nausea
強勢は最初の音節にあります。/ɔː/ は日本語の『オー』よりも口を大きく開けて発音する長母音です。/zi/ の部分は、日本語の『ジ』よりも舌を上あごから離して発音し、摩擦音を意識してください。最後の /ə/ は曖昧母音で、口を軽く開け、力を抜いて発音します。全体的に、日本語の発音よりも口の形を意識するとより自然になります。
専門的な内容に関するご注意
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吐き気
胃の不快感や嘔吐感を表す一般的な言葉。乗り物酔いや病気の症状としてよく使われる。漠然とした不快感から、実際に吐き気を催す状態までを含む。
During the long car ride, I started to feel a slight nausea.
長い車の移動中、私は少し吐き気を感じ始めました。
※ この例文は、長時間の移動で車酔いをしているような場面を描写しています。窓の外の景色が流れていく中で、だんだん気持ち悪くなる感じですね。「nausea」は乗り物酔いの症状として非常によく使われる単語です。「feel nausea」で「吐き気を感じる」という表現が基本です。「slight」は「軽い、わずかな」という意味で、症状の程度を伝えるのに便利ですよ。
After eating the bad food, he felt strong nausea.
腐った食べ物を食べた後、彼は強い吐き気を感じました。
※ この例文は、何か食べたらお腹の調子が悪くなって、顔色も悪くなっているような場面を想像させます。食中毒や体調不良で吐き気を感じることは日常的によくあります。「bad food」は「腐った食べ物」や「体に合わない食べ物」を意味します。「feel strong nausea」は「強い吐き気を感じる」という意味で、症状が重いことを表すのに使えます。
The strong smell from the factory gave me a sudden nausea.
工場からの強い匂いが、私に急な吐き気を催させました。
※ この例文は、ある場所を通った時に、ツンとしたきつい匂いがして、思わず顔をしかめてしまうような場面を描いています。特定の強い匂いや刺激物が吐き気を誘発することは、日常的によくあることです。「give someone nausea」は「~に吐き気を催させる」という意味で、何かが原因で吐き気が起きる状況で使われる、とても自然な表現です。
むかつかせる
比喩的に、強い嫌悪感や不快感を与えるという意味。物理的な吐き気だけでなく、嫌な出来事や人物に対して使われる。
On the rocking boat, I started to feel a terrible nausea.
揺れる船の上で、私はひどい吐き気を感じ始めました。
※ この例文は、乗り物酔いなど、体の不調によって「吐き気」を感じる典型的な状況を描写しています。'feel nausea' は「吐き気を感じる」という非常によく使われる表現です。'terrible'(ひどい)という単語で、その不快感が伝わってきますね。
The strong smell of that spoiled food immediately caused a wave of nausea.
あの腐った食べ物の強い匂いは、すぐに吐き気の波を引き起こしました。
※ この文は、不快な匂いや味など、外部からの刺激が原因で「吐き気」が誘発される状況を示しています。'cause nausea' は「吐き気を引き起こす」という意味で、何かが吐き気の原因となる場合に使われます。'a wave of nausea'(吐き気の波)という表現で、急に吐き気がこみ上げてくる様子が鮮明に伝わります。
After taking the new medicine, she experienced some nausea.
新しい薬を飲んだ後、彼女は多少の吐き気を経験しました。
※ この例文は、薬の副作用や病気の症状として「吐き気」が現れる一般的な状況を表しています。'experience nausea' は「吐き気を経験する」という意味で、特に医療の文脈や体調について話す際によく使われます。'some nausea' で「多少の吐き気」というニュアンスが加わります。
吐き気を催す
物理的に、または比喩的に吐き気を誘発するような状態を表す。食べ物、光景、状況など、様々なものに対して使用可能。
The long bus ride gave me a sudden feeling of nausea.
長いバスの旅で、急に吐き気がしました。
※ この例文では、長時間のバス移動で乗り物酔いのような急な不快感がこみ上げてくる様子が描かれています。nausea は「吐き気」や「むかつき」という意味の【名詞】です。体調が悪くなった時や、乗り物酔いをする際に使われる典型的な単語です。ちなみに、「吐き気を催すような」と形容詞として使いたい場合は、nauseous (ナーシャス) という単語を使います。
After eating too much cake, she started to feel a slight nausea.
ケーキを食べすぎた後、彼女は少し吐き気を感じ始めました。
※ 甘いものを食べすぎた後、胃がむかむかしてくるような、軽い吐き気を感じる状況です。食べ過ぎだけでなく、合わない食べ物を口にした時などにも使えます。nausea は【名詞】で、この例文では「少しの吐き気」というニュアンスで使われています。形容詞の nauseous と混同しないように注意しましょう。
He woke up with a terrible nausea and a headache this morning.
今朝、彼はひどい吐き気と頭痛で目が覚めました。
※ 朝目覚めた時に、風邪や二日酔いなどでひどい吐き気と頭痛に襲われる、つらい状況が目に浮かびます。nausea は【名詞】として、具体的な症状の一つを表現しています。このように、他の症状(headacheなど)と組み合わせて使われることもよくあります。
コロケーション
吐き気の波
※ 吐き気が急に押し寄せる感覚を、波が打ち寄せる様子に例えた表現です。物理的な感覚だけでなく、精神的な不快感や嫌悪感がこみ上げてくる場合にも使われます。例えば、ひどい光景を見たときや、不快なニュースを聞いたときなどに 'A wave of nausea washed over me' (吐き気の波が私を襲った) のように使います。'wave' は、感情や感覚が強弱を繰り返す様子を表すのによく使われる比喩表現です。
一瞬の吐き気を感じる
※ 'pang' は、痛みや後悔などが『チクッ』と一瞬走るような感覚を表す言葉です。吐き気についても、持続的なものではなく、瞬間的に、あるいは間欠的に感じる場合に 'a pang of nausea' と表現します。例えば、乗り物酔いの初期症状や、緊張した場面で一時的に吐き気を感じる場合などに適しています。 'feel a pang of' は、後悔や悲しみなど、他の感情にも広く使える表現です。
吐き気に襲われる、吐き気で圧倒される
※ 'overcome' は、感情や感覚が非常に強く、身動きが取れないほど圧倒される状態を表します。'overcome with nausea' は、吐き気が非常に強く、立っていられないほど苦しい状態を表します。深刻な病気の症状や、非常に強い精神的なショックを受けた場合などに使われます。フォーマルな場面で使われることが多い表現です。
吐き気を催させる
※ 'induce' は、ある状態や感情を引き起こすという意味の動詞です。 'induce nausea' は、特定の状況、匂い、食べ物などが吐き気を引き起こすことを表します。例えば、'The smell of rotten eggs induced nausea' (腐った卵の臭いは吐き気を催させた) のように使います。原因と結果を明確に示したい場合に適した表現で、医学的な文脈や、原因を特定して伝えたい場合に特に有効です。
吐き気と闘う、吐き気を抑える
※ 'combat' は、闘争や戦闘を意味する言葉ですが、ここでは比喩的に、不快な症状や問題と闘うことを表します。 'combat nausea' は、吐き気を抑えようと努力することを意味し、薬を服用したり、深呼吸をしたり、特定の食べ物を避けたりするなどの具体的な対策を講じる場合に使われます。医療関係者や、健康に関する記事などでよく使われる表現です。
持続的な吐き気、なかなか治まらない吐き気
※ 'persistent' は、何かが長く続く、あるいは何度も繰り返されることを意味します。 'persistent nausea' は、一時的なものではなく、数時間、数日、あるいはそれ以上続く吐き気を指します。原因を特定するために医師の診察が必要となる場合や、慢性的な疾患の症状として現れる場合などに使われます。医療の現場でよく用いられる表現です。
吐き気が治まる、和らぐ
※ 'subside' は、何かが徐々に減少したり、弱まったりすることを意味します。 'nausea subsides' は、吐き気が徐々に弱まり、最終的には消えることを表します。乗り物酔いや二日酔いなど、一時的な原因による吐き気が治まる過程を表現するのに適しています。例えば、'After taking the medicine, the nausea gradually subsided' (薬を飲んだ後、吐き気は徐々に治まった) のように使います。
使用シーン
医学、生物学、心理学などの分野の論文や教科書で、症状や副作用、心理的な嫌悪感を説明する際に使われます。例えば、臨床試験の結果を報告する論文で「被験者の〇〇%に吐き気(nausea)の症状が見られた」と記述したり、心理学の講義で「嫌悪感(disgust)は吐き気(nausea)と関連する情動である」と説明したりする場面が考えられます。フォーマルな文体で、客観的な事実を伝えるために用いられます。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、製品の副作用やリスク、あるいは顧客からの苦情を報告する際に使われることがあります。例えば、製薬会社が新薬の臨床試験結果を報告する際に「一部の被験者に吐き気(nausea)が報告された」と記載したり、食品会社が顧客からの苦情を受けて「製品の異臭により吐き気(nausea)を催したという報告があった」と社内報告する際に使用したりします。フォーマルな文体で、責任ある情報伝達のために用いられます。
日常会話ではあまり頻繁には使いませんが、体調不良や乗り物酔いなど、具体的な状況を説明する際に使われることがあります。例えば、「船に乗ったら、ひどい吐き気(nausea)がした」とか、「この匂いを嗅ぐと、吐き気(nausea)がする」のように、個人的な経験を伝える際に使われます。ただし、より口語的な表現(sick to my stomach, feel queasyなど)が好まれる傾向があります。
関連語
類義語
一般的に病気や体調不良を指す言葉で、具体的な病名が不明な場合や漠然とした不調を表す際に用いられます。日常会話で頻繁に使用されます。 【ニュアンスの違い】"Nausea"は吐き気を伴う不快感に特化していますが、"sickness"はより広範な体調不良を意味します。例えば、"morning sickness"(つわり)のように、特定の状態を表す場合にも使われます。 【混同しやすい点】"Sickness"は名詞であり、"sick"(形容詞)と混同しやすい点に注意が必要です。また、"nausea"が特定の症状を指すのに対し、"sickness"はより一般的な状態を表します。
- queasiness
吐き気を催すような、むかむかする感覚を表す言葉です。比較的口語的で、日常会話でよく用いられます。一時的な不快感を表現する際に適しています。 【ニュアンスの違い】"Nausea"よりも軽い、初期段階の吐き気を表すことが多いです。また、心理的な要因による不快感にも使われることがあります。例えば、怖い映画を見た後のむかつきなどを表現できます。 【混同しやすい点】"Queasiness"は"nausea"ほど深刻な状態を示唆しないため、深刻な体調不良を表現する際には注意が必要です。また、フォーマルな場面では"nausea"の方が適切です。
- retching
吐こうとする動作、つまりえずくことを指します。実際に嘔吐を伴わない場合もあります。医学的な文脈や、体調不良を詳細に描写する際に用いられます。 【ニュアンスの違い】"Nausea"が吐き気の感覚であるのに対し、"retching"は具体的な身体的動作を指します。"Nausea"は"retching"を引き起こす可能性がありますが、常にそうとは限りません。 【混同しやすい点】"Retching"は動詞(えずく)としても名詞(えずき)としても使用されます。"Nausea"は名詞であるため、文法的な使い分けに注意が必要です。
- indigestion
消化不良を意味し、胃もたれや胸焼けなどの症状を伴います。食後に不快感がある場合によく用いられます。医学的な文脈や、食事に関する話題で使われます。 【ニュアンスの違い】"Nausea"は吐き気を指しますが、"indigestion"は消化器系の不調全般を指します。"Indigestion"が"nausea"を引き起こすこともありますが、原因と結果の関係にあります。 【混同しやすい点】"Indigestion"は消化不良そのものを指し、"nausea"は消化不良の結果として起こる吐き気の感覚を指します。症状の原因と結果を区別して使用する必要があります。
- seasickness
船酔いを意味し、船の揺れによって引き起こされる吐き気やめまいなどの症状を指します。旅行や船旅に関する話題で用いられます。 【ニュアンスの違い】"Nausea"は一般的な吐き気を指しますが、"seasickness"は特定の原因(船の揺れ)によって引き起こされる吐き気に限定されます。原因が明確な場合に用いられます。 【混同しやすい点】"Seasickness"は特定の状況下での"nausea"の一種であるため、原因が船の揺れではない場合は"nausea"を使用します。また、"carsickness"(車酔い)など、同様の構造を持つ言葉があります。
形容詞で、吐き気がする、むかむかするといった状態を表します。"I feel queasy."(むかむかする)のように、自分の体調を述べる際によく使われます。日常会話で頻繁に使用されます。 【ニュアンスの違い】"Nausea"は名詞で吐き気そのものを指しますが、"queasy"は形容詞で、吐き気がする状態を表します。"Queasy"は"nausea"よりもカジュアルな表現です。 【混同しやすい点】"Nausea"は名詞、"queasy"は形容詞であるため、文法的な使い分けが必要です。例えば、「吐き気がする」と言いたい場合は、"I feel nausea."ではなく、"I feel queasy."と言う必要があります。
派生語
- nauseate
『吐き気を催させる』という動詞。元々は『船酔いさせる』という意味合いが強く、そこから広義に『嫌悪感を抱かせる』という意味でも使われる。日常会話よりも、ややフォーマルな文脈や文学作品で用いられることが多い。例えば、『その光景は私をnauseatedさせた』のように使われる。
- nauseating
『吐き気を催させるような』という意味の形容詞。動詞『nauseate』に現在分詞の語尾『-ing』が付いた形。単に『気持ち悪い』だけでなく、『非常に不快で嫌悪感を抱かせる』ニュアンスを含む。例えば、『nauseating smell(吐き気を催す臭い)』のように用いられる。日常会話でも使われるが、感情を強調する際に特に有効。
『吐き気がする』という意味の形容詞。ただし、一部のネイティブスピーカーは『nauseating』の意味で使うこともあるため、注意が必要。自分の状態を表す場合は『I feel nauseous』のように使うのが一般的。医療系の記事や論文でも見られる。
反意語
- relish
『大いに楽しむ』『味わう』という意味の動詞。『nausea(吐き気)』が不快感を伴うのに対し、『relish』は喜びや満足感を伴う。例えば、『relish the moment(その瞬間を大いに楽しむ)』のように使う。日常会話から文学作品まで幅広く用いられる。
『食欲』という意味の名詞。『nausea』が食欲を減退させる状態を表すのに対し、『appetite』は食欲がある状態を表す。比喩的に『〜への欲求』という意味でも使われる。医学論文や日常会話など、様々な文脈で用いられる。
『快適さ』『安らぎ』という意味の名詞。『nausea』が不快感や苦痛を伴うのに対し、『comfort』は心地よさや安心感を意味する。物理的な快適さだけでなく、精神的な安らぎを表す場合もある。日常会話や文学作品で頻繁に使用される。
語源
"nausea(吐き気)"は、ラテン語の"nausea"(船酔い)に由来します。さらに遡ると、ギリシャ語の"naus"(船)から来ています。船に乗ると揺れで気分が悪くなる、つまり「船=吐き気」という連想から生まれた言葉です。日本語でも、「船酔い」という言葉があるように、船旅と体調不良は古くから結び付けられていたことがわかります。現代英語では、船酔いに限らず、広く「吐き気」全般を意味するようになりました。乗り物酔いをしやすい人が、移動中に「I feel nausea.(吐き気がする)」と言うように使われます。
暗記法
「nausea」は単なる吐き気ではない。サルトルの『嘔吐』では、世界の不条理に対する根源的な感情として描かれ、存在の不安や疎外感の表れとして哲学的な意味を持つ。政治的には、不正や腐敗への嫌悪感、社会的不平等への憤りを示す。情報過多な現代社会において、人間の根源的な不安や不満が「nausea」を引き起こす。この言葉は、人間の存在を問いかける文化的な意味を持つ。
混同しやすい単語
『nausea』とスペルが似ており、どちらも形容詞であるため混同しやすい。『noxious』は『有害な、不快な』という意味で、発音も異なります。特に、語尾の '-ious' の発音に注意が必要です。接尾辞 '-ious' は形容詞を作るもので、発音も 'アス' に近くなります。
『nausea』の形容詞形として使われることもありますが、『吐き気を催させる』という意味合いが強く、『吐き気がする』という意味で使う場合は誤り。本来、『nauseated』(吐き気がする)を使うべきです。この混同はネイティブスピーカーの間でもよく見られますが、正確な使い分けを意識しましょう。
スペルの中に共通する 'n' と 's' が含まれているため、視覚的に混同しやすい。『census』は『国勢調査』という意味で、名詞です。発音も大きく異なるため、文脈で判断することが重要です。語源的には、ラテン語の『censere』(評価する、査定する)に由来します。
発音が似ており、どちらもネガティブなニュアンスを持つ単語であるため、意味を取り違えやすい。『nosy』は『詮索好きな、おせっかいな』という意味の形容詞です。特に、会話の中では発音の違いを意識する必要があります。
発音の最初の音が似ており、どちらも日常会話でよく使われる単語であるため、聞き間違えやすい。『nice』は『良い、親切な』という意味の形容詞です。文脈から判断することが重要ですが、特に発音に注意して区別しましょう。
『nausea』と『anxious』はどちらも不安や不快感を表す単語ですが、意味が異なります。『anxious』は『心配な、不安な』という意味の形容詞で、精神的な状態を表します。スペルも似ていますが、発音が大きく異なるため、注意が必要です。 'anx-' の部分は「アンク」に近い発音になります。
誤用例
日本語の『〜に吐き気を感じる』という表現を直訳すると、つい『nausea to』としてしまいがちですが、nauseaは不可算名詞であり、『吐き気』という状態そのものを指します。そのため、『have nausea』は文法的には正しいものの、具体的な原因を伴う場合に不自然に聞こえます。より自然な英語では、形容詞の『nauseous』を使い、『feel nauseous』と表現するか、動詞『nauseate』を使って『Seafood nauseates me』のように表現します。これは、日本語の『〜に』という助詞が、英語の前置詞『to』に安易に対応づけられてしまう典型的な例です。英語では、状態を表す名詞を使う場合、原因や状況を明確にするために、より具体的な動詞や形容詞を用いることが好まれます。
『nausea』は、医学的な吐き気や強い不快感を指す言葉であり、政治的な議論などに対する嫌悪感を表すには、少し大げさな印象を与えます。日本語の『うんざりする』『吐き気がするほど嫌だ』という感情を表現したい場合でも、英語では『sick』(体調が悪い)のような、より一般的な言葉を使う方が適切です。特に、感情的な嫌悪感を伝える場合は、より口語的な表現である『made me feel sick』や『disgusted』などが適しています。これは、英語では感情表現において、医学的な用語よりも日常的な言葉を好む傾向があるためです。また、『nausea』はフォーマルな場面や医学的な文脈で使われることが多く、日常会話では避ける傾向があります。
『nausea』は、あくまで生理的な吐き気を意味する言葉であり、嫌悪感や反感を伴う状況描写には不適切です。この文脈では、『revulsion』(強い嫌悪感)を用いるのが適切です。日本人が『nausea』を誤用する背景には、日本語の『吐き気がする』という表現が、生理的な感覚だけでなく、強い嫌悪感を表す比喩表現としても使われることが影響していると考えられます。英語では、生理的な感覚と感情的な嫌悪感を明確に区別するため、それぞれの意味に合った語彙を選択する必要があります。また、英語の学習者は、日本語の比喩表現をそのまま英語に翻訳しようとする傾向がありますが、文化的な背景や言語的なニュアンスの違いを考慮し、より適切な英語表現を選ぶことが重要です。
文化的背景
「nausea(吐き気)」は、単なる生理的な不快感を超え、道徳的、精神的な不快感や嫌悪感の象徴として、文学や哲学において重要な役割を果たしてきました。特に実存主義文学においては、世界の不条理さや人間の存在の曖昧さに対する根源的な感情として描かれ、読者の心に深く突き刺さる感情を表現する言葉として用いられます。
フランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルの代表作『嘔吐(La Nausée)』は、「nausea」という言葉を哲学的な概念へと昇華させた最も有名な例でしょう。主人公ロカンタンは、ある日突然、日常の中に潜む世界の不条理や無意味さを強烈に意識し始め、それが耐え難い吐き気として現れます。この吐き気は、単なる体調不良ではなく、存在の根源的な不安や疎外感の表れであり、合理的な説明を超えた、言葉にできない感情なのです。サルトルは、この「吐き気」を通して、人間の自由と責任の重さ、そして不条理な世界で生きる人間の苦悩を描き出しました。
「nausea」は、政治的な文脈においても、不正や腐敗に対する嫌悪感、社会的な不平等に対する憤りを表現するために用いられます。例えば、ある政治家の汚職事件が発覚した際、「国民は吐き気を催した」という表現は、単なる不快感だけでなく、その行為に対する道徳的な嫌悪感や怒りを強く示唆します。また、社会運動においては、抑圧的な体制や不公正な政策に対する抵抗の感情を、「nausea」という言葉を通して共有し、団結を促すことがあります。このように、「nausea」は、個人の内面的な感情だけでなく、社会的な批判や抵抗の象徴としても機能するのです。
現代社会においては、情報過多やストレス、環境汚染など、さまざまな要因が「nausea」を引き起こす可能性があります。しかし、その根本には、人間が抱える根源的な不安や不満、そして世界の不条理に対する意識が潜んでいるのかもしれません。「nausea」という言葉は、単なる医学的な用語ではなく、人間の存在そのものを問いかける、深く文化的な意味を持つ言葉として、私たちの心に響き続けるでしょう。
試験傾向
準1級、1級の語彙問題で出題される可能性があり。長文読解で間接的に意味を問われることも。医療や健康に関するテーマで登場しやすい。類義語(sickness, queasiness)との区別が重要。
TOEICでは、Part 5(短文穴埋め)やPart 7(長文読解)で出題される可能性は低い。健康に関する記事や広告でまれに見られる程度。ビジネスの場面ではあまり使われないため、優先度は低い。
アカデミックな長文読解で出題される可能性がある。医学、生物学、心理学などの分野で、症状や副作用を説明する文脈で登場することが考えられる。類義語とのニュアンスの違いを理解しておくことが重要。
難関大学の長文読解で出題される可能性がある。医学部や薬学部など、医療系の学部を目指す場合は特に注意が必要。文脈から意味を推測する問題や、同意語を選ぶ問題として出題されることが多い。