nice
二重母音 /aɪ/ は「ア」と「イ」を滑らかにつなげた音で、日本語の「アイ」よりも口を大きく開けて「ア」を意識するのがコツです。語尾の /s/ は、日本語の「ス」のように母音を伴わず、息だけで出す音。舌先を上前歯の裏に近づけて、隙間から息を漏らすように発音します。
感じが良い
人柄や態度、雰囲気など、相手に好印象を与える様子。親切、丁寧、礼儀正しいといった意味合いを含む。また、物事に対しても、心地よい、快適、美しいなどの肯定的な感情を抱く際に用いられる。
The old woman was very nice to me. She gave me a warm smile.
そのおばあさんは私にとても親切でした。温かい笑顔をくれました。
※ 見知らぬおばあさんが、あなたに親切にしてくれた、そんな温かい場面が目に浮かびますね。「nice」は、人の性格や行動が「親切で優しい」「感じが良い」と感じるときによく使われます。特に「be nice to 人」で「〜に親切にする」という形で非常によく使われる表現です。困っている時に助けてくれたり、笑顔で接してくれたりする人に対して「She is very nice.」のように使えます。
It was a nice sunny day, so we went to the park.
素敵な晴れの日だったので、私たちは公園に行きました。
※ 青空が広がり、太陽が心地よく照らす、そんな気持ちの良い一日が目に浮かびます。「nice」は天気や場所、雰囲気など、快適で心地よい状況を表すときにも使われます。「It's a nice day.」は「良い日ですね」という意味で、日常会話で頻繁に使われるフレーズです。この例文のように、天気が良いから何か行動しよう、という文脈でよく使われます。
We had a nice dinner at the new restaurant. The food was delicious.
新しいレストランで素敵な夕食をとりました。食べ物も美味しかったです。
※ 美味しい料理を囲んで、楽しい時間を過ごしている様子が伝わってきますね。「nice」は、食事や旅行、会話、イベントなど、全体的に「楽しかった」「満足した」「心地よかった」という経験を振り返るときにも使われます。「have a nice time」「have a nice dinner」のように、「良い時間を過ごす」「良い食事をする」という形で非常によく使われる表現です。思い出に残るような良い体験だったときに使ってみましょう。
素晴らしい
計画、状況、出来事などが好ましく、満足できる状態を表す。期待通り、あるいは期待以上の結果が得られた場合に用いられ、肯定的な評価を示す。
A kind stranger gave me clear directions, which was really nice of him.
親切な見知らぬ人が、はっきりとした道を教えてくれました。それは本当に親切なことでした。
※ 道に迷って困っている時、親切な人が助けてくれた瞬間の情景です。「nice」は、人の行動や性格が「親切で素晴らしい」と感じた時に使われます。「nice of someone」は「〜が親切だ」という意味で非常によく使われる表現です。感謝の気持ちが伝わりますね。
The new cafe has a very nice atmosphere with soft music playing.
新しいカフェは、優しい音楽が流れていて、とても素敵な雰囲気です。
※ 新しくオープンしたカフェに入った時の、心地よい居心地の良さを感じている情景です。「nice」は、場所や物の「雰囲気」や「見た目」が「心地よい、素敵だ」と感じる時にも使えます。五感で感じる「良い感じ」を表現するのにぴったりです。
We had a nice time at the park, enjoying the warm sunshine together.
私たちは公園で、暖かい日差しを一緒に楽しんで、楽しい時間を過ごしました。
※ 休日、家族や友人と公園で過ごした、穏やかで楽しい午後の情景です。「nice time」は「楽しい時間」という意味で、経験や出来事が「楽しかった、心地よかった」と伝える際によく使われる決まり文句です。日常会話で頻繁に登場するので、ぜひ使ってみてください。
コロケーション
ちょっとした心遣い、気の利いた工夫
※ 「nice touch」は、予想外の配慮や、全体をより良くする小さな工夫を指します。例えば、レストランで食後に無料のデザートが出されたり、ホテルの部屋にウェルカムフルーツが用意されていたりする場合に使われます。単に「良い」だけでなく、相手を喜ばせようとする意図やセンスが感じられる点がポイントです。ビジネスシーンでも、プレゼンテーションにユーモアを交えたり、会議室にお菓子を用意したりするなどの場面で使えます。 'That's a nice touch!' のように感嘆詞的に使うこともできます。
(形容詞を強調して)とても〜、〜で気持ちが良い
※ "nice and" は、形容詞を強調する口語的な表現です。例えば、"nice and warm" は「とても暖かい」、"nice and clean" は「とても綺麗」という意味になります。この表現は、快適さや満足感を伝える際に特に有効です。例えば、寒い日に暖かい部屋に入ったときに "It's nice and warm in here!" と言ったり、掃除が終わった部屋を見て "The house is nice and clean now." と言ったりします。フォーマルな場面では避けるべきですが、日常会話では頻繁に使われます。
〜に優しくする、〜に親切にする
※ "be nice to someone" は、誰かに対して親切な態度をとることを意味します。単に礼儀正しいだけでなく、思いやりや共感を示すニュアンスが含まれます。子供に対して「人に優しくしなさい」と教える際や、同僚や顧客との良好な関係を築くために心がけるべき行動として使われます。"Try to be nice to your brother."(弟に優しくしてあげて)や、"It's important to be nice to everyone you meet."(出会う人すべてに優しくすることが大切です)のように使われます。
仲良くする、協調性を持つ
※ "play nice" は、特に子供に対して、喧嘩せずに仲良く遊ぶように促す表現です。比喩的に、大人に対しても、対立せずに協力して物事を進めるように求める場面で使われます。例えば、ビジネスの交渉で、相手と友好的な関係を保ちながら合意を目指す際に "We need to play nice to get this deal done."(この取引を成功させるには、友好的に協力する必要がある)のように使われます。皮肉を込めて、相手に協調性を欠いていることを指摘する際にも使われることがあります。
善戦、頑張ったね(結果は伴わなくても努力を評価する)
※ "a nice try" は、努力や試みを評価する際に使われる表現です。結果が成功しなかったとしても、その過程での頑張りや努力を認め、励ます意味合いが含まれます。スポーツの試合で負けたチームに対して "That was a nice try!" と言ったり、難しい問題に挑戦した人に対して "Well, it was a nice try." と言ったりします。皮肉として使われる場合もありますが、基本的には相手を励ますニュアンスで使用されます。
それは良くない、それはひどい
※ "That's not nice" は、相手の言動が不適切である、または意地悪であることを指摘する際に使われる表現です。特に子供に対して、相手を傷つけるような言動を戒める際に使われます。例えば、友達をからかった子供に対して "That's not nice! You shouldn't say things like that."(それは良くないよ!そんなこと言うべきじゃない)のように使われます。大人に対しても、相手の行動を婉曲的に非難する際に使用できます。
使用シーン
学術論文では、より専門的な語彙が好まれるため、「nice」はあまり使用されません。ただし、心理学や社会学の研究で、インタビュー対象者の印象を記述する際に、「He seemed like a nice person.(彼は感じの良い人のようだった)」のように、間接的な引用として使われることがあります。フォーマルな文体では、より客観的な表現が求められるため、頻度は低いです。
ビジネスシーンでは、相手や状況に応じて使い分けが必要です。社内メールやカジュアルな会議では、「That's a nice idea!(それは良いアイデアですね!)」のように肯定的な評価を伝える際に使えます。顧客への提案書や公式な報告書では、より具体的な表現(例:effective, efficient, valuable)が好まれますが、親しみやすさを演出したい場合には、「It's a nice feature.(それは素晴らしい機能です)」のように使用できます。
日常会話では非常に頻繁に使われます。「Nice to meet you.(はじめまして)」は定番の挨拶ですし、「Have a nice day!(良い一日を!)」は別れ際の挨拶としてよく使われます。また、「That's a nice shirt.(素敵なシャツですね)」のように、相手の持ち物や行動を褒める際にも気軽に使うことができます。友人や家族との会話では、感情を豊かに表現するために欠かせない単語です。
関連語
類義語
『心地よい』『楽しい』という意味で、天気、場所、経験など、感覚的に好ましいものに使われる。日常会話や旅行記などでよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『nice』よりもややフォーマルで、客観的な評価を含むことが多い。主観的な感情よりも、一般的な快適さや満足感を表現する。 【混同しやすい点】『nice』が人に対しても使えるのに対し、『pleasant』は通常、人に対しては使わない。人に対して使う場合は、その人の性格や態度が『pleasant』であることを意味する。
『親切な』『優しい』という意味で、人の性格や行動を評価する際に使われる。日常会話で頻繁に使われ、相手への感謝や好意を示す。 【ニュアンスの違い】『nice』よりも具体的な行動や態度に基づいた評価であり、より深い感情や感謝の念が含まれることが多い。『nice』が表面的な印象を指す場合があるのに対し、『kind』は内面的な優しさを強調する。 【混同しやすい点】『nice』は必ずしも行動を伴わないが、『kind』は具体的な行動や態度を伴うことが多い。例えば、『He is a nice guy』は単に感じが良いという意味だが、『He is a kind man』は困っている人を助けるなど、具体的な親切な行動を連想させる。
『感じの良い』『愛想の良い』という意味で、人や物事が受け入れやすい、または好ましい状態を指す。ビジネスシーンやフォーマルな会話で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『nice』よりもフォーマルで、相手に不快感を与えない、または協力的な態度を示すニュアンスがある。交渉や会議などで、相手の意見や提案に対して肯定的な姿勢を示す際に用いられる。 【混同しやすい点】『agreeable』は、単に『nice』であるだけでなく、合意や同意のニュアンスを含む。『nice』が個人的な感情を表すのに対し、『agreeable』は社会的な状況や関係性における好ましさを表す。
『美しい』『愛らしい』という意味で、視覚的に魅力的で、感情的な喜びや満足感を与えるものに使われる。主にイギリス英語でよく用いられ、日常会話や文学作品などで見られる。 【ニュアンスの違い】『nice』よりも感情的な強さが強く、美しさや愛情を伴う。『nice』が一般的な好ましさを表すのに対し、『lovely』は特別な感情や美的感覚を伴う。 【混同しやすい点】『lovely』は、人に対しても物に対しても使えるが、『nice』は物に対して使う場合、単に『良い』という意味になることが多い。また、『lovely』はイギリス英語でより一般的である。
『楽しい』『愉快な』という意味で、経験や活動が喜びや満足感をもたらすことを指す。日常会話や旅行記などで、特定の経験について語る際に使われる。 【ニュアンスの違い】『nice』が一般的な好ましさを表すのに対し、『enjoyable』は具体的な楽しさや喜びを強調する。また、『enjoyable』は特定の活動や経験に対して使われることが多く、人に対しては通常使われない。 【混同しやすい点】『nice』は人や物事全般に使えるが、『enjoyable』は特定の経験や活動に限定される。『nice day』は天気が良いことを意味するが、『enjoyable day』はその日に何か楽しいことがあったことを意味する。
『優雅な』『親切な』という意味で、特に上位の者や目上の人が示す礼儀正しさや寛大さを指す。フォーマルな場面や文学作品などで用いられる。 【ニュアンスの違い】『nice』よりも格式が高く、相手に対する敬意や感謝の念が込められている。『nice』が一般的な親切さを表すのに対し、『gracious』は特別な配慮や寛容さを示す。 【混同しやすい点】『gracious』は、単に『nice』であるだけでなく、相手に対する敬意や感謝の念が含まれる。『nice』が個人的な感情を表すのに対し、『gracious』は社会的な状況や関係性における礼儀正しさを表す。例えば、女王が国民に示す優しさは『gracious』と表現される。
派生語
- nicety
『細かさ』『正確さ』『上品さ』などを意味する名詞。『nice』が持つ『細かい』『正確な』というニュアンスが発展し、特に『細部にこだわること』『礼儀正しさ』といった意味合いで使用されます。日常会話よりも、ややフォーマルな場面や、ビジネス文書などで見られます。例えば、『niceties of protocol(儀礼の細部)』のように用いられます。
『うまく』『丁寧に』『感じよく』といった意味の副詞。『nice』が持つ『好ましい』『適切な』という意味合いが副詞化したもので、動詞を修飾して、動作の様子を表します。日常会話で頻繁に使われ、『nicely done!(よくやった!)』のように用いられます。
『世間知らずの』『単純な』という意味の形容詞。『nice』の語源であるラテン語の『nescius(知らない)』に由来します。元々は『無邪気な』という意味合いでしたが、現代英語では、経験不足からくる無知や単純さを指すことが多く、批判的なニュアンスを含むことがあります。日常会話や文学作品などで使用されます。
反意語
『不快な』『意地悪な』『ひどい』といった意味の形容詞。『nice』が持つ『快い』『好ましい』といった意味と正反対の性質を表します。日常会話で非常に頻繁に使われ、感情的な反発や嫌悪感を表現する際に用いられます。例えば、『nasty weather(ひどい天気)』のように用いられます。
『ひどい』『恐ろしい』『不快な』という意味の形容詞。『nice』が持つ『素晴らしい』という意味合いとは対照的で、非常に悪い状態や感情を表します。日常会話で広く使われ、『an awful experience(ひどい経験)』のように用いられます。より感情的なニュアンスが強いです。
『恐ろしい』『ひどい』『不快な』という意味の形容詞。『nice』が持つ『素晴らしい』という意味合いとは対照的で、非常に悪い状態や感情を表します。日常会話で広く使われ、『a terrible mistake(ひどい間違い)』のように用いられます。程度が非常に強いニュアンスがあります。
語源
"nice」は、古フランス語の「nice」(無知な、愚かな、単純な、ばかげた)に由来します。さらに遡ると、ラテン語の「nescius」(知らない、無知な)にたどり着きます。この「nescius」は、「ne-」(否定)+「scire」(知る)から成り立っています。つまり、元々は「知らないこと」や「無知」を表していた言葉が、時代を経て意味が変化し、中世英語で「愚かな」「ばかげた」という意味を持つようになりました。その後、皮肉を込めて「おしゃれな」「上品な」という意味合いを持つようになり、さらに肯定的な意味へと変化し、「感じが良い」「素晴らしい」という意味で使われるようになりました。このように、否定的な意味から肯定的な意味へと大きく変化した珍しい例と言えるでしょう。日本語の「やばい」が、本来の意味から良い意味でも使われるようになったのと似た変遷を辿ったと言えるかもしれません。
暗記法
「nice」は元々「愚かな」という意味だった。中世では無知が軽蔑されたからだ。しかし時代は変わり、18世紀には「上品な」という意味に。貴族の洗練さを表す言葉になった。さらに19世紀、産業革命を経て「感じの良い」という意味が加わる。社会の変化が、言葉の意味を変えたのだ。「nice」の変遷は、社会の価値観の移り変わりを映す鏡なのだ。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に語尾の 's' の音が聞こえにくいと混同しやすい。スペルも 'c' と 's' の違いのみ。意味は『姪』であり、親族関係を表す名詞。混同すると意味が全く通じなくなるので注意が必要。また、英語には同音異義語・類似発音語が多いことを意識する。
発音は「ナイツ」と似ており、特にカタカナ英語に慣れていると混同しやすい。スペルも似ているが、'k' がついている点が異なる。『騎士』という意味で、歴史や物語でよく使われる。'k' は発音されないサイレントレターである点も、発音を難しくする要因。
『nice』と『mice』は、どちらも短い母音で終わる単語であり、発音が似ているため混同しやすい。特に、複数形の 's' の音が聞こえにくいと誤解しやすい。意味は『ネズミ(mouseの複数形)』であり、動物を表す名詞。文脈から判断することが重要。また、不規則な複数形である点も注意。
母音と子音の組み合わせが似ており、特に発音記号を意識せずに発音すると混同しやすい。スペルも 'i' と 'oi' の違いのみ。『騒音』という意味で、不快な音を表す名詞。発音記号を確認し、口の形を意識して発音すると区別しやすい。'oi' は二重母音であり、発音が変化することに注意。
末尾の子音が同じ 's' の音で終わるため、発音が似ていて混同しやすい。スペルも 'n' と 'r' の違いのみ。『米』という意味で、食べ物を表す名詞。文脈から判断することが重要。特に、食事に関する話題では『rice』である可能性が高い。
『nice』と非常によく似たスペルですが、一般的な英単語ではありません。地名(ニセコ)や人名として使われることがあります。スペルミスとして『nice』と間違える可能性が高いですが、意味は文脈によって異なります。もし見慣れない単語が出てきた場合は、辞書で確認する習慣をつけることが大切です。
誤用例
日本語の『いい人』を安易に『nice guy』と訳すと、英語では少し違和感が生じます。英語の『nice』は、親切で感じが良いといった表面的な印象を表すことが多いのに対し、『good』は性格や内面的な良さを指します。遅刻癖があるという文脈では、『性格が良い』という意味合いの『good』がより適切です。日本人が『いい人』と言う場合、必ずしも表面的な印象だけでなく、誠実さや信頼性なども含意することが多いため、注意が必要です。背景にある考え方として、英語では表面的な印象と内面的な評価を区別する傾向が日本語よりも強いことが挙げられます。
『nice』は、カジュアルな場面で使われることが多い表現です。プレゼンテーションがうまくいかなかったというフォーマルな状況では、『pleasure』を使った方が、より丁寧で適切な印象を与えます。日本人は、丁寧さを表現するために、つい『nice』を使いがちですが、場面によっては逆効果になることがあります。『nice』は、友人との気軽な会話や、店員への感謝の言葉など、よりカジュアルな場面に適しています。英語では、フォーマルな場面では、より丁寧な表現を選ぶことが重要です。
相手の言葉に対する感謝を述べる際に『nice of you to say』を使うのは間違いではありませんが、謙遜の意を込める場合には『kind of you to say』の方がより適切です。英語の『nice』は、相手の言葉に対する単純な感謝を表すのに対し、『kind』は、相手の思いやりの深さに対する感謝を表します。日本人は、謙遜の美徳を重んじる文化があるため、相手の言葉に対する感謝を述べる際にも、謙遜の意を込めることが多いですが、英語では、謙遜の意を込めたい場合には、『kind』を使う方がより自然です。背景にある考え方として、英語では、感謝の気持ちをストレートに表現することが好まれる傾向がある一方で、謙遜の意を込めたい場合には、より適切な表現を選ぶことが重要です。
文化的背景
「nice」は現代英語では「良い」「親切な」「感じの良い」といった肯定的な意味合いを持つ、非常に汎用性の高い単語です。しかし、その語源を辿ると、驚くべきことに、かつては「愚かな」「無知な」といった否定的な意味合いで使用されていました。この意味の変遷は、中世ヨーロッパ社会における価値観の転換と深く結びついています。
元々、ラテン語の「nescius」(知らない)に由来する「nice」は、中英語の時代には「単純な」「世間知らずの」といった意味で使用されていました。当時の社会では、知識や教養を持つことが重要視され、無知であることは軽蔑の対象でした。そのため、「nice」は必然的にネガティブな意味合いを帯びていたのです。しかし、時代が進むにつれて、社会構造が変化し、人々の価値観も多様化していきます。18世紀頃になると、「nice」は洗練された、上品なという意味合いを持つようになり、貴族階級の優雅さや繊細さを表現する言葉として用いられるようになりました。この変化は、啓蒙思想の普及や市民革命といった社会的な変動と軌を一にしています。
さらに、19世紀に入ると、「nice」はより広い意味を持つようになり、「感じの良い」「親切な」といった現代的な意味合いが加わります。産業革命によって中産階級が台頭し、社会全体がより穏やかで友好的な雰囲気を求めるようになったことが、この変化に影響を与えたと考えられます。現代英語では、「nice」は相手を褒めたり、感謝の気持ちを伝えたりする際に頻繁に使用される、非常にポジティブな言葉として定着しています。しかし、その歴史的な背景を知ることで、「nice」という言葉の奥深さや、社会の変化とともに意味が変遷してきたことを理解することができます。例えば、皮肉を込めて「Oh, that's nice.(それは素晴らしいですね、棒読み)」のように使われることもあり、文脈によっては必ずしも肯定的な意味合いだけではないことを覚えておくと良いでしょう。
このように、「nice」という一見単純な単語も、その背後には複雑な歴史と社会の変化が隠されています。単語の意味を暗記するだけでなく、その文化的背景を知ることで、より深く英語を理解し、豊かなコミュニケーションを築くことができるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解、リスニング
- 頻度と級・パート: 3級以上で出題可能性あり。準1級・2級で語彙問題として比較的頻出。リスニングでは日常会話で使われる。
- 文脈・例題の特徴: 日常会話、手紙、物語など幅広い。形容詞としての基本的な意味合い(良い、親切な)で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な単語だが、意味のバリエーション(例えば「細かい」「正確な」)も押さえておくこと。類義語(kind, pleasant, agreeable)との使い分けも意識。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: 頻出単語。Part 5, 6, 7で幅広く出題される。
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連のメール、レポート、広告などで、形容詞として使われることが多い。丁寧な表現や社交辞令的な意味合いを含む場合がある。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「nice to meet you」のような決まり文句は確実に押さえる。ビジネスシーンでは、よりフォーマルな表現(pleased, delighted)が好まれる場合もある。
- 出題形式: リーディング、リスニング
- 頻度と級・パート: 頻度は中程度。アカデミックな文章や講義で使われる。
- 文脈・例題の特徴: 学術的な文章で、形容詞として使われる場合、好意的な評価や肯定的な意味合いを表す。ただし、日常会話ほど頻繁には使われない。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEFLでは、より専門的な語彙が重視されるため、「nice」そのものが出題の中心になることは少ない。しかし、文章全体の理解を助ける要素として、その意味を把握しておくことは重要。
- 出題形式: 長文読解、英作文
- 頻度と級・パート: 頻出単語。様々な大学の入試で出題される可能性がある。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いテーマの文章で、形容詞として使われることが多い。文脈によって意味合いが異なるため、注意が必要。
- 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な単語だが、文脈における意味を正確に捉えることが重要。また、英作文では、より適切な表現(wonderful, excellent)を使うことも検討する。