nationalist
第一音節に強勢があります。/æ/ は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を少し大きめに開けて発音します。「ショ」は、唇を丸めて突き出すようにして発音するとよりネイティブの発音に近づきます。最後の 't' は、破裂させずに軽く止めるように発音すると、より自然に聞こえます。また、'l' の音は、舌先を上の歯の裏側に軽く当てるように意識しましょう。
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国家主義者
自国を最優先に考え、その利益を強く主張する人。愛国心と結びつきやすいが、排他的な思想を含む場合もある。
He was a strong nationalist who truly believed in his country's bright future.
彼は自国の輝かしい未来を心から信じる、強い国家主義者でした。
※ この文は、ある人物が自国の未来を強く信じ、そのために行動する「国家主義者」であったことを示しています。歴史上の人物や、国を思う気持ちが強い人について話す際によく使われる表現です。「who」は前の名詞(nationalist)がどんな人かを説明する時に使います。
Many people worried that the new leader was a nationalist who would cause trouble.
多くの人々は、新しいリーダーが問題を引き起こすような国家主義者ではないかと心配しました。
※ この文は、新しいリーダーが「国家主義者」であることに対し、人々が懸念を抱いている状況を描写しています。ニュース記事や社会的な議論で、特定の思想が問題を引き起こす可能性について話す時によく見られます。「who would cause trouble」は、その「国家主義者」がどんな行動をするかもしれないかを説明しています。
My grandfather, a proud nationalist, always displayed his country's flag.
私の祖父は誇り高き国家主義者で、いつも自国の旗を飾っていました。
※ この文は、祖父が誇り高い「国家主義者」であり、その信念を行動(国旗を飾る)で示している様子を描いています。身近な人の思想や行動を説明する際に使えます。名詞の後にコンマで区切って別の名詞(a proud nationalist)を置くことで、前の名詞(My grandfather)がどんな人かを説明する「同格」という形です。
国家主義的な
自国の文化や利益を重視する傾向があること。他国に対して優位性を示そうとするニュアンスを含む。
My grandpa becomes very nationalist when he talks about our country's history.
うちのおじいちゃんは、国の歴史について話すとき、とても国家主義的になります。
※ この例文は、身近な人が特定の話題になると、自国を強く愛し、他の国よりも優れていると考えるようになる様子を描写しています。おじいちゃんが熱く語る姿が目に浮かびますね。「nationalist」は、このように人の考え方や態度を表すときによく使われます。
A nationalist group marched loudly through the city with many flags.
ある国家主義的な団体が、たくさんの旗を掲げて市中を大声で行進しました。
※ この文は、特定の思想を持つ集団が、自分たちの主張をアピールするために行進している場面を表しています。旗や大声から、彼らの強い信念が伝わってきます。「nationalist group(国家主義的な団体)」のように、集団や組織を形容する形で使われる典型的な例です。
The old government made some nationalist policies to protect their own industries.
以前の政府は、自国の産業を守るためにいくつかの国家主義的な政策を作りました。
※ ここでは、過去の政府が自国の利益を最優先するような政策(policies)を制定した状況を描いています。他国との関係よりも自国の経済や産業を強くすることに重点を置く姿勢がうかがえます。「nationalist policies(国家主義的な政策)」のように、政策や法律といった抽象的なものを形容する際にもよく使われます。
コロケーション
熱烈なナショナリスト
※ 「ardent」は『情熱的な』『熱心な』という意味で、強い信念を持って自国を愛する人を指します。単に「nationalist」と言うよりも、その度合いを強調する際に使われます。政治的な議論や報道でよく見られ、必ずしも肯定的な意味合いだけでなく、批判的なニュアンスを含むこともあります。例えば、『彼は熱烈なナショナリストであり、排他的な政策を支持している』のように使われます。
断固たるナショナリスト、筋金入りのナショナリスト
※ 「staunch」は『揺るぎない』『忠実な』という意味で、信念を曲げないナショナリストを指します。この表現は、その人物の信念の強さや一貫性を強調する際に用いられます。例えば、『彼は筋金入りのナショナリストとして知られ、長年にわたり自国の文化を守る運動を続けている』のように使われます。ややフォーマルな表現で、報道や歴史的な文脈でよく見られます。
ナショナリズムの熱狂、愛国心の高まり
※ 「fervor」は『熱意』『熱情』という意味で、ナショナリズムが高揚した状態を表します。多くの場合、特定の出来事(戦争、オリンピックなど)をきっかけに国民の愛国心が高まる状況を指します。『オリンピックでの勝利は、国民のナショナリズムの熱狂を呼び起こした』のように使われます。この表現は、感情的な高ぶりを伴うナショナリズムを指すため、文脈によっては警戒感や批判的なニュアンスを含むこともあります。
ナショナリズムのレトリック、愛国主義的な修辞
※ 「rhetoric」は『修辞』『美辞麗句』という意味で、聴衆を説得するために意図的に用いられる言葉遣いを指します。ナショナリズムを煽るような政治家の演説やプロパガンダなどを指すことが多いです。『政府はナショナリズムのレトリックを用いて、国民の支持を得ようとしている』のように使われます。多くの場合、批判的なニュアンスを含み、言葉による扇動や欺瞞を暗示します。
ナショナリストの政治目標、愛国主義的な政策課題
※ 「agenda」は『課題』『議題』という意味で、ナショナリストが実現しようとしている政治的な目標や政策を指します。多くの場合、特定の政治団体や政党が掲げる政策目標を指します。『その政党は、ナショナリストのアジェンダを掲げて支持を拡大している』のように使われます。文脈によっては、排他的な政策や外国人排斥運動など、批判的な意味合いを含むこともあります。
ナショナリズム感情に訴えかける
※ 「appeal to」は『〜に訴える』という意味で、人々の愛国心や自国への誇りといった感情に働きかけることを指します。政治家が支持を得るため、または特定の政策を推進するために、意図的に国民のナショナリズム感情を利用する状況を表します。『政治家は、ナショナリスト感情に訴えかける演説を行い、支持者の熱狂的な支持を得た』のように使われます。多くの場合、操作的な意図や扇動的な側面を暗示する、批判的なニュアンスを含みます。
超国家主義者
※ 「ultra-」は「〜を超えた」「過激な」という意味で、通常のナショナリストよりもさらに過激な思想を持つ人を指します。排他的な思想や外国人嫌悪、好戦的な傾向を持つことが多く、否定的な意味合いで使われることがほとんどです。『彼は超国家主義者であり、自国以外の人々を軽蔑している』のように使われます。報道や学術的な文脈でよく見られます。
使用シーン
政治学、歴史学、社会学などの分野で、特定の政治思想や運動を分析する際に使用されます。例えば、「近現代史におけるナショナリズムの変遷」といった研究テーマで論文や書籍に登場したり、国際関係論の講義で「排他的なナショナリズムが国際紛争の要因となる」といった議論の中で使われたりします。
国際ビジネスや海外市場に関するレポート、または企業の社会貢献活動(CSR)に関する報告書などで使用されることがあります。例えば、「新興国におけるナショナリズムの高まりが事業展開に影響を与える可能性がある」といったリスク分析や、「自社のグローバル戦略がナショナリスティックな感情を刺激しないように配慮する」といった文脈で用いられます。ただし、直接的なビジネス会話で使われることは比較的少ないです。
ニュースやドキュメンタリー番組などで、政治的な出来事や社会問題について議論する際に使われることがあります。例えば、「ある国の政治指導者がナショナリスティックな発言をした」という報道や、「移民問題におけるナショナリズムの役割」といったテーマの討論番組などで耳にする程度です。日常会話で頻繁に使われる言葉ではありませんが、社会情勢に関心を持つ上で理解しておくべき単語です。
関連語
類義語
愛国者。自国を愛し、その繁栄や安全を願う人を指します。政治的な立場に関わらず、広く使われる言葉です。日常会話、ニュース記事、歴史的な文脈など、様々な場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】一般的に「patriot」は、自国への愛情や忠誠心を肯定的に表現する言葉です。「nationalist」よりも穏健で、排他的なニュアンスは薄いです。愛国心の表現方法や対象が異なる場合があります。 【混同しやすい点】「patriot」は愛国心を抱く個人を指すのに対し、「nationalist」は国家主義を信奉する人を指し、政治的なイデオロギーと結びつきやすいという違いがあります。文脈によっては「nationalist」が批判的な意味合いを持つことがあります。
- chauvinist
自国や自民族を過剰に優越視し、他国や他民族を蔑む人。排他的な愛国者。多くの場合、否定的な意味合いで使用されます。政治的な議論や社会批判の文脈でよく見られます。 【ニュアンスの違い】「chauvinist」は「nationalist」よりも強い排他的感情や優越意識を表します。自国至上主義的で、他国や他民族を軽視・差別する傾向があります。性差別的な意味合いで使用されることもあります。 【混同しやすい点】「nationalist」が必ずしも他国を蔑むとは限らないのに対し、「chauvinist」は必ず他国を蔑むという点が異なります。また、「chauvinist」は愛国心というよりも、優越意識や差別意識が強いという点も重要です。
- jingoist
好戦的な愛国者。自国の利益のためには戦争も辞さないと考える人。しばしば軽蔑的な意味合いで使用されます。政治的な論争や国際関係に関する議論で用いられます。 【ニュアンスの違い】「jingoist」は「nationalist」よりも好戦的で攻撃的なニュアンスが強いです。自国の優位性を誇示し、他国に対して強硬な姿勢を取ることを支持します。外交政策や軍事行動に関する議論でよく用いられます。 【混同しやすい点】「nationalist」が必ずしも戦争を支持するとは限らないのに対し、「jingoist」は積極的に戦争を支持する傾向がある点が異なります。また、「jingoist」は、他国を脅威とみなし、敵対的な態度を取ることが多いです。
- ultranationalist
極端な国家主義者。自国を絶対視し、他国や国際協調を軽視する人。排他的で強硬な政策を支持することが多いです。政治学や歴史学の研究でよく用いられます。 【ニュアンスの違い】「ultranationalist」は「nationalist」よりも過激で排他的な思想を持つ人を指します。自国の利益を最優先し、国際法や人権などを軽視する傾向があります。歴史的な文脈では、ファシズムやナチズムなどの思想と関連付けられることがあります。 【混同しやすい点】「nationalist」が自国の文化や伝統を尊重するのに対し、「ultranationalist」は自国を神聖化し、他国を敵視する傾向がある点が異なります。また、「ultranationalist」は、少数民族や移民に対する差別を正当化することがあります。
- national socialist
国家社会主義者。ナチズムの信奉者を指すことが多い。人種差別や全体主義的な思想を特徴とします。歴史学や政治学の研究で用いられます。 【ニュアンスの違い】「nationalist」は単に国家を重視する思想を指すのに対し、「national socialist」は、人種差別や全体主義的な思想を含む特定の政治イデオロギーを指します。非常に強い否定的な意味合いを持ちます。 【混同しやすい点】「nationalist」は必ずしも人種差別や全体主義を伴うとは限らないのに対し、「national socialist」はそれらを本質的な要素として含んでいる点が異なります。「national socialist」という言葉は、ナチス・ドイツの歴史的背景から、非常に強い警戒感と嫌悪感を伴います。
- statist
国家主義者、国家統制主義者。国家の役割を重視し、経済や社会に対する国家の介入を支持する人。政治学や経済学の分野で用いられます。 【ニュアンスの違い】「nationalist」は国家への愛着や忠誠心を強調するのに対し、「statist」は国家の権力や統制力を重視する点が異なります。必ずしも愛国心と結びついているとは限りません。経済政策や社会福祉に関する議論でよく用いられます。 【混同しやすい点】「nationalist」が文化や伝統を重視するのに対し、「statist」は国家の効率性や統制力を重視する傾向がある点が異なります。また、「statist」は、個人の自由よりも国家の利益を優先することがあります。
派生語
『国民』『国家』を意味する名詞。ラテン語の『natus(生まれた)』に由来し、共通の起源・文化・アイデンティティを持つ人々の集団を表す。日常会話から学術論文まで幅広く使用される。国家主義(nationalism)の基盤となる概念。
『国家主義』を意味する名詞。『nation』に『-ism(主義)』が付加され、国家の利益や統一を重視する思想・運動を表す。政治学や歴史学で頻繁に用いられ、肯定的な意味でも否定的な意味でも使用される。nationalistの思想的背景。
『国有化する』という意味の動詞。『nation』に『-ize(〜化する)』が付加され、私有財産や企業を国家の所有下に置く行為を指す。経済学や政治学の文脈でよく用いられ、社会主義的な政策と関連付けられることが多い。
『国籍』を意味する名詞。『nation』に『-ality(〜性)』が付加され、個人が所属する国家を示す。法律や国際関係の文脈で頻繁に用いられる。nationalistの議論において、誰を国民とみなすかは重要な論点となる。
反意語
- internationalist
『国際主義者』を意味する名詞。『nationalist』の対義語として、国家間の協力や相互理解を重視する立場を表す。『nationalist』が自国中心の視点を持つ一方、『internationalist』はグローバルな視点を持つ。政治学や国際関係論で頻繁に用いられる。
『コスモポリタン』『世界市民』を意味する名詞または形容詞。特定の国家への帰属意識よりも、人類全体の一員としての意識を持つ人を指す。『nationalist』が国家への忠誠を重んじるのに対し、『cosmopolitan』は普遍的な価値観を重視する。文化人類学や社会学で用いられる。
- globalist
『グローバリスト』を意味する名詞。国家の枠を超えたグローバルな視点から経済・政治・文化の統合を進める立場を指す。nationalistの対義語としてよく用いられるが、陰謀論的な文脈で使用される場合もあるため注意が必要。
語源
"nationalist"は、「国家主義者」または「国家主義的な」という意味を持つ単語です。この単語は、まず「nation(国家)」という語に由来します。「nation」はラテン語の「natio(出生、民族)」に遡り、さらに「nasci(生まれる)」という動詞から派生しています。つまり、元々は「同じ場所で生まれた人々」というニュアンスがありました。この「nation」に、「〜主義者、〜的な」という意味を表す接尾辞「-ist」が付加されることで、「nationalist」が形成されました。したがって、「nationalist」は、国家や民族を重視し、その利益や団結を最優先に考える人を指す言葉として、その語源から自然に意味が発展してきたと言えます。例えば、「愛国主義者」や「民族主義者」といった言葉も、同様の構造を持っています。
暗記法
「ナショナリスト」は愛国者と訳すには重すぎる言葉。19世紀、統一を求める人々の希望の光だったナショナリズムは、20世紀には排他的な国家主義へと変貌し、世界大戦の引き金に。現代でも、自国文化を誇る感情と、排他的な思想の間で揺れ動きます。グローバル化の中で、国家の壁を守ろうとする姿勢は、時に批判の的に。愛国心は自然だが、排他性への自省を忘れずに。民族の誇りと悲劇の歴史、二つの顔を持つ言葉なのです。
混同しやすい単語
『nationalist』とスペルが非常に似ており、意味も関連するため混同しやすい。しかし、『national』は形容詞で『国家の』『国民の』という意味であり、『nationalist』は名詞で『国家主義者』を指す。品詞が異なるため、文脈で判断する必要がある。語尾の '-ist' は『~主義者』を表す接尾辞であり、これを知っておくと区別しやすい。
語尾が '-ist' で共通しており、スペルも似ているため混同しやすい。『naturalist』は『博物学者』または『自然主義者』を意味する。発音も似ているため、文脈で判断する必要がある。語源的には、『natural』(自然) に由来する単語である。
『nationalist』の名詞形であり、意味も関連しているため混同しやすい。『nationalism』は『国家主義』を意味する抽象名詞である。品詞が異なる点に注意が必要である。'-ism' は『~主義』を表す接尾辞であり、これを知っておくと区別しやすい。
語尾が '-ist' で共通しており、発音も似ているため混同しやすい。『fatalist』は『運命論者』を意味する。スペルも一部共通するため、注意が必要である。語源的には、『fate』(運命) に由来する単語である。
語尾が '-ist' で共通しており、発音も一部似ているため混同しやすい。『colonist』は『植民者』を意味する。スペルも一部共通するため、注意が必要である。文脈によっては政治的な意味合いを含む場合がある。語源的には、『colony』(植民地) に由来する単語である。
語尾が '-ist' で共通しており、スペルも似ているため混同しやすい。『rationalist』は『合理主義者』を意味する。発音も一部似ているため、注意が必要である。語源的には、『rational』(合理的な) に由来する単語である。
誤用例
『nationalist』は愛国者という意味合いも持ちますが、しばしば排他的なニュアンスを含み、特定の政治的立場を指す言葉として使われます。単に昔を懐かしむ人を指す場合は、より中立的な『nostalgic』を使うのが適切です。日本人が『愛国心』という言葉を良い意味で捉えがちなのに対し、英語の『nationalist』は文脈によっては注意が必要です。日本語の『愛国者』という言葉を安易に英訳すると、意図しない政治的な意味合いを帯びてしまうことがあります。
『nationalist』を安易に肯定的な意味で使うと、議論を打ち切ってしまうような印象を与えかねません。英語では、思想や信条の表明と、その正当性の評価は切り離して考える傾向があります。日本語では、相手の立場を尊重するあまり、意見の相違を曖昧にしてしまうことがありますが、英語では意見の相違を明確にしつつ、相手の立場を尊重する姿勢が求められます。 "so he must be right" のような表現は、議論の余地をなくしてしまうため、避けるべきです。
『rearing its head』は、主にネガティブな事柄が再び現れる際に使われる表現です。必ずしも悪い意味合いを持たない『nationalist movement(ナショナリズム運動)』に対して使うと、不自然に聞こえる場合があります。より中立的な表現として『resurfacing』を使うのが適切です。日本人が「〜が頭をもたげる」という表現を直訳しがちな点と、英語における婉曲表現の使い分けの難しさが原因と考えられます。また、英語では抽象名詞(sentiments)を主語にすることが自然な場合が多く、日本語の直訳的な発想から抜け出す必要があります。
文化的背景
「ナショナリスト(nationalist)」という言葉は、単に「愛国者」と訳されるだけでは捉えきれない、複雑な感情と政治的立場を内包しています。それは、国家への忠誠心と誇りを強調する一方で、時に排他的な思想や他国への敵意と結びつき、歴史の中で様々な顔を見せてきました。
19世紀のヨーロッパにおいて、「ナショナリズム」は、抑圧されていた民族が自らのアイデンティティを確立し、統一国家を築き上げる原動力となりました。例えば、イタリアやドイツの統一運動は、共通の言語や文化を持つ人々が、外国支配からの解放と国民国家の建設を目指した結果です。この時代のナショナリズムは、自由と独立を求める肯定的な意味合いが強く、多くの知識人や芸術家がその理念を支持しました。しかし、20世紀に入ると、ナショナリズムは第一次世界大戦や第二次世界大戦の遠因となり、排他的な国家主義や人種差別と結びついて、悲劇的な結果をもたらしました。ナチス・ドイツの台頭は、ナショナリズムが極端な形をとると、いかに危険なイデオロギーとなりうるかを象徴的に示しています。
現代においても、「ナショナリスト」という言葉は、政治的な文脈によって異なる意味合いを持ちます。ある国では、自国の文化や伝統を守ろうとする人々を指す肯定的な意味合いで使われる一方で、別の国では、移民排斥や少数民族への差別を主張する人々を指す否定的な意味合いで使われることもあります。また、グローバリゼーションが進む現代社会において、ナショナリズムは、国家間の協力や国際的な連帯を阻害する要因として批判されることもあります。例えば、ヨーロッパ連合(EU)のような超国家的な組織に対して、自国の主権を守ることを主張する人々は、ナショナリストと見なされることがあります。
このように、「ナショナリスト」という言葉は、歴史的背景や政治的立場によって、その意味合いが大きく変化します。そのため、この言葉を使う際には、その文脈を十分に理解し、注意深く吟味する必要があります。国家への愛着は自然な感情ですが、それが排他的な思想や他国への敵意に繋がらないように、常に自省的であるべきでしょう。ナショナリズムは、民族の誇りを高める力にもなり得る一方で、悲劇的な歴史を繰り返す危険性も孕んでいることを忘れてはなりません。
試験傾向
準1級・1級の長文読解、語彙問題で出題される可能性あり。政治・社会問題に関する文章で、形容詞'nationalistic'や関連語句とセットで問われることが多い。ライティングで意見論述の際に使用できると高評価につながる。
Part 5, 6, 7 で稀に出題される。政治・経済系のニュース記事や、国際関係に関するビジネス文書で登場する可能性がある。直接的な語彙知識よりも、文脈から意味を推測する力が問われる。
リーディングセクションで出題される可能性あり。政治学、歴史学、社会学などのアカデミックな文章で、国家主義や愛国主義に関連する議論の中で登場する。エッセイで自身の意見を述べる際に使用できる。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。現代文のキーワードと関連付けて出題されることも。文脈理解を問う問題で、筆者の主張を把握する上で重要な単語となる。同意語・反意語(例:globalist)も覚えておくと役立つ。