facility
第2音節にアクセントがあります。最初の母音 /ə/ は曖昧母音で、日本語の『ア』よりも弱く、口を軽く開けて発音します。/ˈsɪ/ の部分は、日本語の『シ』よりも舌先を少し下げて発音するとより近くなります。最後の /ti/ は、はっきりと『ティ』と発音せず、軽く添える程度で良いでしょう。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
施設
建物、設備、サービスなどを包括的に指す。特定の目的のために作られ、利用される場所や設備を意味する。例:スポーツ施設、医療施設、研究施設など。
The park has excellent facilities for children to play safely.
その公園には、子どもたちが安全に遊べる素晴らしい施設があります。
※ この例文は、公園の遊具、休憩所、トイレなど、訪れる人が利用できる様々なものを「facilities」と総称している典型的な使い方です。親が子どもたちが楽しそうに遊んでいるのを見て、その公園の充実した設備に安心している情景が目に浮かびますね。「excellent facilities」で「素晴らしい施設」と、その質を表すこともよくあります。
The hospital plans to build a new medical facility next year.
その病院は、来年、新しい医療施設を建設する計画です。
※ ここでは、病院が新たな医療サービスを提供するための建物や設備全体を「medical facility」(医療施設)と呼んでいます。古くなった病院の建物や設備が新しくなることで、より質の高い治療が受けられるようになる、という期待感が伝わってきますね。「medical」のように、何の目的の施設かを具体的に示す形容詞と一緒に使うことが多いです。
Our company has a large production facility in the countryside.
私たちの会社は、田舎に大きな生産施設を持っています。
※ この例文では、製品を作るための工場や設備一式を「production facility」(生産施設)と表現しています。自社の広大な工場を誇らしげに紹介しているようなビジネスシーンが想像できますね。このように、特定の機能(生産、研究、倉庫など)を持つ建物や場所の集合体を指す際にも「facility」は非常によく使われます。
容易さ
物事が簡単に行えること、またはその性質。スキルや資源によって、ある行為が容易になる状況を表す。例:writing with facility(容易な筆致)
He explained the difficult concept with such facility that everyone understood it quickly.
彼はその難しい概念を非常に容易に説明したので、誰もがすぐに理解しました。
※ この例文は、難しいことをまるで魔法のように分かりやすく説明する人がいる情景を描写しています。「そんなに簡単に理解できるんだ!」という驚きと感謝の気持ちが伝わります。 「with facility」は「容易に」「たやすく」という意味で、特に「能力や習熟によってもたらされるスムーズさ」を表します。ここでは、彼の説明能力の高さが「容易さ」として表現されています。「such facility that...」は「非常に容易だったので…」と結果を表す構文です。
The young gymnast performed her routine with amazing facility and precision.
その若い体操選手は、驚くほど軽々と、しかも正確に演技をしました。
※ この例文は、体操の大会で、小さな選手が信じられないくらい難しい技を、まるで重力を感じさせないかのように軽々とこなしている情景です。見ている人が思わず「すごい!」と息をのむような場面です。 ここでも「with facility」が使われ、体操選手の「動作の容易さ」「流れるような滑らかさ」を表現しています。特に身体的な動きやパフォーマンスにおいて、「いとも簡単にやってのける」というニュアンスを伝えたい時にぴったりです。「precision」は「正確さ」という意味で、容易さと正確さが両立している様子がわかります。
Even though English was not her first language, she spoke with great facility.
英語が母国語ではないにもかかわらず、彼女はとても流暢に話しました。
※ この例文は、英語を学ぶ者として、外国人の友人が、流れるようにスムーズな英語で自分の考えを話す姿に感銘を受けている場面です。「自分もあんな風に話せたら…」という憧れの気持ちも込められています。 ここでは、言語を話す際の「流暢さ」や「表現の容易さ」を「facility」で表しています。特に、努力や学習によって身につけた能力が、まるで自然なことのように感じられるほどの「容易さ」を強調します。「with great facility」は「非常に流暢に」「見事なまでに簡単に」という意味になります。「Even though...」は「~にもかかわらず」という逆説を表す表現です。
容易にする
何かをより簡単に行えるようにする、または促進する。例:to facilitate a discussion(議論を円滑に進める)
The teacher's clear explanations helped to facilitate our understanding of the new grammar rules.
先生の分かりやすい説明は、私たちが新しい文法規則を理解するのを大いに助けてくれました。
※ この例文では、先生の「分かりやすい説明」が、生徒が「文法規則を理解する」という行動をスムーズに、つまり「容易にする」様子が描かれています。何かを「しやすくする」「進めやすくする」という文脈でよく使われる動詞です。テスト勉強で「なるほど!」と腑に落ちた時の、嬉しい気持ちが想像できますね。
Her clear agenda helped to facilitate the team meeting smoothly and quickly.
彼女の明確な議題のおかげで、チーム会議はスムーズかつ迅速に進みました。
※ ここでは、「明確な議題」が会議全体の進行を「容易にする」役割を果たしています。会議で話が脱線せず、テキパキと決まる様子が目に浮かびますね。ビジネスの場面で、物事を効率的かつスムーズに進める際に頻繁に使われる動詞です。
The new elevator will greatly facilitate movement for people using wheelchairs.
新しいエレベーターは、車椅子を利用する方々の移動を大いに容易にするでしょう。
※ この例文では、「新しいエレベーター」が、車椅子を利用する方々の「移動」を「容易にする」具体的な手段として描かれています。今まで大変だった移動が、エレベーターのおかげで楽になる様子が伝わります。公共施設などで、特定の利用者の便宜を図る文脈でよく使われます。
コロケーション
最新鋭の設備、最高水準の施設
※ 「state-of-the-art」は「技術の粋を集めた」「最新技術を駆使した」という意味の形容詞で、名詞のfacilityを修飾することで、その施設が非常に高度な設備を備えていることを強調します。研究施設、病院、スポーツ施設など、技術的な先進性が重要な場所でよく用いられます。単に「new facility」と言うよりも、その施設が持つ特別な価値を伝えられます。
拘置施設、収容施設
※ 犯罪容疑者や不法滞在者を一時的に収容するための施設を指します。「detention」は「拘留、留置」という意味で、この組み合わせは、法執行機関や政府機関が公式な文脈で使用することが多いです。刑務所(prison)とは異なり、通常は裁判前の容疑者や、入国手続き中の人々を収容する目的で使用されます。
研修施設、訓練施設
※ 特定のスキルや知識を習得するための訓練を行う場所を指します。企業内研修、スポーツトレーニング、軍事訓練など、様々な分野で使用されます。スポーツの文脈では「training camp」という表現も一般的です。「facility」を使うことで、単なる場所ではなく、設備が整った専門的な訓練環境であることを示唆します。
レクリエーション施設、娯楽施設
※ 人々の娯楽やレジャーのために提供される施設を指します。ジム、プール、公園、映画館などが含まれます。「recreational」は「娯楽の、レクリエーションの」という意味で、この組み合わせは、地域社会の生活の質を高めるための施設であることを強調します。公共施設やリゾート施設などでよく用いられます。
廃棄物処理施設
※ ごみや産業廃棄物を処理するための施設を指します。「waste disposal」は「廃棄物処理」という意味で、環境問題に関わる文脈でよく用いられます。焼却施設、埋立地、リサイクル施設などが含まれます。専門的な用語であり、環境保護や都市計画に関連する議論で頻繁に登場します。
医療施設
※ 病院、診療所、クリニックなど、医療サービスを提供する施設を指します。「medical」は「医療の」という意味で、この組み合わせは、健康管理や治療を目的とした施設であることを明確にします。患者や医療関係者が日常的に使用する表現です。より一般的な「hospital」よりも広い意味を持ち、様々な規模や種類の医療機関を指すことができます。
試験施設、検査施設
※ 製品、材料、またはシステムが特定の基準を満たしているかどうかをテスト・検証するための施設を指します。「testing」は「試験、検査」という意味で、品質管理や研究開発の文脈でよく用いられます。自動車の衝突試験施設、食品の品質検査施設、ソフトウェアのテストラボなどが含まれます。信頼性や安全性を保証するために不可欠な施設です。
使用シーン
大学の講義や研究論文で頻繁に使用されます。例えば、実験施設を指す場合(例:最先端の研究facilityを利用する)、またはデータ分析において「〜という傾向が見られる」という場合(例:データには特定のfacilityが見られる)に使われます。研究分野や設備に関する議論では必須の単語です。
ビジネス文書や会議で、設備や便宜供与を指す場合に使用されます。例えば、新しいオフィスfacilityについて議論する際や、従業員の作業を容易にするための施策(例:新しいソフトウェアの導入で業務をfacilityする)について説明する際に使われます。また、能力や才能を指す場合にも、ややフォーマルな文脈で用いられます(例:彼の交渉facilityは素晴らしい)。
日常会話ではあまり使われませんが、公共施設やスポーツ施設などを指す際に使用されることがあります(例:近所のスイミングfacilityに行く)。また、ニュース記事やドキュメンタリーで、刑務所などの施設について言及する際にも見かけることがあります。一般的には、より口語的な表現(place, buildingなど)が好まれます。
関連語
類義語
何かを行う能力、才能、手腕を指す。抽象的な概念で、個人や組織が持つ潜在的な力やスキルを表すことが多い。ビジネス、教育、日常会話など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"facility"が具体的な設備や場所を指すのに対し、"ability"は抽象的な能力を指す。"facility"は物理的な環境が整っていることを示唆するが、"ability"は個人のスキルや才能に焦点を当てる。 【混同しやすい点】"facility"を「能力」の意味で使う場合もあるが、この意味では"ability"の方が一般的。"facility"は通常、具体的な設備や場所を指すため、文脈によって意味を適切に判断する必要がある。
特定のことを学ぶ、または行うための生まれつきの才能や潜在能力を指す。適性や素質といった意味合いが強く、将来的な成功の可能性を示唆する。教育やキャリアの分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"facility"が既存の設備や環境を指すのに対し、"aptitude"は個人の潜在的な能力を指す。"facility"は外的な要因であるのに対し、"aptitude"は内的な要因である。 【混同しやすい点】"aptitude"は潜在的な能力を指すのに対し、"facility"は既存の設備や、すでに習得している能力を指すことがある。"aptitude"は将来的な可能性に焦点を当てるが、"facility"は現在の状況や能力に焦点を当てる。
訓練や経験を通して習得した、特定のタスクを遂行する能力。熟練や技術といった意味合いが強く、実践的な能力を示す。ビジネス、スポーツ、芸術など幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】"facility"が設備や場所、または容易さを指すのに対し、"skill"は個人の習得した能力を指す。"facility"は環境的な要因であるのに対し、"skill"は個人の努力や訓練の結果である。 【混同しやすい点】"skill"は具体的な訓練や経験によって習得される能力を指すのに対し、"facility"は設備や場所、または生まれつきの才能や容易さを指すことがある。"skill"は努力によって向上するが、"facility"は環境や才能に依存する。
目的を達成するために利用できる資産や手段。資源、資金、人材など、広範囲な意味を持つ。ビジネス、経済、環境など様々な分野で使用される。 【ニュアンスの違い】"facility"が特定の場所や設備を指すのに対し、"resource"はより広範な概念で、利用可能なあらゆるものを指す。"facility"は具体的な場所や設備であるのに対し、"resource"は抽象的な概念を含む。 【混同しやすい点】"facility"は特定の場所や設備を指すのに対し、"resource"はそれ以外の資源(資金、人材など)も含む。文脈によって、どちらがより適切な表現かを判断する必要がある。
社会や経済活動を支える基本的な構造物やシステム。道路、橋、通信網、エネルギー供給システムなどを含む。政府、経済、都市計画などの分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"facility"が特定の建物や設備を指すのに対し、"infrastructure"はより広範なネットワークやシステムを指す。"facility"は個別の要素であるのに対し、"infrastructure"はそれらが組み合わさった全体を指す。 【混同しやすい点】"facility"は特定の建物や設備を指すのに対し、"infrastructure"は複数の"facility"を含む、より大きなシステムを指す。例えば、空港は一つの"facility"だが、空港、道路、鉄道などを組み合わせた交通システム全体は"infrastructure"である。
工場や発電所などの大規模な産業施設。生産設備や機械設備などが含まれる。主に製造業やエネルギー産業で使用される。 【ニュアンスの違い】"facility"がより一般的な用語で、様々な種類の設備を指すのに対し、"plant"は特定の種類の産業施設を指す。"plant"は通常、大規模な生産活動が行われる場所を指す。 【混同しやすい点】"facility"はオフィス、学校、病院など、様々な種類の場所を指すことができるが、"plant"は主に工場や発電所などの産業施設を指す。文脈によって、どちらがより適切な表現かを判断する必要がある。
派生語
『容易にする』という意味の動詞。名詞の『facility(容易さ)』から派生し、『~を容易にする』という動詞の機能を加えた。会議やプロジェクトの進行を円滑にする場面など、ビジネスシーンで頻繁に使われる。
『促進』や『援助』という意味の名詞。動詞『facilitate』から派生し、プロセスや活動を円滑に進める行為や手法を指す。教育、ビジネス、コミュニティ活動など、様々な分野で用いられる。
- facilitator
『促進者』や『援助者』という意味の名詞。動詞『facilitate』から派生し、会議やワークショップなどで参加者の議論や活動を円滑に進める役割の人を指す。ビジネスや教育の現場で重要な役割を担う。
反意語
『困難』という意味の名詞。『facility(容易さ)』とは反対に、何かを成し遂げるのが難しい状態を表す。日常会話から学術的な文脈まで幅広く使用される。
『障害』という意味の名詞。『facility』が物事を進めやすくするものであるのに対し、『obstacle』はそれを妨げるものを指す。物理的な障害物だけでなく、抽象的な困難や課題も含む。
『妨げ』や『障害』という意味の名詞。よりフォーマルな文脈で使用され、物事の進行を遅らせたり、妨げたりするものを指す。『facility』がスムーズさを意味するのに対し、『impediment』はそれを阻害する要因となる。
語源
"facility」は、ラテン語の「facilis」(容易な、しやすい)に由来します。この「facilis」は、「facere」(行う、作る)という動詞から派生しており、「facere」に形容詞を作る接尾辞「-ilis」が付いた形です。つまり、直訳すると「しやすいこと」となります。英語の「fact」(事実、行うこと)や「manufacture」(製造する、手で作る)も同じ語源を持ちます。日本語で例えるなら、「為(な)す」という言葉が、何かを「する」という行為の根源にあるイメージです。「facility」が持つ「施設」という意味は、「何かを行うのを容易にする場所」というように解釈できます。また、「容易さ」という意味は、文字通り「しやすいこと」から来ています。このように語源を辿ることで、「facility」という単語が持つ複数の意味が、根底で繋がっていることが理解できます。
暗記法
「facility」は単なる設備にあらず。人々の生活を豊かにする「便宜性」を追求する文化的価値観の象徴。産業革命以降、効率性向上のためのシステムとして定着し、駅や病院のように複合的な機能を内包。現代では物理的な設備を超え、サービスや制度も包含。アクセシビリティやインクルージョンと結びつき、社会インフラへと進化。技術革新、社会の進歩、快適さの追求を映す多層的な概念なのだ。
混同しやすい単語
facilityとfelicityは、どちらも語源を同じくするものの、意味が大きく異なります。facilityは「設備」「施設」「容易さ」などを意味するのに対し、felicityは「至福」「幸福」「巧みな表現」といった意味を持ちます。発音も、facilityのアクセントが第2音節にあるのに対し、felicityは第2音節にアクセントがある点が異なります。スペルも似ているため、文脈をよく読んで意味を判断する必要があります。
facilityとfacultyは、スペルが似ており、特に語尾の-tyが共通しているため混同しやすいです。facilityが「施設」や「機能」を意味するのに対し、facultyは「学部」「教授陣」「能力」などを意味します。発音も異なります。facilityは/fəˈsɪləti/、facultyは/ˈfækəlti/です。大学などの文脈では特に注意が必要です。
facilityとfacilitateは、語源が同じで関連性がありますが、品詞が異なります。facilityが名詞であるのに対し、facilitateは動詞で「促進する」「容易にする」という意味です。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なるため、注意が必要です。例えば、「The new software facilitates the process.(新しいソフトウェアはそのプロセスを促進する)」のように使われます。
facilityとfalsityは、スペルが似ており、特に先頭のfと語尾の-ityが共通しているため混同しやすいです。facilityが「施設」や「機能」を意味するのに対し、falsityは「虚偽」「誤り」を意味します。意味が全く異なるため、文脈から判断する必要があります。発音も異なります。falsityは /ˈfɔːlsəti/ です。
facilityとpossibilityは、語尾がどちらも「-ility」で終わるため、スペルが似ていると感じるかもしれません。しかし、possibilityは「可能性」という意味で、facilityとは全く異なる意味を持ちます。また、possibilityは音節数が多く、発音も異なっています。facilityの語源はラテン語のfacilis(容易な)ですが、possibilityの語源はラテン語のposse(できる)です。
facilityとfragilityは、語尾がどちらも「-ility」で終わるため、スペルが似ていると感じるかもしれません。fragilityは「もろさ」「壊れやすさ」という意味で、facilityとは全く異なる意味を持ちます。発音も異なります。facilityは/fəˈsɪləti/、fragilityは/frəˈdʒɪləti/です。語源的には、facilityは「容易さ」に関連するのに対し、fragilityは「壊れる」に関連しています。
誤用例
日本人が『〜の才能がある』という時に、つい『in』を使ってしまいがちですが、『facility』は『〜の才能』という意味で使う場合、前置詞は『for』を取ります。『in』を使うと、場所や手段を表す意味合いが強くなり、文脈によっては不自然に聞こえます。例えば、『He has facility in using the new software』なら、『彼は新しいソフトウェアを使いこなす能力がある』となりますが、才能というよりは、習熟度を表します。才能を表すには、'a facility for'を使うのが適切です。英語では、抽象的な能力や才能を表す際に、対象との関係性を『for』で示すことがよくあります。これは、日本語の『〜に対する』という感覚に近いかもしれません。
『facility』を名詞の『施設』の意味で使った後、形容詞として『facility』を使ってしまう誤りです。日本人は『施設』という言葉から『便利』という連想をしやすいため、『その施設はとても便利だ』と表現したい時に、つい『facility』を形容詞として使ってしまいます。しかし、『facility』は形容詞としては存在しません。ここでは、代わりに『convenient(便利な)』を使うのが適切です。英語では、名詞と形容詞の形が異なる単語は多く、特に抽象的な概念を表す単語では注意が必要です。また、日本語の『〜性』のような名詞から形容詞を作る感覚で英語の語尾を変化させようとするのも誤りの原因となりやすいです。
『facility』を『能力』という意味で使う場合、to不定詞を直接続けることは通常ありません。この場合、より一般的な『ability』を使う方が自然です。あるいは、'He has a facility for speaking English fluently'とすれば、文法的には正しいですが、少し堅い印象を与えます。日本人は『〜する能力』を『facility to do』と直訳しがちですが、英語では名詞+to不定詞の組み合わせが常に自然とは限りません。英語では、能力を表す名詞とto不定詞の相性があり、例えば『ability』や『capacity』はto不定詞とよく組み合わされますが、他の名詞では異なる表現を検討する必要があります。日本語の発想に捉われず、英語として自然な表現を選ぶことが重要です。
文化的背景
「facility」は単に「設備」と訳されることが多いですが、その根底には、人間の能力を拡張し、生活を豊かにする「便宜性」や「利便性」という文化的価値観が込められています。この語は、単なる物理的な構造物以上の意味を持ち、社会の進歩、技術革新、そして人間の快適さを追求する姿勢を象徴しているのです。
歴史を遡ると、「facility」はもともと「容易さ」「簡便さ」といった意味合いで使用されていました。17世紀以降、産業革命の進展とともに、工場や交通機関など、人々の生活を劇的に変化させる物理的な「設備」を指す言葉として定着していきます。この過程で、「facility」は単なる「道具」ではなく、「効率性」や「生産性」を向上させるための「システム」の一部として捉えられるようになりました。例えば、鉄道駅は単に列車が停車する場所ではなく、人や物資の移動を円滑にするための複合的な「facility」として機能します。同様に、近代的な病院は、医療行為を行うだけでなく、患者のケア、研究、教育など、多岐にわたる機能を統合した「facility」と見なされます。
現代社会においては、「facility」はさらに広範な意味を持つようになり、単に物理的な設備だけでなく、サービスや制度なども含むようになりました。例えば、企業が提供する福利厚生施設や、政府が提供する公共サービスなども「facility」と表現されることがあります。この変化は、社会がより複雑化し、人々のニーズが多様化するにつれて、「facility」が単なる「物」から「社会的なインフラ」へと進化してきたことを示唆しています。また、「facility」はしばしば、アクセシビリティ(利用しやすさ)やインクルージョン(包容性)といった概念と結び付けられます。障害者向けの設備や、多言語対応のサービスなどは、すべての人々が「facility」を平等に利用できるようするための取り組みです。
このように、「facility」は単なる「設備」という訳語では捉えきれない、豊かな文化的背景を持つ言葉です。それは、技術革新の歴史、社会の進歩、そして人間の快適さを追求する姿勢を反映した、多層的な意味を持つ概念なのです。この言葉を理解することは、英語圏の文化や社会に対する理解を深める上で、非常に重要な鍵となります。
試験傾向
1. 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。まれにリスニング。
2. 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも長文読解で登場する可能性あり。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、文化など幅広いテーマで登場。長文読解では、文章全体の意味を理解する上で重要な語彙として扱われる。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 「施設」「設備」「機能」など複数の意味を持つため、文脈に応じた適切な意味を把握することが重要。動詞としての用法(容易にする)も押さえておく。
1. 出題形式: Part 5 (短文穴埋め)、Part 7 (長文読解)で登場。
2. 頻度と級・パート: 頻出単語。特にPart 7のビジネス関連の長文でよく見られる。
3. 文脈・例題の特徴: オフィス、工場、ホテルなどの施設、およびそれらの設備に関する文脈で登場しやすい。「利用しやすさ」「利便性」といった意味合いで使われることが多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 主に名詞として用いられるが、動詞としても使われることを覚えておく。類義語の"amenity"(アメニティ)との使い分けに注意。
1. 出題形式: リーディングセクションで頻出。
2. 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻繁に登場。
3. 文脈・例題の特徴: 大学の施設、研究設備、または何かを容易にする能力や特性といった意味で使われる。抽象的な概念を説明する文脈で登場することも多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈で使われるため、意味を正確に理解することが重要。類義語の"capability"(能力)との違いを理解しておく。
1. 出題形式: 長文読解問題で頻出。文脈の中で意味を推測する力が問われる。
2. 頻度と級・パート: 大学によって異なるが、難関大学ほど出題頻度が高い傾向にある。
3. 文脈・例題の特徴: 環境問題、社会問題、科学技術など、幅広いテーマの長文で登場。文章全体の理解を深めるための重要な語彙として扱われる。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習を重ねることが重要。「施設」「設備」「機能」など複数の意味があるため、文脈に応じた適切な意味を判断できるようにする。