に遡ることができます。この語根は、物が生命を生み出すことができない状態、つまり硬くて乾燥している状態を示唆しています。日本語で例えるなら、乾燥してひび割れた土地を想像するとわかりやすいでしょう。そこからは何も育ちません。「sterile」は、文字通りには「不妊の」という意味ですが、そこから派生して、「無菌の」(微生物がいない)という意味や、「実りのない」(成果が出ない)という意味を持つようになりました。つまり、生命を生み出す力がない状態、または成果を生み出す力がない状態を表す言葉として理解できます。
暗記法
「sterile」は単なる不妊や殺菌状態を超え、文化的な影を落とします。中世では後継者断絶の恐怖を、近代では効率化の果ての人間性喪失を象徴しました。シェイクスピア劇から無機質なオフィスまで、創造性や感情の欠如を暗示する言葉として、文学やアートでその意味を深めています。清潔さの裏に潜む、現代社会の空虚さやディストピア的状況を想起させる、奥深い単語なのです。
混同しやすい単語
『sterile』は『不妊の』や『殺菌された』という意味ですが、『infertile』は『不妊の』という意味に限定されます。接頭辞 'in-' が付いていることで意味が反対になるため、混同しやすいです。スペルも似ているため、注意が必要です。発音は異なります。
『sterile』と『style』は、語尾の '-ile' と '-yle' が似ており、発音も一部共通するため、聞き間違いやスペルの誤りを起こしやすいです。『style』は『様式』や『スタイル』という意味で、意味も全く異なります。文脈で判断することが重要です。
『sterile』の最初の部分 'ster-' と『star』(星)の発音が似ているため、特に発音に自信がない学習者は混同しやすいです。スペルも先頭の数文字が似ています。意味は全く異なり、『star』は『星』や『スター』を意味します。語源的には関連性はありません。
『sterile』の '-ile' の部分と『steel』(鋼鉄)の発音が、特に語尾の子音において似ているため、聞き取りにくい場合があります。また、スペルも 'ste' の部分が共通しているため、視覚的にも混同しやすいです。『steel』は『鋼鉄』という意味で、意味は全く異なります。
『sterile』の語感と『story』(物語)の語感が似ていると感じる学習者がいるかもしれません。特に、英語の発音に慣れていない場合、母音の響きが曖昧に聞こえることがあります。スペルも全く異なります。『story』は『物語』や『話』という意味で、意味も全く異なります。
『sterile』の最初の音節 'ster-' と『stir』(かき混ぜる)の発音が似ているため、特に発音練習が不十分な学習者は混同しやすいです。スペルも最初の数文字が似ています。意味は全く異なり、『stir』は『かき混ぜる』や『騒ぎ』を意味します。動詞として使われることが多い点も異なります。
誤用例
『sterile』は主に『不妊の』『殺菌された』という意味で使用され、比喩的に『創造性がない』『実りのない』という意味も持ちますが、議論やアイデアに対して使う場合、ネガティブなニュアンスが強すぎることがあります。日本語の『議論が膠着状態になった』という意図で直訳すると、不自然に聞こえる可能性があります。より自然な英語では『unproductive』や『fruitless』を使う方が適切です。英語では比喩表現でも、元の意味合いが強く残るため、感情的な響きに注意が必要です。
『sterile』は『無菌の』という意味合いが強く、プレゼンテーションの準備環境に使うと、文字通り手術室のような無菌状態を求めているように聞こえます。日本人が『集中できる環境』を『無菌状態』という言葉で表現することはまずありません。英語では『distraction-free(気が散らない)』や『quiet(静かな)』など、より具体的な言葉を選ぶ方が、意図が明確に伝わります。日本語の『〜な環境』という表現をそのまま英語に直訳しようとすると、このような語感のズレが生じやすいです。
『sterile』は革新性や創造性の欠如を意味する際に使用できますが、強い批判的な意味合いを含みます。日本語で『型にはまった』『柔軟性がない』という程度のニュアンスを伝えたい場合、『sterile』は過度に攻撃的な印象を与えてしまうことがあります。より穏やかな表現としては、『unimaginative』や『conventional』などが適切です。ビジネスシーンにおいては、相手に不快感を与えないよう、言葉の選択に注意する必要があります。特に、間接的な表現を好む日本人がストレートな表現の英語を使う際には、語感の強さに注意が必要です。
文化的背景
「sterile(不妊の、殺菌された)」は、単に生物学的な状態を示すだけでなく、創造性や生命力の欠如、感情の麻痺といった文化的・象徴的な意味合いを帯びて用いられてきました。特に、近代化が進むにつれて、効率や清潔さを追求するあまり、人間性や自然との繋がりが失われた状態を批判的に表現する際に、この言葉が持つ負のニュアンスが強調されるようになりました。
中世ヨーロッパにおいて、不妊は個人の悲劇であると同時に、家系の断絶を意味し、社会的な不安の源泉でした。王侯貴族の間では、後継者不足が政治的な混乱を招く可能性があったため、不妊は国家的な危機と捉えられました。そのため、「sterile」という言葉は、単に子供を産めない状態を示すだけでなく、権力の維持や社会の安定を脅かすものとして、強い忌避感を伴って使われていました。シェイクスピアの戯曲にも、王位継承問題と絡めて不妊の女性が登場することがあり、当時の社会における不妊に対する複雑な感情が垣間見えます。
近代に入り、科学技術の発展とともに、医療現場における「sterile」は、細菌やウイルスが存在しない清潔な状態を指すようになりました。手術室や実験室など、生命を扱う現場では、感染症のリスクを最小限に抑えるために、徹底的な滅菌が求められます。しかし、同時に、「sterile」は、過度な清潔さや効率化が、人間らしさや感情を奪ってしまうという批判的な意味合いも帯びるようになりました。例えば、無機質で効率的なオフィス空間を「sterile environment(殺風景な環境)」と表現することで、創造性や人間味の欠如を暗示することがあります。
現代社会においては、「sterile」は、単なる生物学的な状態や清潔さの概念を超えて、より広範な文化的・社会的な意味を持つ言葉として使われています。創造性や生命力の欠如、感情の麻痺、人間性の喪失など、近代化や技術の発展によって失われたものを象徴する言葉として、文学、映画、アートなど、様々な分野で用いられています。例えば、ディストピア小説では、管理社会における人間の感情の抑圧や個性の喪失を表現するために、「sterile」な環境がしばしば描かれます。このように、「sterile」は、単に清潔な状態を示すだけでなく、現代社会における人間の存在意義や幸福について深く考えさせる言葉として、その文化的意義を深めています。
試験傾向
準1級・1級の長文読解、語彙問題で出題される可能性があります。医療、科学技術系のテーマで「無菌の」「不妊の」といった意味で使われることが多いです。文脈から意味を推測する問題や、同意語・類義語を選ぶ問題で問われることがあります。スペルミスにも注意が必要です。
TOEICでは、Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解)で出題される可能性があります。医療関連、製造業、品質管理など、ビジネスシーンにおける品質や安全性を扱う文脈で登場することが考えられます。「無菌の」という意味で使われることが多いでしょう。類義語・対義語の問題で問われることもあります。
TOEFL iBTのリーディングセクションで、科学、医学、環境問題などのアカデミックな文章で登場する可能性が高いです。「無菌の」「不妊の」という意味で使われ、文脈理解が重要になります。同意語・類義語の問題や、文章の要約問題で問われることがあります。
大学受験の長文読解問題で、難関大学を中心に、科学、医学、社会問題などを扱った文章で出題される可能性があります。「無菌の」「不妊の」といった意味で使用され、文脈から適切な意味を判断する力が求められます。同意語・反意語、内容説明問題などで問われることがあります。