clinical
第1音節にアクセントがあります。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し横に引いて発音する短い母音です。/n/ の発音では、舌先を上の歯茎につけてください。最後の /l/ は、舌先を上前歯の裏につけて発音するクリアな「l」の音で、曖昧母音になりやすいので注意しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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臨床の
医学的な観察や実験に基づいていることを指す。患者を直接診察したり、病状を分析したりする状況で使われる。研究室での実験とは異なり、実際の医療現場での実践的な意味合いが強い。
She felt very nervous before her first clinical experience with a real patient.
彼女は、初めて本物の患者さんを診る臨床経験の前に、とても緊張していました。
※ この文では、医学生や看護学生が病院で実際に患者さんと接する「臨床経験(clinical experience)」の場面を描写しています。初めてのことでドキドキしている様子が伝わることで、記憶に残りやすくなりますね。'clinical' は、病院などでの実際の医療現場に関することを指すときに使われます。
The scientists are conducting a clinical trial to test the new medicine safely.
科学者たちは、その新薬を安全に試すために臨床試験を行っています。
※ 'clinical trial' は「臨床試験」という意味で、新しい薬や治療法が人に対して安全で効果的かを確認するために行われる、とても重要な研究のことです。この例文では、研究者たちが真剣に、そして慎重に新しい薬を試している様子が目に浮かびますね。
A good nurse provides not only medical support but also warm clinical care.
良い看護師は、医療的なサポートだけでなく、温かい臨床ケアも提供します。
※ 'clinical care' は「臨床ケア」という意味で、病院などで患者さんに直接行われる治療や看護全般を指します。ここでは、看護師さんが患者さんの心にも寄り添う「温かい」ケアを提供している様子が描かれており、'clinical' が単なる医療行為だけでなく、より広い「患者さんへの直接的な関わり」を意味することがわかります。
冷静な
感情に左右されず、客観的で分析的な視点を持っていることを表す。状況を冷静に判断し、合理的な解決策を見つけ出す能力を強調する。
The doctor remained clinical even when facing a sudden emergency, giving clear instructions.
その医師は突然の緊急事態に直面しても冷静なままで、明確な指示を出していました。
※ 「clinical」は、感情に流されず、客観的で理性的な態度を表します。この例文では、緊急時でも動揺せず、プロとして的確な判断を下す医師の「冷静さ」がよく伝わります。「remain clinical」で「冷静さを保つ」という意味になり、医療現場や専門的な状況でよく使われる表現です。
During the heated debate, she kept a clinical tone, focusing only on the facts.
白熱した議論中、彼女は冷静な口調を保ち、ただ事実にだけ焦点を当てていました。
※ 感情的になりがちな議論の場で、「clinical tone(冷静な口調)」は、感情を交えず、論理的かつ客観的に話す様子を示します。この場合、感情よりも事実に基づいた発言を重視する姿勢が表れています。「keep a clinical tone」で「冷静な口調を保つ」という意味。「tone」は声の調子や話し方を指します。ビジネスや会議の場で、感情的にならず冷静に対応する姿勢を表すのに使えます。
The chess master made a clinical move, showing no emotion as he planned his victory.
そのチェスの達人は、勝利を計画する際に感情を一切見せず、冷静な一手を選びました。
※ 「clinical move」は、感情や直感に頼らず、徹底的に分析し、計算し尽くされた一手を指します。この例文では、勝負の場で感情を排し、冷徹に勝利を目指すプロの姿勢が描かれています。スポーツやゲーム、戦略的な状況で「clinical」を使うと、感情に左右されず、非常に効率的で計算された行動を意味します。この「clinical」は「冷徹な」というニュアンスも少し含みます。
コロケーション
臨床試験
※ 新薬や治療法の効果や安全性を評価するために、患者を対象に行われる試験のことです。医学・薬学分野で非常に一般的な表現で、厳格なプロトコル(手順)に基づいて実施されます。日本語でも『臨床試験』という言葉が定着していますが、英語の 'clinical trial' は、研究段階から承認申請までの一連のプロセス全体を指すことが多いです。一般的に 'a phase 3 clinical trial' (第3相臨床試験)のように使われます。
臨床診断
※ 医師が患者の症状、検査結果、病歴などを総合的に判断して行う診断のことです。画像診断や病理検査など、客観的なデータに基づく診断と区別して用いられることがあります。例えば、『臨床診断では○○疾患が疑われる』のように、確定診断に至る前の段階で用いられることが多い表現です。ニュアンスとしては、医師の経験や勘も含まれるような、総合的な判断による診断という意味合いが含まれます。
臨床現場
※ 病院、診療所、介護施設など、医療行為が実際に行われる場所を指します。研究室や講義室といった場所とは対照的に、患者と医療従事者が直接接する実践的な環境を意味します。例文:'Students gain valuable experience in a clinical setting.' (学生は臨床現場で貴重な経験を積む)。医療系の学生や研修医が実習を行う場所、あるいは医療技術や新薬が実際に使用される場面を指すことが多いです。
臨床的うつ病
※ 単なる一時的な落ち込みではなく、医学的に診断されるうつ病のことです。日常生活に支障をきたすほどの深刻な症状が長期間続く状態を指します。'clinical' がつくことで、自己診断や一時的な気分の落ち込みとは異なり、専門家による診断が必要な病気であることを強調します。精神医学の分野でよく用いられる表現で、診断基準に基づいた客観的な評価が重要視されます。
臨床観察
※ 患者の状態を注意深く観察し、記録することです。医師や看護師が、患者の表情、行動、バイタルサインなどを観察し、診断や治療に役立てます。医学教育において非常に重要な要素であり、経験豊富な医師は、詳細な臨床観察から重要な情報を得ることができます。例えば、'Careful clinical observation revealed subtle changes in the patient's condition.' (注意深い臨床観察により、患者の状態のわずかな変化が明らかになった)。
臨床的意義
※ 研究結果や治療法の効果が、実際の医療現場でどれだけ役立つかを示す指標です。統計的に有意な差があっても、臨床的意義が低い場合は、実際の治療には適用されないことがあります。医学研究において、統計的な有意差だけでなく、患者のQOL(生活の質)向上など、実際に患者にメリットがあるかどうかを評価する際に用いられます。例文:'The study showed statistically significant results, but the clinical significance was questionable.' (その研究は統計的に有意な結果を示したが、臨床的意義は疑問視された)。
臨床判断
※ 医師や医療従事者が、患者の状態、検査結果、過去の経験などを総合的に考慮して下す判断のことです。教科書的な知識だけでなく、経験や直感も含まれることがあります。特に、診断が難しい症例や、複数の治療法が考えられる場合に、臨床判断の重要性が高まります。'exercise clinical judgment' (臨床判断を下す)のように使われます。AIによる診断支援が発展しても、最終的な臨床判断は医師の責任で行われます。
使用シーン
医学、心理学、社会学などの分野の研究論文や教科書で頻繁に使用されます。例えば、医学論文で「臨床試験の結果」を述べたり、心理学の講義で「臨床的な観察」について議論したりする際に使われます。研究発表の場面でも、客観性を示すために「臨床データに基づくと〜」のように用いられます。
医療・製薬業界のビジネスシーンで比較的よく使われます。例えば、新薬開発の報告書で「臨床開発の段階」を説明したり、医療機器の販売戦略会議で「臨床現場のニーズ」について議論したりする際に登場します。また、コンサルティング業界でも、医療機関向けの提案書で「臨床プロセス改善」といった文脈で使用されることがあります。
一般的な日常会話ではほとんど使われません。医療関係者や研究者が、専門的な話題について話す際に稀に登場する程度です。ニュースやドキュメンタリー番組で、医療や健康に関する話題を取り上げる際に、「臨床医」「臨床心理士」などの言葉として耳にする機会があるかもしれません。
関連語
類義語
事実に基づき、個人的な感情や意見を排除した、公平な視点を指す。学術論文、報道、ビジネスレポートなど、客観性が求められる場面で用いられる。 【ニュアンスの違い】『clinical』が医療や心理学の専門的な文脈で、患者を観察・分析する際の冷静さや客観性を指すのに対し、『objective』はより広範な状況で、偏見のない公平な視点を意味する。感情的な判断を避ける姿勢を強調する。 【混同しやすい点】『objective』は名詞(目的、目標)としても使われるため、文脈によって意味を混同しやすい。形容詞として使う場合は、必ず名詞を修飾する形で使用する(例:objective analysis)。
感情的に関与せず、冷静で客観的な態度を表す。報道、観察、分析など、個人的な感情を排除する必要がある状況で使用される。 【ニュアンスの違い】『clinical』が医療現場での専門的な冷静さを指すのに対し、『detached』はより一般的な状況で、感情的な距離を置く態度を意味する。無関心や冷淡さを伴う場合もある。 【混同しやすい点】『detached』は、しばしばネガティブな意味合い(冷たい、無関心)を含むことがある。文脈によっては、好ましくない印象を与える可能性があるため、注意が必要。
人間味がない、個人的な感情や関与がないことを意味する。ビジネス文書、公式な通知、機械的な対応など、人間関係を重視しない状況で使用される。 【ニュアンスの違い】『clinical』が専門的な冷静さを指すのに対し、『impersonal』は人間的な温かさや親しみの欠如を強調する。しばしば、冷淡で無機質な印象を与える。 【混同しやすい点】『impersonal』は、相手に不快感を与える可能性がある。特に、サービス業や顧客対応など、人間関係が重要な場面では、使用を避けるべきである。
科学的な方法に基づき、客観的な証拠やデータに基づいて判断することを指す。研究論文、実験報告、科学的な議論など、科学的な根拠が求められる場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『clinical』が医療や心理学の専門的な文脈での観察・分析を指すのに対し、『scientific』はより広範な科学分野での客観性や実証性を意味する。厳密な方法論と証拠に基づく判断を重視する。 【混同しやすい点】『scientific』は、しばしば高度な専門知識や技術を必要とする。日常会話や一般的な状況では、過度に専門的で堅苦しい印象を与える可能性がある。
物事を細かく分析し、論理的に考察することを意味する。問題解決、意思決定、戦略立案など、分析的な思考が求められる場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『clinical』が医療現場での冷静な観察・分析を指すのに対し、『analytical』はより一般的な状況で、論理的な思考力や分析能力を意味する。感情に左右されず、客観的に問題を解決する能力を強調する。 【混同しやすい点】『analytical』は、分析に偏りすぎて、全体像を見失う可能性がある。また、分析結果をどのように活用するかという視点が欠けている場合もある。
- dispassionate
感情に左右されず、冷静で客観的な態度を保つことを意味する。紛争解決、裁判、倫理的な問題など、感情的な偏りを避ける必要がある状況で使用される。 【ニュアンスの違い】『clinical』が医療現場での専門的な冷静さを指すのに対し、『dispassionate』はより一般的な状況で、感情的な影響を受けない公平な判断を意味する。感情的な反応を抑制し、冷静さを保つことを強調する。 【混同しやすい点】『dispassionate』は、しばしば冷淡さや無関心と誤解されることがある。感情を完全に排除するのではなく、感情的な偏りを避けることが重要である。
派生語
- clinician
『臨床医』を意味する名詞。「clinical」が形容詞的に『臨床の』という意味合いを持つことから派生し、医療現場で患者を直接診察・治療する医師を指す。医療分野の専門用語だが、一般ニュースなどでも使用される。
『診療所』や『クリニック』を意味する名詞。「clinical」が元々『病床の』という意味合いを持つことから、患者を診察・治療する場所を指すようになった。日常会話でも頻繁に使われる。
- clinically
『臨床的に』を意味する副詞。「clinical」に副詞化の接尾辞「-ly」が付いた形。医学論文や医療関連ニュースで、ある状態や結果が臨床的に認められた、あるいは重要であるといった文脈で使用される。
反意語
- nonclinical
接頭辞「non-」が付くことで、「臨床的でない」という意味になる。医療の文脈で、患者と直接接しない研究や管理業務などを指す場合に使われる。たとえば、「nonclinical research(非臨床研究)」のように。
『主観的な』という意味の形容詞。「clinical」が客観的な観察やデータに基づいているのに対し、「subjective」は個人の感情や意見に基づくことを指す。臨床診断においては、客観的なデータと主観的な症状の両方が重要となる。
『全体的な』『包括的な』という意味の形容詞。「clinical」が特定の症状や疾患に焦点を当てるのに対し、「holistic」は心身全体、生活環境などを含めた包括的な視点を指す。医療においては、特定の治療だけでなく、生活習慣の改善なども含めた全体的なアプローチが重要視される。
語源
"clinical」は、「臨床の」や「冷静な」という意味を持つ英単語です。その語源は、ギリシャ語の「kline(寝台、ベッド)」に由来します。古代ギリシャでは、医師が患者のベッドのそばで診察を行ったことから、「kline」は医療行為そのものを指すようになりました。この「kline」に、英語の形容詞を作る接尾辞「-ical」が付いて「clinical」となり、「ベッドサイドの」「臨床的な」という意味合いを持つようになりました。つまり、「clinical」は、患者のそばで直接観察し、診断を下すという医療行為の本質を表しているのです。冷静な判断や客観的な視点が求められる状況を指す場合にも使われるのは、臨床現場での冷静さが重要であることと関連しています。
暗記法
「clinical」は元々、患者のベッドサイドから生まれた言葉。客観的であると同時に、冷徹さや非人間性をも表します。科学技術が発展した現代では、企業分析や芸術批評でも使われ、合理性を追求する姿勢を意味する一方、人間味の欠如も示唆します。SF作品では感情を排除した科学者、社会派作品では官僚主義的な組織を象徴し、倫理的な問題や人間性の喪失を暗示。科学と人間性の調和を問いかける、奥深い言葉なのです。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特にカタカナ英語に慣れていると区別が難しい。スペルも 'l' と 'n' の位置が違うだけで視覚的に紛らわしい。『clinical』が「臨床的」であるのに対し、『cynical』は「皮肉的」という意味で、意味も大きく異なる。日本語の『シニカル』という言葉が先行して意味を誤解している場合もあるので注意が必要。
スペルの一部が共通しており、発音も似ているため、特に早口で話されると聞き間違えやすい。『clinical』が「臨床的」な状態や研究を指すのに対し、『critical』は「批判的」「重大な」という意味を持つ。医療現場では「重篤な」という意味でも使われるため、文脈によって意味を正確に判断する必要がある。
発音の最初の部分が似ており、スペルも短いため、単純な単語ほど聞き間違えやすい。『clinical』が形容詞であるのに対し、『clean』は動詞(掃除する)、形容詞(きれいな)、副詞(完全に)として使われる。品詞の違いを意識することが重要。また、『clean』は日常会話で頻繁に使われるため、間違えないように注意。
『clinical』の名詞形と勘違いしやすい。スペルも似ており、意味も関連するため、特に医療系の文脈では注意が必要。『clinical』は形容詞で「臨床的」という意味だが、『clinic』は名詞で「診療所」という意味。例えば、「clinical trial」は「臨床試験」だが、「go to a clinic」は「診療所に行く」となる。
語尾の '-ical' の部分が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすい。『clinical』が医療や研究に関連するのに対し、『comical』は「滑稽な」という意味で、まったく異なる。日本語の『コミカル』という言葉から連想して意味を誤解しないように注意。
スペルと発音の類似性が高く、特に英語の発音に慣れていない学習者は混同しやすい。『chronical』は「慢性的な」という意味の『chronic』の古いつづり、または誤用である可能性が高い。現代英語では『chronic』が一般的であり、『clinical』と『chronic』を混同しないように注意。
誤用例
日本語の『臨床』という言葉から直訳すると、患者の状態を『clinical』と表現してしまうことがあります。しかし、英語の『clinical』は『客観的で感情を交えない』という意味合いが強く、患者の状態を述べる文脈では不適切です。代わりに、具体的な状態(stable, criticalなど)を記述するか、状態を客観的に評価しているニュアンスを伝える表現(requires close monitoring)を用いる方が適切です。日本人が『臨床』という言葉を使う際に期待する『医療的な状態』という意味合いは、英語ではより具体的に表現する必要があります。また、無機質で冷たい印象を与えないよう、状況に合わせた形容詞の追加も検討すべきでしょう。
ここでの誤用は、日本語の『臨床的』という言葉が持つ『医学的』なイメージに引きずられていることが原因です。英語の『clinical』は、医学的な意味合いも持ちますが、より一般的に『感情を交えず客観的』という意味で使われます。そのため、『まるで医者のように』という説明を加えることで、かえって不自然な印象を与えてしまいます。より自然な英語にするためには、文脈に応じて『analytical(分析的)』、『detached(客観的)』、『objective(客観的)』などの類義語を使う方が適切です。日本人が無意識に『医学的』なニュアンスを付与してしまう背景には、医療現場での『臨床』という言葉の使用頻度が高いことが影響していると考えられます。英語では、より広い意味での『客観性』を表す言葉として理解する必要があります。
この誤用は、同じ単語を繰り返すことで、文章が冗長になっているだけでなく、意図した意味が伝わりにくくなっている例です。英語の『clinical』は、客観性や科学的な厳密さを表す一方で、感情や人間味の欠如を示唆することもあります。そのため、『clinical trial(臨床試験)』が『clinical(客観的)』であると述べるだけでは、何を伝えたいのかが不明確です。むしろ、『科学的に厳密だが、個人的な配慮が不足していた』のように、対比的な表現を用いることで、より具体的なニュアンスを伝えることができます。日本人が陥りやすいのは、形容詞を安易に繰り返すことで強調しようとする傾向ですが、英語では異なる表現を用いて多角的に描写する方が効果的な場合があります。また、皮肉や婉曲表現を理解する上では、文化的背景への理解も不可欠です。
文化的背景
「clinical」という言葉は、医療現場における客観性と冷静さを象徴し、同時に、感情や人間味を排除した冷徹さ、あるいは非人間的な印象を与えることがあります。この二面性は、科学的進歩と倫理的懸念が交錯する現代社会において、「clinical」が持つ文化的意義を深く物語っています。
もともと「clinical」は、ギリシャ語の「kline(ベッド)」に由来し、患者のベッドサイドで行われる医療行為を指していました。そこから、観察や実験に基づいた客観的な診断、治療という意味へと発展しました。しかし、20世紀以降、科学技術の発展とともに医療が高度化・専門化するにつれて、「clinical」は、単なる医学的な意味合いを超え、より広範な文化的、社会的な文脈で使用されるようになりました。たとえば、企業経営における「clinical analysis(臨床分析)」や、芸術批評における「clinical detachment(冷徹な距離感)」といった表現は、感情や個人的な価値観を排除し、客観的、合理的に分析、評価することを意味します。しかし、同時に、そこには人間味の欠如や、共感性の喪失といったネガティブなニュアンスも含まれています。
文学や映画においても、「clinical」は、しばしば感情を抑制し、合理性を重視する人物像を描写するために用いられます。例えば、科学技術の進歩に警鐘を鳴らすSF作品では、感情を排除した「clinical」な思考を持つ科学者が、非人間的な実験や研究を行う姿が描かれることがあります。また、社会の不条理を告発する作品では、官僚主義的な組織やシステムが、「clinical」な効率性や合理性を追求するあまり、人間性を喪失していく様子が描かれることもあります。これらの作品は、「clinical」という言葉が、単なる客観性や合理性だけでなく、倫理的な問題や人間性の喪失といった、より深い文化的、社会的な意味合いを含んでいることを示唆しています。
現代社会において、「clinical」は、科学技術の進歩と倫理的懸念が複雑に絡み合った概念として、その意味合いを深めています。医療現場における客観性と冷静さは、患者の最善の利益のために不可欠ですが、同時に、患者の感情や尊厳を尊重することも重要です。「clinical」という言葉は、私たちに、科学技術の進歩と人間性の調和について、常に問い続けることを求めていると言えるでしょう。
試験傾向
準1級・1級の長文読解、語彙問題で出題される可能性があります。医療・科学系のテーマで、専門用語と関連付けて問われることが多いです。文脈から意味を推測する練習と、類義語(e.g., "medical", "therapeutic")との区別が重要です。
Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解)で、医療関連の記事やビジネス文書に登場する可能性があります。ただし、専門性が高い語彙なので頻度は高くありません。"clinical trial"(臨床試験)のような複合語で出題されることが多いです。文脈から推測する力と、ビジネスシーンにおける関連語彙の知識が求められます。
リーディングセクションで、科学、医学、社会科学系の学術論文に頻出します。抽象的な概念を説明する文脈で使われることが多く、文脈理解が重要です。語彙問題で直接問われることもありますが、内容理解問題で間接的に問われることが多いです。同義語・類義語(e.g., "objective", "scientific")を理解しておくと役立ちます。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。医療、科学、社会問題に関する文章で登場し、文脈理解と語彙力が問われます。直接的な語彙問題よりも、内容一致問題や空所補充問題で、文脈から意味を推測する能力が試されます。派生語(e.g., "clinically")や関連語(e.g., "diagnosis", "treatment")も合わせて学習しておくと良いでしょう。