rhetoric
第1音節にアクセントがあります。/ɛ/ は日本語の「エ」よりも口を少し横に開いて発音します。/t/ は舌先を歯茎につけて破裂させる音で、日本語の「タ」よりも息を強く出すように意識しましょう。/r/ は舌を丸める音で、日本語のラ行とは異なります。舌をどこにもつけずに、口の中で浮かせるイメージです。最後の /ɪk/ は、日本語の「イ」と「ク」の中間のような曖昧な音で、力を抜いて短く発音します。
専門的な内容に関するご注意
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言葉の力
単なる話し方ではなく、聴衆を説得し、感情を動かす力。政治演説やプレゼンテーション、文学作品など、意図を持って言葉を使う場合に用いられる。技術、戦略、才能といったニュアンスを含む。
His powerful rhetoric moved many people deeply.
彼の力強い言葉の力は、多くの人々を深く感動させました。
※ 【情景】政治家が演説台で熱く語り、聴衆がその言葉に心を揺さぶられている場面です。 【解説】「rhetoric」は、ただ話すだけでなく、人の心を動かしたり、説得したりする「言葉の技術や力」を表します。この文では、その言葉が持つ「強い影響力」が表現されています。「powerful」は「力強い」、「deeply」は「深く」という意味です。
Her presentation used strong rhetoric to persuade everyone in the room.
彼女のプレゼンテーションは、部屋にいる全員を説得するために、力強い言葉の力を使いました。
※ 【情景】会議室で、一人の女性が自信を持ってプレゼンをし、その言葉に全員が納得して頷いている場面です。 【解説】ここでは「rhetoric」が、ビジネスや議論の場で「人を説得するための言葉の技術」として使われています。「used strong rhetoric」で「説得力のある言葉遣いをした」というニュアンスになります。
Good writing often relies on clear and effective rhetoric.
良い文章は、しばしば明確で効果的な言葉の力に頼っています。
※ 【情景】先生が教室で、生徒たちに「良いレポートやエッセイを書くにはどうすればいいか」を教えている場面です。 【解説】「rhetoric」は、文章を書く際にも「読者に意図を正確に伝え、影響を与えるための言葉の選び方や構成」を指します。「clear and effective rhetoric」は「分かりやすく効果的な言葉の力」という意味で、書き手が読者にメッセージを伝える技術の重要性を示しています。
美辞麗句
内容よりも言葉の飾り立てに重点を置いた表現。しばしば、中身がないことや、欺瞞的な意図があることを示唆する。
Many people could tell the politician's speech was just empty rhetoric.
多くの人が、その政治家の演説は単なる空虚な美辞麗句だと感じました。
※ 選挙演説などで、政治家が耳障りの良い言葉を並べるけれど、具体的な内容や解決策がない時に使われる典型的な表現です。「empty rhetoric」で「内容のない美辞麗句」というニュアンスが強調されます。聴衆が「がっかりしている」感情が伝わる場面です。
The advertisement used clever rhetoric, but didn't explain the details.
その広告は巧みな美辞麗句を使っていたけれど、詳細は説明していませんでした。
※ 商品やサービスを魅力的に見せるために、言葉巧みな表現(美辞麗句)が使われることがあります。しかし、実際には具体的な情報が不足している、という状況を描写しています。「clever rhetoric」は「うまい言葉で飾り立てられた表現」というニュアンスです。消費者が「騙されている」と感じるかもしれません。
During the heated debate, he used a lot of rhetoric instead of presenting clear facts.
白熱した議論の間、彼は明確な事実を提示する代わりに多くの美辞麗句を使いました。
※ 議論や討論の場で、相手が感情に訴えかけたり、飾り立てた言葉ばかりを使って、論理的な事実や根拠を示さない時に使われます。「heated debate(白熱した議論)」という言葉で、緊迫した場面が目に浮かびますね。相手が「うんざりしている」気持ちが伝わります。
修辞的な
人を説得するための、あるいは、言葉を効果的に使うことに関する。例えば「修辞的な質問」は、答えを期待するものではなく、議論を強調するための質問を指す。
His speech was very rhetorical, making the crowd cheer loudly.
彼の演説は非常に修辞的で、群衆は大声で歓声を上げました。
※ 政治家が聴衆の心をつかむために、言葉巧みに話す様子が目に浮かびますね。「rhetorical」は、聞く人を感動させたり、説得したりするような、飾り立てられたり技巧を凝らした言葉遣いを指します。ここでは、その言葉の力が人々の感情を揺さぶり、大きな歓声につながった情景が伝わります。
Her presentation was too rhetorical, lacking real facts.
彼女のプレゼンは修辞的すぎ、本当の事実が欠けていました。
※ この例文では、「rhetorical」が、言葉は巧みで聞こえは良いけれど、中身が伴わない、という少し批判的なニュアンスで使われています。ビジネスの場面などで、見栄えの良い言葉ばかりで具体的な情報がない時に、「言葉だけが先行している」という状況を表すのにぴったりです。
She carefully chose rhetorical words to make her essay more persuasive.
彼女は自分のエッセイをより説得力のあるものにするため、修辞的な言葉を慎重に選びました。
※ 作家や学生が文章を書く際に、読者に強く訴えかけるために言葉を選ぶ、集中した様子が伝わります。ここでは、「rhetorical」が、文章をより美しく、あるいは読み手の心を動かすような「言葉の工夫」を意味しています。言葉一つ一つに意図が込められている情景ですね。
コロケーション
中身のない美辞麗句、空虚なレトリック
※ 「empty」は「空っぽの」という意味で、rhetoricと組み合わさることで、表面的な言葉だけで実質的な内容が伴わない状態を指します。政治演説や宣伝文句などで、具体的な政策や根拠が示されず、感情に訴えかけるだけの言葉が並んでいる場合に用いられます。しばしば批判的なニュアンスを含みます。形容詞+名詞の組み合わせの典型例です。
激しいレトリック、白熱した議論
※ 「heated」は「熱を帯びた」という意味で、rhetoricと組み合わさることで、感情的な激しさや興奮を伴った議論や演説を指します。政治的な討論や論争、あるいは個人的な口論など、感情が高ぶっている状況で使われます。この表現は、単に議論が活発であるだけでなく、感情的な対立や緊張が含まれていることを示唆します。形容詞+名詞の組み合わせです。
政治的レトリック、政治的な修辞
※ 政治的な目的のために用いられるレトリックを指します。政策の正当化、支持者の獲得、敵対者の批判など、政治的な目標を達成するために、意図的に言葉を選び、表現を操作する行為を意味します。政治の世界では、事実を歪曲したり、感情に訴えかけたりするようなレトリックも頻繁に見られます。形容詞+名詞の組み合わせです。ニュースや政治分析でよく見られます。
単なるレトリック、言葉遊び
※ 「mere」は「単なる」という意味で、rhetoricと組み合わさることで、本質的な意味や価値を持たない、表面的な言葉の技巧に過ぎないことを強調します。しばしば軽蔑的なニュアンスを含み、具体的な行動や結果を伴わない言葉だけが並んでいる状況を批判的に表現する際に用いられます。形容詞+名詞の組み合わせです。
扇動的なレトリック、人々を煽る言葉
※ 「inflammatory」は「炎症を引き起こすような、扇動的な」という意味で、rhetoricと組み合わさることで、人々の感情を刺激し、怒りや憎しみを煽るような言葉を指します。政治的な扇動やヘイトスピーチなど、社会的な対立を激化させるような発言に対して用いられます。非常に強い非難のニュアンスを含みます。形容詞+名詞の組み合わせです。
修辞の技術、言葉の芸術
※ rhetoricを肯定的な意味で捉え、言葉を効果的に用いる技術や能力を指します。古代ギリシャ・ローマ時代から、弁論術や文章術として重視されてきた伝統的な学問分野を指す場合もあります。この表現は、単に言葉を操るだけでなく、聴衆を説得し、感動させるための高度な技術を意味します。前置詞句+名詞の組み合わせです。
レトリックと現実、言葉と実態
※ 言葉で語られること(レトリック)と、実際に存在する事実(現実)との間のギャップを指します。政治的な約束や企業の宣伝など、理想的な言葉とは裏腹に、現実には異なる状況が存在する場合に使われます。この表現は、言葉の虚飾を暴き、現実との乖離を指摘する際に用いられます。名詞+接続詞+名詞の組み合わせです。
使用シーン
学術論文やプレゼンテーションで頻繁に使用されます。特に、文学、コミュニケーション学、政治学などの分野では、議論の構成、説得力、表現の効果などを分析する際に不可欠な概念です。例えば、「この研究は、〇〇のレトリックが聴衆に与える影響を調査する」といった文脈で使用されます。
ビジネスシーンでは、プレゼンテーション、交渉、マーケティング資料などで、効果的なコミュニケーション戦略を議論する際に用いられます。例えば、「この広告キャンペーンは、感情に訴えかけるレトリックを多用している」といった分析や、「彼のプレゼンテーションはレトリックに長けており、聴衆を魅了した」といった評価に使われます。
日常会話では、比喩的な意味合いで使われることがあります。例えば、政治家の演説や広告の表現を評して、「あの政治家の演説はレトリックばかりで中身がない」とか、「この広告はレトリックを駆使して消費者を誘導している」といった批判的なニュアンスで使われることがあります。ただし、一般的にはフォーマルな言葉であるため、日常会話で頻繁に使われるわけではありません。
関連語
類義語
- oratory
雄弁術、演説術。公衆に向けて感情を揺さぶるようなスピーチを行う技術を指します。政治演説や法廷弁論など、聴衆を説得し、行動を促すことを目的とした場面で使われます。 【ニュアンスの違い】「rhetoric」はより広範な概念で、効果的なコミュニケーション全般を指しますが、「oratory」は特に公衆に対するスピーチに限定されます。「oratory」は、スタイル、デリバリー、声のトーンなど、パフォーマンスの要素を強調します。 【混同しやすい点】「rhetoric」が必ずしも聴衆を意識したものではないのに対し、「oratory」は常に聴衆の存在を前提としています。「rhetoric」は文章にも適用できますが、「oratory」は口頭での表現に限定されます。
雄弁、流暢さ。言葉を巧みに操り、美しく説得力のある表現をする能力を指します。文学作品、スピーチ、議論など、幅広い文脈で使用されます。人を感動させたり、感銘を与えたりする言葉の力を強調します。 【ニュアンスの違い】「rhetoric」は効果的なコミュニケーションの技術全般を指しますが、「eloquence」は特に言葉の美しさ、流暢さ、説得力に焦点を当てます。「eloquence」は、単なる情報伝達だけでなく、聴衆の感情に訴えかけることを重視します。 【混同しやすい点】「rhetoric」は必ずしも美しい言葉遣いを必要としませんが、「eloquence」は美しい言葉遣いが不可欠です。「rhetoric」が目的達成のための手段であるのに対し、「eloquence」は言葉そのものの美しさを追求する傾向があります。
- grandiloquence
大言壮語、誇張された言葉遣い。実際以上に大げさで、誇張された表現を用いることを指します。しばしば、相手を感心させようとしたり、自己顕示欲を満たそうとしたりする意図が見られます。ネガティブな意味合いで使われることが多いです。 【ニュアンスの違い】「rhetoric」は効果的なコミュニケーションの技術ですが、「grandiloquence」は過剰な装飾を施した、不自然な言葉遣いを指します。「grandiloquence」は、内容よりも形式に重点を置き、聴衆を欺いたり、煙に巻いたりする目的で使用されることがあります。 【混同しやすい点】「rhetoric」は必ずしもネガティブな意味合いを持つわけではありませんが、「grandiloquence」は常にネガティブな意味合いを持ちます。「rhetoric」が状況に応じて適切な表現を選ぶのに対し、「grandiloquence」は常に過剰な表現を用います。
- bombast
誇張された言葉、大げさな表現。内容が薄いにもかかわらず、言葉だけが派手で誇張されている状態を指します。「grandiloquence」と似ていますが、より攻撃的または傲慢なニュアンスを含むことがあります。文学、演説、議論など、さまざまな文脈で使用されますが、通常は批判的な意味合いで使用されます。 【ニュアンスの違い】「rhetoric」は効果的なコミュニケーションの技術であり、必ずしも否定的な意味合いを持ちませんが、「bombast」は常に否定的な意味合いを持ちます。「bombast」は、聴衆を感心させようとする意図が見られるものの、実際には内容が伴っていないため、逆効果になることがあります。 【混同しやすい点】「rhetoric」は目的を達成するための手段ですが、「bombast」は目的を達成することができず、むしろ聴衆を不快にさせることがあります。「rhetoric」は状況に応じて適切な表現を選ぶのに対し、「bombast」は常に過剰な表現を用います。
策略、ごまかし、技巧。人を欺くために用いられる巧妙な手段や策略を指します。しばしば、ネガティブな意味合いで使用され、誠実さや正直さの欠如を示唆します。ビジネス、政治、人間関係など、さまざまな文脈で使用されます。 【ニュアンスの違い】「rhetoric」は言葉による説得の技術ですが、「artifice」は欺瞞的な意図を含む策略全般を指します。「rhetoric」は必ずしも悪いものではありませんが、「artifice」は通常、倫理的に問題があると見なされます。 【混同しやすい点】「rhetoric」は必ずしも人を欺くことを目的としませんが、「artifice」は常に人を欺くことを目的とします。「rhetoric」はコミュニケーションの技術ですが、「artifice」は策略やごまかしの技術です。
説得。人の意見や行動を変えさせることを目的としたコミュニケーションのプロセスを指します。広告、政治、交渉など、さまざまな文脈で使用されます。感情、論理、倫理など、さまざまな手段を用いて行われます。 【ニュアンスの違い】「rhetoric」は説得のための技術全般を指しますが、「persuasion」は説得という行為そのものを指します。「rhetoric」は手段であり、「persuasion」は目的です。 【混同しやすい点】「rhetoric」は中立的な言葉ですが、「persuasion」は常に目的を伴います。「rhetoric」は良い結果にも悪い結果にもつながりえますが、「persuasion」は常に何らかの行動や意見の変化を伴います。
派生語
- rhetorician
『修辞学者』や『弁論家』を意味する名詞。接尾辞『-ician』は、特定の分野の専門家や技能者を指す(例:musician, mathematician)。『rhetoric』の技術に通じた人を表し、学術的な文脈や、政治・法律の世界で弁論術を専門とする人を指す際に用いられる。日常会話での使用頻度は低いが、専門的な議論では不可欠。
『修辞的な』という意味の形容詞。接尾辞『-ical』は、形容詞を形成し、ある性質や特徴に関連することを示す(例:historical, comical)。『rhetoric』に関連する、つまり言葉の巧みさや表現技巧に重きを置いた様を表す。学術論文、批評、文学分析などで頻繁に使用され、日常会話でも比喩的に使われることがある(例:rhetorical question=修辞疑問)。
『修辞的に』という意味の副詞。『rhetorical』に副詞化の接尾辞『-ly』が付いた形。文章やスピーチにおいて、言葉の技巧や表現を意識的に用いる様子を表す。学術論文や文学作品の分析で使われるほか、ビジネスシーンでプレゼンテーションスキルを評価する際などにも用いられる。
反意語
『簡潔さ』や『単純さ』を意味する名詞。『rhetoric』が言葉の複雑さや技巧を凝らした表現を指すのに対し、『simplicity』は飾り気がなく、直接的でわかりやすい表現を指す。ビジネス文書や科学論文では、明確なコミュニケーションのために『simplicity』が重視される一方、文学や政治演説では『rhetoric』が効果的に用いられるなど、文脈によって価値が変わる。
- candor
『率直さ』や『誠実さ』を意味する名詞。『rhetoric』が時に言葉を飾ったり、意図的に曖昧にしたりするのに対し、『candor』は偽りなく、ありのままを伝える姿勢を指す。人間関係や倫理的な議論において重要視される。政治の世界では、『rhetoric』と『candor』のバランスが、信頼性を左右する要素となる。
- directness
『直接性』や『率直さ』を意味する名詞。『rhetoric』が間接的な表現や婉曲法を含むことがあるのに対し、『directness』は回りくどい言い方を避け、意図を明確に伝えることを指す。ビジネスコミュニケーションや緊急時の指示など、誤解を避けたい状況で特に重要となる。『rhetoric』は聴衆の感情に訴えかける際に有効だが、『directness』は正確な情報伝達に不可欠。
語源
「rhetoric」は、日本語で「修辞学」「弁論術」などと訳されます。その語源は古代ギリシャ語の「rhētorikē(弁論術)」に遡ります。これはさらに、「rhētōr(弁論家、演説家)」に由来します。「rhētōr」は「言う、語る」を意味する動詞「eirein」と関連があり、言葉を巧みに操る人を指していました。つまり、rhetoricは元々、公衆の前で効果的に話す技術、説得力のある言葉を用いる技術を意味していたのです。現代では、必ずしも肯定的な意味合いだけでなく、美辞麗句を並べ立てて中身がない、といった否定的なニュアンスを含むこともあります。しかし、その根源には「言葉の力」への深い理解が存在すると言えるでしょう。たとえば、政治家の演説やプレゼンテーションなど、聴衆を惹きつけ、行動を促すための言葉の使い方は、まさにrhetoricの応用例と言えます。
暗記法
「rhetoric」は言葉の技術に留まらず、権力行使の道具として歴史を彩ってきました。古代ギリシャでは民主主義を支えましたが、詭弁の温床にも。中世では神学と結びつき信仰を広め、ルネサンス期には古典復興の原動力となりました。現代では政治や広告に影響を与える一方、誤用も絶えません。真実と虚偽が交錯する情報社会で、本質を見抜くための教養として、その倫理的側面を深く理解する必要があるのです。
混同しやすい単語
『rhetoric』とはスペルが大きく異なるものの、語尾の '-ic' という共通の接尾辞を持つため、なんとなく似たような分野の単語だと誤解されることがある。しかし、意味は『倫理』であり、思考や表現の技術である『rhetoric』とは全く異なる概念を指す。発音も異なるため、注意が必要。
『rhetoric』と『metric』は、共に語尾が '-ric' で終わるため、スペルを見たときに混同しやすい。また、抽象的な概念を扱う点も共通しているため、意味も似ていると誤解される可能性がある。『metric』は『測定基準』や『メートル法』といった意味を持ち、技術的な分野でよく使われる。発音も異なるため、区別して覚える必要がある。
『historic』は『rhetoric』とスペルの一部が重複しており、特に語頭の 'h' の有無に注意が必要。意味は『歴史的な』であり、修辞学とは直接的な関係はない。ただし、『rhetoric』が歴史の中で重要な役割を果たしてきたことを考えると、関連性を感じる人もいるかもしれない。発音も異なるため注意。
『rhetoric』と『retract』は、語頭の 're-' の部分が共通しているため、なんとなく似たような意味を持つのではないかと誤解されることがある。『retract』は『撤回する』という意味であり、言葉や主張を取り消す際に用いられる。修辞学とは意味が大きく異なるが、議論の文脈においては関連性も考えられる。発音も異なる。
『rhetorical』は『rhetoric』の形容詞形であり、意味は『修辞的な』となる。当然ながら意味は関連しているが、品詞が異なるため、文法的な用法に注意が必要である。『rhetoric』が名詞であるのに対し、『rhetorical』は形容詞として名詞を修飾する。例えば、『rhetorical question(修辞疑問)』のように使用する。
『rhetoric』と『arithmetic』は、どちらも語尾に '-ic' がつき、学問分野を指す単語であるため、初見では混同しやすい。しかし、意味は全く異なり、『arithmetic』は『算数』や『計算』を意味する。発音も大きく異なるため、注意して区別する必要がある。特に、数学が苦手な人は、なんとなく似たようなイメージを持ってしまうかもしれない。
誤用例
日本語の『レトリック』は『修辞』という意味合いが強く、美しい表現、華麗な言い回し、といったニュアンスで捉えられがちです。しかし、英語の『rhetoric』は必ずしも美しさや真実を伴うとは限らず、むしろ『人を説得するためのテクニック』、場合によっては『言葉巧みな欺瞞』といった意味合いを含みます。そのため、単に『美しい』という形容詞と結びつけると、英語話者には違和感を与えます。ここでは『persuasive(説得力のある)』を使う方が適切です。日本人が『レトリック』という言葉を使う際に、その言葉が持つポジティブな響きに引っ張られやすいことが原因の一つです。英語のrhetoricは、古代ギリシャ以来、議論や弁論術における効果的な表現技術を指しますが、同時にその技術が真実を歪める可能性も内包しているという背景を理解することが重要です。
『rhetoric』を単独で名詞として使う場合、しばしば『中身のない、空虚な美辞麗句』という意味合いを持ちます。『just』は『単に』という意味ですが、この文脈では『ただのレトリック』という意図が伝わりにくく、むしろ『正しいレトリック』といった誤解を生む可能性があります。より適切な表現は『empty rhetoric(空虚なレトリック)』です。日本人が『レトリック』を『単なる表現技術』と捉えがちなため、このような誤用が起こりやすいと考えられます。英語では、効果的な修辞技法であっても、内容が伴わない場合は批判的な意味合いを帯びることを理解する必要があります。政治家の演説などの場面では、特にその傾向が顕著です。日本語では『レトリックを弄する』という表現があるため、その影響を受けて『just rhetoric』のような表現が生まれるのかもしれません。
『rhetoric』は、必ずしもポジティブな意味合いを持つとは限りません。特にビジネスシーンにおいては、『rhetoric』という言葉は、大げさな表現や欺瞞的な印象を与える可能性があります。従業員を鼓舞したいという意図を伝えるためには、『persuasive communication(説得力のあるコミュニケーション)』や『motivational speaking(意欲を高めるスピーチ)』といった表現を使う方が適切です。日本人が『レトリック』を『表現力』や『コミュニケーション能力』といった広い意味で捉えがちなため、このような誤用が起こりやすいと考えられます。英語では、状況や文脈に応じて適切な言葉を選ぶことが重要であり、特にビジネスシーンでは、具体的で明確な表現が好まれます。また、日本語の『レトリック』には、どこかアカデミックな響きがあるため、ビジネスの現場で安易に使うと、浮いてしまう可能性があります。
文化的背景
「rhetoric(レトリック)」は、単なる言葉の技術ではなく、古代ギリシャ以来、権力と影響力を行使するための道具として、社会や政治の舞台で重要な役割を果たしてきました。それは、聴衆を説得し、行動を促し、時には真実を覆い隠すための洗練された技術であり、その熟練度によって、個人の運命や社会の方向性が左右されることもありました。
古代ギリシャにおいて、rhetoricは民主主義の根幹をなすものでした。市民は自らの意見を公の場で表明し、議論を通じて政策を決定する必要がありました。アリストテレスはrhetoricを体系化し、その技術を習得することが市民としての義務であると考えました。しかし、同時にrhetoricは、詭弁や欺瞞の手段としても利用され、ソフィストたちは巧みな言葉で人々を惑わし、真実を歪曲しました。プラトンは彼らを厳しく批判し、rhetoricの倫理的な側面を重視しました。このように、rhetoricは常に、真実と虚偽、正義と不正義の境界線上に存在してきたのです。
中世においては、rhetoricは神学と結びつき、説教や議論の技術として発展しました。教会はrhetoricを人々に信仰を広めるための強力なツールとして活用し、聖書の内容を分かりやすく、感情的に訴えかける形で伝えたのです。ルネサンス期には、古代ギリシャ・ローマの古典が再評価され、rhetoricは再び学問の中心となりました。人文主義者たちは、rhetoricを通じて人間の知性と表現力を高め、社会の進歩に貢献しようとしました。
現代社会においても、rhetoricは政治、広告、メディアなど、あらゆる分野でその影響力を発揮しています。政治家は演説で国民を鼓舞し、広告は魅力的な言葉で消費者の購買意欲を刺激します。しかし、同時に、フェイクニュースやプロパガンダなど、rhetoricが悪用されるケースも後を絶ちません。rhetoricは、情報過多な現代社会において、真実を見抜き、批判的思考を養うための重要なスキルとなっています。そのため、私たちはrhetoricの歴史と倫理的な側面を理解し、その力を正しく活用していく必要があるのです。
試験傾向
準1級以上で語彙問題や長文読解で出題される可能性があります。特に意見論述問題で、説得力のある議論を構築する際に「rhetoric」の知識(レトリック、修辞法)が役立つことがあります。文脈から意味を推測する練習が重要です。ライティング対策として、効果的な修辞技法を学ぶのも有効です。
TOEICでは、直接的な語彙問題として「rhetoric」が出題される頻度は高くありません。しかし、Part 7の長文読解などで、間接的に文章のスタイルや説得方法を理解する上で役立つことがあります。広告やマーケティング関連の文章で、言葉の巧みさや誇張表現を指す言葉として登場する可能性も考慮しましょう。
TOEFL iBTのリーディングセクションで、アカデミックな文章において頻出する単語です。特に、政治学、社会学、文学などの分野で、議論の展開や修辞技法に関する文脈で登場します。ライティングセクションでは、自分の意見を効果的に伝えるために「rhetoric」の知識を活用できます。名詞としての用法(修辞、レトリック)と、形容詞(rhetorical:修辞的な)の用法を区別して理解することが重要です。
難関大学の長文読解で出題される可能性があります。文脈から意味を推測する問題や、内容一致問題で、筆者の主張を理解する上で重要になることがあります。特に、評論文や論説文で、議論の構造や説得方法を分析する際に役立ちます。単語の意味だけでなく、文章全体における役割を理解することが重要です。