irrepressible
抑えきれない
感情や行動、エネルギーなどが非常に強く、コントロールすることが難しい状態を表します。喜び、笑い、情熱など、ポジティブな感情に対して使われることが多いです。ニュアンスとしては「どうしようもなく溢れ出る」というイメージです。
His irrepressible laughter filled the room when he saw the funny puppy.
彼がその面白い子犬を見たとき、抑えきれない笑い声が部屋中に満ちた。
※ この例文では、「irrepressible」が子供やペットの無邪気で止められないような「笑い声(laughter)」の様子を描写しています。喜びや楽しさが溢れ出て、どうしても隠しきれない、そんな鮮やかな情景が目に浮かびますね。感情が自然に湧き出てくる様子を表す時によく使われます。
Even after the defeat, her irrepressible spirit encouraged the whole team.
敗北の後でさえ、彼女の抑えきれない精神がチーム全体を励ました。
※ ここでは、「irrepressible」が人の「精神(spirit)」、つまり内面からくる強さや楽天的な性質を表現しています。どんな困難な状況でもくじけない、前向きな気持ちが止められない、といったニュアンスです。逆境に負けない人の強さやエネルギーを表すのに最適な使い方です。
Despite the long journey, the explorer had an irrepressible desire to find new lands.
長い旅にもかかわらず、その探検家は新しい土地を見つけたいという抑えきれない願望を抱いていた。
※ この例文では、「irrepressible」が探検家の「願望(desire)」、つまり内側から湧き上がる強い欲求や衝動を表現しています。困難があっても、その気持ちを抑えることができないほど強い、という状況を描写しています。夢や目標に対する強い情熱を表す際にも使われます。
不屈の
困難や障害に直面しても、決して諦めず、立ち向かう強い意志や精神力を表します。希望や楽観的な態度が失われない様子を示唆します。
Even after losing the game, her irrepressible spirit pushed her to train harder.
試合に負けた後も、彼女の不屈の精神が、さらに懸命に練習するよう彼女を駆り立てた。
※ この例文は、スポーツ選手が困難に直面しても決して諦めない「不屈の精神」を持っている様子を描いています。`irrepressible spirit`で、内側から湧き上がる強い気持ちやエネルギーが抑えられない様子が伝わります。日常会話でも、目標に向かって粘り強く頑張る人を褒める際によく使われる表現です。
The child's irrepressible joy made him jump up and down at the amusement park.
その子供の抑えきれない喜びが、遊園地で彼をぴょんぴょん跳ねさせた。
※ ここでは、子供が遊園地でとても楽しくて「抑えきれないほどの喜び」を感じ、それが行動(ぴょんぴょん跳ねる)に表れている様子を描写しています。`irrepressible`は、ポジティブな感情(喜び、笑い、熱意など)が内側から溢れ出し、抑えられない状態を表現するのにもよく使われます。
Despite the hard times, their irrepressible hope kept shining brightly.
困難な時期にもかかわらず、彼らの不屈の希望は明るく輝き続けた。
※ この例文は、厳しい状況の中でも、決して失われることのない「不屈の希望」を持っている人々の姿を描いています。`hope`(希望)のような抽象的な概念に対しても`irrepressible`は使われ、どんな逆境にもめげない、力強いポジティブな気持ちを表すことができます。`kept shining`は「輝き続けた」という意味で、希望が途切れない様子を伝えています。
コロケーション
抑えきれない笑い、こみ上げてくる笑い
※ 「laughter」は名詞で、「irrepressible」がそれを修飾する形です。この表現は、文字通り笑いを我慢できない状態、または非常に愉快で自然に出てしまう笑いを指します。フォーマルな場面よりも、友人との気軽な集まりや、予想外のユーモアに遭遇した時など、リラックスした状況で使われることが多いです。比喩的には、喜びや幸福感が抑えきれない様子を表すこともあります。類語としては「uncontrollable laughter」がありますが、「irrepressible」はより自発的で内側から湧き上がるようなニュアンスを含みます。
不屈の精神、くじけない心
※ 「spirit」はここでは「精神」「魂」といった意味の名詞で、「irrepressible」がそれを修飾します。困難や逆境にもめげず、常に前向きな姿勢を保つ人を形容する際に用いられます。特に、長期にわたる苦難を乗り越えてきた人物や、どんな状況でも希望を失わない人物に対して使われることが多いです。たとえば、病気と闘う人、差別と闘う人、貧困から抜け出そうと努力する人など、様々な場面で使われます。ビジネスシーンでは、困難なプロジェクトを成功させるために粘り強く努力するチームやリーダーを称賛する際に使われることがあります。類語としては「indomitable spirit」がありますが、「irrepressible」はより自然で感情的なニュアンスを含みます。
抑えきれない熱意、止められない情熱
※ 「enthusiasm」は名詞で、「irrepressible」がそれを修飾します。これは、何かに対して非常に強い興味や関心を持ち、それを表現せずにはいられない状態を指します。新しいプロジェクトに取り組む際や、趣味に没頭する際など、ポジティブなエネルギーが溢れている様子を表します。ビジネスシーンでは、新しいアイデアや提案をする際に、聴衆を惹きつけ、共感を呼ぶために用いられることがあります。また、スポーツイベントやコンサートなど、観客が一体となって盛り上がるような場面でも使われます。類語としては「uncontainable enthusiasm」がありますが、「irrepressible」はより内側から湧き上がるような、自然な熱意を表します。
抑えきれない活力、みなぎるエネルギー
※ 「energy」は名詞で、「irrepressible」がそれを修飾します。これは、肉体的または精神的に非常に活発で、疲れを知らない状態を指します。子供が走り回ったり、新しいことに挑戦したりする様子を表す際に用いられることが多いです。また、創造的な活動や、困難な課題に取り組む際に、その原動力となるエネルギーを指すこともあります。ビジネスシーンでは、新しいプロジェクトを立ち上げたり、チームを率いたりする際に、そのリーダーシップを発揮するために必要なエネルギーを指すことがあります。類語としては「unquenchable energy」がありますが、「irrepressible」はより自然で、内側から湧き上がるようなエネルギーを表します。
抑えきれない欲求、どうしようもない願望
※ 「desire」は名詞で、「irrepressible」がそれを修飾します。何かを強く望む気持ちが、理性や自制心を上回る状態を表します。恋愛感情、物質的な欲求、あるいは目標達成への強い意志など、様々な種類の欲求に対して使われます。文学作品や映画などでは、主人公が困難な状況に置かれながらも、その欲求を諦めずに追求する姿を描く際に用いられることがあります。類語としては「uncontrollable desire」がありますが、「irrepressible」はより根源的で、抗いがたい欲求を表します。
抑えきれない喜びとともに、満面の笑みで
※ このフレーズは「with + 名詞」の形で、動作や感情の様子を強調する際に用いられます。「glee」は「喜び」「歓喜」という意味の名詞で、「irrepressible」がそれを修飾します。非常に嬉しくて、それを隠せない様子を表します。子供がプレゼントをもらった時や、試験に合格した時など、純粋な喜びを表現する際に用いられます。類語としては「with boundless joy」がありますが、「irrepressible glee」はより spontaneous で、感情が溢れ出すようなニュアンスを含みます。
使用シーン
学術論文や書籍で、人間の性質や感情、社会現象などを分析する際に用いられることがあります。例えば、歴史学の研究で「抑えきれない民衆の不満が革命につながった」という文脈や、社会学で「不屈の精神で困難に立ち向かう人々の事例」を紹介する際に使われます。文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、プレゼンテーションや社内報、顧客向けのメッセージなどで、人の性質や組織の雰囲気を表現する際に使われることがあります。例えば、「彼の抑えきれない熱意がチームを成功に導いた」と成功事例を紹介したり、「不屈の精神で難局を乗り越える」といった企業理念を語る際に用いられます。やや硬い印象を与えるため、多用は避けるべきです。
日常会話で使われることは稀ですが、ニュース記事やノンフィクション作品で、人物評や出来事を描写する際に目にすることがあります。例えば、「彼女の抑えきれない笑顔が周りを明るくする」といった人物紹介や、「不屈の精神で病と闘う」といった感動的なストーリーで用いられます。どちらかというと書き言葉的な表現です。
関連語
類義語
『制御できない』という意味で、人、感情、状況など幅広い対象に対して使われる。ネガティブなニュアンスを含むことが多い。 【ニュアンスの違い】『irrepressible』は内から湧き上がる力強さや陽気さを表すのに対し、『uncontrollable』は文字通り制御不能な状態を指し、パニックや混乱といった状況で使われることが多い。 【混同しやすい点】『uncontrollable』は名詞の前に置かれる形容詞として使われることが多い(例:uncontrollable rage)。『irrepressible』は、より感情や性質を表す場合に使われやすい。
『手に負えない』『規則に従わない』という意味で、特に子供や群衆など、集団の行動が統制されていない状態を表す。ややフォーマルな響き。 【ニュアンスの違い】『irrepressible』は本質的なエネルギーや活力を意味するのに対し、『unruly』は規則や秩序に対する反抗的な態度を強調する。また、『unruly』は外的な統制の欠如を示す。 【混同しやすい点】『unruly』は主に、規則や秩序を重んじる文脈で使われる。例えば、『unruly hair(まとまらない髪)』のような物理的な状態にも使われる。
- boisterous
『騒々しい』『活気にあふれた』という意味で、特に人や集団の元気で騒がしい様子を表す。ポジティブなニュアンスが強い。 【ニュアンスの違い】『irrepressible』は抑えきれない内面のエネルギーを指すのに対し、『boisterous』は外に表れる騒がしい行動を指す。『boisterous』はより外向的な表現。 【混同しやすい点】『boisterous』は音や動きを伴う騒がしさを表すため、静かな場所での落ち着きのない様子には適さない。例えば、『boisterous laughter(騒々しい笑い声)』のように使われる。
- insuppressible
『抑圧できない』という意味で、『irrepressible』とほぼ同義だが、よりフォーマルで、抑制しようとする力が存在することを強調する。 【ニュアンスの違い】『irrepressible』が自然発生的な感情や性質を表すのに対し、『insuppressible』は外部からの抑圧に抵抗するニュアンスがある。報道や学術的な文脈でよく使われる。 【混同しやすい点】『insuppressible』は『suppress(抑制する)』という動詞から派生した言葉であることを理解すると、ニュアンスの違いが理解しやすい。より意識的な抵抗を示す。
『回復力のある』『立ち直りの早い』という意味で、困難な状況から立ち直る能力を表す。精神的な強さや柔軟性を示す。 【ニュアンスの違い】『irrepressible』が内面のエネルギーや活力を指すのに対し、『resilient』は困難を乗り越える能力を指す。必ずしも陽気さや活発さを伴うとは限らない。 【混同しやすい点】『resilient』は、困難や逆境に直面した後に回復する能力に焦点を当てる。例えば、『resilient spirit(不屈の精神)』のように使われる。
- vivacious
『活発な』『快活な』という意味で、特に女性に対して、元気で生き生きとした様子を表す。ポジティブな感情を伴う。 【ニュアンスの違い】『irrepressible』が内面のエネルギーが外に溢れ出る様子を表すのに対し、『vivacious』は外見的な明るさや元気さを強調する。『vivacious』は、より人柄や雰囲気を表す。 【混同しやすい点】『vivacious』は、性格や態度を表す形容詞として使われることが多い。例えば、『vivacious personality(活発な性格)』のように使われる。
派生語
『抑圧する』という意味の動詞。語源はラテン語の『re-(再び)』+『premere(押し付ける)』。感情や行動を意図的に抑え込むことを指し、心理学や政治学の文脈でよく用いられます。日常会話でも、感情を押し殺す場面などで使われます。
『抑圧』という意味の名詞。動詞『repress』から派生し、感情や欲求を意識的、または無意識的に抑え込む行為や状態を指します。心理学、社会学、政治学などで頻繁に使用され、学術的な文脈で特に重要です。
『抑圧的な』という意味の形容詞。名詞『repression』に形容詞化の接尾辞『-ive』が付いた形です。社会体制や政策、個人の態度などが、自由や表現を制限する様子を表します。政治、社会、歴史などの議論でよく用いられます。
反意語
- restrained
『抑制された』という意味の形容詞。『irrepressible』が感情や行動を抑えきれない状態を表すのに対し、『restrained』は感情や行動がコントロールされている状態を表します。フォーマルな文脈で、自己抑制や自制心を評価する際に用いられます。例えば、ビジネスシーンでの冷静な対応などを指します。
『静まった』『おとなしい』という意味の形容詞。『irrepressible』が持つ勢いや活発さとは対照的に、『subdued』は落ち着いて、おとなしい状態を示します。感情や行動の激しさが収まった状態を表すため、比喩的な意味合いでも使われます。例えば、騒がしいパーティーの後に『subdued atmosphere(静まった雰囲気)』のように使われます。
語源
"irrepressible"は、ラテン語に由来する要素が組み合わさってできた単語です。まず、接頭辞 "ir-" は、"否定" を意味する "in-" の変形で、後に続く "r" の音に合わせて形を変えたものです。次に、語幹の "repress" は、「押し戻す」「抑制する」という意味で、これもラテン語の "reprimere" (再び押す、押し戻す)に由来します。"re-" は「再び」を意味し、"premere" は「押す」という意味です。最後に、接尾辞 "-ible" は、「~できる」という可能を表します。したがって、"irrepressible" 全体としては、「押し戻すことができない」「抑制できない」という意味になり、「不屈の」というニュアンスにつながります。日本語で例えるなら、「勢いが止められない」といったイメージが近いでしょう。一度動き出したら誰にも止められない、そんな強いエネルギーを秘めた状態を表す言葉と言えます。
暗記法
「irrepressible(抑えきれない)」は、社会の抑圧をはねのけ、自由や自己表現を求める人間の本質的な力を表します。抑圧的な体制下での抵抗運動、芸術における革新的な表現、個人の情熱の爆発など、様々な場面でその意味合いが際立ちます。ドストエフスキーの作品や公民権運動、ベートーヴェンの音楽、前衛アートなど、歴史や文化の中で「抑えきれない」精神は、社会を変革し、新たな価値観を生み出す原動力となってきました。この言葉は、人間の精神の奥深さと、社会を変える力の源泉を教えてくれます。
混同しやすい単語
「irrepressible」と「irresponsible」は、接頭辞「ir-」が共通し、語尾の形も似ているため、スペルミスや意味の混同が起こりやすいです。「irrepressible」が「抑えきれない」という意味であるのに対し、「irresponsible」は「無責任な」という意味で、正反対のニュアンスを持ちます。日本語のカタカナ発音では区別しにくいですが、英語ではアクセントの位置が異なるため(irrepressible: -press-, irresponsible: -spon-)、注意して発音を聞き分ける必要があります。
「irrepressible」と「irrespective」は、どちらも「ir-」で始まる形容詞であり、スペルが似ているため混同されることがあります。「irrepressible」が内側から湧き上がる感情や行動を抑えられない状態を表すのに対し、「irrespective」は「〜に関わらず」という意味で、条件や状況に左右されないことを意味します。文脈によって意味が大きく異なるため、注意が必要です。また、発音も異なります(irrepressible: i-ri-ˈpre-sə-bəl, irrespective: i-ri-ˈspek-tiv)。
「irrepressible」と「repressive」は、どちらも「repress」という語根を含み、意味的にも関連性があるため、混同しやすいです。「irrepressible」は「抑えきれない」という積極的な意味合いを持つ一方、「repressive」は「抑圧的な」という意味で、社会的な力や権力によって自由や感情が抑えつけられる状態を表します。接頭辞「ir-」は否定を表すのに対し、「re-」は再び、あるいは強調の意味を持つため、意味の違いを理解することが重要です。
「irrepressible」と「incompressible」は、接頭辞が異なるものの、どちらも「-pressible」という共通の語尾を持つため、スペルが似ており、混同される可能性があります。「irrepressible」が感情や行動を抑えられないことを意味するのに対し、「incompressible」は「圧縮できない」という意味で、物理的な性質を表します。語源的には、「press」は「押す」という意味であり、そこから派生した意味の違いを理解すると、区別しやすくなります。
「irrepressible」と「impressible」は、語尾が共通しており、接頭辞が異なるため、スペルミスが起こりやすいです。「irrepressible」が「抑えきれない」という意味であるのに対し、「impressible」は「感銘を受けやすい」「影響を受けやすい」という意味を持ちます。接頭辞「im-」は内側への影響を示すのに対し、「ir-」は否定を示すため、意味の方向性が異なります。また、「impressible」は比較的まれな単語であるため、馴染みが薄いことも混同を招く要因となります。
「irrepressible」と「irreplaceable」は、接頭辞「ir-」が共通し、語尾の音も似ているため、リスニング時に混同される可能性があります。「irrepressible」が感情や行動について使われることが多いのに対し、「irreplaceable」は「かけがえのない」「代わりがきかない」という意味で、人や物について使われます。文脈によって意味が大きく異なるため、注意が必要です。また、アクセントの位置も異なるため(irrepressible: -press-, irreplaceable: -place-)、発音を意識することで区別しやすくなります。
誤用例
『irrepressible』は、感情や行動が抑えがたいという意味ですが、怒りの感情そのものよりも、むしろ『抑えきれない笑顔』『抑えきれない好奇心』のように、ポジティブな感情や行動に対して使われることが多いです。怒りの感情を表現する場合は、『uncontrollable』や『unrestrained』がより適切です。日本人が『抑えられない』という言葉から直訳的に『irrepressible』を選んでしまうのは、語感のニュアンスの違いを理解していないためです。英語では、感情の種類によって適切な形容詞を選ぶ必要があります。
『irrepressible』は、必ずしもネガティブな意味合いではありませんが、文脈によっては、周囲を困らせるような、手に負えない状況を連想させる可能性があります。この例文では、子供の行動が叱責されていることから、より中立的な表現である『exuberant(元気いっぱいな)』を使う方が適切です。日本人は、単に『抑えられない』という状態を表す言葉として『irrepressible』を選びがちですが、英語では、その行動が周囲に与える影響や、話者の感情によって適切な言葉を選ぶ必要があります。また、日本語の『やんちゃ』のようなニュアンスを『irrepressible』で表現しようとすると、少し違和感が生じます。
『irrepressible』は、ポジティブな感情やエネルギーが溢れ出る様子を表すのに適しています。悲しみや嘆きといったネガティブな感情が抑えられない状況を表す場合は、『inconsolable(慰められない)』や『uncontrollable』を使う方が適切です。日本人が『抑えられない』という言葉から安易に『irrepressible』を選んでしまう背景には、感情の種類を区別せずに直訳しようとする傾向があります。英語では、感情の種類や強さによって、より適切な表現を選ぶことが重要です。例えば、日本語の『どうしようもない悲しみ』を英語にする場合、『irrepressible』ではなく『inconsolable』を使うことで、より正確に感情を伝えることができます。
文化的背景
「irrepressible(抑えきれない)」は、単なる感情の強さを示すだけでなく、社会の規範や抑圧を乗り越え、自由や自己表現を求める人間の根源的な力を象徴する言葉です。この言葉は、しばしば反体制的な運動や、芸術における革新的な表現、そして個人の内なる情熱が爆発する瞬間に結び付けられます。
「irrepressible」が持つ文化的意義は、特に抑圧的な社会体制下において顕著になります。例えば、19世紀のロシア文学では、農奴解放運動や革命運動に身を投じる人々の、権力に対する抵抗精神を表現する際に用いられました。ドストエフスキーの作品に登場する主人公たちは、社会の不条理や矛盾に直面し、「抑えきれない」怒りや悲しみを抱えながら、自己の信念を貫こうとします。また、20世紀の公民権運動においても、「irrepressible」な精神は、人種差別という巨大な壁を打ち破る原動力となりました。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの演説は、抑圧された人々の「抑えきれない」希望と正義への渇望を代弁し、社会を変革する力となったのです。
さらに、「irrepressible」は、芸術の世界においても重要な意味を持ちます。例えば、ロマン派の音楽家たちは、「抑えきれない」感情の奔流を音楽で表現しようと試みました。ベートーヴェンの交響曲は、苦悩や葛藤、そして最終的な勝利という人間のドラマを描き出し、「抑えきれない」エネルギーに満ち溢れています。また、現代アートにおいても、「irrepressible」な表現は、既存の価値観を破壊し、新たな美の可能性を切り開く原動力となります。前衛芸術家たちは、社会のタブーや固定観念に挑戦し、「抑えきれない」創造性を爆発させることで、人々に新たな視点を提供してきたのです。
このように、「irrepressible」は、歴史、社会、芸術など、様々な分野において、人間の持つ根源的な力、特に抑圧からの解放や自己実現への渇望を象徴する言葉として、深く文化に根ざしています。この言葉を理解することは、単に語彙を増やすだけでなく、人間の精神の奥深さや、社会を変革する力の源泉に触れることでもあるのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級以上で稀に出題。1級レベルでは頻出。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術など、やや硬めの話題の長文で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「抑えきれない」「抑制不能な」という意味を理解し、文脈からニュアンスを掴む練習が必要。同義語(uncontrollable, unrestrainable)も覚えておくと役立つ。
- 出題形式: 長文読解(Part 7)
- 頻度と級・パート: TOEICでは出題頻度は低め。
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の文書ではあまり使われない。どちらかというと、ニュース記事やコラムのような文章で使われる可能性はある。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEIC対策としては優先度は低い。他の頻出語彙を優先的に学習すべき。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で比較的よく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 歴史、社会科学、自然科学など、幅広い分野のアカデミックな文章で登場する。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念を説明する文脈で使われることが多い。文脈から意味を推測する練習が必要。類義語の「uncontrollable」とのニュアンスの違いも意識すると良い。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術など、論説的な文章で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。「抑えきれない」という基本的な意味を理解した上で、文脈に応じた適切な訳語を選ぶ必要がある。反意語(repressible)も覚えておくと役立つ。