discretionary
強勢は「クレ」の部分に置かれます。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し開いて発音する短い母音です。/ˈskrɛ/ の部分は、日本人には発音しづらい子音の連続ですが、「スク」と「レ」をできるだけ区切らずに滑らかにつなげるように意識しましょう。最後の /ri/ は、日本語の「リ」よりも曖昧な母音(schwa)に近い音になることが多いです。また、語尾は気持ち上げるように発音するとより自然に聞こえます。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
自由裁量の
規則や指示に縛られず、状況に応じて自分で判断・決定できること。予算、権限、行動など、広い範囲で使われる。裁量労働制(discretionary labor system)のように、ビジネスシーンでも頻出。
After finishing all my chores, I finally had some discretionary time to read my favorite novel.
すべての家事を終えた後、ようやく大好きな小説を読むための自由な時間ができました。
※ この例文は、日々の忙しさから解放されて、自分の好きなことに時間を使える「自由な時間」を表しています。discretionary timeは、自分でどう使うか決められる時間を意味し、大人にとってとても共感しやすい状況です。時間管理の文脈でよく使われます。
Our manager has discretionary funds to reward employees for their excellent work.
私たちのマネージャーは、素晴らしい仕事をした従業員に報いるための自由裁量資金を持っています。
※ この例文は、会社や組織の中で、ある人が「自分の判断で使えるお金(資金)」を持っている状況を示しています。discretionary fundsは、特定の目的のために限定されず、状況に応じて柔軟に使えるお金のことです。ビジネスの場面でよく耳にする表現です。
The teacher has discretionary power to decide if a student needs extra help.
先生は、生徒が追加の助けを必要とするかどうかを判断する自由裁量の権限を持っています。
※ この例文は、誰かが「自分の判断で物事を決める権限」を持っている状況を描写しています。discretionary powerは、ルールや指示に縛られず、状況に応じて最も良いと判断する決定を下せる力を意味します。教育現場だけでなく、法律や政治の文脈でも使われます。
任意の
必須ではなく、個人の判断や選択に委ねられていること。寄付やサービスなど、参加が強制されない状況で使われる。
He decided to use his discretionary leave from work to spend time with his family.
彼は家族と過ごすために、会社の裁量休暇を使うことにしました。
※ この例文では、会社から「個人の判断で使える」と認められた「discretionary leave(裁量休暇)」という具体的な場面を描写しています。彼はこの休暇を、家族との大切な時間のために使うことを決めた、という状況が目に浮かびますね。「discretionary」は、このように「自分で自由に決められる」という選択の余地があるものによく使われます。
The teacher explained that this homework was discretionary, so I felt a little relieved.
先生がこの宿題は任意だ(やらなくてもよい)と説明してくれたので、私は少し安心しました。
※ 学校での宿題の場面です。先生が「discretionary(任意)」だと言ってくれたことで、生徒が「やらなくてもいいんだ」と安心する気持ちが伝わってきますね。これは、必ずしも「やらなければならない」ことではないけれど、もしやりたければできる、という状況によく使われる表現です。例えば、会議への参加やイベントへの参加などが「discretionary」であることも多いです。
We discussed how to use our discretionary funds, whether to buy a new sofa or go on a trip.
私たちは、新しいソファを買うか旅行に行くか、私たちの裁量資金の使い道を話し合いました。
※ この例文では、家計の「discretionary funds(裁量資金)」、つまり「必要不可欠ではないけれど、自分たちの判断で自由に使えるお金」について話している場面です。何に使うか、選択肢があるのがポイントですね。このように「discretionary」は、義務ではないけれど、自由な判断で使える予算や資金について話す際にも非常によく使われます。
コロケーション
裁量支出、自由裁量経費
※ 政府や企業、個人の予算において、必要不可欠な支出(家賃、食費、ローン返済など)ではなく、状況に応じて増減させることができる支出のことです。景気対策や財政政策の議論で頻繁に登場し、企業のマーケティング予算や個人の娯楽費などが該当します。例えば、『The government's discretionary spending on education has been cut.(政府の教育に対する裁量支出が削減された)』のように使われます。形容詞+名詞の典型的な組み合わせで、経済ニュースやビジネスシーンでよく耳にする表現です。
裁量権
※ 個人や組織が、特定の状況下で、自身の判断に基づいて行動を決定できる権利や権限を指します。法律、契約、組織規定などによって与えられるもので、その範囲や制限も定められていることが一般的です。例えば、裁判官が量刑を決定する際の裁量権や、マネージャーが部下の昇進を決定する際の裁量権などが挙げられます。組織論や法学の文脈でよく用いられる、ややフォーマルな表現です。類語の"latitude"よりも、権限の範囲が明確に定義されているニュアンスがあります。
一任勘定
※ 投資家が証券会社などに投資判断を一任する口座のことです。投資家は事前に投資目標やリスク許容度などを伝え、証券会社がその範囲内で自由に投資を行います。専門的な知識や時間がない投資家にとって便利な制度ですが、手数料が高めに設定されていることが多いです。金融業界特有の用語で、新聞や経済雑誌の記事で見かけることがあります。日常会話で使う機会は少ないでしょう。
〜の裁量で、〜の判断で
※ 「誰かの判断や決定に委ねられている」という意味を表す前置詞句です。例えば、『Employees can take vacation days at the discretion of their manager.(従業員はマネージャーの裁量で休暇を取ることができる)』のように使われます。ビジネスシーンや契約書などでよく用いられる、ややフォーマルな表現です。類語に"subject to"がありますが、"at the discretion of"はより柔軟な判断の余地があるニュアンスを含みます。
裁量を行使する、判断力を行使する
※ 与えられた裁量権を実際に行使することを意味します。単に権利を持っているだけでなく、その権利を適切に使うというニュアンスが含まれます。例えば、『The judge exercised discretion in sentencing the defendant.(裁判官は被告人の量刑において裁量を行使した)』のように使われます。法的な文脈や、倫理的な判断が求められる場面で用いられることが多い、やや硬い表現です。 "show discretion" (分別を示す)と似ていますが、"exercise"はより積極的な行動を伴うニュアンスがあります。
業績連動賞与、裁量賞与
※ 企業の業績や個人の貢献度に応じて支給される賞与のことです。固定給とは異なり、会社の業績や個人の評価によって金額が変動します。従業員のモチベーション向上や業績向上に繋がる一方で、支給基準が不明確だと不満を生む可能性もあります。人事評価制度や給与体系に関する議論でよく登場する言葉です。特に外資系企業でよく用いられる表現です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、裁量権や判断の余地について議論する際に用いられます。例えば、研究倫理に関する論文で「研究者の裁量的な判断が倫理的な問題を引き起こす可能性がある」と指摘する場合に使われます。
ビジネス文書や会議で、予算配分、投資判断、人事評価など、組織や個人の裁量権に関連する状況で使用されます。例えば、「経営陣は、各部門長に対して、予算の裁量的な使用を認めている」といった文脈で見られます。
日常生活では、ニュース記事や報道番組などで、政府の政策や企業の決定における裁量権について言及される際に使われることがあります。例えば、「警察は、状況に応じて裁量的な判断で逮捕を行うことができる」という報道で見かけることがあります。
関連語
類義語
『任意である』という意味。何かをするかどうか、参加するかどうかなどが個人の判断に委ねられている状況を示す。ビジネス、教育、日常生活など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『discretionary』は、裁量権に基づいて判断・決定できることを指すのに対し、『optional』は、そもそも選択肢があり、選ぶか選ばないかの自由があることを意味する。したがって、『discretionary』は権限の範囲内での判断を伴うが、『optional』は単に選択の自由があるという点で異なる。 【混同しやすい点】『optional』は、義務ではないことを意味するが、『discretionary』は、義務ではないだけでなく、判断する権限があることを含む。例えば、『discretionary bonus』は、会社が業績や個人の貢献度を考慮して支払うかどうかを決定できるボーナスを指すが、『optional attendance』は、出席が義務ではないことを意味する。
『自発的な』、『任意の』という意味。個人の自由な意思に基づいて行動することを指す。ボランティア活動、寄付、参加など、強制ではなく、本人の意思で行われる行為に用いられる。 【ニュアンスの違い】『discretionary』は裁量権を行使する際に用いられるが、『voluntary』は自発的な行動を強調する。例えば、あるプロジェクトへの参加が『voluntary』であれば、参加するかどうかは個人の自由だが、『discretionary spending』は、必要不可欠な支出ではなく、裁量権に基づいて支出できる金額を指す。 【混同しやすい点】『voluntary』は、義務や強制ではないことを意味するが、『discretionary』は、判断する権限があることを含む。ボランティア活動は『voluntary』だが、予算の裁量権は『discretionary』である。
『選択制の』、『選択できる』という意味。カリキュラム、医療処置、手術など、いくつかの選択肢の中から自由に選べる状況を示す。教育分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『discretionary』は、裁量権に基づいて判断・決定できることを指すのに対し、『elective』は、用意された選択肢の中から選ぶことができることを意味する。裁量権を行使する余地があるかどうかという点で異なる。 【混同しやすい点】『elective』は、与えられた選択肢の中から選ぶというニュアンスが強い。例えば、『elective surgery』は、生命に関わる緊急手術ではなく、患者が選択できる手術を指す。一方、『discretionary power』は、法律や規則に基づいて与えられた裁量権を指す。
- unrestricted
『制限のない』、『無制限の』という意味。行動、アクセス、使用など、何らかの制限が課されていない状態を表す。自由度が高い状況を示す。 【ニュアンスの違い】『discretionary』は、裁量権に基づいて判断・決定できることを指すのに対し、『unrestricted』は、そもそも制限がないことを意味する。裁量権を行使する以前に、制限の有無が問題となる。 【混同しやすい点】『unrestricted access』は、誰でも自由にアクセスできることを意味するが、『discretionary access』は、特定の権限を持つ者だけがアクセスできることを意味する場合がある。つまり、『discretionary』は、制限がないのではなく、裁量によって制限を設けることができるという含みがある。
- judgemental
『判断力のある』という意味で使われる場合がある(ただし、一般的ではない)。本来は『批判的な』という意味合いが強い。人の性格や行動を評価・判断する際に用いられ、ネガティブな意味合いで使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『discretionary』は裁量権に基づいて判断・決定する能力を指すのに対し、『judgemental』は人の性格や行動を評価・判断する傾向を指す。前者は権限の行使に関する言葉であり、後者は性格や態度の特徴を表す言葉である。 【混同しやすい点】『discretionary』は、権限に基づいて判断・決定する能力を指すのに対し、『judgemental』は、人を批判的に評価・判断する傾向を指す。文脈によっては混同される可能性があるが、意味は大きく異なる。
- at one's own discretion
『〜の裁量で』という意味のフレーズ。行動や判断を、特定個人の判断に委ねることを示す。契約書や業務指示など、フォーマルな場面でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『discretionary』が形容詞として使われるのに対し、『at one's own discretion』はフレーズとして使われ、より具体的な状況を示す。例えば、『discretionary spending』は裁量的な支出を指すが、『You can handle this matter at your own discretion』は、この件の処理はあなたの裁量に任せる、という意味になる。 【混同しやすい点】『discretionary』は、名詞を修飾する形容詞として使われるが、『at one's own discretion』は、副詞句として、行動や判断の主体を示す。文法的な役割が異なるため、使い分けに注意が必要。
派生語
『思慮深い』『慎重な』という意味の形容詞。『discretionary』の語源である『discernere(区別する、判断する)』に近い意味合いを持ち、判断力に基づいた行動を指す。ビジネスシーンや人間関係において、相手の気持ちを害さないような言動を形容する際に用いられる。使用頻度は中程度。
- discreetly
『discreet』の副詞形。『慎重に』『控えめに』という意味で、行動の様子を表す。例えば、『discreetly inquire(控えめに尋ねる)』のように使われる。ビジネスメールやフォーマルな会話で、相手に配慮する姿勢を示す際に適している。使用頻度はやや低い。
『識別する』『見分ける』という意味の動詞。『discretionary』の語源であるラテン語『discernere』から直接派生しており、注意深く観察して違いを認識する行為を指す。学術的な文脈や、物事の本質を見抜く能力を表現する際に用いられる。使用頻度は中程度。
反意語
『義務的な』『強制的な』という意味の形容詞。『discretionary(任意)』とは対照的に、必ず実行しなければならないことを示す。法律、規則、契約など、従うことが求められる状況で用いられる。例えば、『mandatory training(義務研修)』。日常会話でもビジネスシーンでも頻繁に使われる。
『強制的な』『必須の』という意味の形容詞。『mandatory』とほぼ同義だが、より公式な文脈で使われる傾向がある。例えば、教育制度における『compulsory education(義務教育)』など。日常会話での使用頻度は『mandatory』よりやや低い。
『義務的な』という意味の形容詞。こちらも『mandatory』や『compulsory』と同様に、『discretionary』の反対の意味を持つ。儀礼的な意味合いを含む場合があり、『obligatory greeting(形式的な挨拶)』のように使われることがある。使用頻度は中程度。
語源
「discretionary」は、ラテン語の「discretio(分離、区別)」に由来します。これは「discernere(識別する、区別する)」の過去分詞「discretus」から来ており、「dis-(分離)」+「cernere(ふるいにかける、識別する)」という構成です。「cernere」は、日本語の「鑑みる(かんがみる)」という言葉に近いニュアンスを持ち、物事を注意深く見て判断するという意味合いがあります。つまり、「discretionary」は、元々は何かを区別し、選択する能力、つまり「識別力」や「判断力」を意味していました。そこから、「自由裁量」や「任意」といった、個人の判断に委ねられるという意味へと発展しました。たとえば、会社で「自由裁量で経費を使える」というのは、それぞれの状況を『鑑みて』、適切に判断しなさい、というニュアンスを含んでいると言えるでしょう。
暗記法
「裁量的な(discretionary)」判断は、単なる自由な選択ではない。中世の領主や裁判官が、法を超えて良心と知性で紛争を解決したように、権力には倫理が宿る。シェイクスピア劇でも、王侯貴族の「discretion」は人格を映す鏡だ。現代の企業CEOや政府機関の予算配分も同様。組織の柔軟性を高める一方で、恣意性のリスクも孕む。裁量権の行使には、常に透明性と説明責任が求められる。社会的な責任と信頼の重みを帯びた言葉なのだ。
混同しやすい単語
「discretionary」と「discreet」は、スペルが非常に似ており、発音も最初の数音節が同じであるため混同しやすいです。「discreet」は「分別のある」「慎重な」という意味の形容詞で、人の行動や言動を表す際に使われます。「discretionary」は「裁量的な」という意味で、権限や選択の自由があることを指します。日本人学習者は、文脈から品詞(形容詞)と意味の違いを意識して区別する必要があります。語源的には、どちらもラテン語の『discernere』(区別する)に由来しますが、意味の発展が異なっています。
「discreet」と同様に、「discrete」も「discretionary」とスペルと発音が似ており、間違いやすい単語です。「discrete」は「分離した」「個別の」という意味の形容詞で、連続していないものを指す際に使われます。例えば、「discrete data(離散データ)」のように使われます。日本人学習者は、特にスペルの類似性に注意し、文脈から意味を判断する必要があります。発音も「-creet」と「-crete」で微妙に異なるため、意識して聞き分ける練習をすると良いでしょう。
「discretionary」と「dictionary」は、語頭の数音節が似ているため、特に音声を聞き取る際に混同されることがあります。「dictionary」は「辞書」という意味の名詞で、単語の意味や発音を調べるためのものです。文脈が全く異なるため、意味を理解していれば区別は容易ですが、聞き間違いには注意が必要です。発音記号を意識して発音練習をすると、より区別しやすくなります。
「discretionary」と「deposition」は、語頭の「dis-」が共通しているため、スペルを見たときに混同される可能性があります。「deposition」は「証言録取」「堆積」など複数の意味を持つ名詞で、法律や地質学などの分野で使われます。文脈によって意味が大きく異なるため、注意が必要です。また、「deposit(預ける)」という単語との関連性も覚えておくと、意味の理解が深まります。
「indiscretion」は「discretion」の否定形であり、「軽率」「無分別」という意味の名詞です。「discretionary」とは品詞が異なる上、意味も正反対であるため、文脈をよく理解する必要があります。ただし、語源的には関連があるため、「discretion」の意味をしっかり理解しておくことが重要です。接頭辞「in-」が否定の意味を持つことを知っていれば、意味を推測しやすくなります。
「decisionary」は、「decision(決定)」という単語に接尾辞「-ary」を付けた造語で、一般的な英単語ではありません。しかし、「discretionary」とスペルが似ているため、英語学習者が誤って使用する可能性があります。「decision-making(意思決定)」のような表現を使う方が自然です。もし「decisionary」という単語に出会った場合は、文脈から意味を推測するか、辞書で確認することをお勧めします。
誤用例
日本語の『裁量的な決定』という表現に引きずられ、形容詞 'discretionary' を名詞 'decision' に直接つけてしまいがちですが、英語では 'discretion' (裁量) という名詞を使い、'exercise one's discretion'(裁量を行使する)という構文を用いるのが自然です。この誤用は、日本語の語順や表現パターンをそのまま英語に当てはめようとする際に起こりやすい典型的な例です。また、'discretionary decision' だと、決定そのものが裁量権を持っているかのような印象を与えてしまい不自然です。
'discretionary power' という表現も文法的には間違いではありませんが、やや直接的で、相手に圧力をかけるような印象を与える可能性があります。より丁寧で洗練された言い方としては、単に 'discretion' を用いるのが適切です。英語では、特にビジネスシーンやフォーマルな場面において、相手の裁量に敬意を払い、婉曲的な表現を好む傾向があります。この背景には、相手の自主性を尊重し、不必要なプレッシャーを避けるという文化的な配慮があります。日本語の『ご裁量に委ねます』という表現に近いニュアンスを出すには、直接的な表現よりも、相手の判断を尊重する姿勢を示すことが重要です。
この例では、'discretion' を '分別' や '思慮深さ' という意味で使おうとしていますが、'poor discretion' という表現はネイティブスピーカーにはやや不自然に聞こえます。より自然な言い方としては、'a lack of discretion'(分別を欠くこと)を用いるのが一般的です。'discretion' は、名詞として使われる場合、通常は『裁量』『分別』『慎重さ』などの意味合いを持ちますが、形容詞 'poor' と組み合わせて使うと、意味が曖昧になり、不自然な印象を与えてしまいます。日本語の『分別がない』という表現を直訳しようとする際に起こりやすい誤りです。英語では、抽象名詞と形容詞の組み合わせには、特定の慣用句や表現パターンが存在するため、注意が必要です。
文化的背景
「Discretionary(裁量的な)」という言葉は、単なる選択の自由を超え、社会的な信頼と責任の重みを帯びています。権力を持つ者が、規則や形式に縛られず、状況に応じて最善の判断を下す能力、そしてその判断に委ねられる信頼こそが、この言葉の本質的な文化的意義を形作ってきました。
中世ヨーロッパの領主や裁判官が、法の条文だけでは解決できない紛争に対して、自らの良心と知性に基づいて判決を下した時代から、「discretionary」は権威と倫理観の象徴でした。絶対的なルールが存在しない領域で、何が正義であるかを判断する能力は、単なる知識や技術を超えた、人間性そのものの表れと見なされたのです。シェイクスピアの戯曲には、王や貴族が「discretion」を試される場面がしばしば登場し、その選択が彼らの人格や統治能力を物語る重要な要素となっています。
現代社会においても、「discretionary」は組織運営や政策決定において重要な役割を果たしています。たとえば、企業のCEOが投資判断を行う場合、あるいは政府機関が予算配分を決定する場合、彼らは定められたガイドラインだけでなく、社会情勢や倫理的な観点を考慮し、最終的な判断を下します。この「裁量」という概念は、組織の柔軟性を高め、変化に対応する能力を向上させる一方で、恣意的な判断や不正行為のリスクも孕んでいます。そのため、「discretionary power(裁量権)」を行使する者は、常に透明性と説明責任を求められるのです。
「Discretionary」は、単なる「自由な選択」ではなく、社会的な責任と倫理観を伴う、重みのある言葉です。この言葉を理解することは、権力と責任の関係、そして社会における信頼の重要性を深く認識することにつながります。現代社会において、私たちは「discretionary」な判断がもたらす影響を常に意識し、その行使が公正かつ倫理的であることを監視する責任を負っているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題。稀に英作文で類義語の知識が問われる。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で比較的頻出。1級でも出題される可能性がある。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、ビジネスなど幅広いテーマで登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞形(discretion)と形容詞形(discretionary)の両方を覚え、意味の違いを理解する。同意語・類義語(optional, voluntary)も合わせて学習する。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解問題)。
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的頻出。Part 5でも稀に出題される。
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の契約書、社内規定、人事関連の文書などでよく見られる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「裁量権のある」「任意の」という意味を理解し、文脈に合った意味を選択できるようにする。特に契約書などでは、権利と義務に関連する文脈で使われることが多い。
- 出題形式: リーディングセクション(長文読解問題)。
- 頻度と級・パート: アカデミックな長文で頻出。特に社会科学、人文科学分野の文章でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 学術的な論文、研究報告書などで、政策や制度に関する議論の中で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「裁量的な」「任意の」という意味に加え、文脈によっては「慎重な」という意味合いも含まれることを理解する。類義語(optional, elective)とのニュアンスの違いも把握する。
- 出題形式: 長文読解問題、空所補充問題、和訳問題。
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試で頻出。特に国公立大学の二次試験や難関私立大学で出題されることが多い。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、経済問題、国際関係など、論説文形式の文章でよく見られる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。単語の意味だけでなく、文章全体の内容を理解することが求められる。類義語(optional, voluntary, elective)との使い分けも意識する。