selfishness
第一音節にアクセントがあります。/ɛ/ は日本語の「エ」よりも口を少し横に開いて発音します。「fi」は日本語の「フィ」よりも唇を横に引いて発音し、「sh」は舌先をどこにもつけずに息だけで出す音です。最後の「nəs」は弱く発音されることが多いです。
わがまま
自分自身の利益だけを考え、他者の気持ちやニーズを無視する態度。ネガティブな意味合いが強く、人間関係を損なう原因となることが多い。自己中心的、利己的といった言葉と関連する。
The little boy showed his selfishness by not sharing his toys.
その小さな男の子は、おもちゃを共有しようとしないことでわがままさを見せました。
※ 公園や家で、子供がおもちゃを独り占めしている情景が目に浮かびます。「わがまま」という性質が、具体的な行動(おもちゃを共有しないこと)を通して表れる典型的な場面です。'show selfishness by doing'で「~することによってわがままさを示す」という使い方はよくされます。
His selfishness in the team meeting made everyone frustrated.
チーム会議での彼のわがままな態度は、みんなをイライラさせました。
※ 職場や学校のグループ活動で、一人の人が自分の意見ばかり主張したり、協力しなかったりする状況です。その「わがままさ」が周囲にどんな影響を与えるかがよくわかります。'selfishness in the meeting'のように、どこでのわがままかを具体的に示すと、より状況が明確になります。
His selfishness often caused arguments with his family.
彼のわがままは、しばしば家族との口論を引き起こしました。
※ 家族という身近な関係で、一人のわがままな行動や態度が原因で、言い争いが起きる日常的なシーンです。'cause arguments'は「口論を引き起こす」という決まった言い方で、'selfishness'がトラブルの原因となる典型的な例です。
身勝手
他人の都合や状況を考えずに、自分の都合だけを優先する行動や態度。相手に迷惑をかける可能性があり、非難されることが多い。
His selfishness made his little sister cry when he ate all the cake by himself.
彼が一人でケーキを全部食べてしまった時、その身勝手さが幼い妹を泣かせました。
※ これは、子供の行動を通して「selfishness(身勝手さ)」が身近な人にどんな影響を与えるかを示す典型的な場面です。身勝手な行動が、他人の感情(この場合は悲しみ)を引き起こす様子が鮮明に描かれています。「make + 人 + 動詞の原形」で「~に…させる」という、結果を表す便利な表現も学べます。
The player's selfishness in not passing the ball cost the team the game.
ボールをパスしなかった選手の身勝手さが、チームに試合を負わせました(=チームはその身勝手のせいで試合に負けました)。
※ スポーツの試合で、自分のことばかり考える選手がチーム全体の成功を妨げる、という状況です。「selfishness」が個人の行動(パスしないこと)を通じて、集団(チーム)に大きな損失(試合に負けること)をもたらす様子がよくわかります。「cost + 人 + もの」は「~に~を犠牲にさせる」という意味で、負の代償を表現する際によく使われます。
People's selfishness often causes serious problems for the environment.
人々の身勝手さが、しばしば環境に対して深刻な問題を引き起こします。
※ この例文は、「selfishness」が個人だけでなく、より広い社会や環境にどう影響するかを示しています。例えば、ゴミのポイ捨てや資源の無駄遣いなど、自分のことしか考えない行動が環境破壊につながる、という情景が目に浮かびます。「cause problems for...」は「~に問題を引き起こす」という意味で、社会的な課題を語る際によく使われる表現です。
利己主義
倫理的、哲学的な文脈で使われる場合、自己の利益を最優先とする考え方や主義を指す。必ずしも悪い意味ではなく、個人の自由や権利を重視する立場と関連する場合もある。
He showed great selfishness by taking the biggest piece of cake for himself.
彼は一番大きなケーキを自分にとって、ひどい利己主義を見せました。
※ 【情景】家族や友達とケーキを分ける時、一番大きいものを自分だけ取る人がいますよね。そんな時、相手は「自分のことしか考えてないな」と感じます。 【ポイント】「show selfishness」で「利己主義を見せる」という表現です。誰かの行動が利己的だと感じた時に使います。
Her selfishness prevented the team from working well together.
彼女の利己主義が、チームがうまく協力するのを妨げました。
※ 【情景】グループで何かをする時、協力せず自分勝手な行動ばかりする人がいると、みんな困ってしまいます。その人の利己的な態度が原因で、全体がうまく機能しない状況です。 【ポイント】「prevent A from B」は「AがBするのを妨げる」という意味で、selfishnessが悪い結果を引き起こす典型的な表現です。
Pure selfishness can destroy trust between people.
全くの利己主義は、人々の間の信頼を破壊しかねません。
※ 【情景】誰かに裏切られたり、自分のことばかり考える人がいると、その人を信じられなくなりますよね。利己主義が続くと、良い人間関係は築けません。 【ポイント】「destroy trust」は「信頼を壊す」という強い表現です。selfishnessが人間関係に与える深刻な悪い影響をよく表しています。
コロケーション
抑制のきかない、むき出しのエゴイズム
※ 「unbridled」は「手綱の無い」という意味で、馬などが制御されていない状態を表します。転じて、感情や欲望などが抑えられない様子を指し、「unbridled selfishness」は、まるで野放しにされた獣のような、露骨で遠慮のない利己主義を意味します。ビジネスシーンや政治的な文脈で、批判的なニュアンスを込めて使われることが多い表現です。例えば、「彼のunbridled selfishnessが会社を危機に陥れた」のように用います。
(性格などの)一部に見られる利己的な傾向
※ 「streak」は、通常は「筋」「線」などを意味しますが、人の性格や行動の一部を指す場合、「傾向」「気質」といった意味合いになります。「a streak of selfishness」は、その人の全体的な性格が利己的というわけではなく、時折見せる利己的な一面を指す、やや婉曲的な表現です。例えば、「彼は親切だが、どこかa streak of selfishnessがある」のように使います。日常会話でよく用いられ、直接的な非難を避けつつ、相手の欠点を指摘するニュアンスがあります。
利己心には限界がない
※ この表現は、人間の利己的な欲望や行動が、倫理や道徳といった境界線を越えて際限なく拡大していく様子を強調する際に用いられます。しばしば、強い失望感や憤りを伴って用いられることが特徴です。例えば、政治家の汚職事件や企業の環境破壊など、社会的な不正行為に対して使われることがあります。文学作品や報道記事などで見られる、やや形式ばった表現です。「know no bounds」は、「限界を知らない」「際限がない」という意味の定型句で、他の名詞(例えばambition, greed)とも組み合わせることができます。
利己心によって動機づけられた
※ この表現は、行動の動機が純粋な利己的な欲求に基づいていることを明確に示す際に用いられます。単に「selfish」と言うよりも、行動の根本的な原因を特定するニュアンスがあります。例えば、「彼の行動は、motivate by selfishness以外の何物でもない」のように使用されます。ビジネスや政治の分析において、客観的な視点から行動原理を説明する際に適しています。より感情的な表現を避け、冷静に事実を伝えたい場合に有効です。
利己主義の典型
※ "epitome"は「典型」「権化」を意味する単語で、ある性質を最も純粋かつ完璧な形で体現しているものを指します。したがって、"the epitome of selfishness"は、利己主義が極限まで達した状態、またはそのような人を指します。この表現は、強い非難や皮肉を込めて用いられることが多く、文学作品や演説など、やや格式ばった文脈で見られます。例えば、「彼はまさにthe epitome of selfishnessだ」のように使います。
利己主義が蔓延した文化、風潮
※ "a culture of..."という表現は、特定の価値観や行動様式が社会全体に広まっている状態を指します。"a culture of selfishness"は、個人の利益を最優先し、他者への配慮や協力が軽視される風潮を意味します。企業文化や政治状況を批判的に分析する際によく用いられます。例えば、「この会社にはa culture of selfishnessが蔓延している」のように使います。社会学や経営学の分野で頻繁に用いられる表現です。
使用シーン
社会科学、特に心理学や倫理学の研究論文で、人間の行動原理や社会現象を分析する際に使用されます。例えば、「利己主義と協力行動の関連性について研究する」といった文脈で登場します。学術的な議論においては、客観的な視点から現象を説明するために用いられることが多いです。
ビジネスシーンでは、従業員の行動特性や組織文化を評価する際に、ややフォーマルな文脈で使用されます。例として、「チームワークを阻害する利己的な行動が見られる」といった報告書や人事評価で用いられることがあります。ただし、直接的な批判を避けるため、婉曲的な表現が好まれる傾向にあります。
日常会話ではあまり使用されませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、政治家の行動や社会問題の原因を分析する際に使われることがあります。例えば、「企業の利己主義が環境破壊を招いた」といった報道で見かけることがあります。日常会話で使う場合は、やや強い非難のニュアンスが含まれるため、注意が必要です。
関連語
類義語
- egotism
自己中心的で、自分のことばかり考えている態度を指します。しばしば、自分の重要性を過大評価し、他人を見下すような傲慢さを伴います。学術的な文脈や、ややフォーマルな議論で用いられることが多いです。 【ニュアンスの違い】"Selfishness"よりも自己中心的であることの度合いが強く、しばしばナルシシズムや傲慢さを含みます。単に自分の利益を優先するだけでなく、他者を軽視するようなニュアンスがあります。主語は通常、人です。 【混同しやすい点】"Egotism"は、単に自己中心的であるだけでなく、しばしば自己顕示欲や虚栄心と結びついています。"Selfishness"は単に利己的な行動を指すのに対し、"egotism"はより根深い性格的な特徴を指すことが多いです。
- self-centeredness
自分のことばかり考えて、他人の気持ちやニーズに無頓着な状態を指します。日常会話や心理学的な文脈でよく使われます。 【ニュアンスの違い】"Selfishness"と近い意味ですが、より中立的な響きを持ちます。必ずしも他人を傷つけようという意図はなく、単に自分の世界に閉じこもっている状態を表すことが多いです。対象は人や行動など。 【混同しやすい点】"Self-centeredness"は、利己的な行動というよりは、思考や関心の中心が自分自身にある状態を指します。"Selfishness"は、具体的な行動や選択において自分の利益を優先することを意味します。
- self-interest
自分の利益を追求することを指します。経済学や政治学などの分野で、個人の行動原理を説明する際に用いられることが多いです。 【ニュアンスの違い】"Selfishness"とは異なり、必ずしも否定的な意味合いを持ちません。合理的な行動や、自己責任の原則に基づく行動として捉えられることもあります。文脈によって中立~肯定的な意味合いを持ちます。 【混同しやすい点】"Self-interest"は、必ずしも他者の利益を損なうものではありません。むしろ、自由主義経済においては、個々人の"self-interest"の追求が、社会全体の利益につながると考えられています。"Selfishness"は常に否定的な意味合いを持ちます。
過度な欲、特に金銭や物質に対する飽くなき欲望を指します。しばしば道徳的な非難を伴います。文学作品や倫理的な議論でよく用いられます。 【ニュアンスの違い】"Selfishness"よりも強い感情を伴い、倫理的な非難のニュアンスを含みます。単に自分の利益を追求するだけでなく、他者のものを奪い取ろうとするような、貪欲な態度を意味します。 【混同しやすい点】"Greed"は、常に否定的な意味合いを持ち、道徳的な非難の対象となります。"Selfishness"は、必ずしもそこまで強い非難を伴いません。また、"greed"は通常、金銭や物質に対する欲望を指しますが、"selfishness"はより広い範囲の利益を対象とします。
- cupidity
金銭や権力に対する強烈な欲望を意味する、やや古風でフォーマルな言葉です。文学作品や歴史的な文脈で見られることがあります。 【ニュアンスの違い】"Greed"よりもさらに強い欲望を表し、しばしば不正な手段を使ってでも目的を達成しようとするニュアンスを含みます。使用頻度は低めです。 【混同しやすい点】"Cupidity"は、現代英語ではあまり一般的ではありません。"Greed"の方がより一般的で、日常会話でも使われます。"Cupidity"は、より文学的、歴史的な文脈で用いられることが多いです。
- egoism
哲学的な文脈で、自分の利益や幸福を最優先に考える立場を指します。倫理学や心理学で議論されることがあります。 【ニュアンスの違い】"Selfishness"よりも抽象的で、行動原理や倫理的な立場を指すことが多いです。必ずしも否定的な意味合いを持つとは限りません。例えば、倫理的利己主義は、自分の利益を追求することが道徳的に正しいと主張します。 【混同しやすい点】"Egoism"は、必ずしも他者を傷つけたり、不正な手段を用いたりすることを意味しません。自分の利益を追求することが、結果的に社会全体の利益につながると考えることもあります。"Selfishness"は、通常、他者の利益を無視したり、侵害したりする行動を指します。
派生語
- selfishly
『利己的に』という意味の副詞。『selfish(利己的な)』に副詞化の接尾辞『-ly』が付いた形。行動や態度を修飾し、日常会話やビジネスシーンで、人の行動を批判的に評価する際に用いられる。例:『He acted selfishly.(彼は利己的に振る舞った)』。
『利己的な』という意味の形容詞。名詞『self(自己)』に形容詞化の接尾辞『-ish』が付いた形。人の性質や行動を説明する際に用いられ、日常会話で頻繁に使われる。例:『a selfish person(利己的な人)』。
- selflessness
『無私無欲』という意味の名詞。『selfishness(利己心)』に否定の接頭辞『-less』が付いた形。自己中心的でない性質を指し、倫理的な文脈や、他者への貢献を強調する場面で用いられる。ややフォーマルな語。
反意語
『利他主義』という意味の名詞。『selfishness(利己主義)』と対照的に、他者の幸福を優先する考え方を指す。哲学、心理学、社会学などの学術的な文脈でよく用いられ、日常会話でも道徳的な話題で使われる。例:『She showed great altruism in her work.(彼女は仕事で素晴らしい利他主義を示した)』。
『寛大さ』や『気前の良さ』という意味の名詞。『selfishness(利己心)』とは対照的に、惜しみなく他者に与える性質を指す。日常会話で人の性格や行動を評価する際に頻繁に使われる。例:『His generosity was remarkable.(彼の寛大さは際立っていた)』。
『慈善心』や『博愛』という意味の名詞。『selfishness(利己心)』の対義語として、他者への思いやりや善意に基づく行動を指す。フォーマルな文脈や、社会貢献活動、慈善事業などを語る際に用いられる。例:『The organization is known for its benevolence.(その組織は慈善活動で知られている)』。
語源
"Selfishness"は、「わがまま」「利己主義」を意味する名詞です。この単語は、まず「自分自身」を意味する"self"に、形容詞を作る接尾辞"-ish"が付いた"selfish"(わがままな、利己的な)が基本となります。さらに、名詞を作る接尾辞"-ness"が加わり、抽象名詞化されて"selfishness"となりました。"Self"は、ゲルマン祖語の「sīlfaz」(自分自身)に由来し、古英語の"self"を経て現代英語に至ります。日本語で例えるなら、「自分」という言葉に「〜的」を付け「自分的」、さらに「〜さ」を加えて「自分的さ」とするイメージです。つまり、「自分」という概念が、行動や性質を表す形容詞へと変化し、最終的に抽象的な状態や性質を表す名詞になった、という語源的な物語を持っています。
暗記法
西洋における「selfishness」は、個人主義と共同体意識の狭間で揺れる葛藤の象徴。ルネサンス期以降、自己実現の原動力として肯定されるも、産業革命後の格差拡大で再び批判の的に。文学作品では、利他主義との対比や、人間の成長を阻害する要因として描かれる。現代では、自己肯定感の欠如やSNSとの関連も指摘される一方、自立した生き方の追求とも結びつく。時代と共に意味合いを変え、今も重要なテーマ。
混同しやすい単語
『selfishness』とスペルが似ており、意味も反対であるため混同しやすい。『selfless』は『無私無欲』という意味で、形容詞です。日本人学習者は、語尾の '-ness'(名詞)と '-less'(形容詞)の違いに注意する必要があります。また、接頭辞 self- は「自己」に関連する意味を持つことを覚えておくと良いでしょう。
『selfishness』とはスペルの一部が似ており、特に 'self' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすいです。『shellfish』は『貝類』という意味で、名詞です。発音も全く異なります。単純なスペルの類似性から意味を推測しないように注意が必要です。
『selfishness』と同様に、語尾に '-ishness' がついているため、スペルが似ていると感じやすいです。『foolishness』は『愚かさ』という意味で、名詞です。'-ish' は形容詞を作る接尾辞で、それに '-ness' が付いて名詞化されるという構造を理解すると、区別しやすくなります。
『selfishness』と同様に、語尾に '-ness' がついているため、スペルが似ていると感じやすいです。『silliness』は『ばかげていること、くだらなさ』という意味で、名詞です。発音も似ている部分があるため、文脈で判断する必要があります。
『selfishness』の 'self' の部分と発音が似ており、特に早口で発音された場合、聞き間違える可能性があります。『sell』は『売る』という意味で、動詞です。文脈が全く異なるため、注意深く聞く必要があります。また、動詞と名詞の違いを意識することも重要です。
『selfishness』とはスペルも発音も大きく異なりますが、語頭の音が似ているため、特に発音に自信がない学習者は混同する可能性があります。『celibacy』は『禁欲』という意味で、名詞です。語源的には、ラテン語の『caelebs』(独身の)に由来します。全く異なる単語であることを意識しましょう。
誤用例
『selfishness』は日本語の『わがまま』に近いニュアンスで、ネガティブな意味合いが強いです。幼少期の辛い経験が原因という文脈では、より客観的な『自己中心的(self-centeredness)』を使う方が、同情や理解を示すニュアンスが伝わりやすくなります。日本人は『selfishness』を単に『自分のことを考えている』という意味で捉えがちですが、英語では利己的で他人を顧みない行動を指すため、注意が必要です。
『selfishness』は基本的に賞賛の対象とはなりません。目標達成のために努力する姿勢を褒めたい場合は、『determination(決意)』や『ambition(野心)』など、ポジティブな意味合いの言葉を使うべきです。日本人が『selfishness』を『自分の信念を貫く強さ』のように捉え、誤って肯定的な文脈で使用してしまうことがあります。英語では、他者を犠牲にする利己的な行動を美徳とはしないため、賞賛の言葉としては不適切です。
『selfishness』は個人の利己的な行動を指すことが多いですが、企業などの組織に対して使うと、文脈によっては不自然に聞こえることがあります。組織の行動が短期的な利益を優先し、長期的な視点を欠いている場合は、『short-sightedness(近視眼的であること)』を使う方が適切です。日本人が『selfishness』を『自分たちのことしか考えていない』という意味で組織に対しても使いがちですが、英語では組織の戦略的な判断ミスを表す場合は別の語彙を選ぶ必要があります。
文化的背景
「selfishness(利己主義)」は、西洋文化において、個人主義の尊重と社会全体の調和という相反する価値観の間で揺れ動く人々の葛藤を象徴する言葉です。自己の利益を最優先にする態度は、時に成功への原動力とみなされる一方で、共同体意識を損なうものとして強く非難されてきました。この二面性こそが、「selfishness」という言葉に複雑なニュアンスを与えているのです。
歴史を振り返ると、ルネサンス期以降、個人の才能や自由を重視する考え方が台頭し、「selfishness」に対する見方も変化しました。それまで罪深いものとされていた自己中心的な行動が、自己実現や社会進歩の源泉として肯定的に捉えられるようになったのです。たとえば、アダム・スミスの『国富論』における「見えざる手」の概念は、各個人が利己的に行動することで、結果的に社会全体の利益につながるという考えを示唆しており、ある種の「selfishness」を肯定的に捉える視点を提供しました。しかし、産業革命以降、貧富の格差が拡大すると、「selfishness」は再び批判の対象となります。資本家が労働者を搾取する姿は、「selfishness」の負の側面を象徴するものとして、社会主義思想の隆盛を促しました。
文学作品においても、「selfishness」は魅力的なテーマとして繰り返し登場します。オスカー・ワイルドの『幸福な王子』では、王子が自分の持つ宝物を貧しい人々に分け与える姿が描かれていますが、これは「selfishness」の対極にある利他主義の美しさを強調するものです。一方で、ディケンズの『クリスマス・キャロル』に登場するスクルージは、当初は徹底した利己主義者として描かれますが、クリスマスの精霊との出会いを通じて改心し、他者への思いやりを取り戻します。これらの物語は、「selfishness」が人間の成長や幸福を阻害する可能性を示唆するとともに、それを克服することの重要性を教えてくれます。
現代社会においては、「selfishness」は、自己肯定感の欠如や人間関係の希薄さといった問題と結びつけて語られることもあります。SNSの普及により、自己顕示欲が過剰に刺激され、他者との比較を通じて自己肯定感を損なう人々が増加しています。このような状況下では、「selfishness」は、単なる利己的な行動にとどまらず、自己防衛的な態度や孤立を招く要因として捉えられることがあります。しかし、同時に、自己の権利を主張し、他者に依存しない自立した生き方を追求することも、「selfishness」の一つの側面として認識されています。このように、「selfishness」は、時代や社会の変化とともに、その意味合いを変えながら、現代社会においても重要なテーマとして存在し続けているのです。
試験傾向
準1級、1級で語彙問題、長文読解で出題される可能性があります。1級ではエッセイでselfishnessに関する意見を求められることも。注意点としては、selfishとself-centeredの違いを理解すること。文脈によって使い分けが必要です。
TOEICでは、ビジネスシーンでの利己的な行動や態度を説明する文脈で、長文読解(Part 7)に登場する可能性があります。直接的な語彙問題(Part 5)での出題頻度はやや低めです。selfishnessが原因で起こる問題や結果に関する記述に注意しましょう。
TOEFLのリーディングセクションでは、心理学、社会学などのアカデミックな文章で、人間の行動原理や社会現象を説明する際にselfishnessという概念が登場する可能性があります。ライティングセクションでは、selfishnessの是非について意見を述べるエッセイが出題されることも考えられます。類義語であるegotismとのニュアンスの違いを理解しておくことが重要です。
大学受験の長文読解で、評論文や物語文の中で登場する可能性があります。文脈から意味を推測する問題や、内容説明問題でselfishnessに関連する記述が問われることがあります。関連語句(selfish, selfless, egoism, altruismなど)との関連性を理解しておくと役立ちます。