collectivism
集団主義
個人の自由や権利よりも、集団全体の利益や目標を優先する考え方。社会主義や共産主義の思想的基盤となることが多い。反対語は個人主義(individualism)。政治学、社会学、文化人類学などで頻繁に用いられる。
He put collectivism first, valuing the team's victory over his own score.
彼は集団主義を最優先し、個人の得点よりもチームの勝利を重んじた。
※ この例文は、スポーツ選手が個人の記録よりもチーム全体の成功を願う場面を描いています。「集団主義」が具体的な行動として現れる、とても分かりやすい例です。「put ~ first」は「~を最優先する」という意味で、日常会話でもよく使われます。
The new student was surprised by the collectivism in this school's culture, where everyone helped each other.
その新入生は、この学校の集団主義的な文化に驚いた。そこでは皆が互いに助け合っていたからだ。
※ 新しい環境に飛び込んだ人が、その場所の「集団主義」的な雰囲気に触れる場面です。皆が自然と助け合う様子が目に浮かびます。「culture」は「文化」という意味で、組織や地域の特性を表す際によく使われます。
He grew up with collectivism, but began to feel individual freedom was important too.
彼は集団主義の考え方の中で育ったが、個人の自由も大切だと感じ始めた。
※ この例文は、個人が集団主義的な環境で育ちながらも、自身の価値観や考え方が変化していく様子を描いています。「集団主義」が個人の思想や生き方に影響を与える典型的な例です。「grow up with ~」は「~と共に育つ」という意味です。
協調性
個々が協力し、共同で目標達成を目指す姿勢。企業文化やチームワークを語る文脈で、集団主義的な価値観が重視される場面で使われる。
The teacher emphasized collectivism when we worked on the big art project together.
先生は、私たちが大きな美術プロジェクトを一緒に進める時、協調性(みんなで協力する大切さ)を強調しました。
※ この例文では、美術プロジェクトで「みんなで協力し合うこと」が「collectivism」にあたります。先生がその大切さを教える、という具体的な場面が目に浮かびますね。「emphasized」は「強調した」という意味です。
In our company, collectivism is valued more than individual success.
私たちの会社では、個人の成功よりも協調性が高く評価されます。
※ 会社で働く場面で、個人の成果だけでなく「チームとして協力し合うこと(協調性)」が重要視される状況を表しています。「valued」は「価値がある、高く評価される」という意味で、ビジネスの文脈でよく使われます。
Some cultures focus on collectivism, where group harmony is key.
いくつかの文化では協調性に重点を置き、そこでは集団の調和が鍵となります。
※ この例文は、ある社会や文化が「個人の自由よりも集団の調和を大切にする考え方」としての「collectivism」に焦点を当てている様子を描写しています。「group harmony」は「集団の調和」という意味で、「collectivism」と密接に関連します。
コロケーション
国家集産主義
※ 政治経済体制における集産主義の一形態で、生産手段の所有・管理を国家が行うことを指します。社会主義や共産主義の文脈でよく用いられ、個人の自由や私有財産権が制限される傾向があります。使用頻度は政治学や経済学の専門分野で高く、一般的にはあまり使われません。
農業集団化
※ 農業における集産主義の一形態で、個々の農民が所有していた土地や農具を共同所有・管理し、集団で農業生産を行うことを指します。旧ソ連や中国などの社会主義国家で実施された政策として知られています。歴史的な文脈で使われることが多く、現代では農業協同組合など、より緩やかな形態の集団化を指す場合もあります。
共同体集産主義
※ 特定の地域やコミュニティ内で、資源や財産を共同で所有・管理し、成員全員で分配する形態の集産主義です。伝統的な部族社会や宗教的な共同体で見られることがあります。現代では、シェアハウスやコワーキングスペースなど、共同生活や共同利用の概念に近い形で現れることもあります。
自発的集産主義
※ 強制ではなく、個人の自由な意思に基づいて集団化に参加する形態の集産主義です。協同組合や労働者所有企業などが該当します。強制的な集産主義とは対照的に、個人の権利や自由が尊重される点が特徴です。ビジネスや社会運動の文脈で使用されることがあります。
個人主義と集産主義の対立
※ 個人主義と集産主義は、社会における個人の役割と集団の役割に関する根本的な考え方の違いを表す概念です。個人主義は個人の自由や権利を重視するのに対し、集産主義は集団の利益や共同体の維持を重視します。この対立は、政治、経済、文化など、様々な分野で議論の対象となります。哲学や社会学の文脈で頻繁に用いられます。
集産主義を推進する
※ 集産主義的な考え方や政策を支持し、広めることを意味します。政治的なスローガンやイデオロギーとして用いられることが多く、特定の政治団体や社会運動がこの表現を使うことがあります。ニュース記事や政治的な議論で見られることがあります。
個人主義と集産主義のバランスを取る
※ 社会において、個人の自由や権利を尊重しつつ、集団の利益や共同体の維持も考慮すること。極端な個人主義や集産主義に偏らず、両者の長所を生かすことを目指す考え方です。政治的な議論や社会政策の立案において重要な視点となります。ビジネスの場面でも、個人の成果とチームワークのバランスを取るという文脈で使われることがあります。
使用シーン
社会学、心理学、人類学などの分野の研究論文や講義で使われます。例えば、「日本社会の集団主義的傾向が、〜に影響を与えている」のように、特定の社会や文化における集団主義の度合いや影響を分析する際に用いられます。文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、組織文化やチームワークに関する議論で使われることがあります。例えば、グローバル企業が異なる文化を持つチームを運営する際に、「〜という集団主義的な価値観が、チームのコミュニケーションに影響を与える可能性がある」といった文脈で用いられます。フォーマルな報告書やプレゼンテーションで使われることが多いです。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、社会現象や文化的な違いを説明する際に使われることがあります。例えば、「〜という国では集団主義的な考え方が強く、個人の意見よりも全体の調和が重視される」といった文脈で用いられます。やや硬い表現です。
関連語
類義語
- communalism
共同体主義。財産や資源が共同で所有・管理される社会体制や思想を指す。政治学、社会学、人類学などの学術分野で用いられることが多い。 【ニュアンスの違い】「collectivism」よりも、より具体的な共同体の形態や生活様式を指すことが多い。原始的な共同体や宗教的な共同体など、特定の文脈で使用される傾向がある。 【混同しやすい点】「communalism」は、共同体内部の結束を強調する一方で、外部の集団に対する排他的な態度を伴う場合がある。特に、民族や宗教に基づく共同体主義は、紛争の原因となることがあり、注意が必要。
社会主義。生産手段の公有化や、社会全体の利益を優先する政治・経済体制。政治学、経済学、歴史学などの学術分野で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】「collectivism」は、社会全体の利益を重視する思想の根底にある考え方を指すのに対し、「socialism」は、それを実現するための具体的な政治・経済体制を指すことが多い。より政治的な意味合いが強い。 【混同しやすい点】「socialism」は、その解釈や適用方法によって様々な形態が存在する。国家社会主義、民主社会主義など、政治的な立場によって意味合いが大きく異なるため、文脈を考慮する必要がある。
- statism
国家主義。国家の権力や役割を極端に重視する思想。政治学、歴史学などで用いられ、批判的な文脈で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】「collectivism」は、社会全体の利益を優先する思想を指すのに対し、「statism」は、国家の権力を絶対視する思想を指す。個人の自由や権利を軽視する傾向がある。 【混同しやすい点】「statism」は、しばしば全体主義的な政治体制と結び付けられる。個人の自由や権利を制限し、国家の利益を最優先する政策を正当化するイデオロギーとして批判されることが多い。
集団思考。集団の意思決定において、異論を排除し、合意を優先する心理的現象。心理学、社会学、組織論などで用いられる。 【ニュアンスの違い】「collectivism」は、社会全体の調和を重視する思想を指すのに対し、「groupthink」は、集団内部の調和を過度に重視するあまり、誤った意思決定につながる現象を指す。否定的な意味合いが強い。 【混同しやすい点】「groupthink」は、集団の規模が大きく、結束が強いほど起こりやすい。リーダーシップの欠如や、外部からの情報遮断などが原因となることが多い。批判的な思考や多様な意見を尊重することが重要。
同調。周囲の意見や行動に合わせて、自分の考えや行動を変えること。心理学、社会学などで用いられる。日常会話でも使われる。 【ニュアンスの違い】「collectivism」は、社会全体の規範に従うことを重視する思想を指すのに対し、「conformity」は、個人の行動が周囲に合わせることを指す。より個人的なレベルでの現象。 【混同しやすい点】「conformity」は、集団の秩序を維持する上で一定の役割を果たす一方で、個人の創造性や多様性を阻害する可能性もある。過度な同調圧力は、集団の停滞や不正行為につながることがある。
連帯。共通の目標や利益のために、互いに協力し、助け合うこと。政治、社会運動、労働運動などで用いられる。ポジティブな意味合いが強い。 【ニュアンスの違い】「collectivism」は、社会全体の結束を重視する思想を指すのに対し、「solidarity」は、特定の目的のために人々が団結する行動を指す。より具体的な行動を伴う。 【混同しやすい点】「solidarity」は、しばしば抑圧された人々や弱者の権利を守るために行われる。労働組合や市民運動など、社会的な変革を目指す活動において重要な役割を果たす。階級、民族、ジェンダーなど、様々な軸で連帯が生まれる。
派生語
『集団的な』という意味の形容詞。「collectivism(集団主義)」から派生し、集団全体の性質や活動を指す。日常会話からビジネス、学術的な文脈まで幅広く使用され、『collective effort(集団的努力)』のように名詞を修飾する形で頻繁に登場する。抽象的な概念を具体的に表現する際に役立つ。
- collectivize
『集団化する』という意味の動詞。「collectivism(集団主義)」を具体的な行動に移すことを意味し、特に農業や産業などの分野で、個人所有から集団所有へと移行するプロセスを表す。歴史的、政治的な文脈でよく使用され、社会主義的な政策を議論する際に登場する。
『収集家』という意味の名詞。「collect(集める)」に動作主を表す接尾辞「-or」が付いた形で、物を集める人を指す。collectivismとは直接的な意味のつながりはないものの、「collect(集める)」という共通の語源を持つ。趣味やビジネスなど、様々な文脈で使用され、集める対象によって意味合いが異なる(例:切手収集家、債権回収業者)。
反意語
『個人主義』という意味の名詞。「collectivism(集団主義)」と正反対の思想を表し、個人の自由や権利を重視する立場を指す。政治、経済、社会など様々な分野で対立概念として用いられ、個人の自立や自己責任を強調する文脈で頻繁に登場する。両者は社会のあり方に関する根本的な価値観の違いを示す。
『自治』や『自主性』という意味の名詞。「collectivism(集団主義)」における集団による決定とは対照的に、個人や組織が外部からの干渉を受けずに自律的に行動することを指す。政治学や心理学の分野でよく使用され、個人の自由や自己決定権を尊重する文脈で登場する。
- self-reliance
『自立』や『自己依存』という意味の名詞。「collectivism(集団主義)」における相互依存とは対照的に、他者に頼らずに自分の力で生きていくことを指す。個人の能力や責任を重視する文脈で使用され、経済的な自立や精神的な強さを表す際に用いられる。
語源
「collectivism(集団主義)」は、英語の「collect(集める、収集する)」に、名詞を作る接尾辞「-ism(主義、思想)」が付いたものです。「collect」自体は、ラテン語の「colligere(一緒に集める、まとめる)」に由来します。これは、「com-(一緒に)」と「legere(選ぶ、集める)」が組み合わさった言葉です。つまり、「collectivism」は、文字通りには「共に集める主義」や「集団を重視する思想」という意味合いを持ちます。個人の独立性よりも集団の結束や協調を重んじる考え方を表す言葉として、社会学や政治学の分野で用いられます。たとえば、日本社会における「和」の精神や、チームワークを重視する姿勢などは、collectivismの一つの表れと言えるでしょう。
暗記法
「集団主義」は、社会の結束を重視する一方で、個性を抑圧する可能性も。農村社会では生存戦略として不可欠でしたが、社会主義国家では負の側面も露呈しました。現代では企業やスポーツチームにも見られますが、同調圧力も生みやすい概念です。個人の自由と集団の利益のバランスをどう取るかが、現代社会における重要な課題と言えるでしょう。歴史と社会構造の中で、その意味合いは大きく変化してきたのです。
混同しやすい単語
『collectivism』とスペルが非常に似ており、意味も関連するため混同しやすい。『collective』は形容詞で「集合的な」「共同の」という意味であり、名詞の『collectivism』(集産主義)とは品詞が異なります。文脈で判断する必要があります。
動詞『collect』は「集める」という意味で、発音が似ています。名詞形の『collection』も同様です。『collectivism』は、この『collect』を語源に持ちますが、政治・経済思想を指す専門用語であるため、意味の範囲が大きく異なります。動詞、名詞、主義という品詞の違いを意識しましょう。
『collusion』は「共謀」「癒着」という意味で、最初の 'col-' の部分が共通しているため、スペルを見たときに混同する可能性があります。意味は全く異なり、政治的・経済的な不正行為を指すことが多いです。発音もアクセントの位置が異なるため、注意が必要です。
語尾が '-ism' で終わる名詞であり、政治的な概念を表す言葉であるため、スペルとカテゴリから『collectivism』と混同される可能性があります。『colonialism』は「植民地主義」という意味で、全く異なる概念です。語幹部分の意味の違いを理解することが重要です。
語尾の「-ism」が共通しており、どちらも社会や経済に関する思想を表す言葉であるため、意味の関連性を誤って推測し、混同する可能性があります。『capitalism』は「資本主義」という意味で、『collectivism』とは対立する概念です。社会思想における対義語として覚えておくと良いでしょう。
『selectivism』という単語は一般的ではありませんが、『selective』(選択的な)という形容詞との関連で、『collectivism』とスペルが似ているため、存在しない単語であるにも関わらず、意味を推測してしまう可能性があります。英語学習においては、未知の単語に遭遇した際に、既存の知識で補完しようとする傾向がありますが、存在しない単語を作り出してしまうことには注意が必要です。
誤用例
While 'collectivism' refers to prioritizing group needs, its direct use can sound ideologically charged or even negative in some Western contexts, especially in business. The original sentence suggests a forced conformity. Many Japanese learners, accustomed to a more harmonious collectivist culture, may not realize the potential negative connotations. 'Collaborative approach' is a more neutral and widely accepted way to express the same intention in English, emphasizing teamwork rather than suppressing individuality. This avoids the potential for misunderstanding or offense.
Japanese learners often directly translate '〜主義の人' as 'a [主義] person.' While grammatically correct, 'a collectivism person' sounds awkward and unnatural. In English, describing someone who values teamwork is more idiomatically expressed as 'a team player.' Furthermore, 'collectivism' is typically used to describe a societal or political system, not an individual trait. The direct translation reflects a common tendency to impose Japanese grammatical structures onto English, overlooking idiomatic expressions and the nuances of describing personality traits in English.
Directly 'importing' collectivism sounds like importing a political ideology. The original sentence shows the trap of assuming that a cultural concept can be directly transferred without modification. While teamwork and consensus-building are valued in Japanese culture, the term 'collectivism' may carry negative connotations of suppressing individual initiative or critical thinking in a Western business environment. By specifying 'teamwork and consensus-building,' the corrected sentence focuses on specific practices rather than a broad ideology, making the suggestion more palatable and less likely to be misinterpreted. It acknowledges the cultural origin while adapting it to a new context.
文化的背景
「集団主義」(collectivism)は、個人の自由よりも集団の利益や目標を優先する考え方であり、社会の結束や協調を重んじる文化において重要な役割を果たします。しかし、その一方で、個人の多様性や創造性を抑圧する可能性も孕んでおり、歴史的、政治的な文脈によって評価が大きく分かれる概念です。
集団主義は、農業社会や封建社会において、人々の生存と繁栄のために不可欠な要素でした。水利事業や共同作業を通じて、コミュニティ全体で協力し、資源を共有することで、厳しい自然環境を克服してきました。このような社会では、個人のわがままや逸脱は、集団全体の秩序を乱し、生存を脅かすものと見なされました。そのため、伝統や慣習を重んじ、個人の意見よりも集団の意思を尊重する文化が育まれました。例えば、日本の農村社会における「村八分」という制裁は、集団の秩序を維持するために、個人を排除する極端な例と言えるでしょう。
20世紀に入ると、集団主義は社会主義や共産主義のイデオロギーと結びつき、国家による計画経済や社会福祉の充実を目指す動きが活発化しました。ソ連や中国などの社会主義国家では、個人の財産や自由を制限し、国家の目標達成のために国民を動員しました。しかし、これらの国家では、政治的な弾圧や経済的な停滞が起こり、集団主義の負の側面が浮き彫りになりました。ジョージ・オーウェルの小説『1984』は、全体主義国家における集団主義の恐ろしさを描き出し、個人の自由の重要性を訴えています。
現代社会においては、集団主義は、企業文化やスポーツチームなど、さまざまな場面で見られます。企業においては、チームワークや協調性を重視し、個人の成果よりも組織全体の目標達成を優先することが求められます。スポーツチームにおいては、個人の能力だけでなく、チーム全体の連携や戦略が勝利に不可欠です。しかし、行き過ぎた集団主義は、同調圧力やハラスメントを生み出す可能性もあります。多様な価値観を尊重し、個人の自由と集団の利益のバランスを取ることが、現代社会における集団主義の課題と言えるでしょう。
試験傾向
準1級・1級の長文読解で出題される可能性があり、社会問題や文化に関する文章で登場しやすいです。語彙問題で直接問われることもあります。collectivist(形容詞)やcollective(形容詞・名詞)との関連を理解しておきましょう。
TOEIC L&Rでは、Part 7(長文読解)で社会問題や組織論に関する文章で登場する可能性があります。ただし、他の試験に比べて出題頻度は低めです。TOEIC S&Wでは、意見を述べる際に使用できるかもしれませんが、必須の語彙ではありません。
TOEFL iBTのリーディングセクションで、社会学、文化人類学、政治学などのアカデミックな文章で頻出します。特に、集団主義と個人主義の対比に関する議論でよく見られます。ライティングセクションでも、エッセイのテーマとして扱われることがあります。
難関大学の長文読解で出題される可能性があります。社会学、文化論、歴史などのテーマで登場することが多く、文脈から意味を推測する能力が問われます。関連語句(individualism, society, cultureなど)との関連性も意識しておきましょう。