英単語学習ラボ

overwhelm

/ˌoʊvərˈwɛlm/(オゥヴァー'ウェルム)

第一音節の /oʊ/ は二重母音で、日本語の『オ』から『ウ』へスムーズに変化します。/'welm/ の 'elm' は、日本語話者には発音しにくい子音の連続です。まず 'l' の音(舌先を上の前歯の裏につける)を意識し、そこからすぐに唇を閉じて 'm' の音へ移行する練習をしましょう。強勢は 'welm' に置かれるため、やや強調して発音するとより自然になります。

動詞

圧倒する

感情や情報、仕事などが、まるで波のように押し寄せ、対応しきれない状態を表す。ポジティブ・ネガティブ両方の文脈で使用可能。例:大観衆に圧倒される、大量の仕事に圧倒される

The huge amount of new tasks totally overwhelmed me.

膨大な量の新しい仕事に、私は完全に圧倒されました。

【情景】新しく任された仕事の山に、途方に暮れている様子。次から次へとタスクが押し寄せてきて、もうどうしていいか分からない、という気持ちが伝わります。 【なぜ典型的か】「overwhelm」は、仕事や情報など「量」が多すぎて処理しきれない状況でよく使われます。圧倒された度合いを強調する「totally(完全に)」も一緒に覚えると便利です。 【文法・ヒント】ここでは過去形「overwhelmed」で、その時の気持ちを語る際によく使われる形です。

The huge crowd overwhelmed him before his speech.

大勢の観客が、彼がスピーチをする前に彼を圧倒しました。

【情景】舞台に上がる直前、目の前に広がるたくさんの人を見て、緊張とプレッシャーで体が固まってしまう男性の姿。足がすくみ、言葉が出なくなるような感覚です。 【なぜ典型的か】人前でのプレッシャーや、感情が大きくなりすぎてしまう状況で「overwhelm」が使われる典型的な例です。 【文法・ヒント】「crowd(群衆)」のように、物理的な存在が人を圧倒する状況でも使えます。「before his speech(スピーチをする前に)」で、状況がより具体的にわかりますね。

The strong storm overwhelmed the small boat at sea.

強い嵐が、海上の小さなボートを圧倒しました。

【情景】荒れ狂う海で、まるで葉っぱのように翻弄される小さなボート。自然の猛威の前では、人間の作ったものがどれだけ無力かという様子が目に浮かびます。 【なぜ典型的か】自然の力や、圧倒的な強さを持つものが、弱いものを打ち負かす、という文脈で使われる典型的な例です。 【文法・ヒント】「overwhelm」は、このように「(力で)打ち負かす」「(抵抗できないほど)支配する」という意味でも使われます。ここでは「storm(嵐)」が主語になっています。

動詞

打ちのめす

相手を完全に負かす、打ち破るニュアンス。困難や競争相手に対して用いられ、精神的、肉体的な意味合いを含む。例:対戦相手を圧倒する、苦難を乗り越えて成功を収める

The sheer amount of work at his new job started to overwhelm him.

新しい仕事でのとてつもない量の仕事が、彼を打ちのめし始めた。

新しい職場での仕事量が予想以上に多く、主人公が精神的に「もう無理だ、どうしよう」と押しつぶされそうになっている情景が目に浮かびます。これは、タスクや責任の重さに圧倒されるという、overwhelmの非常に典型的な使い方です。

When she saw the vast, starry sky, its beauty overwhelmed her.

広大な星空を見た時、その美しさに彼女は打ちのめされた。

広がる星空のあまりの美しさに、言葉を失い、心が感動でいっぱいになる様子が伝わります。overwhelmは、悲しみや困難だけでなく、このようにポジティブな感情(感動、喜びなど)が「あまりにも強すぎて、圧倒される」という状況でも使われます。

The unexpected floodwaters quickly overwhelmed the small town.

予期せぬ洪水が、あっという間にその小さな町を打ちのめした。

突然の洪水が町全体を水浸しにし、人々が対処できなくなる状況を表しています。ここでは、自然の力や状況が「手に負えないほどに、全てを覆い尽くす」という、物理的・状況的な意味でのoverwhelmがよくわかります。

コロケーション

overwhelm someone with kindness

親切の度合いが過ぎて、相手を恐縮させたり、圧倒したりする

善意が強すぎると、かえって相手に負担をかけてしまう状況を表します。例えば、見返りを期待しているように感じさせたり、相手の自尊心を傷つけたりする可能性があります。ビジネスシーンでは、過剰な接待や贈り物などがこれに該当し、相手に不快感を与えることも。文法的には "overwhelm + (人) + with + (物事)" の形を取ります。"bury someone with kindness"も同様の意味で使えますが、"overwhelm"の方がより強い感情を表します。

overwhelm the senses

五感を圧倒する

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚といった感覚が、強烈な刺激によって麻痺するような状態を指します。例えば、コンサートでの大音量、香水の強い香り、美しい景観などが該当します。この表現は、ポジティブな文脈でもネガティブな文脈でも使用できます。"assault the senses"という表現も似た意味を持ちますが、こちらはよりネガティブなニュアンスが強く、不快な感覚に対して使われることが多いです。文学作品や旅行記などでよく見られます。

overwhelm an opponent

対戦相手を圧倒する、打ち負かす

競争や議論の場で、相手を実力や勢いで圧倒し、勝利することを意味します。スポーツ、ビジネス、政治など、様々な分野で使用されます。単に「打ち負かす」だけでなく、相手に反撃の機会を与えないほどの圧倒的な差を見せつけるニュアンスがあります。"crush an opponent" も同様の意味ですが、こちらはより攻撃的なニュアンスが強く、相手を完全に打ち砕くイメージです。スポーツ記事やニュースなどでよく見られます。

be overwhelmed by emotion

感情に押しつぶされる

喜び、悲しみ、怒りなどの強い感情が、制御できないほど溢れ出し、身動きが取れなくなる状態を表します。特に、悲しみや絶望などのネガティブな感情に対して使われることが多いです。"be overcome with emotion" も同様の意味ですが、"overwhelmed" の方が感情の強さをより強調します。心理学や文学作品でよく用いられます。文法的には受動態で使われるのが一般的です。

overwhelm with data

大量のデータで圧倒する

情報過多な状況において、処理しきれないほどのデータを提供し、混乱や困惑を引き起こすことを意味します。ビジネスシーンや研究分野でよく使われ、データ分析や意思決定の妨げになることを示唆します。"bombard with information" も同様の意味ですが、こちらは情報の内容よりも量に焦点が当てられています。"data overload"という名詞表現も頻繁に使われます。

a feeling of being overwhelmed

圧倒される感覚

抱えきれないほどの仕事量や問題に直面し、精神的に疲弊している状態を表します。ストレス、不安、無力感などが伴うことが多いです。この表現は、個人的な感情を表現する際によく用いられます。"sense of being overloaded"も同様の意味ですが、こちらはより客観的な状況を表すことが多いです。カウンセリングや自己啓発の分野でよく使われます。

overwhelm resistance

抵抗を圧倒する

反対勢力や障害を、圧倒的な力で打ち破ることを意味します。軍事的な文脈だけでなく、政治やビジネスなど、様々な分野で使用されます。単に「打ち破る」だけでなく、相手に抵抗する余地を与えないほどの圧倒的な力を見せつけるニュアンスがあります。"quell resistance" も同様の意味ですが、こちらはより強圧的なニュアンスが強く、力ずくで抑えつけるイメージです。ニュース記事や歴史書などでよく見られます。

使用シーン

アカデミック

学術論文や研究発表で、データや情報量が非常に多い状況、または感情的な影響について述べる際に使われます。例:「大量のデータに圧倒された(overwhelmed by the sheer volume of data)」「先行研究の多さに圧倒された(overwhelmed by the vast amount of existing research)」のように、研究者が直面する状況を表すのに用いられます。文語的な表現です。

ビジネス

ビジネスシーンでは、プロジェクトの規模の大きさや、予想外の事態に直面した際に使われます。例:「予想以上の顧客からの問い合わせに圧倒された(overwhelmed by the unexpectedly high volume of customer inquiries)」「新規プロジェクトの複雑さに圧倒された(overwhelmed by the complexity of the new project)」のように、業務の負荷や困難さを表す際に用いられます。報告書やプレゼンテーションなど、フォーマルな場面で使われることが多いです。

日常会話

日常生活では、感情的な状態や、情報過多な状況を表す際に使われます。例:「子供たちの騒がしさに圧倒された(overwhelmed by the children's noise)」「SNSの情報量に圧倒された(overwhelmed by the amount of information on social media)」のように、ストレスや疲労感を伴う状況を表すのに用いられます。友人との会話や、SNSの投稿など、比較的カジュアルな場面で使われることが多いです。

関連語

類義語

  • 『埋める』という意味で、物理的に何かを土や物で覆い隠す場合に使われます。比喩的には、感情や問題などで圧倒される状況を表すことがあります。 【ニュアンスの違い】"overwhelm"は感情や感覚が主体を圧倒するニュアンスが強いのに対し、"bury"は物理的な埋没から転じて、問題やタスクが主体を覆い隠し、行動不能にするようなニュアンスがあります。また、受動態で使われることが多いです。 【混同しやすい点】"bury"は物理的な意味合いが強く、感情的な圧倒を表す場合は文脈に注意が必要です。"I am buried in work"(仕事に埋もれている)のように、受動態で比喩的に使われることが多い点を理解する必要があります。

  • 『水中に沈める』という意味で、物理的に水中に何かを沈める場合に使われます。比喩的には、感情や状況に完全に浸ってしまう、または飲み込まれてしまう状況を表します。 【ニュアンスの違い】"overwhelm"は感情の高ぶりや量の多さによって圧倒されるイメージですが、"submerge"はより受動的に、状況や感情に飲み込まれてしまうイメージです。水面下に沈むように、主体性が失われるニュアンスがあります。 【混同しやすい点】"submerge"は基本的に水や液体に関連するイメージが強いため、比喩的に使う場合は、その状況がまるで水中にいるかのように、逃げ場がない、または抵抗できない状態であることを示唆する必要があります。

  • 『押しつぶす』という意味で、物理的に何かを押し潰す場合に使われます。比喩的には、精神的に打ちのめされたり、希望や自信を打ち砕かれたりする状況を表します。 【ニュアンスの違い】"overwhelm"は必ずしもネガティブな意味合いだけでなく、感動によって圧倒される場合もありますが、"crush"はよりネガティブな意味合いが強く、精神的なダメージを伴うことが多いです。また、感情だけでなく、計画や目標が打ち砕かれる場合にも使われます。 【混同しやすい点】"crush"は物理的な破壊力を伴うイメージが強いため、感情的な圧倒を表す場合は、それが精神的な崩壊に近い状態であることを示唆する必要があります。恋愛感情で「夢中になる」という意味もありますが、これは比喩的な用法です。

  • 『打ちのめす』『荒廃させる』という意味で、物理的または精神的に大きな損害や破壊をもたらす場合に使われます。自然災害や悲劇的な出来事によって、人や場所が荒廃する状況を表すことが多いです。 【ニュアンスの違い】"overwhelm"は一時的な感情の高ぶりを表すことが多いのに対し、"devastate"はより深刻で長期的な影響を与える状況を表します。精神的なダメージだけでなく、経済的な困窮や社会的な混乱など、広範囲にわたる影響を示唆します。 【混同しやすい点】"devastate"は非常に強い言葉であり、軽い感情的な動揺を表す場合には不適切です。深刻な状況や悲劇的な出来事に対してのみ使用するように注意する必要があります。また、受動態で使われることが多く、人が主語になる場合は精神的に打ちのめされた状態を表します。

  • 『洪水』という意味で、水が溢れ出す状況を表します。比喩的には、感情や情報が大量に押し寄せる状況を表します。 【ニュアンスの違い】"overwhelm"は主体が感情や情報に圧倒される状態を表すのに対し、"flood"は感情や情報が主体に押し寄せる様子を表します。"flood"は、主体がそれらに対応しきれないほどの量であることを強調します。 【混同しやすい点】"flood"は水害のイメージが強いため、比喩的に使う場合は、その感情や情報がまるで洪水のように制御不能であることを示唆する必要があります。また、情報過多の状態を表す場合によく使われます(例:a flood of emails)。

  • 『びっくりさせる』『茫然とさせる』という意味で、突然の出来事や情報によって一時的に思考や行動が停止する状態を表します。 【ニュアンスの違い】"overwhelm"は感情や情報によって圧倒される状態を表すのに対し、"stun"は突然の衝撃によって思考が停止する状態を表します。"stun"は、一時的な麻痺状態に近いニュアンスがあります。 【混同しやすい点】"stun"は一時的な状態を表すため、長期的な感情的な影響を表す場合には不適切です。また、物理的な衝撃によって意識を失う場合にも使われます。

派生語

  • 『圧倒的な』という意味の形容詞。『overwhelm』に形容詞を作る接尾辞『-ing』が付加。名詞を修飾し、感情や状況の強烈さを強調する。日常会話からビジネス、学術分野まで幅広く使われ、特に印象的な光景や経験を表現する際に頻出。『overwhelm』の持つ『押しつぶす』イメージを、性質として捉えた語。

  • overwhelmingly

    『圧倒的に』という意味の副詞。『overwhelming』に副詞を作る接尾辞『-ly』が付加。動詞や形容詞を修飾し、程度を強調する。統計データや選挙結果など、数量的な優位性を示す際によく用いられる。例えば、『overwhelmingly popular(圧倒的に人気がある)』のように使う。『overwhelming』の持つ影響力を、程度として捉えた語。

  • overwhelmed

    『圧倒された』という意味の過去分詞(形容詞的用法)。『overwhelm』の受動的な状態を表し、感情や状況によって精神的に参っている状態を示す。日常会話で自分の気持ちを表現する際によく用いられる。例えば、『I was overwhelmed by the news(その知らせに圧倒された)』のように使う。感情に焦点を当てた語。

反意語

  • underwhelm

    『期待外れに終わらせる』という意味の動詞。『overwhelm』の反対に、良い印象を与えられず、むしろ失望させることを指す。ビジネスシーンで新製品の発表やプレゼンテーションの結果が芳しくなかった場合などに使われる。日常会話では、映画やレストランの評価が期待を下回った場合に用いられる。『overwhelm』が感情を高ぶらせるのに対し、『underwhelm』は感情を鎮める(あるいは失望させる)語。

  • 『落ち着かせる』『静める』という意味の動詞、または『穏やかな』という意味の形容詞。『overwhelm』が感情や状況を激しく揺さぶるのに対し、『calm』はそれらを鎮静化させる。日常会話で不安や興奮を鎮める際に使われるほか、嵐の後の穏やかな海など、自然の静けさを表現する際にも用いられる。『overwhelm』が混乱や圧迫感をもたらすのに対し、『calm』は平穏や安定をもたらす語。

  • 『安心させる』という意味の動詞。『overwhelm』が不安やプレッシャーを与えるのに対し、『reassure』はそれらを軽減し、安心感を与える。ビジネスシーンで顧客の不安を取り除く際や、個人的な関係で相手を励ます際に使われる。例えば、『reassure a client about a project's progress(プロジェクトの進捗状況について顧客を安心させる)』のように使う。『overwhelm』が感情を不安定にするのに対し、『reassure』は安定をもたらす語。

語源

「overwhelm」は、古英語の「overwelmian」(覆いかぶさる、押しつぶす)に由来します。「over-」は「〜の上に、超えて」という意味の接頭辞で、日本語の「オーバー」と同じように、何かを越える、過剰な状態を示します。「whelm」は現在ではあまり使われませんが、「覆う、ひっくり返す」という意味を持ち、ゲルマン祖語の*hwelmaz(回転、渦)に遡ります。つまり、「overwhelm」は文字通りには「上に覆いかぶさる」という意味合いを持ち、そこから「圧倒する、打ちのめす」という意味に発展しました。イメージとしては、津波が全てを覆い尽くすような、あるいは、大量の情報が押し寄せてきて思考が麻痺するような状況を思い描くと理解しやすいでしょう。

暗記法

「overwhelm」は、単なる多さではない、抗いがたい力の象徴。歴史では、ローマ帝国の蹂躙やペストの猛威など、個人の無力さを際立たせる場面で使われた。文学では、メルヴィルの『白鯨』でエイハブ船長の狂気を煽る復讐心として描かれ、感情に支配される人間の脆さを示す。現代では、情報過多による混乱を「overwhelming」と表現し、時代を超えて「圧倒的な力」への畏怖を呼び起こす。

混同しやすい単語

スペルが似ており、接頭辞 'over-' が共通しているため、意味も関連があるように感じやすい。'overlook' は『見落とす』『大目に見る』という意味で、注意深く見ないこと、または意図的に無視することを指す。一方、'overwhelm' は圧倒される状態を表し、意味が大きく異なる。日本人学習者は、文脈から正確な意味を判断する必要がある。語源的には、'overlook' は文字通り『上から見る』ことから、見落とす、または見下す意味合いにつながっている。

overeat

こちらも 'over-' で始まるため、関連性を感じやすい。'overeat' は『食べ過ぎる』という意味で、行動を表す動詞。'overwhelm' は状態を表す動詞であり、品詞も意味も異なる。'over-' は『〜し過ぎる』という意味を持つ接頭辞であることを理解すると、区別しやすくなる。

whelm

'overwhelm' から 'over-' を取り除いた形だが、単独の単語 'whelm' は現代英語ではほとんど使われない。古語的な意味合いで『押しつぶす』『水没させる』といった意味を持つ。'overwhelm' の意味を理解するために、あえて 'whelm' という語の存在を知っておくと、語源的な理解が深まる可能性がある。

overwrought

スペルが長く、'over-' が共通しているため、視覚的に混同しやすい。'overwrought' は『興奮しすぎた』『神経過敏な』という意味で、感情的な状態を表す形容詞。'overwhelm' が動詞であるのに対し、こちらは形容詞である点が大きく異なる。発音も異なるため、音声とスペルの両方で区別する必要がある。

underwhelm

'overwhelm' と対になる単語として、意味もスペルも似ているため混同しやすい。'underwhelm' は『期待外れに終わらせる』『感動させない』という意味で、'overwhelm' の反対の状態を表す。文脈によっては意味が逆になるため、注意が必要。'under-' は『〜の下』という意味だけでなく、『不十分な』という意味も持つことを理解すると、'underwhelm' の意味を推測しやすくなる。

overhang

'over' が共通し、スペルも似ているため、視覚的に混同しやすい。'overhang' は『張り出す』『突き出す』という意味で、物理的な状態を表すことが多い。'overwhelm' が感情や状況に対する影響を表すのに対し、'overhang' は物理的な形状や配置を表す点が異なる。建築や地理に関する文脈でよく使われる。

誤用例

✖ 誤用: I was overwhelmed by the small gift from my student.
✅ 正用: I was touched by the thoughtful gift from my student.

日本語の『恐縮です』というニュアンスで『overwhelmed』を使ってしまう例です。確かに、小さな贈り物に対して大げさに感謝するのは、ある種の『恐縮』の表れかもしれません。しかし、英語の『overwhelmed』は、良い意味でも悪い意味でも、より強い感情、たとえば『圧倒される』『打ちのめされる』といった状況で使われます。小さな贈り物に対して使うと、相手に不自然な印象を与えかねません。ここでは、相手の心遣いに感謝する気持ちを表す『touched』がより適切です。日本人が奥ゆかしさを美徳とする文化を持つため、英語でも控えめな表現を選ぼうとする心理が働いた結果と言えるでしょう。

✖ 誤用: The sheer amount of paperwork overwhelmed me, so I decided to overwhelming it.
✅ 正用: The sheer amount of paperwork overwhelmed me, so I decided to tackle it head-on.

『overwhelm』を動詞として使い、大量の書類に『圧倒された』までは正しいのですが、その解決策として再び『overwhelming it』としてしまうのは不自然です。これは、日本語の『圧倒する』という言葉をそのまま英語に当てはめようとする発想からくる誤りです。英語では、問題を解決する際には、具体的な行動を表す動詞(tackle, address, handleなど)を用いるのが一般的です。また、『overwhelming it』という表現は、文法的には可能ですが、意味が曖昧で、相手に意図が伝わりにくい可能性があります。ここでは、『tackle it head-on(正面から取り組む)』のように、具体的な行動を示す表現を使うことで、より明確なメッセージを伝えることができます。

✖ 誤用: I am overwhelmed to hear about your dog's passing.
✅ 正用: I am so sorry to hear about your dog's passing.

日本語の『お悔やみ申し上げます』というフォーマルな表現を直訳しようとして『overwhelmed』を使ってしまう例です。『overwhelmed』は感情が非常に強く揺さぶられている状態を表すため、相手の不幸に対して使うと、感情が過剰に伝わり、かえって不自然に聞こえることがあります。英語では、お悔やみの気持ちを伝える際には、『I am so sorry to hear about...』のように、よりシンプルで直接的な表現を用いるのが一般的です。日本人がフォーマルな場面で丁寧な言葉遣いを心がけるように、英語でも丁寧な表現を選ぼうとする心理が働いた結果と考えられますが、文化的な背景の違いから、適切な表現を選ぶ必要があります。

文化的背景

「圧倒する(overwhelm)」という言葉は、単なる量の多さだけでなく、感情や精神を支配し、抵抗を不可能にするほどの強い影響力を意味します。この言葉には、自然の猛威や運命の容赦なさといった、人間が抗うことのできない大きな力に対する畏怖の念が込められています。

「overwhelm」が持つ「抗いがたい力」のイメージは、歴史的な文脈において、軍事的な敗北や自然災害の描写によく用いられてきました。たとえば、古代ローマの歴史家は、敵軍の圧倒的な兵力によって都市が蹂躙される様子を「overwhelm」という言葉を使って表現しました。また、中世の文学作品では、ペストの流行が社会全体を「overwhelm」する恐怖が描かれています。これらの例に見られるように、「overwhelm」は、個人の力ではどうすることもできない、社会や文化全体を揺るがすような出来事と結びついてきたのです。

文学作品における「overwhelm」の象徴的な使用例として、ハーマン・メルヴィルの小説『白鯨』が挙げられます。エイハブ船長は、巨大な白鯨モービィ・ディックに対する復讐心に「overwhelm」され、狂気へと突き進んでいきます。この場合、「overwhelm」は、理性や良心を失わせるほどの強烈な感情、つまり人間の内面に潜む狂気や執念を象徴しています。また、現代社会においては、情報過多の状態を「overwhelming amount of information」と表現することがあります。これは、情報が多すぎて処理能力を超え、混乱やストレスを引き起こす状況を指し、「overwhelm」が現代的な文脈でも、依然として「圧倒的な力」を意味する言葉として使われていることを示しています。

このように、「overwhelm」は、単なる量の多さだけでなく、感情や精神を支配し、抵抗を不可能にするほどの強い影響力を意味する言葉として、歴史、文学、そして現代社会において、様々な形で使用されています。この言葉の背後には、人間が抗うことのできない大きな力に対する畏怖の念や、感情や情報に支配される人間の脆弱性が潜んでいると言えるでしょう。

試験傾向

英検

- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)。リスニングでも稀に出題。

- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも長文読解で出題される可能性あり。

- 文脈・例題の特徴: 環境問題、社会問題、科学技術など、アカデミックな文脈で使われることが多い。人の感情を表す文脈でも用いられる。

- 学習者への注意点・アドバイス: 動詞としての「圧倒する」という意味だけでなく、形容詞「圧倒的な」としての用法も重要。類義語である'overpower'や'defeat'とのニュアンスの違いを理解することが大切。

TOEIC

- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)。

- 頻度と級・パート: TOEIC L&Rで頻出。特にビジネス関連の長文で登場しやすい。

- 文脈・例題の特徴: プロジェクトの遅延、顧客からのクレーム、市場の変化など、ビジネスシーンで起こりうる状況を説明する際に使われることが多い。

- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞、動詞両方の用法を理解しておくこと。'overwhelmed with 〜'(〜で圧倒される)という形で使われることが多い。ビジネスの文脈でよく使われる類義語(e.g., 'burdened,' 'inundated')との区別も重要。

TOEFL

- 出題形式: 主にリーディングセクション。ライティングセクションでも使用できる。

- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。

- 文脈・例題の特徴: 科学研究、歴史的出来事、社会現象など、アカデミックなトピックを論じる際に用いられる。データや情報が「圧倒的」であることを示す場合や、感情が「圧倒される」状況を表す場合がある。

- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈での使用が多いため、フォーマルな言い回しや、抽象的な概念を説明する文脈での用法を理解することが重要。'overwhelming evidence'(圧倒的な証拠)のようなコロケーションも覚えておくと役立つ。

大学受験

- 出題形式: 主に長文読解。文法・語彙問題で問われることもある。

- 頻度と級・パート: 難関大学の入試で頻出。標準的なレベルの大学でも出題される可能性はある。

- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術、歴史など、幅広いテーマの長文で登場する。論説文や評論文でよく見られる。

- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習をすることが大切。特に、抽象的な内容を説明する際に使われることが多いので、文脈全体を理解する必要がある。同意語や反意語を覚えておくことも有効。

免責事項

英単語学習ラボは生成AIで機械的に意味や英語表現を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。

このページについて

作成:英単語学習ラボ
生成支援:Google Gemini
最終更新:2025年7月18日

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