more
日本語の『モ』よりも口を大きく開け、喉の奥から『オ』の音を出すイメージです。/r/ の音は、舌を口の中で丸めるようにして発音します(舌先はどこにも触れません)。日本語の『ラリルレロ』とは全く異なる音なので注意しましょう。『ア』の音で終わらせるように意識すると、より自然な発音に近づきます。
より多くの
数や量が多いことを示す。比較級として使われ、既存の量に追加されるイメージ。例:more money(より多くのお金)
The little boy happily ate his cake and asked for more cake.
小さな男の子は嬉しそうにケーキを食べ、もっとケーキをちょうだいと言いました。
※ この文は、子供が大好きなお菓子をもっと欲しがる、日常的で可愛らしい場面を描いています。「more cake」は「より多くのケーキ」という意味で、まだ食べ足りない気持ちが伝わってきます。食べ物や飲み物を「もっと欲しい」と伝える際によく使われる、とても自然な表現です。
The exam is tomorrow, and I still need more time to study.
明日が試験だから、まだ勉強する時間がもっと必要だ。
※ 試験が迫っていて、勉強時間が足りないと感じる学生の焦りや切実な気持ちが伝わる場面です。「more time」は「より多くの時間」という意味で、時間が足りないと感じる状況で非常によく使われます。仕事や趣味など、何かに時間が必要な時にも応用できる便利なフレーズです。
The news report was shocking, and people wanted more information.
そのニュース報道は衝撃的で、人々はもっと情報を求めた。
※ 衝撃的な出来事があった際に、人々がその詳細や背景をさらに知りたいと願う、社会的な関心の高まりを描写しています。「more information」は「より多くの情報」という意味で、ニュースや調査、会議などで追加の情報を求める際によく使われる、非常に実用的な表現です。
もっと
程度や頻度が増すことを示す。動詞や形容詞を修飾し、追加的な意味を加える。例:work more(もっと働く)
The little boy happily ate his cake and wanted to eat more.
小さな男の子は嬉しそうにケーキを食べて、もっと食べたがりました。
※ 美味しいものを食べて「もっと食べたい!」と感じる、誰もが経験する場面です。ここでは「more」が「もっと食べる」というように、動詞の「eat」を修飾して「量が増える」ことを表しています。日常会話で「もっと〇〇したい」という気持ちを伝える際によく使われる、とても自然な表現です。
To finish the big project, we need to work more hours this week.
その大きなプロジェクトを終えるために、私たちは今週もっと多くの時間働く必要があります。
※ 仕事や勉強で、目標達成のために「もっと頑張る」必要があると感じる場面です。「work more hours」は直訳すると「より多くの時間働く」ですが、全体で「もっと長く働く」という「働く量が増える」ことを表現しています。ビジネスシーンや、何かを成し遂げようとする時に頻繁に耳にする表現です。
If you want to be a good painter, you should practice drawing more often.
もし良い画家になりたいなら、もっと頻繁に絵を描く練習をすべきです。
※ スキルアップや上達を目指す時に、行動の「頻度を増やす」ことをアドバイスする場面です。「more often」で「もっと頻繁に」という意味になり、練習の回数を増やすことを示しています。このように「more」は、動詞だけでなく、他の副詞を修飾して「程度や頻度が増す」ことを表す際にも使われます。
さらに
既にあるものに加えて、追加の要素や数量があることを示す。例:I want more.(もっと欲しい)
My son quickly finished his juice and asked for more.
息子はジュースをあっという間に飲み干して、もっと欲しがりました。
※ 可愛らしい子どもが、大好きなおかわりをねだる場面です。「もっと(ジュースを)」と言いたいときに、あえて「juice」と言わずに「more」だけで表現する、典型的な使い方です。レストランや家庭で「もう少し何か欲しいですか?」と尋ねる際にも、'Do you want more?' のように使われます。
I still need more time to finish this report perfectly.
このレポートを完璧に仕上げるには、まだもっと時間が必要です。
※ 締め切りが迫る中で、最高の品質を目指して作業を続けるビジネスパーソンの情景です。ここでは、「more」が「もっと多くの時間」を意味しています。このように、時間や努力など、目に見えない量的なものを「もっと」と表現したいときによく使われる表現です。「あと少し時間が欲しい」という気持ちが伝わりますね。
After reading the article, I wanted to learn more about the topic.
その記事を読んだ後、私はその話題についてもっと学びたいと思いました。
※ 興味深い記事に出会い、さらに深く知りたいと知的好奇心が刺激される場面です。「more」が「もっと多くの情報や知識」を指しています。何かについて「もっと知りたい」「もっと情報を得たい」という場合に非常によく使われます。新しいことへの探求心を表す自然な一文です。
コロケーション
たいていの場合、多くは
※ これは「not」という否定語が含まれていますが、全体としては肯定的な意味を持つイディオムです。「頻繁に」という意味合いですが、「always(常に)」ほど強くなく、「sometimes(時々)」よりも高い頻度を示します。日常会話やビジネスシーンで、経験や観察に基づく一般的な傾向を述べる際に便利です。例えば、「More often than not, the train is late.(たいていの場合、電車は遅れる)」のように使います。文頭に置かれることが多いですが、文末に置かれることもあります。
だいたい、ほぼ
※ 「完全に正確ではないが、ほぼ近い」という意味合いを持つ表現です。程度や数量、状態など、様々な事柄に対して使えます。例えば、「The project is more or less finished.(プロジェクトはほぼ完了した)」のように使います。口語的で、フォーマルな場面ではより正確な表現が好ましいですが、日常会話では非常に便利です。数字や見積もりなど、厳密さを求めない状況で使うのが適切です。
もっと重要なことには、要するに
※ 議論や会話の流れの中で、より本質的な話題や重要な点を提示する際に使われる表現です。それまでの話から焦点を移し、最も伝えたい内容に導く役割を果たします。例えば、「We can discuss the details later, but more to the point, do we have the budget?(詳細は後で議論できますが、もっと重要なことには、予算はありますか?)」のように使います。ビジネスシーンや議論の場で、論点を整理し、相手に明確なメッセージを伝えるために役立ちます。
喜んで~する、非常に喜んで
※ 相手の依頼や提案に対して、非常に肯定的な返答を示す際に使われる表現です。「happy」を強調することで、単に承諾するだけでなく、積極的に協力したいという気持ちを伝えることができます。例えば、「I'm more than happy to help you with that.(喜んでお手伝いさせていただきます)」のように使います。ビジネスシーンや日常会話で、好意的な姿勢を示すために有効です。類似表現として、「very happy」がありますが、「more than happy」の方がより積極的な印象を与えます。
頑張って!、応援してるよ!
※ 相手の行動や決意を励ます際に使われる口語的な表現です。相手の成功を願い、応援する気持ちを表します。特に、困難な状況に立ち向かおうとしている人に対して使われることが多いです。例えば、「You're starting your own business? More power to you!(起業するんですか?頑張ってください!)」のように使います。カジュアルな場面で、親近感を示すために有効です。
二度と~しない、もう~ない
※ 強い否定を表す表現で、過去の行為や状態を完全に断ち切る意思を示す際に使われます。例えば、「No more excuses!(言い訳はもう許さない!)」のように使います。フォーマルな場面でも使用できますが、強い決意や怒りを伴う場合が多いです。また、「no more X than Y」という形で、「Yと同様にXでもない」という比較表現としても使われます。例えば、「I am no more a liar than you are.(私はあなたと同様に嘘つきではありません)」のように使います。
もう一度、再び
※ 過去に行われた行為を繰り返すことを意味する表現です。「again」とほぼ同義ですが、「once more」はややフォーマルな印象を与えます。例えば、「Let's try it once more.(もう一度試してみましょう)」のように使います。音楽や演劇などのパフォーマンスにおいて、アンコールを求める際にも使われます。また、文学的な表現としても用いられ、過去の出来事を振り返る場面などで、感慨深いニュアンスを添えることができます。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用されます。例えば、「先行研究ではAという結果が出ているが、本研究ではmore詳細な分析を行い、Bという新たな知見を得た」のように、既存研究との比較や、研究の深化を示す際に用いられます。文体はフォーマルで、客観性が求められます。
ビジネスシーンでは、会議のプレゼンテーション資料や報告書、メールなどで使われます。例えば、「今四半期は、売上高がmore than 10%増加した」や「more効率的な業務プロセスを導入する必要がある」のように、数値データや改善点を具体的に示す際に用いられます。文体はややフォーマルで、正確さが重視されます。
日常会話で非常によく使われます。例えば、「もう少しコーヒーが欲しい(I want more coffee)」や「もっと頑張って!(Try harder!)」のように、単純な要望や励ましの言葉として使われます。また、「もっと詳しく教えて(Tell me more)」のように、相手に話を促す際にも使われます。文体はカジュアルで、親しみやすい表現です。
関連語
類義語
『追加の』という意味で、数や量がさらに加わることを指す。形容詞として使われ、ビジネス、学術、日常会話など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『more』が既存のものに何かを付け加えるニュアンスであるのに対し、『additional』は、最初から追加されることを想定しているかのような客観的な響きを持つ。フォーマルな場面で好まれる傾向がある。 【混同しやすい点】『more』は名詞、形容詞、副詞として使えるが、『additional』は形容詞にしかなれない。そのため、名詞を修飾する際に『more』を使うか『additional』を使うかで迷うことがある(例:more information vs. additional information)。
『さらに』、『もっと遠くへ』という意味で、距離、時間、程度などを強調する際に使われる。副詞または形容詞として用いられ、ビジネスや学術的な文脈でよく見られる。 【ニュアンスの違い】『more』が単純な量の増加を示すのに対し、『further』は抽象的な意味での『より深く』、『より進んだ』といったニュアンスを含む。特に議論や調査などを深める文脈で使われることが多い。 【混同しやすい点】『farther』と『further』の使い分け。『farther』は物理的な距離を指す場合に使い、『further』は比喩的な意味合いを含む場合に使う。ただし、アメリカ英語では『farther』を比喩的な意味でも使うことがある。
『余分な』、『追加の』という意味で、必要な量や数を超えていることを示す。形容詞、名詞、副詞として使われ、日常会話で頻繁に用いられる。 【ニュアンスの違い】『more』が単に量が多いことを示すのに対し、『extra』は期待されていた量を超過している、というニュアンスが強い。カジュアルな場面でよく使われ、フォーマルな場面では避けるべき。 【混同しやすい点】『extra』は名詞として『追加料金』という意味でも使われる(例:pay extra)。また、形容詞として使う場合、名詞の前に置かれることが多い(例:extra charge)。
- increased
『増加した』という意味で、数量や程度が大きくなった状態を表す。動詞『increase』の過去分詞形であり、形容詞として使われる。 【ニュアンスの違い】『more』が比較級として単純な増加を示すのに対し、『increased』は過去から現在にかけて増加した結果を強調する。客観的な事実を述べる際に適している。 【混同しやすい点】『increase』は自動詞としても他動詞としても使えるが、『increased』は形容詞としてのみ使われる。また、『increased』はしばしば名詞の前に置かれ、状態を説明する(例:increased risk)。
- greater
『より大きい』、『より優れている』という意味で、規模、重要性、程度などが『more』であることを示す。形容詞として使われ、フォーマルな場面や抽象的な概念を表現する際に用いられる。 【ニュアンスの違い】『more』が単純な量の増加を示すのに対し、『greater』は質的な向上や重要性の増大を暗示する。特に、責任、影響力、重要性などを表現する際に適している。 【混同しやすい点】『greater』はしばしば抽象的な概念を修飾する(例:greater responsibility)。また、『greater』は『the greater part of』という形で『大部分』という意味を表すことがある。
- enhanced
『強化された』、『向上した』という意味で、質や機能が改善された状態を表す。動詞『enhance』の過去分詞形であり、形容詞として使われる。技術、ビジネス、学術分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『more』が単に量が増えることを示すのに対し、『enhanced』は質的な改善や価値の向上を強調する。製品やサービス、能力などが向上したことを示す場合に適している。 【混同しやすい点】『enhance』は他動詞としてのみ使われる。また、『enhanced』はしばしば特定の技術や機能が向上したことを示す(例:enhanced security features)。
派生語
- moratorium
『一時停止』や『支払い猶予』を意味する名詞。『more』の語源である『遅らせる』という意味合いが、時間的な猶予という形で発展。主に経済や法律、国際関係などの文脈で使用され、日常会話よりはビジネスや学術的な場面で頻繁に見られる。
- demur
『異議を唱える』や『ためらう』という意味の動詞。『遅らせる』という意味から、行動をためらうニュアンスに変化。フォーマルな場面や文学作品などで用いられ、日常会話ではあまり使われない。語源的には「遅らせる」という意味合いから派生している。
- dilatory
『遅延させる』や『のろのろした』という意味の形容詞。『more』の語源的な意味合いである『遅らせる』が直接的に反映されている。ビジネス文書や法律関連の文章などで見られ、日常会話での使用頻度は低い。意図的な遅延やぐずぐずした態度を表す際に用いられる。
反意語
『より少ない』という意味で、『more』と直接的な対義語。数量や程度が少ないことを表す。日常会話で頻繁に使われ、具体的なものから抽象的な概念まで幅広く適用できる。例えば、『more money』に対して『less money』のように用いる。
『最も少ない』という意味で、『more』の最上級である『most』と対になる。程度や数量が最小であることを示す。日常会話だけでなく、ビジネスや学術的な文脈でも使用される。『the least important factor(最も重要でない要素)』のように用いる。
『十分な』という意味で、『more』が表す『超過』や『追加』という概念とは対照的。必要量を満たしている状態を示す。日常会話で頻繁に使われ、『more than enough(十分すぎる)』のように比較表現で用いられることも多い。
語源
"more」は、古英語の「māra(より大きい、より多い)」に由来します。これはさらに遡ると、ゲルマン祖語の「*maizō(より大きい)」にたどり着きます。そして、インド・ヨーロッパ祖語の語根「*mag-(大きい、偉大な)」まで遡ることができます。この語根は、ラテン語の「magnus(大きい)」や英語の「much(多くの)」、「major(より大きい)」など、多くの単語の源となっています。つまり、「more」は、根本的に「大きい」や「多い」という概念と結びついており、それが比較級として「より大きい」「より多い」という意味に発展したのです。日本語で例えるなら、「大」という漢字が、「大きい」だけでなく、「大いに」といった副詞的な意味も持つように、「more」も根源的な「大きさ」から派生した多様な意味合いを含んでいます。
暗記法
「more」は単なる量の増加を超え、人間の根源的な欲望や進歩への渇望を象徴します。大航海時代以降、富や権力の追求と同義となり、文学では破滅的な欲望の象徴として描かれてきました。現代では消費文化を象徴する一方、環境問題や格差拡大の要因にも。米語では肯定的な響きを持つことが多いですが、英語では批判的な意味合いも。文化や社会規範と深く結びついた、多面的な言葉なのです。
混同しやすい単語
発音が /mɔːr/ とほぼ同じで、日本人には区別が難しい。スペルも 'more' と 'moor' で 'o' の数が違うだけなので、視覚的にも混同しやすい。『荒れ地、湿原』という意味で、場所を表す名詞として使われる点が大きく異なる。文脈で判断する必要がある。
発音が似ており、特に語尾の 'r' の発音が弱い場合、区別がつきにくい。スペルも似ているため、視覚的にも混同しやすい。『伝承、言い伝え』という意味で、知識や物語を指す名詞。more が量的な比較を表すのに対し、lore は文化的な知識を表す。
スペルの一部('mo')が共通しており、視覚的に似ているため、混同しやすい。『動く、移動する』という意味の動詞であり、品詞が異なる。発音も /muːv/ と異なる。ただし、move の過去形 moved は more と発音が似ているため注意が必要。
古風な単語だが、スペルが似ており、特に 'or' の部分が共通しているため、混同される可能性がある。『死』を意味する古語で、現代英語ではほとんど使われない。語源的には『死』に関連する言葉(mortal, mortuary など)とつながっている。
発音が似ており、特にアメリカ英語では 'or' の部分が曖昧になるため、区別が難しい。『市長』という意味で、人を示す名詞。文脈が全く異なるため、意味から判断するのが有効。スペルも 'more' と 'mayor' で似ている部分がある。
発音が似ており、特に語尾の 'er' の発音が弱い場合、区別がつきにくい。『芝刈り機』という意味で、道具を示す名詞。文脈が全く異なるため、意味から判断するのが有効。スペルも 'more' と 'mower' で似ている部分がある。
誤用例
日本語の「混乱する」という自動詞的な感覚から、動詞の原形をそのまま使用してしまう誤りです。英語では状態の変化を表す場合、be動詞 + 形容詞(confused)または become + 形容詞の形を取るのが自然です。また、the 比較級, the 比較級構文では、形容詞や副詞が前に出ます。日本人が陥りやすい『日本語→英語』変換の癖として、動詞をそのまま使うことが挙げられますが、状態を表す場合は形容詞を意識しましょう。
形容詞の比較級である 'cheaper' は、すでに「より安い」という意味を含んでいるため、'more' を重ねて使うのは冗長です。これは、日本語で「もっとより安い」と言ってしまうようなものです。英語では、比較級の強調には 'much' や 'far' を使用します(例:much cheaper)。日本人が無意識に『more + 形容詞』の形に頼ってしまうのは、英語の初歩的な学習段階で 'more interesting' のような表現を学ぶ影響かもしれません。しかし、比較級の形がある形容詞には 'more' は不要であることを覚えておきましょう。
'Introvert' は名詞であり、形容詞として比較級の対象とする場合は 'introverted' を使用する必要があります。日本語では「彼は内向的な人というよりは恥ずかしがり屋だ」のように名詞で比較できますが、英語では形容詞で比較するのが自然です。また、性格を表す形容詞のニュアンスとして、'shy' は一時的な恥ずかしさを表すのに対し、'introverted' はより根源的な性格傾向を表します。そのため、文脈によっては 'He is more introverted than shy.' という表現は、彼の内向的な性格が恥ずかしがり屋であることよりも本質的であることを示唆します。文化的な背景として、欧米では内向的な性格を必ずしもネガティブに捉えない傾向があり、日本人が持つ『内向性=恥ずかしがり屋』という固定観念を捨てることも重要です。
文化的背景
「more」は単なる量の増加を示すだけでなく、欲望、飽くなき探求心、そして進歩への願望といった、人間精神の根源的な衝動を象徴する言葉です。それはしばしば、現状への不満と、より良い未来への憧憬を内包しています。
英語圏の文化において、「more」は、歴史的に見て、経済成長や領土拡張といった概念と深く結びついてきました。大航海時代以降、ヨーロッパ列強は「more」を求めて世界各地に進出し、資源や市場を拡大しました。この過程で、「more」は富、権力、そして名声の追求と同義となり、植民地主義や帝国主義の正当化にも利用されました。文学作品においても、「more」はしばしば主人公の破滅的な欲望の象徴として登場します。例えば、シェイクスピアの『マクベス』では、主人公が王位への「more」を求めるあまり、良心を失い、悲劇的な結末を迎えます。このように、「more」は単なる量的な増加を超えて、人間の内なる葛藤や社会的な不正義を浮き彫りにする役割を担ってきたのです。
現代社会においても、「more」は消費文化や資本主義経済を象徴するキーワードとして、その影響力を維持しています。広告業界は「more」を巧みに利用し、消費者の欲望を刺激し、購買意欲を高めようとします。また、政治の世界でも、「more」は経済成長や雇用創出といった目標を掲げる際に頻繁に用いられ、人々の期待を煽るためのレトリックとして機能します。しかし、同時に、「more」は環境破壊や格差拡大といった問題を引き起こす可能性も孕んでいます。持続可能な社会の実現のためには、「more」の追求だけでなく、足るを知ることの重要性も再認識する必要があります。
興味深いことに、アメリカ英語とイギリス英語では、「more」のニュアンスに微妙な違いが見られることがあります。アメリカ英語では、「more」はより直接的で、肯定的な意味合いで使用されることが多いのに対し、イギリス英語では、より慎重で、批判的な意味合いで使用されることがあります。例えば、アメリカ人が「I want more!」と言う場合、それは率直な願望の表明として受け止められることが多いですが、イギリス人が同じように言う場合、それは貪欲さや傲慢さの表れとして解釈される可能性があります。このような地域的なニュアンスの違いからも、「more」という言葉が、単なる量の増加を示すだけでなく、文化的な価値観や社会的な規範と深く結びついていることがわかります。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解、リスニング
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。特に長文読解やリスニングのPart 3, Part 4
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場。フォーマルな文章から日常会話まで。
- 学習者への注意点・アドバイス: 比較級・最上級の基本を理解し、'more than' や 'moreover' などの関連表現も習得する。量的比較だけでなく、質的な比較にも使われる点に注意。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: 頻出。特にPart 5, Part 7
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の文章(Eメール、レポート、広告など)で頻繁に使用される。
- 学習者への注意点・アドバイス: 'more' の後に続く語句(名詞、形容詞など)に注意し、文法的に正しい選択肢を選ぶ。'moreover' や 'furthermore' などの接続詞としての用法も重要。
- 出題形式: リーディング、リスニング
- 頻度と級・パート: 頻出。アカデミックな文章や講義でよく使われる。
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会科学など、様々な分野の学術的な文章で登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念や複雑なアイデアを説明する際に使われることが多い。文脈から意味を正確に把握する練習が必要。比較級だけでなく、'moreover' や 'what is more' などの用法も理解する。
- 出題形式: 長文読解、英作文
- 頻度と級・パート: 頻出。難関大学ほど、高度な文脈理解が求められる。
- 文脈・例題の特徴: 評論、物語、説明文など、多様なジャンルの文章で登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈における 'more' の意味を正確に把握する。単なる比較だけでなく、追加情報や強調の意味合いで使われる場合もある。英作文では、効果的に 'more' を使用して文章を豊かにする練習をする。