greedy
強勢は最初の音節 /ˈɡriː/ にあります。母音 /iː/ は日本語の『イー』よりも長く、口角を左右に引いて発音します。/d/ は舌先を上の歯茎につけて発音する有声音で、日本語の『ド』よりも息を強く出すイメージです。全体として、リズムを意識して発音するとより自然になります。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
欲張りな
金銭や食料など、必要以上に多くを求める様子。しばしば否定的な意味合いを伴う。単に物を欲しがるだけでなく、他人から奪い取ろうとするニュアンスも含む。
The little boy was so greedy that he ate all the cookies by himself.
その小さな男の子はとても欲張りで、クッキーを全部一人で食べてしまいました。
※ この例文は、子供が食べ物に対して「もっと欲しい」「全部自分のものにしたい」という強い気持ちをストレートに出している場面です。みんなで食べるはずのものを独り占めする様子は、「greedy」の最も基本的で分かりやすい使い方のひとつです。「so greedy that he ate...」で「とても欲張りなので、~してしまった」と、その結果まで伝えています。
Some people become very greedy for money and forget about others.
一部の人々はお金にとても欲張りになり、他人のことを忘れてしまいます。
※ ここでは、お金に対する強い欲望を持つ人の様子を描いています。「もっとお金を稼ぎたい」という気持ちが強すぎて、周りの人への配慮や大切なことを見失ってしまう状態です。「greedy for money」は「お金に欲張りな」という、非常によく使われる表現です。ニュースや社会問題について話すときにも耳にすることがあります。
The company president was too greedy for power and made many enemies.
その会社の社長は権力に欲張りすぎたため、多くの敵を作ってしまいました。
※ この例文では、お金だけでなく「権力(power)」という目に見えないものに対する強い欲望を表しています。社長が権力を手に入れるために手段を選ばず、結果として多くの人から反感を買ってしまった場面です。「too greedy for power」で「権力に対して欲張りすぎる」という、少し否定的なニュアンスが加わります。ビジネスの場面や物語の中でもよく使われる表現です。
貪欲な
目標達成や知識習得など、強い意欲を持って何かを追い求める様子。必ずしも否定的な意味ではなく、向上心や熱意の表れとして使われることもある。
The little boy was so greedy that he ate all the cookies by himself.
その小さな男の子はとても貪欲で、クッキーを全部一人で食べてしまいました。
※ この例文は、子供が食べ物を独り占めするような、身近な「貪欲さ」の場面を描いています。誰かが「もっともっと」と必要以上に欲しがる様子が目に浮かびますね。特に食べ物に対して使われる典型的なシチュエーションです。
Some people become greedy for money and power, forgetting others.
一部の人々は、他人を忘れ、お金や権力に貪欲になります。
※ ここでは「greedy for ~(~に貪欲な)」という形で、お金や権力といった、より抽象的なものに対する強い欲望を表しています。自分の利益ばかりを追求し、周りが見えなくなる人の姿がイメージできます。「forgetting others」を加えることで、その貪欲さのネガティブな側面が強調されています。
Don't be greedy; share your snacks with your friends.
欲張らないで、おやつを友達と分け合いなさい。
※ これは、子供に「欲張らないで」と諭す親の言葉のような、日常会話でよく使われる表現です。「Be greedy.」で「欲張りな(状態)である」という意味になります。命令形にすることで、特定の行動(おやつを分ける)を促し、貪欲な行動を具体的にイメージさせています。
むさぼる
食べ物などを、品なく、がつがつと食べる様子。または、あらゆるものを手に入れようとする様子。
The child was greedy for more cookies, even after eating five.
その子は5枚も食べたのに、まだクッキーをもっと欲しがった。
※ この例文は、子供がすでにたくさん食べたのに、まだお菓子を猛烈に欲しがっている様子を鮮やかに描写しています。「greedy for B」で「Bをむさぼる、Bに貪欲な」という意味になり、食べ物に対して使うのはとても自然で典型的な場面です。
He was too greedy to share his toys with his friends.
彼は欲張りすぎて、おもちゃを友達と分けることができなかった。
※ ここでは、「greedy」が「独り占めする」という行動に結びついています。「too greedy to do」は「~するには欲張りすぎる、~できないほど欲張りだ」という決まった言い方です。子供が自分のものを手放したがらない、欲張りな様子が目に浮かびますね。
Don't be greedy and try to take all the best pieces for yourself.
欲張って、一番いい部分を全部自分で取ろうとしないでください。
※ 「Don't be greedy.」は、誰かが欲張っているときに「欲張らないでね」と注意する、日常会話で非常によく使われるフレーズです。「take all the best pieces for yourself」という具体的な行動が、「むさぼる」気持ちや「独り占めしたい」という欲を鮮やかに表しています。
コロケーション
権力欲が強い、権力を貪欲に求める
※ 「greedy for + 名詞」の形で、特定のものに対する強欲さを示す典型的なコロケーションです。権力、富、名声など、人が強く求めるものと結びつきやすいです。単に「権力志向」というだけでなく、「手段を選ばない」「度が過ぎている」というニュアンスを含みます。ビジネスや政治の文脈でよく用いられ、しばしば批判的な意味合いを伴います。
貪欲法、欲張りアルゴリズム
※ 計算機科学の分野で用いられる専門用語で、常にその時点で最適な選択肢を選び続けるアルゴリズムのことです。必ずしも全体として最適な解が得られるとは限りませんが、局所的には効率が良いという特徴があります。専門的な文脈以外ではあまり使われませんが、「目の前の利益に囚われて全体を見失う」という比喩として応用できるかもしれません。
欲深そうな目、貪欲なまなざし
※ 人の外見、特に目つきが貪欲さを表していることを描写する際に用いられる表現です。文学作品や映画などで、キャラクターの性格や内面を表現する手段として使われます。直接的な表現を避け、より印象的かつ視覚的に描写したい場合に適しています。例えば、「彼の目は金銭への貪欲さを物語っていた」のように使います。
強欲な家主、法外な家賃を要求する大家
※ 不動産賃貸業界における搾取的な行為を行う家主を指す言葉です。不当に高い家賃を請求したり、必要な修繕を怠ったりする家主を批判的に表現する際に使用されます。「貪欲」という言葉が、単なる利益追求を超えた不正な行為を示唆しています。ニュース記事や社会問題に関する議論で用いられることがあります。
強欲な奪い取り、がっつくような行為
※ 何かを不正に、あるいは過剰に奪い取る行為を指します。物理的な物を奪うだけでなく、機会や権利を奪う場合にも使えます。「grab」という単語自体に「乱暴に掴む」という意味合いがあり、「greedy」と組み合わせることで、その行為の利己的で不当な性質を強調します。報道記事や社会批判の文脈でよく見られます。
賞賛を渇望する、褒められたくてたまらない
※ "greedy for + 名詞"の構造で、賞賛という抽象的なものへの強い欲求を表します。自己顕示欲が強く、他者からの評価を過剰に気にする人物を表現する際に適しています。文学作品や心理学的な分析で、人物の性格描写として用いられることがあります。似た表現に"hungry for praise"がありますが、"greedy"の方がより利己的なニュアンスが強くなります。
飽くことを知らないほど貪欲な
※ 「insatiably」は「満たされることがない」という意味の副詞で、「greedy」を強調するために使われます。人間の欲望が底なしであることを強調する際に用いられ、しばしば批判的な文脈で使用されます。例えば、企業の飽くなき利益追求や、権力者の果てしない権力欲などを表現するのに適しています。文学作品や社会評論などで見られる表現です。
使用シーン
学術論文や専門書で、アルゴリズムの効率性やリソース管理の文脈で使われます。例えば、計算機科学の分野で「greedy algorithm(貪欲法)」という用語が頻繁に登場し、そのアルゴリズムの特性を議論する際に用いられます。また、経済学において、企業の利潤最大化行動を説明する際に、「greedy behavior(貪欲な行動)」という言葉が使われることがあります。
ビジネスシーンでは、交渉や契約、資源配分に関する議論で使われることがあります。例えば、プロジェクトマネージャーが「ベンダーがgreedyな条件を提示してきた」と報告する場面や、経営戦略会議で「市場シェアをgreedyに拡大する」という表現が用いられることがあります。ただし、直接的な批判を避けるため、婉曲的な表現が好まれる傾向があります。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、企業の不正行為や個人の倫理観に関する話題で使われることがあります。例えば、「あの企業は環境を破壊してまで利益を追求するgreedyな企業だ」というような使われ方をします。ただし、強い非難の意味合いを含むため、使用には注意が必要です。
関連語
類義語
- avaricious
金銭や財産に対する過度な欲を示す。フォーマルな場面や、やや否定的な文脈で使用されることが多い。 【ニュアンスの違い】"greedy"よりもさらに強い非難のニュアンスを含み、しばしば道徳的な欠陥として描かれる。対象は主に金銭や財産。 【混同しやすい点】日常会話ではあまり使われず、文学作品やニュース記事などで見かけることが多い。発音もやや難しい。
- covetous
他人の所有物を強く欲しがる様子。嫉妬や羨望の感情を伴うことが多い。宗教的な文脈や文学作品にも登場する。 【ニュアンスの違い】"greedy"が単に欲深いことを指すのに対し、"covetous"は他人のものを欲しがるという対象が明確。羨望のニュアンスが強い。 【混同しやすい点】聖書の十戒にも登場する言葉で、道徳的な意味合いが強い。日常会話では"envious"の方が一般的。
- grasping
利益や権力を手に入れようと必死になっている様子。しばしば、不正直な手段や強引な方法を用いることを暗示する。 【ニュアンスの違い】"greedy"よりも、何かを掴み取ろうとする積極的な行動を伴うニュアンスが強い。ビジネスや政治の文脈で使われることが多い。 【混同しやすい点】文字通り「掴む」という意味から派生しており、比喩的に使われることが多い。道徳的な批判を含む場合がある。
- rapacious
略奪的で貪欲な様子。特に、権力や地位を利用して不正に利益を得ることを指す。フォーマルな文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】"greedy"よりも強い意味を持ち、暴力や搾取を伴うような貪欲さを表す。対象は金銭だけでなく、権力や地位なども含まれる。 【混同しやすい点】日常会話ではほとんど使われず、歴史的な文脈や、企業の不正行為などを報道する際に用いられることが多い。
- acquisitive
所有欲が強く、物を集めることに熱心な様子。必ずしも否定的な意味合いを持つとは限らない。美術品収集家などを指す場合もある。 【ニュアンスの違い】"greedy"が単に欲深いことを指すのに対し、"acquisitive"は物を集める行為自体に重点が置かれる。必ずしも道徳的な非難を含まない。 【混同しやすい点】中立的な意味合いで使われることもあるため、文脈によって意味が異なることに注意が必要。ビジネスの文脈では、企業の買収などを指す場合もある。
- insatiable
満足することを知らない、飽くなき欲望を持つ様子。物質的なものに限らず、知識や経験など、抽象的なものに対しても使われる。 【ニュアンスの違い】"greedy"が具体的なものを欲しがるのに対し、"insatiable"は満たされない渇望の状態を表す。対象は多岐にわたる。 【混同しやすい点】形容詞としてのみ使用され、具体的な対象を指すのではなく、状態を表す。比喩的な表現として用いられることが多い。
派生語
名詞形で『貪欲』『強欲』を意味します。『greedy』という形容詞が持つ性質そのものを指し示す、より直接的な表現です。日常会話でも使われますが、ニュースや報道などで、企業の不正行為などを批判する際にも用いられます。形容詞の『greedy』よりも、より強い非難のニュアンスを含むことが多いです。
- greedily
副詞形で『貪欲に』『がつがつと』という意味です。動詞を修飾し、その行為が貪欲な様子で行われることを表します。例えば、『He ate the cake greedily.(彼はケーキをがつがつ食べた)』のように使われます。日常会話で、人の行動を少しユーモラスに、あるいは批判的に描写する際に用いられます。
- greediness
抽象名詞で『貪欲さ』『強欲さ』を意味します。『greed』よりもさらに抽象的な概念を指し、特定の行動というよりも、性質や傾向を表します。心理学や社会学の研究論文などで、人間の行動原理を分析する際に用いられることがあります。例えば、『Greediness is a major cause of social inequality.(強欲さは社会的不平等の大きな原因である)』のように使われます。
反意語
『寛大な』『気前の良い』という意味で、『greedy(貪欲な)』とは正反対の性質を表します。『greedy』が自分の利益を優先するのに対し、『generous』は他人に分け与えることを厭いません。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われ、人の性格や行動を評価する際に重要な語彙です。例えば、『He is a generous person.(彼は寛大な人だ)』のように使われます。
『無欲な』『利他的な』という意味で、『greedy』が自己中心的であるのに対し、『selfless』は他者のために行動することを意味します。特に、困難な状況で他者を助けるような行為を称賛する際に用いられます。例えば、『She is a selfless volunteer.(彼女は無欲なボランティアだ)』のように使われます。道徳的な意味合いが強く、ニュースやドキュメンタリーなどでもよく見られます。
『利他的な』という意味で、『selfless』とほぼ同義ですが、より学術的な文脈で使われることが多いです。心理学や社会学の研究で、人間の行動原理を説明する際に用いられます。例えば、『Altruistic behavior is essential for social cohesion.(利他的な行動は社会の結束に不可欠である)』のように使われます。『greedy』の対義語として、人間の持つ二面性を表す語として重要です。
語源
"Greedy"は、古英語の"grædig"に由来し、これは「貪欲な、欲深い」という意味を持っていました。さらに遡ると、ゲルマン祖語の"*gradags"(貪欲な)にたどり着きます。この語は"*grad-"(貪る、むさぼる)という語根に関連しており、これは「喜んで受け入れる」という意味合いを含んでいます。つまり、"greedy"は元々、何かを強く欲し、むさぼり取るような性質を表していたのです。日本語で例えるなら、「がっつく」という表現が近いかもしれません。現代英語でも、この基本的な意味合いは変わらず、物質的なものだけでなく、名声や権力など、あらゆるものに対する過度な欲求を示す言葉として使われています。
暗記法
「greedy」は、中世キリスト教道徳における七つの大罪「強欲」に深く根ざし、醜悪な姿で破滅する寓話として描かれてきました。ミダス王の物語やダンテの神曲にもその姿が見られます。資本主義の発展とともに、その意味合いは複雑化しましたが、過度な利益追求は再び批判の対象に。現代では、企業の不正や環境問題など、より広範な社会問題と結びつき、欲望の本質を問いかける言葉として、私たちの心に深く刻まれています。
混同しやすい単語
『greedy』と『ready』は、どちらも語頭が 're-' で始まるため、特に音声を聞き取る際に混同しやすい可能性があります。また、どちらも形容詞として使われますが、『greedy』が『貪欲な』という意味であるのに対し、『ready』は『準備ができている』という意味で、意味は大きく異なります。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要があります。発音記号を意識して/riːdi/と/ˈɡriːdi/の違いを認識することが重要です。
『greedy』と『greed』は、語源が同じで意味も関連していますが、品詞が異なります。『greedy』は形容詞で『貪欲な』という意味ですが、『greed』は名詞で『貪欲さ』という意味です。したがって、『He is greedy.』と『He has greed.』のように、文の構造が異なります。日本人学習者は、文中でどちらの品詞が必要かを意識する必要があります。接尾辞 -y と -ed の違いに注意しましょう。
『greedy』と『green』は、どちらも 'gr' で始まる短い単語であり、特に発音に自信がない場合や早口で話された場合に混同しやすい可能性があります。『green』は『緑色』または『未熟な』という意味で、意味は全く異なります。例えば、『He is green.』は『彼は未熟だ』という意味になり、『He is greedy.』とは意味が異なります。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要があります。/iː/と/i/の母音の違いに注意して発音しましょう。
『greedy』と『gravy』は、どちらも2音節の単語で、アクセントの位置も似ているため、音声的に混同される可能性があります。『gravy』は『グレイビーソース』という意味で、料理に関連する文脈で使われます。したがって、文脈を考慮することで、両者を区別することができます。また、スペルも似ていますが、『-ee-』と『-av-』の部分が異なるため、注意深くスペルを確認することが重要です。
『greedy』と『great』は、どちらも語頭が 'gr' で始まり、発音も似ているため、特にリスニング時に混同しやすい可能性があります。『great』は『素晴らしい』や『大きい』という意味で、肯定的な意味合いで使われることが多いのに対し、『greedy』は否定的な意味合いで使われることが多いです。文脈から判断することが重要です。また、綴りも似ていますが、'ea' と 'ee' の部分が異なるため、スペルにも注意しましょう。/eɪ/と/iː/の二重母音と長母音の違いを意識しましょう。
『greedy』と『graze』は、どちらも 'gr' で始まる動詞または名詞であり、発音が似ているため、混同しやすい可能性があります。『graze』は『放牧する』または『かすめる』という意味で、動物や接触に関連する文脈で使われます。したがって、文脈を考慮することで、両者を区別することができます。また、スペルも似ていますが、『-ee-』と『-a-』の部分が異なるため、注意深くスペルを確認することが重要です。
誤用例
『greedy』は一般的に物質的な欲、特に金銭や食べ物に対する過度な欲求を表す場合に適しています。知識欲のように抽象的なものに対して使うと、やや不自然で、まるで知識を独占しようとしているかのような印象を与えかねません。より適切な表現は『insatiable thirst』や『unquenchable desire』です。日本語の『貪欲』という言葉が、良い意味でも悪い意味でも使えるため、つい『greedy』を使ってしまいがちですが、英語ではニュアンスが異なります。英語では、知識に対しては『eager』『keen』『avid』などの形容詞を使う方が自然です。
『greedy』は日常会話でよく使われる言葉ですが、企業の行動を批判するようなフォーマルな文脈では、やや口語的すぎます。『rapacious』や『avaricious』のような、より強い意味を持つ単語を使う方が適切です。日本語では『強欲』という言葉がありますが、『greedy』はそれよりもやや軽いニュアンスで、フォーマルな場面にはそぐわない場合があります。日本語の『〜的』という表現に引っ張られ、安易に形容詞を選んでしまう傾向があるかもしれませんが、文脈に応じた適切な語彙選択が重要です。
『greedy』は基本的に自分自身の利益を追求する際に使われます。他者を助けるという行為に対して使うと、意味が通じません。この場合、純粋な意欲や熱意を表す『eager』や『willing』を使うのが自然です。日本人は『〜することに貪欲だ』という日本語を直訳して『greedy to do something』という形にしてしまいがちですが、これは誤りです。英語では、他者への行為には利他的な意味合いを持つ単語を選ぶ必要があります。また、形容詞の後にto不定詞が続く場合、その形容詞が表す感情や性質の対象が誰(何)であるかを意識することが重要です。
文化的背景
「greedy(貪欲)」は、単に物を欲しがるだけでなく、他者の権利や幸福を顧みずに自己の利益を追求する、道徳的に非難されるべき欲望を意味します。この言葉は、中世以降のキリスト教道徳において、七つの大罪の一つである「強欲」と深く結びつき、社会秩序を乱す悪徳として強く否定されてきました。
中世の寓話や説教では、greedyな人物はしばしば醜悪な姿で描かれ、その貪欲さゆえに破滅を迎える存在として登場します。例えば、ミダス王の物語は、触れるものすべてを黄金に変える力を得たものの、食物すら口にできなくなり餓死寸前になるという、貪欲の愚かさを象徴する有名な例です。また、ダンテの『神曲』地獄篇では、強欲な者は財産を溜め込むことしか考えず、永遠に重い荷物を運び続ける罰を受けるとされています。これらの物語は、greedyという言葉が持つ否定的なイメージを強固なものにしました。
近代以降、資本主義経済が発展するにつれて、greedyという言葉のニュアンスは複雑化しました。一方で、企業家精神や競争原理を肯定的に捉える文脈では、利益追求は必ずしも悪とはみなされなくなりました。しかし、過度な利益追求が環境破壊や貧困の拡大を引き起こすことが明らかになるにつれて、greedyという言葉は再び批判的な意味合いを強めています。ウォール街の金融危機を引き起こした金融機関の幹部たちが「greedy」と非難されたことは、その典型的な例と言えるでしょう。
現代社会において、greedyは単なる個人的な欲望にとどまらず、企業の不正行為、政治腐敗、環境問題など、より広範な社会問題と結びついて語られることが多い言葉です。ブラックフライデーのセールで人々が我先にと商品を奪い合う光景や、SNSで「いいね!」の数を競い合う様子なども、現代におけるgreedyの一つの表れと解釈できるかもしれません。greedyという言葉は、人間の欲望の本質と、それが社会に及ぼす影響について考えさせる、深い文化的背景を持つ言葉なのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも稀に出題
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、人物評など、幅広いテーマで使われる。会話文ではやや皮肉なニュアンスを含む場合も。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞形 'greed' との区別が重要。類義語 'avaricious' との違い(貪欲さの対象や程度)を理解しておくと有利。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的よく見られる。Part 5では難易度高めの問題として出題。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンにおける競争、利益追求、資源の浪費などを表す文脈で登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス関連の語彙と組み合わせて覚えるのが効果的。例えば、'greedy for market share'(市場占有率への貪欲さ)など。
- 出題形式: リーディング
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
- 文脈・例題の特徴: 経済学、心理学、社会学など、学術的な文脈で使われることが多い。抽象的な概念や社会現象を説明する際に用いられる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 比喩的な意味合いで使われる場合もあるため、文脈全体から意味を推測する練習が必要。類義語 'voracious' (貪欲な、がつがつした) とのニュアンスの違いを理解しておくと良い。
- 出題形式: 長文読解、自由英作文(テーマによっては使用可能)
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文で頻出。標準的な大学でも出題される可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 環境問題、経済格差、企業の倫理など、社会的なテーマで使われることが多い。批判的な視点を含む文章でよく見られる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。'greedy' がどのような結果をもたらすのか、文章全体を通して把握する必要がある。和訳問題では、適切な日本語を選ぶ語彙力も問われる。