irascible
強勢は「ら」に置かれます。最初の母音 /ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し開き、短く発音します。/ˈæs/ の「æ」は、日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を横に広げて発音するとより近づきます。最後の「-ble」は弱く「ブル」と発音しますが、/əl/の音は曖昧母音なので、力を抜いて発音しましょう。また、'r' の発音は舌を丸めるように意識すると、より英語らしい響きになります。
怒りっぽい
些細なことでイライラしたり、すぐに怒り出すような性質を表す。普段は穏やかな人に対して、ある状況下で怒りっぽくなる様子にも使える。
My grandpa is very irascible, especially when he can't find his glasses.
うちのおじいちゃんはとても怒りっぽいんです。特にメガネが見つからない時は。
※ この例文では、メガネが見つからなくてイライラして怒鳴っているおじいちゃんの姿が想像できますね。「irascible」は、年配の人や権威のある人が、些細なことで不機嫌になる様子を表すのによく使われます。「especially when...」で「〜の時、特に」と、どんな状況で怒りっぽいのかを具体的に説明できます。
She gets very irascible when she is tired from work.
彼女は仕事で疲れていると、とても怒りっぽくなります。
※ 仕事で疲れて帰宅し、ちょっとしたことにもイライラしてしまう女性の様子が目に浮かびます。「irascible」は、疲労やストレスが原因で人が短気になる状態を表現するのに適しています。「get + 形容詞」で「〜になる」という状態変化を表し、「be tired from work」は「仕事で疲れている」という意味で日常的によく使う表現です。
Be careful; the old dog can be irascible if you touch his tail.
気をつけて。その老犬は、しっぽを触ると怒りっぽいことがありますよ。
※ 普段はおとなしいけれど、特定の行動(しっぽを触る)をすると、急に唸ったり噛み付こうとしたりする犬の姿が目に浮かびます。人だけでなく、特定の状況で感情的になる動物にも「irascible」を使うことができます。注意を促す文脈でよく使われる典型的な例です。「can be irascible」は「〜になることがある」という可能性や傾向を表しています。
短気な
辛抱強く待つことができず、すぐにカッとなる性格を表す。子供の癇癪(かんしゃく)や、せっかちな人の性質を表現するのに適している。
My grandfather is quite irascible when his morning coffee is late.
私の祖父は、朝のコーヒーが遅れるとかなり短気になります。
※ この例文は、普段は優しい祖父が、大好きなコーヒーが遅れると急に不機嫌になる、という日常の小さなイライラを鮮やかに描いています。このように、特定のきっかけで短気になる人の性格を表す際に「irascible」はとても自然に使われます。`quite`は「かなり」「相当」という意味で、その度合いを強調しています。
The manager became irascible after a long, stressful meeting.
部長は、長くてストレスの多い会議の後、短気になりました。
※ この例文は、仕事のストレスが原因で人が一時的に短気になる様子を描写しています。会議室から出てきた部長が、些細なことにもイライラしている場面を想像できますね。「became irascible」のように「〜になる」という意味の動詞(`become`)と組み合わせて、状態の変化を表す使い方は一般的です。
Be careful with him; he can be quite irascible if things don't go his way.
彼には気を付けて。物事が思い通りにいかないと、彼はかなり短気になることがあります。
※ この例文は、ある人の気難しい性格について、友人に忠告している場面を想像させます。特に「物事が思い通りにならない時」という具体的な状況が、短気な性格のトリガーとして示されています。「can be」は「〜になることがある」「〜しがちである」という可能性や傾向を表すときに便利で、日常会話で非常によく使われる表現です。
コロケーション
怒りっぽい気質、短気な性質
※ 「temperament」は生まれつきの性質や気質を指し、「irascible temperament」は、すぐにカッとなる、怒りやすい性質を表します。心理学や性格分析の文脈でよく用いられ、個人の性格特性を説明する際に使われます。フォーマルな響きがあり、日常会話よりは学術的な議論や文章で目にすることが多いでしょう。例えば、「彼のirascible temperamentは、チームワークを困難にしている」のように使われます。
気難しい老人、怒りっぽい老人
※ ステレオタイプなイメージとして、年老いて頑固で怒りっぽい男性像があります。この表現は、必ずしも否定的な意味合いだけでなく、愛嬌やユーモアを含んで使われることもあります。映画や小説などのフィクション作品でよく見られ、キャラクターの個性を際立たせるために用いられます。例えば、「彼はirascible old manだが、本当は優しい心の持ち主だ」のように、見た目と内面のギャップを表現するのにも適しています。
怒りっぽくなる、短気になる
※ 「grow」は状態の変化を表す動詞で、「grow irascible」は、徐々に怒りっぽくなる様子を表します。年齢を重ねるにつれて、あるいはストレスやプレッシャーによって、人が短気になる状況を描写するのに適しています。例えば、「彼は仕事のストレスでgrow irascibleになった」のように、原因と結果を結びつけて説明する際に効果的です。類似表現として「become irascible」もありますが、「grow」はより緩やかな変化を示唆します。
怒りっぽい性癖、短気な性向
※ 「disposition」は、人の生まれつきの性質や傾向を意味し、「irascible disposition」は、怒りやすい性向、つまり、もともと短気な性格であることを指します。「temperament」よりもややフォーマルで、心理学や性格分析の文脈で用いられることが多いです。例えば、「彼女はirascible dispositionのため、人間関係に苦労している」のように、性格的な問題点を指摘する際に使われます。
怒りっぽい反応、短気な返答
※ ある刺激に対して、すぐに怒って反応することを指します。例えば、質問に対してイライラした口調で返事をしたり、些細なことで感情的に反論したりする状況を表します。ビジネスシーンや日常会話で、相手の反応を客観的に描写する際に用いられます。「彼のirascible responseに、周りの人は戸惑った」のように、周囲への影響を示すこともできます。類似表現として「angry response」がありますが、「irascible」はより瞬間的で爆発的な怒りを暗示します。
気難しい教授、怒りっぽい教授
※ 大学教授という職業と「irascible」を組み合わせることで、偏屈で気難しい、しかしどこか憎めない教授のイメージが喚起されます。映画や小説でよく見られるステレオタイプなキャラクターであり、権威主義的で学生に厳しく接する一方で、深い知識やユーモアを持ち合わせていることが多いです。例えば、「the irascible professorが、講義中に突然怒り出した」のように、物語の展開を盛り上げる要素として用いられます。
使用シーン
学術論文や心理学、社会学の研究で、特定の人物や集団の性格特性を分析する際に用いられることがあります。例えば、「対象群は、ストレス条件下でよりirascibleな反応を示す傾向があった」のように、観察結果を客観的に記述する際に使われます。フォーマルな文体で、感情的なニュアンスを避けながら使用されるのが特徴です。
ビジネスシーンでは、人事評価や組織分析の文脈で、従業員の行動特性を説明する際に稀に使われることがあります。ただし、直接的な批判を避けるため、婉曲的な表現として用いられることが多いです。例:「彼はプレッシャーの中でirascibleになる傾向がある」というように、改善の余地がある点を指摘する際に、ややフォーマルな報告書などで見られます。日常会話ではほとんど使用されません。
日常会話では、直接的に人を批判するのを避ける傾向があるため、「irascible」という言葉はあまり使われません。ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、著名人の性格や行動を解説する際に使われることがあります。例えば、「彼は若い頃、irascibleな性格で知られていた」のように、過去の出来事を振り返る際に用いられることが多いです。より口語的な表現としては、「short-tempered」や「grumpy」が一般的です。
関連語
類義語
- choleric
怒りっぽい、短気な、という意味。体液病理学(四体液説)に由来し、胆汁質の人が怒りっぽいという考えから来ている。やや古風で、文学的な表現。 【ニュアンスの違い】『irascible』よりも医学的な背景があり、性格的な傾向を指すことが多い。一時的な怒りというより、慢性的な怒りっぽさを表すニュアンスが強い。日常会話ではあまり使われない。 【混同しやすい点】日常会話での使用頻度が低いため、『irascible』の類語としてすぐに思い浮かばない可能性がある。また、古風な表現であるため、現代的な文脈で使用すると違和感がある場合がある。
いらいらした、怒りっぽい、という意味。外部からの刺激に対して過敏に反応する状態を表す。医学的な文脈でも使われる。 【ニュアンスの違い】『irascible』よりも、一時的な不快感や不機嫌さを表すことが多い。体調不良やストレスなど、具体的な原因がある場合に用いられることが多い。感情の強さは『irascible』より弱い。 【混同しやすい点】『irascible』が性格的な傾向を指すのに対し、『irritable』は一時的な状態を表すことが多い。また、『irritable bowel syndrome(過敏性腸症候群)』のように、医学用語としても使われる。
- cantankerous
気難しい、つむじ曲がり、という意味。高齢者や病人が不機嫌な様子を表すことが多い。日常会話で使われる。 【ニュアンスの違い】『irascible』よりも、不平不満が多く、扱いにくい様子を表す。特定の状況下で不機嫌になるというより、常に不機嫌な状態を指すことが多い。年配者に対して使う場合は、敬意を欠く可能性がある。 【混同しやすい点】対象が主に高齢者や病人であるため、使用場面が限られる。『irascible』のように、一般的な性格を表す言葉としては使いにくい。また、親しい間柄で使う場合は良いが、フォーマルな場面では避けるべき。
- testy
短気な、怒りっぽい、という意味。ちょっとしたことでイライラする様子を表す。日常会話で使われる。 【ニュアンスの違い】『irascible』よりも、感情の爆発の度合いが小さい。軽い苛立ちや不機嫌さを表すことが多い。子供や動物に対して使われることもある。 【混同しやすい点】『irascible』が性格的な傾向を表すのに対し、『testy』は一時的な感情を表すことが多い。また、対象が子供や動物である場合もあるため、人間に対して使う場合は注意が必要。
不機嫌な、むっつりとした、という意味。子供や甘やかされた大人が、わがままを言う様子を表す。日常会話で使われる。 【ニュアンスの違い】『irascible』よりも、子供っぽく、不満げな態度を表す。欲求が満たされないときに、駄々をこねるようなニュアンスがある。大人に対して使う場合は、侮蔑的な意味合いが含まれることがある。 【混同しやすい点】対象が主に子供であるため、大人に対して使う場合は注意が必要。また、『irascible』のように、一般的な性格を表す言葉としては使いにくい。相手を不快にさせる可能性があるため、使用場面を選ぶ必要がある。
- cranky
不機嫌な、気難しい、という意味。体調不良や疲労が原因で不機嫌になっている様子を表す。日常会話で使われる。 【ニュアンスの違い】『irascible』よりも、一時的な不機嫌さを表すことが多い。具体的な原因がある場合に用いられることが多い。感情の強さは『irascible』より弱い。アメリカ英語でよく使われる。 【混同しやすい点】『irascible』が性格的な傾向を指すのに対し、『cranky』は一時的な状態を表すことが多い。また、イギリス英語では別の意味合いを持つ場合があるため、注意が必要。
派生語
『怒っている』という意味の形容詞。『irascible』の語源であるラテン語の『ira(怒り)』に由来し、直接的な感情を表す。日常会話や文学作品で、怒りの状態を強調する際に用いられる。irascibleよりも感情の表出が強いニュアンスを持つ。
- ire
『怒り』を意味する名詞。古風な表現だが、詩や文学作品で感情の激しさを表現する際に用いられる。日常会話ではあまり使われない。irascibleの感情の根源にある怒りそのものを指し示す。
『イライラさせる』『炎症を起こさせる』という意味の動詞。『ira(怒り)』を語源に持ち、感情や身体的な不快感を引き起こすことを表す。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われる。irascibleが人の性質を表すのに対し、irritateは外的要因による一時的な感情や状態の変化を表す。
反意語
- amiable
『愛想の良い』『感じの良い』という意味の形容詞。人当たりの良さや友好的な態度を表し、『irascible』の持つ怒りっぽさや不機嫌さとは対照的な性質を示す。日常会話やビジネスシーンで、好ましい人間関係を築く上で重要な資質として言及される。
『穏やかな』『平静な』という意味の形容詞。特に性格や態度が穏やかで落ち着いている様子を表し、『irascible』の持つ激しい感情の起伏とは対照的である。日常会話から学術的な文脈まで幅広く用いられる。海や湖などの自然描写にも使われ、静かで穏やかな状態を表す。
- affable
『愛想の良い』『気さくな』という意味の形容詞。『amiable』と似た意味を持つが、より相手に近づきやすく、親しみやすいニュアンスがある。『irascible』の持つ近寄りがたさとは対照的に、誰に対しても友好的に接する態度を表す。ビジネスシーンや社交的な場面で、良好な人間関係を築く上で重要な資質として評価される。
語源
"irascible」は、ラテン語の「irasci(怒る)」に由来します。この「irasci」は、さらに「ira(怒り)」という名詞から派生した再帰動詞です。つまり、「irascible」は文字通りには「怒りやすい性質を持つ」という意味合いを含んでいます。接尾辞の「-ible」は、「~できる」という意味を表し、形容詞を形成します。したがって、「irascible」は、怒りという感情が容易に引き起こされる状態、つまり「怒りっぽい」「短気な」といった意味を表すようになったのです。例えば、時代劇で「堪忍袋の緒が切れやすい」人物を想像すると、この単語のニュアンスが理解しやすいでしょう。
暗記法
「irascible(怒りっぽい)」は、権威ある者が弱さや不安を隠す仮面。絶対王政の君主や『リア王』のリア王のように、怒りを権力誇示の道具とし、周囲を支配しようとする姿を象徴します。現代でもワンマン経営者や強硬派政治家に見られ、男性的な感情表現とも結びつきがち。しかし、感情の多様性が尊重される現代では、冷静さこそがリーダーに求められる資質。「irascible」は、自己の不安定さを覆い隠す、時代遅れの感情なのです。
混同しやすい単語
スペルが非常に似ており、接頭辞 'ir-' が共通しているため、視覚的に混同しやすい。'irascible' は『怒りっぽい』という意味であるのに対し、'irresistible' は『抵抗できない』『魅力的な』という意味で、正反対に近い意味合いを持つ。発音も似ているため、文脈で判断する必要がある。特に、語尾の '-ible' と '-ascible' の違いに注意。
スペルの一部が共通しており、特に 'asable' の部分が似ているため、視覚的に誤認しやすい。'erasable' は『消せる』という意味で、動詞 'erase'(消す)から派生している。'irascible' とは意味が全く異なる。発音も異なるが、早口で話されると聞き間違える可能性がある。語源的には 'erase' は 'ras-'(削る)に関連し、'irascible' は 'ira'(怒り)に関連するため、由来も異なる。
スペルが似ており、特に 'ris-' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。'risible' は『笑いを誘う』『おかしい』という意味であり、'irascible' の『怒りっぽい』とは意味が異なる。発音も似ているため、文脈で判断する必要がある。語源的には 'risible' は 'ridere'(笑う)に関連し、'irascible' は 'ira'(怒り)に関連するため、由来も異なる。
スペルの一部が共通しており、特に 'rasc-' の部分が似ているため、視覚的に誤認しやすい。'rascal' は『悪党』『いたずらっ子』という意味で、'irascible' の『怒りっぽい』とは意味が異なるが、どちらもネガティブな意味合いを持つため、文脈によっては誤解が生じる可能性がある。発音も異なるが、早口で話されると聞き間違える可能性がある。注意点として、'rascal' は人に対して使い、'irascible' は性格を表す形容詞である。
語尾の '-ible' が共通しており、全体的な音の響きも似ているため、発音とスペルの両面で混同しやすい。'feasible' は『実行可能な』『実現可能な』という意味で、'irascible' の『怒りっぽい』とは意味が全く異なる。ビジネスシーンなどで頻繁に使われる単語であるため、混同しないように注意が必要。語源的には 'feasible' は 'facere'(行う)に関連し、'irascible' は 'ira'(怒り)に関連するため、由来も異なる。
接頭辞 'in-' と語尾の '-ible' が共通しており、全体的なスペルと音の響きが似ているため、混同しやすい。'invincible' は『無敵の』『征服できない』という意味で、'irascible' の『怒りっぽい』とは意味が全く異なる。特に、'in-' は否定を表す接頭辞であり、'vincible'(打ち負かせる)の反対の意味になることを理解しておくと、語彙の幅が広がる。発音も似ているため、文脈で判断する必要がある。
誤用例
The original sentence uses 'like a baby' to describe the boss's anger. While the imagery is understandable, 'irascible' already implies a tendency to be easily angered. The correction avoids this redundancy and provides a more sophisticated description of the behavior. The phrase 'loses his temper over trivial matters' is a common and natural way to express getting angry over small things. Japanese speakers sometimes directly translate idioms, which can lead to slightly unnatural phrasing. The revised sentence aims for a more idiomatic and nuanced expression.
While 'irascible' does imply a bad mood, the original sentence's tone might be perceived as slightly simplistic or even condescending. The correction aims for a more nuanced portrayal, suggesting a deeper cause for the irascibility ('deep-seated frustration'). Furthermore, it acknowledges a degree of understanding or 'empathy,' even in the face of difficult behavior. Japanese culture often values indirectness and empathy, even when expressing negative feelings. The revised sentence mirrors this sensibility by avoiding a direct statement of pity and instead suggesting a more complex emotional response. This approach aligns better with the mature and thoughtful tone expected in educated discourse.
The word 'cute' in English is often associated with youth, innocence, or physical attractiveness. Applying it to an 'irascible old man' creates a jarring contrast that can sound unnatural or even disrespectful. The correction replaces 'cute' with 'a certain charm,' which acknowledges a positive quality without undermining the man's irascible nature. It also uses 'gruff exterior' to soften the image. Japanese speakers may sometimes directly translate 'kawaii' (cute) without considering the specific connotations in English. The revised sentence attempts to convey a similar sense of endearment while maintaining a more sophisticated and culturally appropriate tone. There is a subtle difference in the way Japanese and Western cultures perceive and express affection for older people, and the correction aims to bridge this gap.
文化的背景
「irascible(怒りっぽい)」という言葉は、しばしば権威を持つ者が、その地位や能力に対する疑念を隠すために怒りという感情を濫用する状況と結び付けられてきました。特に、自己の正当性に対する不安が強い人物が、周囲を威圧し、議論を封じ込める手段として短気さを利用する様子を象徴的に表します。
歴史を振り返ると、絶対王政の時代、君主の中には自身の統治に対する些細な批判や抵抗に対し、過剰な怒りをもって臨む者がいました。彼らは、怒りという感情を権力の誇示と見せしめに利用し、臣下を恐怖で支配しようとしたのです。文学作品においても、シェイクスピアの『リア王』に登場するリア王は、老いによる判断力の低下と権威の失墜に対する恐れから、しばしば激しい怒りを爆発させます。彼の怒りは、自身の弱さを覆い隠すための仮面であり、同時に王国を混乱へと導く要因ともなりました。このように、「irascible」は、権力者が自己の不安定さを隠蔽し、周囲をコントロールしようとする際に現れる感情として、歴史的、文学的な文脈で繰り返し描かれてきました。
現代社会においても、「irascible」な人物像は、組織のリーダーシップや政治の世界で見られます。例えば、ワンマン経営で知られる企業の創業者や、強硬な姿勢を貫く政治家の中には、自身の意見に反対する者に対し、激しい口調で非難したり、感情的に攻撃したりする人物がいます。彼らの怒りは、自信のなさの裏返しである場合もあれば、単に相手を威圧し、自己の優位性を確立するための戦略である場合もあります。いずれにせよ、「irascible」な態度は、建設的な議論を妨げ、組織や社会全体の発展を阻害する要因となり得ます。
また、「irascible」は、しばしば男性的な感情表現と結び付けられてきました。伝統的に、男性は感情を抑制することが美徳とされてきた一方で、怒りは、男性が自己主張や権力を示すための手段として容認されてきた側面があります。しかし、近年では、感情の多様性を認め、怒り以外の感情表現も尊重する社会へと変化しつつあります。そのため、「irascible」という言葉が持つネガティブな意味合いは、より一層強まっていると言えるでしょう。感情をコントロールし、冷静な判断を下せる能力こそが、現代社会において求められるリーダーシップの資質であると考えられています。
試験傾向
準1級、1級の語彙問題で出題される可能性があります。長文読解で文章のニュアンスを理解する際に必要となることもあります。
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解
2. 頻度と級・パート: 準1級以上
3. 文脈・例題の特徴: 少し硬い文章、性格描写
4. 学習者への注意点・アドバイス: フォーマルな表現なので、日常会話での使用は稀です。類義語とのニュアンスの違いを理解しましょう。
TOEICでは、この単語が直接問われることは稀ですが、長文読解で登場する可能性はあります。特に、人の性格や行動を説明する文脈で使われることがあります。
1. 出題形式: 長文読解
2. 頻度と級・パート: 稀
3. 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンにおける人物評価、チーム内の人間関係
4. 学習者への注意点・アドバイス: 直接的な語彙問題対策としては優先度低めですが、読解力向上のために覚えておくと良いでしょう。
TOEFLのリーディングセクションで出題される可能性があります。アカデミックな文章で、人の性質や行動を説明する際に使われることがあります。
1. 出題形式: リーディング
2. 頻度と級・パート: 中程度
3. 文脈・例題の特徴: 社会科学系の文章、心理学の研究
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習をしておきましょう。類義語との使い分けも重要です。
難関大学の二次試験や私立大学で出題される可能性があります。長文読解で、人の性格や感情を表す際に使われることがあります。
1. 出題形式: 長文読解、記述問題(和訳、内容説明)
2. 頻度と級・パート: 高難易度
3. 文脈・例題の特徴: 論説文、物語文
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈の中で正確に意味を把握することが重要です。和訳問題では、適切な日本語で表現できるように練習しましょう。