sad
母音 /æ/ は日本語の『ア』と『エ』の中間のような音で、口を大きく開けて発音します。『サ』と『セ』の中間を意識し、舌を少し下げてみましょう。語尾の /d/ は、舌先を上の歯の裏につけて発音する有声音です。日本語の『ド』よりも弱く、息を止めるようなイメージで発音するとより自然になります。
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悲しい
一時的な感情として、何か良くない出来事や状況に対して感じる悲しみ。個人的な喪失感や失望感を含む。
My friend looked so sad after his team lost the game.
友達はチームが試合に負けた後、とても悲しそうに見えました。
※ この例文では、身近な人が悲しんでいる様子を描写しています。「look sad」で「悲しそうに見える」という外見の状態を表す、とても自然な表現です。スポーツの試合結果など、日常でよくある状況で使えます。
The little girl looked sad because her balloon flew away.
小さな女の子は、風船が飛んでいってしまったので悲しそうでした。
※ 「sad」が、具体的な出来事によって引き起こされた感情を表す典型的な例です。「because ~」は「~なので」と理由を説明する際に非常に役立つ表現で、この文のように子供の純粋な悲しみを伝える場面によく合います。
I felt very sad when I heard the news about the accident.
その事故のニュースを聞いたとき、私はとても悲しくなりました。
※ この例文は、何か特定の情報や出来事を聞いて、内面的な感情が動いた状況を表しています。「feel sad」は「悲しい気持ちになる」という心の状態を表すときに使われ、「when ~」で「~したとき」と、その感情が生まれたきっかけを説明できます。
気の毒な
同情や憐れみを感じる対象の状態を表す。かわいそう、不憫、といったニュアンス。
I felt sad for the little bird with a broken wing.
翼が折れた小さな鳥が気の毒に思えました。
※ この例文は、助けが必要な弱いものを見て、心から同情する気持ちを表現しています。誰かの不幸な状況に対して「かわいそうに思う」「気の毒に感じる」というときに、'feel sad for' の形がよく使われます。情景が目に浮かびやすい典型的な使い方です。
It was a sad story about the boy who lost his parents.
両親を亡くした少年の、気の毒な話でした。
※ この文は、悲惨な状況や不運な出来事を「気の毒な話」と表現しています。'a sad story' は、聞いている人が同情や哀れみの感情を抱くような話によく用いられます。事実だけでなく、聞き手の感情に訴えかけるニュアンスが伝わります。
It's sad that they couldn't go to the picnic because of the rain.
雨のせいで彼らがピクニックに行けなかったのは、気の毒だね。
※ ここでは、楽しみにしていたことができなくなった状況に対して、「残念だ」「気の毒だ」という気持ちを表しています。'It's sad that...' の形は、特定の出来事や状況が残念で、同情の気持ちを込めて表現する際によく使われる口語的な表現です。期待が裏切られた場面が想像できます。
憂鬱な
長期間にわたる、または漠然とした悲しみや落ち込みの状態。単なる一時的な感情ではなく、より深刻な心の状態を示唆する。
The little girl looked sad when her ice cream fell on the ground.
その小さな女の子は、アイスクリームが地面に落ちたとき、悲しそうな顔をしました。
※ 【情景】公園で遊んでいた小さな女の子が、せっかくのアイスクリームをうっかり落としてしまい、がっかりして悲しい顔をしている様子です。「sad」は人の感情を直接表す形容詞として、最もよく使われる形です。「look sad」で「悲しそうに見える」という、見た目の印象を伝える定番の表現です。
The old photo made her feel sad about the past.
その古い写真は、彼女に過去を思い出させて悲しい気持ちにさせました。
※ 【情景】古いアルバムをめくっていた女性が、懐かしい写真を見て、過ぎ去った日々に思いを馳せ、少し切ない気持ちになっている場面です。「sad」は、このように「物事が人にある感情を引き起こす」場合にも使われます。「make (人) feel sad」で「(人)を悲しい気持ちにさせる」という、感情を動かす定番の表現です。
He felt sad because he missed his family very much.
彼は家族にとても会いたくて、悲しい気持ちになりました。
※ 【情景】遠く離れた場所で一人で過ごしている男性が、故郷の家族を強く思い出し、会えない寂しさから悲しんでいる様子です。「feel sad」は「悲しい気持ちになる」という、感情の動きを表す自然な表現です。理由を説明する「because」と合わせて使うことで、なぜ悲しいのかが明確に伝わります。
コロケーション
悲しみを帯びた笑顔、無理に笑う様子
※ 口角は上がっているものの、目の奥に悲しみや寂しさが感じられる笑顔を指します。顔の表情が矛盾している状態を表し、感情を押し殺している状況や、諦めや達観を表す際に用いられます。文学作品や映画などで、登場人物の複雑な心情を描写する際によく使われます。構文としては "adjective + noun" で、視覚的な描写に訴える表現です。
悲しみをたたえた目、悲しげな目
※ 目の表情から悲しみが伝わってくる様子を表します。単に泣いているだけでなく、憂いや諦め、後悔といった複雑な感情が込められていることが多いです。物語や詩で人物の内面を表現する際によく用いられ、"形容詞 + 名詞"の組み合わせで、視覚的な印象を強くします。"sorrowful eyes"も同様の意味で使えますが、"sad eyes"の方がより一般的です。
悲しい気持ちになる、悲しみを覚える
※ "feel"は状態を表す動詞で、"sad"という感情を感じることを意味します。一時的な感情の変化を表すことが多く、「何かがきっかけで悲しくなった」という状況で使われます。例:"I feel sad when I watch that movie."(あの映画を見ると悲しくなる)。"be sad"も同様に悲しい状態を表しますが、"feel sad"はより感情の動きに焦点を当てています。"verb + adjective"の組み合わせです。
悲しい物語、悲劇
※ 不幸な出来事や悲劇的な結末を含む物語を指します。実話に基づくものも、フィクションも含まれます。"sad"は物語全体のトーンを表し、読者や視聴者の感情を揺さぶる要素となります。"tragic story"と似た意味ですが、"sad story"はより広範な悲しみを指し、必ずしも悲劇的な結末でなくても使われます。"adjective + noun"の組み合わせです。
悲しい歌、哀歌
※ 歌詞やメロディーが悲しみや憂鬱な感情を表現している歌を指します。失恋、別れ、死別など、悲しい出来事をテーマにした歌が多いです。"melancholy song"や"ballad"も似た意味で使われますが、"sad song"はより直接的に悲しみを表現しているニュアンスがあります。"adjective + noun"の組み合わせです。
悲しい出来事、悲しい機会
※ 葬式、お別れ会、災害など、悲しみや憂いを伴う出来事を指します。個人的な悲しみだけでなく、社会的な悲劇にも使われます。"unfortunate occasion"も似た意味ですが、"sad occasion"は感情的な悲しみに焦点を当てています。フォーマルな場面でも使用されます。"adjective + noun"の組み合わせです。
嘆かわしい状況を示すもの、悲しい実態
※ ある事柄が、社会や人間の状態について悲観的な見方をせざるを得ない状況を示していることを指します。直接的な悲しみというよりは、現状に対する失望や批判を含むことが多いです。例えば、貧困や格差の拡大について「It's a sad commentary on our society.(それは私たちの社会の嘆かわしい実態だ)」のように使われます。"adjective + noun"の組み合わせですが、"commentary"はここでは「批評」「論評」という意味合いを持ちます。
使用シーン
学術論文や教科書で、感情や心理状態を客観的に記述する際に使われます。例:『被験者は実験後、悲しい感情を報告した (The subjects reported feeling sad after the experiment.)』のように、感情の状態をデータとして示す場合や、文学作品の分析で登場人物の感情を分析する際に使用されます。
ビジネスシーンでは、直接的な感情表現は避ける傾向がありますが、状況を説明する際に用いられることがあります。例:『市場の状況が残念ながら芳しくない (The market situation is, sadly, not favorable.)』のように、間接的な表現や、状況を客観的に伝える文脈で使用されます。また、従業員の個人的な事情に対する配慮を示す場面で、人事担当者が『〇〇さんのご家族の状況を伺い、大変気の毒に思いました (I was very sad to hear about the situation of Mr./Ms. XX's family.)』と述べるような場合もあります。
日常会話では、自分の感情や他者の感情を表現する際に頻繁に使われます。例:『映画を見て悲しくなった (I felt sad after watching the movie.)』のように、個人的な感情を伝える場合や、友人が悲しい出来事を経験した際に、『それは悲しいね (That's sad.)』と同情を示す場合など、幅広く使用されます。
関連語
類義語
一般的な「不幸な」「不満な」という意味。日常会話で広く使われ、特定の理由がない漠然とした悲しみや不満を表すことが多い。 【ニュアンスの違い】"sad"よりもややフォーマルな印象を与える場合がある。感情の深さとしては"sad"と同程度か、それよりもやや弱い場合もある。一時的な感情というよりは、状態を表すことが多い。 【混同しやすい点】"unhappy"は形容詞であり、状態を表すため、動詞"feel"などと共に使われることが多い。例えば、"I feel unhappy."のように使う。"sad"も同様だが、より直接的な感情表現として用いられることが多い。
「憂鬱な」「意気消沈した」という意味。医学的な意味合いも含む場合があり、深刻な落ち込みや絶望感を伴う状態を表す。精神的な病気としての「うつ病」を指すこともある。 【ニュアンスの違い】"sad"よりも感情が深く、持続的な状態を示す。一時的な悲しみというよりは、長期的な落ち込みや無気力さを伴う。日常会話でも使われるが、深刻な状態を表すため、注意が必要。 【混同しやすい点】"depressed"は、一時的な悲しみではなく、臨床的な意味合いを持つ可能性があることを理解しておく必要がある。安易に使うと相手に不快感を与える可能性もあるため、注意が必要。
「悲しみに満ちた」「悲痛な」という意味。文学的な表現や、非常に深い悲しみを表す際に用いられる。日常会話ではあまり使われない。 【ニュアンスの違い】"sad"よりも感情が強く、よりフォーマルで詩的な響きを持つ。喪失や後悔など、深い悲しみを伴う状況で用いられることが多い。 【混同しやすい点】"sorrowful"は日常会話ではほとんど使われないため、使いすぎると不自然に聞こえる可能性がある。文学作品やフォーマルな場面での使用に適している。
「悲惨な」「みじめな」という意味。非常に不快な状態や、不幸な状況を表す。肉体的、精神的な苦痛を伴う場合が多い。 【ニュアンスの違い】"sad"よりも強い感情を表し、苦痛や絶望感を含む。自分自身や他人の状況に対して用いられ、同情や憐憫の気持ちを伴うことが多い。 【混同しやすい点】"miserable"は、客観的な状況に対しても用いられることがある(例:miserable weather)。感情だけでなく、状況の悪さを強調する際に使われる。
「陰鬱な」「憂鬱な」という意味。天気や場所、雰囲気など、感情だけでなく、状況や環境に対しても用いられる。希望がない、または希望が薄い状態を表す。 【ニュアンスの違い】"sad"が個人的な感情を指すのに対し、"gloomy"は周囲の状況や雰囲気が暗いことを表す。間接的に悲しみや憂鬱さを感じさせる。 【混同しやすい点】"gloomy"は人の感情だけでなく、天気や場所など、無生物に対しても使える点に注意。例えば、"gloomy weather"(陰鬱な天気)のように使う。
- downhearted
「がっかりした」「落胆した」という意味。期待していたことがうまくいかなかったり、失望したりした時に使われる。一時的な感情を表すことが多い。 【ニュアンスの違い】"sad"よりも具体的な原因がある場合の悲しみを表す。目標を達成できなかったり、期待を裏切られたりした時の落胆や失望感を伴う。 【混同しやすい点】"downhearted"は、特定の出来事に対する反応として使われることが多い。漠然とした悲しみではなく、原因がはっきりしている場合に適している。
派生語
名詞で「悲しみ」「哀愁」という意味です。「sad」に名詞を作る接尾辞「-ness」が付加されたもので、感情の状態を表す抽象名詞として、日常会話から文学作品まで幅広く用いられます。単に悲しいという感情だけでなく、その状態が持続していることを示唆するニュアンスがあります。
- sadden
動詞で「~を悲しませる」「~を憂鬱にさせる」という意味です。「sad」に動詞化する接尾辞「-en」が付いた形で、原因となる出来事や状況によって心が沈む様子を表します。受動態で「be saddened by ~(~によって悲しむ)」の形でよく用いられます。
副詞で「悲しげに」「残念ながら」という意味です。「sad」に副詞化する接尾辞「-ly」が付加されたもので、動作や状況が悲しみを伴って行われる様子や、期待外れの結果に対する落胆を表します。文頭に置いて文全体を修飾することもできます。
反意語
形容詞で「幸せな」「嬉しい」という意味です。「sad」とは感情の方向性が正反対であり、喜びや満足感を表します。日常会話で頻繁に使われる基本的な語彙であり、「sad」と対比して感情の起伏を表す際に用いられます。文脈によっては「lucky(幸運な)」が対義語になる場合もあります。
- joyful
形容詞で「喜びに満ちた」「嬉しい」という意味です。「joy(喜び)」に形容詞化の接尾辞「-ful」が付いた形で、「happy」よりも強い喜び、特に感情の高揚を伴う状態を表します。お祝い事や特別なイベントなど、ポジティブな感情が強調される文脈で用いられます。
形容詞で「陽気な」「元気な」という意味です。「sad」とは対照的に、明るく活発な性格や気分を表します。特に、困難な状況でも前向きな姿勢を崩さない様子を指す場合が多く、日常会話や励ましの言葉としてよく用いられます。また、場所や雰囲気が明るい様子を表すこともできます。
語源
"sad"の語源は古英語の"sæd"に遡り、「満腹の」「飽きた」「満足した」といった意味を持っていました。これは、ゲルマン祖語の"*sathaz"(満ち足りた)に由来し、さらに遡るとインド・ヨーロッパ祖語の"*seh₂-"(満たす)という語根に行き着きます。興味深いのは、元々はポジティブな意味合いだったものが、中英語の時代には「重い」「深刻な」「悲しい」といった意味合いへと変化していったことです。これは、「満腹」や「飽き」の状態が、比喩的に「心が重い」「憂鬱な」状態へと解釈されるようになったためと考えられます。日本語で例えるなら、「お腹がいっぱい」の状態から転じて、「もう何もしたくない」という気持ちになるのに近いかもしれません。つまり、物質的な満たされ具合が、精神的な落ち込みへと意味が変遷していったのです。
暗記法
「sad」は単なる悲しみでなく、西洋文化では失われた理想への憧憬や、人生の儚さ、孤独と結びつきます。騎士道物語からロマン主義文学まで、過ぎ去った黄金時代への郷愁を表現。ゲーテの作品では、社会との葛藤を抱える主人公の心情を象徴しました。「sweet and sad」という表現は、喜びと悲しみが表裏一体であることを示唆し、人生の複雑さを表します。現代では、メンタルヘルスの問題とも関連付けられ、その意味合いは深まり続けています。
混同しやすい単語
『sad』とスペルが非常に似ており、一文字違いであるため、書き間違いや読み間違いが起こりやすいです。『mad』は『怒っている』という意味で、感情を表す点では共通していますが、意味は大きく異なります。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切か判断する練習が必要です。
『sad』と発音が似ており、特に過去形の発音を意識していないと混同しやすいです。『said』は『say』の過去形・過去分詞で、『言う』という意味です。文法的な役割も全く異なるため、文章構造を理解することが重要です。スペルも似ているため、注意が必要です。
語尾の子音の響きが似ており、特に早口の英語では聞き間違えやすいことがあります。『shed』は『(涙などを)流す』、『(不要なものを)落とす』などの意味があります。また、『小屋』という意味の名詞としても使われます。文脈によって意味が大きく異なるため、注意が必要です。
母音の音が似ているため、発音によっては混同される可能性があります。『sap』は『樹液』という意味の他、『(人の気力などを)弱める』という意味の動詞としても使われます。名詞と動詞で意味が大きく異なるため、文脈から判断する必要があります。
『sit』の過去形で、発音が似ているため、特にリスニング時に混同しやすいです。『sad』と『sat』はどちらも過去の出来事を表す文脈で使われる可能性がありますが、意味は全く異なります。文法的な知識(動詞の活用)をしっかり身につけることが重要です。
語尾の 'ard' の音が似ており、特に母音を曖昧に発音してしまうと混同されやすいです。『shard』は『(陶器などの)破片』という意味で、『sad』とは全く異なる意味と文脈で使用されます。スペルも似ていないため、意識して区別することが重要です。
誤用例
日本語の『残念』という感情は、英語では文脈によって複数の表現に使い分ける必要があります。この文脈では、プロジェクトの失敗に対する落胆や失望を表すため、『sad』よりも『disappointed』が適切です。『sad』は個人的な悲しみや憂鬱を表すことが多く、ビジネスの文脈ではやや感情過多に聞こえる可能性があります。日本人が『残念』を安易に『sad』と直訳してしまうのは、感情をストレートに表現することを避ける文化的な背景も影響していると考えられます。英語では、状況に応じて感情の度合いを調整し、より客観的な表現を選ぶことが重要です。
『sad face』は文字通り『悲しい顔』を意味しますが、書類を見ている状況では、単に悲しいだけでなく、考え込んでいる、困惑しているなど、様々な感情が考えられます。より適切な表現は『pensive expression(物思いにふける表情)』です。日本人は、感情を直接的に表現することを避け、曖昧な表現を好む傾向がありますが、英語では、状況に応じてより具体的な感情を表す言葉を選ぶことが求められます。また、英語では顔の表情だけでなく、全体的な様子(demeanor)から感情を推測することが多いため、より幅広い表現を意識すると良いでしょう。
ペットの死を悼む場面で『sad』を使うこと自体は間違いではありませんが、この文脈では『sorry』の方がより一般的で、相手への共感を示す表現として適切です。『sad』は自分の感情を表す言葉であり、相手の悲しみに寄り添うニュアンスは弱いです。日本人は、相手の気持ちを慮る際に直接的な感情表現を避ける傾向がありますが、英語では、相手への共感を示すために『sorry』のような表現を積極的に使うことが大切です。また、年齢に言及することで悲しみを軽く見ている印象を与えないように、even thoughなどの譲歩表現を加えることで、より丁寧な言い方になります。
文化的背景
「sad」という言葉は、単なる感情の記述を超え、西洋文化においては、失われたものへの憧憬、人生の儚さ、そして人間存在の根本的な孤独といった、より深い概念と結びついてきました。中世の騎士道物語から現代の文学作品に至るまで、「sad」は、理想郷の喪失や過ぎ去った黄金時代への郷愁を表現するキーワードとして用いられ、単なる個人的な悲しみを超えた、普遍的な人間の感情を象徴してきました。
特に注目すべきは、ロマン主義の時代における「sad」の扱いです。ロマン主義の詩人や作家たちは、感情の豊かさを重視し、悲しみや憂鬱といった感情を、感受性の高さや芸術的インスピレーションの源泉と見なしました。ゲーテの『若きウェルテルの悩み』に代表されるように、「sad」は、社会への違和感や自己の内面との葛藤を抱える主人公の心情を表現する上で欠かせない要素となり、読者たちは主人公の悲しみに共感することで、自己の感情を深く掘り下げていきました。この時代以降、「sad」は、単なる不幸な感情ではなく、人間の内面を豊かにする感情としても認識されるようになりました。
また、英語圏の文化においては、「sad」はしばしば「sweet」と対比されることがあります。人生の喜びや幸福は一時的なものであり、やがて悲しみや喪失感へと変化していくという、人生の儚さを表す比喩として、「sweet and sad」という表現が用いられることがあります。例えば、美しい夕焼けを見たときに感じる一抹の寂しさや、過ぎ去った楽しい思い出を振り返ったときに感じる懐かしさといった感情は、「sweet and sad」という言葉で表現されることがあります。このように、「sad」は、喜びや幸福といった感情と表裏一体であり、人生の複雑さを象徴する感情として、英語圏の文化に深く根付いています。
現代においては、「sad」は、メンタルヘルスの問題と関連付けられることも多くなりました。うつ病や不安障害といった精神疾患の症状として、「sad」が挙げられることがあり、社会全体でメンタルヘルスに対する意識が高まるにつれて、「sad」という言葉の持つ意味合いも変化してきています。単なる悲しみや憂鬱といった感情だけでなく、より深刻な精神的な苦痛を表す言葉としても用いられるようになり、「sad」という言葉に対する理解を深めることは、現代社会におけるメンタルヘルスの問題を理解する上で不可欠であると言えるでしょう。
試験傾向
語彙問題や長文読解で出題される可能性があります。頻度としては、準2級以上で目にすることがあります。手紙や物語文などの感情を表す文脈で使われやすいです。類義語(unhappy, sorrowfulなど)との使い分けを意識しましょう。
Part 5(短文穴埋め)やPart 7(長文読解)で出題される可能性はありますが、頻度は高くありません。ビジネスシーンよりも、日常会話に近い文脈で使われることが多いです。感情を表すシンプルな単語として、他の語彙と組み合わせて使われることもあります。
アカデミックな文章ではあまり見かけませんが、心理学や社会学系の文章で、感情や状態を表す際に使われることがあります。ただし、より専門的な語彙が好まれる傾向があります。文脈から意味を推測できるようにしましょう。
基本的な単語なので、長文読解で頻繁に登場します。直接的な語彙問題として問われることは少ないですが、文脈理解に影響する可能性があります。類義語とのニュアンスの違いや、反意語(happy, cheerfulなど)との対比を意識しましょう。