pragmatic
第一音節の /æ/ は、日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を大きく開けて発音します。第二音節には強勢があり、/ˈmæt/ のようにやや強調します。最後の /ɪk/ は、日本語の「イ」よりも口を少し横に引いて短く発音するとより自然です。
現実的な
理想や感情に流されず、実際的・効果的な方法を重視するさま。問題解決や計画立案において、合理性や実現可能性を優先するニュアンスを含む。
Instead of dreaming big, she offered a pragmatic plan to start small.
彼女は大きな夢を語るのではなく、小さく始めるための現実的な計画を提案しました。
※ この例文は、理想ばかりを追いかけるのではなく、実際に実行可能な方法を選ぶ「現実的な」態度を表しています。ビジネスの会議などで、夢見がちなアイデアが出た時に「具体的にどうする?」と、実用的な解決策を考える場面でよく使われます。
When my friend worried about money, I gave her pragmatic advice to save more.
友人がお金の心配をしていた時、私はもっと貯金するように現実的なアドバイスをしました。
※ 感情的になったり、ただ慰めるだけでなく、具体的な行動を促す「現実的な」アドバイスの場面です。個人的な悩み事に対して、冷静で実用的な視点から助言する時に使われます。相手の気持ちに寄り添いつつ、実践的な解決策を示すニュアンスが伝わります。
The mayor made a pragmatic decision to fix the old bridge first.
市長は、まず古い橋を修理するという現実的な決断をしました。
※ 多くの選択肢がある中で、理想だけでなく、今最も必要で効果的なことを選ぶ「現実的な」判断を表しています。特に、限られた資源(お金や時間)の中で優先順位をつけ、実用的な解決策を選ぶ際に使われることが多いです。市民の安全を第一に考える市長の姿が目に浮かびます。
実用的な
理論よりも実践を重視し、具体的な用途や目的に適しているさま。道具やアイデアなどが、実際に役立つことを意味する。
The team took a pragmatic approach to the project, focusing on achievable goals.
チームは、達成可能な目標に焦点を当て、そのプロジェクトに実用的なアプローチをとった。
※ 新しいプロジェクトで、理想論ではなく「実際に何ができるか」を重視して計画を立てる様子が目に浮かびます。「pragmatic approach(実用的なアプローチ)」は、ビジネスや計画の場面で非常によく使われる典型的な表現です。
When my car broke down, I tried to be pragmatic and find the nearest repair shop.
車が故障したとき、私は実用的に考え、一番近い修理工場を探そうとした。
※ 車が故障して焦る気持ちがある中で、感情的にならず「どうすれば解決できるか」と冷静に、具体的な行動を考える場面です。「be pragmatic」は「実用的に考える」「現実的な態度をとる」という意味で、個人的な問題解決の際にもよく使われます。
She is a very pragmatic person who always looks for practical solutions, not just dreams.
彼女はとても実用的な人で、夢を見るだけでなく、常に具体的な解決策を探します。
※ これは人の性格を説明する文です。「pragmatic person(実用的な人)」は、夢見がちではなく、常に地に足の着いた考え方をし、具体的な行動や解決策を重視する人を指します。彼女が信頼できる人物であることが伝わってきますね。
コロケーション
現実的なアプローチ、実用的な方法
※ 最も一般的なコロケーションの一つで、問題解決や目標達成のために、理想論ではなく、実際に効果がある方法を選ぶことを指します。ビジネスシーンや政策決定の場面で頻繁に使われ、形容詞+名詞の典型的な組み合わせです。例えば、『a pragmatic approach to problem-solving(問題解決への現実的なアプローチ)』のように使います。似た表現に'practical approach'がありますが、'pragmatic'はより結果を重視し、状況に合わせて柔軟に対応するニュアンスが強いです。
現実的な解決策、実用的な解決策
※ 'pragmatic approach'と同様に、理想論ではなく、実行可能で効果的な解決策を意味します。こちらもビジネスや政治の文脈でよく用いられます。『a pragmatic solution to the budget deficit(財政赤字に対する現実的な解決策)』のように使います。しばしば、理想的には最適ではないものの、現状で最も実行可能な選択肢であることを含意します。
現実的な考慮事項、実用的な検討事項
※ 決定や計画を立てる際に、理想や理論だけでなく、コスト、時間、人材、実現可能性などの現実的な要素を考慮することを指します。プロジェクトマネジメントや戦略立案で重要な概念です。『We need to take pragmatic considerations into account.(現実的な考慮事項を考慮に入れる必要がある)』のように使われます。'practical considerations'と似ていますが、'pragmatic'はより戦略的で、長期的な視点を含むことが多いです。
〜について現実的である、〜に関して実用的である
※ 特定の問題や状況について、感情や希望的観測に左右されず、客観的かつ現実的に判断することを意味します。しばしば、困難な状況や不都合な事実を受け入れる姿勢を示します。『He is pragmatic about his chances of success.(彼は成功の可能性について現実的だ)』のように使われます。前置詞'about'と組み合わせて使われることが多く、人の性格や態度を表す際に用いられます。
現実的な見方、実用的な視点
※ 物事を理想論ではなく、現実に基づいて判断する視点を指します。特に、複雑な問題や抽象的な概念を理解する際に、具体的な事実や経験に基づいて考えることを重視します。『a pragmatic view of the economy(経済に対する現実的な見方)』のように使われます。'practical viewpoint'と類似していますが、'pragmatic view'はより客観的で、感情的な要素を排除する傾向があります。
現実主義の政治家、実利的な政治家
※ 理想やイデオロギーに固執せず、現実的な問題解決を優先する政治家を指します。妥協や協調を重視し、結果を出すことを第一に考える姿勢を意味します。しばしば、批判的な意味合いも含まれ、原則がない、日和見主義といったニュアンスで使われることもあります。
現実的な経営手法、実用的な経営アプローチ
※ 経営において、理論や理想だけでなく、現場の状況や従業員の能力、市場の動向などを考慮して、柔軟かつ効果的な戦略を実行することを指します。トップダウンではなく、ボトムアップの意見も取り入れ、状況に合わせて臨機応変に対応する姿勢が重要となります。
使用シーン
学術論文や研究発表で、理論やアイデアの実現可能性や応用について議論する際に用いられます。例えば、経済学の論文で「現実的な政策提言」を意味する文脈や、工学分野で「実用的な設計」を説明する際に使われます。文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、会議やプレゼンテーション、報告書などで、計画や戦略の実行可能性や効果を評価する際に使われます。例えば、「現実的な目標設定」や「実用的な解決策」といった表現で、プロジェクトの成功に不可欠な要素として強調されます。フォーマルな場面での使用が中心です。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、政策や社会問題に対する現実的なアプローチについて議論する際に使われることがあります。例えば、「現実的な視点を持つ」といった表現で、冷静かつ客観的な意見を述べる場面で用いられます。
関連語
類義語
現実的である、という意味。理想や願望ではなく、実際に起こりうる事柄や可能な範囲に基づいていることを指す。ビジネス、計画、目標設定など、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"Pragmatic"は、現実的なだけでなく、実用性や効率性を重視するニュアンスを含む。一方、"realistic"は、単に現実を認識している、または現実に基づいているという事実に重点を置く。"Realistic"は、より客観的な視点を含む。 【混同しやすい点】"Realistic"は、理想や願望を考慮しないという意味合いが強い場合がある。一方、"pragmatic"は、理想や願望を実現するために現実的な手段を講じるというニュアンスを含む。
実用的である、という意味。理論やアイデアだけでなく、実際に使える、役に立つという点に重点を置く。日常生活、仕事、教育など、具体的な行動や問題解決に関わる場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"Pragmatic"は、問題解決のために最も効率的で効果的な方法を選ぶというニュアンスを含む。"Practical"は、単に使える、役に立つという機能的な側面に重点を置く。"Practical"は、理論よりも実践を重視する。 【混同しやすい点】"Practical"は、必ずしも効率性や効果性を考慮しているとは限らない。例えば、「非効率だが実用的な方法」という表現も可能。一方、"pragmatic"は、常に効率性と効果性を追求する。
- down-to-earth
地に足がついている、現実的である、という意味。謙虚で飾らない人柄や、理想にとらわれず現実的な考え方をする人を表す。日常会話で、人の性格や態度を評価する際に使用される。 【ニュアンスの違い】"Pragmatic"は、問題解決や意思決定において現実的なアプローチを取ることを指す。"Down-to-earth"は、性格や態度が現実的であることを指す。"Down-to-earth"は、より人間的なニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】"Down-to-earth"は、必ずしも効率性や効果性を重視しているとは限らない。単に現実を認識し、謙虚な態度でいることを指す場合がある。一方、"pragmatic"は、常に効率性と効果性を追求する。
賢明である、分別がある、という意味。状況をよく理解し、適切な判断や行動ができることを指す。意思決定、アドバイス、行動など、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"Pragmatic"は、目的を達成するために最も効率的で効果的な手段を選ぶというニュアンスを含む。"Sensible"は、単に賢明で分別があるという一般的な意味合いを持つ。"Sensible"は、感情よりも理性を重視する。 【混同しやすい点】"Sensible"は、必ずしも現実的な手段を講じるとは限らない。例えば、「感情を抑えるのが賢明だ」というように、感情的な側面を考慮する場合もある。一方、"pragmatic"は、常に現実的な手段を追求する。
効率的である、という意味。無駄がなく、最短時間または最小限の資源で目的を達成できることを指す。ビジネス、プロジェクト管理、時間管理など、資源の最適化が重要な場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"Pragmatic"は、目的を達成するために最も効率的で効果的な手段を選ぶというニュアンスを含む。"Efficient"は、手段そのものが効率的であることを指す。"Efficient"は、手段の効率性に重点を置く。 【混同しやすい点】"Efficient"は、必ずしも目的達成に最適な手段であるとは限らない。例えば、「効率的だが効果のない方法」という表現も可能。一方、"pragmatic"は、常に目的達成に最適な手段を追求する。
- businesslike
事務的な、実務的な、という意味。感情や個人的な関係に左右されず、客観的かつ効率的に物事を進める態度を指す。ビジネスシーンで、プロフェッショナルな行動や態度を評価する際に使用される。 【ニュアンスの違い】"Pragmatic"は、問題解決や意思決定において現実的なアプローチを取ることを指す。"Businesslike"は、態度や行動が事務的であることを指す。"Businesslike"は、よりフォーマルなニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】"Businesslike"は、必ずしも効率性や効果性を重視しているとは限らない。単に感情を排除し、客観的に物事を進めることを指す場合がある。一方、"pragmatic"は、常に効率性と効果性を追求する。
派生語
『実践』や『練習』を意味する名詞。pragmaticの語源であるギリシャ語の『prassein(行う、実行する)』と関連し、理論よりも行動を重視する意味合いが共通する。日常会話からビジネス、学術分野まで幅広く使われる。
『実用的な』という意味の形容詞。pragmaticと同様に、理論よりも実際の行動や結果を重視するニュアンスを持つ。語尾の『-ical』は形容詞を作る接尾辞。日常会話やビジネスシーンで頻繁に使われ、pragmaticよりも口語的な響きがある。
『実際的に』や『ほとんど』を意味する副詞。practicalに副詞を作る接尾辞『-ly』が付いた形。ビジネスや日常会話で、具体的な状況や結果を強調する際に用いられる。『ほとんど』の意味では、完全ではないが近い状態を表す。
反意語
『理想主義的な』という意味の形容詞。現実的な解決策よりも、理想や原則を重視する態度を表し、pragmaticとは対照的。政治、哲学、文学などの文脈で使われることが多い。pragmaticが現状を肯定的に捉えるのに対し、idealisticは現状への不満を前提とする。
『理論的な』という意味の形容詞。実践や経験よりも、理論や抽象的な概念を重視する態度を表す。学術論文や研究、議論などで頻繁に使われる。pragmaticが具体的な問題解決を目指すのに対し、theoreticalは知識体系の構築を目指す。
- utopian
『理想郷的な』や『空想的な』という意味の形容詞。実現不可能な理想を追求する様子を表し、pragmaticとは対照的。政治思想や社会運動、文学作品などで用いられる。pragmaticが現実に根ざした解決策を求めるのに対し、utopianは現実を無視した理想を追い求める。
語源
「pragmatic(現実的な、実用的な)」は、ギリシャ語の「pragma(行為、事柄)」に由来します。この「pragma」は、「prassein(行う、実行する)」という動詞から派生しました。つまり、pragmaticの根本には「行動」や「実践」といった意味合いがあるのです。接尾辞「-ic」は、「~に関する」という意味合いを添えるため、「pragmatic」全体としては「行為に関する」「実際に行うことに関する」という意味になります。机上の空論ではなく、実際の行動や結果を重視する姿勢を表す言葉として、現代英語で使用されています。例えば、新しいプロジェクトを始める際、「現実的な(pragmatic)計画を立てましょう」と言う場合、理論だけでなく実行可能性を考慮した計画を意味します。
暗記法
「プラグマティック」は単なる実用性ではない。アメリカ建国以来のフロンティア精神と、理想より現実を重んじる価値観を宿す言葉だ。西部開拓時代、目の前の課題解決を迫られた人々は、実践的な思考を培った。それがプラグマティズム哲学の源流となり、政治やビジネスへも影響を与えた。ただし、現実主義が行き過ぎれば、日和見主義と批判されることも。倫理とのバランスが問われる、奥深い言葉なのだ。
混同しやすい単語
『pragmatic』と『practical』は、意味が近いだけでなく、スペルも似ているため混同されやすいです。『pragmatic』は、理論よりも実際の結果を重視する意味合いが強く、状況に応じて柔軟に対応するニュアンスがあります。一方、『practical』は、実用的で、具体的な行動や用途に適していることを意味します。例えば、『a practical solution』は、実用的な解決策を意味しますが、『a pragmatic approach』は、現実的なアプローチを意味します。日本人学習者は、文脈に応じて使い分ける必要があります。
『pragmatic』と『dogmatic』は、語尾の '-matic' が共通しているため、スペルで混同されることがあります。『dogmatic』は、独断的で教条的な態度を指し、自分の意見や信念を絶対的に正しいと主張する意味合いがあります。『pragmatic』とは正反対の意味を持つため、注意が必要です。語源的には、『dogma』(教義)に関連しており、ギリシャ語の『dokein』(思う、信じる)に由来します。発音も異なるため、注意して聞き分ける必要があります。
『phlegmatic』は、冷静で落ち着いている、または無気力な様子を表す形容詞です。スペルが長く、'-matic'という接尾辞が共通しているため、『pragmatic』と混同される可能性があります。意味も『pragmatic』とは大きく異なり、『phlegmatic』は感情を表に出さない、または行動が遅いといったネガティブなニュアンスを含むことがあります。語源はギリシャ語の『phlegma』(粘液)に由来し、古代医学の体液病理学において、粘液質の人が冷静で無気力だと考えられていたことに由来します。
『programmatic』は、『program』(プログラム)という単語から派生した形容詞で、計画的、組織的、またはプログラムに従うという意味を持ちます。'-matic'という接尾辞が共通しているため、『pragmatic』とスペルが似ており、混同される可能性があります。IT関連の文脈では頻繁に使われますが、『pragmatic』とは意味が大きく異なるため、注意が必要です。例えば、『programmatic advertising』は、プログラムによって自動化された広告配信を指します。
『automatic』は、『自動的な』という意味で、'-matic'の接尾辞が共通しているため、スペルが似ていて混同されることがあります。『pragmatic』が状況に応じて柔軟に対応することを意味するのに対し、『automatic』は機械的、無意識的に行われることを意味します。語源的には、ギリシャ語の『automatos』(自分自身で動く)に由来します。例えば、『automatic door』は、自動ドアを意味します。
『pragmatic』と似た音の並びで、存在しない単語である『fragmatic』を誤って覚えてしまうケースがあります。『fragment』(断片)という単語と『pragmatic』の語尾が混ざって生まれた誤りであると考えられます。存在しない単語なので、注意して正しいスペルを覚える必要があります。
誤用例
日本人が『pragmatic』を『現実的』と捉え、感情を伴わない冷静さを表現しようとする際に、無意識に『cold(冷たい)』という言葉を結びつけがちです。しかし、英語において『cold』は文字通り体温の低さや、人に対する無情さ、冷酷さを意味合いが強く、解決策に対して使うとネガティブな響きになります。よりニュートラルな表現としては、『detached(客観的)』や『impartial(公平)』が適切です。この誤用は、日本語の『ドライ』という言葉が、英語の『cold』に近いニュアンスで捉えられていることにも起因します。英語では、感情的な距離感を表現する場合、『detached』などの語彙を選ぶことで、冷静さを保ちつつ、相手に不快感を与えない配慮が求められます。
『pragmatic』は『現実的』という意味ですが、日本語の『現実的に考えると』という表現をそのまま英語に直訳すると、文脈によっては不自然になることがあります。特に、夢や理想を諦めるというシリアスな場面では、『pragmatic』だけではやや直接的すぎる印象を与え、相手に冷たい印象を与えかねません。より丁寧な表現としては、『Realistically speaking』や『In practical terms』を用いることで、相手への配慮を示しつつ、現実的な判断を伝えることができます。この誤用は、日本人が直接的な表現を避け、婉曲的な言い回しを好む文化的な背景にも関連しています。英語でも、場面に応じて言葉を選ぶことで、相手との良好なコミュニケーションを築くことが重要です。
『pragmatic』は問題解決や意思決定において現実的であることを指しますが、抽象芸術のような、本質的に現実離れしたテーマに対して使うと、文脈的に不自然になることがあります。抽象芸術は感情や直感、哲学的な思考を表現するものであり、実用性や効率性とは対極にあります。このような場合、『down-to-earth(地に足の着いた)』という表現を使うことで、彼女の芸術に対するアプローチが、現実的な視点に基づいていることをより適切に表現できます。この誤用は、日本人が抽象的な概念を理解する際に、具体的なイメージを結びつけようとする傾向があることにも起因します。英語では、抽象的な概念を表現する際には、より比喩的で創造的な語彙を選ぶことが重要です。
文化的背景
「プラグマティック(pragmatic)」は、しばしば「理想」よりも「現実」を重んじる姿勢を意味し、特にアメリカ文化においては、建国以来のフロンティア精神や実用主義と深く結びついてきました。これは単なる「実用的」という訳語では捉えきれない、アメリカ独自の価値観を反映した言葉なのです。
19世紀のアメリカは、西部開拓時代を迎え、理想論や伝統にとらわれず、目の前の困難を解決し、新しい土地を開拓していく必要に迫られました。鉄道建設、農業技術の改良、新しい都市の建設など、具体的な課題に直面する中で、「どうすればうまくいくか」という実践的な思考が重視されるようになったのです。この時代精神が、「プラグマティズム」という哲学思潮を生み出す土壌となり、ジョン・デューイやウィリアム・ジェームズといった思想家によって体系化されました。彼らは、抽象的な理論よりも、具体的な経験や行動の結果を重視し、「真理とは、役に立つものである」という考え方を提唱しました。
このプラグマティズムの精神は、政治の世界にも影響を与えました。アメリカの政治家は、しばしば「プラグマティックな解決策」を追求すると言われますが、これは、イデオロギーにとらわれず、現実的な妥協点を探し、具体的な成果を出すことを意味します。例えば、異なる意見を持つ人々が、共通の利益のために協力し、法案を成立させたり、政策を実行したりする様子は、プラグマティズムの典型的な例と言えるでしょう。ただし、この「プラグマティック」という言葉は、時に「日和見主義」や「信念がない」といった批判的な意味合いを帯びることもあります。特に、理想を重視する人々からは、「現実ばかりを見て、大局を見失っている」と非難されることもあります。
現代においても、「プラグマティック」は、ビジネスの世界で頻繁に使われる言葉です。企業は、市場の変化に柔軟に対応し、新しい技術を積極的に導入し、顧客のニーズに応えるために、常に「プラグマティックな戦略」を模索しています。しかし、同時に、企業の倫理や社会的責任も問われる時代であり、「プラグマティック」であることと、倫理的に正しい行動をとることが、常に両立するとは限りません。このように、「プラグマティック」という言葉は、アメリカの歴史、文化、社会構造と深く結びつき、様々な意味合いを帯びながら、現代社会でも重要な役割を果たしているのです。
試験傾向
準1級、1級の語彙問題や長文読解で出題される可能性があります。文脈から意味を推測する問題や、同意語・類義語を選ぶ問題で問われやすいです。会話文よりは、説明文や論説文で登場する頻度が高いでしょう。形容詞として使われることが多いですが、名詞形(pragmatism)や副詞形(pragmatically)も合わせて覚えておきましょう。
Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解)で登場する可能性があります。ビジネスシーンを想定した文脈で、「現実的な」「実用的な」という意味で使われることが多いです。類義語(practical, realistic)との使い分けが問われることもあります。正解の根拠となる箇所は、直接的な言い換えではなく、文脈全体から判断する必要がある場合が多いです。
リーディングセクションで、アカデミックな文章中によく登場します。特に、社会科学や政治学、経済学などの分野で、「現実的な」「実際的な」という意味で使われることが多いです。文章全体の内容理解が問われるため、単語の意味だけでなく、文脈における役割を理解することが重要です。類義語との微妙なニュアンスの違いも意識しましょう。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。評論文や論説文で、「現実的な」「実用的な」という意味で使われることが多いです。文脈から意味を推測する問題や、内容説明問題で問われることがあります。単語の意味だけでなく、文章全体のテーマや筆者の主張を理解することが重要です。他の難易度の高い単語と組み合わせて出題されることもあります。