groupthink
思考停止
集団内で異論が出にくくなり、非合理的な結論に至る状態。同調圧力によって、批判的な検討がされない状況を指す。企業、政治、委員会などの組織で問題となる。
Everyone in the meeting nodded, which led to quick groupthink.
会議の全員がうなずき、それがすぐに思考停止につながった。
※ 会議室で、誰もが異論を唱えず、あっという間に結論が出てしまった情景です。本来はもっと議論が必要なのに、深く考えないまま決まってしまう「思考停止」の状況を表します。'lead to ~' は「〜につながる」という意味です。
Our team tried hard to avoid groupthink by listening to every idea.
私たちのチームは、あらゆる意見を聞くことで、思考停止を避けようと一生懸命努力した。
※ チームメンバーが、新しいアイデアを出すために活発に議論している様子です。みんなが自由に意見を言い合うことで、より良い結果を目指す、という良い状況で「groupthink」を避ける努力が描かれています。'avoid ~' は「〜を避ける」という意味です。
She felt pressured to join the group's opinion, fearing groupthink.
彼女はグループの意見に合わせるよう圧力を感じ、思考停止が起きることを恐れた。
※ 友達や同僚のグループの中で、本当は違う意見があるのに、周りに合わせてしまう心理的な状況です。ここでは「groupthink」が起こることを個人が懸念している様子が描かれています。'fearing ~' は「〜を恐れて」という意味です。
集団浅慮
集団で意思決定を行う際に、十分な検討をせずに安易な結論に飛びつくこと。特に、メンバーが互いに同意を求め、異論を抑制するような状況で起こりやすい。
The manager worried about groupthink when no one spoke up against the new plan.
部長は、新しい計画に誰も反対意見を言わなかったので、集団浅慮を心配した。
※ 会議で「みんなと同じ意見じゃないと…」という雰囲気を心配する場面です。特にリーダーや責任者が、チームの意見が偏っていないか気を配る際に使われます。「spoke up against」は「~に反対意見を言う」という意味で、自分の意見をはっきり言う行動を描写します。
My friends decided on a restaurant I didn't like, but I said nothing because of groupthink.
友達は私が行きたくないレストランを決めたが、集団浅慮のせいで何も言わなかった。
※ 友達とのカジュアルな場面で、本当は違う意見なのに「みんなに合わせよう」としてしまう状況です。本当の気持ちを抑えてしまう心理が伝わります。「because of groupthink」で「集団浅慮のせいで」と理由を説明しています。
The project failed because the team suffered from groupthink and ignored warnings.
チームが集団浅慮に陥り警告を無視したため、そのプロジェクトは失敗した。
※ 過去の大きな失敗の原因を説明する場面です。「suffer from ~」は「~に苦しむ、~に陥る」という意味で、ネガティブな状況で使われます。集団浅慮が良くない結果につながった、という典型的な使い方です。
コロケーション
集団浅慮の犠牲になる
※ 「fall victim to」は「~の犠牲になる」という意味で、groupthinkのネガティブな影響を受ける状況を表します。組織やチームが非合理的な意思決定をしてしまう際に、その原因がgroupthinkにあることを指摘する文脈で使われます。ビジネスシーンや政治的な議論でよく見られる表現です。構文は「主語 + fall victim to + groupthink」。
集団浅慮の典型的な事例
※ 「a classic case of」は「~の典型的な事例」という意味で、ある事例がまさにgroupthinkの特徴を具現化していることを強調します。過去の失敗事例を分析する際や、現在の状況に警鐘を鳴らす際に用いられます。ビジネススクールのケーススタディや、歴史的な事件の分析などでよく使われる表現です。構文は「a classic case of + groupthink」。
集団浅慮と闘う、集団浅慮に対抗する
※ 「combat」は「~と闘う、~に対抗する」という意味で、groupthinkの発生を阻止したり、その影響を軽減したりする積極的な姿勢を表します。組織改革やリーダーシップに関する議論でよく用いられます。例えば、「多様な意見を奨励することでgroupthinkをcombatする」のように使われます。構文は「combat + groupthink」。
集団浅慮に苦しむ
※ 「suffer from」は「~に苦しむ」という意味で、組織やチームがgroupthinkによって不利益を被っている状況を表します。業績の悪化やプロジェクトの失敗など、具体的な問題が発生している場合に、その原因がgroupthinkにあることを示唆する際に用いられます。構文は「主語 + suffer from + groupthink」。
集団浅慮の危険性
※ 「the dangers of」は「~の危険性」という意味で、groupthinkがもたらす潜在的なリスクや悪影響を強調します。プレゼンテーションや記事などで、聴衆や読者の注意を喚起する際に用いられます。例えば、「意思決定プロセスにおけるthe dangers of groupthink」のように使われます。構文は「the dangers of + groupthink」。
集団浅慮を避ける
※ 「avoid」は「~を避ける」という意味で、意図的にgroupthinkの発生を防ぐ行動や戦略を指します。会議の運営方法やチームの構成など、具体的な対策を講じる際に用いられます。例えば、「多様な視点を取り入れることでgroupthinkをavoidする」のように使われます。構文は「avoid + groupthink」。
使用シーン
社会心理学、組織論、政治学などの分野の論文や教科書で、集団意思決定の欠陥を分析する際に使用されます。例:『政策決定における集団浅慮のリスク』といったタイトルで研究論文が発表されることがあります。
経営戦略、組織開発、リスク管理などに関する会議や報告書で、チーム内の合意形成における問題点を指摘する際に用いられます。例:『新規プロジェクトの検討において、集団浅慮に陥らないよう、多様な意見を積極的に取り入れる必要がある』というように、改善策を提案する文脈で使われることがあります。
ニュース記事や解説番組で、政治的な事件や企業不祥事などの背景にある集団心理を分析する際に言及されることがあります。例:『今回の事件は、組織内の集団浅慮が原因である可能性が高い』というように、専門家が意見を述べる際に使用されることがあります。
関連語
類義語
『同調』や『順応』を意味し、社会的な規範や集団の期待に従う行動を指す。心理学、社会学、政治学などで広く用いられる。 【ニュアンスの違い】『groupthink』よりも広い概念で、必ずしも意思決定の欠陥を意味しない。単に社会的な圧力に従うことを指す場合もある。また、conformityは個人が自発的に規範を受け入れるニュアンスを含む場合がある。 【混同しやすい点】『conformity』は、必ずしも悪い意味合いを持たない。社会生活を円滑にするために必要な側面もある。一方、『groupthink』は、誤った意思決定につながる否定的な意味合いが強い。
『合意』や『総意』を意味し、集団のメンバーが意見の一致に達することを指す。ビジネス、政治、法律など、幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『groupthink』は、批判的な検討を欠いたまま表面的な合意に至ることを指すが、『consensus』は、議論や交渉を経て、メンバーが納得した上で合意に至ることを意味する。健全な意思決定プロセスの一部。 【混同しやすい点】『consensus』は、異なる意見を持つメンバー間の議論や妥協のプロセスを含む。一方、『groupthink』は、異なる意見を抑圧し、表面的な合意を優先する。
『満場一致』や『全員賛成』を意味し、集団のメンバー全員が同じ意見を持つことを指す。政治、法律、宗教など、特定の分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『groupthink』は、表面的には全員賛成に見えるが、実際には異論が抑圧されている状態を指す。『unanimity』は、全員が心から賛成している状態を意味する(理想としては)。ただし、実際には『unanimity』も『groupthink』の結果として生じることがある。 【混同しやすい点】『unanimity』は、理想的な状態であり、集団の意思決定における目標とされることが多い。しかし、現実には、権力勾配や同調圧力によって、表面的な『unanimity』が生じることがある。これが『groupthink』につながる。
- herd mentality
『群集心理』や『追随心理』を意味し、集団の多数派の行動に無批判に従う傾向を指す。社会心理学、行動経済学、投資の世界などで使用される。 【ニュアンスの違い】『groupthink』は、特定の集団内での意思決定における問題点を指すが、『herd mentality』は、より広範な社会現象を指す。また、『herd mentality』は、しばしば非合理的な行動やパニックにつながる。 【混同しやすい点】『herd mentality』は、特定のリーダーや権威への追従を伴わない場合もある。単に、他の人がやっているから自分もやる、という心理状態を指す。一方、『groupthink』は、集団のリーダーシップや結束が意思決定に影響を与える。
『エコーチェンバー』とは、自分の意見や信念を肯定する情報ばかりに触れる環境のこと。インターネットやソーシャルメディアにおいてよく見られる現象。 【ニュアンスの違い】『groupthink』は特定の集団内での意思決定の問題を指しますが、『echo chamber』はより広範な情報環境の問題を指します。エコーチェンバーにいると、異なる意見に触れる機会が減り、自分の意見が正しいと過信しやすくなります。 【混同しやすい点】『groupthink』は集団の意思決定プロセスに焦点があてられていますが、『echo chamber』は個人の情報摂取行動とその結果に焦点があてられています。ただし、エコーチェンバーの中で『groupthink』が発生することもあります。
- bandwagon effect
『バンドワゴン効果』とは、ある選択肢が人気を集めるにつれて、さらに多くの人がその選択肢を選ぶようになる現象。政治、マーケティング、社会心理学などで見られる。 【ニュアンスの違い】『groupthink』は集団内の意思決定の質が低下する現象を指しますが、『bandwagon effect』は個人の選択が多数派に追随する現象を指します。バンドワゴン効果は必ずしも悪い結果をもたらすとは限りませんが、『groupthink』は通常、誤った意思決定につながります。 【混同しやすい点】『bandwagon effect』は個人の行動に焦点を当てており、『groupthink』は集団の意思決定プロセスに焦点を当てている点が異なります。ただし、集団内で『bandwagon effect』が働くと、『groupthink』を助長する可能性があります。
派生語
最も基本的な語で『集団』を意味する名詞。groupthinkの構成要素であり、あらゆる文脈で使用される。動詞としても『集まる』という意味で使用され、groupthinkの前提となる集団形成を示唆する。
『考える人』という意味の名詞。groupthinkにおける個々の構成員を指し、その思考がgroupthinkに陥る可能性を示唆する。日常会話よりも、社会学や心理学の議論で用いられることが多い。
- thinking
『思考』を意味する名詞。groupthinkは、特定の思考パターン(集団思考)を指すため、thinkingはgroupthinkの核心部分を表す。名詞として、また形容詞的に(例:critical thinking)も用いられ、学術的な文脈で頻繁に登場する。
反意語
『個人主義』を意味する名詞。groupthinkが集団の調和を重視するのに対し、individualismは個人の意見や権利を尊重する立場を示す。政治学や社会学でよく用いられ、集団主義との対比で議論されることが多い。
『異議』や『反対意見』を意味する名詞または動詞。groupthinkが異論を抑制するのに対し、dissentは積極的に異なる意見を表明することを指す。ビジネスシーンや政治的な議論において、健全な意思決定プロセスを促す要素として重要視される。
『批判的思考』を意味する複合名詞。groupthinkが非合理的な合意形成を招くのに対し、critical thinkingは客観的な分析と評価を通じてより良い結論を導き出すことを目指す。教育やビジネスの分野で重視され、意思決定の質を高めるために不可欠なスキルとされる。
語源
"Groupthink(集団浅慮、思考停止)"は、文字通り"group(集団)"と"think(思考)"を組み合わせた比較的新しい単語です。社会心理学者のウィリアム・H・ホワイトが1952年に造語し、アーヴィング・ジャニスが1972年の著書で広めました。この単語自体は、集団内での意思決定において、批判的思考や独立した判断が抑圧され、合意形成が優先される状態を指します。日本語で例えるなら、「空気を読む」ことの行き過ぎた状態が、集団浅慮に繋がる可能性があります。つまり、個々のメンバーが異論を唱えることを避け、表面的な合意に至ってしまう状況を、この単語は的確に表しています。直接的なラテン語やギリシャ語の語源はありませんが、英語の基本的な単語を組み合わせることで、新しい概念を表現する良い例と言えるでしょう。
暗記法
「集団浅慮」は、組織で合意を急ぐあまり、批判的思考が失われる現象です。背景には、ピッグス湾事件や真珠湾攻撃といった、集団の同調圧力が悲劇を招いた歴史があります。文学や映画にも描かれ、現代社会のSNS炎上などにも見られる、普遍的な問題です。多様な視点と批判的思考を持ち続けることの重要性を、「集団浅慮」という言葉は教えてくれます。
混同しやすい単語
スペルが非常によく似ており、'think' が付くかつかないかの違いしかないため、タイプミスや読み間違いが起こりやすい。意味は『集団』であり、groupthink の構成要素ではあるものの、概念としては異なる点に注意が必要。
発音が似ており、特に語尾の子音(/p/ と /f/)を聞き間違えやすい。また、母音も groupthink の /uː/ に対して、grape は /eɪ/ であるため、注意が必要。意味は『ブドウ』であり、全く異なる。
発音がやや似ており、特に語尾の子音群(/f/ と /θɪŋk/)が異なる点に注意が必要。意味は『深い悲しみ』であり、文脈によっては groupthink の結果として生じる感情であるため、意味的な関連性から混同する可能性がある。スペルも 'gr' で始まり、母音部分が異なる。
スペルが似ており、'gr' で始まり、母音とそれに続く子音が異なる(growth は /oʊθ/)。意味は『成長』であり、groupthink が組織の成長を阻害する要因となる場合があるため、意味的な関連性から混同する可能性がある。発音も注意が必要。
発音が少し似ており、特に語頭の音と語尾の音が異なる点に注意が必要。意味は『ゴクンと飲み込んだ』という動詞の過去形であり、文脈によっては、groupthink の状況下で意見を飲み込む様子を表現する際に連想される可能性がある。スペルも一部類似している。
発音がいくらか似ており、母音と語尾の子音が異なる。意味は『まぬけな間違いを犯す』という動詞、または『まぬけ』という名詞。groupthink が起こる状況下で、非合理的な結論に至ることを指す場合もあるため、文脈によっては関連付けられる可能性がある。発音と意味の両面で注意が必要。
誤用例
日本語で『集団思考』という言葉を聞くと、あたかも結束力が高まって良い結果に繋がったかのように解釈しがちですが、英語の『groupthink』は、批判的思考の欠如や異論の抑圧によって非合理的な意思決定がなされる状態を指します。したがって、文脈によっては『because of』ではなく『despite』を使う方が適切です。日本人が良い意味で捉えがちなのは、調和を重んじる文化が影響していると考えられます。英語では、必ずしも集団での合意が最良の結果を生むとは限らないという考え方が背景にあります。
『groupthink』を文字通り『集団思考』と捉え、チームワークを重視する姿勢を表現するために使ってしまう誤用です。しかし、英語の『groupthink』は、同調圧力によって創造性や問題解決能力が阻害されるネガティブな意味合いが強い言葉です。チームの協調性を表現したい場合は、『consensus-building』や『collaboration』など、よりポジティブな意味を持つ言葉を選ぶべきです。日本的な『和』の精神を英語で表現する際には、言葉の持つニュアンスを慎重に考慮する必要があります。
『groupthink』は名詞であり、それ自体が能動的に何かをする意味合いを持ちません。ここでは『彼が集団思考をした』というよりも、『彼が集団思考に屈した』というニュアンスを出す必要があります。そのため、『succumb to groupthink』という表現を使うことで、同調圧力に負けて自分の意見を言わなかった、という状況をより正確に表現できます。日本人が『〜を(する)』という日本語の構造をそのまま英語に当てはめようとする際に起こりやすい誤用です。
文化的背景
「集団浅慮(groupthink)」は、組織や集団において、合意形成を急ぐあまり批判的思考が抑制され、非合理的な意思決定に至る現象を指します。この言葉は、個人の意見よりも集団の調和を重視する文化的傾向が、時に悲劇的な結果を招くことを象徴しています。
「集団浅慮」という概念は、社会心理学者のアーヴィング・ジャニスによって1970年代初頭に提唱されましたが、その背景には、アメリカ外交史におけるいくつかの失敗事例がありました。たとえば、1961年のピッグス湾事件は、ケネディ政権がキューバのカストロ政権転覆を企図したものの、拙速な計画と反対意見の軽視によって大失敗に終わった事件です。また、1941年の真珠湾攻撃も、アメリカ軍の情報分析における集団浅慮が指摘されています。これらの事例は、高度な専門知識を持つ人々が集まった集団であっても、過度な同調圧力や自己検閲によって誤った判断を下す可能性があることを示しました。
「集団浅慮」は、文学や映画においても繰り返し描かれてきました。例えば、アーサー・ミラーの戯曲『るつぼ』は、17世紀のセイラム魔女裁判を題材に、集団心理が狂信的な告発へと発展する様を描いています。また、スタンリー・キューブリック監督の映画『博士の異常な愛情』は、冷戦下の軍事組織における集団浅慮を風刺的に描き出し、その滑稽さと危険性を浮き彫りにしました。これらの作品は、「集団浅慮」が特定の時代や組織に限定された現象ではなく、人間の心理に根ざした普遍的な問題であることを示唆しています。
現代社会においても、「集団浅慮」は企業、政府、さらには家族といった様々な場面で起こりえます。SNSにおける炎上や、政治的な扇動なども、「集団浅慮」の一つの現れと見ることができるでしょう。重要なのは、集団の意見に安易に迎合するのではなく、多様な視点を取り入れ、批判的な思考を維持することです。「集団浅慮」という言葉は、私たちが常に自らの思考を問い直し、より健全な意思決定を目指すための警鐘として、その文化的意義を持ち続けています。
試験傾向
この単語が直接問われることは少ないですが、準1級以上の長文読解で、集団心理に関するテーマで間接的に内容理解を問われる可能性があります。語彙問題として直接問われる可能性は低いですが、長文読解対策として意味を理解しておくことが重要です。
TOEICでは、ビジネス関連の長文読解問題(Part 7)で、組織行動や意思決定に関する文脈で登場する可能性があります。直接的な語彙問題(Part 5)での出題頻度は低いと考えられます。文脈から意味を推測する練習をしておきましょう。
TOEFLのリーディングセクションでは、社会学や心理学に関連するアカデミックな文章で出題される可能性があります。集団心理に関する論文や記事からの抜粋で、文脈理解を問う問題が出題されることが考えられます。名詞としての意味だけでなく、文章全体における役割を理解することが重要です。
大学受験の長文読解問題で出題される可能性はあります。社会学や心理学系のテーマで、集団心理に関する議論の中で登場することが考えられます。文脈理解と内容一致問題で問われることが多いでしょう。単語の意味だけでなく、文章全体のテーマを把握する練習をしておきましょう。