politically correct
配慮が行き届いた
社会的に不利益を被りやすい人々への差別や偏見を避けるために、言葉や行動に細心の注意を払っている状態を指す。単に『正しい』という意味ではなく、相手への敬意や共感を示すニュアンスを含む。
The speaker tried to be politically correct, carefully choosing words to avoid offending anyone in the room.
講演者は、部屋にいる誰も傷つけないよう、言葉を慎重に選び、配慮が行き届くように努めました。
※ この例文は、会議や講演など、多くの人が集まるフォーマルな場で、話し手が特定の人々を不快にさせないように言葉を選ぶ様子を描いています。「politically correct」は、特に公共の場で、多様な背景を持つ人々への配慮を示す際に使われることが多いです。ここでは、具体的な行動(言葉を慎重に選ぶ)とその目的(誰も傷つけないようにする)が示されています。
Our history teacher always encourages us to use politically correct terms when discussing different cultures.
私たちの歴史の先生は、異なる文化について議論する際、常に配慮の行き届いた言葉を使うようにと私たちを励まします。
※ この例文は、教育現場で「politically correct」がどのように使われるかを示しています。歴史や社会科の授業で、様々な文化や集団について話す際に、差別や偏見のない、適切な言葉遣いを心がけるよう指導される場面は非常に典型的です。ここでは「言葉遣い(terms)」に焦点が当てられており、学習者が具体的な行動としてイメージしやすいでしょう。
He felt it was important to be politically correct and respect everyone's views in the discussion.
彼は、議論の中で配慮が行き届いた態度をとり、皆の意見を尊重することが重要だと感じていました。
※ この例文は、個人の意見交換の場で、相手への配慮を示す「politically correct」の使われ方を示しています。単に言葉遣いだけでなく、他者の視点や感情を尊重する姿勢全体を指すこともあります。この文では、彼の内面的な感情(重要だと感じた)と具体的な行動(皆の意見を尊重する)が結びついており、より人間味のある情景が浮かびます。
表現を改めた
特定のグループを傷つけたり、不快にさせたりする可能性のある古い表現や言葉遣いを、より中立的でインクルーシブなものに置き換えた状態。過去の差別的な背景を持つ言葉を使用しないように意識的に修正されたことを意味する。
The speaker tried hard to use politically correct language.
講演者は、表現を改めた言葉を使うよう、懸命に努力した。
※ この例文は、公の場で話す人が、聴衆の多様性に配慮し、誰も不快にさせないように慎重に言葉を選んでいる場面を描写しています。特に講演やプレゼンテーションでは、「politically correct」な表現を選ぶことが重要視されます。`politically correct language`のように、形容詞として名詞を修飾する形でよく使われます。
Some people felt the TV show was not politically correct enough.
一部の人々は、そのテレビ番組が十分に表現を改めたものではないと感じた。
※ あるテレビ番組を観た視聴者が、その内容や言葉遣いに不快感や違和感を覚え、批判的に感じている場面です。メディアコンテンツは多くの人々に届くため、その表現が「politically correct」であるかどうかが頻繁に議論の対象となります。`not enough`(十分ではない)という形で使われることで、「もっと配慮すべきだ」というニュアンスが伝わります。
My teacher always encouraged us to use politically correct terms.
先生はいつも私たちに、表現を改めた言葉を使うよう励ましてくれた。
※ 教室で、先生が生徒たちに、多様な人々への敬意を示す言葉遣いの大切さを教えている場面です。教育の場では、生徒たちが社会で適切にコミュニケーションをとれるよう、言葉遣いに関する指導が行われます。「politically correct」は、現代社会で多様性を尊重するための重要なスキルとして教えられます。`encourage someone to do something`で「誰かに~するように励ます/促す」という意味です。
言葉狩り
社会的に不適切とされる言葉や表現を過剰に批判・排除しようとする動き。本来の意図とは異なり、表現の自由を侵害する、あるいは議論を阻害するような状況を指す場合に用いられる(やや批判的なニュアンスを含む)。
Many staff felt the new dress code was just politically correct.
多くの職員は、新しい服装規定は単なる言葉狩りだと感じた。
※ 会社や学校などで新しい規則が発表され、それが過度な配慮や規制で自由を奪う「言葉狩り」のように感じられる、職場での不満を表す場面です。ここでは、`politically correct`が「言葉狩り的だ」という批判的な意味合いで使われています。
My friend said my joke was too politically correct, so I apologized.
友達は私のジョークが言葉狩りすぎると言ったので、私は謝った。
※ 自分が言ったジョークが、相手にとっては「言葉狩り」のように聞こえ、配慮が足りないと感じさせてしまった場面です。日常会話の中で、相手の反応を見て反省する様子が伝わります。`too politically correct` で「言葉狩りが行き過ぎている」というニュアンスが出ます。
The news debated if the new movie title was politically correct.
ニュースでは、新しい映画のタイトルが言葉狩りかどうか議論された。
※ 映画や本などの作品名が、特定の層への配慮から変更され、それが「言葉狩り」ではないかと世間で議論されている状況です。メディアが社会的な問題について議論する、典型的なニュースの場面です。
コロケーション
政治的に正しい言葉遣い
※ 社会的な不平等や差別を助長しないように配慮された言葉遣いを指します。名詞として最も基本的な使われ方で、フォーマルな議論から日常会話まで幅広く登場します。例えば、ある集団を指す際に、以前は一般的だったが差別的とみなされるようになった言葉を避けて、より中立的な表現を用いる場合などが該当します。形容詞+名詞の組み合わせとして、最も頻繁に使われるパターンです。
政治的に正しい用語
※ 特定のグループや概念を指す際に、不快感を与えないように選ばれた言葉のことです。類似の表現である 'politically correct language' とほぼ同じ意味で使われますが、特に特定の単語やフレーズ自体に焦点を当てる場合に用いられます。たとえば、'fireman' という言葉を 'firefighter' に変更するようなケースが該当します。これも形容詞+名詞の典型的なコロケーションです。
政治的に正しくなる
※ ある言葉、行動、または考え方が、社会の変化に合わせて、より多くの人々にとって受け入れられるように変化することを指します。これは、社会的な意識の変化を反映するものであり、企業や組織がその方針を修正する際などによく見られます。動詞 + 副詞 + 形容詞の形を取ります。例文: 'The company's policies have become more politically correct over the years.'
政治的に正しい方向に進む、政治的に正しい姿勢をとる
※ 企業や組織、あるいは個人が、これまで以上に社会的な公正さや平等に配慮した行動をとるようになることを意味します。これは、単に言葉遣いだけでなく、行動や政策全体に及ぶ場合があります。'become politically correct' と同様に、変化の方向性を示唆する表現です。動詞 + 副詞 + 形容詞の形を取ります。
度が過ぎるほど政治的に正しい
※ 過剰なまでに政治的な正しさを追求し、それがかえって不自然であったり、非現実的であったりする状況を指します。皮肉を込めて使われることが多く、行き過ぎた配慮が、本来の目的から逸脱していることを批判的に示唆します。'to a fault' は「~しすぎる」という意味合いのイディオムです。例文: 'The movie was politically correct to a fault, sacrificing entertainment for inclusivity.'
政治的に正しい文化
※ 社会全体、あるいは特定のグループ内で、政治的な正しさが重視される風潮や環境を指します。この文化においては、言葉遣いや行動が常に監視され、不適切な表現や行動は厳しく批判される傾向があります。良い面もありますが、表現の自由が制限されるといった批判も存在します。形容詞+名詞の組み合わせで、社会現象を指す際に用いられます。
ポリコレ警察
※ 過度に政治的な正しさを追求し、他者の言動に厳しく批判的な人々を指す、やや軽蔑的な表現です。インターネットスラングとして広まり、特にSNSなどで見られます。彼らは、些細な言葉尻や表現にも敏感に反応し、炎上騒ぎを引き起こすこともあります。比喩的な表現で、公式な場ではあまり使われません。名詞句として機能します。
使用シーン
社会学、政治学、文化研究などの分野で、特定のイデオロギーや社会運動に関連する議論において使用されることが多いです。研究論文や学術的なディスカッションで、ある言説や政策が「ポリティカリー・コレクト」であるかどうかを分析する際に用いられます。例:「この研究は、ポリティカリー・コレクトネスが教育現場に与える影響を分析している。」
企業の人事部門や広報部門で、従業員向けの研修資料や社内規定、または顧客向けの声明などで使用されることがあります。差別的な表現を避け、多様性を尊重する姿勢を示す文脈で用いられます。例:「当社の行動規範は、ポリティカリー・コレクトな表現の使用を推奨しています。」
日常会話では、特定の話題(人種、性別、性的指向など)について議論する際に、皮肉めいたニュアンスや批判的な意味合いを込めて使われることがあります。ニュースやソーシャルメディアで話題になった社会問題について意見を交わす際に、「あの発言はポリティカリー・コレクトじゃないよね」のように使われることがあります。
関連語
類義語
- inoffensive
『不快感を与えない』という意味で、発言や行動が誰かを傷つけたり、怒らせたりする可能性がないことを指す。日常会話やビジネスシーンで広く使われる。 【ニュアンスの違い】"Politically correct" が社会的な正義や公平さを意識した言動を指すのに対し、"inoffensive" は単に誰かの感情を害さないように配慮することを意味する。政治的な意図は必ずしも含まれない。 【混同しやすい点】"Politically correct" は時に皮肉や批判的な意味合いで使われることがあるが、"inoffensive" は基本的に肯定的な意味合いで使用される。
『(人や状況に対して)敏感な』という意味で、他者の感情や立場を理解し、配慮する態度を指す。日常会話、ビジネス、学術など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"Politically correct" が社会規範に沿った言動を強調するのに対し、"sensitive" は個々の感情や状況に対する共感や理解を重視する。より個人的なレベルでの配慮を表す。 【混同しやすい点】"Sensitive" は人の性格を表す場合もある(例:a sensitive person)が、"politically correct" は主に言動を評価する際に用いられる。
『包括的な』という意味で、あらゆる人々を受け入れ、排除しない姿勢を指す。特に、多様性を受け入れる文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】"Politically correct" が特定の表現を避けることに重点を置くのに対し、"inclusive" は積極的に多様な人々を尊重し、参加を促すことを意味する。より積極的な姿勢を示す。 【混同しやすい点】"Inclusive" は組織やコミュニティのあり方を示すことが多いが、"politically correct" は個々の言動を評価する際に用いられることが多い。
『敬意を払う』という意味で、他者の意見や感情、文化などを尊重する態度を指す。フォーマルな場面からカジュアルな場面まで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】"Politically correct" が社会的な規範に沿うことを意識するのに対し、"respectful" は相手への敬意を直接的に表現する。より個人的な感情が込められる。 【混同しやすい点】"Respectful" は相手の人格そのものに対する敬意を示すが、"politically correct" は特定の言動が社会規範に適合しているかどうかを評価する。
『注意深い』という意味で、発言や行動が他者に不快感を与えないように注意する態度を指す。日常会話やビジネスシーンで広く使用される。 【ニュアンスの違い】"Politically correct" が社会的な問題に対する意識の高さを表すのに対し、"careful" は単に相手を傷つけないように注意することを意味する。政治的な意図は必ずしも含まれない。 【混同しやすい点】"Careful" は行動全般に対する注意を指すが、"politically correct" は主に言語表現や社会的な問題に関する言動に限定される。
『外交的な』という意味で、相手を刺激しないように、または争いを避けるように、慎重に言葉を選ぶことを指す。ビジネスや政治の場において重要視される。 【ニュアンスの違い】"Politically correct" が社会的な正義を意識した言動を指すのに対し、"diplomatic" は円滑な人間関係を築くために言葉を選ぶことを意味する。必ずしも社会的な問題意識が含まれるとは限らない。 【混同しやすい点】"Diplomatic" は特定の状況下でのコミュニケーションスキルを指すことが多いが、"politically correct" はより広範な社会規範や価値観に関連する。
派生語
『政治的な』という意味の形容詞。『politically correct』の核となる語。元々は古代ギリシャ語の『polis(都市国家)』に由来し、都市国家の運営に関わる事柄を指す。日常会話から学術論文まで幅広く使用される。
- politicize
『政治問題化する』という意味の動詞。名詞『politics(政治)』に動詞化の接尾辞『-ize』が付加された形。ある事柄を政治的な議論の対象とする行為を表し、報道や社会学の分野でよく用いられる。
『政治家』という意味の名詞。『politics』に『〜する人』という意味の接尾辞『-ician』が付いた形。政治に関わる職業の人を指し、ニュース報道や政治学の研究で頻繁に登場する。
反意語
『鈍感な』『配慮に欠ける』という意味の形容詞。『sensitive(敏感な、配慮のある)』に否定の接頭辞『in-』が付いた形。『politically correct』が過剰な配慮を求める場合に、その対極にある無神経さや無配慮さを表す際に用いられる。日常会話や社会問題の議論で使われる。
『不快な』『侮辱的な』という意味の形容詞。『politically correct』が配慮によって不快感を避けようとするのに対し、意図的または無意識的に相手を不快にさせる言動を指す。日常会話やメディア報道でよく使われる。
- impolitic
『非分別な』『賢明でない』という意味の形容詞。『politic(分別のある、賢明な)』に否定の接頭辞『im-』が付いた形。『politically correct』が時に形式主義に陥るのに対し、状況をわきまえずに不用意な発言をすることを指す。ビジネスや政治の文脈で使われることが多い。
語源
"Politically correct"(ポリティカリー・コレクト)は、直訳すると「政治的に正しい」となります。この語は、1930年代の社会主義運動において、党の政策や行動が「政治的に正しい」かどうかを評価する際に用いられたのが始まりです。当初は、自己批判的な意味合いを含んでいましたが、1980年代以降、アメリカの大学を中心に、人種、性別、宗教、性的指向など、社会的マイノリティに対する差別的な表現や行動を避けるべきだという考え方を指すようになりました。「Politically」は「政治的に」を意味し、「correct」は「正しい」を意味します。つまり、社会的な公正さの観点から「正しい」表現や行動を心がけることを意味するようになったのです。ただし、この言葉は時に、過剰な配慮や表現の自由への制約として批判的に用いられることもあります。例えば、「言葉狩り」という言葉が、この「politically correct」が過剰になった状態を指すことがあります。
暗記法
「politically correct」は、単に「政治的に正しい」以上の意味を持ちます。1980年代のアメリカで、差別をなくす運動の合言葉として広まりました。当初は理想を掲げましたが、過剰な配慮や偽善という批判も生じました。企業が多様性をアピールする裏で差別構造を放置する例もあります。「反PC」を掲げる人々も現れ、意味合いは複雑化しています。社会の変化、価値観の衝突を映す、深い文化的背景を持つ言葉なのです。
混同しやすい単語
『politically correct』の形容詞形ですが、意味が異なります。『political』は『政治的な』という意味で、単に政治に関することを指します。一方、『politically correct』は『政治的に正しい』、つまり、人種、性別、性的指向、障害などに関して、差別的または侮辱的な表現を避けることを意味します。スペルも非常に似ているため、文脈をよく理解する必要があります。
発音が似ており、特に語尾の母音の区別が難しい場合があります。『policy』は『政策』や『方針』という意味の名詞です。政治的な文脈で使われることもありますが、『politically correct』とは意味が大きく異なります。綴りも似ているため、注意が必要です。たとえば、『company policy (社内規定)』のように使われます。
あまり一般的ではありませんが、『賢明な』、『抜け目のない』という意味の形容詞です。発音が似ているだけでなく、意味も『政治的な』と関連があるため、混同される可能性があります。『politically correct』とは意味が大きく異なるため、注意が必要です。古風な表現であり、現代英語ではあまり使われません。
『正しい』という意味の形容詞または動詞であり、『politically correct』の一部です。しかし、単独で使う場合は、必ずしも政治的な意味合いを持ちません。スペルも含まれているため、意味の違いを理解することが重要です。例えば、「That is correct.(それは正しいです。)」のように使われます。
発音の最初の部分が似ており、特に早口で話される場合に聞き間違えやすいことがあります。『practical』は『実用的な』という意味の形容詞であり、『politically correct』とは意味が全く異なります。文脈から判断することが重要です。例えば、「practical skills(実用的なスキル)」のように使われます。
『critic』は『批評家』という意味で、政治や社会問題について批判的な意見を持つ人を指すことがあります。そのため、政治的な文脈で登場することがあり、『politically correct』と関連があるように思われるかもしれません。しかし、『politically correct』は特定の表現を避けることを意味するのに対し、『critic』は意見を表明する人を指すため、意味は異なります。発音もスペルも異なるため、注意が必要です。
誤用例
While 'politically correct' can be used critically, simply saying something *is* 'politically correct' often implies agreement or neutrality. Adding 'overly' or 'too' makes the critical intent clear. Japanese speakers sometimes omit such intensifiers, assuming the negative connotation will be understood, but in English, explicit qualification is often needed to avoid ambiguity. This stems from a cultural difference where directness is more valued in English communication, especially when expressing disagreement.
The phrase 'politically correct' is rarely used as a verb or with a direct object in this way. It's not about *doing* 'politically correct' *to* someone. Instead, it describes a general approach or a specific policy. The intended meaning—being respectful and considerate—is better conveyed with phrases like 'respectful of,' 'sensitive to,' or 'inclusive of.' This error may arise from directly translating the Japanese idea of '気を使う (ki wo tsukau)' as 'being politically correct,' failing to capture the nuance that 'politically correct' is more about avoiding offense and less about proactive consideration. The Japanese concept encompasses a broader range of social sensitivity.
While the original sentence isn't grammatically incorrect, it lacks nuance. Using 'politically correct' alone can suggest the policy *is* genuinely politically correct, even if insincere. Adding a qualifier like 'ostensibly' (apparently or purportedly, but perhaps not actually) strengthens the implication that the policy is merely a superficial performance. This highlights a common challenge for Japanese learners: choosing the most precise word to convey subtle shades of meaning. Japanese often relies on context and implication, while English often requires more explicit wording. The word 'ostensibly' adds a layer of cynicism that is often intended when criticizing such policies. The term implies a performative action that is not backed by real commitment.
文化的背景
「politically correct(ポリティカリー・コレクト)」という言葉は、単なる「政治的に正しい」という意味を超え、社会における差別や偏見をなくすための配慮を象徴する、一種の社会運動の旗印として機能してきました。この言葉の裏には、社会正義を求める理想と、その理想を追求する過程で生じる摩擦や矛盾が複雑に絡み合っています。
この言葉が広く使われるようになったのは、1980年代後半から1990年代にかけてのアメリカです。大学を中心に、人種、性別、性的指向など、様々なマイノリティに対する差別的な言動をなくそうという動きが活発化しました。当初は、リベラルな知識人や活動家たちが、より公正で包括的な社会を目指すための共通言語としてこの言葉を用いました。しかし、その適用範囲が広がるにつれて、批判も噴出するようになります。例えば、歴史的な文脈を無視した一方的な「正しさ」の押し付けや、表現の自由を過度に制限するのではないか、といった懸念が表明されました。
「politically correct」という言葉は、しばしば「過剰な配慮」や「偽善」といったニュアンスを帯びて使われることがあります。これは、本来の目的である「差別の撤廃」が、形式的な言葉遣いや行動に終始し、本質的な問題解決から遠ざかってしまうケースがあるためです。例えば、企業がイメージアップのために多様性をアピールする一方で、内部の差別的な構造を放置しているような状況は、「ポリティカル・コレクトネス」の欺瞞性を象徴するものとして批判されます。また、近年では、「反ポリティカル・コレクトネス」を掲げる人々も現れ、既存の権力構造を擁護したり、差別的な言動を正当化したりする文脈でこの言葉を利用しています。
このように、「politically correct」という言葉は、社会の変化とともにその意味合いを変え、今や賛否両論が入り混じる複雑な概念となっています。単に「正しい言葉遣い」を指すのではなく、社会のあり方、価値観の衝突、そして人間の感情といった、より深い文化的背景を理解するための鍵となる言葉と言えるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題。まれにライティング(意見論述)のテーマとして関連語句が出題される可能性あり。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。特に1級の長文読解やエッセイで問われる可能性が高い。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、政治、文化に関する長文で、多様性や人権といったテーマと関連して登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 単に「言葉狩り」と訳すのではなく、その背景にある社会的な配慮や変化を理解することが重要。関連語句(diversity, inclusion, equityなど)との関連も押さえておく。
- 出題形式: 長文読解(Part 7)で、企業の方針や倫理に関する話題で登場する可能性がある。
- 頻度と級・パート: 頻度は高くないが、ビジネス関連の語彙として知っておくべき。Part 7の倫理規定や企業姿勢に関する文章でまれに出題。
- 文脈・例題の特徴: 企業の倫理規定、ダイバーシティ&インクルージョンに関する声明、従業員向けのトレーニング資料など。
- 学習者への注意点・アドバイス: 直接的な語彙問題としての出題は少ないが、文脈を理解する上で重要なキーワードとなる。ポジティブな意味合いとネガティブな意味合いの両方で使用される可能性があるため、文脈判断が重要。
- 出題形式: リーディングセクションで、社会学、政治学、文化人類学などのアカデミックな文章で頻出。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出。特に社会科学系のテーマでよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 学術論文、研究レポート、歴史的考察など、客観的で論理的な文脈で使用される。
- 学習者への注意点・アドバイス: 単語の意味だけでなく、その概念や歴史的背景を理解することが重要。批判的な視点を含む文章も多いため、筆者の意図を正確に把握する必要がある。同意語・反意語(e.g., censorship, freedom of speech)も合わせて学習すると理解が深まる。
- 出題形式: 長文読解問題で、社会問題や文化、歴史に関するテーマで出題されることが多い。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。標準的なレベルの大学でも、社会問題に関するテーマで出題される可能性がある。
- 文脈・例題の特徴: 論説文、評論文、物語文など、幅広いジャンルの文章で登場する。
- 学習者への注意点・アドバイス: 単語の意味だけでなく、文章全体のテーマや筆者の主張を理解することが重要。文脈から意味を推測する練習を重ねることが効果的。関連語句や背景知識も合わせて学習することで、読解力が向上する。